2016 年 12 月 そこが知りたい! 国際税務ニュースレター 今回のテーマ: 日独租税協定の改訂 2016 年 9 月 28 日、日独新租税協定(2015 年 12 月 17 日署名)を発効させるために必要な相互の通告 が完了しました。これにより、本協定は、2016 年 10 月 28 日に発効し、我が国においては、2017 年1月 1 日以後に開始する各課税年度の租税(課税年度に基づかないで課される租税については、2017 年 1 月 1 日以後に課される租税)について適用されます。 本協定は、1967 年に発効(1980 年、1984 年一部改正)した現行協定を全面的に改正するものです。 ドイツとの新租税協定のポイント 1. 事業利得に対する課税に関する新たな規定の導入 外国法人・非居住者の恒久的施設に帰属する事業利得に対する課税については、2010 年に改訂され た OECD モデル租税条約第 7 条(事業利得)の機能的分離企業アプローチ(OECD 承認アプローチ) を採用しました。今後、恒久的施設に帰属する事業利得の計算にあたっては、本支店間の内部取引 を網羅的に認識したうえで、当該内部取引の対価の合理性について、移転価格税制の観点からの検 証が必要となります。 2. 投資所得に対する源泉地国課税の減免(出典:財務省ウェブサイト: http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/press_release/20151217de_pt.htm) 現行協定 配 利 10%(日本法人支払配当、持株割合 25%以上・ 当 保有期間 12 月以上) 15%(上記以外) 子 免税(国債等の利子) 10%(上記以外) 使用料 10% 改 正 後 免税(持株割合 25%以上・保有期間 18 月以上) 5%(持株割合 10%以上・保有期間 6 月以上) 15%(上記以外) 免税 免税 3. 協定上の特典の濫用を防止する規定の導入(21 条) BEPS プロジェクト Action6(租税条約の濫用防止)の勧告をベースに、一定の要件を満たす適格者 等である居住者に限定して協定上の特典を認める特典制限条項(LOB)が導入されました。LOB に は、主要目的テスト(PPT: Principal Purpose Test)が併せて規定され、本協定の特典を受けることが 取引スキーム構築の主たる目的である場合には、協定の特典は与えられません。 4. 源泉税に関する手続規則の導入(27 条) 本手続規則においては、国内法の定める源泉徴収税率での課税を容認したうえで、本協定に基づく 課税の軽減又は免除を受ける場合には、納税者の申請によって税額が還付されると規定されていま す。還付のための申請は、一方の締約国の法令に定める期間内に提出されなければならないとされ ています。 お見逃しなく! 税務当局間の相互協議に関する仲裁手続規定(24 条)、両国間で租税債権の徴収共助を行う仕組み(26 条)が導入されました(26 条)。情報交換の対象となる租税及び事案も拡充されています(25 条)。 このニュースレターのバックナンバーはホームページにてご覧になれます。http:// www.grantthornton.jp © Grant Thornton Japan. All rights reserved.
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