平 成 28 年 12 月 9 日 消費者庁消費者制度課 「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガ イドライン」(案)に関する御意見募集の結果について 1.意見募集の対象 「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向 けガイドライン」(案) 2.意見募集期間及び意見の提出方法 (1)意見募集期間 平成 28 年7月8日(金)から同年8月8日(月)まで (2)意見の提出方法 郵送、ファクシミリ(FAX)、インターネット(電子政府の総合窓口(e-Gov) 意見提出フォーム) 3.意見募集の結果 (1)提出意見等の件数 提出意見:225 件 意見提出者・団体数:18(内訳 個人:11 名、団体:7団体) (2)項目別の意見件数 項 目 Ⅰ.内部通報制度の意義 件数 22 1.事業者における内部通報制度の意義 2.経営トップの責務 3.本ガイドラインの目的と性格 Ⅱ.内部通報制度の整備・運用 7 4 11 98 1.内部通報制度の整備 2.通報の受付 3.調査・是正措置 63 4 31 1 Ⅲ.通報者等の保護 53 1.通報に係る秘密保持の徹底 2.解雇・不利益取扱いの禁止 3.自主的に通報を行った者に対する処分等の減免 Ⅳ.評価・改善等 33 12 8 19 1.フォローアップ 2.内部通報制度の評価・改善 7 12 その他 33 合計 225 (3)頂いた御意見の概要及び御意見に対する消費者庁の考え方 別紙のとおり。 以上 2 別紙 意見に関連するガイド ライン案の対象条項等 意見の概要 意見に対する消費者庁の考え方 1 Ⅰ1 ○(案)「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 事業者における内部通 に関する民間事業者向けガイドライン」は、Ⅰ1事業者における 報制度の意義 内部通報制度の意義、Ⅰ2経営トップの責務、Ⅰ3本ガイドライ ンの目的と性格について明確に簡潔に明文化されており評価す る。 2 Ⅰ1 ○公益通報者保護法は、消費者保護の観点から問題提起され法制化 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 事業者における内部通 された。 報制度の意義 内部通報制度の意義を改めて捉え直し、「消費者、取引先、従業 員、株主・投資家、債権者、地域社会等を始めとするステークホ ルダーからの信頼獲得に資する」ことが明確化されたことを評価 する。 3 Ⅰ1 ○事業者における内部通報制度がコンプライアンス経営に資するこ ○本ガイドライン案には、「職場の管理者等に相談や通報が行われ た場合に適正に処理対応されるような透明性の高い職場環境を形 事業者における内部通 とに異論はないが、本来は、風通しのよい企業風土の醸成が求め 成すること」の重要性についても記載されております(案Ⅱ1 報制度の意義 られるのであり、そのような企業風土が通常の業務ラインに反映 (4)⑥)。 されることが重要である。すなわち、職制を通じた相談・通報こ そが基本であり、内部通報制度は、職制を通じた相談・通報が正 常に機能しない場合のいわば次善・補完の仕組みである。本ガイ ○なお、内部通報制度の位置付けに関しては、「内部統制制度の最 後の砦ともいわれるものであり、通報者が信頼し、安心して意見 ドラインは、内部通報制度の有用性を過度に強調するものであ を言える制度を見直して、十分活用すべき」(出典:株式会社東 り、コンプライアンス経営の骨格が内部通報制度の整備・運用で 芝 第三者委員会「調査報告書」(平成 27 年7月 20 日)P271) あると誤解させかねない。したがって、職制を通じた相談・通報 といった評価もあり、両者は相互補完の関係にあると思われ、コ こそが基本であるという前提がまず明記されなければならない。 ンプライアンス経営や風通しの良い企業風土を醸成するために 内部通報制度はコンプライアンス経営におけるあくまで一つの方 は、実効性の高い内部通報制度の存在が重要であると考えられま 策にすぎないのであり、その点が明確になるような記載に改める す。 べきである。 4 Ⅰ1 ○基本的に妥当な内容と考えるが、以下のとおりの文言修正を提案 ○コンプライアンス経営とは「法令、社内規範等の遵守や、そのた めの組織体制の整備を包含して「コンプライアンス」といい、経 事業者における内部通 する。 営トップが関与した上でのコンプライアンス重視の企業経営を 報制度の意義 「コンプライアンス経営」、「ステークホルダー」等の用語につ 「コンプライアンス経営」という。」(出典:「消費者に信頼さ いては、脚注を付してはどうか。 れる事業者となるために-自主行動基準の指針-」(平成 14 年 12 【理由】 月 国民生活審議会消費者政策部会自主行動基準検討委員会)P これらの用語は、一般に相当程度の共通認識はあると思われる 10)、また、ステークホルダーは「消費者、従業員、株主など事 が、時に多義的でもありガイドラインの名宛人である対象事業者 業者の事業活動に利害関係を有する者」(前同P2)をいうもの の属性も様々なので、意味を明確化する必要がある。 と承知しており、一般的にも同様に認識されているものと考えて おります。 1 5 Ⅰ1 ○基本的に妥当な内容と考えるが、以下のとおりの文言修正を提案 ○本ガイドライン案(案Ⅰ1)の「消費者、取引先、従業員、株 主・投資家、債権者、地域社会等を始めとするステークホルダ 事業者における内部通 する。 ー」の「等」には、行政機関(国・地方公共団体)も含まれるも 報制度の意義 「ステークホルダー」の範囲としては、「国・地方公共団体」を のと考えます。 追加すべきではないか。 【理由】 公益通報制度の整備・運用を国・自治体の中に存在する民間事業 者の法令遵守等のコンプライアンスシステムの一環と捉えた場 合、国・自治体もステークホルダーに含まれる。 6 Ⅰ1 ○基本的に妥当な内容と考えるが、以下のとおりの文言修正を提案 ○御指摘の趣旨を踏まえ、「企業の社会的責任を果たし」を追記す ることとしました。 事業者における内部通 する。 報制度の意義 第1段落の文脈からすると、「CSR(企業の社会的責任)の観 <修正前>「安全・安心な製品・サービスを提供していくこと 点から」という文言を挿入してはどうか。 は、社会経済全体の利益を確保する上でも重要な意義を有す 【理由】 る。」 何故、実効性のある公益通報制度の整備・運用を求められるかと 言うと、それは様々なステークホルダーに対して少なくとも不祥 <修正後>「安全・安心な製品・サービスを提供していくこと 事を起こすことによる迷惑をかけないように企業体として最善の は、企業の社会的責任を果たし、社会経済全体の利益を確保す 注意を払うというCSRの一つの側面に根拠が求められると考え る。 る上でも重要な意義を有する。」 7 Ⅰ1 ○基本的に妥当な内容と考えるが、以下のとおりの文言修正を提案 ○「リスク管理」(リスク・マネジメント)とは、「組織体の諸活 動に及ぼすリスクの悪影響から、最小限のコストで、資産・活 事業者における内部通 する。 動・稼動力を保護するために、必要な機能ならびに技法を計画 報制度の意義 第2段落の「内部通報制度を積極的に活用したリスク管理等を通 ( planning ) ・ 組 織 (organizing) ・ 指 揮 (directing) ・ 統 制 じて」については、「内部通報制度を積極的に活用することによ (controlling)するプロセス」をいう(出典:「経営倫理用語辞 り事前(又は早期に)法令違反行為等の不祥事発生を防止すると 典」(日本経営倫理学会編)P269)ものと承知しております のリスク管理等の推進を通じて」としてはどうか。 が、「内部通報制度を積極的に活用することにより事前(又は早 【理由】 期に)法令違反行為等の不祥事発生を防止する」という御指摘の 単に「リスク管理等」という表現では、やや漠然としていて意味 趣旨は「従業員等からの法令違反等の早期発見・未然防止に資す を捉えにくいとも考えられるので、端的に私企業における不祥事 る通報を事業者内において適切に取り扱うための指針とする」 発生の事前抑止のためのコンプライアンスシステムの一環である (案Ⅰ3)という記載に含まれているものと考えます。 との位置付けを表現すべきである。 8 Ⅰ2 経営トップの責務 ○経営トップが出すべきメッセージは、あくまで各企業の経営トッ ○本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業種・業態等の実情に 応じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではありません(案 プが自社の状況を認識した上で自らの意思で発するべきものであ Ⅰ3)。 り、その詳細がガイドラインで規定されるべきものではない。逆 にこのガイドラインの項目に従ってメッセージを出すことで、経 営幹部・従業員は、ガイドラインがあるからメッセージを発して ○経営トップの責務の在り方や企業倫理の捉え方等も含め、各事業 者が実情に応じ適切に取り組んでいくことが期待されることか いると判断し、「建前のメッセージ」と受け取ることになり、本 ら、御指摘の点も踏まえ、「例えば」を追記することとしまし 末転倒である(Ⅱ1(4)③にあるように本ガイドラインを周知 た。 するのであればなおさらである)。 2 経営トップの責務につき記載するのであれば、詳細な内容は避 け、「経営トップはその姿勢を従業員に示すべきである」といっ た程度にとどめるべきである。また、「利益追求と企業倫理が衝 突した場合」という記述については、遵法を超えた「企業倫理」 について何らかの定義が設けられるべきである。 <修正前> 「(略)経営トップ自らが、経営幹部及び全ての従 業員に向け、以下のような事項について明確なメッセージを継 続的に発信する(略)」 <修正後> 「(略)経営トップ自らが、経営幹部及び全ての従 業員に向け、例えば、以下のような事項について明確なメッセ ージを継続的に発信する(略)」 ○本ガイドライン案における「企業倫理」は、各企業や経済界団体 の公表資料等(例:日本経済団体連合会「企業行動憲章実行の手 引き(第6版)」P71)において一般に用いられているものと同 様の趣旨であると理解しております。 9 Ⅰ2 経営トップの責務 ○基本的に適切な内容と考えられる。ただし、経営トップによる宣 ○御指摘の趣旨については、経営トップ自らが「内部通報制度を活 用した適切な通報は、リスクの早期発見や企業価値の向上に資す 言の内容としては、「公益通報の内容を経営トップに対して隠蔽 る正当な職務行為であること」について明確なメッセージを継続 し、又は通報者に対する不利益的取扱いに対しては、社内的に厳 的に発信する(案Ⅰ2参照)、「経営幹部を責任者とし、部署間 正な制裁を受けること。」を追加すべきである。 横断的に通報を取り扱う仕組みを整備する」(案Ⅱ1(1 ) 【理由】 ①)、「通報等をしたことを理由として解雇・不利益取扱いを行 実効性のある内部統制システム(コンプライアンスシステム)の った者に対しては、懲戒処分その他適切な措置を講じる」(案Ⅲ 世界標準とされ、国・自治体・大手事業者の多数において広く採 2②)といった記述に含まれているものと考えます。 用されている「改訂COSOシステム(COSOフレームワー ク)」(以下「COSO」と言う。)の5つの構成要素のうち、 公益通報制度が実効性を持って機能しやすい企業風土を醸成する という意味で「統制環境」の内容に沿うものである。 そして、経営トップによるこのようなコンプライアンス経営に向 けた宣言が一時的なもの又は思い付き等ではなく本気で実行され るものであるとのメッセージを企業体の構成員の全てに浸透さ せ、これに更なる効果を付与するためには、公益通報を阻害した 構成員(役員を含む。)に対しては厳格なペナルティが課される ことも併せて宣言される必要がある。 10 Ⅰ2 経営トップの責務 ○社外取締役、社外監査役を含まない機関で重篤な通報の対応を意 ○御指摘の趣旨については、「経営幹部を責任者とし、部署間横断 的に通報を取り扱う仕組みを整備する」(案Ⅱ1(1)①)、 思決定している企業の比率が高くなっている。 「コンプライアンス経営の徹底を図るため、通常の通報対応の仕 経営トップの責務の欄で、メッセージの発信を促しているが、メ 組みのほか、社外取締役や監査役等への通報ルート等、経営幹部 ッセージの発信のみではなく「内部通報制度をコーポレートガバ からも独立性を有する通報受付・調査是正の仕組みを整備する」 ナンスの一機能、コンプライアンス体制の一機能として構築する (案Ⅱ1(2))といった記述に含まれているものと考えます。 よう、組織に対して明確に指示を出す」ことを促してはいかが か。 3 ○経営トップが発信すべき内容について、ガイドラインに細かく記 ○御指摘にもあるとおり、経営トップが発信する内容には多様なも のが考えられることから、「例えば」を追記することとしまし 載すれば、経営トップの言葉がガイドラインに沿った定型的なも た。 のとならざるを得ず、コンプライアンス経営や内部通報制度の重 要性に関する経営トップのメッセージの力がかえって弱まること <修正前>「(略)経営トップ自らが、経営幹部及び全ての従業 が懸念される。経営幹部や従業員に「ガイドラインの引き写し」 員に向け、以下のような事項について明確なメッセージを継続 と受け止められかねない一方、経営トップの側でも「ガイドライ 的に発信する(略)」 ンに書いてある内容を発信しておけばよい」との意識を生じさせ る可能性がある。 <修正後>「(略)経営トップ自らが、経営幹部及び全ての従業 そこで、以下のように修正すべきである。 員に向け、例えば、以下のような事項について、明確なメッセ <修正案> 公正で透明性の高い組織文化を育み、組織の自浄作用を健全に発 ージを継続的に発信する(略)」 揮させるためには、経営トップ自らが、経営幹部及び全ての従業 員に向け、コンプライアンス経営の重要性を訴えるべきである。 ○また、「コンプライアンス経営」とは、経営トップが関与した上 その一環として、内部通報者保護制度についても、単に仕組みを でのコンプライアンス重視の企業経営をいい(出典:「消費者に 整備するだけでなく、「コンプライアンス上の問題事案等を放 信頼される事業者となるために-自主行動基準の指針-」(平成 置・隠蔽することなく報告し、是正・適正化に向けて対応するこ 14 年 12 月 国民生活審議会消費者政策部会自主行動基準検討会) とが重要である」との姿勢を示すことが必要である。そのため、 P10 参照)、コンプライアンス経営に欠かせない内部通報制度を 例えば以下のような事項について、明確なメッセージを継続的に 機能させるには、経営トップの本気度が示されることが不可欠で 発信することが考えられる。 あるので、その重要性に鑑みて、「必要である」という表現にし ております。 11 Ⅰ2 経営トップの責務 12 Ⅰ3① ○本ガイドラインは、公益通報者保護法に直接規定されておらず ○公益通報者保護法では、制度の意義、通報者保護の要件・効果、 通報者への通知、事業者外部への通報が保護される要件(事業者 本ガイドラインの目的 (本ガイドラインは「公益通報者保護法を踏まえた」と名乗る 内部に公益通報をしても犯罪行為等の是正が期待し得ない場合) と性格 が、「踏まえた」の趣旨が不明確である)、本来各企業が自律的 等を規定しておりますが、本ガイドライン案は、このような法の に取り組むべきである「内部通報制度」について、その整備・運 規定にも関わる事項について事業者の適切な取組を促進する趣旨 用等を詳細に規律しようとするものである。本ガイドラインは、 であることから、「公益通報者保護法を踏まえた」としておりま 各企業の自主的な努力を無にするばかりか、各企業の実態を無視 す。 した画一的な整備・運用等を求めることになり、かえって主体的 なコンプライアンス経営に水を差しかねないものである。各企業 が自律的に整備・運用等すべき内部通報制度について、詳細なガ ○本ガイドライン案は、「通報を事業者内において適切に取り扱う ための指針を示すもの」であり、「各事業者の規模や業種・業態 イドラインを設けること自体が、主体的なコンプライアンス経営 等の実情に応じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではない を阻害し、ひいては企業の自浄作用を失わせることを懸念する。 ため(案Ⅰ3参照)、「各企業の自主的な努力を無にするばかり か、各企業の実態を無視した画一的な整備・運用等を求める」も のではありません。 ○なお、「国民生活の安全・安心を大きく損なうような近時の企業 不祥事において、 4 ・約1年間、経営陣への情報の伝達が遅れており、その間、複数 の従業員が問題行為の疑いについて把握していたにもかかわら ず、内部通報制度を利用した者はいなかった事案 ・会社のコンプライアンスに対する姿勢について、社員の信頼が 得られていないこと等から内部通報制度による自浄作用が働か なかった事案 ・経営層自身が隠ぺいを指示又は承認するという状況で、内部通 報制度が機能せず、不正が継続していた事案 など内部通報制度が機能せず事業者内部に通報しても問題の是正 が期待できないと思われる事案が散見される。」(「公益通報者 保護制度の実効性の向上に関する検討会」第1次報告書(平成 28 年3月)P3)ことにも鑑みると、経済界を含む各界の有識者・ 実務家からなる検討会での議論も踏まえ、内部通報制度の適切な 整備・運用の在り方について一定の指針を示すことには意義があ るものと考えます。 13 Ⅰ3① ○ガイドラインの在り方としては、本ガイドラインのように詳細か ○本ガイドライン案が「事業者が自主的に取り組むことが推奨され る事項を具体化・明確化し」たものであることを明記することと 本ガイドラインの目的 つ画一的なものではなく、内部通報制度のベストプラクティスを しましたので、当該記載に、御指摘の趣旨は反映されているもの と性格 例示して、各企業の自律的な整備・運用等の一助を提供するもの と考えます。 で足りる。各企業に自律的検討を促すことこそ、主体的なコンプ ライアンス経営につながるものと考える。 14 Ⅰ3① ○企業は、それぞれ自社の現状認識の下、主体的にコンプライアン ○本ガイドライン案は、「通報を事業者内において適切に取り扱う ための指針を示すもの」であり、「各事業者の規模や業種・業態 本ガイドラインの目的 ス経営を行っている。内部通報制度も、それぞれの企業の置かれ 等の実情に応じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではなく と性格 た状況において、企業が自律的に考え、制度設計を行い、自社が (案Ⅰ3参照)、各事業者が置かれた環境に応じてコンプライア 何に対してどのように「コンプライ」するかを真摯に検討する過 ンス経営を行うことは十分に可能と考えます。 程こそが、真のコンプライアンス経営につながるものである。内 部通報制度は各企業が自社におけるベストプラクティスを模索し ていくべき性質のものなのである。ガイドラインによって詳細か ○なお、御指摘の趣旨を踏まえ、下記のとおり修文することとしま した。 つ画一的に規律するのではなく、各企業の主体的な活動を支援す る意味合いでベストプラクティスとして例示するガイドラインで <修正前> 「本ガイドラインは、公益通報者保護法を踏まえ あれば、より企業のコンプライアンス経営に資するものになると て、事業者のコンプライアンス経営への取組を強化し、社会経 考える。 済全体の利益を確保するために、従業員等からの法令違反等の また、企業の置かれた環境も様々であり、グローバルに展開し世 早期発見・未然防止に資する通報を事業者内において適切に取 界中からホットラインを受け付ける体制をとる企業もあれば、ベ り扱うための指針を示すものである。」 ンチャー企業等で管理体制の整備をこれから行っていこうという 企業もある。ガイドラインが提示されるのであれば、こうした企 <修正後> 「本ガイドラインは、公益通報者保護法を踏まえ 業環境の相違を踏まえたメニューを例示的に提示するようなもの て、事業者のコンプライアンス経営への取組を強化し、社会経 にしていただきたい。あくまで企業の自律を育むガイドラインで 済全体の利益を確保するために、事業者が自主的に取り組むこ なければならない。 5 さらに、企業のグローバル化が進む中で、内部通報制度において も、個人情報の越境的な取得という問題が生じており、こうした 課題について、併せて取り組んでいただくことを切望する。 とが推奨される事項を具体化・明確化し、従業員等からの法令 違反等の早期発見・未然防止に資する通報を事業者内において 適切に取り扱うための指針を示すものである。」 ○御指摘の「企業のグローバル化が進む中で、内部通報制度におい ても、個人情報の越境的な取得という問題」については、今後の 業務の参考とさせていただきます。 15 Ⅰ3① ○現在、各企業は、コンプライアンス経営に取り組み、各々の業 ○本ガイドライン案には、「職場の管理者等(通報者等の直接又は 間接の上司等)に相談や通報が行われた場合に適正に対応される 本ガイドラインの目的 界・業容・規模・ステークホルダー等に応じて総合的に判断し ような透明性の高い職場環境を形成することが重要である。」 と性格 て、いわゆる内部通報制度を設け、公正で透明性の高い企業風土 (案Ⅱ1(4)⑥)ことを明記しており、また、「通報を事業者 の維持・向上に不断の努力を行っている。言うまでもなく、コン 内において適切に取り扱うための指針」(案Ⅰ3参照)とするも プライアンス経営は、各企業において、各企業の現状認識に基づ のであることも明記しておりますとおり、通常の職制を通じた相 き、真摯な検討を踏まえ、主体的に制度や仕組みを設け、これを 談・通報と内部通報制度は相互補完の関係にあると考えておりま 運用し、維持すべきものである。日々の企業の活動は、企業組 す。 織・マネジメントラインに従った統制の中で健全になされるべき もので、何らかの理由でその統制システムが健全に機能しない場 合、そのおそれがある場合に健全性を維持するため通報相談制度 ○なお、公益通報者保護法上の通報先の一つである「労務提供先」 には、代表者のほか、通報対象事実について権限を有する管理 が期待されるものであることの位置付けを明記していただきた 職、当該労働者の業務上の指揮監督に当たる上司等も含まれると い。 ころであり(「逐条解説 公益通報者保護法」(平成 28 年4月 消費者庁消費者制度課)P62 参照)、必ずしもヘルプライン等の 名称で各事業者が整備している通報窓口のみが内部通報制度の対 象として扱われるものではありません。 16 Ⅰ3① ○内容としてはおおむね妥当と考えるが、「社会経済全体の利益を ○本ガイドライン案における御指摘の記述は、公益通報者保護法第 1条の「この法律は、(中略)国民生活の安定及び社会経済の健 本ガイドラインの目的 確保するために」との部分は、「当該民間事業者の企業活動によ 全な発展に資することを目的とする。」を参照したものです。な と性格 り影響を受ける可能性のある個々人を含む社会経済全体の利益確 お、「社会経済全体」には、一般に個々人も含まれるものと考え 保または不利益を回避するために」としてはどうか。 ます。 【理由】 誰のための公益通報制度であるかという点につき、「社会経済全 体」という表現ではやや漠然としていて、最終的な法益の帰属主 体であるはずの個々人が視野に入っていないような印象を受ける ので、このような表現とすべきである。 17 Ⅰ3① ○内容としてはおおむね妥当と考えるが、「適切に取り扱うための ○御指摘の部分は、本ガイドライン案の性格等を述べた総論部分で あるため、詳細な内容には踏み込んでいませんが、ここでいう 本ガイドラインの目的 指針」との部分は、より具体的に「通報対象事実の適法性・妥当 「適切に取り扱う」という記載には、御指摘のような適切な調 と性格 性に関する問題点について真摯に調査・確認の上で、是正すべき 査・是正措置等を確保するための具体的な内容を詳しく記述した 点が発見された場合には早期に対応するとの適切な取扱いのため 各論部分(「Ⅱ3 調査・是正措置」以降)の趣旨が含まれるも の指針」としてはどうか。 のと考えます。 【理由】 6 「適切に取り扱う」という表現は、以前の「処理」よりは良いと 考えられるが、これも適切な取扱いとは何なのかという点が漠然 としてイメージできない。重要なのは、公益通報窓口が形式だけ 整備されても単なるクレーム対応による火消しの機能しか果たさ ないようでは公益通報者保護法の真の目的に反するのであり、真 摯な調査・確認・早期の是正が実施されるかどうかが重要である ことが明記されるべきである。 18 Ⅰ3① ○本ガイドラインの位置付けについて、意見募集の要領では、「各 ○御指摘の趣旨を踏まえ、各事業者において実効性のある取組を最 本ガイドラインの目的 民間事業者が自主的に取り組むことが推奨される事項を具体化・ も適切と考えられる方法で行っていただく観点から、「事業者が と性格 明確化したガイドライン」とされているが、ガイドライン本文中 自主的に取り組むことが推奨される事項を具体化・明確化」する において「推奨される事項の例を具体化・明確化したガイドライ ものである旨を追記することとしました。 ン」である旨を明記すべきである。 <修正前>「本ガイドラインは、公益通報者保護法を踏まえて、 事業者のコンプライアンス経営への取組を強化し、社会経済全 体の利益を確保するために、従業員等からの法令違反等の早期 発見・未然防止に資する通報を事業者内において適切に取り扱 うための指針を示すものである。」 <修正後>「本ガイドラインは、公益通報者保護法を踏まえて、 事業者のコンプライアンス経営への取組を強化し、社会経済全 体の利益を確保するために、事業者が自主的に取り組むことが 推奨される事項を具体化・明確化し、従業員等からの法令違反 等の早期発見・未然防止に資する通報を事業者内において適切 に取り扱うための指針を示すものである。」 19 Ⅰ3① ○創意工夫を通じて事業者が柔軟に内部通報制度を整備・運用でき ○本ガイドライン案は「各事業者の規模や業種・業態等の実情に応 本ガイドラインの目的 ることを一層明確化すべきである。 じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではない旨を明記して と性格 おり(案Ⅰ3参照)、御指摘の趣旨は十分明確にされているもの と考えます。 20 Ⅰ3① ○本ガイドラインを企業の自律的対応を促すためのベストプラクテ ○「妨げるものではない」は、各事業者の自主性を認める趣旨であ り、また、本ガイドライン案が「事業者が自主的に取り組むこと 本ガイドラインの目的 ィスの例示と位置付けるべく、「妨げるものではない」というネ が推奨される事項を具体的に提示し」たものであることを明記す と性格 ガティブな表現を改め、「各事業者が本ガイドラインを参照しな ることとしましたので、当該記載に、御指摘の趣旨は反映されて がら、その業種・業態・規模・自社の状況等の実情に応じた適切 いるものと考えます。 な取組みを自律的・主体的に行うことが望まれる」等とし、企業 の自律的・主体的な対応こそがコンプライアンス経営に資するこ とを明確にすべきである。 21 Ⅰ3① ○やや表現が漠然としていて真意が伝わりにくいと考える。「な ○御指摘の趣旨は、「Ⅰ3 本ガイドラインの目的と性格」におい お、本ガイドラインは、各事業者の規模や業種・業態等の実情に て明示されているものと考えます。 7 本ガイドラインの目的 と性格 応じた現実的に可能な範囲の最善の取組を行うことを求めるもの であり、他方、大規模事業者等、より高度な取組が現実的に可能 である場合には、各事業者において一層充実した通報対応の仕組 を整備・運用することを妨げるものではない。」との表現に修正 すべきである。 【理由】 ① 実効性のあるコンプライアンスシステムの構築には、相応の 資金と人的資源の投入及び個々の事案の法的評価を含む知見の 集積を必要とするものであり、各事業者の規模や実態により、 現実的に構築可能な体制の水準は異なって来ることはやむを得 ない。現実的に不可能なレベルの体制整備を求めても、それは 本ガイドラインの実効性を低下させるだけである。そこで「事 業者規模等の実情に応じた体制整備」を求めると共に、しかし 可能な範囲であれば妥協してはならない、ということを明示す べきである。この部分は、こちらに重点をおくべきである。 ② 他方、資金・人手・知見の集積があり、より高度な体制整備 が可能な大手事業者においては、最低限求められる本ガイドラ インのレベルではなく、それ以上の公益通報制度の体制構築を 求めるべきである。 22 Ⅰ3① ○当会では、かねてより、企業行動憲章実行の手引きを作成し、社 (前段について) 本ガイドラインの目的 内の内部通報制度が企業のリスク管理に有効であるとの認識の ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 と性格 下、その積極的な整備・活用を会員に呼び掛けてきた。今回消費 者庁から示された本ガイドライン案は、「Ⅰ.内部通報制度の意 (後段について) 義等」において、実効性のある内部通報制度を整備・運用するこ ○本ガイドライン案は「各事業者において一層充実した通報対応の 仕組みを整備・運用することや各事業者の規模や業種・業態等の とは、組織の自浄作用の向上やコンプライアンス経営の推進に寄 実情に応じた適切な取組」を行うことを妨げるものではない旨を 与し、企業の価値向上や持続的発展につながるとしており、我々 明記しており(案Ⅰ3参照)、画一的・硬直的な制度の整備・運 の考え方と軌を一にするものである。 用を求めるものではありません。 実効性のある内部通報制度の整備・運用は、事業者の業態、提起 される事案に応じて様々である。画一的・硬直的な制度の整備・ 運用は、かえって実効性を削ぐこととなる。 23 Ⅱ1(1)① (仕組みの整備) ○おおむね妥当と考えるが、「調査」は「事実調査・原因究明」と ○本ガイドライン案における「調査」には、調査に引き続いて実施 される是正措置や再発防止策を適切に講じるために必要な原因究 すべきである。また、「経営幹部の役割」は「経営幹部の役割と 明も含まれるものと考えます。 権限」とすべきである。 【理由】 ① 当該通報対象事実の「調査」は、当然に必要であるが、単な ○また、内部規程において明文化されるべき「経営幹部の役割」に は、その役割を果たすために必要な「権限」も含むものと考えま る個別事案の事実調査だけに止まるのであれば、それは将来的 す。 な「再発防止」に有効には結び付かない。一定時点において何 らかの不祥事が発生したということは、一定のリスク要因に対 8 応できていない「社内システムの欠陥」が存在するということ を意味し、当該リスク要因に対応してシステムの穴を塞ぐシス テム改善が実施されなければ将来的な再発防止につながらな い。したがって、コンプライアンスの観点からの「調査」と は、事実調査を踏まえた「リスク要因」の洗い出しと特定、即 ち「原因究明」が必要である。これは、COSOの5つの構成 要素の中の「リスクの評価」の局面の問題である。 ② コンプライアンスシステムが真に有効に機能するためには、 その役割を担当する者に対して明確かつ強固な遂行権限が付与 されることが必要である。その意味において、公益通報から再 発防止に至る一連の過程の担当者として経営幹部の中の一人を 指名し、かつその担当する役割を内部規定等によって明文化す ることは有用である。4 しかし、「役割」の明示に止まらず、 実効性のある再発防止策の策定・改善を実施する経営幹部の 「権限」まで明定されている必要がある。この再発防止策の策 定は、COSOの5つの構成要素の中の「統制活動」の局面の 問題である。 24 Ⅱ1(1)② (通報窓口の整備) ○内容については適切であり、異論は無い。しかし、もう少し具体 ○御指摘のような周知の在り方の詳細については、別の項目(案Ⅱ 1(4)⑤)に記載があります。 的に周知の方法を例示すべきである。例えば、社内のホームペー ジに表示する、週報や全社員向けメール等の全社員の目に触れる 媒体に掲載する、社員証等の裏面に掲載する等が考えられる。 【理由】 社内のヘルプラインや外部通報相談窓口等の連絡先が、全社員に 対して継続的に周知されることが、公益通報制度が有効に機能す るための大前提である。 25 Ⅱ1(1)③ (通報窓口の拡充) ○通報窓口の拡充として、第一に事業者の外部に通報窓口を設置す ○御指摘の「通報窓口の拡充」の二つ前の項目である「仕組みの整 ることを示すことは、外部窓口が内部窓口よりも一律に優れてい 備」や一つ前の項目である「通報窓口の整備」は、基本的に事業 るとの誤解を与えるものである。各事業者にとって最善の通報窓 者内部の窓口を念頭に置いた記述であり、「第一に事業者の外部 口の設置が検討されるべきであるという原則論が明示されるべき に通報窓口を設置することを示す」ことはしておりません。 である。 ○また、平成 17 年に公表した現行の民間事業者向けガイドラインに おいても、法律事務所等の事業者外部への窓口の整備について、 本ガイドライン案と同様の構成・順序で掲げておりますが、誤解 を招いたケースは特段ないものと認識しております。 26 Ⅱ1(1)③ (通報窓口の拡充) ○コスト面にも配慮する必要があり、外部窓口の設置が必須ではな ○本ガイドライン案は、「経営上のリスクに係る情報を把握する機 いことが明記されるべきである。 会の拡充に努めることが適当である」(案Ⅱ1(1)③)として いるに止まり、「各事業者の規模や業種・業態等の実情に応じた 9 適切な取組を行うこと」を妨げるものではないため(案Ⅰ3②参 照)、御指摘の点にも配慮しているものと考えます。 27 Ⅱ1(1)③ (通報窓口の拡充) ○労働組合を通報窓口として指定した場合について、通報に対する ○一般に、「不当労働行為にならないための基準」については、労 事業者の対応が不当労働行為にならないための基準が示されるべ 働組合法の条文及びこれを所管する官庁の有権解釈等において明 きである。 らかにされるべきものと考えます。 28 Ⅱ1(1)③ (通報窓口の拡充) ○各国で法制度等が異なる中、グローバル企業においては、グルー ○本ガイドライン案は、「経営上のリスクに係る情報を把握する機 プ企業共通の一元的な窓口を設けることは困難であり、グループ 会の拡充に努めることが適当である」(案Ⅱ1(1)③)として 企業共通の一元的な窓口の設置が必須ではないことが明記される いるにとどまり、また、「各事業者の規模や業種・業態等の実情 べきである。 に応じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではないことを明 記しております(案Ⅰ3②参照)。 29 Ⅱ1(1)③ (通報窓口の拡充) ○事業者団体や同業者組合等の関係事業者共通の窓口を設置するこ ○本ガイドライン案は、「経営上のリスクに係る情報を把握する機 会の拡充に努めることが適当である」(案Ⅱ1(1)③)として とは、内部又は外部窓口の設置が困難な場合には適当であるが、 いるにとどまり、また、「各事業者の規模や業種・業態等の実情 既に内部又は外部窓口が設置されている事業者が新たにこれらの に応じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではないことを明 窓口を設けることは、屋上屋を重ねるものであり、不適切であ 記しております(案Ⅰ3②参照)。 る。これらの窓口の設置が必須ではないことが明記されるべきで ある。 ○「国民生活の安全・安心を大きく損なうような近時の企業不祥事 において、 ・約1年間、経営陣への情報の伝達が遅れており、その間、複数 の従業員が問題行為の疑いについて把握していたにもかかわら ず、内部通報制度を利用した者はいなかった事案 ・会社のコンプライアンスに対する姿勢について、社員の信頼が 得られていないこと等から内部通報制度による自浄作用が働か なかった事案 ・経営層自身が隠ぺいを指示又は承認するという状況で、内部通 報制度が機能せず、不正が継続していた事案 など内部通報制度が機能せず事業者内部に通報しても問題の是正 が期待できないと思われる事案が散見される。」(「公益通報者 保護制度の実効性の向上に関する検討会」第1次報告書(平成 28 年3月)P3)ことにも鑑みると、「事業者団体や同業者組合等 の関係事業者共通の窓口を設置すること」は、一般的な内部窓口 又は外部窓口が設置されている場合においても意味があるものと 考えます。 30 Ⅱ1(1)③ (通報窓口の拡充) ○これらがあくまで例示の趣旨であれば、「機会の拡充に努めるこ ○「経営上のリスクに係る情報を把握する機会の拡充に努めるこ とが適当である」ではなく、現行ガイドラインの表現と同様に、 と」については「適当である」と考えます。 「(機会の拡充を図ること)も可能である」等とすべきである。 10 企業の実情に応じて個別に判断されるべきものであるからであ ○「経営上のリスクに係る情報を把握する機会の拡充に努める」方 る。 法については、本ガイドライン案にもいくつかの例を掲げており ますが、「各事業者の規模や業種・業態等の実情に応じた適切な 取組を行うこと」を妨げる趣旨ではありません(案Ⅰ3② 参 照)。 ○御指摘にもあるとおり、通報窓口には多様なものが考えられるこ とから、「例えば」を追記することとしました。 <修正前>「通報窓口を設置する場合には、以下のような措置を 講じ、経営上のリスクに係る情報を把握する機会の拡充に努め ることが適当である。」 <修正後>「通報窓口を設置する場合には、例えば、以下のよう な措置を講じ、経営上のリスクに係る情報を把握する機会の拡 充に努めることが適当である。」 31 Ⅱ1(1)③ (通報窓口の拡充) ○弁護士以外の者を担当者として通報窓口を設置する場合、担当者 ○一般に、「弁護士以外の者を担当者として通報窓口を設置」した が弁護士法(第 23 条)の適用を受けない旨を明示すべきである。 場合に、当該弁護士以外の担当者が弁護士法第 23 条の「弁護士又 は弁護士であった者」として同法の適用を受けるかの解釈につい ては、同法の条文及びこれを所管する官庁の有権解釈等において 明らかにされるべきものと考えます。 32 Ⅱ1(1)③ (通報窓口の拡充) ○様々な通報窓口の例示を提示するのは良いが、そのような通報窓 ○外部窓口における秘密保持等については、「外部窓口担当者の秘 密保持」(案Ⅲ1(2)②)、「外部窓口の評価・改善」(案Ⅲ 口受託機関の属性及び委託条件については一定の制約が存在する 1(2)③)、「違反者に対する措置」(Ⅲ2②)等によって担 ことを併せて明示すべきである。 保されるものと考えます。 ① 通報者からの相談ないし正規に受理した通報については、弁 護士と同等の水準で守秘義務を厳守すると共に、個人情報保護 に対する配慮が可能であること。 ② 組織内において公益通報を取り扱う担当部門以外には情報を 漏洩することがないこと。 ③ 受け付けた相談ないし通報については、確実に上記担当部門 に伝達されること。 ④ 事業者団体や同業者組合等において共通窓口を設置する場合 には、継続的な競業関係を有する所属事業者相互間の利益相反 関係や企業機密の保護等に留意し、その観点からも秘密を厳守 が図られるべきこと。 【理由】 11 通報窓口設置に際しては、上記のような諸条件を整えることが、 通報者保護を通じた同制度の健全な発展のためには必須と考えら れる。 33 Ⅱ1(1)③ (通報窓口の拡充) ○中小事業者等に関する共同通報窓口制度の具体的検討・示唆な ○御意見については、今後の業務の参考とさせていただきます。 ど、もう一歩突っ込んだ事例の提供なども今後の課題と考える。 34 Ⅱ1(1)③ (通報窓口の拡充) ○経営上のリスクに係る情報を把握する機会を拡充する方策とし ○「経営上のリスクに係る情報を把握する機会の拡充に努める」方 法については、本ガイドライン案にも幾つかの例を掲げておりま て、必ずしも外部窓口の設置が必要とは限らず、調査は社内組織 すが、「各事業者の規模や業種・業態等の実情に応じた適切な取 で行う必要があることを踏まえれば社内窓口の充実を図ることも 組を行うこと」を妨げる趣旨ではありません(案Ⅰ3②参照)。 十分考えられる。 ○また、列挙された外部の通報窓口が以下の通り必ずしも適切でな ○御指摘にもあるとおり、通報窓口には多様なものが考えられるこ とから、「例えば」を追記することとしました。 いケースもある。「以下のような措置」を講じることが「適当で ある」とすべきではなく、例示である旨を徹底すべきである。 <修正前>「通報窓口を設置する場合には、以下のような措置を (1)労働組合:通報窓口の設置は、労働組合の自治に委ねられる 講じ、経営上のリスクに係る情報を把握する機会の拡充に努め べきものであり、事業者側の対応としてガイドラインに例示する ることが適当である。」 のには適さないため、削除すべきである。 (2)グループ企業共通の窓口:マイナーな出資者がある場合には <修正後>「通報窓口を設置する場合には、例えば、以下のよう 守秘義務が問題となり得る。また、特に海外に拠点を有する事業 者にとっては、他国の法制度に違反する可能性もある。 な措置を講じ、経営上のリスクに係る情報を把握する機会の拡 (3)事業者団体や同業者組合等の関係事業者共通の窓口:個々の 充に努めることが適当である。」 事業者の問題について通報を受けることは、基本的に事業者団体 や同業者組合等の目的に合致せず、適切なリソースがあるとも考 ○なお、労働組合については、本ガイドライン案において「労働組 えにくいことから、削除すべきである。 合を通報窓口として指定する」と記述しているとおり、公益通報 者保護法第2条第1項柱書の規定に基づいて労務提供先(事業 ○「グループ企業」にどういった企業が含まれるのか不明である。 者)が労働組合を事業者内部への通報先の一つとして(必要な調 <修正案> 整等を経た上で)「あらかじめ定め」ることを念頭に置いたもの ○ 通報窓口を設置する場合には、例えば、必要に応じ、以下の であり、御指摘のような問題は生じないものと考えます。 ような措置を講じ、経営上のリスクに係る情報を把握する機会 の拡充に努めることが適当である。 ○また、グループ企業共通の窓口についても、御指摘のような他国 ➢ 顧問弁護士等の法律事務所や民間の専門機関等に委託する の法制度との関係で問題があるような場合にまで、その設置を求 (中小企業の場合には、何社かが共同して委託することも考 めるものではありません(案Ⅰ3参照)。なお、「グループ企 えられる)等、事業者の外部に設置すること 業」の範囲については、例えば、各事業者のウェブサイト等にお ➢ グループ企業共通の一元的な窓口を設置すること いて、一般に「グループ企業一覧」、「関連会社一覧」等として ➢ 対象としている通報内容や通報者の範囲、個人情報の保護 掲げられているものが該当するものと考えます。 の程度等を確認の上、既存の通報窓口を充実させて活用する こと ○さらに、事業者団体や同業者組合等の関係事業者共通の窓口につ いては、当該団体等の目的に合致する場合や適切なリソースを有 12 する場合もあるものと考えます。なお、現に事業者団体共通の窓 口を整備している例も存在しているものと認識しております。 35 Ⅱ1(1)④ ○サプライチェーンと企業グループとを区別すべきである。その上 で、サプライチェーンについての記載は削除すべきである。サプ (サプライチェーン等 ライチェーンのような企業間において相手先に内部通報制度の整 の関係事業者全体にお ける実効性の向上) 備・運用状況を確認・評価し、助言・支援することは現実的では なく、また、グローバル化に伴いサプライチェーンが世界中に散 在しており、各国において異なる内部通報制度・考え方がある 中、日本の枠組みで助言・支援することは不可能であるばかりか 有害でありさえする。結果的に、企業間で形式的なアンケート用 紙が飛び交うだけになることが懸念される。他方、企業グループ においては、会社法上の内部統制の観点から、助言・支援ではな く、「企業グループ全体で取り組むことが望ましい」といった記 載をすべきである(なお、念のためであるが、サプライチェーン という用語を用いるのであればその定義を明確にするとともに、 消費者が含まれない旨を記載すべきである。また、ここでいう内 部通報制度が、公益通報者保護法第3条第3項の要件を充足した 公益通報が対象なのか、異なる意図で記載されているのかも明確 にすべきである)。 ○CSR調達等の一環として、サプライヤーの取組状況を確認等 し、必要に応じた支援等を行っている事業者は既に存在している ことに鑑みると、現実的なものであると考えます。 ○本ガイドライン案に含まれている事項の趣旨は、特定の国や地域 固有のものではなく、普遍性を有するものであると考えておりま す。また、本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業種・業態 等の実情に応じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではあり ません(案Ⅰ3②)。なお、各事業者には、御指摘のような事態 に至らないための積極的な工夫が期待されます。 ○会社法上の内部統制の観点からすると、なぜ、企業グループにお いては、助言・支援ではなく、企業グループ全体で取り組むこと が望ましいといった記載をすべきなのかが明らかではないため、 原案を維持したいと考えます。 ○サプライチェーンとは、一般に消費者に至るまでの一連の流通プ ロセスをいうものと認識しております(租税特別措置法施行規則 (昭和 32 年大蔵省令第 15 号)第 22 条の 10 の5参照)。 なお、「サプライチェーン(中略)全体におけるコンプライアン ス経営を推進するため、関係会社・取引先を含めた内部通報制度 を整備する」(案Ⅱ1(1)④)という記述からは、本ガイドラ イン案の対象は事業者であることは明らかであると考えます。 ○なお、御指摘の趣旨も踏まえ、企業間の連携には様々なものが考 えられること等から、表題から「サプライチェーン等の」を削除 するとともに、本文も下記のとおり修文することとしました。 <修正前>「(サプライチェーン等の関係事業者全体における実 効性の向上)」 <修正後>「(関係事業者全体における実効性の向上)」 <修正前>「サプライチェーンや企業グループ全体における (略)」 13 <修正後>「企業グループ全体やサプライチェーン等における (略)」 ○公益通報者保護法には、第3条第3項の規定はありません。な お、経営上のリスクに係る情報を把握する機会を拡充する観点か らは、通報者等の範囲を拡充することが適当であると考えられる ことから、本ガイドライン案においては、必ずしも公益通報者保 護法の要件を満たした公益通報だけを念頭に置いているものでは ありません。 36 Ⅱ1(1)④ ○適切と考えられ、賛成である。 (サプライチェーン等 の関係事業者全体にお ける実効性の向上) ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 37 Ⅱ1(1)④ ○関係会社・取引先との関係性は、各事業者・相手方により様々で ○本ガイドライン案は「各事業者の規模や業種・業態等の実情に応 じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではないことを「本ガ (サプライチェーン等 あり、上記のような対応を、「適当である」と評価し、求めるこ イドラインの目的と性格」において明記しております(案Ⅰ3② の関係事業者全体にお とは現実に即していない。関係会社・取引先の内部通報制度の整 参照)。 ける実効性の向上) 備は、まずは、関係会社・取引先自身が行うべきことであり、そ の整備、整備・運用状況の定期的な確認・評価、必要に応じた助 言・支援を全ての事業者に求めるかのような記述は修正すべきで ○「企業グループ」や「関係会社」の範囲については、例えば、各 事業者のウェブサイト等において「グループ会社一覧」、「関係 ある。 会社一覧」等として揚げられているものが該当するものと考えま す。 ○「企業グループ」「関係会社」にどういった企業が含まれるのか 不明である。 ○なお、御指摘の趣旨を踏まえ、コンプライアンス経営を推進する ための方策には多様なものが考えられることから、「例えば」を <修正案> 追記することとしました。 ○ サプライチェーンや企業グループ(定義を明確化)全体におけ るコンプライアンス経営を推進するため、関係会社(定義を明 <修正前>「(略)コンプライアンス経営を推進するため、関係 確化)・取引先を含めた内部通報制度を整備することや、関係 会社○取引先を含めた内部通報制度を整備する(略)」 会社・取引先における内部通報制度の整備・運用状況を定期的 に確認・評価した上で、必要に応じ助言・支援をすること等を <修正後>「(略)コンプライアンス経営を推進するため、例え 検討することも考えられる。 ば、関係会社○取引先を含めた内部通報制度を整備する (略)」 38 Ⅱ1(1)⑤ ○通報窓口の利用者の範囲を従業員(契約社員、パートタイマー、 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 (通報窓口の利用者等 アルバイト、派遣社員を含む)のほか役員、子会社・取引先の従 の範囲の拡充) 業員、退職者等と広げられ、明確にされたことを歓迎する。これ まで相談窓口に退職者やパートタイマーからの相談がかなりあ り、的確な対応ができなかったので今回の設定は歓迎する。 14 39 Ⅱ1(1)⑤ ○公益通報者保護法を超える通報窓口の利用者の範囲を拡充するこ ○取引先にも関わりのある内部規程違反等であって、当該規程が社 外秘として扱われていない場合には、リスクに係る情報の早期把 (通報窓口の利用者等 と、特に取引先の従業員に対し、法令違反のほか内部規程違反を 握につながることが想定されます。そのような規程としては、例 の範囲の拡充) 理由とした通報を認めることが、リスクに係る情報の早期把握に えば、「贈収賄防止指針」、「コンプライアンス・マニュ ア つながるとは想定できない。取引先の従業員は、その取引先(通 ル」、「企業倫理ガイドライン」、「コンプライアンス憲章」等 報先)の内部規程(そのほとんどが社外秘として扱われているも の名称で現に各事業者のウェブサイトで公開されている各事業者 のと思われる)違反について確認することができないのであるか の規程が該当するものと考えられます。 ら、不確かな通報が増加し、リスクに係る適切な情報の把握につ ながらない。取引先の従業員を通報窓口の利用者の範囲に含むと する場合、内部規程違反は通報対象となる事項の範囲に含まれな いことを明確にすべきである。 40 Ⅱ1(1)⑤ ○適切と考えられ、賛成である。 (通報窓口の利用者等 の範囲の拡充) 41 Ⅱ1(1)⑤ ○通報窓口の利用者の範囲に役員を含めることについては、従業員 ○消費者庁の調査(平成 24 年度「民間事業者における通報処理制度 (通報窓口の利用者等 が通報窓口となった場合、実際に役員がこれを利用することは考 の実態調査報告書」P35)によれば、45.3%の事業者が取締役を の範囲の拡充) え難いものと思われる。今後、役員を対象とした通報窓口の設置 内部通報制度における通報者の範囲に含めております。 例等を示す予定はあるか。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 ○第4回「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」第 1次報告書(平成 28 年3月)参考資料「参考2 ガイドラインの 各条項に関連するヒアリング結果・内部規程の実例等」(P14) では、役員を通報者の範囲に含めている実際の企業の内部規程の 例を紹介しております。 42 Ⅱ1(1)⑤ ○通報範囲の拡充を促していますが、通報数の増大に物理的に対応 ○御意見については、今後の業務の参考とさせていただきます。 (通報窓口の利用者等 できるかといった別の懸念が生じるため、どのように構築してい の範囲の拡充) くべきか、その方法を例示する必要があるのではないか。 43 Ⅱ1(1)⑤ ○海外からの通報(外国籍の労働者や海外子会社所属の労働者)に ○本ガイドライン案における「従業員」や「子会社」は、特にその (通報窓口の利用者等 ついては明記されていない。もし、公益通報者保護法の構造上、 国籍等を限定する趣旨ではありません。なお、通報窓口の利用者 の範囲の拡充) 海外通報を対象とできない物理的な要因がある等の明確な理由が 等の範囲の拡充に関しても、「各事業者の規模や業種・業態等の 実情に応じた適切な取組を行うこと」(案Ⅰ3②)が適当である ないなら、対象として明記することも検討されてよいのではない か。 と考えます。 44 Ⅱ1(1)⑤ ○内部通報窓口の利用者及び通報対象となる事項の範囲は、経営上 ○例えば、「業容・業態にあわせ、利用対象者を従業員やそれらの 家族、グループ企業や協力会社の従業員や家族、取引先などに、 (通報窓口の利用者等 のリスクの早期把握の機会の拡大の観点に加え、制度の実効的・ 適宜拡大する」(出典:「企業行動憲章実行の手引き(第 6 の範囲の拡充) 効率的な運営の観点からも決定されるべき事項である。実効的・ 版)」(日本経済団体連合会)P76)ことは、通報窓口の利用者 効率的運営の観点からは、一定程度責任ある立場からの通報に限 等の範囲を可能な限り広げるに当たっての一つの考え方を示した ることも重要であり、一律に「可能な限り広げることが適当であ ものと考えます。 15 る」とすべきではない。「拡充することも考えられる」とすべき である。 ○なお、御指摘のとおり、経営上のリスクに係る情報の早期把握の 機会を拡充する方法には多様なものが考えられること、また、内 部通報窓口の利用者及び通報対象事実の範囲については各事業者 の実情に応じて適切に設定することが必要と考えられることか ら、下記のとおり修文することとしました。 <修正前>「(略)通報窓口の利用者及び通報対象となる事項の 範囲は、以下のように可能な限り広げることが適当である。」 <修正後>「(略)通報窓口の利用者及び通報対象となる事項の 範囲については、例えば、以下のように幅広く設定することが 適当である。」 45 Ⅱ1(1)⑤ ○公益通報者保護法は、公益通報の主体を「労働者」に限定し「通 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 (通報窓口の利用者等 報対象事実」を一定範囲の法律の刑罰法規違反等に限定している の範囲の拡充) が、改正ガイドライン案はこれらを限定せず可能な限り広げるこ とが適当としており(改正ガイドライン案P5以下「通報窓口の 利用者等の範囲の拡充」・新旧対照表P4「Ⅱ1(1)⑤」)、 同法を補完するものとなり得る。 46 Ⅱ1(1)⑥ (内部規程の整備) ○明記された時点で「十分」であると考えられ、評価が伴う「十分 に」という記載は削除すべきである。 ○「通報者の匿名性の確保の徹底」等については、単にこれらに係 る事項が明記されただけでは内部通報制度の実効性確保の観点か らは十分とは言えず、その内容が、本ガイドライン案等の趣旨を 踏まえ、内部通報制度の実効性の観点から、必要な事項が十分に 記載されているかが重要であると考えます。 47 Ⅱ1(1)⑥ (内部規程の整備) ○おおむね適切であるが、「解雇や不利益的取扱い」については、 ○御指摘につきましては、Ⅲ2②「解雇その他不利益な取扱いの禁 止」において、不利益な取扱いの具体的内容をより詳細に列記す より具体的に「解雇や退職勧奨、不合理な配転命令や出向・転 ることとしましたので、御指摘の趣旨は反映されているものと考 籍、パワーハラスメントの反復継続、不当かつ不合理な勤務成績 えます。 の評価、職場内における隔離、単純かつ無意味な業務の押し付 け、根拠の無い始末書作成の指示、精神的不安定や疲労を理由に 産業医への受診を指示する等を挙げるべきである。 【理由】 上記は全て公益通報者に対して行われ、民事裁判等において報告 されている現実の不利益的処遇の具体例であり、可能な限り同様 の事態が今後は発生しないように配慮されるべきである。 48 Ⅱ1(1)⑥ (内部規程の整備) ○以下文言を追記すべきと考える。 ○御指摘の、通報者が不利益な取扱いを受けた際の「救済・回復」 については、Ⅲ2①に第3項を設けて「通報等をしたことを理由 16 ○内部規程に通報対応の仕組みについて規定し、特に、通報者に 対する解雇や不利益取扱いの禁止、通報者の匿名性の確保の徹 底、また不利益な取扱いを受けた通報者等に対する救済・回復 に係る事項については、十分に明記することが必要である。 【理由】 「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」第1次報 告書(平成 28 年3月)P7に記載の「不利益な取扱いを受けた者 に対する救済・回復措置」を的確に反映する観点から、不利益取 扱いの禁止だけではなく、通報者が不利益取扱いを受けた際の 「救済・回復」についても、ガイドラインに明記すべきと考える。 そのことが、通報者の安心、内部通報制度の活用促進に寄与する ことに加え、本来発生させてはならない不利益取扱いが生じてし まった際の通報者保護にもつながる。 また、Ⅳ1通報者等に係るフォローアップには、「不利益取扱い が認められる場合には、経営幹部が責任を持って救済・回復する ための適切な措置を講じることが必要」と記載されているが、不 利益取扱いが発生してからでは遅く、未然に防止する観点から も、「救済・回復」に係る事項を予め内部規程に明記すべきと考 える。 49 Ⅱ1(1)⑥ (内部規程の整備) として、通報者等が解雇その他不利益な取扱いを受けたことが判 明した場合、適切な救済・回復の措置を講じることが必要であ る。」の一文を追記することとしました。 ○「十分に明記」とあるが、「十分に」とはどの程度具体的に記載 ○「通報者の匿名性の確保の徹底」等については、単にこれらに係 る事項が明記されただけでは内部通報制度の実効性確保の観点か することを求めているのか不明である。「明記」で足りると考え らは十分とは言えず、その内容が、本ガイドライン案等の趣旨を る。 踏まえ、内部通報制度の実効性の観点から、必要な事項が十分に 記載されているかが重要であると考えます。 ○明記に当たっては、通報に関する調査・対応において、通報者が 分からないようにすることが困難又は馴染まないものもあり、実 務的には通報者の同意を取りながら調査・対応を進めることとな ○なお、何をもって十分というかは、個々の事業者ごとに異なると 思われますが、例えば、不利益な取扱いの禁止については、想定 る。更に、通報が公益に関する問題である場合には、結果として される不利益な取扱いの具体的内容(配転、降格、減給等)を規 公表する場合もあることに留意すべきである。 定する、通報者の匿名性の確保については、守秘義務の徹底の具 体的内容(案Ⅲ1(1)参照)を規定する、違反者に対する措置 (案Ⅲ2参照)を明確に規定するなどの対応がなされていれば、 十分に明記されている場合に当たり得るものと考えます。 ○個別の事案によっては、通報者が分からないようにすることが困 難な場合もあるものと思われますが、その場合であっても、例え ば、本ガイドライン案における「調査実施における秘密保持」 (案Ⅲ1(4)①)に掲げた以下のような工夫を講じること等に よって、調査の端緒が通報であることを関係者に認識させないよ うできる限り努めることが重要であると考えます。 17 ・定期監査と合わせて調査を行う ・抜き打ちの監査を装う ・該当部署以外の部署にもダミーの調査を行う ・核心部分ではなく周辺部分から調査を開始する ・組織内のコンプライアンスの状況に関する匿名のアンケート を、全ての従業員を対象に定期的に行う 50 Ⅱ1(2) ○社外取締役や監査役への通報ルートを記載することは、社外取締 ○会社法(平成 17 年法律第 86 号)第 362 条第4項第6号及び会社 法施行規則(平成 18 年法務省令第 12 号)第 100 条第3項第4号 経営幹部から独立性を 役・監査役の本来的な任務ではないものを例示するものであり、 イは、「取締役及び会計参与並びに使用人が当該監査役設置会社 有する通報ルート 不適切である(社外取締役・監査役の負担を増加させるものであ の監査役に報告をするための体制」の整備を求めており、また、 り、選任を困難にする可能性もある)。また、非上場企業におい コーポレートガバナンス・コード(平成 27 年6月1日 東京証券 ては、そもそも選任されていない企業も多く、例示として不適切 取引所)補充原則2-5①は、「内部通報に係る体制整備の一環 である。コーポレートガバナンス・コードにも類似の規定があり として、経営陣から独立した窓口の設置(例えば、社外取締役と (補充原則2-5①)、対象会社については同コードにより対応 監査役による合議体を窓口とする等)を行うべき」としているこ すれば足り、「社外取締役や監査役等への通報ルート等」は本ガ と等に鑑みると、「社外取締役や監査役の本来的な任務ではな イドラインにおいては、削除するか、任意に整備することも考え い」という御指摘は当たらないと考えます。 られるといった例示とすべきである。 ○また、「経営層が関与する不正の通報を受けた場合の対応方法と しては、監査役等への報告が考えられます」、「外部の弁護士等 の専門家をメンバーに加えたコンプライアンス委員会を設置して おき、この委員会の指示には経営層といえども従わせるようなル ールにしておくことも考えられます」といった指摘もあると承知 しております(出典:「内部通報制度ガイドライン」(経営法友 会法務ガイドブック等作成委員会編)P40)。 ○さらに、本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業種・業態等 の実情に応じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではないこ とを明記しております(案Ⅰ3)。 ○なお、経営幹部からも独立性を有する通報受付・調査是正の仕組 みを整備するための方策には多様なものが考えられることから、 「例えば」を追記することとしました。 <修正前>「コンプライアンス経営の徹底を図るため、通常の通 報対応の仕組みのほか、社外取締役や監査役等への通報ルート 等、経営幹部からも独立性を有する通報受付・調査是正の仕組 みを整備することが適当である。」 18 <修正後>「コンプライアンス経営の徹底を図るため、通常の通 報対応の仕組みのほか、例えば、社外取締役や監査役等への通 報ルート等、経営幹部からも独立性を有する通報受付・調査是 正の仕組みを整備することが適当である。」 51 Ⅱ1(2) ○適切な内容であり、賛成する。ただし、その独立機関に対する通 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 経営幹部から独立性を 報が、取締役会において報告されても、重要な問題であるにもか 有する通報ルート かわらず必要な調査・検討・是正措置が適切に実施されないよう ○なお、本ガイドライン案は、「内部規程に通報対応の仕組みにつ いて規定」することの必要性について明記しており(案Ⅱ 1 な場合の対応(例えば、監督行政機関への報告、臨時株主総会の (1)⑥)、当該仕組みには、調査・是正措置等の実効性を確保 招集と報告等)についても、内部規程等に明確に規定されること するための仕組みも含まれるものと考えます。 が望ましい。 【理由】 社外取締役・監査役以外の代表者並びに役員らの多数が不適切な 業務処理を確信犯的に継続しているような場合の緊急対応措置の 方途も必要である。この点は、COSOの5つの要素のうち、 「モニタリング活動」の局面に相当する。 52 ○本ガイドライン案は「事業者のコンプライアンス経営への取組を Ⅱ1(2) ○以下文言を追記すべきと考える。 強化し、(中略)従業員等からの法令違反等の早期発見・未然防 経営幹部から独立性を ○経営層自身が隠ぺいを指示又は承認するという状況で、内部通 止に資する通報を事業者内において適切に取り扱うための指針を 有する通報ルート 報制度が機能せず、不正が継続していた事案も見られる。コン 示すもの」(案Ⅰ3①)であるため、指針として必要な限度の記 プライアンス経営の徹底を図るため、通常の通報対応の仕組み 載にとどめております。 のほか、社外取締役や監査役等への通報ルート等、経営幹部か らも独立性を有する通報受付・調査是正の仕組みを整備するこ とが適当である。 【理由】 「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」第1次報 告書(平成 28 年3月)P3では「経営層自身が隠ぺいを指示又は 承認するという状況で、内部通報制度が機能せず、不正が継続し ていた事案」が紹介されている。経営幹部から独立性を有する通 報ルートを整備することは、隠蔽を未然に防止することにも有用 であることから、牽制効果的な意味合いも込め、上記文言を追記 すべきと考える。 53 ○「労働組合又は従業員過半数の代表者との協議等の仕組み」は Ⅱ1(2) ○以下文言を新たに追記すべきと考える。 「経営幹部から独立性を有する通報ルート」それ自体とは性質を 経営幹部から独立性を ○また、内部通報制度の実効性を確保するため、労働組合又は従 異にするものと考えます。 有する通報ルート 業員過半数の代表者との協議等の仕組みを整備することが適当 である。 ○なお、御指摘の趣旨に関しては「従業員の意見・要望を反映した 【理由】 り(中略)、従業員が安心して通報・相談ができる実効性の高い 「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」第1次報 仕組みを構築することが必要である」(案Ⅱ1(4)①)との記 告書(平成 28 年3月)P8に記載の「労働組合等、様々な通報ル 載に含まれているものと考えます。 19 ートを整備することが有用である」を的確に反映する観点から、 上記文言を新たに追記すべきと考える。 経営側だけでなく、従業員の代表たる労働組合や過半数代表者と の協議の場を設けることが、安心して通報ができる環境の整備、 従業員の意見が反映される仕組みの構築につながると考える。 54 Ⅱ1(2) ○「経営幹部からも独立性を有する通報受付・調査是正の仕組み」 ○近時の企業不祥事において、 ・経営トップの意向によって不適切な会計処理が行われている案 経営幹部から独立性を の整備に関しては、基本的には通常の通報対応の仕組みが適切に 件については、内部統制は全く機能していなかった事案 有する通報ルート 整備されていれば足りることから、「適当である」とまでする必 ・経営層自身が隠ぺいを指示又は承認するという状況で、内部通 要はない。「整備することも考えられる」とすべきである。 報制度が機能せず、不正が継続していた事案 等が発生していることにも鑑みると(「公益通報者保護制度の実 ○また、「経営幹部からも独立性を有する通報受付・調査是正の仕 効性の向上に関する検討会」第1次報告書(平成 28 年3月)P3 組み」には、外部の法律事務所(顧問弁護士事務所を含む。)や 参照)、「基本的には通常の通報対応の仕組みが適切に整備され 民間の専門機関等が含まれる旨を明記すべきである。 ていれば足りる」とは言えないと考えます。 ○さらに、例として社外取締役が挙げられているが、従業員等が社 外取締役に直接連絡できる環境を整備し社外取締役がこれに対応 ○前掲の事案のような問題に対処するためには、御指摘のような 「外部の法律事務所や民間の専門機関等」が、経営幹部から独立 することは、違法行為抑止のみならず収益力の向上も含めた観点 性を有していることが重要であるといえます。 から、業務執行を監視・監督(モニタリング)する役割を担う社 外取締役に対し、違法行為抑止に関する業務執行を特別に担わせ ることとなる。社外取締役に過度な負担を課すことになるものと ○さらに、コーポレートガバナンス・コード(平成 27 年6月1日 東京証券取引所)補充原則2-5①は、「内部通報に係る体制整 考えられ、削除すべきである。 備の一環として、経営陣から独立した窓口の設置(例えば、社外 取締役と監査役による合議体を窓口とする等)を行うべき」とし ていること等に鑑みると、社外取締役の重要な役割の一つに当た り得るものと考えます。なお、社外取締役や監査役等に対する具 体的な通報の仕方としては、円滑な運用を図る観点から、当該社 外取締役や監査役を補助する職員を通じて行うなどの方法も考え られます。 ○なお、本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業種・業態等の 実情に応じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではありませ ん(案Ⅰ3)。 ○また、経営幹部からも独立性を有する通報受付・調査是正の仕組 みを整備するための方策には多様なものが考えられることから、 「例えば」を追記することとしました。 <修正前>「コンプライアンス経営の徹底を図るため、通常の通 報対応の仕組みのほか、社外取締役や監査役等への通報ルート 20 等、経営幹部からも独立性を有する通報受付・調査是正の仕組 みを整備することが適当である。」 <修正後>「コンプライアンス経営の徹底を図るため、通常の通 報対応の仕組みのほか、例えば、社外取締役や監査役等への通 報ルート等、経営幹部からも独立性を有する通報受付・調査是 正の仕組みを整備することが適当である。」 55 Ⅱ1(3)① 利益相反関係の排除 ○本制度の信頼性及び実効性を確保するため、当然のことで、明文 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 化されたことを評価する。 56 Ⅱ1(3)① 利益相反関係の排除 ○利益相反関係排除の趣旨は理解し、適切と考えるが、論旨がうま ○調査担当者が担当する事案が当該担当者の不正等に関係するもの であってはならない、ということを意味したものですので、必ず く通っておらず、分かりにくい表現内容になっているため修正が しも「『調査担当者』が『調査』に関与してはならない」という 必要と考える。 ことにはならないと考えます。 【理由】 「受付担当者、調査担当者その他通報対応に従事する者」は、 「自らが関係する通報事案の調査・是正措置等に関与してはなら ○また、案Ⅱ1(3)①においては「経営幹部」は責任者となるべ きことを定めており、矛盾することはないと考えます。 ない。」とのことであるが、このままの文脈では、「調査担当 者」が「調査」に関与してはならないというおかしなことにな る。また、「Ⅱ1(1)①」においては、「経営幹部」が責任者 として調査から再発防止まで担当するとされているが、こちらと も矛盾するように読める。誤解を招かないように、より分かりや すい論旨の通った表現に修正すべきである。 57 Ⅱ1(3)① 利益相反関係の排除 ○「受付担当者、調査担当者その他通報対応に従事する者及び被通 ○現行ガイドライン及び本ガイドライン案において、被通報者と は、「その者が法令違反等を行った、行っている又は行おうとし 報者」は、「自らが関係する通報事案の調査・是正措置などに関 ていると通報された者」をいいますが、これらの者が当該違反等 与してはならない」とされているが、「被通報者」でない「受付 の調査に関与することは適切ではないと考えます。また、例え 担当者、調査担当者その他通報対応に従事する者」が関与しては ば、監督責任を問われる可能性のある被通報者の上司について ならない事案が具体的にどのようなものか不明である。現行ガイ は、調査・是正措置に関与することは適切ではないと考えられま ドラインと同じとし「被通報者」を削除すべきである。 す。さらに、例えば、通報対応の公正を確保するため、被通報者 の親族が調査・措置に関与することも適切ではないと考えます。 ○外部委託する場合に、社内の窓口と同様の意味で利益相反が起こ る可能性は想定しにくい(自ら関与した不正行為について通報が なされ、その対応を担当するといった例は外部委託する場合には ○一般に、社内窓口と外部委託先の窓口はその位置付けや性質を異 にするものであるため、利益相反の問題に関しても、それぞれの 想定しにくい)。他方、特定の不正行為等に着目するのではな 特性等に応じた手当ての必要性があるものと考えます。また、外 く、外部委託する業者と取引関係があるという構造そのものに着 部委託の場合における利益相反関係の問題に対処することの必要 目し、利益相反関係を懸念するのであれば、そもそも社内の内部 性は、社内窓口に係る記載の有無に左右される性質のものではな 通報制度についてもその構造に着目して利益相反関係を懸念しな いと考えます。 ければならなくなる。本ガイドライン案では、社内の内部通報制 度について、構造に着目した利益相反への懸念は示されていない 21 中、外部委託する場合のみ構造に着目して利益相反への懸念を記 ○いずれにしても、外部委託を行う場合には、委託先となる法律事務所 や民間の専門機関等の中立性・公正性及び利益相反関係の排除が 述することは整合性を欠く。 確保されることが重要であると考えます。 以上から、外部委託に係る利益相反等の記述は削除すべきであ る。 58 Ⅱ1(3)② 利益相反関係の排除 ○外部委託先として顧問弁護士の起用が必ずしも不適切ではないこ ○本ガイドライン案の記載は、「中立性・公正性に疑義が生じるお それ又は利益相反が生じるおそれがある法律事務所や民間の専門 とを明確にすべきである(起用を避けるべき場合を現実に利益相 機関等の起用は避けることが適当」(案Ⅱ1(3)①)というも 反が生じる場合に限定すべきである)。利益相反は、事案ごとに のにとどまり、特に顧問弁護士について一律に言及しているわけ 生じるものであり、顧問弁護士だからといって全ての事案につい ではありません。 て利益相反が生じるわけではない。ファイアウォールを設けて利 益相反が生じない仕組みを設けている法律事務所も多数ある。ま た、顧問弁護士は外部委託先としてふさわしくないという誤解が ○なお、本ガイドライン案は、通報窓口の拡充の方法として、「法 律事務所」のほか「民間の専門機関等」、「労働組合」、「グル なされると、通報窓口の拡充という本ガイドラインの趣旨の実現 ープ企業共通の一元的な窓口」、「事業者団体や同業者組合等の が困難になり、本末転倒である。したがって、利益相反に留意す 関係事業者共通の窓口」を掲げており(案Ⅱ1(1))、かつ、 べき程度の記載にとどめるべきである。また、利益相反に該当す 「法律事務所」には顧問弁護士以外のものも多数存在していると る事例を例示していただきたい。 思われることから、特に「本ガイドラインの趣旨の実現が困難」 になるものではないと考えます。 ○利益相反に該当する事例としては、例えば、内部通報責任者や同 担当者が自ら被通報者となる通報の処理に従事する場合のような ケースが当たると考えます(第2回「公益通報者保護制度の実効 性の向上に関する検討会」資料2のP18~19 の内部規程の実例参 照)。 59 Ⅱ1(3)② 利益相反関係の排除 ○適切な内容であり、賛成する。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 60 Ⅱ1(3)② 利益相反関係の排除 ○御指摘を踏まえ、下記のとおり修文することとしました。 ○語尾を変更すべきと考える。 ○内部通報制度の信頼性(中略)是正措置等に関与してはならな <修正前>「(略)中立性・公正性に疑義が生じるおそれ又は利 い。 益相反が生じるおそれがある法律事務所や民間の専門機関等の ○また、通報の受付や事実関係の調査等通報対応に係る業務を外 起用は避けることが適当である。」 部委託する場合には、中立性・公平性に疑義が生じるおそれ又 は利益相反が生じるおそれがある法律事務所や民間の専門機関 <修正後>「(略)中立性・公正性に疑義が生じるおそれ又は利 等の起用は避けることが必要である。 益相反が生じるおそれがある法律事務所や民間の専門機関等の 【理由】 起用は避けることが必要である。」 上記一つ目の○の語尾「関与してはならない。」と同様に、外部 委託の場合でも利益相反が生じるおそれがある場合は、明確に避 けることが必要であることを示すべきと考える。 22 61 Ⅱ1(3)② 利益相反関係の排除 ○通報の受付を顧問弁護士に委託している場合は、一律に利益相反 ○本ガイドライン案の記述は、「中立性・公正性に疑義が生じるお それ又は利益相反が生じるおそれがある法律事務所や民間の専門 関係にあるものとみなされるか。利益相反関係にあるかどうかを 機関等の起用は避けることが適当」(案Ⅱ1(3)②)というも 客観的に判断するための要素として、どのようなものが考えられ るか。 のであり、特に顧問弁護士について言及しているわけではありま せん。どのような場合にその起用を避けるべきかは、具体的な事 案ごとに実質的に判断されるべき問題であると考えられ、一律に 述べることは困難であると考えます。 62 Ⅱ1(3)② 利益相反関係の排除 ○顧問弁護士の起用に対する危惧を表明した記述であると推察す ○本ガイドライン案の記述は、「中立性・公正性に疑義が生じるお それ又は利益相反が生じるおそれがある法律事務所や民間の専門 る。一方で日本企業の 60%が顧問弁護士に外部窓口を委託してい 機関等の起用は避けることが適当」(案Ⅱ1(3)②)というも るという実状がある。顧問弁護士とは内部通報受信業務に関する のであり、特に顧問弁護士について言及しているわけではありま 契約を別途締結し、内部通報受信業務については中立性に配慮す せん。 る、という条項を盛り込む等の施策で、外見的な中立性の確保に 関する準備が整うまでの実務的な対応方法も例示してはどうか。 ○なお、後段の御意見については、今後の業務の参考とさせていた だきます。 63 Ⅱ1(3)② 利益相反関係の排除 ○本件と直接関係しないものの、法律事務における利益相反案件の ○御意見については、今後の業務の参考とさせていただきます。 取扱においても、ファイアウォール等の公正を保ち得る体制を前 提に、同一事務所の他の弁護士が案件を受任する余地があると解 されており、公益通報制度における中立性等の考え方において も、同様の考え方が当てはまり得るものと思料する。 ○外部窓口の基本的な役割は通報内容を匿名で会社に伝達する点に あるところ、通報窓口弁護士の役割を当該役割に留め、通報者の 相談等に応じることがないようにすれば、実質的に利益相反の状 況が起きることは更に回避可能になるものと思料する。 ○参考として顧問弁護士が外部窓口を兼任した件での懲戒事例が記 載されているが、このような情報遮断等への配慮がなされなかっ た事案であると理解している。 64 Ⅱ1(3)② 利益相反関係の排除 ○中立性・公正性に疑義が生じるおそれ又は利益相反が生じるおそ ○どのような場合にその起用を避けるべきかは、具体的な事案ごと れがある法律事務所の起用が避けるべき旨記載されているが、顧 に実質的に判断されるべき問題であると考えられ、一律に述べる 問弁護士の所属する事務所の他の弁護士が、顧問弁護士との間で ことは困難であると考えます。 然るべき情報遮断の措置を講じることを前提に外部窓口を担当す ることは問題ないと考えてよいか。 65 Ⅱ1(4)① ○従業員の意見・要望を反映させることで内部通報制度の実効性が ○本ガイドライン案は、意見・要望を一律に取り入れることを求め 高くなるとは限らず、従業員の意見・要望を聴取する仕組みがあ る趣旨ではなく、個々の意見・要望ごとに判断した結果、当該意 23 (従業員の意見の反映 等) るということが重要である。したがって、「従業員の意見・要望 を反映」は、「従業員の意見・要望を聴取」に変更すべきであ る。 見・要望が内部通報制度の実効性の向上に資することが認められ る場合には、適切に反映していくことが必要であると考えます。 なお、「従業員の意見・要望を反映したり、他の事業者の優良事 例を参照したりする等」(案Ⅱ1(4)①)の「等」には、御指 摘のような「従業員の意見・要望を聴取する仕組み」の整備も含 まれるものと考えます。 66 Ⅱ1(4)① ○適切な内容であり、賛成するが、更に加えて、適切な公益通報に ○御指摘の趣旨は、本ガイドライン案の「通報者や調査協力者の協 力が、コンプライアンス経営の推進に寄与した場合には、通報者 (従業員の意見の反映 より重大な違法行為等が早期に発見・是正されることによって事 等に対して、経営トップからの感謝を伝えること等により、組織 等) 業体全体にとって大きなメリットがあったようなケースについて への貢献を正当に評価することが適当である」(案Ⅱ3(2) は、その通報者を積極的に表彰し、場合によっては報償を与える ③)という記載に盛り込まれていると考えます。 等の措置を推奨してはどうか。 【理由】 これも安心して通報できる環境整備の一つの方策となり得ると考 ○なお、通報者を積極的に表彰し、通報者名も含めて社内に公表す ることなどは、通報者の匿名性の確保の観点から慎重に検討され えられる。 るべきものであると考えます。 67 ○「通報窓口の拡充」として、「労働組合を通報窓口として指定す Ⅱ1(4)① ○以下文言を追記すべきと考える。 ること」(案Ⅱ1(1)③)を明記しております。 (従業員の意見の反映 ○内部通報制度の整備・運用に当たっては、従業員の意見・要望 等) を反映したり、労働組合又は従業員過半数の代表者との協議等 を行ったり、他の事業者の優良事例を参照したりする等、従業 ○また、本ガイドライン案は「従業員の意見・要望を反映したり (中略)、従業員が安心して通報・相談ができる実効性の高い仕 員が安心して通報・相談ができる実効性の高い仕組みを構築す 組みを構築することが必要である」(案Ⅱ1(4)①)と明記し ることが必要である。 ており、御指摘の趣旨は盛り込まれているものと考えます。 【理由】 公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会第1次報告書 (平成 28 年3月)P8に記載の「労働組合等、様々な通報ルート を整備することが有用である」を的確に反映する観点から、上記 文言を新たに追記すべきと考える。 経営側だけでなく、従業員の代表たる労働組合や過半数代表者と の協議の場を設けることが、安心して通報ができる環境の整備、 従業員の意見が反映される仕組みの構築につながると考える。 68 Ⅱ1(4)① ○「内部通報制度の整備・運用内部通報制度の整備 安心して通報 ○「他の事業者の優良事例」としては、必ずしも個別事案への具体 的な対応事例を指しているわけではなく、例えば、消費者庁の公 (従業員の意見の反映 ができる環境の整備(従業員の意見の反映等)」について、「他 表資料(例:「公益通報者保護制度に関する実態調査報告書」 等) の事業者の優良事例を参照したりする」とあるが、内部通報制度 (平成 25 年6月 消費者庁)、「公益通報者保護制度に関する意 の性質上、企業内の運用状況や通報への調査・是正措置について 見聴取(ヒアリング)」(平成 27 年4月 消費者庁)、『お客様 情報開示が行われるとは考えにくい。消費者庁として(裁判にな と社員の声が企業を救う』シンポジウム(平成 25 年度 消費者 らないレベルでの)対応フローの事例公表を考えているのか、又 庁)、平成 26 年度消費者志向経営・コンプライアンス経営シンポ は民間事業者同士で情報交換をするように促しているのみなの ジウム(消費者庁))、各事業者の公表資料、内部通報制度に関 か。 24 する書籍・文献等において紹介されている内部通報制度の整備・ 運用方法等を想定しております。 69 Ⅱ1(4)② (環境整備) ○メールや専用システム等による通報も増加しているなかで、「敷 ○例えば、御指摘のようなメールや専用システム等の物理的通信手 段を用いて通報を行ったその先において、どのような職員がどの 居が低く、親しみやすい雰囲気」とは意味が不明であり、本記載 ような体制で個々の通報に対応しているのか等は、安心して通報 は削除し、単に「通報しやすい環境整備に努めるべきである」程 ができる環境の整備に影響を与える重要な要素であると考えま 度の記載にすべきであり、どのような対応が該当するか例示して す。 いただきたい。 ○そして、「内部通報制度の整備状況に関するアンケート調査集計 分析」(平成 28 年8月 デロイトトーマツリスクサービス株式会 社)P28、「公益通報者保護制度に関する意見聴取(ヒアリン グ)における主な意見」(平成 27 年4月 消費者庁)P48、「公 益通報者保護制度に関する実態調査報告書」(平成 25 年6月 消 費者庁消費者制度課)P8、P42、P52 等で指摘されていること に鑑みると、通報窓口の敷居が低さ等は、経営上のリスクに係る 情報が可能な限り早期に寄せられるかどうかに影響を与える要素 であると考えられます。 ○例えば、「社内にヘルプライン受付窓口を用意する場合には、担 当者として、少なくとも男女1名ずつ配置し、人となりや連絡先 を公開し、利用者の信頼を得ることに努める。また、就業時間外 でも通報できるよう、最大限配慮する。」(出典:「企業行動憲 章実行の手引き(第6版)」(日本経済団体連合会)P76)、 「通報者にとっての利用しやすさを考えると、男性、女性、それ ぞれの担当者を置くことが望ましい」(出典:「内部通報制度ガ イドライン」(経営法友会法務ガイドブック等作成委員会編)P 13)といったことは、敷居が低く、親しみやすい雰囲気の醸成に 資すると考えられます。 ○なお、御指摘の趣旨を踏まえ、意味を明確にするべく下記のとお り修文することとしました。 <修正前>「(略)敷居が低く、親しみやすい雰囲気を醸成する ことが必要である。」 <修正後>「(略)敷居が低く、利用しやすい環境を整備するこ とが必要である。」 25 70 Ⅱ1(4)② (環境整備) ○環境整備としては「敷居の低さ」、「親しみやすさ」だけでは不 ○御指摘のような趣旨は、本ガイドライン案の各該当箇所(案Ⅲ1 (1)、案Ⅲ1(3)、案Ⅲ(4)、案Ⅲ2等)に記載されてい 十分である。より重要なのは、通報者が通報対象事実の関係部署 るものと考えます。 等に知られることなく秘密裡に通報を行えるようにすること、そ のような観点から、受付部署の場所、通報受付の方法、事情聴取 の方法等、通報者に万が一にも不利益処遇の運営方法に工夫が必 要であることを明記すべきである。 71 Ⅱ1(4)② (環境整備) ○ハードルを下げることで不平不満を含めた大量の通報が寄せられ ○本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業種・業態等の実情に る可能性が懸念される。何らかの事前の対応方法の例示を記した 応じた適切な取組を行う」(案Ⅰ3②参照)ことを妨げるもので 方がよいのではないか。 はなく、各事業者において費用対効果等にも鑑みた適切な取組を 行うことが期待されているといえます。 ○なお、消費者庁が行ったヒアリング等においては、「有益な通報 を増やすには、企業リスク管理とは直接的には無縁の、職場の人 間関係等に係る通報なども広く受け付ける窓口として設計する必 要がある」(「公益通報者保護制度に関する実態調査」(平成 25 年6月 消費者庁)P52)等の指摘もなされております。 ○仮に大量の通報が寄せられる可能性がある場合には、例えば、一 次的な通報対応やスクリーニングを外部の専門機関にアウトソー シングすること等も選択肢の一つになり得るものと考えられま す。 72 Ⅱ1(4)② (環境整備) ○通報窓口の「敷居が低く、親しみやすい雰囲気を醸成」すると ○具体的には、例えば「社内にヘルプライン受付窓口を用意する場 合には、担当者として、少なくとも男女1名ずつ配置し、人とな は、具体的にはどういった取組みを想定しているのか不明であ りや連絡先を公開し、利用者の信頼を得ることに努める。また、 る。 就業時間外でも通報できるよう、最大限配慮する。」(出典: 「企業行動憲章実行の手引き(第6版)」(日本経済団体連合 ○内部通報制度の実効性に対する信頼性を高めることは必要である 会)P76)ことなどが一つの参考になるものと考えられます。 が、開示に適さない事案(パワハラ・セクハラ等)もあり、運用 実績の開示はあくまでその手段の一例にすぎない。「制度の実効 性に対する信頼性を高めるため、例えば、内部通報制度の運用実 ○なお、御指摘の趣旨を踏まえ、意味を明確にするべく下記のとお り修文することとしました。 績(通報件数、対応結果等)の概要を、個人情報保護等に十分配 慮しつつ従業員に開示することも考えられる。」と修正すべきで <修正前>「(略)敷居が低く、親しみやすい雰囲気を醸成する ある。 ことが必要(略)」 <修正後>「(略)敷居が低く、利用しやすい環境を整備するこ とが必要(略)」 26 ○また、開示に適さない事案もあるとの御指摘につきましては、 「個人情報保護等に十分配慮しつつ」(案Ⅱ1(4)②)、個々 の事案の性質に応じて各事業者が適切な方法により行うことが考 えられます。 ○なお、御指摘の趣旨を踏まえ、「例えば」を追記することとしま した。 <修正前>「内部通報制度の運用実績(通報件数、対応結果等) の概要(略)」 <修正後>「内部通報制度の運用実績(例えば、通報件数、対応 結果等)の概要(略)」 73 Ⅱ1(4)② (環境整備) ○「内部通報制度の整備・運用内部通報制度の整備 安心して通報 ○本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業種・業態等の実情に 応じた適切な取組を行う」(案Ⅰ3②)ことを妨げるものではあ ができる環境の整備(環境整備)」について、「敷居が低く、親 りません。また、御指摘のような不当な目的による通報は法律上 しみやすい雰囲気」とある。しかし、この点は事業者における内 も保護されておりません。なお、リスク管理に資する有益な情報 部通報制度の意義に影響を受ける部分であり、また、通報対象と を把握する機会を拡充するために通報窓口の雰囲気等についての なる事項の範囲を「法令違反のほか、内部規程違反」として自律 敷居を低くすることと、不当な目的による通報を抑止することは 的な設定を企業に促している以上、一概に敷居が低いことを求め 両立し得るものであると考えられます。 ることが適当なのか。公益通報者保護法の趣旨を踏まえた上で、 企業が自律的に設計する内部通報制度であるからには、必ずしも 親しみやすくなければならないことには疑問がある。すなわち、 ○なお、例えば、「社内にヘルプライン受付窓口を用意する場合に は、担当者として、少なくとも男女1名ずつ配置し、人となりや 内部通報制度の趣旨を理解しない、又は故意に内部通報制度を悪 連絡先を公開し、利用者の信頼を得ることに努める。また、就業 用して他者を貶めようとする通報者の増加を促してしまうことが 時間外でも通報できるよう、最大限配慮する。」(出典:「企業 懸念される。 行動憲章実行の手引き(第6版)」(日本経済団体連合会)P 76)、「通報者にとっての利用しやすさを考えると、男性、女 性、それぞれの担当者を置くことが望ましい」(出典:「内部通 報制度ガイドライン」(経営法友会法務ガイドブック等作成委員 会編)P13)といったことは、敷居が低く、利用しやすい環境の 整備に資すると考えられます。 74 Ⅱ1(4)③ (環境整備) ○適切な内容であり、賛成する。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 75 Ⅱ1(4)④ (環境整備) ○適切な内容であり、賛成する。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 76 Ⅱ1(4)④ (環境整備) ○いわゆる内部通報により寄せられる声には、処遇に関する愚痴や ○本ガイドライン案の記述は、「運用実績(通報件数、対応結果 誹謗の類のものもあり、通報件数や対応結果等を運用実績として 等)の概要」を、「個人情報保護等に十分配慮しつつ従業員に開 27 一律的に従業員に開示することが、制度の信頼性を高めることに つながるとはいえない。また、通報件数が少ない場合や、企業規 模が小規模な場合は、たとえ個人情報等に配慮したとしても、こ れらを開示することが個人の特定につながりかねない。したがっ て、制度の実効性に対する信頼性を高めるための従業員に対する 開示の在り方は各企業の判断に委ねられるべきである。よって、 通報件数や対応結果等を一律的に開示することが求められている わけではないことを明確にするために、「(通報件数、対応結果 等)」という文言は削除すべきである。 示することにより、制度の実効性に対する信頼性を高めることが 必要」(案Ⅱ1(4)④)というものであり、件数等を一律に開 示することを求めているものではありません。なお、「ヘルプラ インが機能した事例については通報者の匿名性保持に配慮しつつ 研修などを通じて社内に周知させ、問題の再発防止に努める。」 (出典:「企業行動憲章実行の手引き(第6版)」(日本経済団 体連合会)P76)、「内部通報制度を機能させるためには、通報 に端を発する問題の解決が的確に果たされたという実績の公表が 効果的です。「勇気をもって通報すれば、会社はきちんと問題解 決に取り組んでくれる」と従業員等が実感できるようになること が、この制度の積極利用を促し、ひいては事後の組織運営の適正 化につながっていきます。」(出典:「内部通報制度ガイドライ ン」(経営法友会法務ガイドブック等作成委員会編)P30)とい った指摘もあります。 ○なお、御指摘の趣旨を踏まえ、「例えば」を追記することとしま した。 <修正前>「内部通報制度の運用実績(通報件数、対応結果等) の概要(略)」 <修正後>「内部通報制度の運用実績(例えば、通報件数、対応 結果等)の概要(略)」 77 Ⅱ1(4)⑤ (仕組みの周知等) ○公益通報者保護法の内容を周知・研修することは必要であるとし ○本ガイドライン案は、実際に事業者で用いられている内部通報制 度(「民間事業者における内部通報制度に係る規程集」(平成 23 年9 ても、実態と乖離したガイドラインを周知・研修の内容とするこ 月平成23年9月 消費者庁消費者制度課)、「公益通報者保護制度 とは、実効性の高い制度の運用につながらないばかりか、かえっ に関する実態調査報告書」(平成 25 年6月 消費者庁)、「公益 て混乱を招き、内部通報制度の信頼を失うことになりかねない。 通報者保護制度に関する意見聴取(ヒアリング)における主な意 また、本ガイドラインのような詳細かつ画一的な規律は企業の自 見」(平成 27 年4月 消費者庁)、経済界を含む各界の有識者・ 律性を喪失させかねない。したがって、周知・研修の対象から 実務家からなる検討会(「公益通報者保護制度の実効性の向上に 「本ガイドライン」を除外すべきである(ただし、「本ガイドラ 関する検討会」)で昨年度に約1年間かけて議論された結果等を イン」がどのような内容になるかによる)。 踏まえたものであり、「実態と乖離した」との御指摘は当たらな いものと考えます。 ○また、本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業種・業態等の 実情に応じた適切な取組を行う」(案Ⅰ3②)ことを妨げるもの ではなく、「画一的な規律」という御指摘も当たらないものと考 えます。 28 ○なお、本ガイドライン案の周知・研修については、各事業者の実 情に鑑みて適切に行われることを明確にするべく、下記のとおり 修文することとしました。 <修正前>「(略)公益通報者保護法や本ガイドラインの内容に ついて、(中略)十分かつ継続的に周知・研修をすることが必 要である。」 <修正後>「(略)公益通報者保護法について、(中略)十分か つ継続的に周知・研修をすることが必要である。同様に、本ガ イドラインの内容について十分かつ継続的に周知・研修をする ことが望ましい。」 78 Ⅱ1(4)⑤ (仕組みの周知等) ○適切な内容であり、賛成する。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 【理由】 公益通報制度を有効に機能させるための大前提であり、COSO の5要素のうちの「情報と伝達」の局面に相当する。 79 Ⅱ1(4)⑤ (仕組みの周知等) ○自社の内部通報制度の仕組みやその背景となる公益通報者保護 ○本ガイドライン案は「各事業者の規模や業種・業態等の実情に応 じた適切な取組を行う」(案Ⅰ3②参照)ことを妨げるものでは 法、コンプライアンス経営の重要性について、経営幹部及び全て ありません。したがって、御指摘のとおり、各事業者の制度がガ の従業員に対し、周知・研修することは必要である。その際、必 イドラインの記述と異なることも想定されますが、本ガイドライ 要に応じ、本ガイドラインの内容を踏まえることは考えられる ン案は、有識者検討会における議論等も踏まえ「事業者が自主的 が、事業者が内部通報制度を実情に合わせて創意工夫の下整備し に取り組むことが推奨される事項を具体化・明確化し」た一つの た結果、事業者の制度がガイドラインの記述と異なる場合も想定 指針として有益なものであると思われますので、それを従業員に される。したがって、「本ガイドラインの内容」は削除し、以下 紹介することは有意義であると考えます。なお、周知・研修の具 の通り修正すべきである。 体的な方法については、「各事業者の規模や業種・業態等の実情 <修正案> に応じ」て適切に行われることが考えられます(案Ⅰ3② 参 ○通報対応の仕組みやその背景となる公益通報者保護法、コンプ 照)。 ライアンス経営の重要性について、社内通達、社内報、電子メ ール、社内電子掲示板、携帯用カード等での広報の実施、定期 的な研修の実施、説明会の開催等により、経営幹部及び全ての ○なお、本ガイドライン案の周知・研修については、各事業者の実 情に鑑みて適切に行われることを明確にするべく、下記のとおり 従業員に対し、十分かつ継続的に周知・研修をすることが必要 修文することとしました。 である。 <修正前>「(略)公益通報者保護法や本ガイドラインの内容に ついて、(中略)十分かつ継続的に周知・研修をすることが必 要である。」 <修正後>「(略)公益通報者保護法について、(中略)十分か つ継続的に周知・研修をすることが必要である。同様に、本ガ 29 イドラインの内容について十分かつ継続的に周知・研修をする ことが望ましい。」 80 Ⅱ1(4)⑥ ○内部通報制度は、あくまで従たる制度であり、職制を通じた相 ○公益通報者保護法上の通報先の一つである「労務提供先」には、 代表者のほか、通報対象事実について権限を有する管理職、当該 (透明性の高い職場環 談・通報がなされる環境があることこそが重要である。したがっ 労働者の業務上の指揮監督に当たる上司等も含まれるところであ 境の形成) て、内部通報制度が、職制を通じた相談・通報と並列的に記載さ り(「逐条解説 公益通報者保護法」(平成 28 年4月 消費者庁 れていることはミスリーディングである。よって、一つ目の○は 庁消費者制度課)P62 参照)、必ずしもヘルプライン等の名称で 職制を通じた相談・通報の重要性を明確にする記載に改めるべき 各事業者が整備している通報窓口のみが内部通報制度の対象とし である。 て扱われるものではありません。 ○また、職制を通じた相談・通報が重要であることは御指摘のとお りですが、それだけでは十分でないことを示す事案が多数発生し ていることも事実であり、内部通報制度については、「内部統制 制度の最後の砦ともいわれるものであり、通報者が信頼し、安心 して意見を言える制度を見直して、十分活用すべき」(出典:株 式会社東芝 第三者委員会「調査報告書」(平成 27 年7月 20 日) P291)といった評価もなされているところであり、職制を通じ た相談・通報と相互に補完するものとして、重要性が認められる ものと考えます。 81 Ⅱ1(4)⑥ ○二つ目の○の中の「緊張感」の語は、風通しのよい企業風土を悪 ○「公益通報者保護制度に関する実態調査報告書」(平成 25 年6月 (透明性の高い職場環 化させかねない。「組織内に適切な緊張感をもたらし」は削除す 消費者庁)P16 によれば、内部通報制度導入の効果として、多く 境の形成) るか、事業者に組織運営の健全化を促すことを意味する旨を明確 の事業者が「違法行為の抑止力として機能している」、「自浄作 化すべきである。 用によって違法行為を是正する機会が得られた」と回答しており ますが、内部通報制度を活用した抑止力や是正の機会等が存在す ることが、他方で、風通しの良い企業風土の醸成に寄与すると思 われます。 82 Ⅱ1(4)⑥ ○適切な内容であり、賛成する。 (透明性の高い職場環 境の形成) 83 Ⅱ1(4)⑥ ○一つ目の○と二つ目の○の関係が分かりにくい。また、職場の管 (前段について) (透明性の高い職場環 理者等(通報者等の直接又は間接の上司等)に対する相談や通報 ○透明性の高い職場環境は、内部通報制度が有効に機能するための 前提となるものである一方、実効性の高い内部通報制度を整備・ 境の形成) は、通常業務の範囲のことであり、内部通報制度の対象として扱 運用することは、そのような職場環境の形成に資するものである われないものと考える。 と考えられるなど、両者が相互に補完し合う関係にあることを示 <修正案> したものと考えます。 ○実効性の高い内部通報制度を整備・運用することは、組織内に 適切な緊張感をもたらし、通常の報告・連絡・相談のルートを ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 30 通じた自浄作用を機能させ、組織運営の健全化に資すること (後段について) を、経営幹部及び全ての従業員に十分に周知すること等を通 ○公益通報者保護法上の通報先の一つである「労務提供先」には、 じ、透明性の高い職場環境を形成することが重要である。 代表者のほか、通報対象事実について権限を有する管理職、当該 労働者の業務上の指揮監督に当たる上司等も含まれるところであ り(「逐条解説 公益通報者保護法」(平成 28 年4月 消費者庁 消費者制度課)P62 参照)、必ずしもヘルプライン等の名称で各 事業者が整備している通報窓口のみが内部通報制度の対象として 扱われるものではありません。 84 Ⅱ2① (通報受領の通知) ○適切な内容であり、賛成する。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 85 Ⅱ2① (通報受領の通知) ○通報者によっては通報受領の通知を望まない場合もあり得ます。 ○語尾を変更すべきと考える。 また、案Ⅱ2②において調査の要否につき公正・公平かつ誠実に (通報受領の通知) 検討し、その検討内容について「通知するよう努めることが必要 ○書面や電子メール等、通報者が通報の到達を確認できない方法 である」と明記しておりますが、通報受領から今後の対応につい によって通報がなされた場合には、速やかに通報者に対し、通 ての通知までの時間的間隔が小さい場合も考えられ、2つの趣旨 報を受領した旨を通知するよう努めることが必要である。 の通知を併せて行うことが適当な場合もあると考えられること等 【理由】 にも鑑み、本項においては「望ましい」としております。 Ⅱ2②(通報内容の検討)の語尾「通知するよう努めることが必 要である。」と同様に、通報受領の通知の場合でも、通知するよ う努めることが必要であることを示すべきと考える。 86 Ⅱ2② (通報内容の検討) ○通報者に可能な限り結果を通知する必要があることは当然である ○本記載は現行ガイドラインにもありますが、現行ガイドラインを 公表してから 10 年以上経過した現在に至るまで、本記載について が、その前の部分、「調査が必要であるか否かについて、公正、 問題があるという御意見等は頂いておりません。 公平、かつ誠実に検討し」との部分は、漠然とし過ぎている。こ の「調査の要否の判断」は、特に通報受付の入口段階として公益 通報が有効に機能するために重要な部分であり、別項を設ける必 要がある。例えば、「公益通報受付機関(外部窓口を含む。)に おいて、調査が必要か否かを検討するための明確な判断規準が定 められていること、すなわち①公益通報者保護法またはその範囲 を拡張する社内規則の定めを満たすこと、②通報対象事実として 報告された事態を放置した場合に重大な不祥事の結果を招く可能 性が認められること、③通報者において私的な利害や動機が含ま れていても通報対象事実が重要である場合には通報を受理する妨 げとならないこと等について、社内規程等により明定されている 必要がある。」というような定めが考えられる。 87 Ⅱ2② (通報内容の検討) ○以下文言を追記すべきと考える。 ○御指摘の趣旨を踏まえ、案Ⅱ2①「通報受領の通知」において ○通報を受け付けた場合、調査が必要であるか否かについて、公 「通報者が通知を望まない場合、匿名による通知であるため通報 正、公平かつ誠実に検討し、今後の対応について、通報者本人 者への通知が困難である場合その他やむを得ない理由がある場合 31 の希望の有無を確認した上で、通報者に通知するよう努めるこ とが必要である。 【理由】 「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」第1次報 告書(平成 28 年3月)P52 に記載の「結果通知を希望しない通 報者もおり、結果通知の希望の有無を確認するという運用が必要 との意見」を的確に反映する観点から、上記文言を追記すべきと 考える。今後の対応や調査の進捗状況、調査結果、是正結果は通 報者本人に通知すべきであり、通常、通報者本人はその通知を望 んでいると考える。但し、通報時等に、通報者本人がフィードバ ックの希望について言及しない場合、フィードバックを希望しな い場合も想定されるため、受付担当者がフィードバックの希望の 有無を確認し、通報者本人の希望を踏まえたより丁寧な対応をす ることが望ましいと考える。 はこの限りでない(次項及びⅡ3(2)に規定する通知において も、同様とする。)。」を追記することとしました。 <修正前>「(略)通報を受領した旨を通知することが望まし い。」 <修正後>「(略)通報を受領した旨を通知することが望まし い。ただし、通報者が通知を望まない場合、匿名による通知で あるため通報者への通知が困難である場合その他やむを得ない 理由がある場合はこの限りでない(次項及びⅡ3(2)に規定 する通知においても、同様とする。)。」 88 Ⅱ3(1)① ○各社の経営状況・規模等に応じて対応されるべきものであり、望 ○御指摘のとおり、本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業 (調査・是正措置のた ましい在り方にすぎない。 種・業態等の実情に応じた適切な取組を行うこと」を妨げるもの めの体制整備) ではありません(案Ⅰ3②)。 89 Ⅱ3(1)① ○適切な内容であり、賛成する。 (調査・是正措置のた めの体制整備) 90 Ⅱ3(1)② (調査への協力等) ○会社の業務であれば、これに協力することは就業規則上当然であ ○一般論としては、御指摘の「就業規則」も、本ガイドライン案に り、調査妨害をしてはならないことも当然である。内部規程に明 おける「内部規程」の一種に当たり得ると考えます。 記するまでの必要はなく、従業員等に周知されていれば足りる。 91 Ⅱ3(1)② (調査への協力等) ○適切な内容であり、賛成する。 92 Ⅱ3(1)② (調査への協力等) ○「会社の業務」としてなされている調査に「誠実に協力」するこ ○内部通報制度においては、コンプライアンス経営の推進等を図る 観点から、調査への協力義務等を徹底することが極めて重要であ とや「妨害」してはならないことは、一般に就業規則において規 り、就業規則等において一般的な規定が置かれていたとしても、 律されている。そのような場合においても、通報に関する内部規 特に内部通報に関する内部規程において、改めて規定することが 程に重複した規程をおくことは、他の業務規程との間でバランス 重要であると考えます。なお、その規定の仕方については、「各 を失することとなる。したがって、削除すべきである。 事業者の規模や業種・業態等の実情に応じ」て適切に行うことが 考えられます(案Ⅰ3②参照)。 93 Ⅱ3(1)③ (是正措置と報告) ○「速やかに是正措置及び再発防止策を講じる」との部分について ○本ガイドライン案の、「調査」には、是正措置や再発防止策を講 は、「速やかに是正措置及び原因究明・再発防止策を講じる」と じるために必要な原因究明も含まれるものと考えます。 すべきである。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 32 【理由】 上記のとおり、有効な再発防止策を講じるためには、リスク要因 の分析すなわち徹底した原因究明が不可欠である。 94 Ⅱ3(1)④ ○通報対応の状況について、中立・公正な第三者による検証・点検 ○本ガイドライン案は、「通報を事業者内において適切に取り扱う ための指針を示すもの」であり(案Ⅰ3参照)、「各事業者にお (第三者による検証・ 等を行い、調査・是正措置の実効性を確保することが望ましい、 いて一層充実した通報対応の仕組みを整備・運用することや各事 点検等) とありますが、「望ましい」ではなく、義務付けが必要と考え 業者の規模や業種・業態等の実情に応じた適切な取組を行うこと る。ここは「中立・公正な第三者による検証・点検等を行い、調 を妨げるものではない」ため(案Ⅰ3参照)、御指摘のような 査・是正措置の実効性を確保すること」とすべきである。 「義務付け」には馴染まないものと考えます。 95 Ⅱ3(1)④ ○外部に通報窓口を設けつつも、更に第三者による検証を行うこと ○外部窓口を設けることと、通報を受け付けた後の調査・是正措置 (第三者による検証・ は、屋上屋を重ねるだけである。「考えられる」とする程度の記 等を含む内部通報制度全体の実効性について第三者による点検等 点検等) 載にとどめておくべきであり、よほどの資金力のある企業しか対 を行うことは別の問題であると考えます。 応できない事項であり、他の項目とレベルが異なる対応である旨 ○また、本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業種・業態等の を明確に記載すべきである。 実情に応じた適切な取組を行う」(案Ⅰ3②)ことを妨げるもの ではありません。 96 Ⅱ3(1)④ ○「中立・公正な第三者等」という表現では漠然としていて不明確 ○「中立・公正な第三者等」の具体例としては、御指摘のもののほ か、多様なものが考えられ、また、本ガイドライン案は、「各事 (第三者による検証・ である。例えば「当該通報対象事業者と一切の利害関係を持たな 業者の規模や業種・業態等の実情に応じた適切な取組を行う」 点検等) い外部の法律専門家、その他の関連分野の専門家等を含む検証委 (案Ⅰ3②)ことを妨げるものではないことから、今回の改正に 員会を立ち上げる等」として具体例を示してはどうか。 おいては、特に例示をすることとはしておりません。 【理由】 上記のとおり、通報対象事実である不祥事の原因究明は、将来的 な再発防止のためには特に重要な過程であり、この部分の安易な 妥協は許されない。経営陣等の意向に遠慮せずに客観的な調査が 実施可能であり、かつ関連専門知識にも通じた者が調査・分析を 担当する必要がある。 97 Ⅱ3(1)④ ○「中立・公正な第三者等による検証・点検等」とは、具体的には ○例えば、CSRや環境に係る取組については、第三者による保証 や審査を受けている事業者も少なくないものと認識しており、そ (第三者による検証・ どのような者・手法を想定しているのか不明である。内部通報制 れらを参考にすることも一つの選択肢として考えられます。 点検等) 度の整備・運用は、個別事業の特性に応じて行われるべきであ り、画一的な第三者認証などは馴染むものではないし、そもそ も、内部通報制度の整備・運用については、社外役員を含む取締 ○また、一般に企業経営は個別事業の特性に応じて行われるべき部 分があると思われますが、上記CSRに係る取組の他にも、企業 役・監査役により監視・監督が行われており、それで足りる。し 経営に関わる様々な分野において(例:情報セキュリティ、個人 たがって、「中立・公正な第三者等による検証・点検等を行い」 情報保護、環境、次世代育成支援、食品衛生、各種マネジメント という点は、削除すべきである。 システム等)、一定の基準や規格に基づいた第三者認証等も普及 しているものと認識しております。 33 ○なお、近時の企業不祥事において、 ・経営トップの意向によって不適切な会計処理が行われている案 件において、内部統制が全く機能していなかった事案 ・経営層自身が隠ぺいを指示又は承認するという状況で、内部通 報制度が機能せず、不正が継続していた事案 などが発生していることにも鑑みると(「公益通報者保護制度の 実効性の向上に関する検討会」第1次報告書(平成 28 年3月)P 3参照)、必ずしも「内部通報制度の整備・運用については、社 外役員を含む取締役・監査役により監視・監督が行われており、 それで足りる。」とは言い切れないと考えられ、上記のような事 案に対しても適切に対処するためには、第三者による点検は有益 であると考えます。 ○本ガイドライン案は「各事業者の規模や業種・業態等の実情に応 じた適切な取組を行う」(案Ⅰ3②参照)ことを妨げるものでは ありません。 ○「中立・公正な第三者等による検証・点検等」については、必ず しも外部の評価機関等による検証・点検に限られるものではな く、中立・公正が担保されているのであれば、例えば社外取締役 や監査役等による検証・点検も、含まれ得るものと考えられま す。 98 Ⅱ3(1)④ ○「内部通報制度の整備・運用 調査・是正措置 調査・是正措置 (第三者による検証・ の実効性の確保 (第三者による検証等)」、「通報者等の保護 ○例えば、事業者におけるCSRや環境等に係る取組の信頼性確保 のために、当該取組についての第三者審査や保証を行う民間の専 点検等) 通報に係る秘密保持の徹底 外部窓口の活用 (外部窓口の評 門機関も存在していると認識しており、そのような機関の活用も 価・改善)」および「評価・改善等 内部通報制度の評価・改善 一つの選択肢として考えられます。 (評価・改善)」における「中立・公正な第三者等」は何を指し ているのか。プライバシーマークのような第三者機関が存在する のか。 99 Ⅱ3(1)⑤ ○内部通報制度の運営を支える担当者の意欲・士気を発揚する人事 ○内部通報制度の運営を支える担当者に対して、事業者の経営に対 (担当者の配置・育成 考課は他の従業員に対して不公平感を与える危険性が高い。各企 して有益な貢献を行った他の様々な分野の従業員と同様に適切な 等) 業の評価基準に応じた人事考課をすべきであり、二つ目の○は全 評価を与えることは、特段問題はないと考えます。 部削除すべきである。 100 Ⅱ3(1)⑤ ○適切な内容であり、賛成する。 (担当者の配置・育成 等) ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 34 101 Ⅱ3(1)⑤ ○具体的な通報・相談窓口へ寄せられる内容は、人事に関するこ ○今後の業務の参考とさせていただきます。 (担当者の配置・育成 と、又は人間関係に関すること、場合によっては人と人の争いに 等) 関することなど、本来の公益通報とは必ずしも認定し難いものが 大多数である。もちろんこれらを放置することで経営上のリスク や、犯罪に発展することも想定できるため、このこと自体(こう した訴えを聞くこと)を否定するものでない。いわゆる経営上の リスクとしての違法行為や、不法行為などの火種を見つけ、早期 に対応することも極めて重要である。こうしたことからも、今後 重要となるのは、通報受付窓口担当者の能力開発、すなわち案件 の本質を見抜き、自らを含め対応部門に対し、より正確な情報伝 達と指示ができる高いスキルと同時に高いモラルの保持ができる 人材育成の仕組みの構築と重要性の訴求は喫緊の課題と考える。 102 Ⅱ3(2)① (調査に係る通知) ○適切な内容であり、賛成する。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 103 Ⅱ3(2)① (調査に係る通知) ○御指摘の趣旨を踏まえ、案Ⅱ2①「通報受領の通知」において、 ○以下文言を追記すべきと考える。 「ただし、通報者が通知を望まない場合、匿名による通知である 調査中は、調査の進捗状況について、被通報者や当該調査に協力 ため通報者への通知が困難である場合その他やむを得ない理由が した者(中略)等の信用、名誉及びプライバシー等に配慮しつ ある場合はこの限りでない(次項及びⅡ3(2)に規定する通知 つ、通報者本人の希望の有無を確認した上で、適宜、通報者に通 においても、同様とする。)。」を追記することとしました。 知するとともに、調査結果について可及的速やかに取りまとめ、 通報者に対して、その調査結果を通知するよう努めることが必要 <修正前>「(略)通報を受領した旨を通知することが望まし である。 い。」 【理由】 「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」第1次報 <修正後>「(略)通報を受領した旨を通知することが望まし 告書(平成 28 年3月)P52 に記載の「結果通知を希望しない通 報者もおり、結果通知の希望の有無を確認するという運用が必要 い。ただし、通報者が通知を望まない場合、匿名による通知で との意見」を的確に反映する観点から、上記文言を追記すべきと あるため通報者への通知が困難である場合その他やむを得ない 考える。今後の対応や調査の進捗状況、調査結果、是正結果は通 理由がある場合はこの限りでない(次項及びⅡ3(2)に規定 報者本人に通知すべきであり、通常、通報者本人はその通知を望 する通知においても、同様とする。)。」 んでいると考える。但し、通報時等に、通報者本人がフィードバ ックの希望について言及しない場合、フィードバックを希望しな い場合も想定されるため、受付担当者がフィードバックの希望の 有無を確認し、通報者本人の希望を踏まえたより丁寧な対応をす ることが望ましいと考える。 104 Ⅱ3(2)② ○通報を受けた事業者が是正措置を取らない場合、通報者に対し通 ○一般に、是正措置を実施しない場合というのは、調査の結果、不 (是正措置に係る通 知を行うことを定めるべきである。 正等の存在が認められなかった場合だと思われますが、調査結果 知) の通知を行うことについては記述があるため(案Ⅱ3(2 ) ①)、特に問題はないものと考えます。 35 105 Ⅱ3(2)② ○通報者に対する是正措置の有無、内容についての通知等の事業者 ○本ガイドラインは「事業者が自主的に取り組むことが推奨される (是正措置に係る通 の通報を受けて取り組むべき措置において不十分である。 事項を具体化・明確化し、従業員等からの法令違反等の早期発 知) 見・未然防止に資する通報を事業者内において適切に取り扱うた めの指針を示すもの」であり、「各事業者において一層充実した 通報対応の仕組みを整備・運用することや各事業者の規模や業 種・業態等の実情に応じた適切な取組を行うこと」を妨げるもの ではなく、特に不十分であるとは考えておりません。 106 Ⅱ3(2)② ○適切な内容であり、賛成する。 (是正措置に係る通 知) ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 107 Ⅱ3(2)② ○通報者に対する是正措置の有無、内容についての通知等の事業者 ○一般に、是正措置を実施しない場合というのは、調査の結果、不 正等の存在が認められなかった場合だと思われますが、調査結果 (是正措置に係る通 の通報を受けて取り組むべき措置において不十分である。通報を の通知を行うことについては記述があるため(案Ⅱ3(2 ) 知) 受けて事業者が是正措置をとった場合の通報者に対する是正結果 ①)、特に問題はないものと考えます。 の通知は努力義務にとどまり、是正措置を取らない場合の通報者 に対する通知には言及がない(是正措置にかかる通知))ため、 通報者の側は事業者に是正を委ねておくことが適切なのかどうか の判断ができない。是正措置を取った場合にはその内容を、取ら ない場合についてもその旨を、通報者に対して通知を行うことと すべきである。 ○御指摘の趣旨を踏まえ、案Ⅱ2①「通報受領の通知」において、 108 Ⅱ3(2)② ○以下文言を追記すべきと考える。 「ただし、通報者が通知を望まない場合、匿名による通知である (是正措置に係る通 (是正措置に係る通知) ため通報者への通知が困難である場合その他やむを得ない理由が 知) ○是正措置の完了後、被通報者や調査協力者等の信用、名誉及び ある場合はこの限りでない(次項及びⅡ3(2)に規定する通知 プライバシー等に配慮しつつ、通報者本人の希望の有無を確認 においても、同様とする。)。」を追記することとしました。 した上で、速やかに通報者に対して、その是正結果を通知する よう努めることが必要である。 <修正前>「(略)通報を受領した旨を通知することが望まし ○是正措置の完了後、被通報者や調査協力者等の信用、名誉及び い。」 プライバシー等に配慮しつつ、通報者本人の希望の有無を確認 した上で、速やかに通報者に対して、その是正結果を通知する <修正後>「(略)通報を受領した旨を通知することが望まし よう努めることが必要である。 【理由】 い。ただし、通報者が通知を望まない場合、匿名による通知で 「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」第1次報 あるため通報者への通知が困難である場合その他やむを得ない 告書(平成 28 年3月)P52 に記載の「結果通知を希望しない通 理由がある場合はこの限りでない(次項及びⅡ3(2)に規定 報者もおり、結果通知の希望の有無を確認するという運用が必要 する通知においても、同様とする。)。」 との意見」を的確に反映する観点から、上記文言を追記すべきと 考える。今後の対応や調査の進捗状況、調査結果、是正結果は通 報者本人に通知すべきであり、通常、通報者本人はその通知を望 んでいると考える。但し、通報時等に、通報者本人がフィードバ ックの希望について言及しない場合、フィードバックを希望しな 36 い場合も想定されるため、受付担当者がフィードバックの希望の 有無を確認し、通報者本人の希望を踏まえたより丁寧な対応をす ることが望ましいと考える。 109 Ⅱ3(2)② ○通報者に対する是正措置の有無、内容についての通知等の事業者 ○一般に、是正措置を実施しない場合というのは、調査の結果、不 正等の存在が認められなかった場合だと思われますが、調査結果 (是正措置に係る通 の通報を受けて取り組むべき措置において不十分である。通報を の通知を行うことについては記述があるため(案Ⅱ3(2 ) 知) 受けて事業者が是正措置をとった場合の通報者に対する是正結果 ①)、特に問題はないものと考えます。 の通知は努力義務にとどまり、是正措置をとらない場合の通報者 に対する通知には言及がない(是正措置にかかる通知))ため、 通報者の側は事業者に是正を委ねておくことが適切なのかどうか の判断ができない。是正措置をとった場合にはその内容を、執ら ない場合についてもその旨を、通報者に対して通知を行うことと すべきである。 110 Ⅱ3(2)③ ○本ガイドライン案P8「通報者等への謝意の表明」との項の表題 ○御指摘の趣旨を踏まえ、表題を「通報者等に対する正当な評価」 (通報者等への謝意の は、「通報者等に対する正当な評価及び報奨」とすべきである。 とすることとしました。 表明) <修正前>「(通報者等への謝意の表明)」 <修正後>「(通報者等に対する正当な評価)」 111 Ⅱ3(2)③ ○経営トップからの謝意の表明は、通報者の特定につながり、実施 ○例えば、「窓口担当者を介して伝達する」(案Ⅱ3(2)③参 照)、「匿名の通報であっても、通報者と通報窓口担当者が双方 (通報者等への謝意の できないことが容易に想定される。また、企業によっては、経営 向で情報伝達を行い得る仕組みを導入する」(案Ⅲ1(3)③参 表明) トップからの謝意を従業員が正当な評価であると受け止めないこ 照)といった工夫を講じることにより、通報者等の匿名性の確保 ともあり得よう。したがって、「経営トップからの感謝を伝える には十分に留意しつつ、謝意を伝達することは十分可能であると こと」という例示は不適切であり、「経営トップがこれを正当に 考えます。 評価している姿勢を示す」といった程度の記載にとどめ、各企業 の実情に応じて、経営トップの内部通報に対する姿勢を示すこと を促すべきである。なお、経営トップからの謝意の表明は、通報 ○なお、御指摘の趣旨も踏まえ、「例えば」を追記するとともに下 記のとおり修文することとしました。 者の承諾がある場合に、顕名にて、組織への貢献を評価すべく行 うのが自然である。 <修正前>「(略)通報者等に対して、経営トップから感謝を伝 また、謝意目的の不適切な通報への対応についても明記されるべ えること等(略)」 きである。 <修正後>「(略)通報者等に対して、例えば、経営トップ等か ら感謝を伝えること(略)」 112 Ⅱ3(2)③ ○本ガイドライン案Ⅱ3(2)3つ目の表題は、(通報者等への謝 ○御指摘の趣旨を踏まえ、表題を「通報者等に対する正当な評価」 (通報者等への謝意の 意の表明)となっているが、その内容は謝意の表明にとどまるも とすることとしました。 表明) のではなく、通報者に対する正当な評価及び報奨であり、またこ <修正前>「(通報者等への謝意の表明)」 37 の点こそが重要なのであるから、その表題は(通報者等に対する 正当な評価)などとすべきである。 113 Ⅱ3(2)③ ○適切な内容であり、賛成する。 (通報者等への謝意の 表明) <修正後>「(通報者等に対する正当な評価)」 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 114 Ⅱ3(2)③ ○通報者・申告者への手厚い保護対応策については、いまだ具体性 ○本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業種・業態等の実情に (通報者等への謝意の を欠くと言わざるを得ない。すなわち経営者からの謝意の表明に 応じた適切な取組を行う」(案Ⅰ3②参照)ことを妨げるもので 表明) とどまらず、具体的な報奨制や、かかる行為によって被害を受け はありません。 た場合の救済制度や賠償制度等の明示が必要と考える。 ○なお、本ガイドラインには、「通報等をしたことを理由として、 通報者等が解雇その他不利益な取扱いを受けたことが判明した場 合、適切な救済・回復の措置を講じることが必要である。」こと や「通報者等に係るフォローアップ」についても明記しており、 御指摘の趣旨は盛り込まれているものと考えます。 115 Ⅱ3(2)③ ○通報者や調査協力者の状況は様々であり(例えば、通報者が不正 ○どのような場合に「コンプライアンス経営の推進に寄与した」と してその貢献を評価するかについては、各事業者の実情に応じ (通報者等への謝意の 行為関与者である場合やハラスメントの被害者で通報することに て、適切に判断されるべきものであると思われ、必ずしもあらゆ 表明) インセンティブがある場合などもある)、また、個別の通報のコ る場合に一律に評価することを求める趣旨ではありません。 ンプライアンス経営推進への寄与の程度も様々である中、組織へ の貢献を正当に評価する手法として、経営トップからの感謝を伝 えることのみを例示すべきではない。「経営トップからの感謝を ○なお、例えば「窓口担当者を介して伝達する」(案Ⅱ3(2)③ 参照)、「匿名の通報であっても、通報者と通報窓口担当者が双 伝えること」は、とりわけ事業者や職場の規模が小さい場合に 方向で情報伝達を行い得る仕組みを導入する」(案Ⅲ1(3)③ は、通報者の匿名性が害されるおそれや、匿名性が確保されてい 参照)といった工夫を講じることにより、通報者等の匿名性の確 ないのではないかとの不安を通報者に与えるおそれが強く、削除 保には十分に留意しつつ、謝意を伝達することは十分可能である すべきである。 と考えます。 ○また、通報者等に対する正当な評価を行う主体は必ずしも経営ト ップに限られないと考えられることから、下記のとおり修文する こととしました。 <修正前>「(略)通報者等に対して、経営トップからの感謝を 伝えること等により(略)」 <修正後>「(略)通報者等に対して、例えば、経営トップ等か らの感謝を伝えることにより(略)」 38 116 Ⅱ3(2)③ ○通報者等を正当に評価すること(改正ガイドライン案P8「通報 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 (通報者等への謝意の 者等への謝意の表明」・新旧対照表P9「Ⅱ3(2)③」)は、 表明) 通報を活性化させ、法令遵守、ひいては消費者の利益につながる ものとなり得る。 117 Ⅱ3(2)③ ○改正ガイドライン案には「通報者等への謝意の表明」との表題の ○御指摘の趣旨を踏まえ、表題を「通報者等に対する正当な評価」 とすることとしました。 (通報者等への謝意の 項がある(改正ガイドライン案P8・新旧対照表P9)。 表明) しかし、その内容は謝意の表明にとどまるものではなく、当該通 <修正前>「(通報者等への謝意の表明)」 報が単に組織への貢献ということだけではなく、国民生活の安定 及び社会経済の健全な発展に資するものであるという通報者に対 <修正後>「(通報者等に対する正当な評価)」 する正当な評価及び報奨とすべきであり、この点こそが重要なの であるから、表題は「通報者等に対する正当な評価及び報奨」と すべきである。また、これに応じて、「組織への貢献を正当に評 ○また、御指摘のとおり通報者に対する評価は謝意の表明にとどま らないことから、本文中に「例えば」を追記するとともに下記の 価すること」という本文中の表現は、「組織への貢献並びに国民 とおり修文することとしました。 生活の安定及び社会経済の健全な発展への貢献」とすることが望 ましい。 <修正前>「(略)通報者等に対して、経営トップからの感謝を 伝えること等により(略)」 <修正後>「(略)通報者等に対して、例えば、経営トップ等か らの感謝を伝えることにより(略)」 118 Ⅲ1(1)① 秘密保持の重要性 ○通報者等の保護として、通報に係わる秘密保持の徹底は重要なこ ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 とである。5項目を明文化されたことを評価する。 119 Ⅲ1(1)① 秘密保持の重要性 ○一つ目の○の中に「通報者の同意を取得する際には、開示する目 ○原則は、「通報に係る秘密保持の徹底」として明記してありま す。なお、例えば、実効的な調査を行うために真に不可欠である 的・範囲、氏名等を開示することによって生じ得る不利益につい 場合等には、止むを得ず開示について検討する必要性があること て明確に説明する」とあるが、そもそも不利益がある場合には開 も想定されますが、本ガイドライン案の記述は、そのような場合 示されるべきではないと考えられる。原則・例外を明確に記載す における例外について記したものです。 べきである。 120 Ⅲ1(1)① 秘密保持の重要性 ○非常に適切な内容であり、賛成する。 121 Ⅲ1(1)① 秘密保持の重要性 ○「(1)秘密保持の重要性」の一つ目の○(一般的な情報共有の ○調査協力者や経営幹部等は、必ずしも、「通報者の特定につなが り得る情報」を「共有する範囲」(案Ⅲ1(1)①)に含める必 範囲)と、二つ目の○(経営幹部や調査協力者等との情報共有の 要性はないものと考えます。そして、当該「共有する範囲」以外 範囲)、「(4)調査実施における秘密保持」(調査担当者との の者に「情報を伝達する」(案Ⅲ1(1)②)高度の必要性が認 情報共有の範囲)の関係が不明確である。少なくとも事業者が真 められる場合等には、当該伝達する範囲を必要最小限に限定する に必要不可欠と判断する場合、調査担当者も通報者等の特定につ ことが必要であると考えます。 ながり得る情報について、通報者等の同意なく情報を共有できる ことを明確にすべきである。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 39 ○「情報を共有する範囲」と「情報共有が許される範囲」は異なる ○調査を行う際等に、通報者等の特定につながり得る情報を共有す る必要が生じることは御指摘のとおりですが、当該情報が予想外 概念なのか不明である。 に広く共有された場合、通報者が不測の不利益ないし負担を被る 可能性があるため、通報者本人の同意を得ることを徹底すること ○電子メールや電話での通報も多い中、通報者の同意を確認する手 を原則とするべきものと考えます。 段として、電子メールによる同意や、電話による同意でも可であ る旨を明示するべきである。 ○なお、御指摘を踏まえ「情報共有が許される範囲」という表現に 統一し、下記のとおり修文することとしました。 ○「通報者の同意を取得する際に」「開示することによって生じ得 る不利益について明確に説明する」こととされているが、公益通 <修正前>「(略)情報を共有する範囲を必要最小限に限定する 報者保護法においては「公益通報をしたことを理由として、当該 (略)」 公益通報者に対して、降格、減給その他不利益な取扱をしてはな らない」(第5条第1項)とされている。法に基づく運営をする <修正後>「(略)情報共有が許される範囲を必要最小限に限定 限り説明すべき事項はないと考えられることから、削除すべきで ある。 する(略)」 ○調査協力者「等」とは、調査協力者以外にどういった者を含むの ○また、御指摘を踏まえ「電子メール」を追記することとしまし か不明である。 た。ただし、後日の紛争を防ぐ観点から記録に残らない電話等に よる同意の取得は避けるべきものと考えます。 <修正前>「書面等」 <修正後>「書面や電子メール等」 ○残念ながら、法第5条又はその趣旨に反する対応がなされた事案 も認められることから、「生じ得る不利益」というリスクについ て説明することは重要であるものと考えます。 ○調査協力者「等」につきましては、例えば、是正措置の実施に当 たって重要な役割を果たす経営幹部ではない管理職や情報共有が 許される範囲に含まれていない調査担当者が考えられます。 122 Ⅲ1(1)① 秘密保持の重要性 ○「通報者の所属・氏名等や当該事案が通報を端緒とするものであ ○通報者の同意の手段には電子メールも含みますので、その旨を明 ること等、通報者の特定につながり得る情報は、通報者の書面等 確にするため、「電子メール」を追記することとしました。ただ による明示の同意がない限り、情報共有が許される範囲外には開 し、後日の紛争を防ぐ観点から記録に残らない電話等による同意 示しない」とあるが、毎回書面でやりとりすることは現実的では の取得は避けるべきものと考えます。 ないと思われる。メールでは満たせないのか。 <修正前>「書面等」 <修正後>「書面や電子メール等」 40 123 Ⅲ1(1)① 秘密保持の重要性 ○通報の秘密保持に関する記載を充実させ(「秘密保持の重要性」 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 (Ⅲ1(1)①②)、「外部窓口担当者の秘密保持」(Ⅲ 1 (2)②)、「個人情報の保護」(Ⅲ1(3)①)及び「調査と 個人情報の保護」(Ⅲ1(4)①))、匿名の通報も受け付ける ことを求める(「匿名通報の受付と実効性の確保」(Ⅲ1(3) ③))などしており、これらは通報者の秘密保持を強化し、通報 者が不利益を受ける可能性を低減させるものとなり得る。 124 Ⅲ1(1)② 秘密保持の重要性 ○適切な内容であり、賛成する。 125 Ⅲ1(2)① (外部窓口の整備) ○全ての事業者に外部窓口設置を求めることは、やや行き過ぎた要 ○本ガイドライン案は、「可能な限り事業者の外部に通報窓口を整 備することが適当である」(案Ⅱ1(2)①)としているに止ま 請のようにも考えられる。 り、また、「各事業者の規模や業種・業態等の実情に応じた適切 【理由】 な取組を行うこと」を妨げるものではない(案Ⅰ3②)ため、御 内部のヘルプラインに加えて、外部窓口まで設置可能か、又は容 指摘の点にも十分に配慮しているものと考えます。 易か否かは、事業者規模や経営状態にもより、また業種・業態に よって違法状態のリスクがどの程度存在するかにもよるのであ り、全事業者に対して一律に設置を求めることは、やや過大な要 求になる可能性がある。 126 Ⅲ1(2)① (外部窓口の整備) ○公益通報者の保護について、従来以上に詳細な記載でその強化を ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 推進しようとする意志は、外部窓口の充実・活用への示唆等を含 め、かなり進んだことが認められる。 127 Ⅲ1(2)① (外部窓口の整備) ○素案では外部窓口の設置を促していますが、外部窓口は受信と発 ○本ガイドライン案には、「外部窓口担当者の秘密保持」(案Ⅲ1 信の中継機能だけがあれば良いのではなく、倫理性、守秘性、情 (2)②)、「外部窓口の評価・改善」(案Ⅲ1(2)③)、 報の完全性、可用性及び通報受信後の事実確認調査を見越した傾 「第三者による検証・点検等」(案Ⅱ3(1)④)等、外部窓口 聴能力、記録の確保などが同時に求められると考える。素案にそ の質の確保に関する事項についても記載されていると考えます。 ういった記載が必要ではないか。 128 Ⅲ1(2)① (外部窓口の整備) ○経営上のリスクに係る情報を把握する機会を拡充する方策とし ○「公益通報者保護制度に関する実態調査報告書」(平成 25 年6月 消費者庁)P22~23 によれば、通報をする場合に名前を明らかに て、必ずしも外部窓口の設置が必要とは限らず、調査は社内組織 するかどうかという質問に対し、「明らかにしない」が7割を超 で行う必要があることを踏まえれば社内窓口の充実を図ることも え、その理由として、「実名通報には不安がある」が約7割、 十分考えられる。「拡充するため、事業者の外部(例えば、顧問 「不利益な取扱いを受けるおそれがある」が約6割という結果で 弁護士等の法律事務所や民間の専門機関等)にも通報窓口を整備 あったことにも鑑みると、匿名性確保のための有効性が指摘され することも考えられる。」とすべきである。 ている、事業者の外部に通報窓口を整備することは「適当であ る」と考えます。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 ○なお、本ガイドライン案は、「可能な限り事業者の外部に通報窓 口を整備することが適当である」(案Ⅱ1(2)①)としている に止まり、また、「各事業者の規模や業種・業態等の実情に応じ 41 た適切な取組を行うこと」を妨げるものではありません(案Ⅰ3 ②)。 129 Ⅲ1(2)① (外部窓口の整備) ○外部に窓口を置くことを原則・第一選択とするようなガイドライ ○本ガイドライン案では、「経営上のリスクに係る情報を把握する 機会の拡充に努めることが適当である。」(案Ⅱ1(1)③)と ンの記載については、事業者として反対を表明する。全くの第三 いう文脈の中で、「法律事務所や民間の専門機関等に委託する 者的な外部窓口が最適かについては、評価が分かれるからであ 等、事業者の外部に設置すること」も掲げているに止まり、「外 る。例えば、通報の内容を外部窓口がどこまで理解できるのかと 部に窓口を置くことを原則・第一選択とする」ものではありませ いった観点からは、ある程度付き合いがあり事業者の事業内容を ん。 理解している顧問弁護士事務所でないと務まらない場合もあり得 る。また、外部窓口を設けても、結局のところブーメランのよう に事業者内のしかるべき部門に問い合わせや調査で話が戻ってく ○調査実施等は事業者自身が行う方が合理的であることも少なくな いとも考えられ、また、外部窓口は匿名性確保という機能に特化 るのが通例であり、その意味からも外部窓口が原則・第一選択と させるという運用の在り方も十分に想定されます。 して推奨されると受け取れる記載については不適当である。むし ろ、外部窓口の整備も選択肢に含めた複数の窓口の整備を推奨す るほうが、事業者の運営上も、またそれらを選択できる通報者の 利益にも資すると考える。 130 Ⅲ1(2)② ○適切な内容であり、賛成する。 (外部窓口担当者の秘 密保持) ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 131 Ⅲ1(2)② ○電子メールや電話での通報も多い中、通報者の同意を確認する手 ○御指摘を踏まえ、「電子メール」を追記することとしました。た (外部窓口担当者の秘 段として、電子メールによる同意や、電話による口頭での同意で だし、後日の紛争を防ぐ観点から記録に残らない電話等による同 密保持) も可である旨を明示するべきである。 意の取得は避けるべきと考えます。 <修正前>「書面等」 <修正後>「書面や電子メール等」 132 Ⅲ1(2)③ ○中立である外部の通報窓口の評価を更に第三者に実施させること ○外部の通報窓口も様々であると思われるため、例えば、第三者の 目も活用しつつ外部窓口の実効性や信頼性を担保するための措置 (外部窓口の評価・改 は屋上屋を重ねるものであり、コスト面等からも現実的ではな を適切に講じていくことは、有益であると考えます。 善) い。従業員への匿名のアンケートについても、実際に通報した者 にしか実質的な評価はできないはずであり、従業員への匿名のア ンケートを定期的に実施するという趣旨が不明である。定期的に ○また、実際に窓口を利用した経験のある従業員のみならず、利用 者となり得るその他全ての従業員から見た窓口の認知度や信頼性 外部の通報窓口と企業においてコミュニケーションを取る等で企 等を把握し改善につなげていくことは、内部通報制度の実効性の 業自ら評価することが適切である。本記載は全部削除すべきであ 向上を図る上で、有益であると考えます。 る。 ○なお、「定期的に認知度や信頼性を検証するためには、アンケー トの実施が有効となります。」といった指摘もあると承知してお 42 ります(出典:「内部通報制度ガイドライン」(経営法友会法務 ガイドブック等作成委員会編)P36)。 133 Ⅲ1(2)③ ○適切な内容であり、賛成する。 (外部窓口の評価・改 善) ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 134 Ⅲ1(2)③ ○中立・公正な第三者等による点検を行うことが推奨されている ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承るとともに、今 後の業務の参考とさせていただきます。 (外部窓口の評価・改 が、外部窓口事業者に求められる基本要件(例えば、倫理性、守 善) 秘性、情報の完全性、可用性および通報受信後の事実確認調査を 見越した傾聴能力、記録の確保等)を明示すべきではないでしょ うか。その上で、ガイドラインの公表とは別の手段で外部窓口の 具体的な選定基準を詳細に定めることができれば更に良いものに なる。 135 Ⅲ1(2)③ ○中立・公正な第三者等による点検とは、具体的にはどのような ○例えば、事業者におけるCSRや環境等に係る取組の信頼性確保 (外部窓口の評価・改 者・手法を想定しているのか不明である。内部通報制度の整備・ のために、当該取組についての第三者審査や保証を行う民間の専門 善) 運用については、社外役員を含む取締役・監査役により監視・監 機関も存在していると認識しており、そのような機関の活用も一つ 督が行われており、これに加えて、更に別の第三者に点検させる の選択肢として考えられます。 のは屋上屋を架すものである。 ○近時の企業不祥事において、 ・経営トップの意向によって不適切な会計処理が行われている案 件において、内部統制が全く機能していなかった事案 ・経営層自身が隠ぺいを指示又は承認するという状況で、内部通 報制度が機能せず、不正が継続していた事案 などが発生していることにも鑑みると(「公益通報者保護制度の 実効性の向上に関する検討会」第1次報告書(平成 28 年3月)P 3参照)、必ずしも「内部通報制度の整備・運用については、社 外役員を含む取締役・監査役により監視・監督が行われており」 とは言い切れないものと考えられ、上記のような事案に対しても 適切に対処するためには、第三者による点検は有益であると考え ます。 ○本ガイドライン案は、社外役員を含む取締役・監査役等による監 視・監督の運用の実情等に照らし「各事業者の規模や業種・業態 等の実情に応じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではあり ません(案Ⅰ3②)。 ○なお、「中立・公平な第三者等による点検」には各事業者の実情 に応じた柔軟な対応が考えられることから、下記のとおり修文す ることとしました。 43 <修正前>「(略)必要な措置を講じることが適当である。」 <修正後>「(略)必要な措置を講じることが望ましい。」 ○「中立・公正な第三者等による点検」については、必ずしも外部 の評価機関等による点検に限られるものではなく、中立・公正が 担保されているのであれば、例えば社外取締役や監査役等による 点検も、含まれ得るものと考えられます。 136 Ⅲ1(3)① (個人情報の保護) ○第二の○において、「関係者の固有名詞を仮称表記にする」こと ○一般に、通報事案に係る記録・資料において関係者の固有名詞を が必要とされているが、あくまで対応の例示である旨を明確にす 仮称表記にすることは、個人情報保護の徹底のために有益である べきである。 と考えられます。 ○なお、個人情報保護の徹底を図るための方策には、多様なものが 考えられるため、御指摘を踏まえ「例えば」を追記することとし ました。 <修正前>「また、以下のような措置を講じ(略)」 <修正後>「また、例えば、以下のような措置を講じ(略)」 137 Ⅲ1(3)① (個人情報の保護) ○適切な内容であり、賛成する。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 138 Ⅲ1(3)① (個人情報の保護) ○通報受信手段としてWEBフォームを活用する企業があります。 ○御指摘の点については、実質的には、「第三者による検証・点検 等」(Ⅱ2(1)④)や「評価・改善」(Ⅳ2①)に含まれ得る WEBフォームは匿名通報を受信する業務の性質上、アクセス者 ものと考えます。 を認証することが困難なため一定レベルのセキュリティを保つこ とは簡単なことではないと考えます。専門家による診断等の必要 性について明記してはいかがか。 139 Ⅲ1(3)① (個人情報の保護) ○関係者の個人情報を保護する方法は、上記のようなものに限られ ○御指摘を踏まえ、個人情報保護の徹底を図るための方策には、多 様なものが考えられるため、「例えば」を追記することとしまし ず、多様な手段が考えられる。したがって、「以下のような措置 た。 を講じ、個人情報保護の徹底を図ることが必要である」とすべき ではない。「以下のような措置を講じ、個人情報保護の徹底を図 <修正前>「また、以下のような措置を講じ(略)」 ることが考えられる」とすべきである。 <修正後>「また、例えば、以下のような措置を講じ(略)」 ○また、仮称表記には、通報事案の処理を迅速に進めることが困難 になったり、表記の方法によっては個人を絞りこむことにつなが ったりする(例えば、A子と記載すれば、関係者の性別が女性と ○なお、仮称表記の仕方は必ずしも人物名を念頭に置いたものでは 特定されてしまう。)デメリットもある。したがって、「関係者 なく、御指摘のようなケースでは性別を推測させるA子とする必 の固有名詞を仮称表記にする」ことは、削除すべきである。 然性はなく、単にAで良いと考えられます(逆に男性であるAを 44 あえてA子とするという仮称表記は匿名性確保の観点から有効な 場合もあると考えられます。)。さらに、例えば受付番号のよう な数字を用いた表記も考えられ、個人を絞り込むことにつながら ない様々な工夫が考えられます。また、仮称表記であることが事 案処理の迅速性を損なうという場合としてどのような場合を想定 されているのかは不明ですが、コンピュータソフトの各種機能 (例えば特定の用語の置き換え機能等)を活用することにより事 案処理の迅速性を害することも十分避けられるものと考えます。 140 Ⅲ1(3)① (個人情報の保護) ○コンプライアンス維持に内部通報制度は必須のものであり、より ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承るとともに、今 後の業務の参考とさせていただきます。 良い会社を作っていくためにも重要な仕組みだと確信する。 ただ特に中小企業においては、まだまだ内部通報の価値を経営者 側が理解していないケースが多く、また内部通報者が特定される ケースも多いと思われる。 内部通報者には、解雇、減給に至らないまでも、人事評価での主 観的な低評価にもつながりかねない。 また、企業の秘密保護、個人情報の保護の観点から、守秘義務に ついて法定担保されている国家資格者で、人事労務の専門家であ る社会保険労務士制度を活用いただければ、企業にとっても労働 者にとっても安全安心で、内部通報制の運用拡大にも貢献でき る。 141 Ⅲ1(3)② ○通報者本人が自らの情報を管理することはあくまで自己責任であ ○事業者の側が、どれほど通報者保護や匿名性確保のための努力を (通報者本人による情 ることを明記すべきである。企業又は通報先に理解させる義務を 徹底しても、通報者自身による職場での言動や振る舞いから通報 報管理) 負わせることは過剰であり、本人が理解せず、自ら情報を漏洩し 者であることが推認され、通報者に対する不利益な取扱いが生じ た場合に、理解させなかった企業又は通報先が責任を負うかのご た場合には、事業者のそれまでの努力を全て無にすることになり とき記載は不適切である。 かねません。 ○従業員に対する制度の周知の一環として、また、窓口担当者と通 報者とのやりとりの一環として、自分が通報者であることを周囲 に悟られかねない言動や振る舞いは慎むことが適当である旨を従 業員に伝えていくことは、特段の負担になるとは思われず、ま た、事業者自身の利益にもつながる重要な取組であると考えま す。 ○なお、御指摘のとおり、個々のケースに応じて適切な対応を取る ことも必要と考えられることから、下記のとおり修文することと しました。 45 <修正前>「(略)通報者本人にも十分に理解させることが必要 である。」 <修正後>「(略)通報者本人にも十分に理解させることが望ま しい。」 142 Ⅲ1(3)② ○適切な内容であり、賛成する。 (通報者本人による情 報管理) ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 143 Ⅲ1(3)② ○通報者本人が秘匿されるための権利を放棄することは、通報者の ○事業者の側が、どれほど通報者保護や匿名性確保のための努力を (通報者本人による情 判断に基づく自己責任の範疇であり、あえてガイドラインに記載 徹底しても、通報者自身による職場での言動や振る舞いから通報 報管理) する必要はない。 者であることが推認され、通報者に対する不利益な取扱いが生じ た場合には、事業者のそれまでの努力を全て無にすることになり かねません。 ○従業員に対する制度の周知の一環として、また、窓口担当者と通 報者とのやりとりの一環として、自分が通報者であることを周囲 に悟られかねない言動や振る舞いは慎むことが適当である旨を従 業員に伝えていくことも考えられ、さらに、事業者自身の利益に もつながる取組であるとも考えられます。 ○なお、御指摘のとおり、個々のケースに応じて適切な対応を取る ことも必要と考えられることから、下記のとおり修文することと しました。 <修正前>「(略)通報者本人にも十分に理解させることが必要 である。」 <修正後>「(略)通報者本人にも十分に理解させることが望ま しい。」 144 Ⅲ1(3)② ○通報者本人から情報流出した場合、被通報者や関係者同様に漏え ○御指摘のようなケースが懲戒処分に当たるか否かについて一律に (通報者本人による情 いに対して懲戒処分を課すことは可能か。 判断することは困難であり、漏えいした情報内容や影響等を総合 報管理) 的に勘案して、個別に判断されるべきものと考えます。 145 Ⅲ1(3)③ ○全事業者に対して「匿名通報の受付」とその対応まで要請するの ○御指摘のような問題への対策としては、例えば、匿名の通報に関 (匿名通報の受付と実 はやや行き過ぎのきらいがあるように考えられる。「望ま し しては「ネット回線」を通じた受付を行わないといった運用が考 効性の確保) い。」程度の表現ではどうか。 えられるように思われます。 【理由】 46 ネット回線を通じて匿名情報を収集する場合、時には無責任又は ○また、外部窓口を活用することによって、外部窓口に対しては顕 名で通報相談を行うこととするが、事業者側には通報者の個人情 悪戯で不確実な情報が大量に寄せられるようなことが事案によっ 報は捨象して通報内容だけを伝達するといった工夫を講じること ては報告されている。やはり原則としては顕名の通報とし、しか も考えられます。 し、問題の重大性によっては匿名通報に対しても対応を検討すべ きである程度の表現で足りると考えられる。 ○さらに、通報窓口の連絡先は、従業員にしか開示しないようにし たり、匿名の通報は許容するものの従業員であることは何らかの 方策によって確認するといった工夫を講じることも考えられま す。 146 Ⅲ1(3)③ ○匿名通報の受信については、通報者の安心感を高めるという点で ○本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業態等の実情に応じた 適切な取組を行う」(案Ⅰ3②)ことを妨げるものではないの (匿名通報の受付と実 不可欠なものと理解しております。しかし、一方で多くの通報事 で、御指摘のような方法も否定するものではありません。 効性の確保) 案の解決に通報者の協力が欠かすことができないことも事実であ り、調査担当者が直接通報者と面談した上で事案の解決を図るこ とは重要な手続ともなっている。全ての事案で匿名を保持したま ま解決することは難しい、という点についても付記してはいかが か。 147 Ⅲ1(4)① ○「工夫を講じることが考えられる」といった記載に改め、講じる ○御指摘を踏まえ、「例えば」を追記することとしました。 (調査と個人情報の保 べき工夫が例示にすぎないことを明確にすべきである。 護) <修正前>「調査の端緒が通報であることを関係者に認識させな いよう、以下のような工夫を講じることが必要である。」 <修正後>「調査の端緒が通報であることを関係者に認識させな いよう、例えば、以下のような工夫を講じることが必要であ る。」 148 Ⅲ1(4)① ○「(1)秘密保持の重要性」の一つ目の○(一般的な情報共有の ○調査協力者や経営幹部等は、必ずしも、「通報者の特定につなが り得る情報」を「共有する範囲」(案Ⅲ1(1)①)に含める必 (調査と個人情報の保 範囲)と、二つ目の○(経営幹部や調査協力者等との情報共有の 要性はないものと考えられます。そして、当該「共有する範囲」 護) 範囲)、「(4)調査実施における秘密保持」(調査担当者との 以外の者に「情報を伝達する」(案Ⅲ1(1)②)場合には、当 情報共有の範囲)の関係が不明確である。少なくとも事業者が真 該範囲を必要最小限に限定することが必要であると考えられま に必要不可欠と判断する場合、調査担当者も通報者等の特定につ す。 ながり得る情報について、通報者等の同意なく情報を共有できる ことを明確にすべきである。 ○個人情報保護の徹底は通報者保護の観点から特に重要といえ (「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」第1次 ○「通報者が特定されることを困難にするため」慎重な調査は必要 報告書(平成 28 年3月)P6参照)、本人の同意を得ることの重 であるが、パワハラなどに対しては、通報者の同意を得た上で、 要性は実例とともに把握しております(第2回「公益通報者保護 具体的な行為を特定しないと解決に至らない。また、事案の緊急 制度の実効性の向上に関する検討会」参考資料〔参考2-1〕P 性や重要性等に応じて、工夫を講じることが困難な場合もあり得 3参照)が、通報者の同意なしに情報共有が行われるべき必要性 る。通報者等が特定されることを困難にするための工夫について については特に把握しておりません。 は、「以下のような工夫を講じることが必要である」ではなく 47 「以下のような工夫を講じることが考えられる」とすべきであ る。 ○なお、御指摘の趣旨も踏まえ、通報者等が特定されることを困難 にする方策には多様なものが考えられることから、「例えば」を 追記することとしました。 <修正前>「調査の端緒が通報であることを関係者に認識させな いよう、以下のような工夫を講じることが必要である。」 <修正後>「調査の端緒が通報であることを関係者に認識させな いよう、例えば、以下のような工夫を講じることが必要であ る。」 149 Ⅲ2① ○通報者が通報したことによる解雇・不利益扱いの禁止がある。通 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 (解雇・不利益取扱い 報者に不利益な取扱いをしてはならないとあるが、通報者を守る の禁止) ことはこの公益通報者保護法が成果を上げるにはとても重要な課 題である。 150 Ⅲ2① ○適切な内容であり、賛成する。 (解雇・不利益取扱い の禁止) ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 ○御指摘の趣旨を踏まえ、第2項を設け、「逐条解説 公益通報者 151 Ⅲ2① ○具体例示に、以下文言を追記すべきと考える。 保護法」(平成 28 年4月 消費者庁消費者制度課編)P126 にお (解雇・不利益取扱い ・内部規程や公益通報者保護法の要件を満たす通報(中略)を理由 ける「不利益な取扱い」の内容についての記載を基に、次のとお の禁止) として、通報者等や関係会社・取引先に対し、解雇・不利益取扱 り不利益な取扱いの具体的内容を明記することとしました。 い(懲戒処分、降格、減給、配転、出向、転籍、退職強要、要注 意者対象者名簿への掲載、継続的取引等の停止・解除といった報 <修正前>「(略)通報者等に対し、解雇・不利益取扱い(懲戒 復的不利益取扱い、損害賠償請求、事実上の嫌がらせ等)をして はならない。 処分、降格、減給、損害賠償請求、事実上の嫌がらせ等)をし 【理由】 てはならない。」 「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」第1次報 告書(平成 28 年3月)P44 に記載の「禁止される不利益取扱い <修正後>「(略)通報者等に対し、解雇その他不利益な取扱い の内容」を的確に反映する観点から、通報者等が受ける労務上の をしてはならない。 不利益取扱い、関係会社・取引先が受ける不利益取扱いの具体的 な内容について、明確化すべきと考える。例示を記載する以上、 一般的に考え得る不利益取扱いは記載すべきと考える。 ○前項に規定するその他不利益な取扱いの内容としては、具体的 には、以下のようなものが考えられる。 従業員たる地位の得喪に関すること(退職願の提出の強要、 労働契約の更新拒否、本採用・再採用の拒否、休職等) 48 人事上の取扱いに関すること(降格、不利益な配転・出向・ 転籍・長期出張等の命令、昇進・昇格における不利益な取扱 い、懲戒処分等) 経済待遇上の取扱いに関すること(減給その他給与・一時 金・退職金等における不利益な取扱い、損害賠償請求等) 精神上生活上の取扱いに関すること(事実上の嫌がらせ 等)」 152 Ⅲ2① ○不利益な取扱いについては、ある程度の基準を事前に定めておか ○異動の記録の残し方に係る御指摘等につきましては、今後の業務 の参考とさせていただきます。 (解雇・不利益取扱い ないと、社内での認定が非常に難しくなることが考えられます。 の禁止) 異動か左遷か、配置転換か担当外しか、は外見上の区別が簡単に はできない。不利益取扱い禁止を厳格に運用するためには、弁護 士等の第三者の関与や、(退職者についても考慮し)不利益取扱 いか否かを事後に判定できる、異動の記録の残し方を義務付ける 必要があるのではないか。 153 Ⅲ2① ○現行のホームページ上のQA上(http://www.caa.go.jp/plannin ○御指摘のような「通報者が公益通報するために社外秘である書類 を持ち出したり権限を逸脱した行為を行った場合に、法令や内部 (解雇・不利益取扱い g/koueki/gaiyo/faq-ho-seido.html#q19)には、「Q21通報する 規則に照らしどのように通報者を取り扱うのが適切か」は、いか の禁止) ために、労働者が法令や内部規則に違反して、法令違反行為を証 なる「社外秘」なのか、また、いかなる「法令」や「内部規則」 明する資料等を持ち出した場合、本法の規定により不利益な取扱 に照らすのかといった点に依存せざるを得ず、具体的な事案ごと いは禁止されるか。A 通報者による通報が本法の「公益通報」( に実質的に判断されるべきものであり、一律に述べることは困難 本法第2条第1項各号列記以外の部分)に当たる場合、公益通報 であると考えます。 を理由とした解雇等の不利益な取扱いは本法の規定により禁止さ る。しかし、それとは別に、法令違反や内部規則違反を理由とし た不利益な取扱いについては、事例ごとに判断されることとなり ○なお、本ガイドライン案は、基本的に、各事業者内部において構 築される内部通報制度に係るものです。御指摘のような「法令違 ます。」との記載がある。このような判断がグレーになりかねな 反行為を証明する資料等を持ち出した場合」に関しては、一般 い事態にこそガイドラインが必要なのではないか。通報者が公益 に、事業者外部(行政機関、報道機関等)への通報に際して論じ 通報するために社外秘である書類を持ち出したり権限を逸脱した られ得る問題であると考えます。 行為を行った場合に、法令や内部規則に照らしどのように通報者 を取り扱うのが適切かについて、QAよりも踏み込んだより明確 な基準をガイドライン上示すほうが、ガイドラインの趣旨にかな うのではないか。 154 Ⅲ2② ○通報等をしたことを理由として解雇・不利益取扱いを行った者に ○違反者に対して講じるべき措置の内容や程度は、個々の事案にお (違反者に対する措 対しては懲戒処分その他適切な措置を講じることが必要である、 ける違反の程度や情状等の諸般の事情を総合的に考慮して、各事 置) とあるが懲戒の内容は様々である。 業者が適切に判断することが適切であると考えます。 ○懲戒解雇など厳罰をもって処することを明示すべきである。 49 155 Ⅲ2② ○内容は適切であるが、前段の「通報等をしたことを理由として解 ○御指摘の内容の「その理由を明示したか否かを問わず」の部分 は、原案においても当然の前提としておりますので、あえて明示 (違反者に対する措 雇・不利益取扱いを行った者に対しては」の部分は、「(その理 する必要性は特にないものと考えます。 置) 由を明示したか否かを問わず)通報等をしたことを理由として、 当該通報者等に対して解雇・不利益的取扱いを行った者に対して は」としてはどうか。 【理由】 文意を少し明確化した。 156 Ⅲ2② ○不利益な取扱いには、権限のある者からの上からの圧力以外に ○本ガイドライン案においては、体制の整備・運用に係る名宛人は 原則として事業者ですが、解雇その他不利益な取扱いの禁止に係 (違反者に対する措 も、同僚など横方向からの無視等により職場で孤立させる等の嫌 る名宛人は、人事や業務に係る権限を行使した個人や事実上の嫌 置) がらせも排除されるものではないと理解できる。一方で、Ⅲ2 がらせ等をした個人も想定されます。 (違反者に対する措置)において、「通報したことを理由として 解雇・不利益取扱いを行った者に対しては、」とあるが、事実上 の嫌がらせ以外の不利益取扱い(懲戒処分、降格、減給、損害賠 ○なお、各種の法律上、労働者に対して解雇その他不利益な取扱を した「者」を名宛人として、当該行為を禁止している用例も複数 償請求)については、一定の組織を備えた事業者であればこれら あることに鑑みると、御指摘のような問題は特にないものと考え を行うのは事業者としての判断であり、個人である「者」に対し ます。 懲戒処分その他適切な措置を講じるという書き方は記載に一貫性 がない。本ガイドラインが、民間事業者を名宛人とするものであ るとの構成からして、また、Ⅲ2(違反者に対する措置)の文脈 においても、事業者に対する「適切な措置」なのか、不利益行為 を行った者や事業者としての意思決定に関与した者に対する「懲 戒処分その他適切な措置」を求めるものなのか、整合的な記載を お願いしたい。なお、上記の趣旨に鑑み、事実上の不利益取扱い については、「~してはならない。」ではなく「~させてはなら ない。」との記載が正確であると思われる。 157 Ⅲ2② ○不利益取扱の抑止通報等をしたことを理由として、不利益取扱い ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 (違反者に対する措 を行った者や通報等に関する秘密を漏洩した者に対する懲戒処分 置) その他適切な措置を講じること(「違反者に対する措置」(Ⅲ- 2②))は、そのような行為を抑止し、通報者が不利益を受ける 可能性を低減させるものとなり得る。 158 Ⅲ2③ (予防措置) ○適切な内容であり、賛成する。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 159 Ⅲ2③ (予防措置) ○御指摘の、通報者が不利益な取扱いを受けた際の「救済・回復」 ○(予防措置)の後に、以下項目を新たに設けるべきと考える。 については、Ⅲ2①に第3項を設けて「通報等をしたことを理由 (救済・回復の措置) として、通報者等が解雇その他不利益な取扱いを受けたことが判 ○通報等をしたことを理由として解雇・不利益取扱いを受けた通 明した場合、適切な救済・回復の措置を講じることが必要であ 報者等に対する適切な救済・回復の措置を講じることが必要で る。」の一文を追記することとしました。 ある。 【理由】 50 「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」第1次報 告書(平成 28 年3月)P7に記載の「不利益な取扱いを受けた者 に対する救済・回復措置」を的確に反映する観点から、不利益取 扱いの禁止だけではなく、通報者が不利益取扱いを受けた際の 「救済・回復」についても、ガイドラインに明記すべきと考える。 そのことが、通報者の安心、内部通報制度の活用促進に寄与する ことに加え、本来発生させてはならない不利益取扱いが生じてし まった際の通報者保護にもつながる。また、Ⅳ1通報者等に係る フォローアップには、「不利益取扱いが認められる場合には、経 営幹部が責任を持って救済・回復するための適切な措置を講じる ことが必要」と記載されているが、不利益取扱いが発生してから では遅く、未然に防止する観点からも、「救済・回復」に係る事 項をあらかじめ内部規程に明記すべきと考える。 160 Ⅲ3 ○いわゆる社内リニエンシーは、懲戒処分等が減免されることか ○実際に社内リニエンシー制度を導入している企業も存在しており ますが、それらの制度において、御指摘のような点は特に問題に 自主的に通報を行った ら、違法・違反行為を助長しかねない危険性があり、また、違 なってはいないものと認識しております。 者に対する処分等の減 法・違反行為を行った本人が懲戒処分を免れる目的で悪用するこ 免 とも想定され、内部通報制度の趣旨が損なわれかねない。さら に、例えば、業務上横領や重要な営業機密の持ち出し等、懲戒解 ○なお、「不正者本人が通報した場合に処分を減軽する制度があれ ば、本人が不正行為を中断し、自ら通報されることが期待されま 雇処分以外の処分が考えられない事案も想定されよう。公益通報 す」、「処分減軽を何らかの形で明確化することを今後の検討課 者保護法に直接規定されているわけではない内部通報制度におい 題として捉えておくことは必要であると思われます」(出典: て、通報した違反者をどのように処分するかは、そもそも各企業 「内部通報制度ガイドライン」(経営法友会法務ガイドブック等 の判断に委ねられるべきものである。いまだ社内リニエンシーに 作成委員会編)P39)といった指摘が民間企業関係者による委員 ついての社会的議論が熟していない中で、ガイドラインに記載す 会において平成 16 年になされてから既に約 12 年が経過している ることは甚だ不適切である。本記載は全部削除すべきである。 こと、また、上述のとおり実際に社内リニエンシー制度を導入し ている企業も存在していること、さらに、社内リニエンシー制度 の導入を含めたガイドライン改正の方向性については、経済界を 含む各界の有識者・実務家からなる検討会で昨年度に約1年間か けて議論された結果をまとめた報告書(「公益通報者保護制度の 実効性の向上に関する検討会」第1次報告書(平成 28 年3月)P 7)にも明記されていることからも、本記載は必要なものである と考えます。 ○なお、内部通報制度を有効に機能させ、「コンプライアンス経営 の推進を図るため」の方法は、自主的に通報を行った者に対する 処分等の減免のほかにも考えられることから、御指摘の趣旨も踏 まえ、下記のとおり修文することとしました。 51 <修正前>「(略)問題の早期発見・解決に協力した場合には、 当該者に対する懲戒処分等を減免する仕組みを整備することが 適当である。」 <修正後>「(略)問題の早期発見・解決に協力した場合には、 例えば、その状況に応じて当該者に対する懲戒処分等を減免す ることができる仕組みを整備することも考えられる。」 161 Ⅲ3 ○通報者の通報に必要な資料の取得については、不正の利益を得、 ○本ガイドライン案は、基本的には、各事業者内部において構築さ 自主的に通報を行った 他人に損害を与え、又はその他不正の利益を図る目的でない限 れる内部通報制度に係るものです。御指摘のような「通報者の通 者に対する処分等の減 り、公益通報を行うために必要な資料の取得に係る行為が懲戒処 報に必要な資料の取得行為」に関しては、一般に、事業者外部へ 免 分に該当しない旨の記載が盛り込まれておらず、不十分である。 の通報に際して論じられ得る問題であると認識しております。 162 Ⅲ3 ○いわゆる「社内リニエンシー」の目的と方向性については賛同で ○実際に社内リニエンシー制度を導入している企業も存在していま すが、それらの制度において、御指摘のような点は特に問題にな 自主的に通報を行った きるが、このような制度は、弊害も考えられるのであり、本ガイ ってはいないものと認識しております。御指摘のような点は、各 者に対する処分等の減 ドラインにより一律に要請することが適切か否かについては議論 事業者における適切な運用によって十分に回避することが可能で 免 の余地がある。 あると思われます。 【理由】 社内リニエンシーの弊害としては、例えば当該通報対象事実たる 違法行為の首謀者格であった職員だけがいち早く自主的通報を行 ○なお、「法令違反等に係る情報を可及的速やかに把握し、コンプ ライアンス経営の推進を図るため」の関連する方策には、様々な い、自らの指示に従わせて違法行為を実行させていた部下の職員 あり方が考えられることから、下記のとおり修文することとしま らだけに責任を押し付けてしまうというような弊害が想定され した。 る。しかし、他方において確かに違法実態を可及的速やかに発 見・摘発するという目的からすると有用な制度とは考えられる <修正前>「(略)問題の早期発見・解決に協力した場合には、 が、上記のような倫理的な疑問点も存在するので、同制度の採用 当該者に対する懲戒処分等を減免する仕組みを整備することが の可否については各企業体の個別判断に委ねざるを得ないのでは 適当である。」 ないかと考える。 <修正後>「(略)問題の早期発見・解決に協力した場合には、 例えば、その状況に応じて当該者に対する懲戒処分等を減免す ることができる仕組みを整備することも考えられる。」 163 Ⅲ3 ○従業員の処分等については、就業規則等の規定によるものとして ○今後の業務の参考にさせていただきます。 自主的に通報を行った いるが、現状では、就業規則等に従業員の処分等を減免する場合 者に対する処分等の減 について定めた規定は設けられていない。今後、自主的に通報を ○なお、内部規程例及び第3回「公益通報者保護制度の実効性の向 免 行った者に対する処分等の減免に関する規定例等を示す予定はあ 上に関する検討会」参考1(P10~11)では、実際に社内リニエ るか。 ンシー制度を導入している企業における内部規程の例を紹介して おります。 52 ○違法行為又は不法行為等に加担したものに対するリニエンシー制 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 164 Ⅲ3 度の導入による公益の確保についても、新たに言及したことで今 自主的に通報を行った 後のガバナンスの在り方への明確な方向付けがなされたと考え 者に対する処分等の減 免 る。 165 Ⅲ3 ○速やかな解決を図るためにも、調査着手後の協力についての減免 ○御指摘を踏まえ、「調査開始前に」を削除することとしました。 に関する記載も検討してみてはいかがか。 自主的に通報を行った 者に対する処分等の減 <修正前>「(略)法令違反等に関与した者が、調査開始前に自 免 主的な通報や調査協力をする等、問題の早期発見・解決に協力 した場合には、(略)」 <修正後>「(略)法令違反等に関与した者が、自主的な通報や 調査協力をする等、問題の早期発見・解決に協力した場合に は、(略)」 166 Ⅲ3 ○自主的に通報を行った者に対する処分等の減免(社内リニエンシ ○ 自主的に通報を行った ー)については、例えば、横領を行った者自らが通報を行った場 ○「法令違反等に係る情報を可及的速やかに把握し、コンプライア ンス経営の推進を図るため」の関連する方策には、様々なあり方 者に対する処分等の減 合に、司法が有罪と判断する一方で、社内規程上は、懲戒処分の が考えられることから、下記のとおり修文することとしました。 免 対象とはしないとすることが、事業者の対応として現実的でな く、また、違法行為をしても自主的に通報すればよいという誤っ <修正前>「問題の早期発見・解決に協力した場合には、当該者 た認識の広がりによる社内のモラル低下、経営に著しい損害を与 に対する懲戒処分等を減免する仕組みを整備することが適当で えた違法行為の主導者が自主的に通報したような場合に当該主導 ある。」 者の処分が減免されることへの社内外の納得感の欠如やイメージ 低下の懸念等、様々なデメリットがあることから、導入の適否に <修正後>「問題の早期発見・解決に協力した場合には、例え ついては各事業者の判断に委ねるべきであり、「仕組みを整備す ることが適当である」とすべきではない。「仕組みの整備を検討 ば、その状況に応じて当該者に対する懲戒処分等を減免するこ することも一例として考えられる。」とすべきである。 とができる仕組みを整備することも考えられる。」 167 Ⅲ3 ○社内リニエンシーの導入いわゆる社内リニエンシー制度の導入 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 自主的に通報を行った (改正ガイドライン案P11 以下「自主的に通報を行った者に対す 者に対する処分等の減 る処分等の減免」・新旧対照表P13「Ⅲ3」)も、通報者に対し 免 て違法行為等に関与したことを理由に不利益処分がなされる事例 が過去に見られたことから、通報者の保護に資するものとなり得 る。 168 Ⅲ3 ○通報者の通報に必要な資料の取得行為の懲戒処分非該当が盛り込 ○本ガイドライン案は、基本的には、各事業者内部において構築さ 自主的に通報を行った まれておらず、通報者に対する是正措置の有無、内容についての れる内部通報制度に係るものです。御指摘のような「通報者の通 者に対する処分等の減 通知等の事業者の通報を受けて取り組むべき措置において不十分 報に必要な資料の取得行為」に関しては、一般に、事業者外部へ 免 である。 の通報に際して論じられ得る問題であると認識しております。 53 169 Ⅳ1① ○全ての通報についてフォローアップを行うことは不合理であり、 ○内部通報制度の実効性を高め、コンプライアンス経営を推進する (通報者等に係るフォ 形骸化のおそれもある。各企業が必要に応じ行えば足りる旨を明 ためには、是正措置及び再発防止策が十分に機能しているか、通 ローアップ) 確にすべきである。 報等を行ったことを理由とした不利益な取扱いが行われていない かといった点について、原則として、全ての通報についてフォロ ーアップを行うことが有益であると考えます。 ○なお、本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業種・業態等の 実情に応じた適切な取組を行うこと」(Ⅰ3参照)を妨げるもの ではありません。 170 Ⅳ1① ○非常に適切な内容であり、賛成する。 (通報者等に係るフォ ローアップ) ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 171 Ⅳ1② ○適切な内容であり、賛成する。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 (是正措置に係るフォ 【理由】 ローアップ) コンプライアンスにおけるPDCAサイクルの考え方(継続的な システムの常時見直し)に沿った措置であり適切である。 172 Ⅳ1③ ○取引先の従業員からの通報について、通報先が「必要な措置」を ○取引先の従業員からの通報について、通報先が必要な措置を講じ (グループ企業等に係 講じることは非現実的であり、本記載から取引先の従業員からの ることとしている事業者が存在していることに鑑みると、現実的 るフォローアップ) 通報に関する部分を削除すべきである。 なものであると考えます。 173 Ⅳ1③ ○適切な内容であり、賛成する。 (グループ企業等に係 るフォローアップ) ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 ○御指摘の趣旨を踏まえ、「通報に係る秘密保持に十分配慮しつ 174 Ⅳ1③ ○以下のとおり、文言を修正し、追記すべきと考える。 つ、可能な範囲で、」を追記することとしました。 (グループ企業等に係 ○関係会社・取引先の従業員からの通報を受け付けている場合に るフォローアップ) は、その通報内容が当該従業員の在籍している会社に係る通報の <修正前>「関係会社・取引先からの通報を受け付けている場合 場合と通報を受け付けた会社(親会社等)に係る通報の場合とに において、通報者等が当該関係会社・取引先の従業員である場 関わらず、当該関係会社・取引先に対して、通報者等本人の置か 合には、当該関係会社・取引先に対して、(略)」 れている状況や、通報者等本人の希望の有無等を慎重に確認した 上で、通報者等へのフォローアップや保護を要請する等、当該関 <修正後>「関係会社・取引先からの通報を受け付けている場合 係会社・取引先において通報者等が不利益取扱いを受けないよ において、通報者等が当該関係会社・取引先の従業員である場 う、必要な措置を講じることが望ましい。 合には、通報に係る秘密保持に十分配慮しつつ、可能な範囲 また、当該関係会社・取引先に係る通報であった場合には、当該 関係会社・取引先に対して、是正措置及び再発防止策が十分に機 で、当該関係会社・取引先に対して、(略)」 能しているかを確認する等、必要な措置を講じることが望まし い。 【理由】 54 関係会社・取引先の従業員が通報する内容は、「当該従業員が在 籍している会社に係る通報」と「通報を受け付けた会社(親会社 等)に係る通報」の二通りがあることを明確にすべきと考える。 その上で、「当該従業員が在籍している会社に係る通報」の場 合、通報を受け付けた会社(親会社等)と通報者等本人には雇用 関係はなく、通報を受け付けた会社(親会社等)には、その通報 者等本人を守ることができないため、フォローアップや保護の要 請は、通報者等本人の希望の有無等を確認するなど、慎重に行う べきと考える。 また、「通報を受け付けた会社(親会社等)に係る通報」の場合 であっても、通報を理由として、関係会社・取引先が通報者等本 人に対して、不利益取扱い行う可能性があるため、フォローアッ プや保護の要請は、通報者等本人の希望の有無等を確認するな ど、慎重に行うべきと考える。 175 Ⅳ1③ ○関係会社・取引先の従業員が通報者となった場合、「当該関係会 ○本ガイドライン案は「各事業者の規模や業種・業態等の実情に応 じた適切な取組を行う」(案Ⅰ3②参照)ことを妨げるものでは (グループ企業等に係 社・取引先において通報者が不利益扱いを受けないよう、必要な なく、各事業者において適切な取組が行われることが期待されて るフォローアップ) 措置を講じることが望ましい」とされているが、グループ会社で いるといえ、グループ企業における関係も多様であることを踏ま も出資比率により親会社からの独立性は様々であり、ましてや取 え「望ましい」と記載しております。 引先は基本的に独立した事業者である。本記述にあるような措置 が実効ある形で執れない懸念がある。また、通報に係る秘密保持 ○秘密保持については、案Ⅲ1(1)(秘密保持の重要性)や案Ⅲ が困難となる可能性も高い。 1(3)(通報の受付における秘密保持)において配慮されてい 以下のように修正すべきである。 ると考えます。 <修正案> (グループ企業等に係るフォローアップ) ○関係会社・取引先からの通報を受け付けている場合において、 ○なお、御指摘の趣旨を踏まえ、下記のとおり修文することとしま した。 通報者等が当該関係会社・取引先の従業員である場合には、当 該関係会社・取引先に対して、通報者等へのフォローアップや <修正前>「関係会社・取引先からの通報を受け付けている場合 保護を要請する等、当該関係会社・取引先において通報者等が において、通報者等が当該関係会社・取引先の従業員である場 不利益取扱いを受けないよう、秘密保持に十分に配慮しつつ、 合には、当該関係会社・取引先に対して、(略)」 可能な範囲で必要な措置を講じることが望ましい。また、当該 関係会社・取引先に対して、是正措置及び再発防止策が十分に <修正後>「関係会社・取引先からの通報を受け付けている場合 機能しているかを確認する等、可能な範囲で適切にフォローア において、通報者等が当該関係会社・取引先の従業員である場 ップすることが望ましい。 合には、通報に係る秘密保持に十分配慮しつつ、可能な範囲 で、当該関係会社・取引先に対して、(略)」 176 Ⅳ2① (評価・改善) ○内部通報制度の評価・改善を行うことは当然であるが、第三者機 ○近時の企業不祥事において、 関等の活用については各企業の判断に委ねられるべきことであ ・経営トップの意向によって不適切な会計処理が行われている案 る。 件については、内部統制は全く機能していなかった事案 55 ・経営層自身が隠ぺいを指示又は承認するという状況で、内部通 報制度が機能せず、不正が継続していた事案 などが発生していることにも鑑みると(「公益通報者保護制度の 実効性の向上に関する検討会」第1次報告書(平成 28 年3月)P 3参照)、第三者機関等の活用は有益であると考えます。 177 Ⅳ2① (評価・改善) ○適切な内容であり、賛成する。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 【理由】 コンプライアンスにおけるPDCAサイクルの考え方(継続的な システムの常時見直し)に沿った措置であり適切である。 178 Ⅳ2① (評価・改善) ○制度の具体的検討や実例の提示、第三者による組織の制度や仕組 ○今後の業務の参考にさせていただきます。 みの検証・点検・評価等の具体的提言等も課題と考える。 179 Ⅳ2① (評価・改善) ○「中立・公正な第三者機関等を活用した客観的な評価・点検」と ○例えば、CSRや環境に係る取組については、第三者による保証 や審査を受けている事業者も少なくないものと認識しており、そ は、具体的にはどのような者・手法を想定しているのか不明であ れらを参考にすることも一つの選択肢として考えられます。 る。内部通報制度の整備・運用は、個別事業の特性に応じて行わ れるべきであり、画一的な第三者認証などは馴染むものではない し、そもそも、内部通報制度の整備・運用については、社外役員 ○何らかの一定の指針を参照しつつ、内部通報制度を評価し、より 良いものに改善していくことは、制度の実効性の向上を図る上で を含む取締役・監査役により監視・監督が行われており、評価・ 有益であるといえ、特に画一的・硬直的な制度の整備・運用を招 点検の方法としてもそれで足りる。したがって、「中立・公正な くものではないと考えます。 第三者機関等を活用した客観的な評価・点検」は削除すべきであ る。 ○また、本ガイドライン案は「各事業者の規模や業種・業態等の実 情に応じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではありません ○「本ガイドラインに準拠していない事項がある場合にはその理 が(案Ⅰ3②参照)、各事業者の実情に応じた取組が客観的・合 由」を評価すべき旨の記述については、削除すべきである。実効 理的な理由を有するものであるかどうかについても、何らかの一 性のある内部通報制度の整備・運用は、事業者の業態、提起され 定の指針を基に検証することは、有益であると考えられます。 る事案に応じて様々であり、画一的・硬直的な制度の整備・運用 は、かえって実効性を削ぐこととなる。 ○なお、「中立・公正な第三者等による検証・点検」とは、必ずし も外部の評価機関等による検証・点検に限られるものではなく、 中立・公正が客観的に担保されている場合には、例えば社外取締 役や監査役等による検証・点検も含まれ得るものと考えられま す。 ○また、御指摘のとおり、評価・点検を行うべき対象等については 多様なものが考えられることから、「例えば」を追記することと しました。 <修正前>「内部通報制度の実効性を向上させるため、(略)」 56 <修正後>「内部通報制度の実効性を向上させるため、例えば、 (略)」 ○さらに、「中立・公正な第三者機関」との表現については、必ず しも「機関」に限定されず、また、「第三者による検証・点検 等」(Ⅱ3(1)④)における表現と整合させるため、下記のと おり修文することとしました。 <修正前>「(略)内部監査や中立・公正な第三者機関等 (略)」 <修正後>「(略)内部監査や中立・公正な第三者等(略)」 180 Ⅳ2① (評価・改善) ○「評価・改善等内部通報制度の評価・改善(評価・改善)」につ ○「具体的な統一フォーマット」の意味が必ずしも明らかではあり いて、具体的な統一フォーマット(どの部分をどう評価・改善す ませんが、例えば、本ガイドライン案に掲げられた各事項は、内 るのか)を示してほしい。 部通報制度の評価・改善に当たっての一つの指針としても参考に なるものと考えます。 181 Ⅳ2② ○ステークホルダーへの積極的な情報提供が実効されることを期待 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 (ステークホルダーへ する。 の情報提供) 182 Ⅳ2② ○内部通報制度そのものが企業価値の向上につながるものではな ○内部通報制度の位置付けに関しては、「内部統制制度の最後の砦 ともいわれるものであり、通報者が信頼し、安心して意見を言え (ステークホルダーへ く、コンプライアンス経営や風通しのよい企業風土そのものの醸 る制度を見直して、十分活用すべき」(出典:株式会社東芝 第三 の情報提供) 成こそが重要である。内部通報制度は従たる制度であり、それを 者委員会「調査報告書」(平成 27 年7月 20 日)P271)といった 対外的に積極的にアピールすることは、主従が逆転した発想であ 評価もあり、必ずしも「従で」あると断定することはできないと る。あくまで企業がアピールしたい場合にすればよく、ガイドラ 思われ、コンプライアンス経営や風通しの良い企業風土を醸成す インに記載すべき性質のものではない。本記載は全部削除すべき るためには、実効性の高い内部通報制度の存在が重要であると考 である。逆に、情報提供を行う場合における秘密保持上の留意点 えられます。 を明確に示すべきである。 ○本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業種・業態等の実情に 応じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではありませんが (案Ⅰ3参照)、「実効性のある内部通報制度を整備・運用して いる事業者(中略)では、消費者や取引先に提供される製品・サ ービスは安全・安心である可能性が高く、不祥事に起因する経営 不振等も生じ難いといえる」ことに鑑みると(「公益通報者保護 制度の実効性の向上に関する検討会」第1次報告書(平成 28 年3 月)P19~20)、内部通報制度の実効性の向上のために、より積 極的な取組を行い、それをアピールしている事業者が、消費者を 57 はじめとするステークホルダーからの信頼をより多く獲得するこ とになり得ると考えます。 ○秘密保持については、案Ⅲ1「通報に係る秘密保持の徹底」にお いて図られると考えます。 183 Ⅳ2② ○アピールしていくことが適当である、では弱い。有価証券報告書 ○本ガイドライン案は、あくまで「指針を示すもの」であり、一定 (ステークホルダーへ への明示、CSR報告書やウェブサイト等への明示を義務化すべ の義務を課す趣旨のものではありません。 の情報提供) きである。 ○なお、御指摘のような報告書等に明示していること又は明示して いないことそれ自体が、消費者をはじめとするステークホルダー からの評価の対象になり得ると考えます。 184 Ⅳ2② ○適切な内容であり、賛成する。 (ステークホルダーへ の情報提供) ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 185 Ⅳ2② ○内部通報制度を適正に運営することや、必要に応じたステークホ ○内部通報制度の位置付けに関しては、「内部統制制度の最後の砦 ともいわれるものであり、通報者が信頼し、安心して意見を言え (ステークホルダーへ ルダーへの開示は既に行っているところだが、コンプライアンス る制度を見直して、十分活用すべき」(出典:株式会社東芝 第三 の情報提供) の促進・徹底は日常の事業活動を通じた取組によりなされるのが 者委員会「調査報告書」(平成 27 年7月 20 日)P271)といった 基本である。内部通報制度は、コンプライアンスの促進・徹底の 評価もあり、必ずしも「コンプライアンスの促進・徹底の一手段 一手段であり、かつ、いわば非常時の連絡・是正手段であり、こ であり、かつ、いわば非常時の連絡・是正手段」であると断定す れのみを積極的にアピールすることは馴染まない。したがって、 ることはできないと思われます。 「積極的にアピールしていくことが適当である」とすべきではな く、「開示することが考えられる」とすべきである。 ○なお、必ずしも、内部通報制度のみを単独でアピールすることを 意図しているわけではなく、ステークホルダーに対して、CSR や企業のコンプライアンス経営に係る様々な取組を積極的にアピ ールする際に、その一環として、内部通報制度に係る取組につい てもアピールしていくことなどが一つの合理的な方策になり得る と考えております。 186 Ⅳ2② ○「評価・改善等内部通報制度の評価・改善(ステークホルダーへ ○本ガイドライン案では、「CSR報告書やウェブサイト等」を例 (ステークホルダーへ の情報提供)」は、有価証券報告書や株主総会における招集通知 として掲げておりますが、「等」にはそれら以外のものも含まれ の情報提供) 等も視野に想定しているのか。 得るところであり、「各事業者の規模や業種・業態等の実情に応 じた適切な取組を行うこと」(案Ⅰ3)が期待されます。 187 その他 (ガイドライン関係) ○「公益通報者保護法」並びに「公益通報者保護法を踏まえた内部 ○今後の業務の参考にさせていただきます。 通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」に ついて消費者教育の一環として、広く国民に周知徹底されること を期待します。 58 188 その他 (ガイドライン関係) ○改正ガイドライン案は、公益通報の主体を拡げ、通報者の秘密保 ○今後の業務の参考にさせていただきます。 持を強化し、不利益取扱を抑止し、社内リニエンシー制度を導入 する等、公益通報の活性化に資する点で一定の前進と評価できる 一方、依然として不十分な点がある。 189 その他 (ガイドライン関係) ○ガイドラインを実効あらしめるため、事業者に対する指導の徹底 ○今後の業務の参考にさせていただきます。 などの具体的方策を検討すべきである。 190 その他 (ガイドライン関係) ○消費者庁ホームページに掲載されている通報処理に係る内部規程 ○今後の業務の参考とさせていただきます。 例・様式例等も改正ガイドライン案に整合するよう早急に整備す べきである。 191 その他 (ガイドライン関係) ○本ガイドラインは、「公益通報者保護法を踏まえた」ということ ○本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業種・業態等の実情に 応じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではない旨を明記し で、国内での運営を対象としているものと考えられるが、企業の ており(案Ⅰ3)、海外の子会社を含めたグループ企業等につい グローバル化という現況に適応できない点も指摘しなければなら て、各事業者の実情に応じて適切な対応が期待されていると考え ない。企業のグローバル化に伴い、海外にサプライチェーンや拠 られます。 点を持つ企業が増加しており、多くの企業が国内外のグループ企 業を対象とした運営を前提としている現状に鑑み、詳細かつ画一 的な対応を求めることが、各国の法制度・事情によっては、かえ ってコンプライアンス違反になることもあり得るのである(例え ば、EUの個人情報保護制度など)。したがって、本ガイドライ ンにおいて、例えば「全ての従業員」等と規定されている場合、 それが原則として日本国内に限定されるものであること、また、 海外の子会社等についてはそれぞれの法制度や実態に応じて対応 すればよい旨を明記する等の配慮がなされるべきである。 192 その他 (ガイドライン関係) ○健全な内部通報制度の維持のためにも、謝意目的や自己保身、誹 ○本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業種・業態等の実情に 謗中傷といった不適切な通報について、社内規程において禁止 応じた適切な取組を行う」(案Ⅰ3②参照)ことを妨げるもので し、場合によっては懲戒処分の対象とするなどの措置についても はなく、各事業者における内規等によって、御指摘の点について 明記されるべきである。 は適切に対応していくことが可能であると考えます。 193 その他 (ガイドライン関係) ○今日、事業者の内部通報制度はその持続的発展に欠かせないもの ○例えば、本ガイドライン案(Ⅲ1(1)①)には、「通報者の所 属・氏名等が職場内に漏れることは、それ自体が通報者に対する となっているが、通報者の保護が十分に全うされ、制度が従業員 重大な不利益になり、ひいては通報を理由とする更なる不利益な 等に信頼されていなければ活用されないのであるから、本ガイド 取扱いにもつながるおそれがある。また、内部通報制度への信頼 ライン案にも、通報者保護の意義、重要性について明記しておく 性を損ない、経営上のリスクに係る情報の把握が遅延する等の事 べきである。 態を招くおそれがある。このため、以下のような措置を講じ、通 報に係る秘密保持の徹底を図ることが重要である。」との記載が あるとおり、御指摘の趣旨は明記されていると考えます。 194 その他 (ガイドライン関係) ○今般の本ガイドライン案の改正に併せて、事業者が内部規程等を ○今後の業務の参考にさせていただきます。 自ら整備することができるよう、現在、消費者庁ウェブサイトに 59 掲載されている、通報処理に係る内部規程例・様式例・規程集な どについても、本ガイドライン案に整合するように早急に整備す べきである。また、それまでの間、暫定的に、これらの内部規程 例・様式例・規程集は本ガイドライン案を満たしていないことを 明記しておくべきである。 195 その他 (ガイドライン関係) ○本ガイドライン案は、①通報窓口の利用者等の範囲の拡充、②通 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 報者の秘密保持の強化、③通報等を理由とする不利益取扱いを行 った者等に対する措置の導入、④いわゆる社内リニエンシー制度 の導入、⑤一定の独立性を有する通報ルートの整備を求めている 点は評価できる。 196 その他 (ガイドライン関係) ○今回の民間事業者向けガイドライン(以下ガイドラインという) ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 については、従来のガイドラインと比し、新たな項目の新設(例 えば“経営トップの責務”や“サプライチェーン等の関係事業者 全体における実効性の向上”また特に“通報者保護”に対する項 目列挙など多数)及び、各項目について、それぞれ具体的な課題 等を例示することで、事業者が取組を進めるに当たって文字通 り、分かりやすくなったことを全体として評価したい。 また“現行ガイドラインとの対照表”において「案の趣旨等」で その背景を説明しているため、そのポイントが一層分かりやすく なっていることも評価したい。 197 その他 (ガイドライン関係) ○公益通報という言葉の意味合いを更に分りやすくすることで、一 ○今後の業務の参考とさせていただきます。 般市民や、企業における経営者、一般従業員(とりわけ今次の 「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」開催のき っかけともなった、中小企業等への浸透)への啓発を図ることが 課題として残ると考える。 198 その他 (ガイドライン関係) ○素案は、大幅に内容が充実し企業の実務担当者が今までの運営上 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 悩んでいた点に一定の解を与える有益なものであると考えます。 199 その他 (ガイドライン関係) ○「必要である」、「適当である」、「望ましい」、「重要であ ○本ガイドライン案は「各事業者において一層充実した通報対応の 仕組みを整備・運用することや各事業者の規模や業種・業態等の る」といった表現を全ての項目で用いることは避けるべきであ 実情に応じた適切な取組を行うこと」を妨げるものではない旨が る。表現が抽象的な現行のガイドラインと異なり、今回のガイド 明記されているとおり(案Ⅰ3参照)、一律に導入することを求 ライン(案)は、記述が相当具体的なものとなっており、一律に導 めているものではありません。 入することが望ましくないものもあることから、「考えられる」 といった例示を示す表現を用いるべきである。 200 その他 (ガイドライン関係) ○意見募集(パブリックコメント)に付されている改正ガイドライ ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 ン案を見ると、同法の施行から10年の事例蓄積を踏まえてアッ プデートされ、また当会が同法に関して提言してきた法改正へ向 60 けての意見も取り入れつつ、現行ガイドラインでは触れられてい なかった内容も盛り込まれるなど、事業者の違法行為等を通報し た通報者の保護の見地からは一定の前進であるといえる。 201 その他 (ガイドライン関係) ○ガイドラインは事業者に対する法的強制力を有しないので、現状 ○本ガイドライン案は、あくまでの指針を示すという性質のもので すが、「実効性のある内部通報制度を整備・運用している事業者 では事業者がこれに違反しても何ら法的制裁を受けるわけではな (中略)では、消費者や取引先に提供される製品・サービスは安 い。 全・安心である可能性が高く、不祥事に起因する経営不振等も生 したがって、ガイドラインを事業者に遵守させるためには行政に じ難いといえる」ため(「公益通報者保護制度の実効性の向上に よる指導の徹底などの具体的な方策が必要である。 関する検討会」第1次報告書(平成 28 年3月)P19~20)、当該 事業者は、消費者を始めとするステークホルダーからの信頼をよ り多く獲得し得ると考えられ、逆に、そうではない事業者は、ス テークホルダーからの信頼を得ることは相対的に困難になり得る と考えられます。 ○なお、「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」に おいて取りまとめられる最終報告書を踏まえ、今後更に具体的な 検討を行ってまいります。 202 その他 (ガイドライン関係) ○改正ガイドライン案の内容を事業者が内部規程に反映させること ○今後の業務の参考とさせていただきます。 は必ずしも容易でない。現在、消費者庁ホームページには、通報 処理に係る内部規程例・様式例等が掲載されているが、これらも 改正ガイドライン案に整合するよう早急に整備すべきである。 203 その他 (ガイドライン関係) ○改正ガイドライン案は通報者の保護を一定程度前進させるものと ○今後の業務の参考とさせていただきます。 して評価するが、他方で依然として不十分な箇所も散見され、そ の点については改善が必要である。 204 その他 (ガイドライン関係) ○本ガイドライン案は、通報窓口の利用者等の範囲の拡充、通報者 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 の秘密保持の強化、通報等を理由とする不利益取扱いを行った者 等に対する措置の導入、いわゆる社内リニエンシー制度の導入、 一定の独立性を有する通報ルートの整備を求めている点は評価で きる。 205 その他 (ガイドライン関係) ○本改正に賛成である。 ○本ガイドライン案に対する賛同の御意見として承ります。 かなり良い内容になっているのではないかと思われた。 この改正されたガイドラインが民間企業に広まる事で、通報者保 護と合わせコンプライアンスの程度が向上する事が期待できると 考える。 61 206 その他 (ガイドライン関係) ○本ガイドラインにおいて、「必要である」、「重要である」、 ○本ガイドライン案は、「各事業者の規模や業種・業態等の実情に 応じた適切な取組を行う」(案Ⅰ3②)ことを妨げるものではあ 「適当である」、「望ましい」といった用語が用いられている りません。 が、これらは全て、「望ましい」、「考えられる」等、企業の自 律的判断により対応できる趣旨を明らかにする用語にすべきであ る。本ガイドラインの趣旨を満たしているにもかかわらず、本ガ ○用語については、各事項の重要度等に応じて「必要である」、 「重要である」、「適当である」、「望ましい」を用いており、 イドラインに記載されている制度と異なるがゆえに有効な制度で 場面に応じて使い分けております。 はないと評価されることがあってはならない。 前記の各用語が重要性のランクを示す用語として使用されている のであれば、これを改め、「必要である」は「適当である」とい ○なお、御指摘の趣旨を踏まえ、Ⅰ1①において、下記のとおり修 文することとしました。 った用語に変更し、本ガイドラインがあくまで例示にすぎない旨 理解されるようにすべきである。そもそも、用語が示す重要性の <修正前>「本ガイドラインは、公益通報者保護法を踏まえて、 ランクが具体的に提示される必要がある。 事業者のコンプライアンス経営への取組を強化し、社会経済全 体の利益を確保するために、従業員等からの法令違反等の早期 発見・未然防止に資する通報を事業者内において適切に取り扱 うための指針を示すものである。」 <修正後>「本ガイドラインは、公益通報者保護法を踏まえて、 事業者のコンプライアンス経営への取組を強化し、社会経済全 体の利益を確保するために、事業者が自主的に取り組むことが 推奨される事項を具体化・明確化し、従業員等からの法令違反 等の早期発見・未然防止に資する通報を事業者内において適切 に取り扱うための指針を示すものである。」 207 その他 (ガイドライン関係) ○また、公益通報者保護法に直接規定されていない「内部通報制 ○今後の業務の参考とさせていただきます。 度」という用語には、法律上の公益通報者保護制度との共通点及 び相違点を明確にした定義をすべきである。 208 その他 (ガイドライン以外) ○「通報に係わる秘密保持の徹底」、「利用者の範囲の拡充」など ○「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」において について、公益通報者保護法に反映されていくことも期待する。 取りまとめられる最終報告書を踏まえ、今後更に具体的な検討を 行ってまいります。 209 その他 (ガイドライン以外) ○「国の行政機関の通報処理ガイドライン」も同様に改正すべきで ○現在、行政機関向けガイドラインについても、その見直しに向け ある。 た準備を進めております。 210 その他 (ガイドライン以外) ○本ガイドライン案は、事業者において内部通報制度を整備する指 ○「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」において 取りまとめられる最終報告書を踏まえ、今後更に具体的な検討を 針としての位置付けであり、その採用は事業者の任意に委ねられ 行ってまいります。 ている上、同案に則った内部通報制度が整備されたとしても、内 容において不十分である。 事業者の内部通報の取扱いについて消費者庁から本ガイドライン 案が示され、その運用を推奨することによって、事業者の自浄作 62 用を向上させ、通報者に対する不利益措置を低減させる一定の効 果はあっても、本ガイドライン案は、今日、求められている公益 通報者保護制度の一部に係るものにすぎない。通報者にとって解 雇や配転等の不利益処分の影響は甚大であり、その被害の回復に は多大な困難を伴う。当会は、公益通報者保護に必要な改正の内 容を提言してきた。また、同法の施行後 10 年を経過し、事業者の 不祥事が相次ぐ一方で公益通報は活用されていない現状を考えれ ば、通報者が安心して公益通報を行うことができるようにするた めに、公益通報者保護法の抜本的改正が必要不可欠である。 211 その他 (ガイドライン以外) ○通報者や、自己申告者の保護を、より確実にするための、企業側 ○「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」において 又は妨害者等への明確な処分・罰則等の法制化も更に検討を深め 取りまとめられる最終報告書を踏まえ、今後更に具体的な検討を るべきと考える。 行ってまいります。 212 その他 (ガイドライン以外) ○改正ガイドライン案は、通報者が不利益を被る可能性を一定程度 ○「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」において 取りまとめられる最終報告書を踏まえ、今後更に具体的な検討を 低減させる効果を有するが、この改正ガイドライン案に基づいて 行ってまいります。 通報者が法的に保護されるわけではないので、通報者が実際に何 らかの不利益を被ってしまった場合の救済とはならない。 したがって、公益通報の活性化による法令遵守を図るためには、改 正ガイドライン案ではなお不十分であり、同法自体の改正を早急 に行うことが必要不可欠である。 213 その他 (ガイドライン以外) ○事業者における公益通報の実効性ある活用のためには、現行ガイ ○「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」において ドラインの改定に止まらず、公益通報者保護法の改正が必要不可 取りまとめられる最終報告書を踏まえ、今後更に具体的な検討を 欠であり、実効性ある法改正を速やかに行うことを強く求める。 行ってまいります。 ※ ※「意見の概要」の件数は 213 件であるが、これは提出意見(225 件)のうち内容が重複する意見をまとめたためである。 【凡例】 ・「意見に関連するガイドライン案の対象条項等」欄 ①:一つ目の○印の条項又は第一段落を指す。 例1:「Ⅱ1(1)①」は、「Ⅱ.内部通報制度の整備・運用 1.内部通報制度の整備 (1)通報対応の仕組みの整備」 の一つ目の○の(仕組みの整備)の条項(本 文略)を指す。 例2:「Ⅰ3①」は、「Ⅰ.内部通報制度の意義等 3.本ガイドラインの目的と性格」 の第一段落「本ガイドラインは、公益通報者保護法を踏まえて、(中略)指針を 示すものである。」を指す。 63
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