経済産業省における国際標準化の 取組について

巻頭言
経済産業省における国際標準化の
取組について
経済産業省 産業技術環境局 国際標準課
課長 藤代
尚武
経済産業省における国際標準化行政は,大きく分けて三つの時期を経てきました。1995 年から最初の 10
年間は,日本工業規格( JIS)を国際標準と整合させる,いわば受け身のスタイル,次の 10 年間は,JIS を国
際標準化機関である ISO/IEC に提案していく半能動的なスタイル,そして,現在は,国際標準化と国内標
準化を区別せずに,JIS の開発と ISO/IEC への提案を同等に進めていくことが求められる新しい局面を迎
えています。
この新しい局面を迎えるに当たって,様々な取組を行っておりますが,その 1 つに,新技術に係る新市場
創造型標準化制度の創設による国内標準化・国際標準化の迅速かつ円滑な活動に資する総合的な仕組みの
構築があります。建築分野においては,建材は地産地消という考え方に寄りがちですが,省エネ性能の高い
建材など我が国が技術的優位を有しているものについて,国際標準化を進めることで,国内外の市場の創
出や拡大に貢献できるビジネスチャンスがあるはずです。この制度において,日本規格協会
(JSA)
のサポー
トにより迅速な JIS の開発や国際標準提案をすることが可能になりましたので,標準化による我が国の優
れた技術や製品の市場創出・拡大に貢献することを期待しています。
また,標準化人材の育成支援にも取り組んでおります。ISO/IEC の国際標準化会議において,標準化を
リードするためには,長期的観点で,官も民も標準化人材の育成を強化していくべきだと考え,次世代を担
う若手標準化人材の育成として,通称「ヤングプロフェッショナル研修」や,企業各層(管理職,営業職,初
任者など)を対象とした階層別の標準化研修などを実施しています。地道に長年続けていくことによって,
標準化を戦略的に捉えて国際舞台の場で活躍できる多くの人材が育っていくことを期待しています。
今後も様々な取組をとおして,我が国の標準化の発展に貢献して参りたいと考えておりますので,貴セン
ターをはじめとする皆様の引き続きのご理解とご協力をお願いいたします。
建材試験情報
2016 年 12 月号 1