2016.12.7 渥美由喜

第4回結婚の希望を叶える環境整備に向
けた企業・団体等の取組に関する検討会
資料4
国・自治体の支援は
どうあるべきか
2016.12.7
渥美由喜
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(1)自治体が目指すのは、『冠婚創生』
• 本テーマは、都市と地方の意識格差が大きい。
• 過疎地域では、冠婚葬祭ならぬ『冠婚創生』が課題
– 自治体が目指すべきは、若年人口の流出に歯止めをかけ
た上で、IJUターン施策を推進すること
– 冠婚は、絶好のタイミング
• 冠:成人式=若年者が地元に戻って一堂に会する好機
※ カンという音には、以下の意味も
– 『COM』:カンパニー(企業)
– 『環』:独身者を中心に、行政、企業、
自治体
信用
団体・大学が手を結ぶ
企業
若年者雇用
独身者
団体・大学
情報提供 2
(2)企業・団体・大学等の取組の考え方
• モデル事業で、取組の効果を検証した上で、優良事例の横
展開を進めるべき
• その際に、地域少子化対策重点推進交付金を有効活用し
て、国が自治体における企業グループ(個別企業の取組みではなく
、共同・連携する複数企業の取組み)、団体する・大学等の取組事例
を収集し、全国に横展開すべき。
• なお、結婚という個人のデリケートな部分への介入と受け取
られないように最大限の配慮をすべき。
– 結婚したくない人への強制、ハラスメントとならぬように
– 現制度では結婚したくても、できない人(LGBT等)への配慮は必須
– 私自身の経験・・・・
• 企業がやるべきは、働き方改革による「生活時間」の拡大。
あくまでも「婚活」は、生活時間における選択肢の一つ。
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(3)『冠婚創生』モデル事業の具体例
• 企業・団体・大学等の取組例は以下のとおり。
①企業の実態調査(生活時間の使い方、取組実態、社員ニーズ等)
※ 匿名性の担保は必須
②団体等に、結婚支援窓口の設置・情報共有
③企業内における婚活応援(婚活メンターの設置・育成等)の
情報共有
④複数企業間における当事者に、交流機会の提供
⑤ロールモデルの提示などライフプランニングを支援
する取組
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①企業の実態調査(取組実態、従業員ニーズ等)
l 団体による『会員企業の結婚支援の実態調査』、あるいは団
体、企業による『社員のニーズ調査』
l 結婚に起因する『離職予防』を目的とすべき。
l なお、企業によっては情報収集等にナーバスなところもあるため、調査
項目には留意が必要。
l これまで企業子宝率(合計特殊出生率の企業版)を実施(10
県市等)中で、企業数は1万社超。
l 同一業界、同規模の会社でも、企業子宝率の高低差はかなり大きい。
l 企業子宝率が低い企業の特徴は、①子育てと両立しにくい風土、②若
年社員が多い。
l こうした企業は、社員の離職率が高く、人材確保に悩んでいる。
l 結婚支援による企業メリットは、①社員の離職率の低下(←身
を固めると堅実に)、②社員のモチベーション向上(←家庭を
持つと、家族のために頑張る)。
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②結婚支援窓口の設置・情報共有
• 複数企業や団体で共同の窓口を設置
– 地元の金融機関など、日常的に利用する場所を活用し
た、気軽に相談できる窓口設置
– 地元のショッピングモール内や商店街の空きスペース
を利用した窓口設置等
• 各企業に相談窓口を設置して対応ノウハウ(注)等
を企業間で共有するなどの複数企業等が連携し
た取組
(注)結婚支援は、デリケートな内容なので、当事者からの信頼が厚い
「支援者」や評価が高い「窓口」が工夫している点、当事者からの
苦情やハラスメント通報等の情報を共有すべき。
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③企業内における婚活応援の取組
• 『冠婚創生』応援し隊(略称:婚援隊こんえんたい)を任意で設置
• 「生活時間」支援に取り組む複数企業が合同で、あるいは団
体が「婚活メンター」の設置や育成(研修)
※ あくまでも「婚活」は、生活時間における、社員の選択肢の一つ
【コラム】
人口減少社会では、企業にも3面性が重要
企業の三面性=
②結婚・子育て等の
ライフイベントに優しい
人間味のある企業
経済性
人間性
公共性
③社会的課題に
取り組む企業
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④複数企業間の当事者に交流機会の提供
• 子育て支援等に関連した地域の伝統行事への合同参加、ある
いは課題に対して、複数企業の従業員が各企業のノウハウを
活かして解決する『地域貢献サークル』活動(達成感の共有や少子化
対策に資する工夫が必要)
• 「社員の生活時間支援(「希望する社員が結婚、子育てしやすい環境」づくり
は選択肢の一つ)」や「イクメン育成」に取り組む企業事例の研究会
【コラム】
WLB先進企業ネットワークの取組例
メンバー企業同士の隊内恋愛を応援
資源ナショナリズム(若年者を他県にとられないように)
社員のWLB支援のみでは『不十分』
結婚相手の勤務先もWLB支援に取り組む企業がベター
ワークライフマネジメントの必須スキル
バトンリレーする相手を増やす
ワかちあい、ラくあり・くあり、バトンリレー
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⑤複数企業間や団体の主催により実施
する、ライフプランニングを支援する取組
• 複数企業が合同で、あるいは団体が、多様なカップルを収集
したデータベースを作成(私見では、同性カップルも可とすべき)。
– データベースでは、カップルの「人生山あり谷あり曲線」を掲載する
– 山だけではなく、「谷」がある方がベター
• ライフプラン講座で、カップルを紹介
(二人揃わず、片方ビデオレターでも可)。
– 勤務時間や休日等、生活パターンが異なるカップル
– 夫が積極的に家事・育児に参画しているカップル
– カップルだからこそ谷を乗り越えられたなど、リア充自慢にならぬよう(
感心する話より、感動する話)
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(4)地方自治体による取組み
• ①結婚支援センター職員やマリサポ(マリッジサポ
ーター)による大学等への出前講義
• ②結婚支援企業の表彰制度(熊本市、岐阜県本須市)
• ③登録飲食店等を利用できる結婚応援パスポ
ート事業(群馬県で実施)
• ④企業向けセミナーで、事例紹介
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①結婚支援センター職員やマリサポ(マリ
ッジサポーター)による大学等への出前講義
• 結婚の意義を伝えるセミナー
– 例:成人式での『ティーンペアレンツ(10代の親)』
を題材としたショートフィルムの上映&出前講義
– 福井県では、40年前から地縁を活かした縁結び活動を展開
※ 過去2100件の成婚数は全国最多。
– 2015年度から、賛同する企業でも推進。
– 「ふくい結婚応援企業」登録数は151社。職場の縁結びさんの取組例
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希望する社員やお客様に婚活イベント情報や県の結婚支援制度を紹介
県から提供する結婚に関するチラシ、ポスターを掲示
社員の生活時間支援(結果として、希望者に「結婚、子育てしやすい」環境づくり)
企業内や他の企業との当事者交流会の開催
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②結婚支援企業の表彰制度
(熊本市、岐阜県本須市)
• 熊本市『結婚支援・子育て支援に関する企業の実態調査』
– 結婚支援に関する調査項目は、結婚した社員への経済的支援、マリッジ休暇のみ。
• 岐阜県本巣市『結婚支援・子育て支援企業の表彰制度』
– 2016年度∼
– 3社を表彰(うち結婚支援に取り組んでいる企業は1社)
• 企業表彰する場合には、「結婚による離職(特に女性社員)に歯止
めをかけること」を目的とすべき
– 厚労省の『くるみん』等、子育て支援表彰の社会的意義は、出産による離
職(特に女性社員の離職)に歯止めをかけること(労働力人口増加に寄与)
– 厚労省の『ともにん』等、介護支援企業が使用するマークは、介護による離
職に歯止めをかけること
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③登録飲食店等を利用できる結婚応援
パスポート事業(群馬県で実施)
• 略称は、『婚パス』。
– 出会った二人が持つハート形の方位磁石が激しく揺
れるイラスト付き
• 婚パスを持参したカップルは割引
– 婚活メンターと当事者の話し合いでも、利用できるよう
にする(「同性同士も可」ということ)
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④企業向けセミナーで事例紹介
• 婚活メンター・マリサポの育成、すきやき隊(世話焼
き世話好き隊)の結成
• 主体は企業というよりは、「ゲリラ」戦
– 岐阜県にある建設会社では『人生相談課』を設置。
– 婚活以外に、破たんの清算・シングル母の相談も。
※『人生相談課』先にありきではなく、60代の男性社員の思いが起点
(元々、創業社長の助言者でもあった税理の専門家)
※社員のライフ支援は、デリケートな内容に踏み込むことが多いので、
当事者からの信頼が厚い「支援者」がいないと難しい。
– B社恋部(こいぶ):企業の社員有志が結成
– 部内恋愛は禁止、結婚したら退部して、名誉部員に
– 異性社員の相談に同性ならではの助言
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