みずほ米国経済情報 - みずほ総合研究所

みずほ米国経済情報
2016年11月号
◆ トピック
次期大統領の切符はトランプ氏へ
大統領選はトランプ氏が勝利した。選挙後3回行われたメ
ディアでの発言からは、市場の期待とは対照的にインフラ
投資に対するトランプ氏の関心の低さが目立っている。
◆ 景気判断
拡大基調が継続
選挙後の消費者マインドは良好で、年末商戦の売上高は堅
調な結果が予想されている。金融市場では、株高・金利上
昇・ドル高が進んでおり、景気・物価両面で注視が必要だ。
1.トピック:次期大統領の切符はトランプ氏へ
次期大統領の切符はト
ランプ氏の手中に
11 月 8 日の大統領選はトランプ氏勝利に終わった。英国民投票での欧州連
合(EU)離脱決定に続くビッグ・サプライズである。
9 日の開票を最初に目にしたアジアの金融市場はトランプ氏勝利を受けて
リスクオフ一色となったが、パニック的な動きは 1 日も経たずに収束した。
上下両院を共和党が制したことも相まって、金融市場は、ひとまずトランプ
氏の保護主義的な姿勢に目をつむり(メキシコ・ペソは例外)
、大型の財政出
動と規制緩和という「トランプノミクス」を買い材料にすることに決めたよ
うだ。きっかけはトランプ氏の勝利演説である。クリントン氏への批判や、
移民や貿易相手国への敵対心ではなく、教科書通りの「落ち着いて融和的」
(Financial Times, 11/11)な演説となったことが安心感をもたらした。
公約「有権者との契約」
大統領選後、トランプ氏はツイッターを除き 3 度、メディアを通じて公に
(10 月 22 日)の重要性
発言している(13 日の CBS ニュース「60 ミニッツ」
、21 日の Youtube.com に
を示唆するトランプ氏
上げたビデオ・メッセージ、23 日のニューヨーク・タイムズ紙とのインタビ
のメッセージ
ュー)
。興味深いことに、政策に関する同氏の発言は、ほぼ選挙中の 10 月 22
日に公表した公約「有権者との契約」に則っている(図表 1)
。これは、選挙
期間中に聞かれた他の発言とは異なる、同公約の重要性を示唆している。
たとえば、
「200 万人あるいは 300 万人かもしれない犯罪歴を持つ不法移民
を、国外退去もしくは収監する」
(60 ミニッツ)との発言は、
「有権者との契
約」において、
「大統領就任初日に実施する措置」の一つとしてほぼそのまま
の内容で明記されている。21 日のビデオ・メッセージでは、
「大統領就任初日
に実施する措置」の例示として、通商、エネルギー、規制、安全保障、移民、
倫理改革という 6 分野への言及があり、修正点は 2 つだけである。
新たに加わる二国間通
1 つは、
「有権者の契約」に掲げた TPP 撤退について、
「その替わりに二国
商交渉と、位置づけが
間交渉を行う」ことが追加された。もう 1 つは、インフラ投資の位置づけの
変わるインフラ投資
変化である。
インフラ投資は、
「有権者の契約」において「大統領就任初日に実施する措
置」ではなく、
「最初の 100 日間で立法化を目指す措置」
(100 日プラン)の1
つとして掲げられていた。
「歳入中立の下、PPP と税制優遇を通じた民間投資
によって、今後 10 年間にわたって 1 兆ドルのインフラ投資を促す」として、
雇用創出が期待されていた。しかしビデオ・メッセージでは、安全保障上の
観点から「死活的なインフラ施設をサイバー攻撃等あらゆる攻撃から守るた
めの包括的計画の策定を指示する」とされた。
インフラ投資はトラン
100 日プランからインフラ投資が消えたわけでないだろうが、位置づけの変
プノミクスのコアでは
化は、ニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューからもうかがえる。トラ
ない
ンプ氏は、インフラ投資の重要性を認めつつ、インフラ投資の雇用創出効果
には懐疑的な姿勢を見せた。さらにトランプノミクスの「中核(コア)でも、
大きな部分を占めるものでもない」とすら述べている。トランプ氏にとって
重要な政策とは「減税、規制緩和、オバマケア廃止」
(共和党と同じ)であり、
インフラ投資への関心はかなり低い。
1
みずほ米国経済情報(2016 年 11 月号)
トランプ相場の持続性
に不安消えず
トランプ氏勝利後に進む株高、ドル高、米長期金利の上昇は、投資家がリ
スクオン・モードになっていることを示している(図表 2、図表 3)
。足元の
経済指標も総じて良好であり、連邦公開市場委員会(FOMC)は次回会合(12
月 13・14 日)でようやく利上げに踏み切れそうである。
ただ果たして、こうしたリスクオン相場が短命に終わらず、企業の成長期
待を高め、設備投資ひいては米国経済の潜在成長率の高まりにつながるのか
どうかについては、不安が消えることはない。
※みずほフィナンシャルグループとみずほ総合研究所は、One シンクタンクレポート「トランプの米国~新政権の論点:議会はトランプを
止められるのか~」(11 月 9 日)、緊急リポート「米国大統領選の結果と日本への影響」(11 月 18 日)をそれぞれ発行しました。
図表 1 大統領就任初日に実施する措置
Ⅰ.政治腐敗の根絶
Ⅱ.雇用不安の解消
Ⅲ.安全・法秩序の回復
①議会のすべての議員に対して任期の
制限を課すための、憲法修正提案
②自然減による職員数削減のため、軍
隊、公共の安全、及び公衆衛生を除
くすべての連邦職員の雇用を凍結
①北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉、もし
くは協定第 2205 条に基づく脱退の意思表明
②環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から
の撤退発表。《替わりに、二国間交渉を開
始》
①オバマ大統領が発した、憲法違反の
大統領令及びメモランダムの撤回
②20 名の候補者リストを基づく、合
衆国憲法を支持し、守る、スカリア
判事の後任選出手続きの開始
③すべての新たな連邦規制ごとに、2
つの既存規制を削減
③財務長官に対し、中国を為替操作国として
認定するよう指示
③(移民に優しい政策を取る)「聖域
都市」に対する連邦資金の停止
④ホワイトハウスと議会関係者が公職
を離れてから 5 年間はロビイストに
なることを禁止
④商務長官及び通商代表部(USTR)に対し、
米国の労働者に不公平な影響を与えている
外国の通商濫用行為を特定し、米国法及び
国際法に基づくあらゆる手段を用いて即座
にそうした行為を止めさせることを指示
⑤50 兆ドルの価値を有し、雇用を生み出す米
国のエネルギー資源(シェール、原油、天
然ガス、精炭を含む)の産出規制を撤廃
⑥オバマ=クリントンによる邪魔を除去、キ
ーストーン・パイプラインのような、死活
的なエネルギー・インフラ・プロジェクト
を前進
⑦国連気候変動プログラムに対する資金拠出
を撤回し、その資金を米国の水道及び環境
インフラの修復に充当
④200 万人以上の犯罪歴を持つ不法移
民の国外退去の開始、及び彼らを引
き受けない外国政府へのビザ停止
⑤ホワイトハウス関係者が外国政府の
ためにロビー活動を行うことを終生
にわたり禁止
⑥外国のロビイストが米国の選挙で資
金集めを行うことを完全に禁止
⑤審査が安全に行われないテロ地域
からの移民受け入れの留保
⑥国防省とアメリカ統合参謀本部に
対し、死活的なインフラ施設をサイ
バー攻撃等から守るための包括的
計画の策定を指示
(注)2016 年 10 月 22 日発表。ただし、Ⅱ.②の一部(≪≫内)とⅢ.⑥は、11 月 21 日のビデオ・メッセージで新たに言及したもの。
(資料)donaldtrump.com(https://assets.donaldjtrump.com/CONTRACT_FOR_THE_VOTER.pdf)
、www.breitbart.com より、みずほ総合研究所作成
図表 2 ドルの名目実効レート(11 月)
図表 3 米国債 10 年利回り(11 月)
(2014/7/1=100)
(%)
2.4
128
127
126
125
124
123
122
121
120
2.3
2.2
2.1
2.0
1.9
1.8
1.7
1
8
15
22
(日)
(資料)FRB、Bloomberg より、みずほ総合研究所作成
1
8
15
22 (日)
(資料)Bloomberg より、みずほ総合研究所作成
2
みずほ米国経済情報(2016 年 11 月号)
2.概況:拡大基調が継続
選挙後の消費者マイン
ドは良好、年末商戦は
昨年を上回る伸びとな
る見通し
トランプ氏が勝利をおさめた大統領選挙後の消費者マインドは良好で、年
末商戦は堅調な結果になると見込まれている。
11 月のミシガン大消費者信頼感指数は 5 月以来の高水準となった。統計上
は、所得や年齢、地域による差はないようだ。ミシガン大学は、トランプ氏
の勝利に対する消費者の反応は楽観的であると指摘した。
雇用・所得は堅調で、今年の年末商戦の売上高は昨年を上回る伸びになる
と見込まれている。全米小売業協会(NRF)によれば、24 日の感謝祭から
週末 4 日間の一人当たり支出額は、昨年を 3.5%下回った(2015 年:299.60
ドル→2016 年:289.19 ドル)
。感謝祭前からすでにセールが始まり、消費が
分散していることや、大幅な値引きが背景にある。NRFは、年末商戦期の
売上高について、前年比+3.6%(2015 年同+3.2%)になるとの 10 月時点の
予想を維持している。
トランプ政権下における大型減税等の財政政策が実行に移されるのは早く
とも 2017 年半ばになるとみられる。短期的な景気の変動要因として注意すべ
きであるのは、金融市場を通じた影響であろう。大統領選挙後の株価の上昇
は、資産効果やマインド改善を通じて、個人消費を押し上げる方向に作用す
るとみられる。一方で、ドル高の進行は、緩やかに回復しつつあった輸出や
設備投資の抑制要因になる可能性がある。
なお、10~12 月期の実質GDP成長率について、アトランタ連銀のGDP
ナウは前期比年率+3.5%(11 月 23 日時点)
、ニューヨーク連銀のナウキャス
トは同+2.5%(11 月 25 日時点)と推計している。
非エネルギー部門の生
産活動は改善
10 月の生産活動をみると、エネルギー部門が減速する一方で、非エネルギ
ー部門は改善した(図表 5)
。エネルギー部門では、温暖な気候を背景に、電
力等の生産が減少した。他方、原油価格の上昇を受けて、石油・ガス掘削活
動の持ち直しが継続したほか、IT関連や自動車関連を中心に非エネルギー
部門の生産が増加した。
企業業況は底堅さを維
持
10 月の製造業ISM指数は、
生産指数の改善等を受けて上昇した
(図表6)
。
非製造業ISM指数は前月から低下したものの、底堅いレベルを維持した(図
表 7)
。業種別では、製造業 18 業種のうち、業況「改善」を報告したのは 10
業種(前月 7 業種)に増加した。非製造業では、政府が業況「悪化」に転じ、
業況「改善」業種が 13 業種(前月 14 業種)となった。
製造業の業況は、11 月も底堅い。11 月の地区連銀製造業指数は、ニューヨ
ーク、フィラデルフィアともに、企業業況の堅調さを示す水準を維持した。
今回の結果には、大統領選挙後の状況は十分に反映されていないとみられる。
選挙後の株価上昇はプラス要因とみられるが、ドル高が製造業業況に与える
影響に注視する必要がある。
3
みずほ米国経済情報(2016 年 11 月号)
図表 4
(前期比年率、%)
8
実質GDP成長率
図表 5
政府支出
純輸出
在庫投資
設備投資
住宅投資
個人消費
(%)
(2007=100)
104.0
GDP
6
鉱工業生産と稼働率
78
5.0
4.0
2.3
4
2.0
2.6
2.0
0.9
2
77
103.5
3.2
1.4
76
0.8
103.0
75
0
102.5
▲2
15/10
▲1.2
▲4
1
2
3
4
1
2
2014
3
2015
4
1
2
3
鉱工業生産(除くエネルギー)
設備稼働率(総合、右目盛)
2016
(年/四半期)
(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成
図表 6
60
58
(資料)連邦準備制度理事会より、みずほ総合研究所作成
製造業ISM指数
新規受注
生産
入荷遅延
図表 7
雇用
在庫
74
16/10
(年/月)
16/4
総合指数
非製造業ISM指数
64
新規受注
事業活動
62
入荷遅延
総合指数
雇用
60
56
58
54
56
52
54
50
52
48
50
46
48
15/10
16/1
16/4
16/7
16/10
15/10
16/1
16/4
16/7
(年/月)
(資料)ISMより、みずほ総合研究所作成
(資料)ISMより、みずほ総合研究所作成
図表 8
景気の全体感を示す主要統計
Q4 2015 Q1 2016 Q2 2016 Q3 2016
成長率
実質GDP成長率
国内最終需要
純輸出
在庫投資
生産活動
2016/6
2016/7
2016/8
2016/9 2016/10 2016/11
前期比年率、%
0.9
0.8
1.4
3.2
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
前期比年率、%
1.7
1.2
2.4
1.7
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
寄与度、%Pt
▲ 0.5
0.0
0.2
0.9
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
寄与度、%Pt
▲ 0.4
▲ 0.4
▲ 1.2
0.5
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
0.2
0.6
0.3
0.3
n.a.
n.a.
前期比、%
n.a.
製造業ISM指数
DI
48.6
49.8
51.8
51.2
53.2
52.6
49.4
51.5
51.9
n.a.
非製造業ISM指数
DI
56.9
53.8
55.0
54.7
56.5
55.5
51.4
57.1
54.8
n.a.
前期比、%
▲ 0.9
▲ 0.4
▲ 0.2
0.5
0.5
0.4
▲ 0.1
▲ 0.2
0.0
n.a.
非エネルギー部門
前期比、%
▲ 0.1
0.0
▲ 0.3
0.0
0.1
0.3
▲ 0.5
0.2
0.3
n.a.
鉱工業 設備稼働率
%
75.8
75.4
75.2
75.6
75.4
75.7
75.6
75.4
75.3
n.a.
%
75.4
75.3
74.9
74.9
75.0
75.2
74.7
74.8
74.9
n.a.
月次実質GDP成長率
企業業況
16/10
(年/月)
鉱工業生産指数
製造業
(資料)米国商務省、マクロエコノミック・アドバイザーズ、ISM、連邦準備制度理事会より、みずほ総合研究所作成
4
みずほ米国経済情報(2016 年 11 月号)
3.家計部門:消費を巡るファンダメンタルズは良好
労働市場は堅調で、消費を巡るファンダメンタルズは良好である。住宅市
場では、販売の抑制要因となっていた在庫不足に緩和の兆しがみられる。
雇用は堅調
10 月の雇用統計では、
非農業部門雇用者数が前月差+16.1 万
(前月同+17.3
万人)と減速したが、過去 2 か月分は 4.4 万人上方修正された。3 カ月移動平
均値は+17.6 万人となった。中期的にみて新規の労働力を吸収できると考え
られているペース(月平均+10 万人弱、※)を十分に上回っている。
11 月の雇用者数についても、堅調なペースでの増加が見込まれる。今年の
年末商戦の売上高は昨年を上回る伸びが見込まれており(全米小売業協会に
よる)
、年末商戦向けの雇用が増加する可能性がある。11 月のリッチモンド連
銀サービス業調査では、前月悪化していた小売業の雇用指数が持ち直した。
(※)2015 年 12 月の議会証言で、イエレン議長が指摘した雇用増加ペース。
失業率は低下
家計調査から計算される 10 月の就業率、労働参加率は低下し、失業率は
4.9%(前月 5.0%)に低下した。不本意なパートタイム労働者等を含む代替
的失業率(U6)は 9.5%(前月 9.7%)に低下した。
賃金上昇ペースは加速
10 月の時間当たり賃金上昇率(農業を除く民間)は前月比+0.4%と加速し
た(図表 10)
。前年比では+2.8%と、2009 年 6 月以来の上昇率となった。10
月は鉱業や化学等の生産部門の賃金上昇率が高まったことが、全体の押し上
げにつながった。アトランタ連銀が公表する Wage Growth Tracker(個人の賃
金追跡調査)
も前年比+3.9%と加速し、
2008 年 11 月以来の上昇率となった。
小売売上高は高い伸び
10 月の小売売上高は前月比+0.8%と、前月(同+1.0%)に続いて高い伸
びとなった(図表 11)
。自動車ディーラーやガソリンスタンドの売上増加に加
えて、コア小売売上高の増加も全体の押し上げに寄与した。コアは、無店舗
販売を中心に幅広い業種の売上が増加した。
大統領選挙後の消費者
マインドは高水準
11 月のミシガン大消費者信頼感指数は、2016 年 5 月以来の高さとなった。
ミシガン大学は、トランプ氏の勝利に対する消費者の反応は楽観的であると
指摘した。消費者の期待が持続するかどうかは、実際の経済政策次第で、就
任後の最初の 100 日間が重要であると述べた。11 月のカンファレンスボード
消費者信頼感指数は 2007 年 7 月以来の高水準まで上昇した。
住宅投資は持ち直し
10 月の住宅着工件数は前月比+25.5%と大幅に増加した(図表 12)
。前月
急減していた集合住宅の持ち直しが主因だが、一戸建も 2 カ月連続で増加し
た。先行指標の建設許可件数は 3 カ月連続で増加し、とりわけ一戸建ての着
工が堅調に推移することを示唆した。
10 月の住宅販売件数は、新築住宅が減少する一方、大部分を占める中古住
宅が増加した。全米不動産協会は、在庫不足の影響で夏場に販売が抑制され
た分、ペントアップディマンドが生じたと指摘した。賃金の上昇や住宅ロー
ン金利の低さが、家計の住宅購買意欲を支えている模様である。
住宅販売に関しては、これまで在庫不足が抑制要因となってきたが、着工
が増加する等、足元で緩和の兆しがみられる。10~12 月期の住宅投資(GD
P統計)が 3 四半期ぶりに増加するかどうか注目される。
5
みずほ米国経済情報(2016 年 11 月号)
図表 9
(前月差、万人)
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
15/10
雇用統計
図表 10
時間当たり賃金
(前月比、%)
(%)
5.2
0.6
0.4
5.0
0.2
0.0
4.8
▲ 0.2
▲ 0.4
4.6
16/10
(年/月)
16/4
非農業部門雇用者数
15/10
16/10
(年/月)
後方3か月移動平均
失業率(右目盛)
(資料)米国労働省より、みずほ総合研究所作成
図表 11
16/4
(資料)米国労働省より、みずほ総合研究所作成
小売売上高
図表 12
(前月比、%)
1.5
住宅着工件数と住宅市場指数
(年率、万件)
145
70
1.0
60
130
0.5
0.0
50
40
115
30
▲ 0.5
100
▲ 1.0
15/10
16/4
コア
20
15/11
16/10
(年/月)
(資料)米国商務省、NAHB より、みずほ総合研究所作成
図表 13
家計部門の主要統計
Q4 2015 Q1 2016 Q2 2016 Q3 2016
2016/7
2016/8
2016/9 2016/10 2016/11
240
220
151
207
271
252
176
191
161
%
5.0
4.9
4.9
4.9
4.9
4.9
4.9
5.0
4.9
n.a.
時間
34.5
34.5
34.4
34.4
34.4
34.4
34.3
34.4
34.4
n.a.
時間当たり賃金
前期比、%
0.6
0.6
0.7
0.7
0.1
0.4
0.1
0.3
0.4
n.a.
小売売上高
前期比、%
0.2
▲ 0.0
1.5
0.9
0.7
0.1
▲ 0.0
1.0
0.8
n.a.
前期比、%
0.3
0.7
1.7
0.3
0.3
▲ 0.2
0.1
0.3
0.8
n.a.
台数、百万台
18.0
17.4
17.1
17.5
16.8
17.9
17.0
17.8
18.0
n.a.
1966年Q1=100
91.3
91.6
92.4
90.3
93.5
90.0
89.8
91.2
87.2
93.8
週当たり労働時間
コア小売
新車自動車販売台数
ミシガン大消費者信頼感
n.a.
1985年=100
96.0
96.0
94.8
100.7
97.4
96.7
101.8
103.5
100.8
107.1
住宅着工件数
年率、千戸
1,135
1,151
1,159
1,145
1,195
1,218
1,164
1,054
1,323
n.a.
住宅着工許可件数
年率、千戸
1,221
1,142
1,140
1,174
1,153
1,144
1,152
1,225
1,260
n.a.
新築住宅販売件数
年率、千戸
508
529
565
588
558
622
567
574
n.a.
n.a.
中古住宅販売件数
年率、千戸
5,200
5,300
5,503
5,390
5,570
5,380
5,300
5,490
n.a.
n.a.
DI
62
59
59
61
60
58
59
65
63
63
カンファレンスボード消費者信頼感
住宅市場
2016/6
前期差、千人
非農業部門雇用者数
失業率
個人消費
16/11
(年/月)
住宅着工件数
住宅市場指数(右目盛)
自動車・建材・ガソリン・外食
(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成
雇用環境
16/5
NAHB住宅市場指数
(資料)米国労働省、米国商務省、Autodata、ミシガン大、カンファレンスボード、NAR、NAHB よりみずほ総合研究所作成
6
みずほ米国経済情報(2016 年 11 月号)
4.企業・対外・政府部門:機械投資は下げ止まり、輸出は低調
設備投資については、建設投資が減少する一方、機械投資は下げ止まりつ
つある。
建設投資は減少
9 月の建設投資(除く住宅)は、商業施設や工場建設を中心に 5 カ月ぶりに
減少した
(図表 14)
。
10 月の銀行融資担当者調査
(Senior Loan Officer Opinion
Survey)によれば、商業不動産ローン向けの貸出基準は引き続き厳格化の方
向にあり、資金調達環境の悪化が懸念される。
機械関連投資は下げ止
まり
コア資本財(国防・航空機を除く資本財)の 10 月の出荷額は 3 カ月連続で
増加し(図表 15)
、機械関連投資の下げ止まりを示唆した。コア資本財受注額
も小幅ながら 2 カ月ぶりに増加した。
投資マインドは持ち直
し
サーベイ調査では、企業の投資マインドに持ち直しの動きがみられる。11
月までの地区連銀製造業調査における 6 カ月先の設備投資見通し指数は、振
れを伴いつつも、上向いている。
飲食料品輸出による押
し上げがはく落
9 月の実質輸出入は、輸入が減少する一方で、輸出が小幅に増加した(図表
16)
。実質輸入は 6 月以降横ばい圏の動きとなっている。9 月に関しては、自
動車が増加したものの、資本財を中心に幅広い品目で減少した。実質輸出は、
低迷が続いていた資本財が反発する一方、7~8 月に大幅に増加した飲食料品
が落ち込んだ。7~8 月は、干ばつの影響でブラジル等南米における大豆の収
穫量が減少し、同地域向けの輸出が急増していたが、9 月はその反動減が生じ
た。10 月の貿易統計(速報値)では、名目輸入が増加する一方で、名目輸出
が減少した。飲食料品輸出の落ち込みが続いたほか、幅広い品目の輸出が減
少した。
連邦財政赤字は拡大す
る見込み
10 月から 2017 会計年度がスタートした。2017 会計年度の 10 月の赤字額は
442 億ドルと、2016 会計年度の同月(1,366 億ドル)を下回った(図表 17)
。
他方、CBOが 8 月に実施した試算によれば、現行制度のままでも、赤字額
は拡大していくと見込まれている。2017 会計年度の累計赤字額(2016 年 10
~2017 年 9 月)は 5,939 億ドルと、5 年ぶりに赤字額が拡大した 2016 会計年
度よりも大きくなるとの見通しであった。
世の中の関心は、トランプ新政権の経済政策や閣僚人事に集中しているが、
暫定予算の期限が 12 月 9 日に切れることから、レームダック期間中の議会動
向にも注意を払う必要がある。
7
みずほ米国経済情報(2016 年 11 月号)
図表 14
非住宅建設投資
図表 15
(年率、億ドル)
資本財出荷・新規受注
(年率、億ドル)
4400
680
660
4200
640
4000
620
600
15/10
3800
15/9
16/3
図表 17
累積連邦財政収支
▲2,000
▲3,000
▲4,000
▲5,000
▲6,000
10
16/3
16/9
(年/月)
12
2
4
6
8
(月)
2015年度
輸入
図表 18
2016年度
(資料)米国商務省、NAHB より、みずほ総合研究所作成
企業・対外・政府部門の主要統計
Q4 2015 Q1 2016 Q2 2016 Q3 2016
2016/6
2016/7
2016/8
2016/9 2016/10 2016/11
ニューヨーク(NY)連銀 現状判断
▲ 9.2 ▲ 11.8
2.2
▲ 1.9
6.0
0.5
▲ 4.2
▲ 2.0
▲ 6.8
1.5
フィラデルフィア(PHL)連銀 現状判断
▲ 7.3
2.0
0.4
4.0
4.7
▲ 2.9
2.0
12.8
9.7
7.6
前期比、%
▲ 1.9
▲ 1.8
▲ 1.7
n.a.
0.5
0.8
1.2
▲ 1.4
0.4
n.a.
コア資本財 出荷金額
前期比、%
▲ 1.7
▲ 3.0
▲ 0.5
n.a.
▲ 0.4
▲ 0.7
0.1
0.4
0.2
n.a.
非住宅建設支出
前期比、%
▲ 1.4
1.2
2.6
n.a.
0.9
2.0
0.5
▲ 1.0
n.a.
n.a.
13.7
14.6
12.1
8.6
11.2
11.0
4.1
10.7
13.2
12.7
14.0
8.4
14.5
14.3
7.1
15.1
19.2
8.6
21.2
19.1
▲ 124 ▲ 125 ▲ 125
n.a.
▲ 45
▲ 40
▲ 40
▲ 36
n.a.
n.a.
コア資本財 受注金額
NY連銀 6か月先設備投資判断
PHL連銀 6か月先設備投資判断
貿易収支
10億ドル
輸出
10億ドル
552
輸入
10億ドル
676
664
671
n.a.
228
226
229
226
n.a.
n.a.
2013年=100
102
101
102
n.a.
101
104
106
106
n.a.
n.a.
2013年=100
109
109
109
n.a.
111
109
110
109
n.a.
n.a.
▲ 216 ▲ 245
60
n.a.
6
▲ 113 ▲ 107
33
▲ 44
n.a.
実質財輸出
実質財輸入
財政
(年/月)
▲1,000
(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成
輸出入
16/10
(億ドル)
0
輸出
設備投資
16/7
(資料)米国労働省より、みずほ総合研究所作成
実質財輸出・輸入
(2013年平均=100)
114
112
110
108
106
104
102
100
98
15/9
企業業況
16/4
コア資本財受注
コア資本財出荷
(資料)米国労働省より、みずほ総合研究所作成
図表 16
16/1
16/9
(年/月)
財政収支
10億ドル
歳入
10億ドル
766
歳出
10億ドル
981
539
546
n.a.
183
186
188
189
n.a.
n.a.
711
993
n.a.
330
210
231
357
222
n.a.
956
932
n.a.
323
323
338
323
266
n.a.
(資料)米国労働省、米国商務省、Autodata、ミシガン大、カンファレンスボード、NAR、NAHB よりみずほ総合研究所作成
8
みずほ米国経済情報(2016 年 11 月号)
5.物価動向:コアPCEデフレーター上昇率は低位安定
輸入物価は下落率が縮
小
10 月の輸入物価指数は前年比▲0.2%となり、前月(同▲1.0%)から下落
率が縮小した(図表 19)
。ドル高や原油安が一服していたことにより、前年比
ベースでみた輸入物価に対する低下圧力が弱まっていた。最終財(自動車、
消費財、資本財)の下落率は小幅に縮小した。
国内企業部門の物価は
プラス幅が小幅に拡大
10 月の最終需要・生産者物価指数
(PPI)
は前年比+0.8%
(前月同+0.7%)
と、プラス幅が小幅に拡大した(図表 20)
。エネルギーを含む財物価の上昇率
はプラス圏に浮上した(9 月同▲0.4%→10 月同+0.3%)
。一方で、毎月の変
動が大きい卸売業者や小売業者のマージンの減少等を受けて、サービス物価
の上昇率は減速した(9 月同+1.4%→10 月同+1.1%)
。
PCEデフレーターは
リテール部門の物価上昇率は、低位安定が続いている。
低位安定
9 月の個人消費支出(PCE)デフレーター上昇率は前月比+0.2%と前月
から変わらなかったが、コアPCEデフレーター(食品・エネルギーを除く)
上昇率は同+0.1%(8 月同+0.2%)と減速した(図表 21)
。コアに関しては、
教養娯楽関連の耐久財や宝飾品、衣料品等のコア財物価の上昇率がマイナス
圏に転じた。他方、サービス物価上昇率は前月と同率であった。前年比では、
ヘッドラインの上昇率が+1.2%(8 月+1.0%)と加速する一方で、コアは+
1.7%と前月から変わらなかった(図表 21)
。基調的な物価上昇率を示すダラ
ス連銀の刈込平均PCEデフレーター上昇率は、2016 年初以降、1.7%の上昇
率が続いている。
10 月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、ガソリン価格の上昇を主因に、
前月比+0.4%(9 月同+0.3%)と加速した。他方、コアCPI上昇率は前月
比+0.1%と前月から変わらなかった。内訳をみると、自動車や衣料品等のコ
ア財物価はプラス圏に転じたが、航空運賃の下落や娯楽サービス価格の伸び
悩みを受けて、サービス物価上昇率は緩やかなペースにとどまった。前年比
では、ヘッドラインの上昇率が+1.6%(9 月+1.5%)と加速する一方で、コ
アCPI上昇率は+2.1%(9 月同+2.2%)に減速した。
サーベイ調査に基づく
インフレ率は低水準
市場取引ベースのインフレ期待、サーベイ調査に基づくインフレ期待は持
ち直した(図表 22)
。11 月 28 日時点の 5 年先ブレーク・イーブンインフレ率
は+1.92%と 2014 年半ば並みの水準となった。しかし、11 月のミシガン大調
査による 5 年先のインフレ期待は+2.6%と 2 カ月前の水準に戻ったに過ぎな
かった。
マーケットでは、トランプ次期大統領が選挙期間中に掲げてきた大規模な
財政出動への期待がインフレ期待の上昇につながっているようだ。また、ト
ランプ氏の厳格な移民政策や関税率引き上げ等の通商政策も、インフレ率を
加速させ得る要因である。一方、ドル高はインフレ抑制要因であり、インフ
レ率が上振れるか下振れるかは不透明なところが大きい。
9
みずほ米国経済情報(2016 年 11 月号)
図表 19
輸入物価
(前年比、%)
図表 20
(前年比、%)
0.5
5
(前年比、%)
3.0
0.0
0
2.0
▲ 0.5
1.0
▲ 1.0
0.0
▲ 1.5
▲1.0
▲ 2.0
16/10
(年/月)
▲2.0
▲5
▲ 10
▲ 15
15/10
16/4
輸入物価
15/10
16/4
総合
うち最終財(右目盛)
(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成
図表 21
最終需要PPI
16/10
(年/月)
コア
(資料)米国労働省より、みずほ総合研究所作成
PCEデフレーター
図表 22
(前年比、%)
2.0
期待インフレ率
(%)
3.2
2.8
1.5
2.4
1.0
2.0
0.5
1.6
0.0
1.2
15/10
16/4
総合
15/11
16/10
(年/月)
16/5
ミシガン大 期待インフレ率(5~10年先) (年/月)
BEI(5年先5年)
コア
(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成
(資料)ミシガン大、Bloomberg より、みずほ総合研究所作成
図表 23
物価の主要統計
Q4 2015 Q1 2016 Q2 2016 Q3 2016
輸入物価
消費者物価
2016/7
2016/8
2016/9 2016/10 2016/11
▲ 9.5
▲ 6.4
▲ 5.1
n.a.
▲ 4.7
▲ 3.7
▲ 2.2
▲ 1.0
▲ 0.2
前年比、%
▲ 1.6
▲ 1.2
▲ 1.1
n.a.
▲ 1.1
▲ 1.0
▲ 1.0
▲ 0.9
▲ 0.7
n.a.
最終需要 生産者物価指数
前年比、%
▲ 1.3
0.0
0.1
n.a.
0.2
▲ 0.2
0.0
0.7
0.8
n.a.
コア生産者物価指数
前年比、%
0.2
1.1
1.2
n.a.
1.2
0.7
1.0
1.2
1.2
n.a.
消費者物価指数
前年比、%
0.5
1.1
1.0
n.a.
1.0
0.8
1.1
1.5
1.6
n.a.
コア消費者物価指数
前年比、%
2.0
2.2
2.2
n.a.
2.2
2.2
2.3
2.2
2.1
n.a.
PCEデフレーター
前年比、%
0.4
0.9
1.0
n.a.
0.9
0.8
1.0
1.2
n.a.
n.a.
前期比、%
0.1
0.1
0.5
n.a.
0.1
0.0
0.2
0.2
n.a.
n.a.
前年比、%
1.4
1.6
1.6
n.a.
1.6
1.6
1.7
1.7
n.a.
n.a.
前期比、%
0.3
0.5
0.4
n.a.
0.1
0.1
0.2
0.1
n.a.
n.a.
前年比、%
1.6
1.7
1.7
n.a.
1.7
1.7
1.7
1.7
n.a.
n.a.
%
2.6
2.6
2.5
2.6
2.6
2.6
2.5
2.6
2.4
2.6
期末値、%
1.8
1.5
1.5
1.4
1.4
1.4
1.4
1.5
1.6
1.8
コアPCEデフレーター
刈込平均 PCEデフレーター
インフレ期待
2016/6
前年比、%
輸入物価指数
最終財
生産者物価
16/11
ミシガン大 期待インフレ率
BEI(5年先5年)
n.a.
(資料)米国商務省、米国労働省、ダラス連銀、ミシガン大、Bloomberg より、みずほ総合研究所作成
10
みずほ米国経済情報(2016 年 11 月号)
2 01 6年 11 月 30 日
発行
欧米調査部主席エコノミスト 小野 亮
03-3591-1219 mak ot [email protected] o. jp
欧米調査部主任エコノミスト 風間 春香
03-3591-1418 har uk a.kazama@mizuho-r i. co.jp
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ません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに基づき作成されておりますが、その正確
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