日本:家計調査報告(2016年10月) MRI Daily Economic Points ― 消費は一進一退の動き ― November 29, 2016 評価ポイント 図表 実質消費支出 (実質前年比%) 2016年10月の結果 4 その他 2 2016年10月の消費支出(二人以上の世帯)は、実質前年比で▲0.4%と 8ヶ月連続の減少。前月(同▲2.1%)からマイナス幅は縮小。季節調整値 では、実質前月比▲1.0%と、2ヶ月ぶりに減少に転じた。 季調済前月比で最もマイナスに寄与したのは交通・通信である。前月に増 加した自動車購入や自動車等維持(ガソリン等)の反動もあり、実質前月 比▲10.6%(寄与度▲1.6%p)となった。そのほか、教育、交際費などのそ の他の消費支出もマイナス寄与となったが、いずれも単月の振れが大きく、 均してみる必要がある。また、寄与度は小さいものの、天候不順による葉 物野菜の値上がりを受けて、生鮮野菜が実質ベースでは大きく減少した。 一方、プラスに寄与したのは、住居である。天候不順に見舞われた8-9月 から、設備修繕・維持が持ち直しており、実質前月比+14.6%(寄与度 +0.9%p)となった。 勤労者世帯の平均消費性向は引き続き低位で推移。可処分所得に比べ、 消費の回復力が鈍い状況が続いている。 交通・通信 0 被服及び履物 -2 光熱・水道 -4 住居 -6 食料 -8 消費支出 -10 1 3 5 7 9 11 1 3 2014 5 7 9 11 1 3 2015 5 7 9 2016 資料:総務省「家計調査報告(二人以上世帯)」 73 100 72 71 70 2015 9 7 5 3 1 9 11 7 68 5 95 3 69 1 96 ※勤労者世帯 ※点線は後方3ヶ月移動平均 2016 資料:総務省「家計調査報告(二人以上世帯)」 Copyright (c) Mitsubishi Research Institute, Inc. 5 97 消費は、一進一退の動きを続けている。 消費の先行きは、雇用・所得環境の改善が消費の下支え要因となるほか、 足元で進行する株価上昇が消費マインドを改善させる効果も見込まれ、16 年度末にかけて緩やかながらも持ち直していくと予想する。 ただし、海外の政治・経済の不透明感が強い状況が続くとみられ、①米国 新政権の政策運営、②英国のEU離脱交渉、③欧州各国で相次ぐ選挙、な どの展開次第では、足元で進行する円安・株高の流れが逆回転する可能 性も否定できない。これが企業マインドの一段の慎重化を通じて、17年度 の賃上げ鈍化を招けば、消費の下振れにつながるリスクが懸念される。 平均消費性向 3 98 2015 2016 9 101 99 基調判断と今後の流れ 74 7 102 75 5 実質消費支出 (除く住居等) 3 103 1 実質消費支出 (可処分所得に対する消費の割合、%) 9 104 76 11 (季調値、2015年=100) 図表 平均消費性向 1 105 季調済実質消費支出 7 図表 担当: 政策・経済研究センター 森重彰浩 TEL 03-6705-6087
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