表紙から 2016 12/10 CONTENTS 32 スマホとネットは確か に便利だが、過度な依 存は禁物だ。 【第 1特集】 Taxi/Getty Images 撮影：梅谷秀司、風間仁一郎 ググるだけではカモられる 情報の裏側 34 36 1 Part Interview 情報の深層 池上 彰 ニュースのプロの選別眼と盲点 私がトランプ当選を見抜けなかった理由 40 衝撃リポート DeNAのエセ健康サイトは氷山の一角だ 46 「露出」 で勝った自民党 小口日出彦 ● パースペクティブ・メディア社長 50 自称愛国者は情報弱者だ 安田浩一 ●ジャーナリスト 52 日経のニュース判断を信じられるか 53 Interview│私はストーリーの裏側を語る アンドリュー・レフト●シトロン・リサーチ創設者 ギョク 54 Interview│座って得られる情報に玉なし 山本一郎●投資家・著作家 56 2 賢人の戦略 Part 56 独自思考を生む情報収集の極意 石破 茂● 衆議院議員／梅澤高明●Ａ．Ｔ．カーニー日本法人会長 橘 玲● 作家／松尾 豊● 東京大学特任准教授 66 コンビニ、ビール、食品… 情報戦を勝ち抜くエース社員の知恵 68 ビジネスにも生きる 週刊文春の特ダネ発掘術 70 金融業者の勧誘に潜む落とし穴 鈴木雅光● 金融ジャーナリスト 72 株式市場の達人が指南 儲かる情報 VS. 損する情報 74 就活生＆親必読！ブラック企業はこう見抜け 76 「禁じ手」記事が蔓延 エセ医療情報の賢い見抜き方 鳥集 徹●ジャーナリスト 78 デジタル機器を超活用 佐藤優に学ぶ知の鍛え方 ネット利用が一段と増えた ─情報源の利用時間の変化─ （→P35） インターネット SNS・ブログ マスコミの ニュースサイト ラジオ 新聞 テレビ ■大幅に増えた ■多少増えた 雑誌 0 10 20 30 40 50 60 （%） 池上 彰 36 ジャーナリスト 「 『まさか』 を 想像することが大事」 石破 茂 56 衆議院議員 「図書館通いで 政策や答弁能力を鍛えた」 佐藤 優 78 作家 「ネットは 初級者と上級者向け」 CONTENTS 2016 12/10 ニュース最前線 9 ｜ 経 済 を 見 る 眼 ｜ボーナス制度は役割を終えたか／太田聰一 11 ｜ こ の 人 に 聞 く ｜櫻田謙悟 ● SOMPOホールディングス グループCEO ｜米国に橋頭堡 29 ｜ 少 数 異 見 ｜自らの首締めたトランプの公約 ジレンマ抱え、至難な舵取り この人に聞く SOMPOホールディングス グループCEO 櫻田謙悟 9 経済を見る眼 太田聰一 92 94 96 98 100 102 103 104 105 106 112 121 122 ｜ニュース戦 ニュース戦記 星浩 96 ｜ 知 の 技 法 ｜トランプ当選で慌てた日本外務省／佐藤 優 ｜ 中 国 動 態 ｜ 「創客 （メイカー） 」は中国経済を変えられるか／梶谷 懐 ｜ マ ク ロ ウ ォ ッ チ ｜EUのルールが阻むイタリア不良債権の処理 ｜ 歴 史 の 論 理 ｜サラリーマン弾丸紀行｜ 新連載 82 赤ん坊段階にすぎない｢ホウレンソウ｣の組織／伊藤祐靖 台北往復8106円で何を食べる？／橋賀秀紀 を書いた山田昌弘氏に聞く ｜ブックス &トレンズ｜ 『モテる構造 男と女の社会学』 ｜ Readers & Editors｜読者の手紙、編集部から 103 イタリアに続く欧州不安 フランス極右政権の悪夢 87 I NTERVIEW 橘川武郎 ● 東京理科大学大学院 教授 「柏崎刈羽は完全売却、東電は送配電会社として生き残る」 経産省が描く＂抱き合わせシナリオ＂電力自由化の裏で原発支援 I NTERVIEW 高橋 洋 ● 都留文科大学 教授 大石美奈子 ●日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 代表理事 122 ビジネスアスペクト 秋田県／企業、人、産業を引き寄せる 秋田県の底力。 東京理科大学 科学者と高校生たちの刺激的でぜいたくな２日間 ビジネスコア アセットマネジメントOne／今こそ、グローバル中小型株投資へ S-cubism IoT conference 図表作成：小堺賢吾 本誌の記事は「日経テレコン」 「G-Search」 「ELNET」 「FACTIVA」等のデータベースに収録されており、フリーキーワードで検索、購入できます。 「政策の抱き合わせは原発の温存につながる」 「廃炉・賠償費用徴収は託送料金以外の方法を」 生涯現役の人生学 童門冬二 PR 第5回 東電支援 86 ブックス＆トレンズ 『モテる構造 男と女の社会学』 山田昌弘 106 青砥紀身● 高速増殖原型炉もんじゅ 所長 行き詰まる 85 ｜生 涯 現 役の人 生 学｜もの忘れ防止法／童門冬二 104 緊急インタビュー 原発問題の徹底追跡を再開。福島第一原発の廃炉・賠償費用を 国民に一部転嫁する代わりに東電を再編する構想が浮上している。 ｜ ゴ ル フ ざ ん ま い｜松山英樹の進化の秘密は、体・技・心／三田村昌鳳 非常時の組織論 伊藤祐靖 24 緊 急 連 載 ｜ 新連載 粗暴な指導者でも冷徹な認識で動く／岡本隆司 ｜ 非 常 時 の 組 織 論｜ 新連載 独メガサプライヤー猛攻 変わる自動車部品勢力図 26 ｜ グ ロ ー バ ル ア イ｜トランプ革命が抱える大いなる矛盾／ロバート・J・シラー ほか ｜ フ ォ ー カ ス 政 治｜経済、外交、改憲に高い壁 高支持率の陰に漂流の兆し／塩田 潮 22 もんじゅの総括は必要 次の段階に成果つなぐ 記 ｜北方領土問題の 「引き分け」とは／星 浩 歴史の論理 岡本隆司 5 18 61 114 第三のビールは消滅へ 中国動態 梶谷 懐 92 11 20 酒税法改正＂狂騒曲＂ 深層リポート JR九州 ＂脱鉄道＂ の成算 88 今秋、上場企業となったＪＲ九州。鉄道事業の先行きは暗い中、 成長を本当に続けられるのか。その成否は、非鉄道事業に懸かっている。 スーパーの店頭に並ぶ 新ジャンル。税改正で 商品区分そのものがな くなりそうだ グ グ る だ け で は カモられる 情報 裏 スマホの登場でガラリと変わった情報収集の環境。 ネット情報が膨れ、テレビや紙媒体を凌駕する。一方 でエセ情報も氾濫。毎日接する情報洪水の舞台裏と、 その荒波をうまく泳ぐ実践スキルを紹介する。 デザイン：森本会美、杉山未記 進行管理：鈴木 智 本誌：島 大輔、田嶌ななみ、又吉龍吾、中山一貴、菊地悠人、倉沢美左、 許斐健太、杉本りうこ の DigitalVision /Getty Images 32 2016.12.10 週刊東洋経済 側 週刊東洋経済 2016.12.10 33 第１特集 特集／情報の裏側 この考え方には一部の委員から反 対意見があったものの、経産省幹部 界最悪レベルの事故を起こし た東京電力ホールディングス は﹁金額の大きさが示されていない 世 の福島第一原子力発電所。その被災 点で留保付きではあるが、広く負担 との認識を示した。 て徴収する。 金の仕組みを使って回収することが が認められていることから、託送料 み上げて料金を決める総括原価方式 とされる。そこで同省が考え出した では、 ﹁ ︵過去にさかのぼって負担を ﹁現在の原子力事業者の相 だが、 互扶助の仕組みだけでは、回収が困 現在の原子力損害賠償法は、原発 事故が起きた場合の賠償金額につい のが、現在の賠償の仕組みができる 求めるやり方は︶普通のビジネスで 最も適当であるとの考え方を経産省 Ｇ︶ 。経産省は﹁福島事故前に確保 て1200億円を上限としている。 前の電気の費用について、 ﹁本来含 国民の納得を得るのは難しい﹂とい はありえない。うまく説明しないと 難﹂と経産省は判断した。電力自由 されておくべき賠償の備えがなかっ 福島事故では、除染費用を含む要賠 まれていなかった﹂という理屈だ。 まれるべき原発事故の賠償費用が含 は示した。 た﹂として、 ﹁過去にこれらの費用 る。この差額については現在、国が 償額がすでに8兆円近くに迫ってい 化が進み、原発を持たない新電力の 東電の賠償費用がこの 託送料金 （送配電線利用 料金） に今後上乗せして 徴収される ? シェアが高まっていることが理由だ 裏 だが、こうした説明について、 月 日の貫徹委財務会計ＷＧの会合 撮影：尾形文繁 需要家に対しても、さかのぼって負 経産省がもくろむ 賠償費用３兆円徴収策 「?兆円」の文字が並ぶ 東電委員会で配付され た資料。総額も明らか にされないまま、負担 方法が議論されている 最後の 選択 表 を含まない、安価な電気を利用した 策小委員会・財務会計ワーキンググ 原発 電気料金に東電の賠償費用を 上乗せする案が検討中 について、送配電線の利用料である を示した。 ﹁過去分﹂と称する費用 担を求めることが適当﹂との考え方 電力や中部電力など、原発を保有す が設けられている。東電のほか関西 年の長期にわたって回収する仕組み 東電に資金を援助したうえで、数十 送料金に着目。託送料金には、将来 として、送配電線の利用料である託 そして、すべての電気利用者から 取りはぐれのない回収ができる方法 員︵ 書面を提出して反対意見を述べた 消費者団体代表理事の大石美奈子委 ㌻ イ ン タ ビ ュ ー 参 照︶ は、 う意見が出た。 託送料金に上乗せして徴収しようと にわたって必要な費用のすべてを積 11 る電力会社から﹁一般負担金﹂とし 29 いう仕組みだ。 ループ﹂ ︵以下、貫徹委財務会計Ｗ れた﹂ ︵小川要・電力市場整備室長︶ 者への賠償費用を、原発による発電 本誌：岡田広行 が必要なことは一定の方向性を得ら 原発問題の徹底追跡を再開。福島第一原発 の廃炉・賠償費用を国民に一部転嫁する代 わりに東電を再編する構想が浮上している。 が始まった 年前までさかのぼって 月 日に経済産業省が開催した ﹁電力システム改革貫徹のための政 が導入されようとしている。 広く全国の国民に負担させる仕組み 45 82 2016.12.10 週刊東洋経済 ﹁託送料金に上乗せする仕組みでは 週刊東洋経済 2016.12.10 29 東電委員会の伊藤邦雄 委員長（右）と廣瀬直 己・東京電力ホールデ ィングス社長 （左上） 83 東電支援 行き詰まる 11 5 87 緊急連載 原発 最後の選択 TEPCO /ロイター/ アフロ の成否は、非鉄道事業に懸かっている。 社には国鉄長期債務の一部を承継さ ため国鉄分割民営化に際し、本州₃ 三島会社は、事業基盤の弱さから 鉄道事業の黒字確保が難しい。この 赤字続きであった。 い。現にそれまで同社の鉄道事業は の路線ネットワークは維持しきれな の程度の売上高では₂₀₀₀㌔㍍超 インの依頼が舞い込む。 元には、日本中の鉄道会社からデザ る工業デザイナー・水戸岡鋭治氏の 観光列車デザインを一手に引き受け わが社にも欲しい﹂と、ＪＲ九州の だ。 ﹁ＪＲ九州のような観光列車が 道ファンなら誰もが知っている存在 社には営業損失を補塡できるだけの を承継させなかった。同時に三島会 せた一方で、三島会社には長期債務 ったが、 年₁月の本誌インタビュ ﹁採算度外視では﹂という懸念もあ 開発した。あまりにも豪華な内装に 保に力を入れてきた。ＪＲ九州の場 むろん経営安定基金の上にあぐら をかくことなく、鉄道事業の収益確 字経営を維持することができた。 鉄道事業は赤字でも会社としては黒 ₈₇₇億円。この運用益によって、 れた。ＪＲ九州の経営安定基金は₃ らないが、 ﹁ＪＲ九州が元気だ﹂と の収益を大きく押し上げることにな ん、観光客の利用だけでは鉄道事業 運行から₃年経った今も抽選倍率が 収できる﹂と自信を見せた。実際、 ︵当時社長︶は﹁ ～ 年で十分回 ーで、開発を指揮した唐池恒二会長 倍を超える人気ぶりだ。もちろ ななつ星に負けじと、ＪＲ東日本 「会 社発足時に、当社の将来の 上場をイメージしていた人 ＪＲ九州の青柳俊彦社長は、 月 日に果たした悲願の東京証券取引 はいなかったはず﹂ の成算 ＂脱鉄道＂ ＪＲグループとしては、₁₉₉₃ 年 月のＪＲ東日本、 年 月のＪ た。 所₁部上場について、そう振り返っ ₂₅ ₉₆ ₁₀ Ｒ西日本、 年 月のＪＲ東海に続 ₁₀ ₁₀ そんな中での上場だった。ＪＲ各 社が発足した 年度の各社の鉄道事 人口減少に苦しむ中 観光列車に注力 られてきた。 九州についても上場は難しいと考え しんでいる。ほかの₂社同様、ＪＲ ゼーション化による利用者減少に苦 少や高速道路の開通に伴うモータリ 抱える本州₃社とは異なり、人口減 首都圏や大阪圏という人口集積地を 式上場を目標に掲げてきた。しかし JR九州以外の＂三島会社＂であ るJR北海道、JR四国もまた、株 く₄社目の上場だ。 ₉₇ 業売上高を比べると、ＪＲ北海道が ₇₂₆億 円、 Ｊ Ｒ 四 国 が₃₀₆億 円。それに引き換えＪＲ九州は₁₂ ₆₆億円。売上高₇₀₀₀億～₁兆 ₅₀₀₀億円台の本州₃社より劣る が、元から三島会社の中で頭一つ抜 けていたのは事実だ。とはいえ、こ イスクリーム店のように、後に撤退 を余儀なくされた事業もある。 ＪＲ九州のほかにも非鉄道比率が 高い鉄道会社はある。たとえばＪＲ 北海道の非鉄道比率も ％と、本州 とＪＲ西日本も、それぞれ﹁トラン 州の強みがある。 非鉄道事業の収益力の高さにＪＲ九 み ずか ぜ スイート四季島﹂ ﹁トワイライトエ 車を 年から運行する。 非鉄道事業も特徴的である。駅ビ ル、不動産、流通、ホテル。これら たとえばホテル事業。ＪＲ九州 は、九州域内だけでなく 年に東 っている ︵ ㌻上図︶ 。 実際、 過年度の ₃社と比較すると、ＪＲ九州は際立 売上比率が₂～₃割にとどまる本州 割合は過半を超える。非鉄道事業の でなく、東京や上海にも積極的に出 酒屋事業﹁うまや﹂も九州域内だけ 新橋や沖縄にも開業する予定だ。居 京・新宿にも進出している。今後は ₁₄ ₁₇ が 年₉月中間期の売上高に占める 様子を見ればそれは明白だ。 クスプレス瑞風﹂という豪華観光列 り非鉄道比率の高さというよりも、 けの利益は生み出せていない。つま 粒だ。さらに鉄道の赤字を埋めるだ 複合施設を除けば、残りの展開は小 の場合、札幌駅を再開発した大規模 ₃社より高めだ。ただしＪＲ北海道 ₄₂ では、この収益力の高さの源泉は どこにあるのか。同社の事業展開の 撮影：尾形文繁 ₈₇ 本誌：大坂直樹 益で鉄道事業の赤字を埋めて営業黒 決算では、非鉄道事業がもたらす利 店を重ねている。 字化に成功。経営安定基金に頼るこ となく経営を安定化させている。 を出店しているが、ほかの鉄道会社 ァミリーマートと提携してコンビニ と違うのは、市街地にも積極的に出 足時からＪＲ九州は多岐にわたる新 ミニＳＬの賃貸、宅配便取り次ぎ サービス、きのこ栽培││ 。会社発 グストアチェーン﹁ドラッグイレブ 年に買収した九州地盤の中堅ドラッ 舗数は₁₅₀を超える。一方で、 店することだ。今年₃月時点での店 規事業に取り組んできた。中にはア 地域やＪＲの枠超えた 「非鉄道事業」 の強み 動きが相次いでいる。ＪＲ九州もフ 鉄道各社が大手コンビニと提携し て駅ナカ売店をコンビニに転換する ₉₀ ₂₀₁₃年には 億円を投じて豪 華寝台列車﹁ななつ星in九州﹂を 運用益を生む経営安定基金が設けら 合 は 観 光 列 車 戦 略 だ。 ﹁い さ ぶ ろ いうアピールには成功している。 いぶ すき う・しんぺい﹂ ﹁指宿のたまて箱﹂ ₁₅ ₁₆ 10月25日、念願の東証 1部上場を華やかに祝 った ﹁海幸山幸﹂といった観光列車は鉄 今秋、上場企業となったJR九州。鉄道事業の先 行きは暗い中、成長を本当に続けられるのか。そ 、 州 九 JR ₃₀ ₁₀ 88 2016.12.10 週刊東洋経済 週刊東洋経済 2016.12.10 89 ₁₄ ₁₀ ₀₇ ₂₀ 深層リポート JR 九州、 ＂脱鉄道＂の成算
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