特別企画 :四国地区の旅客運送業者の業績動向調査

2016/11/30
高松支店
高松市錦町 1-11-3
TEL:087-851-1571
URL:http://www.tdb.co.jp/
特別企画 :四国地区の旅客運送業者の業績動向調査
2015 年度の総収入高は前年度比 3.1%増、利益額合計は 62.2%減
~増収企業が大手に集中、事業規模で格差生じる~
はじめに
四国運輸局が発表している「2015 年度四国の主要観光地入込状況」によると、四国の主要観光
地を訪れた人数は前年度比 6.4%増の 1349 万人で、過去 5 年間では最高の増加率となった。また、
四国 4 県全てで訪問者が増加していた。
そこで、帝国データバンク高松支店では、この観光地の好調さが四国の鉄道、バス、タクシー、
フェリーなど旅客を運送する企業業績にプラスとなっているかを探るため、これらの企業の 2013
年度から 2015 年度の 3 年間の収入高、利益(当期純利益、以下同じ)
、従業員数の推移をみると
ともに、収入高上位企業を抽出した。
※
今回の調査は「鉄道業」「道路旅客運送業」「沿海旅客海運業」「港湾旅客海運業」を主業とする企業のうち、
2013 年度~2015 年度の年収入高が比較可能な 306 社を対象に実施。
調査結果(要旨)
1. 四国に本社を置く旅客運送業者 306 社の 2015 年度の総収入高は前年度比 3.1%増の
1049 億 5400 万円。
2. 上記 306 社のうち、2015 年度に増収だった企業数は 75 社(24.5%)となり、減収
の 68 社(22.2%)より多かった。2014 年度の増収企業数(82 社・26.8%)と比べ
ると、企業数は減少していた。
3. 上記 306 社のうち、3 年度連続で利益が比較可能な 56 社の 2015 年度の利益額合計
は前年度比 62.2%減の 36 億 6600 万円であった。34 社(60.7%)の企業が増益とな
っており、2014 年度と比べて 2 社増加していた。
4. 上記 306 社のうち、3 年連続で従業員数が判明している 271 社の 2015 年の従業員総
数(正社員のみ、役員・パートなどを除く)は 10922 人。2014 年と比べて 0.1%減
とわずかではあるが減少していた。
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特別企画 : 四国地区の旅客運送業者の業績動向調査
1.総収入高
四国に本社を置く旅客運送業者 306 社の 2015 年度の総収入高は前年度比 3.1%増の 1049 億 5400
万円だった。2014 年度の総収入高は前年度比 0.1%増の 1018 億 2900 万円で、ほぼ横ばいとなっ
ていた。
2015 年度の総収入高は増加しているが、鉄道会社が観光列車の投入や路線整備に努めたことが
功を奏し収入高を
伸ばしていた。ま
(百万円)
た、バスやフェリ
130,000
■ 総収入高推移
ーなどでも、収入
110,000
高上位企業では増
収となっている企
1016億8200万
1018億2900万
2013年度
2014年度
1049億5400万
90,000
業が多く、観光地
70,000
の好調さが企業の
収入高にも反映し
50,000
ていた。
30,000
2015年度
2.収入高動向
分析対象である 306 社の収入高の動向をみると、2015 年度に「増収」となった企業数は 75 社
(24.5%)と、「減収」の 68 社(22.2%)をわずかであるが上回っていた。ただ、分析対象の収
入高上位 20 位までに減収企業は 1 社しかなく、上位 100 位中 42 社が「増収」となっているなど、
事業規模が大きいほど、
「増収」企業の割合が高かった。
2014 年度と比べると、「増収」となった企業の数は 7 社(-2.3 ポイント)減少していた。一方、
「減収」も 11 社(-3.6 ポイント)減少していた。このことから、2015 年度の総収入高が増加し
たのは、「増収」となった企業の増収幅が大きくなったことと、「減収」となった企業数が減った
ことが原因であることがわかった。
2 年度続けての動向をみると、連続して「増収」となった企業数は 25 社(8.2%)だった。一
方、連続して「減収」となった企業は 24 社(7.8%)で、
「増収」となった企業数とほぼ同数であ
った。
■ 増減収状況
2014年度
社数
構成比(%)
増収
減収
うち2期連続増収
うち2期連続減収
横ばい
合計
82
26.8
79
25.8
145
306
47.4
100.0
社数
2015年度
構成比(%)
75
24.5
25
68
8.2
22.2
24
163
7.8
53.3
306
100.0
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3.収益動向
分析対象の 306 社のうち、3 年度連続して利益が比較可能な 56 社の 2015 年度の利益額合計をみ
てみると、前年度比 62.2%減の 36 億 6600 万円であった。2014 年度は前年度比 32.2%増の 96 億
9600 万円となっていた。
2015 年度は、その 56 社のうち 34 社
(百万円)
■ 利益額合計推移
12,000
(60.7%)と 6 割の企業が「増益」とな
96億9600万
10,000
っていた。
2014 年度と比べると「増益」企業数は
8,000
2 社(+3.6 ポイント)増加していた。一
6,000
方、「減益」企業数は、2 社(-3.6 ポイ
4,000
ント)減少していた。
2,000
73億3200万
36億6600万
2013年度
2014年度
2015年度
「増益」となった企業数が増えている
のにもかかわらず、2015 年
度の総収入高が大幅に減少
■ 増減益状況
2014年度
社数
構成比(%)
したのは、利益額の大きい
四国旅客鉄道が大幅な減益
増益
となったことが影響した。
減益
同社を除いた利益額合計を
うち2期連続増益
うち2期連続減益
横ばい
みると、2015 年度は前年度
合計
32
57.1
22
39.3
2
56
3.6
100.0
社数
2015年度
構成比(%)
34
60.7
19
20
33.9
35.7
7
2
12.5
3.2
56
100.0
と比べて約 3.1 倍になっていた。
4.従業員総数推移
分析対象である 306 社のうち、3 年連続で従業員数(正社員のみ、役員・パートなどを除く)が
判明している 271 社の従業員総数(各年の 12 月末データ)の推移をみてみると、2015 年の従業員
総数は 10922 人であった。
2014 年の従業員総数 10935
人と比べると 13 人(0.1%)
11,500
とわずかではあるが減少して
11,000
いた。
■ 従業員総数推移
(人)
10778
10935
10922
2013年
2014年
2015年
10,500
2014 年は、2013 年(10778
人)と比べると 157 人(1.5%)
と増加していた。
10,000
9,500
9,000
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5.収入高上位 10 社
1 位となった四国旅客鉄道は、日本国有鉄道の分割民営化で誕生したJRグループの 1 社。総営
業キロ 855.2 ㎞、駅数は 259 駅。鉄道事業を軸に関係会社で自動車運送事業、ホテル事業、不動
産事業、福祉事業なども手掛けている。
2016 年 3 月期は、主力となる鉄道事業では新型特急の導入や、観光列車のリニューアルなどを
手掛けたことから、観光シーズンの利用客が増加した。また、前期のような消費税率引き上げ後
の反動による収入減がなかったことから増収となった。
2 位となった伊予鉄道は、松山市街地を中心に鉄道 3 路線、市の中心部で路面電車 4 路線を運行
している。総営業キロ数は 43.5 ㎞で、民間鉄道の運営会社では日本で 2 番目の歴史を有している。
その他、路線バス、高速バスなども運行している。
2016 年 3 月期は、新デザインの鉄道車両やバスを投入、観光振興策として自転車の愛好家向け
のサイクルトレインやサイクルバスなどの運行を開始した。また、1日乗り放題券の販売を開始
するなどサービス向上に努めたことが功を奏し増収となった。
3 位のとさでん交通は、高知市を中心とする県内一円の路線バス、高速バスなどのバス事業を中
心に、路面電車の運行も行っている。2014 年 10 月に高知で公共交通機関を担ってきた土佐電鉄と
高知県交通の 2 社が経営統合して誕生した。
2016 年 3 月期は、設立後初の通期決算となった。この期では路面電車の軌道整備を積極的に行
い安全とサービス向上に努めた。また、バス事業では路線の統廃合や運営の効率化などを進め、
下記金額の収入高を計上した。
売上高上位 10 社のうち、前期が変則決算であった、とさでん交通を除く 9 社の業績をみてみる
と 8 社が増収となっていた。
■ 四国 2015年度旅客運送業者収入高上位10社
順位
社名
(単位:百万円)
所在地
最新期収入高
1
四国旅客鉄道 株式会社
香川県高松市
28,619
2
伊予鉄道 株式会社
愛媛県松山市
10,084
3
とさでん交通 株式会社
高知県高知市
5,391
4
ジェイアール四国バス 株式会社
香川県高松市
3,880
5
徳島バス 株式会社
徳島県徳島市
3,875
6
宇和島運輸 株式会社
愛媛県八幡浜市
3,540
7
高松琴平電気鉄道 株式会社
香川県高松市
3,204
8
瀬戸内運輸 株式会社
愛媛県今治市
2,791
9
石崎汽船 株式会社
愛媛県松山市
2,100
10
宇和島自動車 株式会社
愛媛県宇和島市
1,943
※2015年4月期~2016年3月期が対象。
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まとめ
今回の調査で、四国の旅客運送業者の 2015 年度の総収入高が増加していたことがわかった。ま
た、2015 年度の利益額合計は大きく減少していたが、利益額トップの企業を除いて集計すると大
幅に増えていた。
四国の旅客運送業者は、地域の人口減とマイカーの普及に伴い乗客数を減らしてきた。しかし、
旅客運送業者独自の取り組みに加えて、愛媛県が積極的に進めているサイクリング旅行客の誘致
のような、官民一体の取り組みなどの効果もあり、旅客運送業者の収入高は増えている。今後も、
旅客運送業者をはじめとした地域内の企業業績に恩恵がおよぶような、観光客にとって魅力的な
取り組みが続くことを期待したい。
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