資源循環への取り組み P34-P39(PDF:1.1MB)

※2 中水
雨水や排水を浄化処理して再利用する水のこと。上水と下水の中間に位置す
ることから中水といわれている
水総使用量
20
0
20.0
2010
5.8
6.0
6.2
16.8
16.5
2011
2012
6.1
6.5
17.0
16.2
15.5
2013
2014
2015(年度)
資源循環
上水の使用量削減(空港利用
者1人あたり)
5.4
中水
■レストラン厨房排水の再利用
中水利用率の向上
旅客ターミナルビルのレストランから排出される厨房排
イレの洗浄水として再利用しています。2015年度は、厨房
水は油分や有機物などの汚濁物質を多く含んでいるため、
排水から約2.0億ℓの中水が製造されました。
廃棄物のリサイクル率向上
「厨房排水除害施設」で生物分解処理により汚濁物質を
取り除いた後、
中水製造施設で膜分離、活性炭吸着処理、
中水は、旅客ターミナルビルやNAA本社ビルなどのト
1
節水・水循環
多くのお客様にご利用いただく成田国際空港では、
目標と実績
年間22.0億ℓ※1(25mプール約6,200杯分)もの水が
上水の使用量(空港利用者1人あたり)削減
使用されています。
そのため、旅客ターミナルビルなどの施設では、セン
(ℓ/人)
50
40
30
0
2015年度目標
43.2 41.5
34.6 33.1 34.1 30.9
10%削減
−28.5%
2010 2011 2012 2013 2014 2015(年度)
ほか、雨水、厨房排水を浄化した中水※2(再利用水)の
利用を進めています。
エコ・エアポート基本計画(2011∼2015年度)では、
成田国際空港では、雨水排水が下流河川の水質や水
滞水池からくみ上げられた雨水はこの施設で中水とな
量に影響を及ぼさないよう、油水分離施設、滞水池を設
り、
中央冷暖房所の冷却水や旅客ターミナルビルのトイレ
けています。A滑走路の西側に設置された容量約61万m
の洗浄水として活用され
の滞水池などに集水された雨水は、
そこから場外放水路
ています。2015年度は、
へと排出されます。
雨水処理施設で約4.4
雨水の有効利用を図ることを目的として、当社は雨水排
億ℓの中水が製造されま
水を浄化処理する
「雨水処理施設」
を運用しています。
した。
3
滞水池
で空港利用者1人あたり10%削減するという目標を掲
年間約14.5億ℓ
上水(千葉県水)
雨水
旅客
ターミナルビル
中央
冷暖房所
整備
地区
各オフィス
ビル
貨物
地区
雨水の有効利用
げていました。2015年度は、30.9ℓと2010年度と比
25.7 26.8 26.6 27.1
2015年度目標
25%
21.2
2010 2011 2012 2013 2014 2015
レストラン厨房排水の再利用
滞水池
レストラン
りました。上水の使用量については、総量においても削
29.6
25
成田国際空港で使用する水の流れ ※ (数値は2015年度実績)
上水の使用量を2015年度に2010年度(43.2ℓ/人)比
較して28.5%削減でき、目標を大きく上回る結果とな
(%)
30
0
■雨水の有効利用
サー式水栓や節水型トイレなどを導入し節水に努める
中水の利用率の向上
20
厨房排水除害施設
減傾向が見られます。
また、中水利用率については、2015年度は29.6%とな
り、基本計画で目標としていた25%を達成することができ
(年度)
ました。今後もさらに上水使用量の削減及び中水の利用
雨水処理施設
4.4億ℓ
中水製造量 年間約
中水
中央冷暖房所の冷却水の補給水、
ターミナルビルのトイレの洗浄水
として有効利用
厨房排水除害施設
中水製造施設
2.0億ℓ
中水製造量 年間約
中水
ターミナルビルのトイレの洗浄水
として再利用
促進に努めていきます。
中央
冷暖房所
トイレ
その他施設
(全日空メンテナンスセンター、
日本貨物航空整備ハンガー、
貨物地区官庁合同庁舎など)
で雨水からの中水供給量 約0.2億ℓ
34
Environment Report 2016
※ 成田国際空港敷地内の水の流れを示したものであり、千葉港、四街道などの施設は含まない
Environment Report 2016
35
環 境 マネジメント
消毒などの過程を経て浄化され、
中水として再生されます。
生物多様性
廃棄物排出量の削減(空港利
用者1人あたり)
取り組みテーマ
周辺環境
10
取り組み目標
上水
(億ℓ)
30
地球環境
資源循環への
取り組み
※1 空港敷地外の千葉港、四街道などの航空機給油施設ほかも含む
廃棄物3R
化)
を推進しています。
エコ・エアポート基本計画
(2011∼2015年度)
では、
0.54
0.48
2015年度目標
0.51 0.50 0.49
3%削減
0.45
-6.2%
2010 2011 2012 2013 2014 2015(年度)
これらの取り組みは、
エコ・エアポート推進協議会が中
心となって、空港全体に拡大してきたものです。今後も空
港関連事業者と協力しながら、廃棄物の排出量削減とリ
サイクルの推進に取り組んでいきます。
として、2015年度までに2010年度
(0.48㎏/人)
比3%
旅客
ターミナルビル
削減を掲げていました。2015年度は、0.45㎏/人と、
(一般公衆エリア)
2010年度と比較して、6.2%削減しており、目標を達成
今後は、廃棄物の削減を推進するのはもちろんのこと、
+3.1ポイント
新たなリサイクル分野の開拓や分別の徹底を行ってい
24.7
2010
2011 2012 2013 2014 2015(年度)
NAA関連施設
ポイント増加し、その目標を達成することができました。
3ポイント向上
きます。
ビン、
カン、ペットボトル、新聞、
雑誌、
ダンボール、
シュレッダー紙、
その他可燃物、不燃物
ビン、
カン、ペットボトル、
新聞、雑誌、
その他
ビン、
カン、
ペットボトル、
新聞、
雑誌、
ダンボール、
シュレッダー紙
(一部の
ビル)
、
その他可燃物、
不燃物
ビン、
カン、ペットボトル、
新聞、雑誌、
ダンボール、
シュレッダー紙(一部のビルを除く)
、
コピー用紙、
その他可燃物、不燃物
焼却、
サーマル
リサイクル
資源ゴミ
リサイクル
不燃物
埋立
古紙問屋
シュレッダー紙
環 境 マネジメント
0
28.1 27.8
27.1 26.3 28.8
塵芥中継所
可燃物
リサイクル
青字=資源ゴミとしてリサイクルへ
旅客ターミナルビル内の分別ゴミ箱
※ 期中見直しにて、刈草を除いた評価に変更
■生ゴミのコンポスト化
■一般廃棄物の分別
成田国際空港から排出される一般廃棄物で最も多い
のが、約半分を占める航空機からの取り下ろしゴミです。
さ
このうち、機内食残渣は、検疫上の理由から法律で焼却
が義務付けられています。それ以外の取り下ろしゴミに
ついては、機内での分別スペースが狭いこと、機内清掃
の作業時間が短いことなど、条件が厳しいながらも、一
部の航空会社では機内誌やビン、
カン、ペットボトルなど
を分別し、
リサイクルしています。
一方、旅客ターミナルビルや貨物地区、事務所ビルな
ど各施設から出る一般廃棄物についても、ビン、カン、
空港内レストランやNAA社員食堂から出る生ゴミの一部は、
コンポスト
(堆肥)
化しており、
一般廃棄物焼却量推移
空港利用者1人あたりの
一般廃棄物焼却量
(kg/人)
一般廃棄物焼却量合計
(千t)
30.0
25.0
0.90
22.2
20.0
21.8
24.2
25.9
23.1
22.5
0.70
15.0
0
2015年度は約14トンの生ゴミから、約3トンのコンポストを生産しました。
これらは、空港内外の緑化施設で役立てているほか、空港周辺地域や空港内のイベントで
一般の方々に無料配布しています。毎年このコンポストを心待ちにしている方々もいらっしゃ
います。
0.60
10.0
5.0
0.80
0.48
2010
0.54
2011
0.51
2012
0.50
0.50
0.49
2013
2014
0.45
0.40
0.30
2015(年度)
ペットボトルなどを分別し、再生可能なものはリサイクル
しています。
36
Environment Report 2016
Environment Report 2016
生物多様性
2015年度目標
航空機取り下ろし
ゴミ
(新聞、雑誌、
その他雑芥など)
整備地区その他 ビン、カン、その他可燃物、不燃物
2010年度
(24.7%)
比3ポイント向上という目標を掲げ
ていましたが、2015年度のリサイクル率は27.8%と3.1
30
20
貸物地区
廃 棄 物のリサイクル率については、2 0 1 5 年 度に
(%)
40
旅客
ターミナルビル
(事務所・店舗)
一般廃棄物焼却量
(空港利用者1人あたり)
の削減目標
しました。
廃棄物のリサイクル率向上
航空機
ケータリング
工場
資源循環
0.50
域に拡大しました。
クリーンセンター
機内食残渣(検疫上
の理由により焼却)
ビン、
カン、ペット
ボトルなど
周辺環境
=発生の抑制、
リユース=再使用、
リサイクル=再資源
(kg/人)
0.55
成田国際空港から排出される一般廃棄物の処理と
リサイクルフロー
タートし、2013年度からは、回収場所を空港のほぼ全
の運用にともなって排出される廃棄物の3R
(リデュース
一般廃棄物焼却量(空港利用者1人あたり)削減
0
排出されるシュレッダー紙についてもリサイクルをス
成田国際空港では、環境負荷軽減の観点から、空港
目標と実績
0.45
また、2011年7月からは、空港内のオフィスビルから
地球環境
2
取り組みテーマ
37
■建設廃材の発生抑制と有効利用
■NAA事務所における分別とリサイクル
NAA本社ビルでは、廃棄物を10種類(①ビン②カン
オーバーレイ工法による建設廃材の抑制
トで舗装されていますが、劣化にともない補修が必要に
自に開発しました。これは、既存のコンクリート舗装の表
なります。エプロンのような大規模舗装では、通常用いら
面を削り、その表面に薄層のコンクリート舗装を重ねて
れる
「打換工法」
によって既存の舗装をすべて取り壊し、
完全一体化させる工法です。従来の打換工法に比べて
新たなコンクリートで打ち換えると、工事の長期化に加え
廃棄物を大幅に削減し、
コンクリートの使用量も抑制で
て、廃棄物が大量に発生してしまいます。
きます。
③ペットボトル④新聞⑤雑誌⑥ダンボール⑦コピー用
紙⑧シュレッダー紙⑨可燃物⑩不燃物)に分別し、この
うち、可燃物と不燃物を除く8種類(①∼⑧)は資源とし
てリサイクルしています。
コピー用紙については、本社ビルをはじめ、各事務所の
周辺環境
そこで当社では、
「完全付着型オーバーレイ工法」
を独
地球環境
航空機が駐機するエプロンエリアは強固なコンクリー
コピー室に専用のカギ付きボックスを設置し、使用済み用
紙の回収を行っています。2015年度の回収量は、約18トン
でした。これらは、製紙工場でトイレットペーパーに生まれ
コンクリートの表面を削る
既設舗装
新設
既設舗装
メリット1
メリット2
メリット3
また、このほか当社では、
ラベルプリンターの使用済み
テープカートリッジを回収し、メーカーに送付する取り組み
廃棄物の削減
工期短縮
コスト縮減
発生する
コンクリート廃材を
20分の1に削減
既設コンクリート
盤の撤去が不要
使用する
コンクリートの
減量化が可能
※ 厚さ30cmのコンク
リー ト舗装盤の全
面打換と比較
事務所に設置した
テープカートリッジ回収BOX
なども行ってきました。
生物多様性
既設舗装
変わり、NAA本社ビルなどのトイレで使用されています。
今後は、廃棄物の発生抑制策として、
さらなるペーパー
レス化などの対策を推進するとともに、社内の啓発を強
ます。
コピー室のリサイクルボックス
■グリーン購入
当社では商品購入や工事発注の際に、
グリーン購入法※1
に準じた「グリーン購入」を推進しており、品質や価格だ
けでなく環境負荷ができるだけ小さい製品やサービスを
選んでいます。
2015年度は、国が定めたコピー用紙や文具、OA機器
などの物品や役務※2など219品目の特定品目についてグ
リーン購入を進めるとともに、これら特定品目以外にも、
物品を購入する際は「エコマーク」や、
「GPNエコ商品ねっ
と」掲載商品など、環境に配慮した製品を選んで購入する
建設廃材の再資源化
グリーン購入品
(NAA作業着)
ように呼びかけを行っています。
当社では、エプロンや滑走路の改修工事で発生したコ
ンクリートやアスファルト廃材を空港内のリサイクルプラン
※1 グリーン購入法(国などによる環境物品などの調達の推進などに関する法律)
環境物品(環境負荷低減に資する製品・サービス)の調達を推進するととも
に関連情報も提供し、持続的発展が可能な社会を目指すもの
トで破砕し、再生骨材として空港内の工事などに活用して
います。2015年度は、約7.2万トンの廃材を処理しました。
※2 役務(えきむ)
庁舎管理や清掃、印刷などの業務委託が該当する。例えば清掃であれば、使
用する石鹸は、廃油または動植物油脂を原料とした石鹸を使用する、ゴミの
収集は、資源ゴミ、可燃ゴミ、不燃ゴミに分別して回収することなどが条件
として求められる
リサイクルプラント
グリーン購入品
(文具)
38
Environment Report 2016
Environment Report 2016
39
環 境 マネジメント
化しリサイクル率の向上に取り組んでいきたいと考えてい
完全付着型オーバーレイ工法工事の様子
資源循環
完全付着型オーバーレイ工法