福岡県交通ビジョン2017(素案) [PDFファイル/1.11MB]

福岡県交通ビジョン 2017
素案
目
第1章
次
総論
1-1 「交通ビジョン」策定の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・
1
1-2 「交通ビジョン」の計画期間 ・・・・・・・・・・・・・・・
1
第2章
これまでの成果と交通を取り巻く状況の変化
2-1 これまでの成果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2-2 交通を取り巻く状況の変化
2
・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
2-3 交通に関する県民意識 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
第3章
展開する施策
3-1 基本方針
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
3-2 主要施策
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
3-3 主な取り組みの内容(個別施策)
第4章
・・・・・・・・・・・・・ 22
施策の推進方策
4-1 市町村との連携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
4-2 九州・山口各県との連携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
4-3 交通関係者との連携
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
第1章
1-1
総論
「交通ビジョン」策定の趣旨
本県では、平成 24(2012)年3月、県民一人ひとりが福岡県に生まれ、生活してよかったと実感できる
「県民幸福度日本一」を目指した「福岡県総合計画(2012)
」
(以下「総合計画(2012)
」という。)の部門
計画として、10 年程度先を見据えた「福岡県交通ビジョン 2012」
(以下「交通ビジョン 2012」という。
)
を策定しました。
「交通ビジョン 2012」の策定後、福岡空港と北九州空港との連携強化に加え、東九州自動車道の開通な
ど、本県の交通基盤整備は着実に進展しました。
一方で、この5年間に交通政策は大きな転換点を迎えました。平成 25(2013)年に、交通政策の基本理
念と国や自治体の責務を規定した「交通政策基本法」が成立し、豊かな国民生活の実現や国際競争力の強化、
地域の活力向上などのために、交通機能の確保・向上に国をあげて取り組むことが明記されました。
交通を取り巻く状況も大きく変化しました。インバウンドが急増し、本県への外国人入国者数が過去最高を
更新したこと、人口減少の問題がクローズアップされ、地方創生の取組みが始まったこと、九州北部豪雨や熊
本地震が発生し、防災の重要性が改めて認識されたことなど、5年前には想像できなかった状況も生じていま
す。
「福岡県交通ビジョン 2017」
(以下「交通ビジョン 2017」という。
)は、こうした、これまでの成果や
交通を取り巻く状況の変化を踏まえ、交通関係者(県民、交通事業者、行政)が連携して取り組むべき交通施
策を示すために策定するものです。
1-2
「交通ビジョン」の計画期間
平成 29(2017)年度~平成 33(2021)年度までの5年間とします。
H24
H25
H26
H27
H28
H29
H30
H31
H32
H33
≪10 年程度先の社会を見据える≫
交通ビジョン
交通ビジョン 2012
交通ビジョン 2017 の計画期間
検証
-1-
第2章
2-1
これまでの成果と交通を取り巻く状況の変化
これまでの成果
「交通ビジョン 2012」の各施策について、目標の進捗状況と交通に関する指標を基に、これまでの成果
を取りまとめました。
アジア・グローバル化
評価
1
「空港・港湾機能が充実し、インバウンドが増加するなど、国際的な交通インフラの整備が着
実に進んでいる。」
福岡空港、北九州空港のアジア拠点空港化
(1)福岡空港は、発着回数が滑走路処理容量である 16.4 万回(ヘリコプターは含まない)を超え、平成
28(2016)年 3 月には混雑空港に指定されました。混雑状況の解消を図るため、国は滑走路増設事
業について、平成 24(2012)年度に環境アセスメントに着手し、平成 28(2016)年 1 月の航空
法の手続きを経て事業に着手しました。国内線側の平行誘導路二重化事業については、構内道路再編、
エプロン改良等を実施しています。
(図-1、2)
(2)北九州空港の利用者数は、国内線は横ばいです。国際線は、平成 28(2016)年下半期に韓国(釜山・
ソウル)
、中国(大連)路線の就航が決定し、利用者増が予想されます。貨物取扱量は、環境変化により
平成 27(2015)年度に減少したため、回復を目指した取組みを実施しています。平成 27(2015)
年度には、貨物便の運航機材大型化や長尺の特殊貨物などの取扱いに対応するため、国は貨物用エプロ
ンの新設に着手し、平成 28(2016)年度に完成予定です。
(図-3、4)
(3)平成 26(2014)年 11 月に、
「福岡県の空港の将来構想」を策定しました。それぞれ性格が異なる
両空港の特色を活かして、施設の整備、路線の誘致に取り組み、両空港の能力を十分発揮させるととも
に、空港アクセスの向上、マルチエアポート化により、両空港の役割分担と相互補完によるアジア拠点
空港化を推進しています。
(図-5)
(4)今後とも増大し多様化する航空需要を確実に取り込むことができるよう、福岡、北九州両空港の役割分
担と相互補完をさらに進めることで、アジアの拠点空港を目指していく必要があります。
2
北九州港、博多港のアジア拠点港湾化
(1)輸出入貨物量、輸出入コンテナ取扱個数は、博多港は増加、北九州港は横ばいです。博多港からの出入
国者数は増加しています。平成 27(2015)年には、博多港の外国籍クルーズ船の寄港回数が 245 回
と日本一となり、中央ふ頭「クルーズセンター」(平成 27(2015)年度供用)
、岸壁の整備を実施し
ています。
(図-6、7、8)
(2)外国籍クルーズ船の大幅な増加に対応し、旅行者がストレスなく観光を楽しむことができるよう港湾機
能や受入体制を充実していく必要があります。
3
アジアとの交流促進のための交通機能の強化
(1)北九州港響灘地区へアクセスする新若戸道路が平成 24(2012)年度に供用開始されました。博多港
アイランドシティ地区への自動車専用道路は、平成 25(2013)年度に都市計画決定され、市道路線
認定等を経て、福岡高速6号線として、平成 28(2016)年度に事業着手しました。福岡空港へアク
セスする自動車専用道路は、平成 27(2015)年度から環境影響評価及び都市計画決定の手続きに着
手しました。北九州空港へアクセスする新北九州空港道路は、平成 28(2016)年度に事業着手しま
した。
(2)外国人の公共交通機関の利用を支援するため、博多駅、福岡天神駅周辺に通訳スタッフを配置しました。
外国人入国審査待ち時間の短縮化に向け、福岡空港の入管職員が増員されました。
(3)苅田港、三池港の港湾機能の充実に向け、岸壁築造や泊地浚渫等、物流ターミナルを整備しました。苅
田港の貨物取扱量・三池港のコンテナ貨物取扱量ともに増加しています。苅田港においては、新松山臨
海工業団地(約 40ha)の分譲を開始しており、今後、貨物取扱量の増加が期待されます。
(4)アジアとの物流の効率化を図るため、平成 26(2014)年度に上海-博多港間で IC タグを利用した
通関手続きの簡素化が実施されました。同年度に台湾(高雄)-博多港航路が新規就航しています。
-2-
○施策目標
順調な進捗と評価できるもの
目標
当初値
目標値
現状値
事業中
平成 24(2012)年度
供用開始
平成 24(2012)年度
供用開始
事業中
平成 25(2013)年度
供用開始
平成 25(2013)年度
供用開始
都市計画決定
に向けて協議
平成 25(2013)年度
都市計画決定
平成 25(2013)年度
都市計画決定
当初値
目標値
現状値
12,300 トン
(平成 22(2010)年度)
22,000 トン
(平成 28(2016)年度)
6,803 トン
(平成 27(2015)年度)
苅田港の貨物取扱量
2,928 万トン
(平成 22(2010)年)
3,970 万トン
(平成 28(2016)年)
3,425 万トン
(平成 27(2015)年)
三池港のコンテナ貨物取扱量
6,953TEU
(平成 22(2010)年)
23,400TEU
(平成 28(2016)年)
13,981TEU
(平成 27(2015)年)
新若戸道路の整備
北九州港響灘東地区臨港道路の整備
博多港アイランドシティ地区への自
動車専用道路の早期実現
進展しているが、更なる努力が必要なもの
目標
北九州空港の貨物取扱量
○その他の指標など
(1)北九州港は、RORO 船に対応するため、田野浦地区の岸壁(-9m)の改良実施。
(2)博多港は、RORO 船の集約化のため、ヤード、供給電源装置、コンテナ荷捌き用上屋の整備完了。
(3)外国籍クルーズ船の博多港への寄港数は全国一の 245 回(平成 27(2015)年)。
(4)苅田港は、新松山地区の泊地(-5.5m、-7.5m)や岸壁(-5.5m、-7.5m)の整備を実施。三池港は、内港北地区の整備実施。
■図-1 福岡空港の発着回数の推移
(万回)
国
内
■図-2 福岡空港の利用者数の推移
線
国
際
(千人)
線
18
15.8
16
14
13.9
14.2
1.6
1.7
12
13.4
13.7
13.7
14.2
1.7
1.6
1.7
1.8
17.4
17.1
17.4
2.2
2.4
3.0
15.2
14.7
14.4
国 内 線
国 際 線
25,000
20
21,368
20,004
19,292
20,000 18,124
4,646
17,782
17,826
3,190 3,672
15,954
2,238 2,275 16,81716,026
15,802
3,040
15,000
2,042 2,102 2,426 2,547
2.2
10
8
6
12.3
12.5
11.7
12.1
12.0
13.6
12.3
10,000
5,000
4
16,102
16,721
15,551
16,332
14,743
15,886
13,527
14,776
13,255
13,924
2
0
0
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H18
(年度)
国 内 線
15.0
13.6
14
12.3
12
10.2
0.0
10
7.5
0.1
8
6
2.3
1.4
H22
H23
H24
H25
国 内 線
(千人)
1,600
国 際 線
14.8
H26
H27 (年度)
国 際 線
1,387
1,318
1,271 1,266
1,269
151 1,260 15
30
8
27 1,197 1,176 1,185 1,176 95
1,200
12
43
60
44
1,400
3.7
3.9
7.0
800
6.8
11.0
10.2
7.4
H21
1,000
0.0
4.9
0.0
4
2
1.3
13.6
H20
■図-4 北九州空港の利用者数の推移
■図-3 北九州空港の航空貨物取扱量の推移
(千トン)
16
H19
資料:暦年・年度別空港管理状況調書(国土交通省航空局)
資料:暦年・年度別空港管理状況調書(国土交通省航空局)
11.3
12.2
11.2
11.0
1,303
600 1,240 1,239 1,185 1,133 1,125 1,132 1,174 1,236 1,252
3.0
400
7.0
4.9
200
3.8
0
0
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27 (年度)
資料:暦年・年度別空港管理状況調書(国土交通省航空局)
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27 (年度)
資料:暦年・年度別空港管理状況調書(国土交通省航空局)
-3-
■図-5福岡県の空港の将来構想 イメージ図
~ 福岡空港と北九州空港の役割分担と相互補完 ~
24時間空港を活かした
早朝・深夜便、LCCの誘致
福岡都市圏と北九州空港を結ぶ
リムジンバスの導入
北九州空港
福岡空港の発着枠を超える
就航希望航空会社の誘導
未就航路線の戦略的な誘致
による国際展開
東九州自動車道の全線開通を契機として
沿線地域の旅客・貨物需要を取り込む
航空会社による両
空港間での航空券
を変更可能にする
福岡空港
マルチ
エアポート化
の推進
■図-6 本県の輸出入貨物量の推移
苅田港
(百万トン)
70.0
60.0
52.4
50.0
56.4
30.0
北九州港
博多港
58.9
60.0
59.8
59.6
58.9
7.7
1.1
7.9
1.2
7.1
1.1
7.2
1.2
7.6
1.0
30.5
31.7
32.6
33.7
32.7
33.3
55.1
7.2
0.8
7.9
1.1
31.8
33.8
31.2
13.3
14.6
15.0
14.5
16.6
18.4
18.3
17.9
18.5
17.0
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
6.7
0.6
40.0
55.2
三池港
45.3
5.6
0.8
24.4
7.1
0.9
12.9%
1.7%
56.5%
20.0
10.0
38.9%
0.0
■図-7 本県の輸出入コンテナ取扱個数の推移
1,500
1,250
1,000
750
500
250
三 池港
(千TEU)
1,053.1
0.0
1,116.9
2.6
博多港
1,256.0 1,271.1 1,264.9 1,303.1
1,269.2
1,132.1 13.3
16.0
1,172.2
3.3
北九州港
989.7
18.4
7.0
17.5
428.6 434.1 417.1 425.9 433.1
34.1%
814.1 818.5 830.2 861.1 822.2
651.9 702.1 716.2 629.3 719.4
64.8%
400.4
2.0
412.3 452.7
405.8
358.5
0
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
■図-8 博多港の出入国者数の推移
入国
(千人)
2,000
出国
1,607
1,500
806
1,000
500
1.1%
14.0
866
844
845
375
423
421
376
421
424
318
410
335
421
314
431
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
752
825
636
318
415
664
330
846
633
435
424
319
801
0
H27
資料:港湾統計
平成 27 年は各港湾管理者の公表値
-4-
地域間の連携強化
評価
1
「東九州自動車道、福岡都市高速道路など、県内外各地と結ぶ交通網の整備が着実に進
んでいる。」
快適な交通環境の形成や複数の交通手段の連携強化
(1)交通渋滞の著しい箇所とその周辺道路の整備を実施しました。持続可能な都市構造を促進するため、市
町村の中心市街地活性化法に係る計画(5市策定)及び都市再生特別措置法に係る計画(平成 27(2015)
年度末:9市町で策定中)の策定を支援しています。西鉄天神大牟田線などの連続立体交差事業を推進
しています。
(2)利便性向上のため、北九州モノレール、筑豊電気鉄道、JR九州バス等において IC カード乗車券が新
たに導入されました。
(3)交通結節点の機能強化を図るため、飯塚バスターミナル、西鉄柳川駅、JR直方駅等が整備されました。
(4)交通渋滞緩和や公共交通の利用促進を図るため、行政、交通事業者などが連携し、新たにパーク・アン
ド・ライド駐車場(5年間で 15 箇所、計 904 台)を整備しました。行政、交通事業者が連携し、
「公
共交通利用促進キャンペーン」等の利用促進啓発活動を実施しています。
(5)自転車走行空間の改善のため、大規模自転車道を整備するとともに、自転車道等を整備しました。
(6)燃料電池自動車の普及のため、県の補助金や「グリーンアジア国際戦略総合特区」の税制優遇措置の活
用により、水素ステーションを整備しました。県庁敷地内をはじめ県内に8か所開設(平成 27(2015)
年度末)しています。
(7)福岡都市圏の人口増加に伴い、今後、福岡都心部への極度の集中型交通が原因の混雑解消対策を進める
必要があります。
2
地域活性化のための交通機能の強化
(1)都市の回遊性の向上のため、那珂川水上バスやオープントップバスが運行されています。福岡空港や市
街地から観光地へのアクセス向上のため、
「太宰府ライナーバス(旅人)
」
(鉄道)
、
「むなかた号」
(バス)
、
「でんえもん号」
(バス)の運行や、外国人旅行者への利便性向上のため、九州レールパス、SUNQ パ
ス、FUKUOKA TOURIST CITY PASS が販売されています。
(2)環境と調和した良好な景観保全のため、景観に配慮した道路を整備しました。
(3)産業拠点と東九州自動車道へのアクセスを強化するための道路を整備しています。
(4)インバウンドをはじめ、旅行者が円滑に移動するために必要な、空港、港湾、主要駅から観光地への2
次アクセスを充実させる必要があります。
3
広域的な連携を支える交通機能の強化
(1)東九州自動車道の北九州~宮崎間が開通(平成 28(2016)年4月)しました。福岡高速 5 号線が平
成 24(2012)年7月に全線開通し、放射環状型の自動車専用道路ネットワークが整備されました。
(2)九州新幹線(鹿児島ルート)は、開業時に比べ利用者数が 11%増加しています。筑後船小屋駅では、
平成 28(2016)年3月にHAWKSベースボールパーク筑後が完成するなど、今後、利用者増が見
込まれます。九州新幹線(西九州ルート)は、平成 34(2022)年度に武雄温泉駅で対面乗換方式に
よる暫定開業について関係者間で合意しています。福岡市地下鉄七隈線では、天神南から博多までの延
伸(平成 32(2020)年度開業予定)にむけて整備を進めています。
(3)地域間の連携強化及び広域的な交流を促進するため、国道 443 号山川バイパス、国道 442 号八女筑
後バイパス、国道 385 号三橋大川バイパスなど、幹線道路の供用を開始しました。
(4)供用開始から関門橋は 43 年、関門トンネルは 58 年が経過し、老朽化が進んでいることから、本州・
九州間の災害時のリダンダンシー(代替機能)を確保するための方策が必要です。
○施策目標
順調な進捗と評価できるもの
目標
当初値
目標値
現状値
東九州自動車道(苅田町-行橋市間)
の整備
事業中
平成 25(2013)年度末
供用開始
平成 26(2014)年3月
供用開始
東九州自動車道(行橋市-みやこ町間)
の整備
事業中
平成 26(2014)年度末
供用開始
平成 26(2014)年 12 月
東九州自動車道(築上町-県境間)の
整備
事業中
平成 26(2014)年度末
供用開始
平成 28(2016)年 4 月
供用開始
福岡都市高速道路(1-5号線の接続)
整備
事業中
平成 24(2012)年内
完成
平成 24(2012)年7月
完了
-5-
供用開始
○その他の指標など
(1)主な供用区間
東九州自動車道(平成 28(2016)年度)
、福岡高速 5 号線(福岡高速 1 号線との接続)
(平成 24(2012)年度)
、
新若戸道路(平成 24(2012)年度)
、国道 443 号山川バイパス(平成 27(2015)年度)
、国道 442 号八女筑後
バイパス(平成 26(2014)年度)
、国道 385 号三橋大川バイパス(平成 27(2015)年度)
、一般国道 201 号
(八木山バイパス)無料化(平成 26(2014)年度)
、一般国道 200 号(冷水道路)無料化(平成 28(2016)年度)
(2)県内の道路整備状況
北九州港
下関北九州道路
新北九州空港道路
北九州空港
北九州都市高速道路
アイランドシティ線
九州縦貫自動車道
苅田港
国道3号
福岡空港連絡道路
博多港
国道201号
福岡空港
国道10号
福岡都市高速道路
国道322号
国道202号
凡
例
高規格幹線道路
供用中
事業中
基本計画区間
国道3号
地域高規格道路
国道210号
整備区間(供用中)
整備区間(事業中)
国道385号
計画路線
候補路線
国道442号
国道(直轄)
事業中
国道(県事業)
国道443号
有明海沿岸道路
三池港
有明海沿岸道路(Ⅱ期)
-6-
完成(H24-H27)
防災・安全
評価
1
「交通施設の防災対策が進むとともに、交通事故・飲酒運転事故発生件数が改善するな
ど、安全な交通の確保が進んでいる。」
災害に強い安全な交通の確保
(1)地震時の落橋・崩壊などの致命的な損傷を防止するための耐震対策工事により、県管理道路橋の耐震化
率が向上(平成 27(2015)年度 94%)しました。耐震工事により、人が多く集まる主要ターミナ
ル駅の耐震化率が向上(平成 27(2015)年度 86%)しました。
(図-9、10)
(2)九州北部豪雨からの復旧・復興が完了しました。道路法面の崩壊・落石等、災害のおそれのある箇所の
防災対策の実施により、県管理道路の道路防災整備率が向上(平成 27(2015)年度 79%)しました。
(3)災害時の緊急輸送を円滑に行うため、幅員狭小区間の現道を拡幅しました。災害時の交通機能分断時に
おける代替路線確保のための道路を整備しました。
(4)
「道の駅」を大規模災害時の防災拠点として活用できるように、非常用電源施設、非常用トイレ、防災
倉庫等を整備しました。
(5)東日本大震災を踏まえ、
「福岡県地域防災計画」を見直すとともに、災害が発生した場合の安全な道路
交通を確保するため、交通管制センター、交通監視カメラ、交通情報板等の交通管制施設を充実させま
した。
(6)熊本地震など、いつ発生してもおかしくない大規模災害に備え、災害時の道路ネットワークの確保、物
資輸送の拠点整備、道路、駅などの交通施設の耐震化を促進する必要があります。
2
適切な維持管理による安全性の確保
(1)安全な交通を確保するため、道路や港湾施設の日常パトロールを行い、道路の陥没補修や落下物除去な
どの維持補修を実施しています。交通事業者では、鉄道、バスの安全輸送確保のための点検・保守作業
を実施し、安全報告書をホームページにて公開しています。
(2)県が管理する全ての橋梁についてライフサイクルコストの縮減、予算の平準化、橋梁の長寿命化を図る
ため、
「福岡県橋梁長寿命化修繕計画」を策定しました。点検結果により修繕が必要な橋梁から順次補修
を進め、施設を長寿命化(平成 27(2015)年度 100%)しました。昭和 35(1960)年以降に
集中して建設され、今後大量に更新時期を迎える橋梁の維持管理対策が必要です。
3
事故のない安全な交通の確保
(1)パトロール、取締りの強化、啓発活動などにより、交通事故発生件数が減少しました。飲酒運転事故に
ついては、発生件数が平成 22(2010)年に全国ワースト1位となったことを受け、全国初の罰則付
き「飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例」を施行しました。平成 22(2010)年からは半減し、減
少傾向で推移していたものの、平成 27(2015)年は 5 年ぶりに増加しました。
(図-11、12)飲酒
運転の撲滅のため、さらなる対策の強化が必要です。
(2)高齢者による交通事故の割合が増加しており、高齢者の交通事故防止対策とともに、免許を返納した高
齢者の交通手段の確保対策が必要です。
○施策目標
順調な進捗と評価できるもの
目標
当初値
目標値
現状値
県管理道路橋の耐震化率
76%
97%
(平成 23(2011)年度) (平成 28(2016)年度)
94%
(平成 27(2015)年度)
県管理道路の道路防災整備率
50%
85%
(平成 23(2011)年度) (平成 28(2016)年度)
79%
(平成 27(2015)年度)
さわやか道路美化促進認定団体数
245 団体
395 団体
(平成 22(2010)年度) (平成 28(2016)年度)
586 団体
(平成 27(2015)年度)
県管理橋梁の補修
14%
100%
(平成 23(2011)年度) (平成 28(2016)年度)
100%
(平成 27(2015)年度)
飲酒運転による交通事故発生件数
257 件
(平成 23(2011)年)
130 件以下
(平成 28(2016)年)
156 件
(平成 27(2015)年)
交通事故発生件数
44,445 件
(平成 22(2010)年)
40,000 件以下
(平成 28(2016)年)
39,734 件
(平成 27(2015)年)
交通事故死者数
170 人
(平成 22(2010)年)
120 人以下
(平成 28(2016)年)
152 人
(平成 27(2015)年)
-7-
○その他の指標など
(1)主要ターミナル駅耐震化率:79%(平成 23(2011)年度)→86%(平成 27(2015)年度)
。
(2)平成 24(2012)年発生の九州北部豪雨からの復旧・復興(平成 27(2015)年 3 月までに原形復旧がすべて完了)
。
(3)平成 24(2012)年3月、飲酒運転撲滅条例を制定。
■表-1 ビジョン期間中の災害の発生状況
■図-9 主要なターミナル駅の耐震化率
(%)
時期
H24.7
名称
100
主な被害状況
北部九州豪雨
死者 4 名
80
負傷者 17 名
60
全壊 49 世帯
40
半壊 410 世帯
79
81
H23
H24
H25
H26
86
0
床下浸水 5,741 世帯
熊本地震
79
20
床上浸水 1,124 世帯
H28.4
79
H27
(年度)
※乗降客が1万人/日以上の高架駅であって、かつ折り返し運転が可能な駅
又は複数路線が接続する駅
死者 137 名
負傷者 2,479 名
■図-10 県管理道路橋の耐震化率
全壊 8,329 棟
100
(%)
86
半壊 31,692 棟
92
94
94
H25
H26
H27
76
80
一部損壊 143,651 世帯
60
40
20
0
H23
H24
■図-11 本県の道路交通事故発生数
(件)
80,000
事故件数
全国(H18=100)
(H18=100)
120
福岡県(H18=100)
70,000
60,000
50,000
100
50,890
78
45,703 44,353 44,340
44,445 43,326 43,178 43,678
40,000
30,000
61
41,168
39,734
20,000
80
60
40
20
10,000
0
0
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
資料:交通年鑑(福岡県警本部)
、交通事故の発生状況(警察庁)
■図-12 本県の飲酒運転交通事故発生件数
(件/年)
飲酒運転事故発生件数
全国(H18=100)
福岡県(H18=100)
800
700
650
33
600
500
24
400
366
284
300
296
337
257
200
185
171
153
156
H24
H25
H26
H27
100
0
H18
H19
H20
H21
H22
H23
120
100
80
60
40
20
0
-20
-40
-60
-80
-100
-120
-140
-160
-180
資料:交通年鑑(福岡県警本部)
、交通事故の発生状況(警察庁)
-8-
(年度)
日常生活の移動交通確保
「地域公共交通の維持・確保やバリアフリー化にさらに取り組む必要がある。」
評価
1
地域公共交通の維持・確保
(1)県の「生活交通確保対策補助金」により、市町村が運行するコミュニティバス等の運行を支援していま
す。コミュニティバスを運行する県内市町村数は 5 年前に比べ 4 市町村増加(平成 27(2015)年度末:
40 市町)しました。事前予約運行方式の乗合タクシー(デマンド交通)の導入市町数が5年前に比べ6
市町村増加(平成 27(2015)年度末:12 市町)しました。本県の市町村によるコミュニティバスの負
担額、路線バスへの補助金額は増加傾向です。
(図-13、14)
(2)地域鉄道の安全輸送を確保するため、国・県・市町村の支援により、安全輸送施設等を整備しました。
本県における地域鉄道の利用者は、甘木鉄道が横ばいです。平成筑豊鉄道・筑豊電気鉄道は、減少傾向で
す。離島住民に必要不可欠な離島航路の維持・確保のため、運行欠損額や新船導入(相島「しんぐう」
(平
成 26(2014)年度)
、玄界島「みどり丸」
・姫島「ひめしま」
(平成 27(2015)年度))に対して国・
県・市町が支援しました。
(図-15)
(3)人口減少、高齢化が進む地域で運営されるバス、鉄道、離島航路といった公共交通を継続的に運営して
いくため、一層の利用促進対策、経営の効率化が必要です。
2
地域における生活道路の確保
(1)歩行者の安全で安心な移動空間の確保のため、通学路などの歩道を整備しました。道路の安全性や走行
性を図るため、交差点改良や交通安全施設等を整備しました。
(2)中山間地域の安全で安心できる移動を確保するため、線形不良箇所やすれ違い困難箇所などの道路を整
備しました。
3
安心して移動できる空間の確保
(1)鉄道駅のバリアフリー化率(段差の解消)は9割を超え、全国平均を上回っています(平成 26(2014)
年度 90.3%)
。低床バスの導入率は全国平均並み(平成 26(2014)年度 57.8%)です。ノンステ
ップバスの導入率は全国と比較して低位(平成 26(2014)年度 11.9%)ですが、徐々に導入率が上
昇しています。筑豊電気鉄道では、新型低床車両を導入しました(平成 26(2014)
、27(2015)年
度)
。
(図-16、17)障害者、高齢者をはじめ、誰もが公共交通を不自由なく利用できるよう、駅やバス
車両のバリアフリー化を更に進めていく必要があります。
(2)自転車駐輪場において、防犯カメラ設置などの防犯対策を実施しました(平成 27(2015)年度末 13
市4町)
。本県は、性犯罪の認知件数が高水準で推移しており、駐車場や道路における犯罪抑止対策を一層
進める必要があります。
○その他の指標など
(1)乗合路線バスの利用者数の維持:2 億 7 千万人(平成 25(2013)年度)→2 億 7 千 3 百万人(平成 26(2014)年度)
(2)鉄軌道駅の段差解消率:86.8%(平成 23(2011)年度末)→90.3%(平成 26(2014)年度末)
(3)車両のバリアフリー化(ノンステップバス)
:2.1%(平成 23(2011)年度末)→11.9%(平成 26(2014)年度末)
■図-13 コミュニティバス(内 デマンド交通)
導入市町村数の推移
60
コミュニティバス
50
40
(内 デマンド交通)
39
37
36
40
39
■図-14 本県の市町村による有償コミュニティバスの負担額、
路線バスへの補助金額の推移
(百万円)
1,800
1,600
コミュニティバス負担額
1,400
路線バス補助額
1,200
1,000
30
923
924
800
600
20
10
870
6
7
10
11
12
1,478 1,527
1,225
1,059
985
1,090
669
721
789
940
1,015
668
604
329
391
381
421
504
553
538
512
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27(年度)
566
598
595
304
325
H18
H19
400
200
1,343
0
0
H23
H24
H25
H26
H27 (年度)
資料:福岡県生活交通確保対策会議資料
-9-
■図-15 本県の鉄道利用者の推移(平成 10(1998)年度を 100 として指数化)
140
(%)
136.2
甘木鉄道はH20年度より連絡定期(JR九州発売分)を含む
130
福岡市交通局
(福岡市地下鉄)
120
110
104.5
100
102.2 JR九州
(H26)(九州全体)
甘木鉄道
90
94.2 北九州高速鉄道
(北九州モノレール)
80
82.3
西日本鉄道
58.4
平成筑豊鉄道
53.7
筑豊電気鉄道
70
60.1
60
50
西日本鉄道
(軌道(黒崎~折尾):H12廃止)
40
H10H11H12H13H14H15H16H17H18H19H20H21H22H23H24H25H26H27
資料:九州運輸要覧(九州運輸局)
■図-16 バス車両のバリアフリー化率の推移 (低床バス・ノンステップバスの導入割合)
(%)
100
80
60
40
55.2
50.0
55.7
57.8
32.0
34.3
35.9
37.6
55.0
52.3
56.7
58.9
47.0
43.9
31.7
29.9
20
2.1 2.2
0
7.8
11.9
6.4 7.0
13.6
16.5
H23 H24 H25 H26 H23 H24 H25 H26 H23 H24 H25 H26 H23 H24 H25 H26 H23 H24 H25 H26 H23 H24 H25 H26
福岡県
九州
全国
福岡県
九州
全国
ノンステップバス
低床バス
資料:九州運輸局管内県別バリアフリー情報
■図-17 鉄軌道駅のバリアフリー化施設整備状況の推移
(段差の解消施設率)
(%)
100
90
80
86.8
※平均利用者 3,000 人/日以上の施設を対象
90.2 89.6 90.3
72.7
75.9 76.6 77.7
84.8
81.0 81.8 83.3
70
60
50
40
30
20
10
0
H23 H24 H25 H26 H23 H24 H25 H26 H23 H24 H25 H26
福岡県
九州
全国
資料:九州運輸局管内県別バリアフリー情報
- 10 -
2-2
交通を取り巻く状況の変化
「交通ビジョン 2012」の策定当時から、この5年間で大きく変化した交通を取り巻く状況を、以下の7
つに取りまとめました。
(1)九州のゲートウェイの役割向上
○平成 27(2015)年に九州の外国人入国者数は 283 万人となり、本県の外国人入国者数はそのうち、約 74%
の 209 万人と過去最高となりました。
○博多港の外国籍クルーズ船寄港回数は 245 回と日本一(平成 27(2015)年)です。
○福岡空港の利用者数は、平成 24(2012)年度以降増加を続け、平成 27(2015)年度は 2,136 万人とな
り、このうち国際線の利用者数は 464 万人と過去最高を記録しました。
○現在発生している航空機発着の遅延を深刻化させないよう、国は福岡空港を航空法上の混雑空港に指定しまし
た(平成 28(2016)年 3 月)
。
○福岡空港について、国は、平成 31(2019)年 4 月頃からの民間委託の開始に向けた手続きを進めています。
■外航クルーズ客船の寄港回数(平成 27(2015)年)
■本県における外国人入国者の推移
3,000
佐世保港
34
4%
(千人)
2,832
本県
2,500
九州
横浜港
37
5%
2,086
2,000
1,675
1,500
1,000
500
0
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
神戸港
42
6%
鹿児島港
51
石垣港
7%
79
10% 那覇港
105
14%
1,258
1,213
1,150
1,001
936
927
870
835
814
791 727
726
710
631 628
598
604
498
476
大阪港
18
2%
広島港
25
3%
博多港
245
32%
長崎港
128
17%
H27
資料:出入国管理統計(法務省入国管理局)
資料:出入国管理統計(法務省入国管理局)
(2)世界レベルのスポーツイベント開催と世界文化遺産登録
○ラグビーワールドカップ2019、2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が決定しました。
○「明治日本の産業革命遺産」がユネスコ世界文化遺産に登録(平成 27(2015)年 7 月)されました。
○「
『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」のユネスコ世界文化遺産国内推薦が決定(平成 28(2016)年 1
月)しました。
○本県へ国内外から多くの来訪が見込まれます。
■「
『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」
の世界文化遺産
■明治日本の産業革命遺産
官営八幡製鐵所旧日本事務所
資料:新日鐵住金㈱
三池炭鉱宮原坑
沖ノ島
- 11 -
(3)技術革新に伴う交通環境の変化
○交通系ICカードの全国相互利用が開始(平成 25(2013)年)されました。
○次世代自動車(燃料電池自動車等)や自動運転システム等の開発・普及が進められています。
○ITS(高度道路交通システム)による交通の輸送効率や快適性の向上への取組みが行われています。
○蓄電池車両の開発・普及が進められています。
○スマートフォン、Wi-fi が普及しています。
■蓄電池車両(DENCHA)
■FCV(燃料電池自動車)
資料:九州旅客鉄道株式会社
(4)大規模災害発生と国土強靱化への取組み
○九州北部豪雨(平成 24(2012)年)
、熊本地震の発生(平成 28(2016)年)により、防災・減災対策と
リダンダンシー※1 の重要性が認識されました。
○交通インフラの災害対策の強化と長寿命化の推進に向け、国土強靱化基本法が施行(平成 25(2013)年)
されました。
※1「冗長性」
、
「余剰」を意味する英語であり、国土計画上では、自然災害等による障害発生時に、一部の区間の途絶や一部施設の破壊が
全体の機能不全につながらないように、予め交通ネットワークやライフライン施設を多重化したり、予備の手段が用意されている様な
性質を示す。
■主な水害の状況
発生期間
主な観測所の
降雨量
( mm )
■本県の主な活断層
年間雨量
合 計 ( mm )
年間雨量に
対する
降雨量比
人的被害
死者
負傷者
H11.6.23~7.3
(梅雨前線豪雨)
660 (英彦山) 2,567 (英彦山)
25.7%
2
6
H15.7.17~7.18
(梅雨前線豪雨)
361 (太宰府) 1,473 (太宰府)
24.5%
1
14
H21.7.24~8.6
(梅雨前線豪雨)
629 (太宰府) 1,952 (太宰府)
32.2%
10
18
H24.7.13~8.6
(梅雨前線豪雨)
613
27.1%
4
17
(八女) 2,259 (八女)
住宅被害(世帯)
半壊
床上 浸水
床下 浸水
7
6
1,556
5,434
26
56
3,790
3,675
16
11
1,495
4,257
49
410
1,124
5,741
全壊
西山断層(延長部分)
※( )内は観測所名
警固断層(北西部)
小倉東断層
■「福岡県地域強靱化計画」における施策
西山断層
・道路の防災対策
道路防災整備率(平成 18(2006)年度点検結果に基づく整備目標率。
平成 28(2016)年度より道路防災総点検を実施し、点検結果を踏ま
え、見直し予定)
73%(平成 26(2014)年度末) → 100%(平成 32(2020)年度末)
・橋梁の耐震化
耐震対策が必要な橋梁(15m 以上)において地震時に落橋・崩壊と
いった致命的な損傷を防止するための対策率
94%(平成 26(2014)年度末) → 100%(平成 33(2021)年度末)
・鉄道駅の耐震化
主要なターミナル駅(乗降客数1日1万人以上)の耐震化率
81.0%(平成 26(2014)年度末) → 97.6%(平成 32(2020)年度末)
- 12 -
宇美断層
福智山断層
糸島半島の地震
警固断層(南東部)
水縄断層
資料:福岡県地域強靭化計画
(5)高齢化に伴う交通問題の顕在化
○高齢者による交通事故、高齢者が被害者となる交通事故の割合が増加しています。
○本県の運転免許証返納件数が、年間 7,795 件(平成 27(2015)年)に急増しています。
○改正道路交通法の施行(平成 29(2017)年 3 月)に伴う、認知症による免許取消件数の増加が見込まれま
す。
■本県の高齢者(65歳以上)交通事故死傷者数
(件)65歳以上死傷者数
全国(H18=100)
■本県の運転免許申請による取消し(返納)
(人/年)
10,000
福岡県(H18=100)
120
12,000
111
10,000
8,000
6,407 6,510 6,424 6,671 6,798 6,391 6,669
6,000
78
100
8,000
80
6,948 7,012 7,116 60
90歳以上
7,795
80~89歳
138
70~79歳
6,000
5,798
65~69歳
83
65歳未満
4,000
40
2,000
20
0
0
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
4,000
2,000
資料:交通年鑑(福岡県警本部)
0
1,881
4,387
80
2,668
734
13
222
405
47
47
1,494
232
144
H23
H24
38
760
1,502
4,349
1,507
3,281
2,299
300
201
666
266
1,040
387
H25
H26
H27
資料:交通年鑑(福岡県警本部)
(6)地方創生への動き
○人口減少に歯止めをかけるとともに、活力ある社会を維持するための「まち・ひと・しごと創生法」が制定(平
成 26(2014)年)されました。本県及び県内市町村それぞれにおいて「地方版人口ビジョン・地方創生総合
戦略」を策定しました。
○地方公共団体のまちづくりと一体となった面的な交通ネットワークの再構築を促進するための「交通政策基本
法」が制定(平成 25(2013)年)されました。
■福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略の目標
基本目標1 「魅力ある雇用の場」をつくる
数値目標:雇用者創出数(純増)1万人(5年間累計)
基本目標2 若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる
数値目標1:県民が「理想とする子どもの数」と「実際に持つつもりの子どもの数」の差を縮小する
数値目標2:平均初婚年齢の上昇を抑制する
基本目標3 地方創生を担う人材の育成・定着と首都圏等からの人材還流を進める
数値目標:本県と大都市圏との転出・転入の不均衡を是正
基本目標4 誰もが住み慣れた地域で暮らしていける安全・安心で活力ある地域をつくる
数値目標:県内各圏域における「転出者数の人口に対する割合」の減少を図る
- 13 -
(7)地球温暖化への世界的な取組み
○地球温暖化対策の新たな国際的な枠組みとなる「パリ協定」が発効(平成 28(2016)年 11 月)されました。
○我が国は、平成 25(2013)年度対比で、平成 42(2030)年度に温室効果ガスの 26%を削減するという
国際公約実現に向けて、エネルギー需給の両面から思い切った低炭素化の推進を図ることが必要となっていま
す。
○本県の二酸化炭素排出量の 18%を占める運輸部門における、地球温暖化対策のより一層の推進が求められま
す。
■本県の二酸化炭素排出量の部門別構成(平成 25(2013)年度)
1% 1%
11%
13%
エネルギー転換部門
家庭部門
18%
13%
業務部門
産業部門
運輸部門
工業プロセス部門
廃棄物部門
43%
■福岡県削減目標の部門別削減率(福岡県地球温暖化対策実行計画)
(万 t-CO2)
平成 42(2030)年度
平成 25 年度
(2013)
排出部門
特段の対策を
講じない場合
の排出量
対策後の
排出量
平成 25 年度
(2013)
比削減量
平成 25 年度
(2013)
比削減効果
エネルギー転換部門
66
54
52
-14
-21%
家庭部門
825
854
501
-324
-39%
二酸化炭素
業務部門
791
853
476
-315
-40%
産業部門
2,643
2,643
2,124
-520
-20%
運輸部門
1,103
1,007
809
-294
-27%
(うち自動車)
(928)
(824)
(657)
(-270)
(-29%)
工業プロセス部門
686
630
621
-65
-9%
廃棄物部門
71
72
61
-10
-14%
小計
6,185
6,113
4,644
-1,541
-25%
メタン
35
36
21
-14
-40%
一酸化二窒素
50
52
39
-11
-21%
代替フロン等4ガス
122
122
86
-36
-30%
森林等吸収源対策
-
-
-44
-44
-
6,393
6,323
4,747
-1,646
-26%
合計
- 14 -
2-3
交通に関する県民意識
平成 28(2016)年 9 月に、県民の交通手段や交通施策に関するニーズ等を把握するために、県政モニタ
ーアンケートを実施しました。県民の方々からは、公共交通の利便性向上や維持・確保、自動車利用環境の向
上を求める意見が多く寄せられています。
(1)移動時の交通手段
通勤・通学時の交通手段は、自家用車が約 47%で最も多く、次に鉄道とバスと自転車が約 23~25%とな
っています。日常生活や休日の交通手段は、自家用車の割合が約 80%と多くなっています。
■移動時の交通手段
通勤・通学時の
交通手段
(※複数回答可)
日常生活の
交通手段
(※複数回答可)
46.9
自家用車
3.0
バイク
14.8
自転車
鉄道(地下鉄・モノレール含む)
22.9
バス(高速バス含む)
22.5
自転車
24.0
鉄道(地下鉄・モノレール含む)
22.9
n=271
24.7
通勤・通学していない
0
5.2
バイク
25.1
バス(高速バス含む)
3.7
その他
76.8
自家用車
20
40
60
80
0
100
(%)
休日の
交通手段
(※複数回答可)
n=271
6.3
その他
20
40
60
80
100
(%)
80.1
自家用車
1.5
バイク
5.5
自転車
46.1
鉄道(地下鉄・モノレール含む)
31.7
バス(高速バス含む)
n=271
2.2
その他
0
20
40
60
80
100
(%)
(2)公共交通の利用意向
公共交通(鉄道・バス)を利用しない人は、通勤・通学では「自家用車の方が所要時間が短い」
、日常生活
ではそれに加え「荷物を持って移動しなくて済む」
、休日では「自家用車の方が快適」と考える割合が最も多
くなっています。
■公共交通の利用意向
鉄道・バスを利用しない理由
100
90
80
70
60
2.3
6.9
13.7
5.3
2.3
3.3
9.3
25.7
その他
31.3
11.5
11.2
3.3
40
32.1
30.4
荷物を持って移動しなくて済む
3.7
28.1
20
10
無回答
目的地まで近距離
10.7
50
30
(%)
3.2
3.7
1.8
14.3
自家用車の方が快適
駅・バス停が使いづらい
自家用車の方が所要時間が短い
17.6
14.5
13.8
通勤・通学
n=131
日常生活
n=214
休日
n=217
0
- 15 -
ダイヤが不便(本数が少ない)
(3)今後必要な交通施策
今後の交通施策としては、「乗り換え利便性の向上など、複数の交通機関の連携強化」、「駅やバス停の駐車
場・駐輪場を整備するなど公共交通の利用促進策の実施」などの公共交通の利便性向上や、「都心部へのアク
セス性向上や渋滞対策など快適な交通環境の形成」などの自動車利用環境の向上、「地域のバス路線、鉄道、
離島航路など公共交通機関の維持確保」などが求められています。
■今後必要な交通施策
21.4
福岡空港の過密化対策や北九州空港利用促進のための空港機能の強化
5.9
博多港や北九州港などの港湾利用促進のための港湾機能の強化
20.3
空港、港湾へのアクセス性の確保
39.9
都心部へのアクセス性向上や渋滞対策など快適な交通環境の形成
19.9
バスの接近、渋滞、駐車場の空き情報など、ICT技術を活用した交通サービスの充実
40.6
乗り換え利便性の向上など、複数の交通機関の連携強化
33.9
駅やバス停に駐車場・駐輪場を整備するなど公共交通の利用促進策の実施
23.6
自転車専用道路や駐輪場など自転車利用環境の整備
13.3
観光地へのアクセス性の向上のため、道路や案内標識の充実
11.8
高速道路や都市高速道路の延伸など高速交通体系の充実
12.5
鉄道の複線化や延伸など機能強化
14.8
地域の幹線道路網の整備
3.7
交通施設の耐震化や複数の移動手段(経路)を確保するなどの防災対策
5.9
既存交通施設の適切な維持管理による有効活用
19.2
交通事故をなくすための交通安全対策の推進
28.4
地域のバス路線、鉄道、離島航路など公共交通機関の維持確保
24.4
生活の利便性や安全性を確保する身近な生活道路や歩道の整備
14.8
公共交通機関や歩道等のバリアフリー化の推進
環境に配慮した自動車の開発支援・普及
6.6
その他
6.6
0
10
n=271
20
30
40
50
60
(%)
県政モニターアンケートとは
福岡県内にお住まいの方からモニターを公募し、県政に関する意見・要望等を約1年間にわたり継続して聴かせていた
だくことで、県民の関心や意向を把握し、県政の効率的かつ合理的な運営に役立てる制度です。
モニターは、県内にお住いの 18 歳以上の方(ただし、国・地方公共団体の議員、常勤の公務員、県政モニター経験後
2年以内の方を除く)を対象に、地域、性別、年齢等のバランスを考慮して 300 人を選定しています。
- 16 -
第3章
3-1
展開する施策
基本方針
「これまでの成果」、「交通を取り巻く状況の変化」
、「交通に関する県民意識」を踏まえ、「交通ビジョン2
017」における基本方針を定めます。
基本方針1【アジアの活力を取り込み、人・モノの流動を拡大】
我が国でアジアに最も近く、日本海側にある大都市圏という地理的優位性を持つ本県は、利便性の高い
国際空港や国際拠点港湾を有し、九州・西日本とアシアを結ぶゲートウェイの役割を担ってきました。
今後、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピック競技大会といった世界規模のスポ
ーツイベントが開催され、
「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」は世界文化遺産への登録が見込まれ
ることから、本県は、アジアをはじめ世界各地から多くの人が訪れる絶好の機会を迎えます。
本県企業と経済成長著しいアジアの企業との間で、商談、貿易、投資といったビジネスのさらなる拡大
も期待されます。
本県は、アジアの活力を取り込み、観光・ビジネスの拠点性を高めるための交通インフラを充実してい
くことが求められています。
○
福岡空港、北九州空港の役割分担と相互補完の推進
本県には、都心からのアクセスが良く利便性が高い福岡空港、24時間利用可能な北九州空港という性格
が異なる空港があります。
それぞれの空港の特色を生かし、さらに各空港の機能を拡充するとともに、両空港が役割分担、相互補完
を進めていくことで、今後も増大し多様化する九州・西日本の航空需要に応える空のゲートウェイの役割を
果たします。
○
国際貿易、国際観光を担うターミナル港湾の整備
福岡県は、特色ある4つの港湾を有しています。
北九州港、博多港は、日本海に面した我が国最大の港湾であり、苅田港は自動車産業の一大拠点と広大な
工業用地を後背地に持ち、1世紀前に築港された三池港は世界遺産に登録されました。
それぞれの港湾の特色を生かし、機能を充実することで、国際物流の拠点性を高めるとともに、外国籍ク
ルーズ船や高速船が活発に行き交う国際観光ターミナルの役割を果たします。
○
空港・港湾と県内各地域を結ぶネットワークの強化
アジアの活力を県内各地域に波及させるためには、空港・港湾への交通アクセスを向上させることが必要
です。
空港、港湾を起点に、道路、鉄道、バスといった多様な交通手段を活用し、県内各地域に人・ものが円滑
に移動できる交通ネットワークを整備します。
- 17 -
基本方針2【地域間の連携強化と九州・山口の一体的発展】
平成 28(2016)年4月に発生した熊本地震では、サプライチェーンが寸断され、九州・山口の製造
業は大きな打撃を受けました。九州を周遊する観光客も激減し、九州・山口の交通ネットワークの重要性
が改めて認識されることとなりました。
観光振興、産業集積により地域を活性化していくためには、新幹線や高速道路をはじめとする九州・山
口の基幹交通網を強化していく必要があります。
県内では、福岡都市圏の人口が増加を続ける一方、北九州、筑後、筑豊の多くの市町村で人口が減少し
ています。都市の活力を取り込み、地場産業を活性化させ、県内各地域がその特色を生かして発展してい
くためには、県内各地域を結ぶ基幹交通網を充実させていくことが必要です。
また、自動車、半導体産業の集積、九州大学はじめ理工系大学の集積といった本県の強みを生かし、I
CTを活用した便利で快適な交通システムの充実と次世代自動車の普及を促進していく必要があります。
○
九州・山口の人・モノの循環を活発にする交通手段の整備
九州新幹線の全線開通による南北の移動時間の大幅短縮、平成28(2016)年4月に開通した東九州自
動車道(北九州・宮崎間)と九州縦貫自動車道、九州横断自動車道による循環型高速道路ネットワークの形
成など、九州・山口の広域交通網の整備が着実に進んでいます。
今後は、災害発生時のリダンダンシーも視野に入れた交通網のさらなる強化に加え、インバウンドをはじ
めとする観光客の増加を促進するため、九州・山口各地域への周遊を活発化する仕組みづくりを行います。
○
都市と地域を結ぶ交通網の充実
県内どの市町村へも今より更なる時間短縮を目指して、都市と地域を結ぶ基幹道路網の充実に取り組みま
す。
それぞれの地域が特色を活かして発展できるよう、都市と農山漁村、自動車などの産業拠点、多様な観光
資源をつなぐ地域交通ネットワークの充実に取り組みます。
○
最先端技術を活用した、便利で快適な次世代交通の普及促進
IT技術の急激な発展により、渋滞解消、事故防止、交通情報提供といった安全で快適な交通システムが
日々向上するとともに、自動運転技術や、水素燃料電池自動車などの次世代自動車の開発・普及が急速に進
んでいます。本県は、自動車・半導体産業が集積するという大きなポテンシャルを有しており、最先端の交
通システムを普及させることにより、便利で快適な次世代交通の普及を目指します。
- 18 -
基本方針3【大規模災害への備えと事故の未然防止】
道路、鉄道、港湾などの交通施設は、災害発生の際の救助活動はもとより、災害復旧、復興を進める上
で不可欠な社会基盤です。
本県では、東日本大震災や九州北部豪雨などの災害の検証を踏まえ、平成 28(2016)年3月に「福
岡県地域強靭化計画」を策定し、交通施設の防災対策を進めているところです。
平成 28(2016)年4月に発生した熊本地震の被害状況も検証し、引き続き、災害に強い交通施設を
整備していくとともに、大量の更新時期を迎える橋梁の計画的・戦略的な老朽化対策を進める必要があり
ます。
交通事故の発生件数、交通事故死傷者数については、啓発活動や取締りの強化により減少してきました。
とりわけ飲酒運転事故については、全国で初めて罰則付き「飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例」を制
定し、県民総ぐるみで撲滅運動を展開してきました。
未だに多くの事故が発生しており、飲酒運転をはじめとする交通事故の防止に重点的に取り組む必要が
あります。増加する高齢ドライバーの事故防止対策にも力を入れていく必要があります。
○
交通施設の耐震、災害対応能力の向上
大規模災害に備え、交通施設の耐震化に取り組むとともに、様々な自然災害に対する安全性を向上させる
ため、交通施設の防災対策に取り組みます。被災時の交通機能の分断や集落の孤立化を避けるためのリダン
ダンシーの確保、被害を最小限に食い止めるための情報収集経路や物資輸送経路といった防災体制の強化に
取り組みます。
○
交通施設の安全性向上と長寿命化の推進
安全な交通を確保するため、日常パトロール点検による道路、鉄道などの欠陥・破損箇所の早期発見、補
修など、適切な維持管理を行います。特に、高度成長期に集中して建設された橋梁は、大量更新時期を迎え
るため、計画的な更新、損傷の早期発見と補修による長寿命化といった、戦略的な維持管理に取り組みます。
○
高齢者をはじめとする交通事故防止対策、飲酒運転撲滅対策の推進
高齢者による交通事故、高齢者が被害者となる交通事故件数は増加傾向にあります。飲酒運転事故発生件
数は、全国初の罰則付き「飲酒運転撲滅条例」の施行による「飲酒運転撲滅運動」の推進や、取締りの強化
等により、減少傾向で推移していたものの、昨年は5年ぶりに増加しました。高齢者の交通事故防止対策、
飲酒運転の撲滅に重点的に取り組みます。
- 19 -
基本方針4【地方創生のためのまちづくりと連携した交通網の整備】
少子高齢化が進み、本県も人口減少社会を迎えると予測されており、各市町村では「地方創生」の取組
みが進められています。
地方創生の基本は、人口減少に歯止めをかけ、地域を元気にしていくことであり、そのためには、誰も
が住み慣れた地域で安心して暮らしていけるよう、通勤・通学の利便性や、医療、福祉、買い物といった
日常生活に必要なサービスの維持・向上のため、まちづくりと一体となった交通網の整備が求められてい
ます。
人口減少が進む過疎地域においては、路線バスや地域鉄道、離島航路など集落を維持・活性化していく
ための交通ネットワークの確保が必要です。
生活道路や歩道の整備、自転車利用環境の整備、バリアフリー交通の推進、犯罪防止に配慮した道路や
駐車場の整備といった、交通施設の利便性、快適性、安全性の向上にも取り組む必要があります。
○
集落ネットワークの形成、市街地活性化と一体となった、定住促進のための地域公共交通の形成
誰もが住み慣れた地域で暮らしていけるよう、駅やバスターミナルといった交通拠点を活かした市街地整
備、中心市街地と周辺地域を結ぶバスの利便性向上などまちづくりと一体となった公共交通の形成に取り組
みます。
路線バスや地域鉄道、離島航路の維持、コミュニティバス、デマンド交通の普及などにより過疎地域や離
島の公共交通を確保します。
○
地域住民の生活の利便性と安全性を高める道路整備
日常生活で身近に利用される生活道路の利便性と安全性を向上させるため、幅員狭小区間の道路拡幅や通
学路の歩道整備などを進めます。健康的で環境に優しい乗り物として、利用者が増加している自転車利用環
境を整備します。
○
誰もが安心して移動できるバリアフリー交通の推進
高齢者や障害者など誰もが安心して移動できる交通環境をつくるため、歩行空間、鉄道、バスのバリアフ
リー化を推進します。犯罪防止に配慮した安心して移動できる空間を確保するため、明るくて見通しの良い
道路や駐車場、駐輪場の整備を推進します。
基本方針5【地球温暖化対策の推進】
平成 28(2016)年 11 月、地球温暖化対策を進めるための新たな国際的な枠組みを定めた「パリ協
定」が発効しました。我が国は、
「地球温暖化対策計画」を決定(平成 28(2016)年5月)し、温室効
果ガス排出量を、平成 42(2030)年度に平成 25(2013)年度比 26%減少させる目標を立てました。
本県では、平成 28(2016)年度に「福岡県地球温暖化対策実行計画」を策定し、温室効果ガス排出
量を平成 42(2030)年度に平成 25(2013)年度比 26%削減する目標を立て、運輸部門の二酸化炭
素排出量については、27%削減することとしています。
○
地球環境負荷の少ない交通の推進
渋滞解消のための道路整備や交通制御、電気自動車(EV)、水素燃料電池自動車(FCV)など次世代
自動車の普及促進、マイカー利用抑制と公共交通機関の利用促進により、温室効果ガスの排出を抑制します。
- 20 -
3-2
主要施策
「交通ビジョン2017」の「基本方針」に基づく「主要施策」を定めます。
「主要施策」および「主な取り組みの内容(個別施策)」については、時代の変化に即応し、効果的に推進
する必要があるため、適宜見直しを行います。
基 本
方 針
<1>アジアの活力を取り込み、
人・モノの流動を拡大
○福岡空港、北九州空港の役割分担と
相互補完の推進
○国際貿易、国際観光を担うターミナ
ル港湾の整備
○空港・港湾と県内各地域を結ぶネッ
トワークの強化
<2>地域間の連携強化と
九州・山口の一体的発展
主
要 施 策
1-1 福 岡 空 港 の 機 能 強 化
1-2 福 岡 空 港 と 北 九 州 空 港 の 役 割 分 担 と 相 互 補 完
1-3 北 九 州 港 ・ 博 多 港 の 機 能 強 化
1-4 県 営 港 湾 の 整 備 ・ 利 用 促 進
1-5 空 港 ・ 港 湾 へ の ア ク セ ス 整 備
1-6 ア ジ ア と の 物 流 効 率 化 の 推 進
2-1 高 規 格 幹 線 道 路 及 び 地 域 高 規 格 道 路 の 整 備
○九州・山口の人・モノの循環を活発
にする交通手段の整備
○都市と地域を結ぶ交通網の充実
2-2 鉄 道 ネ ッ ト ワ ー ク の 強 化
○最先端技術を活用した、便利で快適
な次世代交通の普及促進
2-5 目 的 地 へ ア ク セ ス し や す い 交 通 環 境 の 整 備
2-3 基 幹 と な る 道 路 網 の 整 備
2-4 地 域 の 自 立 促 進 の た め の 道 路 網 の 整 備
2-6 ICT(情報通信技術)等を活用した交通システムの充実
<3>大規模災害への備えと
事故の未然防止
○交通施設の耐震、災害対応能力の
向上
○交通施設の安全性向上と長寿命化の
推進
○高齢者をはじめとする交通事故防止
対策、飲酒運転撲滅対策の推進
3-1 交 通 施 設 の 耐 震 化 の 推 進
<4>地方創生のためのまちづくり
と連携した交通網の整備
4-1 ま ち づ く り と 一 体 と な っ た 交 通 網 の 形 成
○集落ネットワークの形成、市街地活性
化と一体となった、定住促進のための
地域公共交通の形成
○地域住民の生活の利便性と安全性を
高める道路整備
○誰もが安心して移動できるバリアフ
リー交通の推進
<5>地球温暖化対策の推進
○地球環境負荷の少ない交通の推進
3-2 自 然 災 害 対 策 の 推 進
3-3 防 災 体 制 の 強 化
3-4 交 通 施 設 の 適 切 な 維 持 管 理 の 推 進
3-5 交 通 安 全 対 策 の 推 進
4-2 地 域 公 共 交 通 の 強 化 ・ 広 域 化
4-3 公 共 交 通 の 利 用 促 進
4-4 生 活 道 路 の 整 備
4-5 自 転 車 利 用 環 境 の 整 備
4-6 歩行空間や公共交通施設のバリアフリー化の推進
4-7 犯 罪 の 防 止 に 配 慮 し た 道 路 環 境 の 確 保
5-1 交 通 円 滑 化 の た め の 道 路 整 備 と 交 通 制 御
5-2 地 球 環 境 に 配 慮 し た 交 通 手 段 の 開 発 ・ 普 及
5-3 地 球 環 境 に や さ し い 自 動 車 利 用 の 推 進
- 21 -
3-3
<1>
主な取り組みの内容(個別施策)
アジアの活力を取り込み、人・モノの流動を拡大
【福岡空港、北九州空港の役割分担と相互補完の推進】
主要施策
主な取り組みの内容
滑走路増設及び平行誘導路二重化の早期完成
1 福岡空港の機能強化
外国人の受入体制の改善に向けた円滑な出入国体制の実現
戦略的な路線誘致や空港運営の効率化の効果が期待できる民間委託の推進
北九州空港滑走路の 3,000mへの延伸の早期実現
2 福岡空港と北九州空港の
役割分担と相互補完
北九州空港と福岡都市圏を直接結ぶリムジンバスの運行
福岡空港・北九州空港間で航空券の変更が可能となるマルチエアポート化の推進
【国際貿易、国際観光を担うターミナル港湾の整備】
主要施策
3 北九州港・博多港の機能強化
主な取り組みの内容
北九州港、博多港の機能強化
苅田港の港湾機能の充実や利用促進
三池港の港湾機能の充実
4 県営港湾の整備・利用促進
マイポートみいけ利用促進協議会と連携した集荷拡大及び航路誘致のためのポー
トセールスの実施
宇島港、芦屋港、大牟田港、若津港及び大島港の状況に応じた整備
【空港・港湾と県内各地域を結ぶネットワークの強化】
主要施策
主な取り組みの内容
空港や港湾から高規格幹線道路などへのアクセス向上を図る道路ネットワークの拡充
東九州自動車道の暫定2車線区間の4車線化について整備促進
5 空港・港湾へのアクセス整備
福岡空港関連自動車専用道路整備の滑走路増設に合わせ早期整備着手
福岡高速6号線(アイランドシティ線)の整備促進
北九州港響灘地区へのアクセス向上のための道路ネットワークの拡充
効率的な物流を支援する道路ネットワークの拡充
6 アジアとの物流効率化の推進
本県の地理的優位性を活かした国際RORO船航路の誘致や充実
日中韓3国間シャーシ相互乗り入れの実現による物流の円滑化
- 22 -
<2>
地域間の連携強化と九州・山口の一体的発展
【九州・山口の人・モノの循環を活発にする交通手段の整備】
主要施策
主な取り組みの内容
下関北九州道路の実現
1 高規格幹線道路及び
地域高規格道路の整備
有明海沿岸道路や新北九州空港道路、福岡高速 6 号線(アイランドシティ線)等
の整備促進、福岡空港関連自動車専用道路整備の滑走路増設に合わせ早期整備着手
東九州自動車道の暫定2車線区間の4車線化について整備促進(再掲)
味坂スマートIC(仮称)などのスマートICの整備推進
西九州自動車道の一般道で供用している暫定区間の整備促進
九州新幹線(西九州(長崎)ルート)の建設促進、東九州新幹線(北九州市~大分
市~宮崎市~鹿児島市)の整備構想の推進
2 鉄道ネットワークの強化
西鉄天神大牟田線の単線区間の複線化
福岡市地下鉄七隈線の延伸(天神南~博多間)の早期完成
福岡市地下鉄箱崎線と西鉄貝塚線との直通運転化の実現に向けた調査・検討
【都市と地域を結ぶ交通網の充実】
主要施策
主な取り組みの内容
地域と地域を結ぶ基幹的な道路網の整備
3 基幹となる道路網の整備
福岡空港、北九州空港、北九州港、博多港、インターチェンジなど広域交通を担う
拠点相互を結ぶ道路網の整備
都市の骨格を形成する幹線街路の整備
都市計画道路の決定・変更の適切な実施、都市計画道路の整備
4 地域の自立促進のための
道路網の整備
連続立体交差事業の推進
地域の産業拠点と空港、港湾、インターチェンジなどを結ぶ道路網の整備
移動に役立つ情報(マップなど)の提供
多言語表記化等による案内板の内容充実
5 目的地へアクセスしやすい
交通環境の整備
外国人のスムーズな入国審査手続きに向けた体制づくりの推進
主要な鉄道駅やバス停などから観光地までの交通手段の確保、外国人も利用しやす
い企画きっぷの普及・促進
観光資源としての水上バスの利活用策の検討、観光回遊バスなどの運行
【最先端技術を活用した、便利で快適な次世代交通の普及促進】
主要施策
主な取り組みの内容
観光客等の移動支援のための Wi-Fi 整備
ICカード乗車券の相互利用拡大、新たな導入の検討
ITS(高度道路交通システム)の活用の推進
6ICT(情報通信技術)等を
活用した交通システムの充実
ASV(先進安全自動車)の普及
低燃費車の普及
燃料電池自動車(FCV)の普及と水素ステーション整備の一体的推進
電気自動車などの次世代自動車の普及促進、公共施設や民間等への充電インフラの
整備推進
- 23 -
<3>
大規模災害への備えと事故の未然防止
【交通施設の耐震、災害対応能力の向上】
主要施策
主な取り組みの内容
計画的な橋梁や港湾施設の耐震化の推進
1 交通施設の耐震化の推進
鉄道施設の耐震化の推進
道路の法面補強などの防災対策の実施
2 自然災害対策の推進
道路の「雨量通行規制」の実績を踏まえた規制基準・規制区間の見直し検討
高潮被害発生時の浸水想定区域図の作成
九州・山口9県災害時応援協定による、大規模災害発生時の緊急輸送路及び輸送手
段の確保、九州・山口9県間の情報共有化
緊急輸送道路の幅員狭小区間における現道拡幅。災害時の交通機能分断時における
代替路線の確保のための道路ネットワークの拡充
道の駅・港湾緑地などを防災拠点として活用するための防災倉庫や非常用トイレの
設置(道の駅)など防災機能強化
3 防災体制の強化
県民の防災意識を高める啓発活動の実施、防災拠点や緊急輸送道路についての県民
への周知
福岡県地域防災計画の見直し
災害発生時における災害対応の拠点と連結する幹線道路の交通流を確保するため
の交通管制施設(交通管制センター、交通監視カメラ、交通情報板、車両感知器)
の充実整備
大規模災害時に緊急車両等の通行を確保するための道路管理者間の連携強化
道路の無電柱化の推進
【交通施設の安全性向上と長寿命化の推進】
主要施策
主な取り組みの内容
交通施設の定期的な点検
道路や港湾施設の日常のパトロール点検や必要に応じた維持補修の実施
鉄道やバスの点検・保守作業や日常訓練・教育や緊急事態に対応した訓練の実施
4 交通施設の適切な維持管理の
推進
ボランティアや地域住民などを主体とした道路の美化・清掃活動への支援
福岡県道路施設維持管理基本計画の推進
計画的な橋梁などの点検・補修・更新の実施
計画的な港湾施設の維持・管理・補修の実施
【高齢者をはじめとする交通事故防止対策、飲酒運転撲滅対策の推進】
主要施策
主な取り組みの内容
歩道設置や交差点改良、信号設置など事故危険箇所等の交通安全対策の推進
交通事故抑止に係る広報啓発活動の充実
幼児から高齢者に至るまでの段階的、体系的な交通安全教育の推進
5 交通安全対策の推進
速度違反等、悪質・危険性の高い違反や、地域の交通実態等を踏まえた迷惑性の高
い違反に重点を置いた取締りの実施
高齢社会の進行を踏まえた総合的な交通安全対策の推進
運転免許証を自主返納した者に対する支援措置の周知、市町村が行う高齢者の運転
免許証自主返納支援事業に対する助成
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県民全てに対する自転車利用のルール周知と交通安全教育の推進
自転車利用者の悪質・危険な交通違反に対する積極的な指導取締りの実施
事業用自動車の安全運行の確保、車両の安全対策の推進、事業用自動車の事故等の
情報の提供、鉄軌道の安全確保、海上交通の安全確保のための取り組みの推進
踏切の視認性向上、踏切支障報知装置及び障害物検知装置等の整備、里道の封鎖等
の安全対策の推進
飲酒運転違反者の徹底検挙、県民の飲酒運転を許さない社会環境づくりの推進
<4>
地方創生のためのまちづくりと連携した交通網の整備
【集落ネットワークの形成、市街地活性化と一体となった、定住促進のための地域公共交通の形成】
主要施策
主な取り組みの内容
立地適正化計画及び地域公共交通網形成計画の策定の推進
1 まちづくりと一体となった
交通網の形成
交通結節点(ターミナル、駅前広場、自由通路)の整備
交通関係者(県民・交通事業者・行政)が連携・協働して交通施策を検討するため
の環境の整備
国・県・市町村による路線バス維持のための支援
コミュニティバスの運行費及び車両購入費、地域コミュニティ運送実証実験費用へ
の助成
市町村域を越えて運行する(広域運行)コミュニティバス等の普及
デマンド交通(事前予約運行)など地域の実情を踏まえた持続可能な公共交通の導入
2 地域公共交通の強化・広域化
コミュニティバス等の利用促進策や経営効率化等、行政と交通事業者の情報の共有化
「こども 110 番通報協力タクシー」などの救援事業の実施、福祉タクシーや患者等
輸送限定タクシーの導入推進
甘木鉄道、平成筑豊鉄道、筑豊電気鉄道の利用促進、国・県・市町村による安全輸
送の確保を図るための支援
地域鉄道の活性化に向けた取組みの推進
「離島航路確保維持計画」の策定、国・県・市町村による離島航路の維持・確保を
図るための支援
3 公共交通の利用促進
モビリティ・マネジメントの推進
【地域住民の生活の利便性と安全性を高める道路整備】
主要施策
主な取り組みの内容
生活道路の整備
4 生活道路の整備
待避所設置や視距確保対策などの道路整備
通学路などの歩道整備
自転車道の設置、自転車専用通行帯の指定などによる自転車走行空間等の整備
5 自転車利用環境の整備
コミュニティサイクル、レンタサイクルの普及促進
自転車駐輪場(駐車場)の整備
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【誰もが安心して移動できるバリアフリー交通の推進】
主要施策
主な取り組みの内容
特定道路を中心とした歩行空間のバリアフリー化の推進
6 歩行空間や公共交通施設の
バリアフリー化の推進
鉄道駅、バスターミナル等のバリアフリー化の推進
ノンステップバスの導入推進
7 犯罪の防止に配慮した道路
環境の確保
犯罪の防止に配慮した道路等の構造、設備等に関する指針の広報啓発
自動車駐車場及び自転車駐輪場(駐車場)における周囲からの見通しの確保、フェ
ンス等による周囲との区分、必要な照度の確保
<5>地球温暖化対策の推進
【地球環境負荷の少ない交通の推進】
主要施策
1 交通円滑化のための道路整備
と交通制御
主な取り組みの内容
交通渋滞の著しい箇所やその周辺道路の整備
交通状況に応じた最適な信号制御の実施
低燃費車の普及(再掲)
2 地球環境に配慮した交通手段
の開発・普及
燃料電池自動車(FCV)の普及と水素ステーション整備の一体的推進(再掲)
電気自動車などの次世代自動車の普及促進、公共施設や民間等への充電インフラの
整備の推進(再掲)
エコドライブ講習や過度のマイカー使用自粛への呼びかけなどの啓発活動の実施
3 地球環境にやさしい自動車
利用の推進
パーク・アンド・ライドの推進
モビリティ・マネジメントの推進(再掲)
- 26 -
第4章
4-1
施策の推進方策
市町村との連携
「交通ビジョン 2017」の推進にあたっては、それぞれの地域によって大きく異なる人口動態、人口構造
などの現状を踏まえた上で、県内各市町村と効果的な連携を図ることが重要です。
本県では、従来から通勤・通学の人口動態、地理的状況、歴史的経緯などを総合的に勘案した 15 の「広域
地域振興圏」を設定し、地域と一体となって、地域振興に取り組んできました。
このような中、平成 27(2015)年度、地域の人口減少を抑制することを目指し、県内全市町村において、
「市町村版総合戦略」が策定されました。「総合計画 2017」では、こうした経緯を踏まえ、15 の「広域地
域振興圏」にて、効果的な施策の展開を図ることとしています。
「交通ビジョン 2017」においても、地域の交通インフラや、社会・経済状況を考慮し、市町村域を越え
たコミュニティバスの運行や鉄道も含めた広域な交通ネットワークの再構築など、15 の「広域地域振興圏」
にて、経済活動や生活実態に合った施策を展開していきます。
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4-2
九州・山口各県との連携
熊本地震では、災害時における九州・山口の広域交通ネットワークの重要性を改めて認識することとなりま
した。
新幹線、高速道路、高規格幹線道路、国道といった九州各県が協力して国に事業の促進を提言・要望すべき
交通施策も数多くあります。
ラグビーワールドカップ 2019、2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会といった、インバ
ウンドをはじめとする九州への観光客の大幅拡大が見込まれる大規模イベントも開催されます。
九州地域戦略会議、九州観光推進機構など、九州・山口各県の経済界、交通事業者、行政機関などで構成さ
れる組織を十分活用し、九州・山口の発展に資する広域交通ネットワークの充実・強化に取り組みます。
4-3
交通関係者との連携
県内の交通関係事業者、有識者、行政機関などで構成する「福岡県交通対策協議会」において、交通ビジョ
ンに掲げた施策の進捗状況、具体的成果、解決すべき課題を確認しながら、PDCAサイクルにより、施策の
実効性を高めます。
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