糖を用いた磁性流体の作製と評価 2016 年月曜班 Imai,R.(1C),Kawamoto,M.(1K),Nishinobou,T.(1K), Ishii,T.(2OK),Massaki,T.(2OK),Hara,M.(2K),Tominaga,H.(2K), Watanabe,S.(2OK),Nakayama,M.(2K),Imaizumi,R.(2C),Ameku,K.(2K) 1 背景 今年度の月曜班では,人体に無害な磁性流体と して糖を用いた磁性流体が使用されていることに 和性は非常に高いといえるので,吸着が阻害され たと考えられる.このため,吸着層は疎な状態に あったと考えられる. 注目し,「安価かつ人体に無害な糖や分散剤を用 いた磁性流体を作製」,「撹拌時間の条件の変化 による挙動の変化」というテーマに基づいて実験 を行う. Ⅱ:高分子の吸着について 高分子の吸着形態は主に 3 つあり,それぞれ loop,tail,train 型と呼ばれる.高分子濃度が低く, 吸着量が少なく吸着層が疎であるときには,疎で 実験 2 ある 2 つの粒子が接近すると,一方の粒子の tail マグネタイトに吸着させる物質として界面活性 が他方の粒子の空いている部分に吸着し,橋かけ 剤であるオレイン酸ナトリウムと, 糖であるグル 凝集が起きる.橋かけ凝集は,高分子の分子量が コサミンを用いた二種類の磁性流体を作製した. 大きく,溶媒によく分散しているほど起きやすい, また,オレイン酸を用いる作製方法における撹 という特性をもつ.グルコサミン塩酸塩は水によ 拌時間を 30 分,60 分,90 分,120 分と変化させ磁性 く分散しているが,モノマーであるため高分子と 流体を作製した. しての分子量は比較的小さいといえる.よって, 橋かけ凝集は起きていても非常にわずかであると 評価 3 本実験では,100 cm3 ビーカー中で分散させた後 考えられる. また,高分子濃度が高いと吸着層は密であり,そ に,ネオジム磁石を用いてスパイク現象が発生す の状態において吸着媒が近づくと電気二重層の観 ること,及びスパイクの高さと数を確認した. 点から,粒子の自由エネルギーが増し,互いに反発 次に,磁性流体に磁石を近づけた時と離した時 してしまう.実験中に行った pH 操作によりマグ でどのように流体としての挙動が変わるか観察し ネタイトが凝集し始めると,溶液中のその部分に た. おいて吸着層の密な部分が生まれる.その結果, わずかながら凝集していたマグネタイトが分散し 4 考察 4.1 糖を用いた磁性流体の作製について てしまうこととなり,結果として凝集が見られな くなった,と考えられる. 本実験では,オレイン酸を用いた方法による磁 性流体の作製は成功したが,糖を用いた方法によ る作製は失敗であった.作製が叶わなかった要因 4.2 撹拌時間の条件の変化について オレイン酸を用いた撹拌時間の条件を変化させ として,以下の二つの考えが挙げられる. る実験では,撹拌時間に比例して作製した磁性流 Ⅰ:溶液吸着の特性について 体に顕著にスパイク現象が発現することが観察で 一般に,溶質をよく溶かす溶媒,及び吸着媒に親 きた.これは,より長い時間撹拌を行うことで,粒 和性のある溶媒は溶質の吸着を阻害する.グルコ 子が接する回数が変化し,粉体が形成される数が サミン塩酸塩は水に易溶であり,溶媒と溶質の親 変化したからであると考えられる.
© Copyright 2024 ExpyDoc