東京オフィスビル市場の分析と展望 〈 四半期統計 〉 2016 年 第 3 期 (7 月~9 月) 2016 年 11 月 株式会社オフィスビル総合研究所 Commercial Property Research Institute, Inc. http://www.officesoken.jp 東京 23 区 賃貸オフィスビル市場の概況 <2016 年第 3 期(7 月~9 月)> 『東京オフィスビル市場の分析と展望』は市況分析を行うための基礎データとして、マ ーケット関係者の方々へ四半期ごとに提供しているレポートです。皆様には、本レポート を賃貸オフィスビル事業におけるマーケットの分析資料として、ご活用いただければ幸い です。 2016 年第 3 期のポイント(東京 23 区) 1. テナント募集面積の動向 東京 23 区全規模の募集面積は 103.0 万坪で、前期比マイナス 6.1 万坪(-5.6%)と 6 期連続でマイナスとなった。竣工時期別の募集面積は「既存ビル」が 2 期連続の大 幅低下となり、マイナス 5.4 万坪(-6.0%)となった。 2. テナント成約面積の動向 東京 23 区全規模の成約面積は 25.6 万坪で、前年同期からマイナス 2.3 万坪(-8. 1%)となった。竣工時期別では「既存ビル」がマイナス 1.0 万坪(-4.0%)、「建 築中ビル」がマイナス 1.2 万坪(-53.2%)と、それぞれ減少した。引き締まった 需給バランスに加え、2018 年以降の大量供給を見据えて、テナント側に慎重な姿 勢が出始めており、成約面積は減少傾向が続いている。 3. 大規模ビル空室率の動向 東京 23 区大規模ビル(1 フロア 200 坪以上)空室率は前期から 0.3 ポイント上昇の 3.0%、都心 3 区大規模ビルは前期から 0.5 ポイント上昇の 2.6%となった。東京 23 区大規模ビルの空室率は、2012 年第 2 期の 8.1%をピークに低下基調が続いていた が、大規模ビルがまとまった面積の空室床を残して竣工した影響もあり、17 期ぶり に上昇へ転じた。 1.テナント募集面積の動向 (表1、グラフ 1-1、グラフ 1-2) 東京 23 区、全規模は前期比マイナス 6.1 万坪(-5.6%) と 6 期連続減少 ~ 2008 年第 2 期以来の 90 万坪台が目前 - 東京 23 区 2016 年 10 月のテナント募集面積「全規模」は 103.0 万坪となり、前期 比でマイナス 6.1 万坪(-5.6%)となった。6 期連続の減少となり、2008 年第 2 期 以来となる 90 万坪台を目前にしている。 - 竣工時期別では「既存ビル」が対前期比マイナス 5.4 万坪(-6.0%)と 2 期連続の 大幅減少となり、「建築中ビル」はマイナス 0.7 万坪(-3.8%)と 5 期連続のマイ ナスとなっている。 (表 1)テナント募集面積前期比較(2016 年 7 月 vs 2016 年 10 月) 立地ゾーン 全規模増減面積(%) 都心 3 区 -24,000 坪 -4.1% -5,000 坪 -1.4% 中心 6 区リング -27,000 坪 -8.4% -20,000 坪 -14.3% -9,000 坪 -5.4% -6,000 坪 -8.4% -61,000 坪 -5.6% -30,000 坪 -5.5% 都下 3 県 -18,000 坪 -4.3% -10,000 坪 -5.5% 立地ゾーン 既存ビル増減面積(%) 都心 3 区 -23,000 坪 -5.1% -1,000 坪 -0.9% 中心 6 区リング -21,000 坪 -7.6% -6,000 坪 -13.3% 周辺 14 区リング -10,000 坪 -5.5% - - -54,000 坪 -6.0% -7,000 坪 -3.8% -17,000 坪 -4.2% -1,000 坪 -5.8% 周辺 14 区リング 東京 23 区 東京 23 区 都下 3 県 大規模ビル増減面積(%) 建築中ビル増減面積(%) 都心 3 区:千代田、中央、港 周辺 14 区: 「東京 23 区」から「都心 3 区」および「中心 6 区リング」を除いた 14 区 中心 6 区リング:新宿、渋谷、品川、文京、豊島、台東 都下3県: 三多摩地区、千葉県、埼玉県、神奈川県 新規着工建築中ビルのテナント募集開始面積 全規模合計 大規模ビル 大型ビル 中型ビル 小型ビル 小規模ビル 200 坪以上 100~200 坪 50~100 坪 20~50 坪 20 坪以下 2014 年 1 期 24 棟 25,000 坪 9棟 23,000 坪 1棟 --- 3棟 1,000 坪 8棟 1,000 坪 3棟 --- 2期 13 棟 14,000 坪 6棟 13,000 坪 2棟 --- 2棟 --- 2棟 1,000 坪 1棟 --- 3期 34 棟 10,000 坪 6棟 5,000 坪 5棟 3,000 坪 9棟 1,000 坪 7棟 --- 7棟 --- 4期 24 棟 5,000 坪 4棟 3,000 坪 4棟 1,000 坪 1棟 1,000 坪 4棟 --- 11 棟 --- 2015 年 1 期 21 棟 25,000 坪 8棟 22,000 坪 4棟 3,000 坪 3棟 --- 5棟 --- 1棟 --- 2期 28 棟 23,000 坪 9棟 22,000 坪 5棟 --- 7棟 --- 4棟 1,000 坪 3棟 --- 3期 21 棟 4,000 坪 4棟 3,000 坪 0棟 --- 2棟 --- 8棟 1,000 坪 7棟 --- 4期 14 棟 3,000 坪 1棟 --- 2棟 2,000 坪 1棟 --- 3棟 1,000 坪 7棟 --- 2016 年 1 期 17 棟 20,000 坪 2棟 17,000 坪 0棟 --- 5棟 2,000 坪 9棟 1,000 坪 1棟 --- 2期 9棟 7,000 坪 2棟 6,000 坪 1棟 1,000 坪 3棟 1,000 坪 3棟 --- 0棟 --- 3期 6棟 3,000 坪 0棟 --- 1棟 1,000 坪 2棟 1,000 坪 2棟 1,000 坪 1棟 --- 《グラフ1-1》 東京23区 募集面積の推移 (万坪) 250 200 150 103.0 100 50 0 2006/10 2007/10 2008/10 2009/10 2010/10 建築中 2011/10 新耐震 2012/10 旧耐震 2013/10 2014/10 2015/10 2016/10 合計 注: 「新耐震」、「旧耐震」の区分は竣工時期に基づく推定 (1984年以降の竣工ビルを「新耐震」ビル、1983年以前に竣工のビルを「旧耐震」ビルと想定しています) 《グラフ1-2》 東京23区・都心3区の新規供給面積 (万坪) 35 30 25 20 15 10 5 0 2007年 2008年 2009年 2010年 3区 竣工済 2011年 2012年 3区 建築中 2013年 23区 竣工済 2014年 2015年 23区 建築中 2016年 2017年 2018年 2.テナント成約面積の動向 (表 2、グラフ 2-1、グラフ 2-2) 東京 23 区、前年同期比での成約面積はマイナス 2.3 万坪(-8.1%)と大幅減少 ~ - 建築中ビルの成約状況に再び変調の兆し 東京 23 区 2016 年第 3 期の成約面積「全規模」は 25.6 万坪で、前年同期からマイ ナス 2.3 万坪(-8.1%)と 7 期連続の減少となり、「大規模」はマイナス 0.8 万坪 (-6.6%)と再び減少に転じた。 - 竣工時期別では「既存ビル」がマイナス 1.0 万坪(-4.0%)と 3 期連続の減少とな り、「建築中ビル」もマイナス 1.2 万坪(-53.2%)と 3 期ぶりの減少に転じた。 2018 年以降に大量供給が控えていることも影響し、「建築中ビル」の成約状況にや や鈍化傾向が出始めている。 (表 2)テナント成約面積対前年同期比(2015 年第 3 期 vs 2016 年第 3 期) 立地ゾーン 都心 3 区 全規模増減面積(%) 大規模ビル増減面積(%) 5,000 坪 3.7% 4,000 坪 5.6% -22,000 坪 -21.2% -10,000 坪 -23.4% -6,000 坪 -15.8% -1,000 坪 -7.6% -23,000 坪 -8.1% -8,000 坪 -6.6% 都下 3 県 -11,000 坪 -14.9% -8,000 坪 -24.4% 立地ゾーン 既存ビル増減面積(%) 中心 6 区リング 周辺 14 区リング 東京 23 区 都心 3 区 中心 6 区リング 周辺 14 区リング 東京 23 区 都下 3 県 建築中ビル増減面積(%) 8,000 坪 6.1% -3,000 坪 -26.8% -12,000 坪 -13.6% -10,000 坪 -72.6% -6,000 坪 -15.8% - - -10,000 坪 -4.0% -12,000 坪 -53.2% -11,000 坪 -14.8% - - 都心 3 区:千代田、中央、港 周辺 14 区: 「東京 23 区」から「都心 3 区」および「中心 6 区リング」を除いた 14 区 中心 6 区リング:新宿、渋谷、品川、文京、豊島、台東 都下3県: 三多摩地区、千葉県、埼玉県、神奈川県 《グラフ2-1》 東京23区 成約面積の推移 (万坪) 180 160 140 120 100 32.9 27.9 32.3 30.1 24.2 80 23.2 29.1 60 20 22.3 32.5 28.8 29.6 31.5 27.4 27.9 25.6 33.4 30.2 30.1 28.8 28.7 28.5 2014年 2015年 2016年 28.8 31.4 40 34.5 34.2 29.0 27.5 23.2 25.5 24.2 23.2 2008年 2009年 33.7 30.4 34.7 32.7 29.0 2010年 2011年 29.7 33.9 33.6 2012年 2013年 0 2007年 第1期 (万坪) 10 第2期 第3期 第4期 《グラフ2-2》 東京23区 竣工時期別 前年同期比 成約面積の増減 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8 -10 2007年 2008年 2009年 2010年 建築中 2011年 1年以内 2012年 10年以内 2013年 84年以降 2014年 83年以前 2015年 2016年 3.大規模ビル空室率の動向 (グラフ 3-1、グラフ 3-2) 東京 23 区大規模ビル空室率は 17 期ぶりの上昇で 3.0% ~ - 需要は堅調だがテナントの動きに変調の兆し 2016 年 10 月の東京 23 区大規模ビル(1 フロア 200 坪以上)空室率は 3.0%とな った。大規模ビルがまとまった面積の空室床を残して竣工した影響もあり、17 期ぶ りとなる上昇に転じた。 - エリア別で見ると、西側の各区は依然として館内増床や分室開設が主流の堅調な需 要が見られ、空室率は低下傾向が続いている。一方、東側の各区では新規供給の影響 もあり、空室率は上昇局面に移行しつつある。 各地域および各区の大規模ビル空室率と対前期比 空室率 都心 3 区 前期比 (pts) 2.6% 0.5 千代田区 1.8% 0.1 中央区 2.1% ±0.0 港区 3.4% 0.9 中心 6 区 3.2% -0.3 新宿区 2.3% -0.4 渋谷区 1.0% -0.2 豊島区 1.5% ±0.0 品川区 5.2% -0.8 文京区 5.1% -0.8 台東区 8.7% 2.9 周辺 14 区 4.2% 0.3 東京 23 区 3.0% 0.3 都下 3 県 6.4% ±0.0 首都圏 3.5% 0.2 都心 3 区:千代田、中央、港 周辺 14 区: 「東京 23 区」から「都心 3 区」および「中心 6 区リング」を除いた 14 区 中心 6 区リング:新宿、渋谷、品川、文京、豊島、台東 都下3県: 三多摩地区、千葉県、埼玉県、神奈川県 東京 23 区 竣工時期別空室率 前年同期 「竣工 1 年以内」 前期 今期 32.7% 10.0% 12.7% 「竣工 10 年以内(1 年以内を除く)」 2.0% 1.9% 1.8% 「84 年以降竣工(10 年以内を除く)」 4.0% 3.1% 3.4% 「83 年以前竣工」 3.1% 2.0% 2.0% 《グラフ3-1》 東京23区 大規模ビル空室率の推移 (%) 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 2006/10 2007/10 2008/10 2009/10 2010/10 2011/10 東京23区 100% 都心3区 2012/10 2013/10 2014/10 2015/10 2016/10 中心6区リング 《グラフ3-2》 東京23区 大規模ビル空室率構成比(棟数ベース)の推移 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 2006/10 2007/10 2008/10 2009/10 満室稼動 2010/10 10%未満 2011/10 10~20%未満 2012/10 20~50%未満 2013/10 50%以上 2014/10 2015/10 2016/10
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