地域文化功労者表彰受賞者の功績概要について ○ 井崎浮立保存会 昭和50年設立。会長 本多 豊喜(ほんだ とよき)。 井崎浮立は、約300年の歴史を持つ伝統芸能で、五穀豊穣、雨乞い等の神事や地区 住民の慰安娯楽として伝承され、深く地区住民の生活に溶け込んでいる。 井崎地区では、保存会を結成し、年中行事をはじめ慶祝行事などに出演するとともに、 保育園での指導、小中学生に対する指導・育成など地区住民挙げて脈々と伝統を継承し ている。 現在の奉納は、300人規模の大掛かりなものであるため、慶祝行事等が開催される 節目の年に奉納されて、笛、太鼓、鉦など鳴り物による浮立を毎年、7月の田祈祷祭、 8月の願成就祭、千灯篭祭、9月の地区運動会、10月の宮日祭などで奉納・披露して いる。 近年では、諫早市の三大まつりである「のんのこ諫早まつり」においても披露され、 地域住民をはじめ、多くの観客で賑わいをみせた。このように、地域をあげての伝統芸 能の奉納行事の開催、地域の子ども達への指導・育成など、地域の伝統芸能の保存継承 に深く関わっているとともに、保存継承のための貴重な資料となる「井崎浮立の記録」 を編集している。 なお、昭和52年5月4日に、同保存会が保存・伝承する「井崎浮立」の中でも本浮 立と言われる「巻き込み浮立」が、一種独特の形態で旧諫早領内で現存する大浮立とし ては、 一番よく整っている陣立浮立であることから、長崎県無形民俗文化財に指定さ れている。 このように保存会の活動により、地域の文化振興が図られ、井崎浮立の保存と伝承に 大きく寄与している功績は誠に顕著である。 ○ へトマト保存会 昭和62年設立。会長 手島 仁助(てしま じんすけ)。 国指定重要無形民俗文化財である「下崎山町のヘトマト」は、奉納相撲、羽根突き、 綱引き、玉蹴り、大草履の奉納など年占行事を一度に行う勇壮にして情味豊かな、町民 総参加の民俗行事であり、全国的によく知られた奇祭である。 五島市下崎山町は、市内でも青年団および消防団活動が活発な地域であり、ヘトマト 行事においても担い手の中心となるのが、青年団および消防団員である。 過疎化、少子高齢化が進む昨今においても行事の担い手は自分達だという意識が高く、 伝統民俗行事の保存継承は非常に活発である。 昭和62年、国の重要無形民俗文化財指定にあわせ、地区全体で行事の継承を図る目 的で、ヘトマト保存会を設立し、以来、町内会、青年団、消防団を中心にした活動を行 うとともに、将来の担い手育成のため、五島市立崎山中学校の生徒を積極的に参加させ るなど、ヘトマト行事を子どもたちへ継承し、保存していくことに努めている。 例年、へトマト行事には、多くの観光客が訪れており、積極的な対外広報にも努めた ことで、度々メディアに取り上げられるなど、全国的にも注目を浴びる五島の代表的な 伝統民俗行事に発展させたことはもとより、交流人口の拡大、地域振興に寄与された本 保存会の功績は、誠に顕著である。
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