『検体採取等業務にむけた新軌道』 ◎小林 千明 1) 伊勢赤十字病院 1) 【はじめに】 平成 27 年 4 月以降、検体採取などが臨床検査技師の業務範囲に含まれることとなり、これを機に H27 年 6 月より外来採血室にて臨床検査技師による検体採取業務を開始した。その経緯と実施状況について報告す る。 【実施の経緯】 H24 年に当院は新築移転し、開院と同時に中央採血室が設置され、小児科以外の外来患者採血をすべて中央 採血室で行うこととなった。また、旧病院では中央採血室の運用は看護師中心であったが 7 対 1 看護体制の 充実のため、運用は技師中心へと移行した。H26 年度の検査課内業務改善活動のなかで採血待ち時間調査を 行ったところ、待ち時間の延長要因の中に、看護師による検体採取の待ち時間があり、待ち時間短縮のため にも早急に実施を進めることとなった。 【導入準備と実際の運用】 厚生労働省指定講習会を修了した者以外は、検体採取等業務に従事することができないため、その旨を病院 に申請。検査課全員の受講が可能となり、講習会受講人数は 45 名中 43 名受講終了(うち 1 名育休中)、受 講費用は全額病院支給(交通費・宿泊費・受講料)された。採取部位は鼻腔拭い液・咽頭拭い液の 2 部位か らで、課内採血委員会にて実技講習会を行い、開始までに全員が確実かつ安全に検体採取を実施できるよう トレーニングを行った。 【効果と問題点】 臨床検査技師による検体採取は検査の質の向上、精度管理を高めていく上で重要で、正しい感染症診断につ ながっていくと思われる。また、患者待ち時間の短縮の効果も得られた。 導入前、危惧していた患者クレームもなく、現在も順調に、検体採取の業務が実施できている。 【今後の展望】2025 年に向け医療環境はますます厳しくなっていく。検査説明・検体採取という業務拡大を 皮切りに病院内はもちろんのこと、地域における臨床検査の役割や臨床検査技師の在り方についても危機感 を持って模索していかなければならない。
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