業務仕様書 Ⅰ 総 則 1 業務名 平成 28 年度 県有施設劣化度

業務仕様書
Ⅰ
総
則
1
業務名
平成 28 年度
2
県有施設劣化度調査及び長期保全計画等策定業務(その1)
業務の目的
平成 25 年度に策定した「沖縄県ファシリティマネジメント導入基本方針」に基づき、
建築物及び設備の劣化損傷状況を調査し、施設評価及び長期保全計画等を整備すること
で、今後の計画的な費用の予算化及び適切かつ効果的な投資を図ることを目的とする。
3
対象施設
別添1「平成 28 年度
県有施設劣化度調査及び長期保全計画等策定業務(その1)
対象施設リスト」による。
4
業務期間
契約締結の翌日から 90 日間。
Ⅱ
業務仕様
本業務にあたっては、「平成 17 年版
建築物のライフサイクルコスト(一般財団法人
建築保全センター編集発行)」を準拠し、実施すること。
1
業務委託
(1)委託業務の概要
ア
建物の劣化度調査を行い、その結果等に基づく適切な措置等の提言を行う。
イ
劣化度調査等により整理した内容をもとに長期保全計画を作成する。なお、
本業務で作成する長期保全計画とは、施設の長寿命化に繋がる部位(屋根、外
壁、給排水設備等)を対象とし、今後 30 年程度の予防保全工事予定実施年度
や予防保全に必要となる概算工事費などをまとめたものである。
ウ
施設評価及び LCC 算出のための基礎データを整備する。
(2)管理技術者の資格
本業務の技術上の指揮・監督を司る管理技術者(診断者を含む)を選任すること。
管理技術者は1級建築士又は2級建築士の免許を有する者とする。
(3)協力事務所等
受注者は、業務の一部を協力事務所等に委託しようとするときは、あらかじめ発
注者の承諾を得なければならない。この場合契約書等の規定により再委託してはな
らない部分は委託できない。
2
施設評価及び LCC 算出のための基礎データの整理
(1)施設の基本情報を以下の様式に沿って整理する。
別添2「施設評価シート」
別添3「棟評価シート」
別添4「棟評価補足シート」(判定の根拠もまとめること。別紙可。)
別添5「バリアフリー対応度調査シート」
(2)建物を利用している職員及び利用者に対して、別添6「施設満足度調査」を実施
し、電子データにとりまとめる。なお棟毎・様式毎にそれぞれ 30 人以上のサンプ
ルを回収すること。(職員数が 30 人に満たない場合等は、可能な限り多数のサンプ
ルを集めること。)
3
劣化度調査業務
対象施設の建築部位・設備機器について、現地調査・ヒアリング・既存資料の整理等
を行い、劣化状況調査を実施する。
(1)調査実施計画書の作成
次に掲げる事項に留意して調査計画書を作成し、監督員に提出する。
ア
事前準備
(ア)貸与する資料(関係図書)等をよく吟味し、現在の施設の状況を把握し
て調査を行うこと
(イ)施設管理者へのヒアリングを行い、不具合や改善要望、これまでの修繕
・改修履歴及び維持保全に関する点検結果等をチェックし整理する。
イ
日程調整等
施設運営の支障とならないよう、施設管理者と事前に調査日程、方法、準備
等について調整を行う。
(2)劣化度調査の実施(イについては、県議会庁舎のみを対象とする。)
ア
現地調査は、原則として、別添7「劣化度調査シート」の各調査部位に対す
る劣化現象及び判断基準に基づいて、目視調査を中心に行うものとし、現場仮
設の設置及びコンクリートコア抜き・抜管・非破壊検査は行わない。
イ
平成2年国土交通省住宅局建築技術審査委員会策定「剥落による災害防止の
ためのタイル外壁、モルタル塗り外壁診断指針」に準拠する手法で外壁診断調
査を行う。
なお、診断のレベルは、全面的な赤外線装置法と部分打診法の併用(診断レ
ベルⅡ)とする。(「別紙
タイル外壁剥落調査仕様書」参照)
(3)報告書の作成
別添7「劣化度調査シート」で整理した内容及び現地調査等から、劣化部位を図
面等で示し、劣化内容及び写真で報告書を作成する。なお、図面等は既存図面のコ
ピーを活用することも可とする。
4
長期保全計画等の作成
(1)既存資料の整理と現地確認により基本情報及び工事履歴等の項目を整理した別添
8「県有資産データベース」を整理する。なお、【棟別概要データ】(附属棟・そ
の他用)の対象施設は、屋外便所等の小規模施設及びプレハブ等も対象とするが、
ビニールハウス等の簡易な構造物は対象外とする。
また、法令に基づく点検がもれなく行われるよう別添9「法定点検表」を作成す
る。
(2)予防保全の観点にたち、保全を行う事が望ましい部位等について修繕の周期(年
度)、修繕内容(概要)、更新の時期等を明らかにした長期保全計画を作成する。
(3)長期保全計画書の耐用年数、保全工事概算費用の算出等は、「平成 17 年版
建築
物のライフサイクルコスト(一般財団法人建築保全センター編集発行)」における
精算法とし、対象部位は同書データベースにおいて「時間計画保全とすべき」又は
「時間計画保全が望ましい」とされるものとする。(「事後保全で構わない」とさ
れるものは対象外とする。)
5
その他
(1)上記1~4に関する報告書等の作成は棟単位を基本とするが、施設単位で作成す
る方が効率的かつ効果的である場合は施設単位とすることができる。その場合、事
前に調査職員と調整すること。
(2)発注者が、本仕様書に記載されていない上記1~3に関連した業務を指示するこ
とがあるので、その場合も対応すること。
6
成果物
(1)報告書(劣化度調査シート・長期保全計画書等を含む。A4 版):2部
(2)報告書概要版(A4 版):2部
(3)上記の電子成果品:2部
建築設計業務等電子納品要領(平成 24 年度版国土交通省大臣官房長官営繕部)
準用
(4)各種図面のスキャンデータ(PDF):2部
7
注意事項
(1)委託業務の実施にあたっては、県関係部局と密に連携し、調整を図りながら進め
ていくものとする。
(2)受託者は、専任の担当者を置き、委託者からの依頼事項について、常に対応でき
る体制を取ること。
(3)本仕様書に明記されていない事項、又は疑義が生じた場合は、調査職員と協議の
うえ決定しなければならない。
(4)貸与された図面等は、紛失、汚損しないよう取り扱うものとし、業務が終了した
ときは、すみやかに発注者に返却するものとする。
別紙
1
タイル外壁剥落調査仕様書
調査内容
「剥落による災害防止のためのタイル外壁、モルタル塗り外壁診断指針」(国土交通
省)に基づく赤外線装置法及び打診法による。
2
調査範囲
原則として、建物の外壁全面とする。ただし、調査が困難な部位等がある場合は、発
注者と調整すること。(国土交通省告示第282号別表2(11)に定められる落下に
より歩行者等に危害を加える恐れのある部分を調査範囲とすることがある。)
3
調査方法
(1)現地予備調査
ア
日射状況の確認。
イ
建物の構造及び周辺状況により測定できない部分の確認。
ウ
赤外線カメラの設定位置の確認。
対象面との角度は、外壁法線0度としたとき、光軸中心で測定角度水平±30°
以内、垂直角±45°以内とする。
なお、敷地内にカメラを設定できない場合は、公道、隣接敷地、対面建物の屋上、
避難階段等の施設を使用する。
(2)測定計画
ア
赤外線カメラの設定位置の選定。
イ
壁面に汚れ、白華、錆水等が付着し、浮きと誤認しやすい場合は、可視像による
映像を併用して診断調査を行う。
ウ
調査精度の安定化を図るため、撮影時の画像解像度は【25mm/ピクセル】以
下とする。
エ
温度分解能が0.1℃以下の性能を保有する長波帯の赤外線カメラを使用する。
(3)測定
ア
目視
劣化・損傷状況を直接肉眼で確認する。高所等で肉眼の確認が難しい場合は、双
眼鏡等を使用する。
イ
打診等
テストハンマーにより可能な限り打診し、発生音から浮き及び密着不良部等の有
無を判断する。
ウ
赤外線装置法
赤外線カメラを用いて、調査壁面の壁面仕上げ材の浮き・剥離部の変温部状況を
測定する。
さらに、変温部の赤外線画像及び可視画像を保存し、変温部をテストハンマーの
打診により、浮き及び密着不良部等の有無を精査する。
また、必要画像解像度を得るため、2倍望遠レンズ等を使用する。
調査前日の天候が雨天で、測定時刻に外壁面が湿潤状態の場合は、別の日程で調
査を行う。
(4)測定結果の解析
目視調査、打診調査、赤外線装置法による収集した測定結果を取りまとめ解析する。
なお、画像解析ソフトは、赤外線カメラ製造会社の専用ソフト等を使用することが
望ましい。
(5)報告書の作成
報告書には、最低限以下の項目を備えることとする。
○
調査部分、調査除外部分
○
調査実施日、調査時の天候及び温度条件等
○
平面図に調査結果を図示した調査結果図
○
調査結果図に対応する浮き、剥離部の状況写真台帳(必要に応じ抽出図、熱
画像貼付)
○
結果考察、異常部の項目明示、可視・赤外線画像等詳細調査の要否記載、対
策助言・提案
【参考文献】
特殊建築物等定期調査業務基準(2016 年改訂版)
一般財団法人
日本建築防災協会
タイル外壁及びモルタル塗り外壁定期的診断マニュアル(改訂第3版)
公益社団法人
ロングライフビル推進協会
特殊建築物等定期調査における外壁の劣化損傷状況の赤外線調査ガイドライン
一般社団法人
日本赤外線劣化診断技術普及協会