118 BK ウイルス感染を疑わせる尿中ウイルス感染細胞のスクリーニング検査の有用性 ◎牧原 理江 1)、宮地 英雄 1)、上條 隆雄 1)、野口 輝久 1)、恩田 千佳子 1)、片山 孝文 1)、 楠木 啓史 1) 独立行政法人地域医療機能推進機構 中京病院 1) 【はじめに】 であった。尿沈渣でウイルス感染細胞が検出 近年の腎移植は、免疫抑制剤の進歩により急 した 9 名の内、BKV 陽性者は 4 名、JCV 陽性 性拒絶反応が少なくなっている。しかし、こ 者は 6 名、重複者は 2 名であった。 れまで注目されてこなかった BK ウイルスによ また、細胞診検査デコイセル検出者 21 名の内、 って BKV 腎症を引き起こし、移植腎に重篤な BKV 陽性者は 7 名、JCV 陽性者は 14 名、重複 腎機能障害をもたらすことが明らかになって 者は 2 名であった。 いる。当院では 2012 年 6 月より尿沈渣実施時 BKV が陽性であり尿沈渣・細胞診検査で共に にウイルス感染細胞判定をスクリーニング検 ウイルス感染細胞・デコイセルが認められた 査とし取り入れた。 のは 2 名であった。(共に陰性2名) 今回、集計を行い、尿細胞診、血清学的検査 ③尿沈渣でウイルス感染細胞が認められ、 (BKV と JCV 感染)と比較し検討した。 BKV 陰性者の内、JCV 陽性者は 4/5 名(80%) 【方法】 であった。(陰性1名) 2012 年 6 月から 2015 年 7 月までに尿沈渣でウ 【考察】 イルス感染細胞判定をオーダされた 238 名 尿沈渣のウイルス感染細胞発見率は尿細胞診 (1681 検体)を対象とし、①ウイルス感染細 に比し低値であったが(3.8%VS13.5%)尿沈 胞の検出率(1/WF<を陽性)②尿細胞診のデ 渣のみでウイルス感染細胞を指摘できる症例 コイセル出現(全視野1個/2 標本<を陽性) もあった。 ・比較、③BKV の PCR-DNA 検査(血清およ 一方、尿沈渣のウイルス感染細胞陽性は 8/9 名 び尿)、また同ポリオーマウイルス属である (89.0%)に BKV または JCV 感染が認められ、 JCV の PCR-DNA 検査(血清および尿)との比 尿沈渣のウイルス感染細胞判定には JCV が関 較を検討した。 係していることが示唆された。同じパポバウ BKV、JCV 感染は PCR-DNA 定量陽性(血清 イルス科ポリオーマウイルス属であるため尿 2.0×102 コピー/ml<、尿 沈渣では鑑別が困難と思われた。 1.0×106コピー/m l<)を基準とした。 【結語】 【結果】 尿細胞診や血清学的検査は結果に時間,コス ①尿沈渣では 9/238 名(3.8%)にウイルス感 トがかかるため、診察前検査として行うこと 染細胞が検出された。 が困難である。尿沈渣でスクリーニング検査 ②対象 238 名中 156 名で尿細胞診検査が施行 を行うことは BKV 腎症の早期発見および早期 され、デコイセル検出は 21/156 名(13.5%) 治療に繋がり重要な意義を有することが示唆 であった。 された。 TEL:052(691)7151 尿沈渣、尿細胞診検査におけるウイルス感染 細胞の一致率は 5/21 名(23.8%)であった。 ③PCR-DNA 定量では BKV 陽性者は 24/238 名 (10.1%)、JCV 陽性者は 60/238 名(25.2%)
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