Case Study 豊田自動織機が ストレージ基盤を全面刷新し 新たな成長戦略を推進 目的 3 系統の従来型ストレージシステムを刷新 し単一 の ストレー ジ 基盤 に 統合、同時 に DR 環境 を 構築 する。機器構成 のシンプ ル化と運用管理性の改善により、外部ベン ダーに依存せざるをえなかったストレージ 運用管理の内製化を推進する。 3系統の業務系ストレージを総容量400TB の HPE 3PAR StoreServに統合 SSD と SAS を組み合わせたデータ階層管理により 高い性能と投資対効果を実現 アプローチ 仮想サーバー(約 450 VM)環境を重視し た統合ストレージ基盤を新たに設計すると ともに、高度な自律運用機能を備えたスト レージ製品を採用して運用管理の内製化を 実現する。 IT の効果 • HPE 3 PAR StoreServ 7400(4コント ローラー機) を採用し高性能・高信頼かつ 運用管理性に優れた400 TB のプライマ リー統合ストレージ環境を実現 • SSD と SAS を搭載し HPE 3PAR Adaptive Optimization(データ自動階層化機能)に よりパフォーマンス・容量・コストを最適化 • シンプロビジョニングを全面的に採用し、 従来環境で60 % 程度にとどまっていた容 量効率を大幅に向上させるとともに物理 容量への先行投資を抑制 • NetApp 8060 A(NAS ヘッド )と HPE 3 PAR StoreServ 7400 / 7200を組 み 合わせた NAS 環境を構築 豊田自動織機が、仮想サーバー環 チャレンジ ビジネスの効果 • 仮想サーバー環境の柔軟性とスピード感 に適応しビジネス要求にタイムリーに応 える仮想化基盤を実現 盤を構築した。プライマリーストレー • 運用管理の内製化により予測困難だった メンテナンスコストを大幅に削減 • 旧環境で10 ラックを占めていたスペース を3 ラック未満に削減するとともに消費電 力量も大幅に削減 • クラウド基盤への対応を含め5年先までを 見通したインフラ整備への布石に 境を重視した統合的なストレージ基 ジ とし て HPE 3 PAR StoreServ 7400を採用し、3系統の従来型ス トレージにより運用されてきた環 境 を 統合。NetApp 8060 A(NAS ヘッド : FlexArray)と HPE 3 PAR 仮想サーバー環境の拡大により ストレージの課題が顕在化 豊田自動織機の歴史は1926 年まで遡る。自動 織機の製造・販売からスタートし、繊維機械、自 動車、産業車両、エレクトロニクス、物流ソリュー ションまで多様な事業をグローバルに展開。 「ト ヨタ L&F」 (ロジスティクス & フォークリフト)の ブランドで知られるフォークリフト事業は、世界・ 国内ともにトップシェアを誇る。トヨタ自動車の 源流企業でもある。 StoreServ 7400 / 7200を組み合 「さらなるビジネス成長、バリューチェーン拡大、 わせ高性能な NAS 環境も構築した。グローバル化を掲げた『 2020年ビジョン』を全 社で推進しています。私たちのミッションは、全 SSD/SAS のデータ階層管理やシン 社戦略を支える IT 環境はどうあるべきか、ビジ プロビジョニングにより投資対効果 を高めるとともに、ストレージ運用の 内製化も実現。2020年を見通した 成長戦略を支え、クラウド基盤にも ネス要求に応える IT 基盤をどう実現するかを考 え、具体化していくことにあります」と情報シス テム部 システム企画第一室 第1グループ グルー プ長の青木健二氏は話す。 豊田自動織機では、メインフレームと UNIX シ ステム、x 86 サーバーが混在する業務システム 対応する次世代 インフラへの布 を長年にわたり利用してきたが、2010年から導 石となるストレージ環境の実現である。入を始めた仮想サーバー環境がストレージシス テムに様々な課題を顕在化させたという。 IT Case study 株式会社 豊田自動織機 業界 Page 2 製造 “クラウドのテクノロジーを利用した運用の自動化に注目しています。 2020年を見据えた成長戦略を支える IT 環境として、 また、その先のハイブリッドクラウド環境への布石としても HPE 3 PAR StoreServ がクラウド基盤に対応していることは重要なことです” ー株式会社 豊田自動織機 情報システム部 システム企画第一室 第1グループ グループ長 青木 健二 氏 「従来は、物理サーバーを調達してユーザー環境 を用意するまで数カ月を要していましたが、仮想 サーバー環境ではこれが数日に短縮されました。 サーバー仮想化の最大のメリットはこの圧倒的 な迅速性です。しかし、ストレージ側に物理設計 や手作業が残っており、サーバー側のスピード感 に対応できなくなってきたのです」 (青木氏) 株式会社 豊田自動織機 情報システム部 システム企画第一室 第1グループ グループ長 青木 健二 氏 株式会社 豊田自動織機 情報システム部 システム企画第一室 第 1 グループ 久保田 祐輔 氏 豊田ハイシステム株式会社 IT インフラ部 IT インフラ 2 課 1 グループ 舟橋 拓郎 氏 ソリューション HPE 3 PAR StoreServ 7400を採用し 統合ストレージ基盤を構築 青木氏、久保田氏に、IT 子会社である豊田ハイ システム IT インフラ部の舟橋拓郎氏を加えた プロジェクトチームは、ストレージ環境の刷新に 際して次のように基本方針を定めた。 豊田自動織機では、従来型の物理ストレージシ ステムを3 系統運用してきた。サーバー側はお ①3系統ある既存ストレージシステムを一本化し、 よそ 450 VM の仮想マシンを稼働させており、 高性能かつ高信頼な統合ストレージ基盤を構築 する 今後さらに増加することも明らかだった。 「さらに大きな問題は、同一ブランドのストレー ジシステムでありながら管理性がまるで違って いたこと、運用管理のほぼ全てをストレージベン ダーに依存しなければならなかったことでした。 サポートを依頼するたびにコストが発生するだ けでなく、いつどれだけサポートが必要になるか 予測できないため予算化が難しいという問題も ありました」 (青木氏) ②仮想サーバー環境との親和性を重視し、仮想 化のメリットを最大限享受できるストレージ製品 を選定する ③自社運用を支援する機能を備えたストレージ 製品を選定し、運用の内製化を進める 「ひとつ大きな決断だったのは、接続可能なスト レージが極めて限られるメインフレームを切り離 し、オープン系サーバーに特化したことです。こ れにより選択の幅が大きく広がりました」 (青木氏) 「一度割り当てたボリュームは事実上拡張するこ とができず、数年間の運用を見通して余裕を持っ CTC が提案した HPE 3PAR StoreServ ストレー た容量を確保しておかなければなりませんでし ジは、プロジェクトが示した要件に見事に合致す た。その結果、容量効率は60 % 程度にもかかわ るものだった。 らずシステムによっては容量不足が発生すると いう状況も起こっていました」と情報システム部 「およそ 450 VM の仮想サーバーに加え、デー システム企画第一室 第1グループの久保田祐輔 タベース等の物理サーバーも接続するプライマ 氏は話す。 リーの統合ブロックストレージ環境です。私た ちは、ハイエンド製品に匹敵する HPE 3 PAR 仮想サーバー環境とのミスマッチ、運用管理を StoreServ 7400の信頼性と、予期しない障害 ストレージベンダーに依存せざるをえないこと に対してもサービスを継続できる可用性、様々 による高コスト、容量拡張が困難なことによるム なワークロードが混在しても高い性能を維持で ダ ―従来環境でのすべての問題を解決する きる能力を評価しました」 (久保田氏) ために、青木氏らが選択したのは「HPE 3 PAR StoreServ 7400」だった。クラウド事業者の HPE 3 PAR StoreServ 7400は、ミッドレンジ サ ービス基盤、企業の統合的な仮想化基盤に 製品でありながら4つのコントローラーをメッシュ おいて、世界中で大きな支持を獲得しているス 状に接続して高い性能と耐障害性を実現してい トレージ製品 だ。提案した の は、HPE 3 PAR る。コントローラーすべてを Active で稼働させ、 StoreServ 導入における豊富な経験を持ち、自 障害発生時にはコントローラー間でフェイルオー 営保守のサービス体制を整えている伊藤忠テク バーを実行。縮退時でもサービスへの影響を最 ノソリューションズ (CTC) である。 小化できる。 Case study 株式会社 豊田自動織機 業界 Page 3 製造 仮想サーバー環境(約450VM)/物理サーバー 総合ストレージ基盤 NAS サービス用 NetApp 8060A (NASヘッド: FlexArray)2コントローラー スナップミラー リモート コピー プライマリーストレージ ストレージサービス用 HPE 3PAR StoreServ 7400 HPE 3PAR StoreServ 7200 4コントローラー SSD / SAS(計298TB) 2コントローラー SAS / SATA(計 106TB) バックアップ アプライアンス 遠隔地 バックアップ アプライアンス 「実際に運用してみて、HPE 3 PAR StoreServ 速かつ自動的なプロビジョニングや、容量効率 の『ディスクをきれいに使い切る能力』には驚か を高める実用的な機能が高く評価されている。 されました。システムに搭載するディスク全体 に自動的にデータを分散配置してくれますので、 「HPE 3 PAR StoreServ は、接続するサーバー 特定の領域に負荷が集中することがなく常に高 の台数やボリュームサイズなどを事前に定義す い性能を維持することができます」と舟橋氏は る必要はなく、プロビジョニングを2∼3 のパラ メーター設定により数分で完了できます。スピー 話す。 ド感は劇的に変わりました。また、ストレージ運 システムワイドストライピングと呼ばれるこの機 用の内製化というテーマに対しては、仮想ストレー 能をはじめ、HPE 3 PAR StoreServ が備える ジプールの実用性が高いことに加え、日々の運 様々な機能は、コントローラーの CPU とは別に 用負荷を軽減できること、稼働状況を監視でき 用意された「第 4 世代 HPE 3 PAR ASIC」によ ることが重要ですが、HPE 3 PAR StoreServ はこの条件を全て満たしていました」 (舟橋氏) り高速にハードウェア処理される。 「HPE 3 PAR StoreServ 7400 に は 高 速 な SSD と高信頼な SAS HDD を搭載し、パフォー マンスと容量・コストの最適バランスを図ります。 I/O の多いデータを SSD に自動配置して高負荷 の処理を行い、それ以外のデータを SAS に移動 させる『データ階層管理機能』がこれを可能にし ました」 (舟橋氏) 日常 的 な ストレ ー ジ 運 用 に 関し て は、HPE 3 PAR StoreServ では先に紹介したデータの 動的な最適配置を含めほぼ自動化されている。 また、システムの稼働監視も単一のコンソール から統合的に行える。 「実際、ブラックボックスだった従来の環境とは大 きく変わりました。システムのリソースやパフォー マンス状況が一目瞭然になり、日常的な運用の 80 ∼ 90 % は内製化できる見込みです。また、 容量の増設もムダなく計画的に行えるようにな るでしょう」 (舟橋氏) この「HPE 3 PAR Adaptive Optimization」 を実行するのも HPE 3 PAR ASIC である。メ インの CPU に負荷をかけないので、ストレージ 本来の I/O 性能に影響を及ぼすことはない。ソフ トウェアによって機能を実装するストレージ製品 豊田自動織機では、1年に20TB のペースでデー と HPE 3 PAR StoreServ の大きな違いだ。 タ量が増加していたという。容量拡張を柔軟に 行えなかった従来のストレージ環境では、数年後 優れた自律運用性により運用管理を内製化 サーバー仮想化による「迅速性」というメリット を見通した容量を確保しておき、足りなくなった (上位機種への入れ をシステム全体で享受するには、ストレージ環 場合は筐体のアップグレード で対応するしかなかった。 境のプロビジョニングや容量変更をスピーディ 替え) かつ柔軟に行えることが必須だ。HPE 3 PAR StoreServ は「仮想ストレージプール」をいち早 「HPE 3 PAR StoreServ はスケー ルアウトに く実用レベ ルで使用可能にした製品であり、高 よる柔軟な対応が可能で、ディスクやコントロー Case study 株式会社 豊田自動織機 業界 製造 ソリューション概略 導入ハードウェア • • • • HPE 3PAR StoreServ 7400 HPE 3PAR StoreServ 7200 NetApp 8060A HPE BladeSystem “NetApp 8060 A(NAS ヘッド )と HPE 3 PAR StoreServ 7400 / 7200による NAS 環境に、データベースのバックアップ、メールやログ 等を管理する領域を確保しました。信頼性が高く、かつ使い勝手の良い NAS 環境を実現できました” 豊田ハイシステム株式会社 ソリューションパートナー IT インフラ部 IT インフラ2課 1グループ 舟橋 拓郎 氏 ラーの増設もオンラインで行えます。必要なと ストレージサービスに HPE 3 PAR StoreServ きに容量を拡張できるため計画的な増強が可能 (RAID 6 で 冗 長 化 )を 採 用 し、NAS 環 境 を になりました。さらに、シンプロビジョニングを NetApp 製品で実装(RAID 0で高速化)するこ 利用することで、事前に大きな容量を確保してお の仕組みは、それぞれの製品機能のメリットを引 く必要がなくなり先行投資も抑えられます」 ( 舟 き出すことが可能だ。もちろん、HPE が公式に 橋氏) サポートしている構成である。 統合ストレージ基盤の構築と機種選定にあたっ て、プロジェクトは「シンプロビジョニング」を 全面的に利用することを想定していたという。 HPE 3PAR StoreServ は、シンプロビジョニン グ(容量予約)やシンパーティステンス (容量返 却)などの革新的な機能を2000 年代前半に実 現。10余年を経て他の追随を許さない水準にま で実効性能を高めてきた。 新しい統合ストレージ基盤は、2015年6月より本 番運用を開始している。12月の完全移行をめざ してデータ移行作業を進行中だ。現時点での成 果を、久保田氏は次のように話す。 ベネフィット 最後に青木氏が次のように語って締めくくった。 「ストレージ環境が HPE 3 PAR StoreServ に 統合されたことで、仮想サーバー環境のスピー ド感に適応し、ビジネス要求にタイムリーに応え る仮想化基盤が実現されました。運用管理の内 「高度なストレージ機能を使いながら、パフォー 製化がさらに進めば、保守コストを大きく削減で マンスや信頼性を損なわない。そうした HPE きるはずです。また、旧環境で10 ラックを占めて 3 PAR StoreServ の基礎的な能力の高さを評 いたスペースが、3 ラック未満に削減される見込 価しました」 (青木氏) みです。消費電力量も大幅に削減されるでしょう」 NetApp と HPE 3 PAR StoreServ 7400 / 「クラウドのテクノロジーを利用した運用の自動 7200で NAS 環境を構築 化に注目しています。2020 年を見据えた成長 統合ストレージ基盤には、NetApp 製 NAS ヘッ 戦略を支える IT 環境として、また、その先のハ ド を 備 え た HPE 3 PAR StoreServ 7400 イブリッドクラウド環境への布石としても HPE / 7200 も 同時 に 導入 さ れ た。そして、HPE 3 PAR StoreServ がクラウド基盤に対応してい 3 PAR StoreServ 7400 の筐体内でスナップ ることは重要なことです。現在、日米欧の3極体 ショットを取得、HPE 3 PAR StoreServ 7200 制でグローバルな IT 環境を構築・運用していま にリモートコピーし、バックアップアプライアン スの重複排除機能を利用して DR サイトでデー タを保護する仕組みを整えた。 「NetApp すが、日本発で世界標準のサービス基盤を確立 したいと考えています」 詳しい情報 8060 A(NAS ヘッド)と HPE 3 PAR HPE 3 PAR StoreServ についてはこちら StoreServ 7400 / 7200による NAS 環境に、 hpe.com/jp/ 3 PAR データベースのバックアップ、メールやログ等を 管理する領域を確保しました。信頼性が高く、か つ使い勝手の良い NAS 環境を実現できました」 (舟橋氏) Sign up for updates 記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。Intel、インテル、Intel ロゴ、Itanium、Itanium Inside、 Xeon、Xeon Inside は、アメリカ合衆国およびその他の国における Intel Corporation の商標です。記載事項は2015年10月現在 のものです。本カタログに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。 予めご了承下さい。 © Copyright 2016 Hewlett Packard Enterprise Development LP 日本ヒューレット・パッカード株式会社 〒136 - 8711 東京都江東区大島2丁目2番1号 4 AA 6 -2885 JPN CST 13680 - 01 2016年11月
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