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別紙
諮問第535号~第536号
答
1
申
審査会の結論
「苦情申出に関する事実調査結果について」ほか1件を一部開示とした決定は、妥当
である。
2
審査請求の内容
(1)審査請求の趣旨
本件審査請求の趣旨は、東京都個人情報の保護に関する条例(平成2年東京都条例
第113号。以下「条例」という。)に基づき、審査請求人が行った「私が申し出た苦
情(平成27年10月○日、広報課に申し出たもの)について、○○警察署が事実調査し
た文書」及び「平成27年12月○日に私が広報課に申し出た苦情について事実調査した
文書」の2件の開示請求に対し、警視総監が平成27年11月25日付け及び平成28年1月
8日付けで行った一部開示決定について、それぞれその取消しを求めるというもので
ある。
(2)審査請求の理由
審査請求書における審査請求人の主張を要約すると、以下のとおりである。
一部開示決定で開示された文書に記載されている文章の大半が、事実とは全く異な
るでたらめな内容の事ばかりが書かれていたため、もっと多くの書類偽造があると判
断し、もっと多くの情報が知りたくて、警察職員の氏名、印影及び年齢を除いた非開
示部分の開示を望みます。
ウソばかりの内容をもっと良く知りたいです。
3
審査請求書に対する実施機関の説明要旨
理由説明書及び口頭による説明における実施機関の主張を要約すると、以下のとおり
- 1 -
である。
実施機関が一部開示決定をした保有個人情報のうち、審査請求人が開示を求めている
非開示部分には、警察職員が行った職務質問の着眼点や手法等に関する情報が記載され
ている。
これらの情報は、開示することにより、犯人の検挙及び犯罪の未然防止を目的として
行う職務質問の着眼点や手法等が明らかとなり、その結果、これらの活動が阻害され、
若しくは適正に行われなくなるなど犯罪の予防その他の公共の安全と秩序の維持に支障
を及ぼすおそれがあると認められるため、条例16条4号に該当する。
また、開示することにより、職務質問をはじめとする犯罪の予防活動等に係る事務に
関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、
若しくはその発見を困難にするおそれがあると認められるため、条例16条6号にも該当
する。
4
審査会の判断
(1)審議の経過
審査会は、本件審査請求について、以下のように審議した。
年
月
日
審
議
経
過
平成28年
2月
1日
諮問(諮問第535号)
平成28年
3月22日
諮問(諮問第536号)
平成28年
4月28日
新規概要説明(第102回第三部会)
平成28年
7月26日
実施機関から理由説明書収受
(諮問第535号~第536号)
平成28年
7月29日
実施機関から説明聴取(第105回第三部会)
平成28年
9月16日
審議(第106回第三部会)
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(2)審査会の判断
審査会は、審査請求の対象となった保有個人情報並びに実施機関及び審査請求人の
主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。
ア
審議の併合について
諮問第535号及び第536号については、審査請求人が同一人であること及び
審査請求の趣旨が同様であることから、審査会は、これらを併合して審議すること
とした。
イ
苦情の処理手続について
実施機関における苦情の処理手続については、「広聴事案の処理手続に関する規
程」(平成13年東京都公安委員会規程第3号)及び「広聴事案の処理手続に関する
規程の運用について」(平成13年5月31日通達甲(副監.総.広.聴1)第16号)
で定められており、警察宛ての苦情の申出があった場合、取扱所属長は、担当幹部
を指揮して事実関係等を調査し、その結果を広報課長及び警視総監に報告するとと
もに、文書その他適当な方法により申出者に通知することとしている。
ウ
本件対象保有個人情報及び本件非開示情報について
本件審査請求の対象となった保有個人情報は、審査請求人が行った「私が申し出
た苦情(平成27年10月○日、広報課に申し出たもの)について、○○警察署が事実
調査した文書」及び「平成27年12月○日に私が広報課に申し出た苦情について事実
調査した文書」の2件の開示請求に対し、実施機関が審査請求人の保有個人情報で
あると特定した「苦情申出に関する事実調査結果について(○○警察署、平成27年
10月○日付け)」
(以下「本件対象保有個人情報1」という。)及び「苦情申出に関す
る事実調査結果について(○○警察署、平成27年12月○日付け)」(以下「本件対象
保有個人情報2」という。)である。
本件対象保有個人情報1及び2は、審査請求人が○○警察署の警察職員から受け
た職務質問について苦情申出を行った際、苦情処理手続の過程において、同警察署
の地域課長代理が事実調査を行い、その結果を同警察署長に報告するために作成し
た文書であり、苦情の原因となった職務質問の取扱警察官や取扱状況に関する内容
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が記載されている。
実施機関は、本件対象保有個人情報1について、警察職員の氏名及び印影は条例
16条2号及び4号に、警察職員の年齢は条例16条2号に、「3
取扱状況(2)取
扱状況」の非開示部分(警察職員の氏名を除く。)(以下「本件非開示情報1」とい
う。)は条例16条4号及び6号に該当するとして、当該部分をそれぞれ非開示とする
一部開示決定を行った。
また、実施機関は、本件対象保有個人情報2について、警察職員の氏名及び印影
は条例16条2号及び4号に、警察職員の年齢は条例16条2号に、「3
取扱事実等
(2)取扱状況ア」の非開示部分(以下「本件非開示情報2」という。)は条例16
条4号及び6号に該当するとして、当該部分をそれぞれ非開示とする一部開示決定
を行った。
審査請求人は、審査請求書において、本件非開示情報1及び2について開示を求
めていることから、審査会は、本件非開示情報1及び2の条例16条4号及び6号該
当性についてのみ判断する。
エ
条例の定めについて
条例16条4号は、
「開示することにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、
刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関
が認めることにつき相当の理由がある情報」を非開示情報として規定している。
条例16条6号は、「都の機関又は国、独立行政法人等、他の地方公共団体若しく
は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、開示することによ
り、…当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼす
おそれがあるもの」を非開示情報と規定している。
オ
本件非開示情報1及び2の非開示妥当性について
審査会が本件対象保有個人情報1及び2について見分したところ、本件非開示情
報1及び2には、職務質問の着眼点やその手法、職務質問によって得られた警察活
動の結果等が記載されており、これらの情報を開示することにより、犯罪の未然防
止等を目的とする職務質問の着眼点やその手法等が明らかとなり、その結果、犯罪
を犯した者や犯罪を企図する者等が対抗措置を執るなど、犯罪予防や検挙等の警察
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活動を阻害するおそれがあると認められる。
したがって、本件非開示情報1及び2は、条例16条4号に該当し、同条6号の該
当性を判断するまでもなく、非開示が妥当である。
よって、「1
審査会の結論」のとおり判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
久保内
卓亞、鴨木
房子、木村
光江、寺田
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麻佑