情 熱 を 注 ぐ 農 家 の ワ イ ン

ワイン
多田農園
取材・文/森由香 編集/小向香 撮影/細野美智恵 デザイン/佐孝優
情熱を注ぐ
農 家 のワ イ ン
ス﹂を 思い出 す 方 も 多いでしょう 。三
農園。その名前から、﹁にんじんジュー
1 1 5 年にわたり 農 業 を 営 む 多 田
富 良 野 岳 を 望 む 上 富 良 野 町で 、
マイナス ℃にもなる寒暖差が特徴。
上富良野は、夏は気温が高く、冬は
すます意欲が高まったそうです。
場のワイナリーを訪問したことで、
ま
のブルゴーニュへ行 く 機 会があり 、本
し げお
転 換 。農 薬 を 抑 えた 独 自 の 栽 培 方
タマネギからにんじんへ中 心 作 物 を
温 性のある石が多い場 所にぶどう 畑
土壌のミネラルが豊富。多田さんは保
また、富 良 野 岳から流れる伏 流 水で
* *
と評価され、空知のワイナリーに醸造
収 穫したぶどうは﹁かなり良い出 来 ﹂
培 方 法 を 模 索 。栽 培 開 始から4 年 、
多 田 さんが 、 年 前 から 情 熱 を
も知られる農家です。
法でにんじんを 育て、ジュースやピク
代 目の多田繁 夫さんは、約
た だ
年 前に
上富良野で三代続く農家が、
ピ ノ・ノ ワ ー ル と 出 合 う
上富良野町
「毎年苦労は多い
が、つくりあげるプ
ロセスが楽しい」
と
語る多田繁夫さん
をつくり、気 候 と 土 壌 を 生かした栽
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ルスに加工、6 次 化の先 駆 者 として
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の栽 培です 。空 知のワイナリーから
もって続けているのがワイン用ぶどう
農園のワイン﹂
が誕生しました。
を 委 託 。2 0 1 1 年 秋 、
ついに﹁ 多田
の提 案で、赤ワインの高 級 品 種ピノ・
ノワールの苗 木を7 0 0 本 植えたの
が始まり。
﹁ 知 識も自 信もなく、
ゼロからのス
タート。農家の経験を駆使し、初めて
収 穫できた時の喜びが大きく 、同 時
した﹂。
栽 培 を 始めて 間 も な く 、
フランス
富良野岳の天然水を汲み上げ飲用水に
利用。地層の豊かさを実感できる
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10
にワイン造りの魅 力に引き込まれま
ワイン × 多田農園
1 0 0%農 園 産 を 造 り たい
最 北のワ イ ナ リ ー 誕 生
多田農 園は全 体で6ヘクタールと
大きな農園ではありませんが、園内に
ファームカフェ、プチペンション、
ワイン
ショップなどをつくり、農 村の暮らし
や交流の場を提供しています。ぶどう
栽 培を始めてからは、毎 年﹁ワインま
つり﹂を開催。多くの人がぶどう畑を
訪れ、
ワインと食 を 楽しむ様 子 を 見
て、農園内で醸造まで手がけるワイナ
リーの開業を決意したそうです。
と はい え 、個 人 の 農 家 がワ イ ナ
リーをつくるには、資 金 、技 術 、醸 造
量と課 題は山 積み。時 間 をかけてひ
とつひとつクリアしながら 、
いよいよ
今 年の秋 、日 本 最 北のワイナリーが
開業します。
﹁にんじんジュースを作った時、小さ
な 農 家が大 手メーカーに対 抗 するに
は、原料のにんじんが決め手になると
思いました。ワイン造りも同じ。多田
ワイナリーのワインは、原 料のぶどう
と野生酵母にこだわっていきたい﹂。
野生酵母とは、
ぶどうの果皮につい
的なワインが味わえます。
イナリーから届く日が楽しみです。
母から造られる農家ワイン。最北のワ
た醸 造 法 。その土 地ならではの個 性
新たに植えた苗木。ワイン用ぶどうの収穫まで、
ここから3年の
歳月がかかる
多田ワイナリーに生まれ変わる倉庫。屋根の換気口はタマネギ
倉庫の名残り
上 富 良 野の気 候 、土 壌 、そして酵
十勝岳連峰を望む多田農園
のぶどう畑。最北のワイナリー
のワイン造りが始まる
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ている酵 母と空 気 中の酵 母を生かし
ワイン × 多田農園
人のワイナリー・オーナーが多田農 園
北 海 道を旅 行 中だというアメリカ
来がますます楽しみになりそうです。
ぶどうの成長を見守ると、
ワインの出
プレゼントされます。オーナーになって
夏 の 日 差 し も 、冬 の 風 雪 も
凝縮されたぶど う をワインに
に立ち寄り、
ピノ・ノワールで造ったワ
インを 試 飲 。何 度 も﹁ G O O D ﹂と
頷きながら、﹁こんなに寒い場 所でピ
ノ・ノワールができるのか﹂と驚かれた
そうです。
現 在 、多田農 園で栽 培 中のワイン
用ぶどうは、ピノ・ノワール、シャルド
ネ 、メルロー 、バッカス の 4 種 類 。
2015年産ぶどうは空知のワイナ
リーで 醸 造され、それぞれに果 実 味
豊かな特 徴 的なワインに仕 上 げられ
また多 田 農 園では、
ワインの樹の
オーナーになる﹁ワイン畑の会 ﹂の会
員を募 集 中 。会 費はぶどうを育てる
ために使われ、会員には毎年ワインが
上富良野町
東 中 公 園の中にある﹁ カント
富良野の風景や生産者の思いを
す。メニューは、
ひとつのお皿に上
は、赤ワインに漬けたゴボウを生
リーキッチン シットココ﹂。お店の
広がっています。多田農園を含め
予定。農村に流れるゆっくりした
かした﹁ ゴボウのパスタ﹂が登 場
彩に提供。秋冬の季節メニューで
実 を 食 材 として 提 供 。時には、
時間とともにお楽しみください。
た近 隣の農 家が、旬の野 菜や果
のせた
﹁かみふらのプレート﹂を多
ベリーやスパイスの
香りを持ち、甘 味 、
酸味、ボディが軽や
かに調和。なめらか
な口あたりの後に、
果実の風味が広が
る赤ワイン。
前 には 湧 き 水 を 貯 めた 池 があ
柑橘や白い花の香
りを持ち、甘 味と酸
味が調和したオイリ
ーな口あたり。豊か
なボリュームも感じ
られる辛 口 の 白ワ
イン。
り、
まわりはのどかな田園風景が
カ ン ト リ ー キッチ ン シット ココ
お皿に広がる田園風景を、
ワインとともに眺めたい
上富良野町東9線北18号 TEL 0167・45・5935
営業時間/9:00∼17:00
(来店前にご連絡ください)
﹁ 珍 しい野 菜 がで き たから 使っ
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※多田農園のワインは、
コープさっぽろ旭川地区限定の取扱いとなります。
空知管内 上富良野町。北海道のほぼ中央に位置し、秋は十勝岳のダイナミックな紅葉が楽しめます。
こんな
まち
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多田農園ワインショップ
ワイン造りのきっかけとなったピノ・ノワールは、栽
培の難しい品種としても有名
2015年度産
ピノ・ノワール
1.「大地の恵みBUTA-DON」
は、前菜・デザート・コーヒーまたは紅茶付
き
(1,300円税込)
。十勝岳連峰をイメージしたごはんに上富良野ポー
クをのせ、
まわりを旬の野菜で彩る目にもおいしいプレートです
2.「上富良野の野菜は甘みがちがいます」
とスタッフの堀りつ子さん
「イタリアの村にあるバールのイメージ」
で手
づくりしたという小さなワインショップ
て ﹂と 持ってきて く れるそ うで
1
上富良野町東7線北18号 TEL 0167・45・6627
営業時間/11:00∼16:00
(L.O.15:30)
休み/火曜
2015年度産
シャルドネ
ています。
ワイン × 多田農園