はじめに - Shure

Shure DIS ケーブル配線のベストプラクティス
はじめに
Shure DIS カンファレンスシステムは、マイクロホンユニット、通訳用ユニット、およびその他のカンファレンス
アクセサリーの独立ネットワーク上で動作します。DCS-LAN(DCS 6000 ローカル・エリア・ネットワーク)と呼ば
れるこのネットワークは、音声、電力、および制御データを同じケーブル(シールド付き Cat5e ケーブルまたはそ
れ以上)でコンポーネントに伝送します。
重要: シールド付きケーブルはシステム運用に不可欠です。Shure EC-6001 DCS-LAN 推奨ケーブル以外のケーブ
ルを使用する場合は、このガイドに記載のケーブル要件に適合していることを確認してください。
セントラルユニット
マイクロホンユニット
音声、電力、および制御データ
DIS コンポーネント専用ネットワーク
DCS-LAN は、シールド付き Cat5e ケーブルを使用して最大数千台までのマイクロホンユニットその他のコンポーネントに
信号を伝送します。
オーディオネットワークにおける正しいケーブルの重要性
デジタル・オーディオ・ネットワークの場合、ケーブルの整合性は標準的なデータ・ネットワークの場合よりもさら
に重要です。インターネットの閲覧中、ネットワークに問題が発生するとページの応答が少し遅れたり、ページの
再読み込みが必要になったりすることがあります。それに対し、オーディオネットワークでは許容できる遅延ウィ
ンドウがまったくないため、音声をリアルタイムに伝送しないと音質に影響が出ます。
Shure DIS カンファレンス機器は、シールド付き Cat5e、Cat6、または Cat7 ケーブルを使用することでシグナルの
整合性を実現しています。すなわち DCS-LAN 信号の伝送経路のシールドは、経路内の終端間で必ず連続していな
ければなりません。
シールドコネクター
フォイルシールド
シールド付き Cat5e
シールドは運用に不可欠
1
プランニング
DCS-LAN ネットワークには、コンポーネント間のパッチケーブルと機器室からの長いソースケーブルという 2 つ
のセクションがあります。
コンポーネント間のパッチケーブル
CU ラックからの
長いソースケーブル
ソースケーブルはイベントスペース内のパッチパネルで終端処理し、
コンポーネントは短いジャンパーケーブルで接続します。
CU ラックからのソースケーブル
機器室内の CU ラックとイベントスペース内のコンポーネントは、ソース(フィード)ケーブルで接続します。多
くの場合、このケーブルは長く、建物のインフラ(壁、天井、または床)に配線されます。CU とラック・パッチ・
パネルは、短いジャンパーケーブルで接続します。
ソースケーブルは、常にパッチパネルにおいてシールド付きメスコネクターで終端処理します。このケーブルはイ
ンフラに合わせて作成できますが、このガイドに記載のケーブル要件を満たしていなければなりません。

CU ラックからイベントスペース(パッチパネル間)の接続

メス ‐ メスケーブル

カスタム・ソース・ケーブルを作成する場合はこのガイドに従ってください。
コンポーネント間のパッチケーブル
コンポーネント間およびパッチパネルからの接続には短いパッチケーブルを使用します。Shure では、これらの接
続用に 0.5 m~100 m の各種長さの DCS-LAN 推奨ケーブルを用意しています。

コンポーネント間およびパッチパネルからの接続

オス ‐ オスケーブル

Shure EC 6001 DCS-LAN 推奨ケーブルを使用すると最も信頼性の高いセットアップが可能です。
2
Shure DCS-LAN 推奨ケーブル
Shure では、Shure カンファレンス&ディスカッション機器用に全数検査済みの DCS-LAN 推奨ケーブル「EC
6001」を用意しています。EC 6001 は高品質のシールド付き Cat5e ケーブルで、シールドコネクター(オス ‐
オス)を採用し、0.5 m~100 m の各種長さがあります。
パッチケーブル(オス ‐ オス)
0.5 m シールド付き Cat5e U/FTP ケーブル(シールド RJ45、黒)
EC 6001-0.5
1 m シールド付き Cat5e U/FTP ケーブル(シールド RJ45、黒)
EC 6001-01
2 m シールド付き Cat5e U/FTP ケーブル(シールド RJ45、黒)
EC 6001-02
3 m シールド付き Cat5e U/FTP ケーブル(シールド RJ45、黒)
EC 6001-03
5 m シールド付き Cat5e U/FTP ケーブル(シールド RJ45、黒)
EC 6001-05
10 m シールド付き Cat5e U/FTP ケーブル(シールド RJ45、黒)
EC 6001-10
20 m シールド付き Cat5e U/FTP ケーブル(シールド RJ45、黒)
EC 6001-20
30 m シールド付き Cat5e U/FTP ケーブル(シールド RJ45、黒)
EC 6001-30
50 m シールド付き Cat5e U/FTP ケーブル(シールド RJ45、黒)
EC 6001-50
100 m シールド付き Cat5e U/FTP ケーブル(シールド RJ45、黒)
EC 6001-100
EC 6001 ケーブル仕様
3
規格
TIA/EIA-568-B CAT5e
カテゴリー
Cat5e
定格
350 MHz
シールド
F/UTP
コネクター
ゲージ
シールド RJ45
24 AWG
防火定格
CMG 定格(汎用)
遅延時間差
25 ns/100 m 未満、最大
反射減衰量
18.9 dB @ 100 MHz、最小
ケーブル要件および仕様
Shure DCS-LAN 推奨ケーブル以外のケーブルを使用して DIS コンポーネントを接続する場合、以下の仕様に適合
していなければなりません。
Cat5e ケーブル要件
タイプ
Cat5e ツイストペア(またはそれ以上)
シールド
F/UTP または U/FTP
コネクター
シールド RJ45
ゲージ
AWG 24
ケーブルの自作
設備施工業者は、CU ラックとイベントスペース内のパッチパネルを接続するケーブルを自作できます。CU は通
常、メインエリアから離れた場所にある IT ブースまたは機器室に置かれます。CU とラック・パッチ・パネルは短
いジャンパーケーブルで接続します。
最も確実に運用するには、ソースケーブルをイベントスペース内のパッチパネルに終端処理した上で、コンポーネ
ントの接続にはオスコネクターで終端処理された短いケーブルを使用します。
自作するケーブルは、メスコネクター(大抵はパッチパネルまたはアウトレットボックスに収納)で終端処理する
ソースケーブルだけにとどめることを強くお勧めします。メスコネクターへのケーブルの圧着は比較的簡単で、オ
スコネクターによる終端処理に比べてはるかに確実です。
ヒント:
パッチパネルとマイクロホンユニットの短い接続には、Shure EC 6001 DCS-LAN 推奨ケーブルを使用します。
ケーブルを自作する場合は、以下のガイドラインに従ってください。
導体(芯線)タイプ
CAT-5e、CAT-6、および CAT-7 ケーブルには、銅導体(芯線)が単線のものとより線のものがあります。パッチ
パネル(メスコネクター)に終端処理する敷設ケーブルには単線タイプのみが使用できます。
コネクター
ケーブルはシールド RJ45 メスコネクターで終端処理します。
シールド RJ45 メスコネクター
ピン番号(コネクター差込口側から見たとき)
4
ピンの結線
EIA/TIA 568-B 規格に基づく CAT-5e/CAT-6 ケーブルの結線方法:
ピン
1
機能
コネクター#1
コネクター#2
入力+
橙/白
橙/白
2
入力−
+48 V
橙
橙
3
緑/白
緑/白
4
0V
青
青
5
0V
青/白
青/白
6
+48 V
緑
緑
7
出力−
茶/白
茶/白
8
出力+
茶
茶
その他のカラーコードが使用されている場合、以下のとおりに 4 つのペアを接続します。
ペア 2:ピン 1 とピン 2
ペア 3:ピン 3 とピン 6
ペア 1:ピン 4 とピン 5
ペア 4:ピン 7 とピン 8
ペアの位相が正しくなければならないことに加え、Cat5e(EIA 568-B)に規定された結線仕様に従わなければなり
ません。
テスト
自作ケーブルはすべて配線前にテストしてください。最も正確な結果を得るには、Fluke DSX-5000 CableAnalyzer™
などのケーブル配線認証用アナライザーを使用します。
5
配線のベストプラクティス
最も確実に配線するには、以下のガイドラインに従ってください。
シールドの連続性
シールドは、DCS-LAN の経路全体にわたって連続していなければなりません。DIS コンポーネントに使用するす
べてのケーブルまたはパッチパネルにはシールド付き RJ45 コネクターが必要です。DIS コンポーネントはすべて
シールド付き RJ45 メスコネクターを装備しています。
偶発的な接地の防止(ガルバニック絶縁)
DCS-LAN 信号がパッチパネルのシャーシグラウンドに偶発的に接地しないようにする必要があります。DCS-LAN
はシールドを信号グラウンド基準として使用しており、経路内のどこでも他のグラウンドに接触してはなりません。
コネクター間を空ける
プラスチック製フレーム
パッチパネルでの接地の防止
接地の問題の防止方法:

プラスチックフレームのパッチパネル:RJ45 メスコネクターがパッチパネルのシャーシに接地するのを確実
に防止できます。

コネクター間を空ける:パッチパネルの各 RJ45 メスコネクター間に間隔を設けます。

シールドの連続性:経路内の各コンポーネントは正しくシールド配線されなければなりません。
備考: すべての DIS コンポーネントユニットのメスコネクターには、ガルバニック(物理的ひいては電気的)接続を防止する
ためにコネクターのシャーシとユニットのシャーシを絶縁するエアギャップが設けられています。
6
ケーブルの適切な保護
すべての信号伝送ケーブルと同様に、機器の設置にも注意を払う必要があります。
R = 4 × ケーブル径
ケーブル径
曲げに関するルール
ケーブルを鋭角に曲げてはなりません。イーサネットケーブルの曲げ半径はケーブル径の 4 倍までです。
締め付け
ケーブルを強く締め付けてはなりません。ケーブルを強く締め付けると正常に機能しないことがあります。
7
チェックリスト
DIS カンファレンス&ディスカッションシステムは、適切な機器とともに設置することで動作が確実となります。
システムの設置前またはトラブルシューティングの際は、以下のチェックリストを使用してください。
1.
ケーブルが最低要件を満たしているか。

Cat5e またはそれ以上の仕様

シールド付きケーブル ‐ FTP または STP タイプ

シールド付きコネクター
2.
シールドが DCS-LAN の終端間で連続しているか。
3.
自作ケーブルはパッチパネルのメスコネクターで終端処理されているか。
4.
DCS-LAN 信号がパッチパネルで接地していないか。
5.
8

プラスチック製フレーム

コネクター間を空ける
ケーブルが正しく敷設されているか。

ケーブルを曲げすぎない。

ケーブルを押しつぶさない。