2016 年 7~9 月期 GDP(一次速報)の結果から

2016 年 11 月 16 日
片岡剛士レポート
2016 年 7~9 月期 GDP(一次速報)の結果から
経済政策部 上席主任研究員 片岡 剛士
11 月 14 日に内閣府から 2016 年 7~9 月期 GDP(一次速報)が公表された。7~9 月期の実質 GDP 成長率(季節調
整済前期比)は+0.5%(年率+2.2%)、名目 GDP 成長率は+0.2%(年率+0.8%)となり、2014 年度以降続いていた、
名目成長率が実質成長率を上回る状態が再び逆転(名実逆転)している。さらに今回の公表に伴う改訂によって 2016 年
4~6 月期も名実逆転という結果になった。これらは GDP についての物価指数である GDP デフレーターの伸びがプラス
からマイナスへと再び転じたことを意味する。以下では 2016 年 7~9 月期 GDP(一次速報)の結果を検討していくことに
したい。
■成長率押し上げには輸出増・輸入減が寄与
先述のとおり、2016 年 7~9 月期の実質 GDP 成長率は前期比+0.5%、年率+2.2%となった。図表 1 は実質 GDP
成長率(前期比年率)と各項目の寄与度をまとめている。
図表 1 実質 GDP 成長率と各項目の寄与度
(前期比年率、寄与度、%)
2015
2016
1-3
4-6
7-9
10-12
1-3
4-6
7-9
10-12
1-3
4-6
7-9
実質GDP成長率
5.2
-7.8
-2.8
2.3
5.0
-1.3
1.6
-1.6
2.1
0.7
2.2
民間最終消費支出
5.2
-11.7
0.1
1.5
0.1
-1.5
1.2
-2.0
1.7
0.3
0.1
民間住宅
0.3
-1.5
-0.9
0.0
0.3
0.2
0.1
0.0
0.0
0.6
0.3
民間企業設備
2.6
-2.4
-0.2
0.0
1.8
-0.6
0.5
0.7
-0.4
-0.1
0.0
民間在庫品増加
-1.9
5.1
-2.5
-0.9
2.5
1.1
-0.2
-0.5
-0.5
0.3
-0.3
政府最終消費支出
-0.1
-0.2
0.3
0.2
0.2
0.4
0.2
0.5
0.7
-0.3
0.3
公的固定資本形成
-0.3
-0.8
0.3
0.2
-0.3
0.1
-0.2
-0.6
0.0
0.4
-0.1
公的在庫品増加
0.0
0.0
0.1
-0.2
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
輸出
3.5
0.3
1.1
2.3
1.3
-3.1
1.9
-0.7
0.1
-1.1
1.4
輸入
-4.2
3.3
-1.1
-0.9
-0.8
2.1
-2.0
1.0
0.5
0.5
0.4
(注)輸入は逆符号で作図している。(出所)内閣府「四半期別 GDP 速報(2016 年 7-9 月期・1 次速報)
2014
図表から明らかなのは、2016 年 7~9 月期の実質 GDP 成長率には輸出の拡大が最も大きく寄与しているということだ。
輸出の寄与度は年率換算の実質 GDP 成長率 2.2%に対して 1.4%、外需(輸出マイナス輸入)でみると 1.8%となる。つ
まり、実質 GDP 増加の 6 割以上が輸出の拡大、8 割強が外需の拡大によってもたらされたということである。残りの 2 割
弱が内需の拡大によって実質 GDP が増加したということだから、国内需要の低調な状況が続いているのは変わらない。
成長率の動きからイメージするほど、実際の動きは堅調とは言えない。なお輸入は 2015 年 10~12 月期以降、前期比で
減少を続けており、国内需要の低調な状況と整合的な動きである。
個別の項目をみると、輸出が大きく拡大したことが実質 GDP の拡大に影響した。輸出は財とサービスの輸出に分かれ
る。財輸出は前期比でみて+2.4%、サービス輸出は同-0.2%であるから、輸出の拡大は財輸出が拡大したためであ
る。
ご利用に際してのご留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。
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E-mail:[email protected]
1/8
図表 2 は日本銀行「実質輸出入の動向」、財務省「貿易統計」から実質輸出、名目輸出、さらに財別実質輸出額につき
2016 年 7~9 月期の動きをみている。名目輸出額は 7 月以降下げ止まっているが、四半期ベースでは下落が続いている。
一方で実質輸出額は緩やかに増加している。財別の動きをみると、通関輸出額に占めるウエイトが高い自動車関連は前
期比 3.5%増となり財輸出の拡大を牽引している。
図表 2 輸出額の推移
<名目輸出額・実質輸出額の推移>
<財別輸出額の動き(2016 年 7~9 月期)>
(2010年平均=100)
(%、前期比)
125
3.5
4
輸出額(名目輸出額)
120
115
輸出量(実質輸出額)
3
輸出量四半期平均値
2
1.7
110
1
105
100
0
95
-1
90
-2
80
-1.4
中間財
<19.8>
85
1234567891011 21234567891011 21234567891011 21234567891011 2123456789 (月)
12
13
14
15
16
0.5
0.4
自動車関連
<24.4>
情報関連
<10.6>
資本財・部品
<27.5>
その他
<17.7>
(注)<>内は2015年通関輸出額に占める各財のウエイト。
(出所)日本銀行「実質輸出入の動向」
(年)
(出所)財務省「貿易統計」、日本銀行「実質輸出入」
図表 3 は輸出の動きに先行する機械受注額(外需)の推移をみている。機械受注額(外需)は 2016 年に入り下落トレン
ドで推移し、6 か月後方移動平均値から判断する限り、ようやく 2016 年 6 月以降横ばい圏内で推移している状況である。
今後輸出が拡大基調を続けるのかどうかは不明である。
図表 3 機械受注額(外需)の推移
(2013年4月=100)
200
195
190
185
180
175
170
165
160
155
150
145
140
135
130
125
120
115
110
105
100
95
90
85
80
4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9
2013
2014
2015
2016
(注)破線は6カ月後方移動平均値
(出所)内閣府「機械受注統計」
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2/8
■下限で推移する民間消費
図表 1 からも明らかなとおり、2016 年 7~9 月期の実質 GDP 成長率(前期比年率)+2.2%に対して、内需の寄与度は
+0.4%と相変わらず弱々しい動きであった。
実質民間最終消費支出の寄与度は前期比年率+0.1%、前期比伸び率は実質で+0.1%、名目で-0.1%、前年比伸
び率は実質で+0.1%、名目で-0.9%となっており、名目・実質ともに鈍い動きを続けている。そして鈍い消費の動きは消
費税増税以降続いている。
図表 4 は内閣府「消費総合指数」から消費税率が 3%から 5%に上昇したタイミング(1997 年)と、消費税率が 5%から
8%に上昇したタイミング(2014 年)の前後の動きを比較している。消費税率が 3%から 5%に上昇したタイミングでは、確か
に駆け込み需要からの反動減が生じて、その後の消費は低迷が続いたものの、消費税増税が開始される一年前の値
(1996 年 4 月)を上回って推移した。2014 年 4 月以降の消費の動きをみると駆け込み需要からの反動減後の低迷は深刻
であり、消費税増税から 2 年以上が経過した 2016 年 9 月の段階の値は 98.2 と増税が開始される 1 年前の値(2013 年 4
月)すら上回らない状況である。2014 年 5 月から 2016 年 9 月までの消費水準の平均値は 98.3 であり、概ね消費税増税
前の消費水準から 2%弱下回る水準で推移している。消費税増税による物価上昇分(無税品目を除くと概ね 2%程度消
費物価指数を押し上げた)に見合う分だけ、家計は消費を減らしていると言えるのではないか。
図表 4 消費総合指数の比較
(1996年もしくは2013年4月=100)
108
106
104
102
101.0
100
98.2
98
96
4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9
1996/2013
1997/2014
(出所)内閣府「消費総合指数」
1998/2015
3%→5%
1999/2016
5%→8%
図表 5 の青線は家計最終消費支出の実績値、黒い点線は 2002 年 1~3 月期から 2012 年 10~12 月期のデータから
計算した傾向線(トレンド)、つまり消費税増税による駆け込み需要や反動減といった変動を除いた 2002 年から 2012 年ま
での家計最終消費支出の趨勢としての動きを示している。そして二つの赤い点線で囲まれた部分は、家計最終消費支出
のトレンドが統計的に成り立ちうる範囲(95%信頼区間)を示している。
アベノミクスが開始された 2013 年以降、家計消費支出の実績値はトレンドを示す青い点線から上振れる形で推移して、
2013 年 4~6 月期以降は赤い点線(95%信頼区間)の上限近辺で推移した。これは、2012 年までの家計最終消費の趨勢
が統計的に有意な形で上方に変化しつつあったことを示唆している。そして 2014 年 1~3 月期には一時的に上限を上回
った。だが消費税増税後には動きが一変し、今度はトレンドを示す黒い点線から実績値が下振れて推移して、2015 年 10
~12 月期に家計最終消費支出は下限を下回った。2016 年 1~3 月期以降は下限に張り付く形で推移しており、2016 年 7
~9 月期は再び下限を下回った。つまり、家計最終消費の現状は統計的にみて 2012 年までの消費の趨勢から下振れる
か否かの瀬戸際にあるということだ。
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3/8
図表 5 実質家計最終消費支出の推移(2003 年~2016 年)
330
(兆円)
2002年1-3月期~2012年10-12月期ま
でのデータから計算した家計消費のト
レンド(前期比平均伸び率0.2%)
320
310
駆込需要
家計最終消費支出(実績値)
300
290
280
東日本
大震災
リーマン
ショック
消費の底割れ
とトレンド下限の定着
270
95%信頼区間(赤破線部)
260
250
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(出所)内閣府「四半期別GDP速報(2016年7-9月期、1次速報)」
16
(年、四半期)
2016 年 7~9 月期の雇用者報酬の伸び率は、前期比で実質+0.7%、名目+0.6%、前年同期比で実質+3.0%、名目
+2.0%となった。名目・実質ともに拡大を続けているが、物価上昇率の低迷を受けて名実逆転の動きとなっている。
図表 6 は名目雇用者報酬(前年比)と完全失業率の関係をプロットしているが、完全失業率の改善が進むと名目雇用
者報酬の前年比は増加する。第二次安倍政権発足直後(2013 年 1~3 月期)の完全失業率は 4.2%、名目雇用者報酬前
年比は 0%であった。完全失業率が改善するにつれて名目雇用者報酬の伸びは上昇していき、第三次安倍政権発足時
図表 6 名目雇用者報酬と完全失業率の関係
12
(名目雇用者報酬:前年比上昇率:%)
1981年1~3月期~2016年7~9月期
名目雇用者報酬前年比= 19.044+0.572×(完全失業
率)^2-6.9857×(完全失業率)
R² = 0.79
10
8
6
失業率改善
名目雇用者報酬増
4
2
0
-2
16年7~9月期
-4
第3次安倍政権発足時
(14年10~12月期)
-6
第2次安倍政権発足直後
(13年1~3月期)
-8
1
2
3
4
5
6
(完全失業率:%)
(出所)総務省「労働力調査」、内閣府「四半期別 GDP 速報(2016 年 7-9 月期・1 次速報)
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4/8
(2014 年 10~12 月期)の完全失業率は 3.5%、名目雇用者報酬前年比は 1.8%まで高まった。これらは図中にある傾向
線にほぼ沿った動きである。
2016 年 7~9 月期の完全失業率は 3.0%であった。図中にある傾向線のパラメーターを用いて名目雇用者報酬前年比
を計算すると 3.2%となるが、この結果から考えると、2.0%の伸びという結果は物足りず、雇用者報酬増加の余地はある。
雇用環境の改善に見合う賃金増が達成できなかったのは、円高の進行に伴う企業マインドの悪化や足元の物価上昇率
の動きに合わせて名目賃金の伸びが抑制されている可能性が挙げられるだろう。
■堅調な推移を示す民間住宅投資、先行きは懸念
実質民間住宅投資の寄与度は前期比年率+0.3%、前期比伸び率は実質+2.3%、名目+2.4%、前年比伸び率は
実質+7.1%、名目+5.9%との結果になった。図表 7 は住宅投資の先行指標である着工新設住宅戸数の動きをみてい
る。図表中にある左上のグラフが着工新設住宅戸数全体の動きだが、日銀によるマイナス金利政策の影響もあってか、着
工新設住宅戸数は 7.2 万戸をやや上回る水準から 2016 年 5 月には 8.5 万戸まで拡大し、7 月以降はやや低下している。
以上の結果からは 2016 年 10~12 月期の住宅投資は弱含みで推移することが予想される。なお、着工新設住宅戸数の
低下に影響したのは持家と分譲住宅の戸数低下である。住宅投資が堅調に拡大するにはこれらが拡大することが必要だ
ろう。
図表 7 着工新設住宅戸数の推移
(万戸、季節調整値) 着工新設住宅戸数(①=②+③+④+給与住宅)
8.8
3.4
持家(②)
(万戸、季節調整値)
8.6
3.2
8.4
2013年月平均
2013年月平均
3.0
8.2
8.0
2.8
7.8
2.6
7.6
2.4
7.4
2.2
7.2
7.0
4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9
2013
2014
2015
2.0
4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9
2016
2013
貸家(③)
(万戸、季節調整値)
4.0
2014
(万戸、季節調整値)
2.7
2015
2016
分譲住宅(④)
3.8
2.5
3.6
2013年月平均
3.4
2013年月平均
2.3
3.2
3.0
2.1
2.8
1.9
2.6
2.4
1.7
2.2
2.0
4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9
2013
2014
2015
1.5
4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9
2016
2013
2014
2015
2016
(注)給与住宅は持家、貸家、分譲住宅と比べて戸数が少なく、着工新設住宅戸数全体の動きには大きく影響しないため割
愛した。
(出所)国土交通省「建設着工統計」
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5/8
■横ばいで推移する民間企業設備投資
実質民間企業設備投資の寄与度は年率+0.0%、前期比伸び率は実質+0.0%、名目-0.4%、前年比伸び率は実
質+0.3%、名目-1.3%となった。前期比での動きにはほぼ変更なしの状態だ。図表 8 は資本財出荷(除輸送機械)と実
質民間企業設備投資の動きをみているが、両者は概ね連動する形で推移している。図表 9 は機械受注統計の動きをみ
ているが、2016 年 7~9 月期の船舶・電力を除く民需は前期比 7.3%の増加となった。しかし図表 9 にあるとおり、6 か月
後方移動平均値でみたトレンドは横ばいであり、2015 年後半以降この傾向には大きな変化がない。鉱工業生産・出荷・
在庫・在庫率の動きをみても、生産・出荷は緩やかに拡大する一方で在庫額や在庫率は縮小傾向にあるものの、生産・
出荷が 2013 年の平均水準を上回り、かつ在庫・在庫率が 2013 年の平均水準を下回るにはまだしばらく時間がかかる模
様だ。以上からは今後もしばらく横ばい圏内の動きで推移する可能性が高いだろう。
図表 8 資本財出荷(除輸送機械)と実質民間企業設備投資の推移
(季調済年率、兆円)
(2010年=100)
80
140
78
130
資本財出荷(右軸)
76
120
74
72
110
70
100
68
66
90
64
実質民間企業設備投資
(左軸)
62
80
60
70
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(出所)内閣府「四半期別GDP速報(2016年7~9月期・1次速報)」、経済産業省「鉱工業生産」
図表 9 機械受注統計(船舶・電力除く民需)の推移
(2013年4月=100)
140
135
130
125
120
115
110
105
100
95
90
4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9
2013
2014
2015
2016
(注)赤い破線は6カ月後方移動平均値
(出所)内閣府「機械受注統計」
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6/8
■民間在庫品増加、政府消費支出、公的固定資本形成
実質民間在庫品増加の寄与度は年率-0.3%となった。前期比でみると実質寄与度は-0.1%、名目寄与度は-
0.1%であった。在庫残高の増加幅である実質民間在庫品増加が 2016 年 4~6 月期と比較して縮小したことがマイナス
寄与につながっている。形態別に民間在庫品増加の動きをみると、製品在庫は対前期比で拡大したものの、仕掛品在庫、
原材料在庫、流通在庫は対前期比で縮小している。
最後に公需の動向を確認しておこう。実質政府最終消費支出の寄与度は年率+0.3%、前期比伸び率は実質+0.4%、
名目+0.6%、前年比伸び率は実質+1.6%、名目+0.9%となった。実質公的固定資本形成の寄与度は年率-0.1%で
あった。前期比伸び率は実質-0.7%、名目-0.6%、前年比伸び率は実質-1.7%、名目-3.1%である。実質公的固
定資本形成(前期比)の動きをみると、2015 年 7~9 月期以降、2016 年 4~6 月期の+2.3%を除いて減少が続いている。
弱々しい動きが続く国内需要の下支えにはなっていない状況だ。
■再びマイナスに突入した GDP デフレーター
図表 10 は GDP デフレーター前年比を折れ線グラフで、各項目のデフレーターの寄与度を棒グラフで示している。図表
からは、輸入デフレーターの低下が GDP デフレーターの押し上げ要因として作用している一方で、輸出デフレーターの
低下が進み、かつ民間最終消費支出や民間企業設備投資のデフレーターの低下も GDP デフレーター前年比の低下に
寄与していることが読み取れる。つまり、これまでみた国内需要の低迷が物価下落につながっているということだ。
図表 10
4.0
GDP デフレーター前年比と各項目の寄与度
(前年比、寄与度、%)
3.2
3.0
2.2
2.0
2.0
2.2
輸入(逆符号)
1.4
1.7
1.5
1.0
輸出
公的在庫品増加
0.9 0.8
公的固定資本形成
0.1
0.0
-1.0
-1.1
-0.8 -0.7
-0.6
-0.1
-0.4 -0.3
政府最終消費支出
民間在庫品増加
-1.1
民間企業設備
民間住宅
-2.0
民間最終消費支出
GDPデフレーター
-3.0
-4.0
4-6
7-9 10-12 1-3
2012
4-6
7-9 10-12 1-3
2013
4-6
7-9 10-12 1-3
4-6
2014
7-9 10-12 1-3
2015
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7-9
2016
(出所)内閣府「四半期別 GDP 速報(2016 年 7-9 月期・1 次速報)
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11 月 4 日の本稿(現状維持であった日銀政策決定会合(10 月)1)で消費者物価指数及び予想インフレ率の動きを「危
険水域」にあると評したが、原油価格の影響を受ける消費者物価指数(生鮮食品除く総合)や同総合指数のみならず、国
内需要の動向をより反映する消費者物価指数(食料及びエネルギーを除く総合)や同生鮮食品・エネルギーを除く総合
の前年比もマイナス圏に陥りつつある現状を GDP 速報値でも改めて確認した格好である。
消費者物価指数のみならず、GDP デフレーターでみた場合においても前年比マイナスが続けば、いよいよ本格的に
再びデフレに突入という事態につながってしまう。拙稿(トランプ新大統領の経済政策を考える2)で述べたように、トランプ
氏の勝利によって、大規模な減税とインフラ投資を核とする財政政策の実行が予想(期待)されて、米名目金利は上昇、
円安・ドル高が進むことで日経平均株価も上昇基調にある。政府はこうした「追い風」を最大限利用しつつ、国内需要の建
て直し、特に低迷する消費喚起のために減税を含む財政拡大により注力すべきだ。
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http://www.murc.jp/thinktank/rc/column/kataoka_column/kataoka161104.pdf
http://www.murc.jp/thinktank/rc/column/kataoka_column/kataoka161110.pdf
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