2016/ マーケット・フォーカス 11/14 投資情報部 シニアコモディティアナリスト 津賀田 真紀子 商品:原油 鳴り響く産油国の不協和音 10月のOPEC加盟国の原油生産量は過去最高を更新 11月末のOPEC定時総会での減産枠組み決定は困難か トランプ次期大統領のエネルギー政策によって、米国内の需給緩和が進む可能性も OPEC原油生産量が過 原油相場の下落が続いている。国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイ 去最高を更新。需給改 ト(WTI)原油先物の11/11の終値は、1バレル=43.41ドルと中心限月としては約2ヵ月ぶ りの安値をつけた。また、市場参加者の売買判断の目安とされる200日移動平均線も 善期待が一段と後退 今年8月以来、初めて下回った。 売り圧力が強まっている背景には、需給改善期待の後退がある。石油輸出国機構 (OPEC)が先週11日に発表した月報によると、10月の加盟国の合計生産量は日量 3,364万3,000バレルと過去最高を更新する結果となった。ナイジェリアやリビア等の生 産量が回復傾向にあることが全体を押し上げた。 OPECは11/30開催予定の定時総会において、9/28の臨時総会で暫定合意した減 産の枠組みを決定するとみられている。しかし、産油国の統制がとれていない現状を 鑑みると、合意形成は難航する可能性が高い。国際エネルギー機関(IEA)は、先週10 日に発表した月報で、OPECが減産合意できなければ2017年も余剰状態が続き、原 油先物価格が再び下落するリスクがあると述べている。 原油価格動向 W T I原油先物価格とドルインデックス 2016/10/31 ~ ~ 2016/11/7 期間 WTI 北海 ブレント (1バレル=ドル) (週次:2014/1/3~2016/11/11) 120 前週比 76 110 2016/11/11 2016/11/4 始値 44.45 48.25 ▲ 3.80 高値 45.95 48.74 ▲ 2.79 安値 43.03 43.57 ▲ 0.54 終値 43.41 44.07 ▲ 0.66 始値 45.70 49.41 ▲ 3.71 高値 46.95 49.72 ▲ 2.77 安値 44.19 45.08 ▲ 0.89 終値 44.75 45.58 ▲ 0.83 100 WTI原油先物(左目盛) 78 ドルインデックス(右逆目盛) 80 82 90 84 80 86 88 70 90 60 92 50 94 96 40 98 30 100 20 14/1 (注)価格は 1 バレル=ドル 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 14/7 15/1 15/7 16/1 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1 16/7 102 (年/月) 2016/11/14 マーケット・フォーカス トランプ次期大統領の エネルギー政策も懸 念要因 さらに、トランプ次期大統領が表明するエネルギー政策によっては、原油相場の下落 に拍車がかかる可能性がある。トランプ氏はこれまで、米国で衰退しつつある石油・石 炭産業を支援し、国家安全保障を強化するため、オバマ政権が進める主要な環境政 策の一部を撤回すると主張。また、一部報道によると、米国をエネルギー自立できる国 にすると主張し、そのために国内の石油ガス開発を促進すべく、連邦政府管轄の土地 を開放すると述べたとされる。これは、シェール関連業者の開発活動を活発化させる 可能性があり、米国内のみならず、世界需給を一段と緩和させることになるだろう。 米エネルギー省による 1 年先(2017/11/30)の予想原油先物価格は、1 バレル=49.91 ドルと 50 ドルの大台を下回る。また、11/11 時点のオプション建玉は、コールが権利行 使価格 55 ドルに集中している一方、依然としてプットも 40 ドルに集中しており、積極的 に上昇を見込んでいる市場参加者が少ない状況だ。非商業筋のネットポジションは 10 月中旬以降、縮小傾向が続いている。今後の展開は 11/30 の OPEC 定時総会の結果 次第だが、引き続き WTI 原油先物相場は買われにくい展開が続くものと予想される。 米エ ネルギー省(DOE) 1 年先予想原油価格とWTI原油先物 OPEC 原油生産量 (百万バレル/日) 34.0 (1バレル=ドル) 120 33.5 33.0 32.5 2016年 32.0 過去3年最多 31.5 過去3年平均 31.0 過去3年最少 30 20 90 10 80 0 70 ▲ 10 60 ▲ 20 50 40 29.5 30 29.0 20 11/1 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 (月) W T I原油先物オプション権利行使価格分布 ▲ 40 ① DOE 1年先予想価格(左目盛) ▲ 50 ② WTI原油先物(左目盛) 12/1 13/1 14/1 15/1 16/1 ▲ 60 (年/月) 17/1 C FT C非商業筋建玉とWTI原油先物価格 (2016年11月11日時点) (週次:2015/1/6~2016/11/4) (万枚) (1バレル=ドル) 45 プット(12・1・2月限合計) 80 ▲ 30 ②-① 差(右目盛) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成 (千枚) 90 40 100 30.0 2 (1バレル=ドル) 110 30.5 1 (月次:2011/1~2017/11) 65 買残-売残(左目盛) コール(12・1・2月限合計) 40 70 60 60 WTI原油先物(右目盛) 35 55 50 50 45 30 40 40 30 25 35 20 30 20 10 25 0 15 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 (1バレル=ドル) 20 15/1 15/4 15/7 15/10 16/1 16/4 16/7 16/10 (年/月) (注)CFTC 非商業部門建玉は 11/1 現在 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 22 2016/11/14 マーケット・フォーカス ■ エネルギー関連統計 日付 国・地域 11 月 16 日 11 月 16 日 11 月 16 日 11 月 16 日 11 月 16 日 11 月 16 日 11 月 16 日 11 月 16 日 11 月 18 日 11 月 18 日 11 月 18 日 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 イベント 米国原油在庫(前週比・千バレル) オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル) 米国ガソリン在庫(前週比・千バレル) 米国中間留分在庫(前週比・千バレル) 米国製油所稼働率(前週比) 米国原油推定需要(千バレル/日) 米国ガソリン推定需要(千バレル/日) 米国留出燃料推定需要(千バレル/日) ベーカー・ヒューズ掘削リグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ稼働数 期間 11 月 11 日 11 月 11 日 11 月 11 日 11 月 11 日 11 月 11 日 11 月 11 日 11 月 11 日 11 月 11 日 11 月 18 日 11 月 18 日 11 月 18 日 前回 2,432 28 ▲2,841 ▲1,948 1.9% 15,787.0 10,281.6 5,169.3 568 115 452 ■ 今週の経済指標 日付 国・地域 11 月 14 日 11 月 15 日 11 月 15 日 11 月 15 日 11 月 15 日 11 月 15 日 11 月 15 日 11 月 15 日 11 月 16 日 11 月 16 日 11 月 16 日 11 月 16 日 11 月 16 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 17 日 11 月 18 日 11 月 18 日 11 月 18 日 欧州 欧州 欧州 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 欧州 欧州 欧州 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 欧州 米国 米国 イベント 鉱工業生産(季調済/前月比) 貿易収支(季調前) ZEW 調査(期待) GDP(季調済/前年比) 輸入物価指数(前月比) ニューヨーク連銀製造業景気指数 小売売上高速報(前月比) 企業在庫 MBA 住宅ローン申請指数 PPI 最終需要(前月比) 鉱工業生産(前月比) 設備稼働率 製造業(SIC)生産 EU27 カ国新車登録台数 建設業生産高(前月比) 消費者物価指数(前月比) CPI-コア(前年比) 住宅着工件数 住宅着工件数(前月比) 建設許可件数 住宅建設許可(前月比) 消費者物価指数(前月比) CPI 除食品・エネルギー(前月比) 新規失業保険申請件数 失業保険継続受給者数 CPI 指数(季調前) CPI コア指数 季調済 実質平均週賃金(前年比) フィラデルフィア連銀景況 ECB ユーロ圏経常収支(季調前) 先行指数 カンザスシティ連銀製造業活動 期間 9月 9月 11 月 7-9 月期 速報 10 月 11 月 10 月 9月 11 月 11 日 10 月 10 月 10 月 10 月 10 月 9月 10 月 10 月 確報 10 月 10 月 10 月 10 月 10 月 10 月 11 月 12 日 11 月 5 日 10 月 10 月 10 月 11 月 9月 10 月 11 月 前回 1.6% 18,400,000,000 12.3 1.6% 0.1% ▲6.8 0.6% 0.2% ▲1.2% 0.3% 0.1% 75.4% 0.2% 7.2% ▲0.9% 0.4% 0.8% 1,047,000 ▲9.0% 1,225,000 6.3% 0.3% 0.1% 254,000 2,041,000 241.428 248.611 0.8% 9.7 23,600,000,000 0.2% 6 (注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 33 2016/11/14 金融商品取引法に係る重要事項 マーケット・フォーカス ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化 等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料 をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税 込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含 む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込 むことがあり、損失を被ることがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与 えることがあります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が 当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売 却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市 場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商 品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および 諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。 詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金 に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、 約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別 途手数料および諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託 手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券 取引口座管理料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決 定した為替レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または お客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-161114-21 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 44
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