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【TFU 教育フォーラム 2016】
『第2部 保育者対象分科会』
子ども理解と保育目標の設定
−発達支援の視座から−
主催:東北福祉大学 保育士・幼稚園課程
2016 年 11 月 12 日(土)13:10〜15:30
於;東北福祉大学国見キャンパス 風土(ふうど)
日々の保育を進めていくにあたり、保育者は子どもの発達についての本質的及び
具体的理解を深め、子ども一人ひとりの特性に応じながら、それぞれの発達の課題
に即したねらい・内容等を検討していくことが求められます。
そこで、
【TFU 教育フォーラム 2016】
『第2部 保育者対象分科会』におきまして、
子ども理解と保育目標の設定に関する基本的な枠組みについて、以下のような観点
から、子ども発達臨床の専門家とご参会の皆様と一緒に学び合う機会を設けました。
◇コンセプト&メッセージ
1 保育者が「気になる」と思う子どもの行動は、子どもが「困っている」こと
近年、保育現場では、発達障がいのある子どもや、障がいの診断はないものの何
らかの支援を必要とする子どもへの対応がますます求められています。しかし、発
達障がいのある子どもや、特別な支援を必要とする子どもは、できることとできな
いことの差が大きかったり、場面や状況によって姿が異なったりするため、通常の
保育では対応が難しいことがあります。
保育者が「気になる」と思う子どもの行動は、子どもが「困っている」ことです。
子どもの「困っている」ことを軽くしていく発達支援においても発達アセスメント
は重要です。むしろ、発達のアンバランスさや特徴的に苦手とすることを丁寧に捉
えなくては、その子どもの抱える問題やその背景を探ることができません。特別な
支援ニーズに応じた保育をするときには、発達アセスメントによる問題やその背景
の理解と、それに基づく支援目標・支援方法を考えていくことが重要です。
2 発達の見通しをもって心に余裕のある保育を
保育者は日々子どもとかかわりながら、子どもたちの楽しそうに活動や遊びに取
り組む姿や成長していく姿に喜びを感じて保育を行っています。しかし、ときには、
典型的な道筋を通って発達しない子どももいます。そういった子どもの中には、保
育者が試行錯誤して保育を工夫してもなかなか変化がみられないこともあります。
このとき保育者は自身の保育についてうまくいかないと感じてしまいます。ただし、
みんなが同じことをできるようにすることだけが保育の目標ではありません。発達
アセスメントを通じてその子どもなりの変化を見出し、ここが一番苦手なことなの
だと確認すると、その子なりの発達の道筋について見通しを持てるようになります。
子どもたちのもつ成長しよう、発達しようとするその潜在的な力は、一人ひとり
異なります。その力を信じながら子どもと一緒に楽しむ保育者でありたいものです。
【TFU 教育フォーラム 2016】
『第2部 保育者対象分科会』
3 子どもの発達を捉える保育者としての専門性
子どもの発達理解に基づく保育を展開し、子ども一人ひとりに必要な援助を行う
ことは、保育者の専門性の基盤です。
子どもは遊びを通じてさまざまなことを身につけていきます。このとき、遊びの
レベルが子どもの発達状態より低すぎても高すぎても、子どもは充分に楽しむこと
ができません。今ある姿の少し上を頑張って取り組むときに子どもは楽しいと感じ、
適切な援助があることで更に発達します。この子どもの現在の発達水準と、援助に
よって可能になる発達水準のズレを“発達の最近接領域(ZPD)
”といいますが、
これを見極め、働きかけ、潜在的な可能性を引き出すことが、保育者の役割です。
では、どうやって子どもの発達状態を把握すればよいのでしょうか。また、発達
課題に即したねらい・内容は、どのように考えていくことが望ましいのでしょうか。
その手立てとなるのが発達アセスメントです。発達アセスメントは子どもの援助方
法を見出すための手段として用いられますが、このアセスメントを通じて子どもの
姿を客観的に整理することができます。
4 保育者が行う発達アセスメント
発達アセスメントは専門家による発達検査や知能検査だけではありません。保育
者による行動観察や発達状態のチェック、保護者からの聞き取りなどを用いてもさ
まざまな情報を得られます。発達状態は[KIDS乳幼児発達スケール]など標準
化されたスケールを活用することでより詳しくチェックしていくことができます。
KIDSは「運動」
「概念」
「対子ども社会性」など複数の領域で構成されています。
内容も、日常的な子どもの様子からチェックすることが可能です。
発達アセスメントに必要な情報は普段の生活の中に溢れていますから、保育者が
そのときどきの必要に応じて発達アセスメントを行うことができます。そしてこれ
らの<アセスメント情報>を、日常の保育の中から丁寧に掘り起こしつつ、一定の
流れに沿って統合化しながら子どもの育ちを支えてことが大切です。
5 クラス集団への援助や保護者支援に繋がります
保育者は個別の配慮だけでなく、子ども同士の関係や集団全体の育ちを目指しな
がら保育を展開していきます。クラスで同じ活動をし、みんなと一緒にできて楽し
かったと思う共有経験がたくさんあることで、子どものクラスの友だちとの仲間意
識が育まれます。この育ちを援助するときには、クラスの多くの子どもがどの程度
まで発達しているのかを考えることや、できる子とできない子の差がどの程度ある
のかを捉えることも保育を考える重要なポイントになります。できる子とできない
子の差を捉えることで活動中の子どもの姿を予想し、どの場面であるいはどの手順
で援助するのかを事前に考えていくことになります。また、子どもの発達状態や行
動の変化から保育の振り返り(保育評価)がしやすくなります。
そして、保育者が自身の保育を客観的に把握する資料は、保育者が大切にしたい
子どもの育ち、保育の取り組みや援助、子どもの変化などについて保護者に対して
お知らせする際にも活用することができます。
【TFU 教育フォーラム 2016】
『第2部 保育者対象分科会』
◇タイムスケジュール
上記のコンセプト&メッセージに基づき、保育・子育て支援関係者対象のワーク
ショップ型研究・研修会を、次のように設定いたします。
ご参会により、
「子ども理解」について新たな視点や知見等を保育現場やご家庭に
少しでもお持ち帰りいただけたらと願っております。
13:10〜13:20
オリエンテーション
・本分科会の趣旨
・講師陣、参加者紹介
・展開説明 等々
13:20〜14:20
ワーク1
・子ども理解の基本
・発達アセスメントとは
・
「気になる」子どもの理解
・事例検討
14:20〜14:30
休 憩
14:30〜15:20
ワーク2
・保育目標の設定
・事例検討
15:20〜15:30
まとめ
※現時点での予定です
保育・子育て支援関係者はもちろんのこと、一般の方々でも歓迎いたします。
たくさんの方々のご参加をお待ちしております。
東北福祉大学 保育士・幼稚園課程