下期の増益転換が視野に った企業業績

情報提供⽤資料
経 済 環 境 レ ポ - ト
2016年11⽉16⽇
下期の増益転換が視野に⼊った企業業績
-円⾼による下押し圧⼒の弱まりなどが業績回復の⽀えに東証1部上場3⽉期決算企業の2016年7-9⽉期決算の発表が、ほぼ終了しました。2016年度上期は、
⼤幅な減収・減益となりました(図表1)。円⾼の進⾏や海外経済の減速などが、輸出関連業種を中⼼
に収益を下押ししたと考えられます。
注⽬の2016年度通期については、経常減益となる⾒通しです。ただこれは、上期の不振が響いてい
るためとみられ、下期については経常増益への転換が⾒込まれています。
トランプ⽶次期⼤統領のリフレ的な経済政策への評価からドル⾼・円安が進⾏するなか、今後は企業
業績の上⽅修正期待が⾼まっていくことが予想されます。
ポイント①
-製造業の⼤幅な減益が⾜かせ-
(図表1)企業収益の動向
(単位:前年同期⽐、%)
4-9⽉期の経常利益の動向を業種別に⾒ると、製造
2016年度
業の⼤幅な減益(前年同期⽐20%弱)が、全体の⾜
を引っ張ったことが窺えます(図表2)。
素材産業では、鉄鋼や⾮鉄⾦属などが軒並み減益
を余儀なくされました。円⾼の進⾏と需給の緩和に
よる市況の悪化というダブルパンチに直撃されたた
めとみられます。
また、加⼯産業では、輸送⽤機器や電気機器、機
械が揃って2割超の⼤幅減益となりました。円⾼の進
⾏に加え、輸送⽤機器は軽⾃動⾞の不正燃費問題、
売上⾼
経常利益
(除く電気・ガス)
桁増益が⽬を引きます。防災・震災対応の公共事業
に加えて、⾸都圏の再開発に伴う建設⼯事の増加な
どが寄与したとみられます。
▲ 3.4
▲ 12.9
5.3
▲ 6.1
▲ 12.1
6.7
▲ 4.7
(単位:前年同期⽐、%)
2016年度
2016年度
2016年度
上期(実績) 下期(予想) 通期(予想)
繊維製品
べて減益幅は⼩幅にとどまりました。特に、建設の2
▲ 0.4
(図表2)主要業種の経常利益の動向
素 材 産 業
⾮製造業については、同5%強の減益と製造業に⽐
▲ 6.3
(注)集計対象は東証1部上場3⽉期決算企業(除く⾦融)の1,302社
データは11/14現在。下期の予想は、通期予想と上期実績を基に算出
(出所)Quickのデータより岡三アセットマネジメント作成
における設備投資の回復の遅れなどが、響いたため
ポイント② -⾮製造業は建設を中⼼に健闘-
2016年度
上期(実績) 下期(予想) 通期(予想)
電気機器はスマートフォン需要の鈍化、機械は内外
と考えられます。
2016年度
▲ 15.5
35.6
7.6
▲ 5.9
7.1
0.4
化学
▲ 13.5
3.7
▲ 5.2
鉄鋼
▲ 63.0
28.5
▲ 29.8
⾮鉄⾦属
加 ⼯ 産 業
⾷料品
機械
▲ 26.9
107.9
15.8
▲ 21.0
▲ 2.3
▲ 13.0
8.5
1.7
5.2
▲ 29.6
▲ 5.1
▲ 16.9
電気機器
▲ 29.1
94.9
4.9
また、不動産や情報・通信なども、増益を維持し
輸送⽤機器
▲ 22.1
▲ 26.0
▲ 23.9
ました。前者は、マイナス⾦利による住宅需要の増
製 造 業 計
▲ 19.9
5.9
▲ 8.8
加、後者は、データ通信料の伸⻑などが収益の押し
上げに貢献したと考えられます。
半⾯、海運が市況の悪化から⾚字転落となったほ
か、電気・ガスやサービス業、⼩売業が減益となる
など、明暗が分かれました。
建設
15.8
▲ 8.9
1.3
卸売業
▲ 4.4
186.1
16.5
⼩売業
▲ 6.6
12.6
4.3
4.2
11.7
8.2
▲ 5.5
4.1
▲ 2.6
不動産
⾮ 製 造 業 計
(注)集計対象は東証1部上場3⽉期決算企業(除く⾦融)の1,302社
(注)対象
東
算
(
⾦ )
データは11/14現在。下期の予想は、通期予想と上期実績を基に算出
(出所)Quickのデータより岡三アセットマネジメント作成
<本資料に関してご留意いただきたい事項>
■本資料は、投資環境に関する情報提供を⽬的として岡三アセットマネジメント株式会社が作成したものであり、特定のファンドの投資勧誘を⽬的として作成し
たものではありません。■本資料に掲載されている市況⾒通し等は、本資料作成時点での当社の⾒解であり、将来予告なしに変更される場合があります。また、
将来の運⽤成果を保証するものでもありません。■本資料は、当社が信頼できると判断した情報を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するもの
ではありません。■投資信託の取得の申込みに当たっては、投資信託説明書(交付⽬論⾒書)をお渡ししますので必ず内容をご確認のうえ、投資判断はお客
様ご⾃⾝で⾏っていただきますようお願いします。
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ポイント③
-下期は素材産業などが回復を牽引-
2016年度通期の予想は、前年度⽐3.4%の減収、
(図表3)円相場(対⽶ドル)と前年⽐騰落幅の推移
(円)
40
同6.1%の経常減益となる⾒通しです。ただ、これは、
対ドルの円相場が、上期に前年⽐で⼤幅な円⾼と
130
前年⽐騰落幅、左軸
30
なったことなどが⾜を引っ張るためと考えられます
(円)
(期間:2011年3⽉〜2016年9⽉、四半期ごと)
120
円相場、右軸
110
20
(図表3)。しかし、下期は⼩幅減収ながらも増益
円安
転換が⾒込まれています。円⾼による下押し圧⼒が
100
10
弱まるとみられるほか、内外景気の回復が期待され
ているためと考えられます。
90
0
製造業では、⾮鉄⾦属や鉄鋼など素材産業のV字
回復が牽引する⾒込みです。半⾯、加⼯産業は、輸
送⽤機器の低調が響いて減益が続き、回復が遅れる
⾒通しです。⾮製造業では、卸売業の⼤幅な増益な
どが⾒込まれています。
▲ 10
80
円⾼
70
▲ 20
60
▲ 30
11/3
12/3
13/3
14/3
15/3
16/3
(年/⽉)
(出所)Bloombergのデータより岡三アセットマネジメント作成
ポイント④
-下期は上⽅修正の可能性も-
下期の⾒通しは、今後、上⽅修正される可能性が
あると考えます。第1に、企業の想定レート(⽇本
経済新聞社の調査:下期は1ドル=102円程度)を上
回るドル⾼・円安が⾜元で進⾏していることが挙げ
られます。トランプ⽶次期⼤統領のリフレ的な経済
政策への期待から、⽶⻑期⾦利が上昇しているため
とみられます。
第2に、企業の体質強化が進んでいることが指摘
されます。⼤企業の損益分岐点売上⾼は、2001年以
降の最低⽔準に低下しており、利益の出やすい筋⾁
質な収益構造になっていることが窺われます(図表
4)。
第3に、製造業の在庫循環が上向きになっている
ことも、⾒逃せない要因と考えられます。⽣産の増
加に伴う稼働率の上昇が、原油⾼などのコストを吸
収していくと期待されます。
これらのことから、年末にかけて企業業績の上⽅
(図表4)損益分岐点売上⾼などの推移
(2001年3⽉〜2016年6⽉、四半期ごと)
(%)
100
160
損益分岐点売上⾼、右軸
150
損益分岐点売上⾼⽐率、左軸
90
140
80
130
(兆円)
70
120
110
60
100
50
90
40
80
30
70
60
20
01/3
03/3
05/3
07/3
09/3
11/3
13/3
15/3 (年/⽉)
(注)資本⾦10億円以上の⼤企業・全産業(除く⾦融・保険)、
4四半期移動平均
(出所)財務省の資料より岡三アセットマネジメント作成
修正期待が⾼まっていくものと考えます。
以上
(作成:投資情報部)
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