薬価制度抜本改革へ、年内にもキックオフ

日 刊 薬 業
2016 年(平成 28 年)11 月 18 日 金曜日
第 14555 号
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THE
NIKKAN
YAKUGYO
薬価制度抜本改革へ、年内にもキックオフ
鈴木保険局長 「時間切れ」は避けたい
厚生労働省の鈴木康裕保険局長は日刊薬業の取材に応じ、中医協で年内にも薬価制
度の抜本改革論議をスタートする考えを示した。外国平均価格調整ルールの見直しな
どが焦点の一つになる見通しで、産業界からのヒアリングも実施する方向。来年3月末
までに論点整理までこぎ着けたい考えだ。
鈴木保険局長は薬価制度改革論議のスケジュールについて、「『オプジーボ』(の
薬価引き下げ)が一段落したら、年内にも議論をキックオフし、年度内に論点を整理
したい」と語った。さらに「さまざまなデータを集めたり、各国の制度を調べたりす
る必要もある。例年のように、改定の前年夏ごろに議論を始めて『時間切れ』という
ことにならないようにしたい」と述べ、議論を急ぐ考えを示した。産業界からのヒア
リングも「恐らく実施する」とし、「使用者側(医療関係者)の意見も中医協で聞く」
と付け加えた。
●「オプジーボ」下げの影響、国費ベース約190億円
16日の中医協では、オプジーボの薬価の50%下げを了承した。現在、政府は社会保
障費の自然増を圧縮しようとしており、同剤の薬価引き下げが財源にどの程度の影響
を与えるかが注目されていた。鈴木局長は「オプジーボの売上高を1500億円と仮定し、
薬価を半分にすると、医療費ベースで750億円が浮く。国費負担分はその4分の1だ」と
指摘。中医協の資料を基にオプジーボの売上高を1516億円として単純計算すると、国
費ベースの削減額は189.5億円となる。
オプジーボを巡っては、2016年度の最終売り上げ実績が1500億円に届かない可能性
も指摘されている。その場合、中医協で決めた50%の下げ幅は深掘りしすぎだったと
いうことにもなりかねない。この点については「入手可能で最も妥当な数字に基づき
推計した」と述べ、理解を求めた。同様のケースとして、薬価調査を例示。改定前年9
月の実績を12倍にして年間予想売上高をはじき出していることや、仮に事故や回収、
競合品の登場などで売上高が未達だったとしても、調査結果に基づき改定しているこ
とを指摘した。
●「小野薬品は悪くない」
鈴木局長はオプジーボについて、京都大の本庶佑教授が発見し、日本の小野薬品工
業が開発したことに触れつつ、「良い薬だと思う」と評価した。さらに小野薬品に対
しても「ルール通りに申請し、販売した。端的に言えば、小野薬品は悪くない」と擁
【2面】 後発品専業大手3社、1桁成長にとどまる
主要ニュース 【3面】 財政審・建議 薬剤費抑制策目立つ
【7面】 薬価制度改革に向け検討開始 製薬協
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護。その上で「厚労省が、新薬の登場を踏まえて薬価制度に適時対応できなかったの
が反省点だ」と述べた。さらに「従来の(分子標的)抗がん剤は、特定のターゲット
にピンポイントで効くものが多く、対象患者が拡大することは少なかった。だが、オ
プジーボは従来の薬とは異なる。患者数が極めて少ない悪性黒色腫から、対象が急激
に広がった。反省を込めて言えば、制度が新薬の発売パターンに対応していなかった」
と語った。
今回の問題を巡る中医協での議論に際しては、「イノベーションを阻害しないこと
と、医療保険制度の安定性確保のバランス」という点と、「議論のスピード」に留意
したことを明かした。
また医療機関の在庫調整のことも念頭に置いていたという。鈴木局長は「医療機関
が購入した薬の価値が下がることを考慮すれば、
( 薬価告示から薬価引き下げまでに)
2カ月以上は空けなければならない。高い価格で仕入れた薬なのに、保険償還額が小さ
くなることもあり得るからだ」と説明。その上で、既存ルールの活用と、新ルール策
定という2つの選択肢があったが、新ルール策定では時間がかかりすぎるため、現行の
特例拡大再算定ルールを活用したとし、「現時点で取り得る最も適当な手法だった」
と述べた。
総合
後発品専業大手 3 社、1 桁成長にとどまる
4~9 月期
薬価改定と伸び鈍化が影響
後発医薬品専業大手 3 社と新薬系・薬局系後発品企業(事業)13 社の 2016 年 4~9
月期業績が 17 日までに出そろった。日刊薬業の集計によると、薬価改定年の専業大手
3 社の上期の売り上げは集計を取り始めた 06 年から毎回、前年同期比で 2 桁増だった
が、今回は 8.4%増と初めて 1 桁にとどまった。薬価改定に加え、後発品使用の伸び
が鈍化していることが影響しているとみられる。
【関連表 9 面】
政府は 2 年に 1 回の診療報酬改定に併せ、新たな後発品使用促進策を打ち出してお
り、改定初年度は後発品企業の売り上げが前年と比べ大きく伸びる傾向にある。
16 年度改定でも後発品調剤体制加算の算定要件のハードルを上げ、開業医向けの加
算点数も設けるなど新たな施策を講じたが、16 年上期の大手 3 社の売り上げの伸びは
鈍化した。通期もこの傾向は変わらないとして、3 社はいずれも国内売上高予想を下
方修正した。
個別に見ると、日医工の上期の売り上げは数量ベースで前年同期比 15.6%の伸長だ
ったが、金額ベースでは 8.9%増にとどまった。薬価改定がその原因で、同社の薬価
改定率は 14 年は 7.7%だったが、16 年は 13.0%に拡大していた。
こうした状況を踏まえ同社は通期業績予想を修正。国内売上高は当初予想と比べ 30
億円の減少を見込んでいる。ただ米子会社の売り上げ 110 億円が連結で加わるため、
全体では当初予想と比べ 80 億円増となっている。
沢井製薬は、薬局が後発品調剤体制加算の獲得に動くとみて、4~9 月期の後発品の
数量増を 25%と予想していたが、実際には 18.8%増にとどまった。売り上げは 11.0%
増と 2 桁を確保したものの、上期の傾向を踏まえて通期の業績を下方修正した。
澤井光郎社長は 14 日の決算説明会で薬局での後発品への切り替えについて、「限界
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というべきかスピード感が遅い」と述べ、一定の限界が来ているとの認識を示した。
ただ今後、保険者機能の強化の施策を打つことで 17 年度以降、起爆剤になることを期
待している。
東和薬品は主力品の薬価の大幅引き下げなどで 3.5%増と小幅な増収となった。挽
回は厳しいとして、通期業績予想を下方修正した。また 9 日の決算会見で、これまで
の直販体制では成長に限界があるとして、卸との取引開始に向けて社内で準備を進め
ている状況を明らかにした。
営業利益は 3 社とも減益。売り上げの伸びが鈍化した影響に加え、日医工と沢井製
薬では米国での開発費の増加も響いた。
●新薬系・薬局系も
新薬系・薬局系 13 社も集計を始めた 12 年は 18.1%増、14 年は 19.0%増と 2 桁成
長を記録していたが、今回は 9.1%増で、初めて 1 桁となった。ただ個別企業で見る
と明暗が分かれた。
13 社のうち、Meiji Seika ファルマと日本化薬、科研製薬の 3 社は減収。新薬系で
売り上げ 1 位の Meiji Seika ファルマは薬価改定の影響を受けて 1.8%減となった。
カルシウム拮抗薬アムロジピンの 17.8%減、アルツハイマー型認知症治療剤ドネペジ
ルの 20.2%減などが響いた。
一方、10 社は増収で、そのうち伸び率が一番大きかったのは、キョーリン製薬ホー
ルディングスの 39.8%増。9 月発売の「キプレス/シングレア」のオーソライズド・ジ
ェネリック(AG)が単月で 18 億円を売り上げたことが寄与した。
穂川稔社長は今月 8 日の決算会見で、キプレス/シングレア AG について、「10 月の
推移を見ても想定を上回るスピードで浸透している感じを受ける」とし、後発品内シ
ェア 5 割を目指す考えをあらためて表明した。
行 政 ・政 治
財政審・建議
薬剤費抑制策目立つ
高額薬、生活習慣病薬、OTC類似薬…
財務省の財政制度等審議会(吉川洋会長)は 17 日、「2017 年度予算の編成等に関
する建議」をまとめ、麻生太郎財務相に手渡した。高額薬剤の緊急薬価引き下げや、
生活習慣病薬の処方の在り方、OTC 類似薬の保険償還率の在り方、生活保護受給者に
対する後発医薬品の使用促進といった薬剤費抑制策が盛り込まれた。
財政審の建議では、2020 年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字
化の目標を引き続き順守することを明記。その上で社会保障費を「最大の課題」と名
指し、「給付の抑制・適正化を行うとともに、給付に応じた負担を求めることで、受
益と負担のアンバランスを一刻も早く解消し、将来不安を払拭すべき」とした。
17 年度予算編成を巡っては、
「社会保障費の伸びを 5000 億円に確実に抑制すべき」
「次年度に負担を先送りすることなく、その伸びを 5000 億円に抑えるべき」と強調。
改革工程表に掲げた項目を「できる限り前倒しして改革を実現すべき」とした。
●薬価制度は速やかに見直しを
建議には、さまざまな薬剤費抑制策も盛り込まれている。「オプジーボ」を想定し
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た高額薬剤問題については、緊急薬価引き下げの実施や、最適使用推進ガイドライン
の策定を求めた。さらに現行の薬価制度では大幅な適応拡大に対応できないという問
題点を指摘。その上で、保険償還対象にするかどうかの判断や、保険償還額の決定と
薬価改定の際に費用対効果評価を本格導入すること、適応拡大などにも適切に対応で
きるよう薬価制度を速やかに見直すことなどを求めた。
生活習慣病薬の処方の在り方についても取り上げた。日本では海外に比べ高額な薬
剤が多く処方されていると問題提起した上で、「薬剤の適正使用の観点から処方ルー
ルを設定すべき」と指摘した。
OTC 類似薬については、「市販品と同一有効成分の薬でも、医療機関で処方されれ
ば、市販品を購入するよりも低い自己負担で購入できる」と問題点を指摘。第 2 類・
第 3 類など、長らく市販品として定着している OTC 医薬品に類似する医療用医薬品に
ついて、▽保険給付対象から外す▽保険給付対象に残すのなら一定の追加的な患者負
担を求める▽医療用医薬品のうち、安全性など一定要件を満たすものは自動的に市販
品として販売できるよう、スイッチ OTC 化のルールを明確化すべき―と提言した。
●オプジーボへの対応は「当然」
吉川会長は建議提出後、財務省内で会見し、「20 年度に PB 黒字化を達成するのが
財政審の立場だ」と繰り返し強調した。「PB 黒字化の達成がイージーだとは思ってい
ない」と本音も漏らした。
オプジーボの薬価を緊急的に引き下げ、予算削減につなげたことについては、「患
者 1 人の年間薬剤費が 3500 万円かかる高額薬剤だ。この問題を考えるのはある意味で
当然」とし、「最終的には中医協で決めたが、(削減に至るまでの)全体的な流れは
リーズナブルだったと思う」と感想を述べた。
同席した田近栄治・財政制度分科会長代理は「オプジーボの決め打ちではなく、た
くさんある高額薬剤の中の一つとして取り上げたということだと思う」と語った。
未承認薬の開発要請でルール見直し
厚労省・検討会議
医療上の必要性が高い国内未承認薬・適応外薬の開発を国が企業に要請する際に、
国内における開発権を持つ企業(国内開発権保有企業)と、海外で承認を得ている企
業の日本法人(承認取得企業)に対して同時に開発要請を行うことになった。厚生労
働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が 16 日、開発要請に関
するルールの見直しを了承した。
これまでは、承認取得企業に対してまず開発を要請していたが、国内での開発権を
別の企業に譲渡・売却している場合、承認取得企業に開発要請しても現実的ではなく、
医療現場から要望のある未承認薬・適応外薬の開発に遅れが生じている可能性もある
ため、見直すことにした。
このほか、既承認薬の投与経路違いを開発要請する場合に、国内で有効成分の承認
を得ている企業にも開発を打診することになった。例えば、貼付剤で承認を得ている
企業が同一の有効成分で点眼剤を開発するのは容易でないと考えられるが、最初から
難しいと決めつけず、今後は一度、開発の意向があるかを尋ねる。
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「タミフル」の新用量追加など2件、公知申請が妥当
厚労省・検討会議
厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」は 16 日、中外
製薬の「タミフルドライシロップ 3%」(一般名=オセルタミビルリン酸塩)につい
て、治療に用いる場合の新用量として、1 歳未満の新生児や乳児に対する 3mg/kg(ド
ライシロップ剤として 100mg/kg)の追加など計 2 件の公知申請を妥当と判断した。薬
事・食品衛生審議会医薬品第二部会に報告し、認められれば保険償還の対象になる。
タミフルの 1 歳未満児に対する用量は米国、英国、ドイツなどで認められており、
日本感染症学会など計 3 団体が要望していた。
もう 1 件は CSL ベーリングの「ベリナート P 静注用 500」(乾燥濃縮人 C1-インアク
チベーター)で、効能追加として「侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫(HAE)の
急性発作の発症抑制」の公知申請を妥当と認めた。HAE は 5 万人に 1 人が罹患する遺
伝性疾患。皮下浮腫や粘膜下浮腫などの発作が症状で、急性発作の要因として外科手
術や抜糸など侵襲的な医療処置が知られており、喉頭浮腫による気道閉塞で重篤な状
態に陥ることもある。
厚労省、ワクチン備蓄の免震倉庫整備へ
16年度補正予算で
厚生労働省は、2016 年度の第 2 次補正予算事業で、ワクチンを備蓄しておくための
免震倉庫を整備する。熊本地震で化学及血清療法研究所が被災し、一部のワクチンが
製造困難になったことなどを踏まえた対応で、これにより大規模地震を含む自然災害
発生時でもワクチンを安定供給できる体制を確保する。
全額補助事業で予算は 21 億 5700 万円。実施事業者にはワクチン製造販売会社や医
薬品卸売販売業者などを想定しており、要件を定めて公募する。厚生科学審議会予防
接種・ワクチン分科会の「研究開発及び生産・流通部会」が 16 日に事業の方向性を了
承した。
予防接種法に基づき定期接種するワクチンを基本に、厚労省が必要性を認めた場合
は、任意接種ワクチンや抗毒素も備蓄の対象にする。備蓄方式は、通常の流通分を一
定期間備蓄して出荷分から新製品に入れ替える「流通備蓄方式」を採るよう求める。
備蓄量は、現状の在庫量も含め、▽有効期限が 2 年超の製品は、少なくとも 6 カ月
分▽同 1 年超 2 年以内の製品は、少なくとも 5 カ月分▽同 1 年以内の製品(インフル
エンザ HA ワクチン除く)は、少なくとも 4 カ月分―が目安。「1 カ月分」は製品ごと
の年間出荷量を 12 で割った量とする。
●実施事業者を公募、複数の可能性も
今後は、厚労省が同事業に関する評価委員会を設置して事業の要件を決め、公募す
る。予算内であれば複数の事業者を選ぶ可能性もある。
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がん対策基本法改正案、参院で可決
衆院に送付
希少がんの研究や、がん患者の雇用継続などを促す方針を新たに盛り込んだ議員立
法のがん対策基本法改正案は 16 日、参院本会議で全会一致で可決され、衆院に送られ
た。今後、臨時国会の会期内に成立するかどうかが焦点となる。
●全がん連・天野理事長「今国会での成立を」
参院本会議を傍聴した全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は取材に対し、改
正案でがん患者への社会的支援を進めていく方向性が盛り込まれたことを評価。「が
ん患者が尊厳を保持しつつ安心して暮らすことのできる社会の構築」を目指す考えが
新たに基本理念に入ったことにも触れながら、「がん患者を社会全体で支えていくと
いう(2006 年の基本法成立以降の)10 年の変化を表している」と述べた。希少がんや
難治性がんの研究を促進する方向性も評価した。
一方、天野氏は衆院での審議の見通しが「不透明」だと不安感を示した。第 3 期が
ん対策推進基本計画に向けた検討が進んでいる中、「法案が今国会で成立しないと、
新たな基本法の趣旨が検討中の基本計画に反映されずに、齟齬が生じるリスクがある」
と指摘。衆院での速やかな審議を訴えた。
【MEDIFAX】
新規HIV感染者、AIDS患者ともに増加
16年第3四半期
厚生労働省の第 147 回エイズ動向委員会の報告によると、2016 年第 3 四半期(6 月
27 日~9 月 25 日)の新規 HIV 感染者報告数は 261 件で前回報告の 239 件から増加、新
規 AIDS 患者報告数は 113 件で前回報告の 112 件から増加した。
新規 HIV 感染者の感染経路では、同性間での性的接触が 190 件で、新規報告数の約
73%を占めた。新規 AIDS 患者の感染経路では、同性間での性的接触が 64 件で、新規
報告数の約 57%を占めた。
保健所での HIV 抗体検査件数は 2 万 635 件で、前回報告の 2 万 1080 件から減少した。
相談件数も 2 万 8204 件で前回報告の 2 万 8922 件から減少した。
【MEDIFAX】
一般用検査薬、疾患情報提供は広告に当たらず
厚労省・事務連絡
厚生労働省は、広告媒体を用いた一般用検査薬の情報提供についての事務連絡を、
11 月 15 日付で各都道府県薬務主管課に出した。検査項目と疾患の関連などについて
情報提供することは、医薬品医療機器法で規制している広告には当たらないとの判断
を示した。
同省が 2014 年末に示した体外診断用医薬品の一般用検査薬への転用に関する考え
方に基づき今年 2 月に策定された「黄体形成ホルモンキットに係る一般用検査薬ガイ
ドライン」に沿い、排卵日予測の補助に用いる一般用黄体形成ホルモン(LH)キット
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の承認が今後見込まれることから事務連絡を出した。
事務連絡はまた、「使用者自らによる診断または予防ができるなどの誤解が生じな
いよう、情報提供内容の方針などについて、関係医学会などと連携や調整を行うこと
が望ましい」とし、一般用検査薬はあくまで補助的手段であることに留意を求めた。
企業
セレコキシブの心血管リスク、他のNSAIDと同等
米ファイザー
米ファイザーは 17 日までに、非ステロイド性消炎・鎮痛剤セレコキシブ(日本製品
名「セレコックス」)の心血管リスクが、他の非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)と同
等とする大規模臨床試験の結果を発表した。
試験は、変形性関節症(OA)か関節リウマチ(RA)で、心血管疾患のリスクが高く、
関節炎の症状をコントロールするために NSAID の日常的な投与が必要な 2 万 4081 人を
対象に実施。心血管イベントの発生率は、セレコキシブ(100~200mg を 1 日 2 回)投
与群 2.3%、ナプロキセン(375~500mg を 1 日 2 回)投与群 2.5%、イブプロフェン
(600~800mg を 1 日 3 回)投与群 2.7%だった。
消化管イベントの発生率は、セレコキシブ群 1.1%、ナプロキセン群 1.5%、イブプ
ロフェン群 1.6%。
試験結果は米ルイジアナ州ニューオーリンズで開かれた米国心臓協会の年次集会で
発表された。
団体
次期薬価制度改革に向けた検討開始へ
製薬協
「オプジーボ」の緊急引き下げを受け
日本製薬工業協会の伍藤忠春理事長は 17 日、理事会後の会見で、次期薬価制度改革
に対する業界の考え方を明確にするため、現行制度の課題などに関して日本製薬団体
連合会と連携して検討する考えを示した。16 日の中医協で小野薬品工業の免疫チェッ
クポイント阻害剤「オプジーボ」の緊急的な薬価引き下げが了承されたことを受けた
もので、「業界から見た問題点や矛盾点、改善すべきことを明確にして、まずは行政
当局、関係方面にわれわれの考え方を表明、働き掛けていく活動が必要になる」とも
述べた。
同日の理事会では、オプジーボの緊急的な薬価引き下げを巡り議論が行われ、出席
者から毎年の薬価改定につながることへの懸念や、企業経営の予見性への影響を心配
する声が上がったという。伍藤氏は、現行薬価制度を抜本的に見直すことについてお
おむね関係者の意見がそろっているとした上で、「(理事会では)業界としてもその
議論に早めに対応できるように問題点を整理し、『何を最重要視して守らなければな
らないのか』『どこまでなら譲れるのか』といったメリハリのある議論を含めて早め
に検討していかなければいけない、という意見もあった」などと説明。「イレギュラ
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ーな事態が生じるような薬価制度だから、(今回の)そういう事態が生じた」とも指
摘し、改定の実施時期を含め、現行制度の課題などを幅広く検討する方針を示した。
検討を始める時期については明言を避けた。
16 日の中医協総会では特例拡大再算定の考え方を適用して、オプジーボの薬価を緊
急的に 50%引き下げることが決定。24 日に告示し、来年 2 月 1 日付で適用する。
EFPIA
ワクチン・血液製剤産業の提言「高く評価」
施策実現を後押しへ
欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)バイオロジクス委員会の江島伸一委員長は 17
日に東京都内で開いたメディアセミナーで、厚生労働省の「ワクチン・血液製剤産業
タスクフォース」の顧問が 10 月に、企業再編による規模の拡大や国際展開など産業構
造の転換を求める提言をまとめたことについて、「われわれの提案や要望の多くが含
まれており、高く評価している」と語った。今後の議論に参加・協力し、提言に盛り
込まれた施策の実現を後押ししていく考えも示した。
同席した同委員会ワクチン部会の本田淳部会長は、科学的根拠に基づいて予防接種
施策を推進する、安定供給を視野に入れて 1 種類の製剤を国内外の複数社で供給する
といった内容が提言に盛り込まれたことに触れ、
「 製造業者が最初から議論に加わり、
産業界の意見を適切に反映した形とならないと最適な供給スキームや制度に結び付か
ない」と指摘した。
また、同委員会血液製剤部会の宮川真琴部会長は、提言に盛り込まれた検討課題を、
▽製造・供給能力確保▽原料血漿確保▽安全性や有用性の高い製剤に適時アクセスで
きる体制確保―の 3 つに分類。それぞれについて個別の「検討会」を設置し、産業界
の意見も反映させた施策の実現を目指すよう求めた。製造・供給能力確保については、
血液製剤の原価率は高く、薬価改定による引き下げが進むことで採算確保が難しくな
るとした上で、「設備投資・開発投資ができる薬価制度」を今後の検討課題の一つに
位置付ける必要性を唱えた。
オプジーボ引き下げ「皆保険維持のためやむを得ない」
日医・横倉会長
16 日の中医協総会で抗がん剤「オプジーボ」の薬価を 50%引き下げることが了承さ
れたことについて、日本医師会の横倉義武会長は同日の記者会見で「国民皆保険を維
持するために緊急的な対応をすることはやむを得なかった」と受け止めを語った。
横倉会長は現行の薬価制度の在り方にも言及。「今後、数多くの高額薬剤が出てく
ると思う。その中で従来の薬価の決め方がふさわしいのか、もう一度見直す必要があ
ると思う」と述べた。適応症を含め、医薬品の使用基準も定める必要があるとの認識
も示した。
横倉会長は 9 日に安倍晋三首相と会談した際、高額薬剤に関して、国民皆保険の中
で保険財政が崩壊しないようにするためにも「必要とする患者が使用できるような薬
価にしてほしい」と要請したという。
【MEDIFAX】
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●後発医薬品企業大手3社の2016年4~9月期連結業績集計表
会社名
売上高
日医工
沢井製薬
東和薬品
合
計
会社名
合
計
会社名
営業
利益率
伸び率
経常利益
経常
利益率
伸び率
8.9
11.0
3.5
4,039 ▲30.5
11,360 ▲ 2.1
2,323 ▲ 57.9
5.4
17.4
5.7
3,314 ▲ 35.5
11,326
▲ 1.0
383 ▲ 93.2
4.4
17.3
0.9
181,088
8.4
17,722 ▲ 22.8
9.8
15,023 ▲ 32.3
8.3
2,178
8,565
85
伸び率
▲ 39.7
0.8
▲ 97.9
10,828
▲ 32.9
純利益率
研開費
伸び率
3,516
29.3
4,815
41.6
4,771
28.1
2.9
13.1
0.2
6.0
13,102
通期売上高
予想
伸び率
4.7
167,000
16.4
7.4
134,500
8.9
11.8
88,400
7.7
研開費率
33.1
7.2
389,900
11.7
通期営業
利益予想
通期経常
通期純利益
通期研開費
次期研
予想
予想
伸び率 利益予想 伸び率
伸び率
伸び率 開費率
6,600 ▲ 48.9
5,700 ▲ 53.6
2,400 ▲ 78.2
9,107
86.8
5.5
23,500
1.4
23,300
1.2
17,500
2.0
9,700
21.0
7.2
7,200 ▲ 35.3
5,100 ▲ 49.8
3,600 ▲53.2
10,200
14.3
11.5
日医工
沢井製薬
東和薬品
合
(単位:百万円、%)
75,151
65,416
40,521
純利益
日医工
沢井製薬
東和薬品
営業利益
伸び率
第 14555 号
計
37,300 ▲ 21.0
34,100 ▲ 25.0
23,500 ▲ 34.5
●新薬系・薬局系後発品企業(事業)の2016年4~9月期業績
会社名
Meiji Seika ファルマ
日本調剤
日本ケミファ
あすか製薬
エルメッド エーザイ
日本化薬
キョーリン製薬HD
第一三共エスファ
田辺製薬販売
持田製薬
科研製薬
扶桑薬品工業
わかもと製薬
合
計
売上高
伸び率
29,007
33.0
7.4
(単位:百万円、%)
通期売上高予想
伸び率
20,300
18,722
14,922
13,779
13,523
10,900
10,321
9,900
6,800
6,100
5,984
2,194
1,429
▲1.8
21.8
2.0
27.7
2.8
▲ 6.0
39.8
15.6
3.3
30
▲ 9.1
1
6.9
47,900
46,271
33,040
―
28,500
23,200
21,500
―
14,400
11,500
12,700
―
2,850
11.3
41.9
9.2
―
0.0
▲ 1.3
39.0
―
4.4
7
▲ 4.5
―
4.9
134,874
9.1
241,861
▲ 7.0
【特記事項】伸び率など各社発表数値がない場合は日刊薬業で計算し、小数点第2位を四捨五入した▽百万
円未満の数値は切り捨て▽新薬系・薬局系は、後発品事業を手掛ける先発品企業や調剤薬局チェーン(系列
企業を含む)のうち、主な企業を日刊薬業が集計した▽一部企業の売上高はセグメント間売り上げ・受託製
造・長期収載品・バイオ後続品を含む
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日 刊 薬 業
2016 年(平成 28 年)11 月 18 日 金曜日
謹
第 14555 号
告
テルミサルタンに関する特許権について
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、テルミサルタンを有効成分とする単剤として、商品名:
ミカルディス®錠20mg、ミカルディス®錠40mg、及びミカルディス®錠80mgを、また、テルミサ
ルタンを有効成分として含む配合剤 として、商品名:ミコンビ®配合錠AP、ミコンビ®配合錠BP、ミカムロ®
配合錠AP、及 び ミ カ ム ロ ®配 合 錠 BPを 製 造 販 売 しております。これら商品に関しましては、日本国特許第
二七〇九二二五号、日本国特許第四七〇〇八一三号、日本国特許第四六〇六一六六号、日本国特許第四一
八一五〇三号、日本国特許第五一三四九六三号、日本国特許第五八七一二九四 号、日本国特許第五八三三
〇三七号、日本国特許第五七四二〇四五号、日本国特許第四九二九二四一号、日本国特許第四八七〇一六一号、
日本国特許第五一二九九一八号、及び日本国特許第五一六〇七四〇号に係る特許権が現在も有効に存続し
ております。
従いまして、上記特許権の存続期間中に当該特許発明の技術的範囲に属する医薬品について、製造、販売等
した場合には、上記特許権を侵害することになります。
テルミサルタンを有効成分とする医薬品の製造、輸入または販売を予定、計画されている企業におかれ
ましては、上記特許権の侵害行為のなきよう、十分にご留意いただきたく、お願い申し上げます。
平成28年11月18日
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
東京都品川区大崎2丁目1番地1号
ThinkPark Tower
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