音響システムにより、 看護師、介護士を支援する ナースコールシステム 福山大学 工学部 教授 スマートシステム学科 仲嶋 一 1 従来技術とその問題点 従来のナースコールシステム 各種センサー 患者状態をモニタ 単機能 検出漏れ 子機 見失い 呼出しスイッチ 音声ピックアップ 音量閾値 スピーカ 近隣ベッド への騒音 患者 スイッチ、音声にて呼び出し 緊急性のない 頻回コール 端末・PHS 呼出しの輻輳 看護師・介護士 患者側子機を通じて 対話。 音量閾値 2 従来の技術と課題(対話系) 従来技術 課題 患者の呼び出しで、看護師が 看護師の音声⇒子機より空 マイクにより患者と対話。 間音波として放出し、近くの 他患者の安眠の妨げ、療養 環境の悪化 音声認識機能付ナースコー 声量が閾値に到達しない可 ルシステム⇒システム起動に 能性。スイッチ式併用⇒重篤 設定閾値以上の音量必要 であればスイッチが判らなくな る・操作が困難となる可能性。 患者にイヤホンや小型マイク 就寝中等に患者が無意識に ロホンを装着 取り外す可能性。患者の不快 感。 3 従来の技術と課題(認識系) 従来技術 課題 頻繁な不急ナースコール⇒ ナースコールが輻輳 即応必要な患者の対応が遅 れる可能性 患者の状態、離床(徘徊)の 多数のセンサーの設置が煩 検知にセンサーマットやカメラ 雑でコスト増、画像によるプラ を使用 イバシーの問題 4 システム概要 認識ソフト系 対話ハード系 5 新技術の特徴・従来技術との比較 1.制限された音場の生成 • 超音波の自己復調作用とパラメトリック増 幅効果を用い、限定された領域に対話音 の音場を生成 • アレイスピーカの位相制御により超音波 の伝搬方向(=限定領域の位置)を耳の 位置に最適化 • 耳元から聞こえる音声により、看護師が 近くで話す臨場感を生成 限定音場生成手段 (超音波アレイスピーカ) 【従来技術との比較】 • 全方位への拡散音源である従来の対話 用スピーカーに対して、近隣のベッドへの 音の伝搬を低減 • 難聴者にもイヤホンの装着無しの対話を 可能とする 6 パラメトリックスピーカー 超音波マイク 超音波 スピーカアレイ 約20mm 凹面配置による超音波収束 集束距離での音圧分布 7 新技術の特徴・従来技術との比較 2.患者音声の選択的増幅 ・ 複数配置された音波ピックアップによるマイク装着不要の微 小音声の選択的取得 ・ 音声信号処理による音源の分離と各個の位置特定、並び に患者の口位置の追従による患者位置の変化に依存しない 音声の安定的選択増幅 特定位置音源増幅手段 【従来技術との比較】 • 固定されたマイクのため、 口の位置により患者の声 が聞き取りにくくなる場合 があった。 8 新技術の特徴・従来技術との比較 3.音情報による患者の位置の特定 ・ 口位置特定により、耳への音場限定領域の追従 (「1.制限された音場の生成」の機能構成要素) 限定音場生成手段 顔(口)位置検出手段 音分布情報 患者特徴フィルタ(音声、息遣い) 緊急度判定 患者動作推定手段 特徴量2次元分布・時系列変化 の深層学習 音分布解析手段 音源探索(短時間フーリエ変換等) 音特徴量抽出 ピックアップアレイ 9 新技術の特徴・従来技術との比較 2.音情報による患者の状態の推定 • 音特徴量(マット・ベッドきしみ音、擦れ音、呼吸音等)、その2 次元分布や移動パターンから深層学習を用いて患者の状態 を推定 • 上記深層学習により、脳梗塞(いびき)、寝返り、痙攣、せん妄 ・認知症による離床等の状態を推定し、看護師に警告を発生 限定音場生成手段 顔(口)位置検出手段 音分布情報 患者特徴フィルタ(音声、息遣い) 緊急度判定 患者動作推定手段 特徴量2次元分布・時系列変化 の深層学習 音分布解析手段 音源探索(短時間フーリエ変換等) 音特徴量抽出 ピックアップアレイ 10 新技術の特徴・従来技術との比較 2.音情報による患者の状態の推定 • 音特徴量(マット・ベッドきしみ音、擦れ音、呼吸音等)、その2 次元分布や移動パターンから深層学習を用いて患者の状態 を推定 • 上記深層学習により、脳梗塞(いびき)、寝返り、痙攣、せん妄 ・認知症による離床等の状態を推定し、看護師に警告を発生 離床検知のイメージ 【従来技術との比較】 • 看護師が対応しており、頻コールの 患者により緊急患者への対応に時 間遅れの発生する可能性があった。 • 病室、ベッドに種々のセンサを設置 する必要があった。また、カメラによ る監視ではプライベートの点で問題 となる場合もあった。 11 想定される用途 • 本システムは病院や介護施設にて適用可能である。 • 特に対話に対して難があり、せん妄・徘徊等のリスクの高 い特別養護老人ホームや特別病床、不安を抱きやすい 小児病棟への適用が考えられる。 • 特に小児病棟では夜間の寂しさに対してシステムが対話 することで、小児患者の精神的安定度を向上できる可能 性がある。 12 実用化に向けた課題 • 限定音場の領域の適正化と漏れ音の低減および対象者へ の追従。 • 複数の音波ピックアップによる音源位置特定をリアルタイム で行い、対象者音声の選択抽出を最適化するアルゴリズム の構築。 • 対話システムの組み込み • 2次元音源分布の算出アルゴリズム確立、2次元音源情報 の時系列データーの機械学習による対象者動作推定 • システムが患者との対話の中で対応できる範囲の見極め 13 企業への期待 • 対話システムに関しては、対象者追従、音源位置特定の各 機能の制限により、近い将来の実用化が可能と考える。 • 医療、福祉機器の開発中を行っている企業との共同研究を 希望する。 • 音による患者状態推定システムはデーターの積み上げが必 須であり、大学での基礎開発が必要であり、こちらに関して は意見交換できる関係構築を希望する。 • 両者が一致すれは、一貫した実用化連携の関係となり最善 である。 14 本技術に関する知的財産権 • • • • 発明の名称 出願番号 出願人 発明者 :ナースコールシステム :特願2015-159226 :福山大学 :仲嶋 一 15 お問い合わせ先 福山大学 社会連携センター 中村 雅樹 TEL 084−936 − 2111 FAX 084−936 − 2213 e-mail [email protected] 16
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