日本生殖医学会 2016 年 11 月 3-4 日(於:横浜) ART のためのセルモーションイメージングによるマウス卵の非侵襲的な 直接生存能力評価法について(第 2 報) Noninvasive direct viability evaluation of mouse eggs by cell motion imaging for ART ○水野仁二 1、乾 裕昭 1、菊地瑛子 1、野口香里 1、丹治百合 1、 濱端美紀 1、小提千歩 1、安斎 憲 1 1 乾マタニティクリニック、乾フロンティア生殖医療不妊研究所 【目的】 既存のタイムラプスモニタリングシステム(TLMS)は 10-30 分間隔の連続写真撮影により受精 後からの細胞分裂動態の解析に留まり、卵細胞内の瞬時の微細な動きを捉えることはできない。 そこで、TLMS にセルモーションイメージングシステム(SMIS=高解像度ビデオカメラ搭載)を追加 し、ラベルフリー非侵襲的に卵細胞内の微細な動きの連続的モニタリングに成功した事を第 34 回日本受精着床学会にて報告した。 本報告では更に解析を進め、取得画像データを GPU(Graphic Processing Unit)による高速演 算処理と動き解析アルゴリズムによってサブミクロンの細胞内の微細な動き(時間・空間)の定量 化を試み、卵の品質評価への利用と ART への適用の可能性を検証した。 【実験方法】 マウス卵(GV,M2,PN,2-8cell,CM,Blast)を LinKID dish(DNP 社製)の 1 個のウエルに動かぬように 6-7 個収納し、セルモーションイメージングシステム(SONY 株式会社 SI8000 シリーズ)にてインキ ュベート環境(37℃、5%CO2、湿度飽和)下にてラベルフリーの位相差顕微鏡にて高速連続動画像 を撮影した。イメージングの条件は、20 回/秒とした。取得データは GPU(Graphic Processing Unit)による高速演算処理と細胞の動き解析アルゴリズムによってサブミクロンの動き(時間・空 間)の定量化を試みた。 【結果及び考察】 マウス卵(GV,M2,PN,2-8cell,CM,Blast)の SMIS による観察と解析により、①単位面積当たりの 運動量、②運動速度は各々の発育ステージと卵内の位置によっても異なっていた。 今後 SMIS で捉えた卵細胞内の微細な動きと生物活性(代謝,ATP 産生量など)との関連性を明 らかにし、新たな評価システムとして ART への適用を目指したい。 (本研究開発の一部は福島県の第 5 次ふくしま医療福祉機器開発事業費補助金で行った。)
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