2016/ マーケット・フォーカス 11/11 投資情報部 シニアコモディティアナリスト 津賀田 真紀子 商品:金 トランプショックによるリスク回避続かず NY金先物相場は一時1,338.3ドルまで上昇したが、再び1,250ドル近辺にまで下落 財政出動による物価上昇期待で、米追加利上げの方向性は維持される可能性 2016年第3四半期の世界金需要は宝飾品を中心に減少。投資用需要も頭打ちに トランプショックによ るリスク回避続か ず。米追加利上げ観 測も下押し圧力に ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場が下落に転じている。11/9の未明 には、一時1トロイオンス=1,338.3ドルと9/27以来、約1ヵ月半ぶりの高値を付ける場面が あったものの、足元では再び1,250ドル近辺にまで値を落としている。 大方の予想に反し、米大統領選で政治実績のないトランプ氏の勝利が決まったこと で、市場では先行き不透明感から実物資産としての裏付けがある金にリスク資金が流れ 込む可能性があるとみられていた。 ただ一方で、トランプ氏は国内での道路や橋、空港等のインフラ整備を経済政策の 柱に据えていることから、公共投資への拡大期待も高まっている。財政政策の出動に よって米国経済の内需拡大につながれば、物価上昇期待が高まる可能性がある。結果 的に期待インフレ率の高まりにより、米連邦準備理事会(FRB)の利上げスタンスが維持 されることも考えられるだろう。仮に12月に追加利上げが行われるとすれば、NY金先物 相場に再び下押し圧力がかかることが予想される。金は金利を生まない資産であるた め、追加利上げによるドルの上昇は金相場にとって下押し圧力となる。 NY 金先物とドルインデックス 米国債券利回り差とNY金先物 (1オンス=ドル) 1,400 (日次:2016/1/4~2016/11/10) (1オンス=ドル) 1,400 (%) 1.3 1,350 (週次:2014/1/3~2016/11/4) 75 NY金先物(左目盛) 1,350 1.2 ドルインデックス(右逆目盛) 80 1,300 1,300 1.1 1,250 1,200 1,200 1.0 1,150 85 1,250 90 1,150 0.9 95 1,100 1,100 0.8 NY金先物(左目盛) 1,050 米国債利回り差 10年-2年(右目盛) 1,000 16/1 16/4 16/7 16/10 100 1,050 1,000 0.7 (年/月) 14/1 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 14/7 15/1 15/7 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1 16/1 16/7 105 (年/月) 2016/11/11 マーケット・フォーカス 世界の 金需要は 減 少。ETF経由の投資 需要も頭打ちに なお、金の実需は弱い。今週8日に金の調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル (WGC)が発表した2016年第3四半期の報告によると、7-9月期の世界の金需要は前年 同期比▲10.1%の992.8トンであった。特に宝飾品向け需要が弱く、同▲20.7%の493.1ト ンとなった。世界2大消費国である中国、インドの宝飾品需要は、それぞれ同▲21.9%、 ▲28.1%であった。また、公的機関も買い控えの姿勢が見られ、同▲51.4%の81.7トンと 振るわなかった。NY金先物相場が高値圏で推移していたことが背景にある。 一方、投資需要は上場投資信託(ETF)が好調なことから、同+44.4%の335.7トンと なった。英国の欧州連合(EU)離脱問題などを懸念した機関投資家が投資資金に組み 入れたことが背景にあるようだ。ただ、今年の第1、第2四半期の需要に比べると、ETF経 由の投資需要は減少に転じている。世界最大のドル建て金ETFであるSPDR(スパイ ダー)ゴールドシェアの現物保有高も今年7月以降、頭打ちの状態が続いている。 非商業筋のネットの買い持ちポジションはいまだ高水準を保っているが、徐々に買い 残が減少している現状を考えると、今後も積極的に買われる展開にはなり難いだろう。 SPDRゴールドシェア現物保有高とNY金先物 世界金需給 (四半期:2014/12~2016/9) (トン) 1,400 (トン) 200 1,800 150 1,700 100 1,600 50 1,500 0 1,400 ▲ 50 1,300 ▲ 100 1,200 ▲ 150 1,100 ▲ 200 (年/月) 1,000 (週次:2013/1/4~2016/11/4) (1オンス=ドル) (トン) 1,450 SPDR現物保有高(右目盛) 1,300 1,200 NY金先物(左目盛) 1,350 1,250 1,150 1,050 1,100 950 1,000 900 過不足(右目盛) 需要(左目盛) 供給(左目盛) 800 14/12 15/6 15/12 16/6 850 750 650 13/1 出所:ワールド・ゴールド・カウンシルのデータよりみずほ証券作成 13/7 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7 550 (年/月) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 世界金需要 C FT C 金 非商業筋ポジション (千枚) 400 (四半期:2015/9~2016/9) (トン) 1,400 14/1 買残(左目盛) 売残(左目盛) ネット(右目盛) 350 1,200 (千枚) 350 (週次:2013/1/1~2016/11/1) 300 300 250 1,000 800 工業用 200 公的機関 150 250 200 100 投資用 600 150 50 0 宝飾品 400 100 ▲ 50 ▲ 100 200 50 ▲ 150 0 15/9 15/12 16/3 16/6 16/9 ▲ 200 13/1 (年/月) 出所:ワールド・ゴールド・カウンシルのデータよりみずほ証券作成 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7 0 (年/月) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 22 2016/11/11 金融商品取引法に係る重要事項 マーケット・フォーカス ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化 等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料 をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税 込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含 む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込 むことがあり、損失を被ることがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与 えることがあります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が 当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売 却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市 場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商 品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および 諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。 詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金 に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、 約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別 途手数料および諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託 手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券 取引口座管理料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決 定した為替レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または お客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-161111-11 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 33
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