Weekly Market Report 1. 為替相場概況

発⾏:市場営業部
Weekly Market Report
Nov 7, 2016
FX, JPY Interest Rate, Topic
1. 為替相場概況
クリントン氏のメール問題を消化。12⽉利上げを⾒据えドル円は底堅く推移か。
USD/JPY (1週間の値動き)
クリントン氏メール問題
の影響で円高へ
週間安値102.55円
(出所)Bloomberg
コメント
先週はクリントン氏のメール問題を受けトランプ・リスクが意識され、週初105円近辺で推移していたドル円相場は、週末には103円台前半まで
下落して週の取引を終えている。週半ばに開催された⽇銀会合、米FOMCは共に事前予想通り現状維持となり、市場の注目は米⼤統領選
挙に集まった。クリントン氏のメール問題再捜査の報道後、世論調査でトランプ氏の巻き返しが伝わると、ドル円は一時102円台半ばまで下落
する場面も⾒られた。週末の米雇用統計は堅調な内容となり、12⽉の米利上げ観測は維持されたが、⼤統領選を前に値動きは限定的となっ
た。本⽇早朝、FBIがクリントン氏の訴追を求めない方針を表明したことで、ドル円は1円超急伸している。今週は米⼤統領選挙の投開票を控
えるが、今朝方のFBIの表明を受けて再びクリントン氏が優位に⽴つものと考えられる。トランプ・リスクの後退と12⽉利上げ観測を背景に今週の
ドル円は底堅く推移するものと予想する。
(市場営業部/川口)
USD/JPY(2年間)
今週の経済指標(予定)
日付
イベント
予想
11/8(火)
(中国)貿易収⽀
$51.9b
11/9(水)
(米国)⼤統領選投開票
-
11/9(水)
(⽇本)貿易収⽀(国際収⽀ベース)
¥669.5b
11/10(木)
(⽇本)機械受注(前⽉比)
-2.0%
11/11(⾦)
(米国)ミシガン⼤学消費者マインド
87.3
今週のレンジ予想(USD/JPY)
予想者
高野一歩
今村仁
今週のレンジ
予想のポイント
102.00-107.00 米雇用統計が堅調な結果となり、トランプ氏選出リスクは排除されつつあることからドル円は底堅い展開を予想する。
100.00-107.00
8⽇の⼤統領選次第の感、否めないものの、無難に消化すればドル円相場は下値の堅さが増す展開を⾒る。
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Nov 7, 2016
2. 円⾦利相場概況
国内要因では、動意乏しい。⽶⼤統領選の結果次第では債券高の展開か。
10年国債⾦利と債券先物 (1週間の値動き)
11⽉⽇銀オペ
計画公表
10年債利回り
債券先物
コメント
(出所)Bloomberg
先週の円債市場は、11/1に公表予定の⽇銀11⽉国債買入オペ計画を警戒し、積極的な売買が手控えられ動意を欠く展開でスタートし
た。注目された⽇銀の11⽉オペ計画は、市場参加者の一部が織り込んでいた『超⻑期の減額』とはならず、買いに安⼼感が広がり、超⻑
期を中⼼にイールドカーブはフラットニングした。今週は国内イベントでは、10年債、30年債入札、当該年限の⽇銀買入オペが予定されてい
るものの、9⽉の⽇銀会合以降の入札やオペが概ね良好な結果だった事や、⽇銀のイールドカーブコントロール政策を背景にロールダウン効
果を狙った投資家の動きも⾒られる事から、国内要因で円⾦利が上昇する可能性は乏しいだろう。また先⽉から続いていた欧米⾦利の上
昇も、米国⼤統領選への不透明感によるリスクオフムードに押され、債券高となっている状況であり、海外要因でも円⾦利の上昇圧⼒は限
定的と思われる。
(市場営業部/吉岡)
⾦利スワップ変化(1週間)
(%)
5年円⾦利スワップ推移(2年間)
(%)
今週のレンジ予想 (10年国債利回り)
予想者
後藤賢太郎
伊⾖浦有⾥恵
今週のレンジ
予想のポイント
-0.08%-
注目の米⼤統領選があるものの、⽇銀政策下で海外ネタへの感応度は鈍くなりつつあり結果如何に拘わらず動きは限定的か。
-0.04%
-0.08%-
米⼤統領選が波乱要因となるも、円債市場は⽇銀のイールドカーブコントロールが意識され、相場の重しとなるか。
-0.03%
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3. 今週のトピックス
⽇本国債の投資家動向アップデート
⻑期債、超⻑期債の国債市場でも海外勢の存在感が強まる可能性。
日銀の保有シェアは引き続き上昇。
⽇本国債保有シェア推移(国庫短期証券含む)【図1】
⽇本銀⾏(以下、⽇銀)から公表されている「資⾦循環統計」
によると、国債・財投債、国庫短期証券を含む残高(以下、国
債残高)は2016年6⽉末時点で1,100兆円を超える状況と
なっている。
また当該統計の国債残高の部門別の保有シェア(図1)を⾒
ると、⽇銀の保有シェアは2016年6⽉末時点で36%まで上昇
しており、発⾏された国債の3分の1以上を⽇銀が保有している
状況である。このように保有シェアの観点からも、⽇銀の国債買
入の限界が到来する蓋然性が高まっていたが、⽇銀は9⽉の政
策決定会合にて⼤規模な国債購入による緩和政策から、イー
ルドカーブのコントロールを主眼とする『⻑短⾦利操作付き量的・
質的緩和政策』へ舵を切った。
(出所:⽇本銀⾏、資⾦循環統計)
国庫短期証券は海外勢の買付シェア60%超。
海外勢銘柄別買付シェア推移【図2】
⽇本証券業協会が公表している「国債投資家別売買高」に
よると、2016年9⽉末から過去1年間の海外勢の⽉平均買越
額は18兆円超となっている。
海外勢の銘柄別買付シェア(図2)については、国庫短期証券
の買付シェアは上昇傾向にあり、過去最高レベルとなっている。ま
た2016年6⽉末時点の「資⾦循環統計」による国庫短期証
券の保有シェアは、⽇銀が47%、海外勢が45%となっており、
マイナス⾦利が常態化した環境下、国庫短期証券は海外勢中
⼼のマーケットとなっている事がわかる。
⻑期、超⻑期債では買付シェアは10%程度で横這いである
が、中期債は、シェア20%程度まで上昇しており、2016年9⽉
末時点で20ヶ⽉連続の買い越しとなっている。
⻑期、超⻑期債でも海外勢は3ヶ⽉連続の買い越し。
⽇銀のマイナス⾦利導入以降、国債利回りは低下していたが
、7⽉⽉初に最低水準の利回りを記録して以降は⾦利上昇に
転じた。9⽉は⽇銀政策決定会合での総括的検証を⾒据え、
イールドカーブのスティープ化が進んだ。
直近3ヶ⽉の⻑期債、超⻑期債の投資家別買越額(図3)を
⾒ると、国内勢、特に地方銀⾏は7⽉は買越しとなったが、8⽉
、9⽉の⾦利上昇局面では、損失回避の為、売り越しとなった。
一方、海外勢は、8⽉、9⽉の⾦利上昇局面で⻑期債、超⻑
期債を積極的に積み増している。
海外勢にとって円を割安に調達出来る環境にある事や、⽇銀
のイールドカーブ・コントロール政策によって、ロールダウン効果も
期待出来る事もあり、今後⻑期債以上のマーケットでも海外勢
の存在感が強まる可能性がある。
(市場営業部/吉岡)
(出所:⽇本証券業協会)
直近3ヶ⽉の投資家別買越額(⻑期債+超⻑期債)【図3】
(出所:⽇本証券業協会)
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