繊維の種類 衣料用繊維の種類を分類すると下記のようになります。 繊維名 メリット デメリット 綿 吸湿性があり丈夫。熱にも強い シワになりやすく収縮しやすい 通気性がよく、清涼感がある シワになりやすく、摩擦で毛羽立つ シルク 光沢があり、しなやか 日光で黄変、劣化する。虫害にあいやすい ウール 保温効果が高く弾力性がある 縮みやすく、虫害にあいやすい テンセル 熱に強く、染色性に優れる 収縮しやすい レーヨン 光沢があり、着心地がよい 水に弱くシワができやすい キュプラ 吸湿性がよく、縮みにくい 摩擦により毛羽立ちやすい ポリノジック レーヨンより強く、アルカリに強い シワになりやすい アセテート 光沢があり、シワになりにくい 吸湿性が低く、変色しやすい 熱に強く、弾性に富む 吸湿性が低い プロミックス シルクに似た光沢がある 熱に弱く扱いにくい アクリル 羊毛に近い風合いがあり、カビ・虫に強い 熱に弱く、日光で変色しやすい ポリエステル シワになりにくく非常に強い素材 吸湿性が低く染色しづらい ナイロン シワになりにくく弾性が強い 日光で変色しやすい ポリウレタン 伸縮性が大きく、強くて丈夫 摩擦に弱く、2~3年で劣化する 植物繊維 麻 天然繊維 動物繊維 指定外 再生繊維 半合成繊維 トリアセテート 科学繊維 合成繊維 植物繊維 植物繊維は綿と麻が一般的に知られています。綿は肌触りがよく、吸水性のある素材として親しまれています。また、麻は清涼感のある夏向きの素 材として知られています。 動物繊維 動物繊維は、絹(シルク)、羊毛(ウール)、そして、その他の獣毛繊維の三つに分けることができます。獣毛繊維、羊毛、 カシミヤ山羊、ラクダ、モヘ ア、 アルパカ 、 アンゴラなどがあります。 指定外繊維 指定外繊維で有名なのはアコーディスファイバー社の商標名“テンセル”、レンチング社の商標名“レンチングリヨセル”です。 成分はレーヨンや綿と同じセルロースで構成され、基本性能も同じですが、レーヨンより強く、水につけても膨張しないなどの特徴があります。 再生繊維 再生繊維とは、レーヨンやキュプラのようにパルプ(木材のくず)や 綿花のくずなど天然に存在するもののセルロースを、溶かして繊維に再生したもの です。 半合成繊維 半合成繊維とは、合成繊維と再生繊維の中間的なもの。セルロースなどの天然の高分子物質を化学的に処理してエステルなどの形に変え、繊維に したものです。 合成繊維 合成繊維とは、綿や絹などの天然繊維に対し、純化学的に合成された高分子からできた繊維のことです。 天然繊維 天然繊維は人工的に作られたものではない繊維のことです。主に植物繊維、動物繊維、鉱物繊維があり、科 学的な加工がされていないものを指します。 1.綿(コットン) 天然繊維の中で、最も衣料に多く使われています。吸湿性が良く、強くて丈夫です。アイロンを直接当てても 熱に強いため長持ちします。水洗いをすると縮んだり、シワになります。また染色してある衣料は色が落ちて いく特徴があります。 衣料で代表的なものは綿素材のTシャツやトレーナー、シャツです。肌触りが良く汗も吸うため着心地が良い のです。 綿は原産国によって繊維の長さが違います。主に短繊維綿、中繊維綿、長繊維綿があります。 最も長いのは超長繊維綿です。長いほど上質な綿です。最近はユニクロなど一般的な量販店でも使用される ことが多くなり、身近な素材になってきました。 他に有名なブランドとしてはチャンピオンのトレーナーなども上質な綿を使用しています。 2.麻(リネン) 春夏物の衣料によく使われています。温かみのない素材のため、着心地がとても涼しく感じるのです。 代表的な衣料はシャツです。最近では多くのブランド、メーカーが定番の夏衣料として発売しています。 麻は衣料品に使用される素材の中で最も耐久性があります。しかし取り扱いに注意が必要な点がいくつかあ ります。 水洗いによる縮みとシワが表れます。また、色落ちもするのです。洗濯は手洗いにて行い、脱水後は型を整 えることが必要です。 3.毛(ウール) 家庭用品品質表示法で、動物の毛であれば全て毛と表示してよいことになっています。 その中で大半を占める毛がウール(羊毛)です。そのため厳密には毛=ウールとはなりません。 また、カシミヤ、アルパカ、アンゴラ、モヘア、キャメルも毛になります。 ウール同様にこれらも毛の他に動物の名前の表示が認められています。 衣料に使用される毛の大半がウールです。ウールは弾力性があり膨らみがある、シワになりにくいなどの良 い点があります。何より温かみがあります。そのため、冬物衣料には欠かせない素材です。 最近は高級ウールと称されるメリノウールが多く見られるようになりました。 ウールの中でも産地により品質が変わります。きめ細かさ、肌触り、温かみなどが違いに表れるのです。 また、デメリットは水洗いにより縮みます。また、虫に食われるなどがあります。ウール以外の原料にも特徴 があります。 カシミヤ カシミヤはアジア大陸の寒暖の差が激しい内陸部の高地や山岳地方で飼育されている「カシミヤ山羊(Capra Hircus Laniger)」の産毛です。カシミヤは繊維がきめ細かいため肌触りがよく、さにウールに比べても伸びがあ るため着心地が良いのです。 アルパカ アルパカはアンデス地方のマイナス20℃にもなる厳しい環境で飼育されています。繊維の中に空洞があるた め軽く、保温効果に優れています。 保温性はウールやカシミアよりも優れていると言われています。ウールのような毛玉もできず、シワにもなり にくいのが特徴です。 アンゴラ アンゴラ(Angora fiber)は動物繊維の一種で、アンゴラヤギ、もしくはアンゴラウサギの毛またはそれを織った 布のことを言います。通常アンゴラは、ウールやナイロンなどと混紡され、コートやセーターなど防寒着用素材 として利用されるが多いです。軽いですが、毛が落ちやすいデメリットもあります。 モヘア モヘア(mohair)は、アンゴラヤギ(Angora goat)の毛から作った織物です。アンゴラウサギ (Angora rabbit) の 毛と同じという話もあります。主にスーツやセーター、ショールに使われます。 キャメル ふたこぶラクダというラクダのことです。旧ソ連南部、中国西北部、中央アジアなどに生息しています。。ラク ダには一こぶラクダと二こぶラクダの二種類いますが、衣料用に使われるのはふたこぶラクダのものです。生 産量は羊毛のわずか0.14%程度のため、きわめて稀少な繊維で高級品です。 4.絹(シルク) 天然繊維の中で、日本で生産される唯一の原料です。蚕の繭から取った動物原料です。 軽くて丈夫、柔らかい、光沢感がありしなやかな風合い、保温性と吸湿性に優れているなどのメリットがありま す。デメリットは家庭での洗濯が困難であること、シミになりやすい、光に当たることで変色しやすい点があり ます。 絹は日本で生産されていることはもちろん、アジアではベトナム、タイ、カンボジアなども有名です。 衣料でシルク製は比較的、高級とされる傾向があり高価です。高級ブランドに使用される傾向があります。 化学繊維 化学繊維は再生繊維、半合成繊維、合成繊維があります。これらは人工的に作られた繊維です。 ここではナイロン、ポリエステルなど衣料に使用される一般的な素材まで説明します。 5.再生繊維 再生繊維には、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセルがあります。 レーヨンとポリノジック、リヨセルは木材パルプが原料です。 キュプラは綿を元にして作られた繊維です。パルプや綿を化学的に作り変えた繊維のため、再生繊維と呼ば れています。 以下の特徴があります。 絹に似た風合い 吸湿性がある 水に濡れると強度が低下する プリーツ性はない 縮みやすい レーヨン、キュプラなどはコートやアウター、スーツの裏地に使用されることが多いです。さらりと袖通しが良 いです。 ただし、伸び感がないため衣料を選ぶ際は試着をされることをお勧めします。 6.半合成繊維 半合成繊維には、プロミックス、トリアセテート、アセテートがあります。 聞きなれない繊維ですが、アセテートは衣料に使われることがあります。 半合成繊維は、天然物質と化学物質を混ぜて作られた繊維です。両方の特徴が活かされています。 半合成繊維の特徴は以下になります。 さらりとした風合い 軽い プリーツ性がある アセテートは強度がない アセテートはシワになりやすく、シワが取れずらい 7.合成繊維 合成繊維で衣料によく使われる素材はポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタンです。 原料は石油です。共通の特徴は以下になります。 強度がある 軽い プリーツ性がある 虫やカビに強い 吸水性が低い 静電気が起こりやすい ナイロン ウインドブレーカー、スキーウェアなど冬用のスポーツウエアなどの衣類に用いられています。 最近は強化ナイロンが広く普及し始めており、旅行バック、カジュアルバック、ビジネスバックにもよく使われ ています。 ポリエステル ポリエステルは、混紡や撚り合せをすることで強度の高い糸を作ることができます。衣類では綿素材との混 紡でセーターやワイシャツ、ユニフォームなどに使用されます。 ポリエステルを混紡することでシワになりにくく、縮みにくくなるため、衣料が長持ちする傾向があります。 アクリル ジャージやセーター、靴下など様々な服飾品に使用されます。ナイロン、ポリエステルと同様に型崩れ、ゆが みなどを避けることが出来ます。 また、混紡することで色を綺麗に出せるというメリットがあります。 ポリウレタン ポリウレタンの最大の特徴は伸びることです。 主にスポーツウェア、ゴルフウェアやテニスウェアのインナーに活躍します。 最近ではアンダーウェアやカジュアルパンツ、スーツにいたるまで様々な衣類に混紡されています。 指定外繊維 家庭用品品質表示法では、日本で販売される全ての衣料に、素材の表示が定められています。 表示できる素材は決まっており、その素材に当てはまらないものが指定外繊維です。モダール、リヨセル、テ ンセルなどがあります。 品質表示タグには指定外繊維と記載され、繊維名か商標名が一緒に記載されています。 中には聞きなれない素材もありますので確認されるようにしてください。 繊維は世界共通の素材 インポートの服のお手入れなど、素材を正しく取り扱うために、各外国語の言葉や表記を参考にしましょう。 日本語 英語 イタリア語 フランス語 ドイツ語 綿 毛 絹 麻(亜麻) 麻(苧麻) レーヨン※1 ポリノジック※2 キュプラ※3 アセテート※4 トリアセテート※5 プロミックス※6 ナイロン※6 ビニロン※7 ビニリデン※8 ポリ塩化ビニル※9 ポリエステル※10 アクリル※11 アクリル系※12 ポリエチレン※13 ポリプロピレン※14 ポリウレタン※15 ポリクラール※16 ベンゾエート※17 ガラス 麻(大麻) 麻(黄麻) リヨセル※18 Cotton Wool Silk Flax, Linen Ramie Viscose Rayon Polynosic, Modal Cupro, Cuprammonium Rayon Acetate Triacetate Promix Nylon Vinylon Vinylidene Polyvinyl Chloride Polyester Acrylic Modacrylic Polyethylene Polypropylene Polyurethane Polychlel Benzoat Glass Fiber True Hemp Jute Lyocell Cotone Lana Seta Lino Ramie Raion Cupro Acetato Triacetato Coton Laine Soie Lin Ramie Rayonne Polynosique Cupro, Cuprammonium Acetate Triacetate Baumwolle Wolle Seide Flachs, Leinen Ramie Kunstseide, Rayon Polynosic Kupferseide Acetat Triacetat Nailon Nylon Nylon Vinilide Cloruro di Polivinide Poliestere Fibra acrilica Polietilene Polipropilene Poliuretane Vinylide Chlorure Polyvinylique Polyester Acrylique Modacrylique Polyethylene Polypropylene Polyurethane Vinilid Polyvinyl chlorid Polyester Acryl Modacryl Polyathylen Polypropylen Polyurethan Fibra di Vetro Canapa Juta Lyocell Fibre de verre Chanvre Jute Lyocell Glasfaser Hanf Jute Lyocell 1. ※1 商品名:モダール、Viloft、トービス 2. ※2 商品名:ベンベルグ 3. ※3 商品名:テイジンアセテート、Rhodia 4. ※4 商品名:ソアロン 5. ※5 商品名:シノン 6. ※6 商品名:東レナイロン、Perlon、Cantrece、Nomex、Antron 7. ※7 商品名:ビロン 8. ※8 商品名:サラン 9. ※9 商品名:テビロン 10. ※10 商品名:テトロン、Diolen、Dacron、Fortrel、Tergal 11. ※11 商品名:ボンネル、ピューロン、シルパロン、カシミロン、Courtelle、Dolan、Dralon、Dunova 12. ※12 商品名:カネカロン、Verel 13. ※13 商品名:ハイゼックス、カネライト 14. ※14 商品名:パイレン、ポリプロ 15. ※15 商品名:エスパ、Lycra、ライクラ、スパンテックス 16. ※16 商品名:コーデラン 17. ※17 商品名:リヨセル
© Copyright 2024 ExpyDoc