2016/11/7 2016/11/08 男性生殖器（後半） 前立腺編 済生会野江病院 病理診断科 渋谷 信介 解剖の復習 The Ciba Collection of Medical Illustrations Vol. 2 1984 前立腺 水平断肉眼像 尿道 Transition zone McNeal’s model of zonal anatomy of the prostate. Mills, Sternberg’s Diagnostic Surgical Pathology 6 th Ed., LWW, 2015 前立腺 組織学の復習 組織学の復習 前立腺小室 Peripheral zone Zhou and Magi-Galluzzi Genitourinary Pathology 2nd ed. Elsevier 2015 1 2016/11/7 前立腺 組織学の復習 組織学の復習 分泌細胞と基底細胞の二相性（二細胞性） 前立腺 組織学の復習 組織学の復習 分泌細胞と基底細胞の二相性（二細胞性） 前立腺過形成 prostatic hyperplasia ・定義：上皮および線維筋性間質の過剰増殖による細胞増 p63免疫染色 組織学の復習 p63は基底細胞の核に陽性 高分子量ケラチン免疫染色 組織学の復習 高分子量ケラチンは基底細胞の細胞質に陽性 前立腺過形成 prostatic hyperplasia ・症状：排尿困難と前立腺の腫大 加の結果生じる、良性の前立腺腫大 増悪すると頻尿、尿意切迫、尿失禁、尿閉 ・前立腺肥大症、結節性過形成ともいう PSA（prostatic specific antigen, ・移行帯（transition zone, TZ領域)と尿道周囲の過形成 が多い ・50歳以上の男性に普通 ▪アジア人よりも白人に多いとされ、年齢とともに頻度上昇 前立腺特異抗原）上昇 ・治療：αブロッカー, 5-α-還元酵素阻害剤内服 TURP（ transurethral resection of the prostate 経尿道的前立腺切除術） 2 2016/11/7 前立腺 水平断肉眼像 Zhou and Magi-Galluzzi Genitourinary Pathology 2nd ed. Elsevier 2015 切除組織、肉眼像 前立腺過形成 水平断肉眼像 日本病理学会 病理コア画像 切除組織、肉眼像 前立腺過形成 水平断肉眼像 日本病理学会 病理コア画像 切除組織、肉眼像 腺性過形成 日本病理学会 病理コア画像 切除組織、肉眼像 間質性過形成 前立腺腫瘍 日本病理学会 病理コア画像 3 2016/11/7 WHO前立腺腫瘍分類 2016 前立腺腫瘍分類のポイント ・腺癌 vs. ・それ以外 WHO Classification of Tumours of the Urinary System and Male Genital Organs, 2016 国立がんセンター 2016年癌統計予測 国立がんセンター 2016年癌統計予測 http://ganjoho.jp/reg_stat/ statistics/stat/short_pred.html 国立がんセンター 2015年癌統計予測 前立腺腺癌 adenocarcinoma ・欧米では（最近では日本でも）、男性の癌の中で 最も罹患率が高い ・腺房acinusを起源とする腺癌が大部分を占める ・前立腺の先端部や皮膜側を含む辺縁帯 (peripheral zone、PZ領域) に好発する http://www.ncc.go.jp/jp/information/press_release_20150428.html 4 2016/11/7 前立腺腺癌 adenocarcinoma 前立腺腺癌 adenocarcinoma ・癌細胞は前立腺特異抗原 prostate specific antigen (PSA)を産生し、これを血中マーカーとして 早期発見のためにスクリーニングが行われる ・造骨性の骨転移が特徴である ・肉眼的に癌胞巣は不明瞭または明瞭 前立腺腺癌 adenocarcinoma 前立腺腺癌 adenocarcinoma 前立腺腺癌 adenocarcinoma 前立腺腺癌 adenocarcinoma ・組織学的に癌細胞は、核小体が明瞭な円形核を 有し、淡明な細胞質を示すのが定型的 ・基底細胞と分泌細胞の二相性（二細胞性）が消失 する ・管状や癒合管状、充実性や索状、孤立散在性の 増殖パターンを示す ・壊死を伴うこともある 5 2016/11/7 前立腺腺癌 adenocarcinoma 前立腺腺癌 adenocarcinoma 前立腺腺癌 adenocarcinoma 前立腺腺癌 adenocarcinoma 前立腺腺癌 adenocarcinoma 前立腺腺癌 adenocarcinoma 6 2016/11/7 前立腺腺癌 adenocarcinoma 免疫染色 p63 と P504S p63：基底細胞の核に陽性 P504S (α-methylacyl-CoA Racemase, AMACR) ：前立腺癌細胞の細胞質に顆粒状に陽性 p63陽性, P504S陰性→基底細胞ある→二相性→非癌のパターン (鎖線より左） P63陰性, P504S陽性→基底細胞なし→二相性消失→癌のパターン （鎖線より右） 前立腺腺癌 adenocarcinoma 免疫染色 高分子量サイトケラチン 高分子量サイトケラチン： 基底細胞に陽性 免疫染色陽性→基底細胞ある→二相性→非癌のパターン (鎖線より右） 免疫染色陰性→基底細胞なし→二相性消失→癌のパターン （鎖線より左） Gleason Grading System Gleason Grading System ・組織構築パターンによって評価する Gleason score (GS) が悪性度の指標となる ・管状構造が明瞭な分化型腺癌～充実性に増殖 する低分化な腺癌を構築パターンにより、Gleason pattern1-5に分け、主たる成分を先にし、Gleason score 3+4=7などと記載する ・GSが大きいほど、予後不良 Original 2005 ISUP 2014 ISUP Zhou and Magi-Galluzzi Genitourinary Pathology 2nd ed. Elsevier 2015 7 2016/11/7 Gleason Grading System ・GS 1+1=2 から GS 5+5=10 までの組み合わせ が存在しうるが、実際の医療現場では Gleason 3+3以上が多い 区別出来る？ 区別出来る！ GS (primary + secondary) 1 primary 2 pattern 3 4 5 secondary pattern 1 2 3 4 5 2 3 4 5 6 3 4 5 6 7 4 5 6 7 8 5 6 7 8 9 6 7 8 9 10 前立腺腺癌 adenocarcinoma Pattern 3 Genitourinary pathology 2nd ed. LWW 2015 Grade Group 分類 ・近年、GSによる予後解析の結果から、下記の grade group 分類が提唱された（WHO 2016） Grade group 1 Grade group 2 Grade group 3 Grade group 4 Grade group 5 ： ： ： ： ： GS ≦6 GS 3+4=7 GS 4+3=7 GS 8 (4+4 or 3+5 or 5+3) GS 9 or 10 前立腺腺癌 adenocarcinoma Pattern 4 Genitourinary pathology 2nd ed. LWW 2015 前立腺腺癌 adenocarcinoma 陰茎編 Pattern 5 Genitourinary pathology 2nd ed. LWW 2015 8 2016/11/7 組織像 陰茎断面 解剖の復習 陰茎断面 The Ciba Collection of Medical Illustrations Vol. 2 1984 Ross and Pawlina Histology 6th ed. LWW 2011 組織学の復習 亀頭のHE像 陰茎腫瘍分類のポイント ・扁平上皮腫瘍 vs. ・それ以外 ・浸潤あり vs. ・浸潤なし Genitourinary pathology 2nd ed. LWW 2015 扁平上皮癌 Squamous cell carcinoma 扁平上皮癌 Squamous cell carcinoma penile ・発展途上国に多い。特に南アメリカ ・米国およびヨーロッパの悪性腫瘍中 0.4-0.6% ・アジア、アフリカ、南アメリカの悪性腫瘍の 20-30% ・高齢者 50-60代 ・割礼経験者にはまれ ・HPV感染との関連が強い組織（亜）型が知られる WHO Classification of Tumours of the Urinary System and Male Genital Organs, 2016 9 2016/11/7 切除組織、肉眼像 陰茎扁平上皮癌 (SCC, usual type) 切除組織、肉眼像 陰茎扁平上皮癌 (SCC, usual type) G H I Moore and Dalley Clinically oriented anatomy 4th ed. LWW 1999 扁平上皮癌、表層部 扁平上皮癌、深部 10 2016/11/7 角化と細胞間橋 乳房外Paget病 Extramammary Paget disease 静脈侵襲 乳房外Paget病 肉眼像 ・外陰部などの重層扁平上皮に発生する上皮内腺癌 ・陰嚢、鼠蹊部、会陰、肛門周囲から陰茎に進展 ・陰茎のみは極めてまれ ・桃色から赤色の局面、落屑を伴うことがある ・境界は明瞭あるいは不明瞭 ・60-70代 ・初期は湿疹との鑑別が問題 ・淡明な胞体と大型核を有する腺癌細胞の上皮内増殖 Zhou and Magi-Galluzzi Genitourinary Pathology 2 nd ed. Elsevier 2015 乳房外Paget病 肉眼像 乳房外Paget病 組織像 67歳 男性 陰嚢 11 2016/11/7 乳房外Paget病 組織像 12
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