“そん出会い、牛さぁつなぎもす” プロジェクト

“そん出会い、牛さぁつなぎもす”
プロジェクト
大口明光学園高等学校
高2B クラス
=政策の要旨=
我らが伊佐市を元気にしたい。そんな思いを持つ私たち女子高生が政策アイデアを考える
にあたって、まずは当市の現状を調査しました。すると、浮かび上がってきたのは極めて深
刻な少子・高齢・過疎化。全国的な市町村の衰退が見られる中、大好きな伊佐市も例外では
なかったのです。この事実を目の当たりにした私たちは、当市の特産品から改善策を見出す
ことにしました。現在伊佐市は県内屈指の米どころと言われており、そのおいしさは地元民
もお墨付きのものです。しかし調査を進める中でわかったのは、農業収益の大部分を養豚、
次いで肉用牛の生産が占めるということでした。ここから私たちは、現在稲作の陰に隠れて
しまっている畜産、その中でも新規経営が容易な肉用牛の飼育に光を当てる「“そん出会い、
牛さぁつなぎもす”プロジェクト」を発案しました。全国に先駆けて遠隔地管理システムを
導入し、伊佐市内のシェアハウスにおける生活の中で牛を飼育していくという内容の当プロ
ジェクトは、その過程の中で、牛とシェアハウスの住人、彼らと伊佐市民、色々なものをつ
ないでくれます。“牛さぁ”がつなぐこの幸せを、この伊佐市で体験しませんか。
我らが伊佐市を元気にする政策提言
H27.11.13 大口明光学園高等学校
高校 2 年 B クラス
1 伊佐市って?
はじめに、私たちの住む町、伊佐市についてお伝えします。
【資料 A】より伊佐市は現在、総人口 27,159
人、そのうち生産年齢人口が 13,636 人(全体の 50.2%)、老年人口が 10,444 人(全体の 38.4%)です。
そしてさらに 2040 年には総人口は 18,003 人まで減少、生産年齢人口は 8,196 人(全体の 45.5%)老年
人口は 7,937 人(全体の 44%)となります。また、
【資料 B】は、2040 年の人口構成ピラミッドです。
これを見たとき、90 歳以上の女性の人口帯の数値の高さに驚きます。1005 人(女性の総人口の 5.58%)
が 90 歳以上となります。こうしたデータを目の当たりにし、私たちは自分の住んでいる伊佐市が極めて
深刻な少子・高齢、過疎の状態にあることを痛感しました。
【資料 A】
【資料 B】
それでは、どのようにしてこの伊佐を活気づけることができるか?
私たちは何度も話し合いを重ねました。大型ショッピングモールや娯楽施設を誘致するなどの意見も
でましたが、一時的な人口増にしかならず、なにより伊佐は交通アクセスが悪いため永続的な活性化に
はつながらない、となりました。そもそも日本全国人口が減っていく中で、伊佐のみが急激に人口を増
やすというのはかなり困難であるという結論にいたりました。
【資料 C】
(日経 BP 社
6000
4000
そこで、伊佐の魅力を発見すべく産業につい
伊佐市民の就業者の推移
人数
10000
8000
伊佐市市民向けワークショップ資料より)
7411
6248
4854
7512
7657
5398
5347
4771
2000
3890
7953
4644
3180
8011
てしらべていくこととなりました。まず、私た
7696
この地域は、稲作を主とした農業地帯」でし
3778
3156
3008 2536
0
1985
1990
第一次
1995
2000
第二次
ちのイメージでは、
「伊佐の特産品は米であり、
2005
第三次
2010
た。しかし、農業を生業とする人は年々減少す
る傾向にあり、2010 年時点で第一次産業に就
いている人は第二次、第三次に対して、19%
と非常に低くなっています。
【資料 C・D】
【資料 D】
(日経 BP 社
これは、伊佐を農業地域だと思っ
伊佐市民の就業者の推移
割合
100
80
伊佐市市民向けワークショップ資料より)
40
42
45
ていた私たちのイメージとはちょ
っと違っていました。
50
54
57
60
40
20
26
34
しかし、住んでいる自分たちが抱
31
32
29
26
27
23
20
20
19
1990
1995
2000
2005
2010
0
1895
24
第一次
第二次
第三次
いているイメージは活かしたいと
いうことで、やはり農業での地域活
性化を考えてみることとしました。
【資料 E】をみてみましょう。こ
れは、伊佐市の農業部門別販売金額
です。
【資料 E】
ここからわかるように、伊佐市の農業収益の約 40%が養豚、次いで肉用牛(24%)、稲作(20%)と続
きます。
これも私たちにとっては驚きで、毎日生活していながら、畜産が盛んだと思ったことはまったくあり
ませんでした。伊佐は「とにかく米!」そう思っていました。
下の【資料 F】は平成 26 年農林水産省の鹿児島県畜産統計です。
【資料 F】
(伊佐市役所農政課
区分
肉用牛
項目
鹿児島
県a
本県の順位
全国 b
九州 c
全
九
国
州
a/b<%>
a/c<%>
調査年
月日
飼養戸数(戸)
9,690
57,500
25,200
1
1
16.9
38.5
H26.2.1
飼養頭数(頭)
333,200
2,567,000
921,200
2
1
13
36.2
H26.2.1
34.4
44.6
36.6
34
5
76.2
94
H26.2.1
肉牛と畜頭数
110,187
1,227,764
291.895
2
1
9
37.7 H25
産出額(億円)
880
5,197
2,232
1
1
16.9
39.4 H25
飼養戸数(戸)
637
5,587
1,700
1
1
11.4
37.5
H26.2.1
1,332,000
9,537,000
3004,000
1
1
14
44.3
H26.2.1
2091.1
1,707
17,671
12
2
122.5
118.3
H26.2.1
2,763,259 16,940,368 4,996,448
1
1
16.3
55.3 H25
1
1
12
41.6 H25
1 戸当たり飼養頭数
豚
資料)
飼養頭数(千
頭)
1戸当たり飼育頭数
肉豚と畜頭数
産出額(億円)
695
5,793
1,672
これによると、平成 26 年は、肉用種飼育頭数は 333,200 頭で第二位、豚飼育頭数は 1,332,000 頭で第
一位となっています。生産出荷量も、肉牛のうち、和牛、去勢牛、雌牛は第一位、豚でも第一位となっ
ています。このことから、伊佐市を含む鹿児島県は畜産王国であることがわかります。
こうしたデータから、この畜産で地元が元気になる未来を想定していくことにしました。
次に【資料 G】をみてみましょう。これは鹿児島・宮崎を中心とする九州南部地域の主要作物マップ
です。肉用牛の生産地(水色)の多さが目をひきます。これに対し、養豚(ピンク色)は九州南部に散
在しており、しかも自治体数も少ない印象です。
【資料 G】
伊佐市
2 豚!
これだけの豚肉・牛肉の生産量を誇る鹿児島県において、養豚を主とする地域は少なく、そしてその
数少ない地域に私たちの伊佐市が属することに注目しました。伊佐市では、
平成 27 年 2 月現在で、
136,000
頭の豚が飼育されています。養豚に特化した生産を行い、地域性を持たせて全国、また外国に売り出せ
ないか、と考えました。
日本人が一番多く食べる肉、それは、豚肉です。2012 年の調べでは、日本人一人当たりの消費量は2
0キログラムであることがわかりました。牛が 9.8 キログラム、鶏が 17.3 キログラムに比べて、かなり
多いことがわかります(米国農商務省資料および IMF 公表データより)。
地元のスーパーの精肉売り場の担当者の方にお話を伺いました。すると、そのお店での売り上げ割合
が牛2:豚4:鶏2:その他肉の加工食品2であることがわかりました。このように、豚肉はたくさん
の人に食べられています。また、そのスーパーでは牛・鶏と異なり豚肉は 1 年契約でバイヤーが買い付
けるとのことでした。牛などに対して品質差が小さいことがその理由だそうです。それゆえ豚肉は価格
変動も小さいとのことでした。
稲作や肉用牛の生産も養豚業へシフトさせ、伊佐でより多くの豚肉を生産、国産でありながら低価で
全国、また、海外に出荷することが出来たらと思い、更に豚肉や養豚業について調べました。
しかしその中で、養豚をやっていくことが易しいことではないことがわかりました。
伊佐市役所・農政課の方にお話を伺いました。その中で出てきた養豚の主な難点が次の5つです。
養豚が難しい5つの理由
① 企業経営が多い
伊佐市では、先ほど述べた飼育頭数の約 74%が一企業によるものでした。つまり一企業が伊佐の 13 万
頭の豚のうち、10 万頭を飼育しています。こうした大規模経営がほぼ独占で生産をしている中で、新規
に経営を始めることが難しいようです。
② ふん尿処理に多額の費用がかかる
豚はふんが一日に 2.1 キログラム、尿が 3.6 キログラムとかなり多いです。水分が多いため、微生物
が分解できません。浄化して、川などに放流ができないこともあるため、大きな施設が必要になり、
多額の費用がかかります。
③ エサ代がかかる
豚は1キログラム生産するのに、7 キログラムのトウモロコシを餌とします。また、そのトウモロコ
シは、輸入に頼っています。養豚を経営する大企業はこうした輸入ルートを自社で確保しており、小
規模経営で新規にはじめるとなると、エサの確保がかなり困難。
④ 放牧が難しい
放牧豚はストレスがなく、自然の中で育つので、話題になっています。ですが、豚には穴を掘る習
性があり、放牧をした土地の芝生などは、はがれやすくなってしまい、土地の移動が必要です。その
ため、広大な土地が不可欠で、今から広大な土地を用意するのは困難です。
⑤ 大量の豚が必要
【資料 H】をごらんください。豚は一頭育てるのに、32,901 円かかり、所得は 6,716 円となります。
つまり、数頭の飼育だけでは、畜産業として成り立っていきません。たくさんの豚を飼育するとなる
と、放牧が難しいという点でもあったように、広大な土地が必要となります。もちろんふん尿処理施
設も大規模になります。
【資料 H】
(農林水産省「農業経営統計調査(生産費調査)」より)
家族労働費
3,236円
費用計
32,901円
所得
6,176円→
飼料費
23,144円
粗収益
39,077円
その他
これらのことから、現段階での養豚の新規経営は困難であると判断せざるをえませんでした。そこで、
次に生産量の高かった牛について考えることにしました。
3 子牛!
鹿児島県内の牛の生産出荷量は平成 25 年度で北海道に次ぐ第 2 位となっています。また、伊佐市では
特に子牛を出荷する繁殖経営が盛んで、平成 27 年現在で 32 戸の畜産農家で 5,312 頭の肥育牛が飼育さ
れています。優良な子牛を生産する地域として知られています。平成 25 年は子牛1頭あたりの平均価格
が全国 1 位となっています。そこで子牛繁殖について調べたところ、以下の有益性を見出すことができ
ました。
子牛の繁殖経営の有益性
①1頭あたりの収益性が高い
下の【資料 I】は先に示した豚肉と同じ図です。子牛一頭あたりを生産するのにかかる費用が 445,000
円。粗収益が 520,000 円で、74,000 円の利益を得ることができます。ですから、飼育頭数がさほど多く
なくてもある程度の利益が望めます。
【資料 I】
(農林水産省「農業経営統計調査(生産費調査)」
家族労働費
より)
不足額
93千円
(家族労働費を含む費用との差)
168千円
所得
74千円
飼料費
費用計
445千円
211千円
粗収益
520千円
(含む副産物価額)
繁殖メス牛償却費
(23千円)
58千円
その他
②ふん尿処理が比較的しやすい
牛のふん尿は豚にくらべて水分が少ないため、堆肥にしやすいそうです。ふん尿処理にかかる労力が
軽減されるうえに、その堆肥を販売することで副産物利益も得られます。
③早く出荷できる
繁殖経営は、出荷までの期間が 9 カ月と短く、所得のない期間が短いという利点があります。
④放牧も可能
放牧だとエサ代をずいぶんと節約できます。エサとなる草などを工夫することで比較的狭い土地でも
放牧が可能だとされています。
それでは、次に【資料 J】
・
【資料 K】を見ていきます。
【資料 J】
(伊佐市役所農政課
資料)
伊佐市年代別牛の飼養頭数の推移
1200
1030
984 983
1000
823
771
747 754
800
791
頭数
653
600
400
206
200
140 138
247 231
137
65
93
127
0
40代未満
40代
50代
H25
H26
【資料 K】肉用牛繁殖経営の実態調査(伊佐市役所農政課
農家戸数
40歳未満
経
営
主
の
年
齢
40~49歳
50~59歳
60~65歳
65~70歳
70~79歳
80歳以上
後継者がいる
後継者がいない
後継者がいる
後継者がいない
後継者がいる
後継者がいない
後継者がいる
後継者がいない
後継者がいる
後継者がいない
後継者がいる
後継者がいない
後継者がいる
後継者がいない
1~4頭
70代
80代以上
H27
資料)
子取り用雌牛飼養頭数
10~19頭
20~49頭
50~99頭 100~199頭
1
1
2
1
5~9頭
1
8
5
21
3
5
5
11
7
30
10
22
60代
4
2
7
9
4
7
3
8
10
16
1
7
2
6
1
2
2
12
6
1
2
5
5
6
3
6
2
4
2
1
1
2
1
200頭以上
まず、
【資料 J】伊佐市年代別牛の飼養頭数の推移をみてください。
みてもらうとわかるように、現在の伊佐市の肉用牛繁殖経営農家は 60 歳代が中心で、高齢化していま
す。つまり、20 年後には、せっかく今良い値をつけている伊佐の子牛も、その飼育頭数が激減していく
ということになります。また、
【資料 K】は経営規模別に後継者の有無を表にしたものですが、65 歳以上
の小規模経営(1~9 頭)における後継者不足はかなり深刻といえます。なんとか、現在の 50 歳以上の
経営者の資本(母牛や牛舎など)を引き継いでいくことが必要だと思われます。
加えて次の【資料 L】は、伊佐市の耕作放棄地です。
伊佐市の耕作放棄地率は5%ほどですが、ここ 5 年間で確実に増加しています。特に野菜などに比べ
て利益の少ない水稲耕作は縮小傾向にあります。こうした耕作放棄地は全国でも問題となっています。
【資料 L】
この耕作放棄地を利用して、繁殖経営の後継者を確保できないものでしょうか?
そうしていろいろ調べて関心を持ったのが、ICT を活用した遠隔地管理システムの実証実験操作です。
4 遠隔地管理システムとは?
遠隔地管理システムは、その名の通り、遠隔操作を行って放牧を管理するシステムです。平成 24 年か
ら九州大学と NTT 西日本とが共同で実証実験・開発を行っています。さて、このシステムを導入するこ
とができた場合、どんな利点があるのでしょうか。
① 兼業ができる
遠隔操作はパソコン・スマートデバイスなど(以下パソコン等)があれば、どこでもできます。そ
のため、兼業による放牧管理が可能です。
② 「農業はきつい」
「大変」というマイナスイメージの軽減
農業と聞くと、
「大変」というイメージを抱く人が多いと思います。特に、畜産業は朝も早く、ず
っとその家畜の世話をし続けなければなりません。時には、冠婚葬祭に参列できないこともあるそう
です。それが後継者不足の原因になっているとも考えられます。しかし、①で述べたように、パソコ
ン等で放牧を管理することができたらどうでしょう。「農業をきつい」と思っている人のイメージは
変わります。そうすれば、
「農業をしてみたい」と思う人が増える結果につながると思います。
③ ふれあいやすい
牛や豚に触れ合う機会は、今の世の中、そうそうあるものではありません。牛や豚を育てるという
経験をした方もそんなに多くはないはずです。そのため、ふれあいにくさもあると思います。しかし、
パソコンという画面を介して、管理ができたらどうでしょう。ふれあいにくさが軽減されるのではな
いでしょうか。
④ 休日ができる
②でも述べたように、畜産業はずっと家畜の世話をするとあって、休みがありません。パソコン等
で出来る遠隔操作なら、少人数ですむので、休日をとることが容易になります。
⑤ 家から離れたところでも放牧できる
放牧は土地が必要となるので、家から離れたところで行うことも多いです。しかし、遠隔操作なら
ば、家から離れた場所でも、毎日毎日、放牧地に移動する必要はありません。
⑥ 放牧がしやすい
⑤でもあるようにパソコン等で健康状態も管理できるので、放牧のデメリットである病気の発見の
遅れも防ぐことができます。また、牛たちが広い場所を自由に歩けるため、足腰が強くなり、狭い場
所と違ってストレスが軽減され、美味しい肉になるとも言われています。
5私たちのプラン
このようなメリットに注目し、私たちはプランをたてました。その名も「‟そん出会い、牛さぁつなぎ
もす”プロジェクト」です!「牛さぁ」とは鹿児島弁で「牛さん」という親しみを込めた呼び方で、
「usi
(牛)
」と「isa(伊佐)
」を組みあわせる意味も含めたネーミングとなっています。
このプランは、遠隔地管理システムを利用し、伊佐市の活性化を図るものです。方法について、詳し
く説明していきましょう。
① 後継者のいない畜産農家を募集する
過疎化が進み、後継者のいない農家は増えています。そんな伊佐市の農家の方々をまず、市のホー
ムページなどで募集します。
② 現在、水稲耕作を行う農家に飼料米生産の転換希望を募る
牛のエサになる飼料米をご存じでしょうか。飼料米は牛を放牧する場所で生産することで、牛がそ
のまま食べてくれるので、収穫の手間が省けます。また、飼料米生産には補助金も出ます。全水田で
はなくても一部でも飼料米を生産し、そこを放牧地として利用させてくれる農家を募ります。すべて
の農家に飼料米生産を行ってもらうわけではないので、伊佐米ものこります。
③ 耕作放棄地での飼料米生産者を募る
【資料 L】にある耕作放棄地も放牧に利用します。そのために耕作放棄地で飼料米の生産、もしく
は牧草の栽培をします。放棄地の所有者による生産・栽培が不可能であれば、生産を請け負う農家を
募ります。
④ 全国の独身男女で子牛を育ててみたい人を募集する
現在、I ターンする 30 代が増加しており、専門雑誌も登場するほどです。また、田舎暮らしに憧
れ、農業に興味を抱いている若者層も意外に多いそうです。しかし「大変」「きつい」という思いで
その一歩を踏み出せない人も多いのではないでしょうか。そこで、伊佐市は九州大学の遠隔操作放牧
システムが確立し次第、全国に先駆けてこのシステムを導入します。そして、遠隔操作を使っての放
牧管理を全国にPRし、このシステムで子牛を育ててみたいと思う人々を募ります。また、4の①で
も述べたように、兼業もできるので、条件にあてはまれば、誰でも参加できます。その重要な条件は、
伊佐に住むことと独身であることです。
⑤ 市から空き家を利用したシェアハウスへの入居を斡旋
④での条件の一つ、「伊佐に住むこと」はなかなか困難に思われます。そこで、市のほうから空き
家を提供してもらいます。そして、その家を「‟そん出会い、牛さぁつなぎもす”プロジェクト」に参
加している人の集まるシェアハウスとします。全国各地から集まった者同士、同じプロジェクトに参
加しているもの同士、牛を飼育しながら共同生活をします。もちろん、そこにあるのは新しい出会い
です。
これが、もう一つの条件、独身男女であることにつながります。独身男女が伊佐市に来てくれるこ
とで、多少の人口増加につながります。しかし、大切なのは現在高齢化している伊佐市の繁殖経営者
の資本を放牧という形で次世代が受け継いでいくことです。ですから私たちは彼らに長期間いてもら
うことを望みます。それに一番いい方法。私たちが考えた意見は、伊佐市で結婚してもらうというこ
とでした。そのために、独身男女であることが大切で、そのシェアハウスこそ出会いの場なのです。
もちろん、恋愛も結婚も強制ではなく自由なので、気兼ねなく参加してもらえるといいと思ってい
ます。
また、伊佐市在住未婚者の結婚意向調査では「すぐに結婚したい」もしくは「いずれは結婚したい」
と答えた結婚希望者は 30~39 歳未婚者男性の 72%、女性の 58%となっており(日経 BP 社 伊佐
市市民向けワークショップ資料より)、こうした地元の結婚希望者も子牛の飼育を兼業として行うこ
と条件でもちろん参加が可能です。
⑥ ①で募集した畜産農家から子牛・母牛を購入
後継者のいない畜産農家の方から、子牛・母牛を購入します。それは「‟そん出会い、牛さぁつな
ぎもす”プロジェクト」に参加している人が買い、言ってみれば、その人たちの資本になります。こ
の牛購入の窓口も伊佐市が行うほうが良いでしょう。
⑦
シェアハウスで生活をしながら、遠隔操作で子牛を育てる
いよいよ「‟そん出会い、牛さぁつなぎもす”プロジェクト」が本格的に始動します!伊佐市で生活
してもらいながら、遠隔地管理システムを使って、放牧を管理してもらいます。
その一方で、②、③で募った飼料米生産農家の方には、各放牧地で飼料米を生産してもらいます。
また、飼料米農家の方には、時々牛の様子も観察してもらい、その状態を管理者であるシェアハウ
スの住居人たちに送ってもらいます。飼料米以外のエサやり・つなぎとめなどは自動でおこなえる
システムなので、飼料米農家は自己の専業を中心とする生活で大丈夫です。
⑧
子牛を出荷
子牛が大きくなれば、出荷します。そして、その収入は管理者であるシェアハウスの住人にまわ
りますが、もちろん、飼料米を育て、牛の情報を住人へ送ってくれた飼料米農家の方へ、エサ代・
手数料などを支払います。
①~⑧をまとめた図が【資料 M】のようになります。
【資料 M】
子牛を買い、遠隔放牧。
同居人たちと意見や情報の
交換。出会いも♡
シェアハウス
をする都会か
らの移住者
牛データ
牛の売却
遠隔操作・
購入代金
えさ代
牛を飼っているが
後継ぎがいない
市役所
(仲介)
牛・飼料米農家
高齢農家
基本的には経営者間の仲介は伊佐市が行うのが平等で安全、信頼も高いと思われます。これは伊佐市
が全国に先駆けて後継者確保と婚活をセットにして実践するものですから、シェアハウス建設も市に予
算を組んでもらい市営住宅とするのが良いでしょう。現在ある空き家などをリフォームし古民家風シェ
アハウスなどどうでしょう?もちろん、市営住宅ですから入居者は家賃を市へ納入してもらいます。
6「‟そん出会い、牛さぁつなぎもす”プロジェクト」実証
さて、プロジェクトをうちたてましたが、すぐに実施というわけにはいきません。市全体の大きなプ
ロジェクトになるので、行き当たりばったりではいけません。このプロジェクトを実行するにあたり実
験が必要になります。また、実験での成功という結果こそが、人を集めるうえでの大きな説得力になり
ます。
ということで、私たちは伊佐市内の学校で実験的実施をすることを考えました。また、学校というこ
とで、伊佐の子供たちに畜産を身近に感じてもらうことも狙いの一つです。方法については、5で説明
した手順なのですが、
「シェアハウス」→「学校」、
「シェアハウス住人」→「児童・生徒」と読み換えて
もらえばよいでしょう。
① 学校からなるべく近い場所で放牧
この実験の狙いの一つは、児童・生徒に畜産を身近に感じてもらうことでもあります。そこで、遠
隔管理とはいえ、放牧場所は、時には飼育している牛を見に行ける場所がいいだろうと考えました。
また、月に1度は実際に牛の様子を見に行ってもらいたいと思うので、やはり、学校から近いという
のは必須条件だと思います。
② 児童・生徒による遠隔操作
遠隔操作をするのは、もちろん、教師ではなく児童・生徒です。児童・生徒にもできる、子どもで
もできるという遠隔操作システムの利用しやすさを証明できます。「遠隔操作システムって何か難し
そう…」と先入観を抱いている人にも、アピールができますし、「楽しそう!!」と全国の人に思っ
てもらえると思います。
③ 経過を市役所に報告
子牛を出荷してもらうまでの期間は、経過の様子を市役所に報告してもらいます。市はこの経過報
告によって、よかった点や改善点などに気づくことができます。実験次第では、
「‟そん出会い、牛さ
ぁつなぎもす”プロジェクト」はいい方向へと、成長するに違いありません。
このような形で、伊佐市内の学校で実験をおこないます。遠隔地管理システムはかなり新しい技術で、
実際に用いるのは、初めてとなる可能性も高いです。この実験が、新たな技術の発展を促すこともある
でしょう。また、遠隔操作だけではなく、こうした児童・生徒が放牧地で飼料米・牧草を育てるのも良
い方法ではないかと思います。若い世代が伊佐市の政策の一翼を担うことで、地元を活性化しようとい
う意識も向上しますし、食育にもつながると考えます。
7 最後に
伊佐市を活性化させるために考えた「‟そん出会い、牛さぁつなぎもす”プロジェクト」
。これは初の試
みになりますが、農家だけでなく、一般市民や児童・生徒も牛の飼育に携わり、町全体で取り組むプロ
ジェクトです。人口増加・後継者確保といったメリットはもちろん、話題性もかなりあると思います。
こんなことをやっている町は他にはないと思います。TPP 参加の影響や資金・予算の問題など考慮すべ
きことはまだまだありますが、このプロジェクトは、その名の通り、いろいろなものをつないでくれる
政策です。牛の飼育を通してシェアハウスへの移住者同士はもちろん、彼らと伊佐市民の間、さらには
子どもから大人まで伊佐市民間のつながりもより深まるはずです。
「‟そん出会い、牛さぁつなぎもす”プ
ロジェクト」、これで私たちの町が、みんなが、盛り上がること間違いなし!です。