【 道路愛護ポスター 審査員総括 】 今年は、県内小学校54校から、199

【 道路愛護ポスター
審査員総括 】
今年は、県内小学校54校から、199点もの作品が寄せられました。
審査にあたっては、道路愛護ポスターの大きなねらいである、
「道路が人々の生活にとって欠くことのでき
ない重要な役割を果たしている」ことを子どもたちの視点でどのように表現しているのかを楽しみに審査をさ
せてもらいました。
気づきとしまして、まず作品の大きさでは、四つ切大での作品が伸び伸びとした表現で八つ切大がこじん
まりとした感じが否めませんでした。子どもたちにとっては、用紙が大きいほうが描きやすいのではないで
しょうか。また、これまで気になっていました、「よい(○)、悪い(×)」などを並列した説明図的な絵が少
なくなったことは収穫でしたが、クレパスや絵の具などの描画材料の扱い方が中途半端なものや完成度が曖昧
なものが多く見受けられ少し残念な思いがしました。むしろ、子どもらしく筆圧をぐいぐい利かせた作品が、
これから多く応募されることを期待したいと思いました。
さて、毎年8月に実施される「道路ふれあい月間」運動では、地域住民の花壇整備、歩道清掃等の道路愛
護に係るボランティア活動などを通した道路愛護精神の高揚を図るとともに安全に利用する気運を高めるこ
とを目的として、道路交通の安全と道路の正しい利用の促進を図ることを大きな目的としています。
そのような中で、最優秀賞に輝いた西与賀小学校4年生の高本百杏さんの作品は、
「大切に使うよ道路とな
かまたち」のコピーライトを用い、信号や標識、歩道橋など、道路交通の安全にかかわる大切な設備などを巧
みな構図と色彩で表現しています。ポスターの表現技術としても4年生ながら全学年を通しても群を抜いたも
のでした。
優秀賞に輝いた御船が丘小学校1年生の森旭士くんの作品は、緻密な画面の中で、さりげなく緊急車両な
どを描き、道路と安全、命とのつながりを発信してくれました。楽しんで制作したのではないかと推測されま
す。北明小学校6年生の島ノ江陽依さんの作品は、「道路は私達の生きる道」のコピーライトで、ずばり、道
路崩壊により、「人と人」や「人と物資」をつなぐライフラインが途絶えることを力強いタッチと巧みな構図
で訴えかけています。今年は、くしくも熊本地震が発生し、その甚大な被害の大きさと復旧への願いを近県に
住む島ノ江さんもわが事のように強く心に刻んだのではないでしょうか。私たちは一日でも早い復旧を願わず
にはいられません。そのほか、三日月小学校2年生の吉田佳央さん、神埼小学校3年生の太田裕也くん、山内
東小学校4年生の藤村悠花さん、神野小学校5年生の荻野涼香さん、受賞おめでとうございます。それぞれの
作品から明快なメッセージが伝わってきました。
作品制作の課題として色調などに関しては、あくまでもポスターデザインですから、例えば道路の色を概
念的な灰色などにこだわらなくてもよいので、他の色なども検討して全体の色調のバランスをとってもよいで
しょう。
行政などの道路維持作業の重要性や地域住民の美化清掃活動をはじめとするボランティア活動の普及など
を含め、ご家庭での話題の一つになれば幸いです。これからも子どもたちへの「道路愛護」精神の広がりを期
待しています。
審査員
元中学校教師
井上
信宏