2016/ 原油価格週間動向 10/31 投資情報部 シニアコモディティアナリスト 津賀田 真紀子 雲行きが怪しくなりつつある産油国の減産合意 WTI 原油先物相場の上値が重い。足元では再び 48 ドル台にまで値を落としている。9/28 に開かれた OPEC 臨時総会で、加盟 14 ヵ国の原油生産量を日量 3,250 万~3,300 万バレルに制限することが合意されたものの、 イラン・リビア・ナイジェリアに加え、OPEC 第 2 位の産油国であるイラクも減産除外を求めていることから、 11/30 の定時総会で減産枠組みを決定させることは困難と見方が強まっているためだ。仮に減産が実行され るとすれば、かなりの部分を最大産油国であるサウジアラビアが負担する必要がある。減産枠組み決定に対 する不確実性の高さを考えると、WTI 原油先物相場は引き続き上値の重い展開が続くことが予想される。 妥協点を見いだせ ない産油国 国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物相場は10/19 に一時1バレル=51.93ドルと約1年3ヵ月ぶりの高値を記録したものの、その後は買い が続かず、足元では再び48ドル台にまで値を落としている。 9/28に開かれた石油輸出国機構(OPEC)臨時総会で、加盟14ヵ国の原油生産量を 日量3,250万~3,300万バレルに制限することが合意されたものの、先週23日にOPEC 第2の産油国であるイラクが過激派組織イスラミックステート(IS)との戦闘に巻き込まれ ていることを理由に減産除外を求めたことから、11/30のOPEC総会で減産枠組みを 決定させることは困難との見方が強まっているためだ。また、サウジアラビアと湾岸諸 国がピーク時の産油量を基準に4%の減産を行う用意があるとロシア側に伝えたと報じ られている一方で、ロシアは減産ではなく、増産凍結によりOPECに協力する考えを 示していると報じられていることも下押し圧力となっている。OPECは11/30の総会を前 に非加盟国を含む専門家会合を開き、協議を継続する予定だ。 原油価格動向 W T I原油先物価格とドルインデックス 2016/10/17 期間 WTI 北海 ブレント (1バレル=ドル) ~ ~ 2016/10/24 (週次:2014/1/3~2016/10/28) 120 前週比 76 110 WTI原油先物(左目盛) 78 ドルインデックス(右逆目盛) 80 2016/10/28 2016/10/21 始値 50.85 50.23 0.62 100 高値 50.98 51.93 ▲ 0.95 90 84 86 82 安値 48.42 49.47 ▲ 1.05 80 終値 48.70 50.85 ▲ 2.15 70 始値 51.89 51.93 ▲ 0.04 60 92 高値 52.01 53.14 ▲ 1.13 50 94 安値 49.31 51.12 ▲ 1.81 40 終値 49.71 51.78 ▲ 2.07 30 88 90 96 98 100 20 (注)価格は 1 バレル=ドル 14/1 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 14/7 15/1 15/7 16/1 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1 16/7 102 (年/月) 2016/10/31 原油価格週間動向 サ ウジ ア ラ ビア が 減産割り当てを一 手に引き受けるか どうかが焦点 なお、今年 1 月に経済制裁が解除されたばかりのイランは増産継続の姿勢を崩して おらず、今回の減産合意からは除外される可能性がある。政情不安等で生産量が落 ちこんでいるリビアとナイジェリアについても例外措置が認められる方向となっている。 仮に減産が実行されるとすれば、かなりの部分を OPEC 最大の産油国であるサウジア ラビアが負担する必要がある。 サウジアラビアは国営石油会社サウジアラムコを遅くとも 2018 年までに上場させると みられており、資産評価額を上げるためにも原油価格の上昇は望ましい。しかし、次 期国王を目指すとみられるムハンマド副皇太子にとっては、多少原油価格を釣り上げ ることよりも、「ビジョン 2030」により石油依存型経済からの脱却を成功させ、実績を作 ることの方が優先課題と考えられており、今のタイミングであえてサウジアラビアだけが 減産割り当てを一手に引き受けるということは受け入れがたいとの見方が多い。長引 く原油安の影響によりサウジアラビアも財政赤字は深刻な状態にあるが、外貨準備高 は今年 8 月時点で約 5,520 億ドルと他の産油国に比べればまだかなりの余裕がある。 OPEC 減産枠組み決定に対する不確実性の高さを考えると、WTI 原油先物相場は引 き続き上値の重い展開が続くことが予想される。 OPEC 加盟国生産量増減幅 サウジ ア ラビア原油生産量 (2014/11 → 2016/9) (月次:2012/1~2016/9) (千バレル/日) 10,800 ナイジェ リア 10,600 アルジェ リア 10,400 アンゴラ 10,200 2012年 クウェ ート 10,000 2013年 UAE 9,800 2014年 2015年 9,600 イラン 2016年 9,400 サウジアラビア 9,200 イラク ▲ 600 9,000 ▲ 300 0 300 600 900 1,200 (千バレル/日) 8,800 1 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 (月) 出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成 出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成 C FT C非商業筋建玉とWTI原油先物価格 産油国外貨準備高 (月次:2014/1~2016/9) (億ドル) 8,000 2 (週次:2015/1/6~2016/10/28) (万枚) (1バレル=ドル) 45 65 買残-売残(左目盛) 7,000 40 6,000 35 5,000 30 60 WTI原油先物(右目盛) 55 50 45 40 4,000 25 35 ロシア 3,000 30 20 サウジアラビア 25 2,000 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 15 16/7 (年/月) 20 15/1 (注)サウジアラビアは 9 月まで 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 15/4 15/7 15/10 16/1 16/4 16/7 16/10 (年/月) (注)CFTC 非商業部門建玉は 10/25 現在 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 22 2016/10/31 原油価格週間動向 ■ エネルギー関連統計 日付 国・地域 11 月 2 日 11 月 2 日 11 月 2 日 11 月 2 日 11 月 2 日 11 月 2 日 11 月 2 日 11 月 2 日 11 月 4 日 11 月 4 日 11 月 4 日 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 イベント 米国原油在庫(前週比・千バレル) オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル) 米国ガソリン在庫(前週比・千バレル) 米国中間留分在庫(前週比・千バレル) 米国製油所稼働率(前週比) 米国原油推定需要(千バレル/日) 米国ガソリン推定需要(千バレル/日) 米国留出燃料推定需要(千バレル/日) ベーカー・ヒューズ掘削リグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ稼働数 期間 前回 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 28 日 11 月 4 日 11 月 4 日 11 月 4 日 ▲553 ▲1,337 ▲1,956 ▲3,354 0.60% 15,599 9,929.0 5,089.1 557 114 441 ■ 今週の経済指標 日付 国・地域 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 11 月 1 日 11 月 1 日 11 月 1 日 11 月 2 日 11 月 2 日 11 月 2 日 11 月 2 日 11 月 2 日 11 月 3 日 11 月 3 日 11 月 3 日 11 月 3 日 11 月 3 日 11 月 3 日 11 月 3 日 11 月 3 日 11 月 3 日 11 月 4 日 11 月 4 日 11 月 4 日 11 月 4 日 11 月 4 日 11 月 4 日 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 中国 中国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 イベント GDP(季調済/前年比) 個人所得 個人支出 実質個人支出 個消物価デフレータ(前月比) PCE コア(前月比) シカゴ購買部協会景気指数 ダラス連銀製造業活動 製造業 PMI 非製造業 PMI 建設支出(前月比) ISM 製造業景況指数 ワーズ国内自動車販売台数 MBA 住宅ローン申請指数 ADP 雇用統計 ISM ニューヨーク FOMC 政策金利(上限) FOMC 政策金利(下限) 失業率 非農業部門労働生産性 新規失業保険申請件数 失業保険継続受給者数 ISM 非製造業景況指数(総合) 製造業受注指数 耐久財受注(前月比) 製造業受注-資本財(非国防/除航空機) 製造業出荷-資本財(非国防/除航空機) PPI(前月比) 貿易収支 非農業部門雇用者数変化 失業率 平均時給(前月比) 週平均労働時間(全従業員) 期間 7-9 月期 1 次速報 9月 9月 9月 9月 9月 10 月 10 月 10 月 10 月 9月 10 月 10 月 10 月 28 日 10 月 10 月 11 月 2 日 11 月 2 日 9月 7-9 月期 速報 10 月 29 日 10 月 22 日 10 月 9月 9 月 確報 9 月 確報 9 月 確報 9月 9月 10 月 10 月 10 月 10 月 前回 1.6% 0.2% 0.0% ▲0.1% 0.1% 0.2% 54.2 ▲3.7 50.4 53.7 ▲0.7% 51.5 13,870,000 ▲4.1% 154,000 49.6 0.50% 0.25% 10.1% ▲0.6% 258,000 2,039,000 57.1 0.2% ▲0.1% ▲1.2% 0.3% ▲0.2% ▲40,700,000,000 156,000 5.0% 0.2% 34.4 (注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 33 2016/10/31 金融商品取引法に係る重要事項 原油価格週間動向 ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化等により、投 資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負担いただ きます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手 数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含む)、国や地域 の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込むことがあり、損失を被るこ とがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与えることがあ ります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が当該証券の 高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売却してお客さ まの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市場があっても当該証券の 流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生しても本邦投資家が取り扱いできないこ とがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商品取引法に基 づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および諸費用の額 は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。詳細は当社の担当者まで お問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金に対して最大 1.08%+2,700 円(税込 み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対 して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別途手数料お よび諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負 担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を 委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券取引口座管理 料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決定した為替 レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書またはお客さま向け 資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-161031-28 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 44
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