岡部公民館建設設計業務公募型プロポーザル 審査結果報告書

岡部公民館建設設計業務公募型プロポーザル
審査結果報告書
平成28年10月
岡部公民館建設設計業務プロポーザル審査委員会
1 本プロポーザル実施の目的
本公募型プロポーザルは、施設内に総合支所及び図書館機能を有した複合施設として
の岡部公民館建設に当たり、発注者の考え方に柔軟に対応できる高い技術力及び豊富な
経験等を有する設計者を選定することを目的として実施するものである。
2 審査経過
平成28年 7月27日
審査委員会第1回会議(実施要領、評価方法等に関する協
議)
平成28年 8月17日
公募型プロポーザル募集開始
平成28年 9月 5日
参加申込書等の提出期限
平成28年 9月12日
審査委員会第2回会議(第一次審査の実施)
平成28年10月 3日
技術提案書の提出期限
平成28年10月 7日
プレゼンテーション及びヒアリングの実施
審査委員会第3回会議(第二次審査の実施)
3 審査結果
第一次審査で選定された5事業者から提出された技術提案書について、プレゼンテー
ション及びヒアリングを実施し、審査委員会において厳正かつ慎重な審査を実施した結
果、次のとおり受注候補者及び次席者を特定した。
受注候補者
株式会社 国設計
61
次席者
株式会社 桂設計
59.4
-
A社
55.3
-
B社
54.8
-
C社
53.8
1
4 審査委員会の構成
委員長
深谷市教育委員会教育部長
委員
深谷市教育委員会教育部次長
委員
深谷市企画財政部次長
委員
深谷市市民生活部岡部総合支所長
委員
深谷市企画財政部公共施設改革推進室長
委員
深谷市総務部総務防災課長
委員
深谷市教育委員会教育部教育施設課長
委員
深谷市教育委員会教育部図書館長
委員
深谷市教育委員会教育部生涯学習スポーツ振興課長
5 審査講評
第一次審査では、参加申込書の提出があった12者について、新たな岡部公民館を建
設するための設計事務所の能力として、技術職員数及び実績(同種・類似業務)
、また、
技術者の能力として、配置予定技術者の保有資格、実績(同種・類似業務)、経験年数
に関する審査を実施し、評価の高かった5者に技術提案書の提出を要請した。
第二次審査では、5者から提出された業務実施方針及び4つのテーマ(①「公民館、
体育室、図書館、総合支所機能を有し、幅広い年齢層が気軽に利用できる開かれた複合
施設」、②「安全・安心な施設」
、③「イニシャルコスト・ランニングコストの低減につ
いて」、④「その他独自テーマ」
)に対する技術提案書について、プレゼンテーション及
びヒアリングを実施した。業務実施方針は業務の理解度、実施方針の的確性について、
技術提案書については、テーマごとに的確性、独創性及び実現性の観点から評価を実施
し、これに業務参考見積書評価を加え、審査委員会委員の合議による審査を行った。
新たな岡部公民館は、公民館、図書館、総合支所機能を有した複合施設の建設となる
が、過去に同様の施設を設計した実績を有していることも有り、その豊富な経験に基づ
く提案の内容は、複合施設としての在り方としてどれも興味深いものばかりであった。
特に5者中4者がコスト面、安全面を考慮し「平屋」の提案をしているところは、これ
まで深谷市の公民館には無い施設構造であるため、その利用のし易さも含め大変興味深
い提案であった。また、施設だけではなく敷地全体の利用方法についても5者ともに「コ
スモス祭り」を考慮する等、岡部地区の公共施設としての建設であることを踏まえた提
案となっていた。5者ともに、多機能を有した複合施設として、これからの市民交流施
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設として、たいへん質の高い、素晴らしい提案内容となっており、受注候補者として1
者を特定するのは困難を極めた。
受注候補者として特定された株式会社国設計の提案は、深谷市、岡部地区という建設
予定地の地域特性、周辺環境を良く理解していることに高い評価が集まった。
周辺に遮るものの無い強い北西風、それに起因する激しい砂埃、積雪等、建設予定地
に課せられている季節ごとの厳しい自然環境を見込んだ建物配置、整形な土地を無駄な
く利用するための整形な建物は平屋とし、シンプルな架構を施す提案は「安心・安全な
施設」
、
「イニシャルコスト・ランニングコストの低減について」におけるテーマにおい
て高い評価を得た。
また、建物入口付近に配置された事務室から施設内全体に目が行き届く部屋の配置は
管理面に配慮されているだけでなく、利用者にもわかりやすいものとなっており、敷地
利用に関しても外周に遊歩道を設け、ウォーキングコースを設置する等、約 13,000 ㎡
を有する広い敷地を無駄なく利用できる等「幅広い年齢層が気軽に利用できる開かれた
複合施設」として高い評価が集まった。
一方で、交通量の多い南側のコスモス街道交差点付近に出入口を設置することに対す
る提案への安全面について、駐車場で緑化ブロックを使用する提案への管理面について
等改善の必要性が指摘された。
次席者となった株式会社桂設計も、建物を北側にする配置提案であり、強い北西の風
とそれに伴う砂埃という地域性を考慮した提案で高い評価を得た。また、部屋の配置等
深谷市の既存公民館に類似する部分も多々あり、実際の利用、管理において想定できる
部分も多く、実現性の高さが高評価に繋がった。
ただし、深谷市の既存公民館よりも広い敷地設定の中で 2 階建ての提案となっており、
エレベータの設置とそれに伴う維持管理において、イニシャルコスト、ランニングコス
トの増加が懸念される等、受注候補者の提案と比較すると実働的に疑問が残り評価の差
となった。
A社の提案は公民館と図書館の「複合」ではなく、「融合」というものであった。建
物内の配置提案は、既存の市内公民館には無い公共施設の形を提示しており、市民の交
流の場として新しい方向性を示していることでその独創性について高い評価を得た。
しかし、敷地内東側に配置された南北縦長の建物は、強い北西の風とそれに伴う砂埃
を考慮すると施設の管理面及び利用者の実用性に影響することが懸念され、提案内容の
実現性に疑問が残った。
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特徴的なアラワシ屋根を被ったL字型の「曲り家」が中庭を囲むように敷地南側に配
置され、北側を駐車場とするB社の提案は、市民交流の場となる複合施設にふさわしく
「幅広い年齢層が気軽に利用できる施設」として高い評価を得た。また、突発的なゲリ
ラ豪雨にも配慮し、施設の床を周辺地盤よりも高く設定し浸水を防ぐ等「安全・安心な
施設」としての考え方にも高い評価が集まった。
しかし、中庭の維持管理、北側駐車場における積雪等、イニシャルコスト、ランニン
グコストの低減に関して疑問を払拭できなかった。
各部屋を「S造ユニバーサルボックス」にするというC社の提案は、工期短縮も見据
えたもので、
「イニシャルコスト・ランニングコストの低減」にも繋がるとともに、厳
しい工期である本業務において大変興味深いものであるとともに、その独創性に高い評
価が集まった。
しかし、南北縦長の施設を東側に配置した提案は、A社同様に強い北西の風とそれに
伴う砂埃を考慮すると利用者の実用性に影響することが懸念され、C社が提案するボッ
クスとふれあい路地の配置は利用者が直接目的の部屋へと進める利便性の良さがある
反面、死角の多さについて防犯上の課題が指摘された。
平成28年10月
岡部公民館建設設計業務プロポーザル審査委員会
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