2 ― 県 内 経 済 の 動 向 消費税増税後の落ち込みからの回復が鈍く、一部に弱い動きがみられた1年 ― (1) 平成 27 年県内経済の概況 平成27年の県内経済を振り返ると、緩やかに持ち直していたものの、消費税増税後 の落ち込みからの回復が鈍く、中国をはじめとする海外経済の減速の影響も加わり、 一部に弱い動きもみられた1年であった。 年前半は、住宅投資は1月に課税強化された相続税の節税対策などにより貸家が全 体をけん引して持ち直したものの、個人消費は、実質所得の弱含みなどにより、弱い 動きが続いた。設備投資は、企業収益の改善もあり、持ち直しの動きがみられた。雇 用は、有効求人倍率が高い水準で推移する中、幅広い業種で人手不足感がみられた。 年後半は、個人消費が伸び悩んだほか、海外経済の減速などから景況感が悪化し、設 備投資や生産も力強さに欠ける動きとなった。 これを個別にみると、個人消費・物価は、百貨店・スーパー販売額については、年 初は前年の消費税増税前の駆け込み需要の反動により前年を下回ったが、その後は飲 食料品が寄与し、前年を上回って推移した。乗用車新規登録・届出台数は、4月の軽 自動車税増税などの影響により軽乗用車が低迷し、前年を下回って推移した。物価は、 年初は前年を上回ったものの、年後半にかけて、原油価格下落の影響により、前年を 下回って推移した。 住宅投資は、年前半は相続税の節税対策などにより貸家が全体をけん引し、持ち直 したものの、その後は貸家の動きが一巡したことなどから前年を下回った。 設備投資は、製造業は大型投資の反動などから減少、非製造業も用地確保の困難化 に伴う出店先送りなどにより減少したことから、全産業では前年を下回る実績となっ た。 公共投資は、年間を通して減少傾向で推移した。 生産は、設備投資需要の高まりなどから、上昇する業種もみられたものの、個人消 費の伸び悩みや海外経済の減速などから、低下する業種もあり、年間を通して横ばい 圏内の動きとなった。 企業動向は、収益については、非製造業では、増益となったものの、製造業では、 減益となり、全体では前年度を下回る実績となった。景況感は、日銀短観については、 第Ⅰ四半期は悪化し、その後は2四半期連続で改善したものの、第Ⅳ四半期は再び悪 化した。倒産は、件数、金額ともに低水準で推移した。 雇用面では、有効求人倍率は、年間を通して高い水準で推移した。有効求人数は、 第Ⅱ、第Ⅲ四半期はやや鈍化したものの、第Ⅳ四半期は再び増加した。 以上のような27年の県内経済について、季節変動を除いた季節調整系列の実質経済 成長率(対前期比)の推移をみると、1-3月期は、個人消費や民間住宅などが増加 したものの、在庫が大幅に減少したことによりマイナス成長となった。4-6月期は、 前期の反動を受ける形でプラス成長となったが、その後は、個人消費の回復が足踏み - 3 -3- したほか、民間住宅が2四半期連続で減少するなどし、2四半期連続でマイナス成長 となった。原系列(対前年同期比)では、26年4-6月期以降、消費税増税からの立 ち直りが鈍いことなどもあり、27年10-12月期まで7四半期連続でマイナス成長が続 いた。 また、新潟県景気動向指数(CI)の一致指数で景気の動きをみると、27年前半ま では一進一退の動きとなったものの、年後半は生産指数や耐久消費財生産指数など、 鉱工業指数に関連する指標を中心にマイナスに寄与し、低下傾向となった。 (図2-1、2-2、表2-1) 図2-1 実質経済成長率(対前期比、対前年同期比)及び項目別増減寄与度 ②原系列(対前年同期比) ①季節調整系列(対前期比) ②原系列(対前年同期比) %、%ポイント ①季節調整系列(対前期比) %、%ポイント 6 %、%ポイント 66%、%ポイント 6 44 44 22 22 00 -2 -2 00 -4 -4 -2 -2 -6 -6 -4 -4 -8 -8 -10 -10 -6 -6 期 Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅳ Ⅳ Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅳ Ⅳ Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅳ Ⅳ 期 期 Ⅰ ⅠⅡ ⅡⅢ Ⅲ Ⅳ Ⅳ Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅳ Ⅳ Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅳ Ⅳ 期 平成 平成 25 25 26 26 27 27 民間最終消費支出 民間最終消費支出 民間在庫品増加 民間在庫品増加 公的在庫品増加 公的在庫品増加 年 年 平成 平成 25 25 民間住宅投資 民間住宅投資 政府最終消費支出 政府最終消費支出 財貨・サービスの純輸出 財貨・サービスの純輸出 26 26 27 27 年 年 民間企業設備投資 民間企業設備投資 公的固定資本形成 公的固定資本形成 国内総生産(支出側) 国内総生産(支出側) 資料:県統計課 「新潟県四半期別県民経済計算速報」 (28 年 5 月 16 日時点) 資料:県統計課「新潟県四半期別県民経済計算速報」(28 年 5 月 16 日時点) 130 130 図2-2 新潟県景気動向指数(CI)の推移(一致系列) 図2-2 新潟県景気動向指数(CI)の推移(一致系列) 谷(H21.3) 谷(H21.3) 山(H23.8) 谷(H24.10) 山(H23.8) H22=100 谷(H24.10) H22=100 110 110 90 90 一致指数 一致指数 3か月後方移動平均 3か月後方移動平均 70 70 21 24 25 26 27 28 年 22 23 24 25 26 27 28 年 平成 21 平成 資料:県統計課「新潟県景気動向指数」 資料:県統計課「新潟県景気動向指数」 資料:県統計課「新潟県景気動向指数」 資料:県統計課「新潟県景気動向指数」 注:景気動向指数(CI)は、景気に敏感な指標の量的な動きを合成した指標であり、主として 注:景気動向指数(CI)は、景気に敏感な指標の量的な動きを合成した指標であり、主として 注:景気動向指数(CI)は、景気に敏感な指標の量的な動きを合成した指標であり、主として 景気変動の大きさやテンポ(量感)を測定することを目的としている。一般に上昇時が景気 れるので注意 注:景気動向指数(CI)は、景気に敏感な指標の量的な動きを合成した指標であり、主として 景気変動の大きさやテンポ(量感)を測定することを目的としている。一般に上昇時が景気 景気変動の大きさやテンポ(量感)を測定することを目的としている。一般に上昇時が景気 の拡張局面、低下時が後退局面であり、山谷の近傍に景気の山谷が存在すると考えられる。 景気変動の大きさやテンポ(量感)を測定することを目的としている。一般に上昇時が景気 の拡張局面、低下時が後退局面であり、山谷の近傍に景気の山谷が存在すると考えられる。 - 4 -4- 表2-1 新潟県経済動向(基調判断及び個別判断) (網かけは変更した月) 年月日 基調判断 個人消費・物価 住宅 設備投資 公共投資 生産 雇用 企業 H28.3.10 (H27.12-H28.2) 県内経済は、踊り場の様相を呈してい る。加えて、中国をはじめとする海外 経済情勢や為替の動向に留意する必要 がある。(H28.3.10) 一部で価格転 嫁が進んでい るものの、弱 い動きとなっ ている。 弱めの動きが 踊り場の様相 みられる。 を呈してい る。 減少傾向にあ る。 横ばい圏内の 動きとなって いる。 持ち直しの動 きがみられ る。 景況感に弱さ があるもの の、改善の動 きもみられ る。 H28.2.17 (H27.11-H28.1) 県内経済は、踊り場の様相を呈してい る。加えて、中国をはじめとする海外 経済情勢や為替の動向に留意する必要 がある。(H28.2.17) 一部で価格転 嫁が進んでい るものの、弱 い動きとなっ ている。 弱めの動きが 踊り場の様相 みられる。 を呈してい る。 減少傾向にあ る。 横ばい圏内の 動きとなって いる。 持ち直しの動 きがみられ る。 景況感に弱さ があるもの の、改善の動 きもみられ る。 H28.1.8 (H27.10-12) 県内経済は、踊り場の様相を呈してい る。加えて、中国をはじめとする海外 経済情勢に留意する必要がある。 (H28.1.8) 一部で価格転 嫁が進んでい るものの、弱 い動きとなっ ている。 持ち直してい 踊り場の様相 る。 を呈してい る。 前年を下回っ た。 一進一退で推 移している。 やや鈍化して いる。 景況感に弱さ があるもの の、改善の動 きもみられ る。 H27.11.26 (H27.9-10) 県内経済は、踊り場の様相を呈してい る。加えて、中国をはじめとする海外 経済情勢に留意する必要がある。 (H27.11.26) 一部で価格転 嫁が進んでい るものの、弱 い動きとなっ ている。 持ち直してい 踊り場の様相 る。 を呈してい る。 前年を下回っ た。 一進一退で推 移している。 やや鈍化して いる。 景況感に弱さ があるもの の、改善の動 きもみられ る。 H27.10.20 (H27.7-9) 県内経済は、一部に弱い動きがあるも 一部で価格転 のの、緩やかに持ち直している。 嫁が進んでい (H27.10.20) るものの、弱 い動きとなっ ている。 持ち直してい 持ち直してい る。 る。 横ばい圏内の 動きとなって いる。 一進一退で推 移している。 やや鈍化して いる。 景況感に弱さ があるもの の、改善の動 きもみられ る。 H27.9.24 (H27.6-8) 県内経済は、一部に弱い動きがあるも 一部で価格転 のの、緩やかに持ち直している。 嫁が進んでい (H27.9.24) るものの、弱 い動きとなっ ている。 持ち直してい 持ち直してい る。 る。 横ばい圏内の 動きとなって いる。 一進一退で推 移している。 やや鈍化して いる。 景況感に弱さ があるもの の、改善の動 きもみられ る。 H27.8.7 (H27.5-7) 県内経済は、緩やかに持ち直している 実質所得の弱 ものの、一部に弱い動きが続いてい 含みなどによ る。(H27.8.7) り、弱い動き が続いてい る。 持ち直してい 持ち直してい る。 る。 減少してい る。 横ばい圏内の 動きとなって いる。 改善基調にあ るものの、や や鈍化してい る。 弱い動きがあ るものの、改 善の動きもみ られる。 H27.7.10 (H27.4-6) 県内経済は、緩やかに持ち直している 実質所得の弱 含みなどによ ものの、一部に弱い動きが続いてい り、弱い動き る。(H27.7.10) が続いてい る。 横ばい圏内の 持ち直してい 動きとなって る。 いる。 減少してい る。 横ばい圏内の 動きとなって いる。 改善基調にあ るものの、や や鈍化してい る。 弱い動きがあ るものの、改 善の動きもみ られる。 H27.6.15 (H27.3-5) 県内経済は、緩やかに持ち直している 実質所得の弱 ものの、一部に弱い動きが続いてい 含みなどによ る。(H27.6.15) り、弱い動き が続いてい る。 横ばい圏内の 持ち直してい 動きとなって る。 いる。 減少してい る。 横ばい圏内の 動きとなって いる。 改善基調にあ るものの、や や鈍化してい る。 弱い動きがみ られる。 H27.5.12 (H27.2-4) 県内経済は、緩やかに持ち直している 実質所得の弱 ものの、一部に弱い動きが続いてい 含みなどによ る。(H27.5.12) り、弱い動き が続いてい る。 下げ止まりつ 持ち直してい つある。 る。 前年を下回っ た。 横ばい圏内の 動きとなって いる。 改善してい る。 弱い動きがみ られる。 H27.4.13 (H27.1-3) 県内経済は、緩やかに持ち直している 実質所得の弱 ものの、一部に弱い動きが続いてい 含みなどによ る。(H27.4.13) り、弱い動き が続いてい る。 下げ止まりつ 持ち直してい つある。 る。 前年を下回っ た。 横ばい圏内の 動きとなって いる。 改善してい る。 弱い動きがみ られる。 H27.3.10 (H26.12-H27.2) 県内経済は、緩やかに持ち直している 実質所得の弱 ものの、一部に弱い動きが続いてい 含みなどによ る。(H27.3.10) り、弱い動き が続いてい る。 下げ止まりつ 持ち直しの兆 つある。 しがみられ る。 前年を下回っ た。 横ばい圏内の 動きとなって いる。 改善してい る。 弱い動きがみ られる。 H27.2.18 (H26.11-H27.1) 県内経済は、緩やかに持ち直している 実質所得の弱 ものの、一部に弱い動きが続いてい 含みなどによ る。(H27.2.18) り、弱い動き が続いてい る。 下げ止まりつ 持ち直しの兆 つある。 しがみられ る。 前年を下回っ た。 横ばい圏内の 動きとなって いる。 改善基調にあ るものの、や や鈍化の兆し がみられる。 弱い動きがみ られる。 H27.1.9 (H26.10-12) 県内経済は、緩やかに持ち直している ものの、一部に消費税増税に伴う駆け 込み需要の反動減がみられるなど、弱 い動きが続いている。 今後の県経済への影響等に留意する必 要がある。(H27.1.9) 実質所得の弱 含みなどによ り、弱い動き が続いてい る。 駆け込み需要 持ち直しの兆 の消失によ しがみられ り、前年を下 る。 回っている。 横ばい圏内で 推移してい る。 持ち直しの兆 しがみられ る。 改善基調にあ るものの、や や鈍化の兆し がみられる。 弱い動きがみ られる。 - 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