定価︵本体458円+税 - 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構

平成28年度
高年齢者雇用安定助成金のご案内
「高年齢者雇用安定助成金」は、高年齢者が意欲と能力があるかぎり年齢にかかわりなくいきいきと働ける社会を構築して
いくために、2つのコースで事業主のみなさまの活動を支援します。
今回はご紹介できませんでしたが、定年引上げを行った事業主に対する新たな助成金「65歳超雇用
推進助成金」が10月19日に創設されました。詳しくはホームページをご参照ください。
高年齢者活用促進コース
高年齢者無期雇用転換コース
高年齢者の活用促進のための措置の内容
50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者
に転換させた事業主を助成します。
(1)新たな事業分野への進出など
(2)機械設備、作業方法、作業環境の導入・改善
(3)高年齢者の就労の機会を拡大するための雇用管理制度の導
入・見直し
(4)高年齢者に対する法定の健康診断以外の健康管理制度の導入
(5)定年の引上げなど
(a)定年の引上げ
(b)定年の定めの廃止
(c)希望者全員を対象とする継続雇用制度の導入
支給額
高年齢者の活用促進のための措置に要した費用の 2/3(中小企業
以外は 1/2)を支給します(上限1,000万円)。
ただし、措置の対象となる1年以上継続している60歳以上の雇
用保険被保険者1人につき 20 万円(下記③の(a)∼(c)に該当す
る場合は 30 万円 )を上限とします。
平成 28 年度からの拡充点
①対象措置に「高年齢者に対する健康管理制度」を追加
高年齢者を対象とした人間ドックなどの法定の健康診断以外
の健康管理制度(事業主が健診費用の半額以上を負担するも
の)を就業規則等に規定し人間ドックなどを実施した場合に、
制度の導入費用として30万円を要したものとみなします。
無期雇用転換計画書を提出する前に
①有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する制度(雇用後 5 年
以内の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換するものにか
ぎる)を労働協約または就業規則などに規定していること。
②高年齢者雇用推進者の選任に加え、以下の高年齢者雇用管理
に関する措置を 1 つ以上実施していること。
教育訓練の実施、作業施設・方法の改善、健康管理・安全衛
生の配慮、職域の拡大、配置・処遇の改善、賃金体系の見直し、
勤務時間制度の弾力化
③高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第 8 条又は第 9 条第
1 項の規定に違反していないこと。
無期雇用転換計画書の提出
計画実施期間の6カ月前から2カ月前までの間に無期雇用転換
計画書に必要書類を添えて提出する。
無期雇用への転換の実施
無期雇用転換計画が認定された後、計画実施期間内に、転換制
度により有期契約労働者を無期雇用労働者に転換させる。
・計画実施期間内に複数人の転換を行うことができます。
・転換した労働者を 65 歳以上まで継続して雇用する見込み
があることが要件です。
支給申請書の提出
転換後6カ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2カ月
以内に支給申請書に必要書類を添えて支給申請を行う。
②定年の引上げなどによる、みなし費用(100 万円)を適用する
要件の緩和
年齢要件を「70 歳以上」から「66 歳以上」へ以下のとおり緩和
(a)66 歳以上への定年の引上げ
(b)定年の定めの廃止
支給額
対象労働者1人あたり 50万円(中小企業以外は 40万円)
1支給申請年度(4月∼3月)あたり 10人を限度とします。
(c)65 歳以上への定年の引上げおよび希望者全員を66 歳以
上まで雇用する制度の導入
③ 60歳以上の被保険者1人あたりの単価を30万円とする
要件の緩和
30万円を適用する要件に(b)と(c)を追加
(a)建設・製造・医療・保育・介護の分野にかかわる事業を営
む事業主
(b)65歳以上の高年齢者(高年齢継続被保険者)の雇用割合が
4%以上の事業所
(c)高年齢者活用促進の措置のうち「機械設備の導入等」を実
施した事業主
お問合せや申請は、本誌 65頁にある都道府県支部高齢・障害者業務課
(東京、大阪は高齢・障害者窓口サービス課)までお願いします。
ホームページもあわせてご参照ください。
http://www.jeed.or.jp/elderly/subsidy/
(当機構トップページ → 高齢者の雇用支援 → 助成金)
転換の対象となる労働者
①申請事業主に雇用される期間が転換日において通算して6カ
月以上で 50 歳以上かつ定年年齢未満であること。
②労働契約法第 18 条に基づき、労働者からの申込みにより転換
した者でないこと。
③無期雇用労働者として雇用することを約して雇入れられた者
でないこと。
④転換日の前日から過去3年以内に申請事業主において、無期
雇用労働者として雇用されたことがない者であること。
⑤支給申請日において離職していない者であること。
vol.
270
「いいモノはいい」
、
こだわりの製麺一筋
「江戸玉川屋」の製麺技能士
せき
ね あ きら
関根詔さん
(73歳)
を支える
3 階建てビルの 2 階にある製麺ラインで、麺のでき具合をチェックする。
生産される麺は麺類全般にわたり、この日は日本そばの製麺ラインが稼働
「手間を惜しまず伝統的な製法にこだわる、
これが『江戸玉川屋』の麺づくりですが、
若い世代の柔軟な発想も楽しみです」
し にせ
創業 年の老舗製麺業
月
11
日 は「 め ん の
並びの連想から毎月
「江戸玉川屋」
数字の
日、 と り わ け
11
1
区内には、製麺工場をもつ老舗
域の特色を発揮しているが、東京
され、その大部分は中小企業で地
200社ほどの製麺企業があると
同組合連合会によれば国内には1
会 1 9 9 9 年 登 録 )。 全 国 製 麺 協
日 」で あ る と い う( 日 本 記 念 日 協
11
81
区
23
10
創業者である関根元吉翁による起
もときち
現在である。
1935(昭和 )年、
ちされた高い品質があってこその
もちろん伝統の製麺技術に裏打
いるだけです」と謙遜していう。
けんそん
内で唯一の製麺工場として残って
備えることができた。それで
にして最上階に熟成乾燥の工場を
すからね。うちは3階建てのビル
内では敷地を確保するのが大変で
会長の関根詔さんによれば、「都
式会社)」である。
丁 目 の「 江 戸 玉 川 屋( 玉 川 食 品 株
企業が1社だけある。北区豊島7
23
2
2016.11
年の歴史を誇る老
の変遷や製麺技術の実際など、実
このような話のなかに製麺業界
舗企業である。戦災で工場が焼失
に豊かな知識が披露されるのだ
業というから
したが、戦後再開し、1950年
が、その一部は同社のホームペー
ジを参照していただきたい。
に会社組織とした。
「1960年には当時の食糧庁
ていねいな麺づくり、
の モ デ ル 工 場 に 認 定 さ れ、 以 来、
学校給食の食糧政策に全面的に協
いいモノはいい!
区に残る唯一の乾
力して、食生活の安定に尽くして
同社は東京
ゆ ごね
きました。現在の若い人には食糧
麺工場として宮内庁や大手食品卸
23
などに納品し、乾麺だけでなく業
92℃以上の熱湯で丁寧に湯捏された上の写真の原料は、下の写真の
製麺機に通されて延ばされていく
難の時代など想像もできないで
しょうね」
務用や給食用の生麺、あるいは相
手先ブランドの商品などを幅広く
生産している。とくに「江戸玉川
屋」ブランドには、極端な機械化
を避けて、昔ながらの独特な製法
を 引 き 継 ぎ、
「ひと手間かけた職
人技をフルに活かす」という思い
が込められている。
あつえん
ふくろづ め
製 造 工 程 は 乾 麺 を 例 に と る と、
こ
捏ね・圧延・乾燥・裁断・袋詰と
左は熟成乾燥室内の温度と湿度を保つ空調設備の管理パネル。右は時間
ごとにチェックした麺の状態を記録するノート
ゆ ごね
℃以上の
92
時間かける「熟成乾
いいモノはいい! これに尽きま
が ら や り ま す。 丁 寧 な 麺 づ く り、
時間ごとに温度や湿度を確認しな
たしかめながらやり、熟成乾燥は
「湯捏は職人の手で捏ね具合を
燥」の工程である。
常の4倍の
熱 湯 で 原 料 を 捏 ね る「 湯 捏 」と 通
こ
なるが、特筆すべきは
この状態で熟成乾燥室に回され、1 ページの写真のように 24 時間かけて
熟成乾燥される
す」
3 エルダー
24
81
を支える
重要な管理項目であるという。同
く。そのような外観のチェックも
燥が進むと麺の色が変わってい
子だが、最初白かった麺の熟成乾
にやっていますからね」
工場では温度や湿度の管理を丁寧
するのに有効でしょうが、うちの
る手延べそうめんには湿度を維持
わないのか、ですか? うちでは
使いません。冬場に外で乾燥させ
1ページの写真が熟成乾燥の様
社には関根会長をふくめ4人の製
麺技能士が在籍するが、関根会長
手間 を惜しま ず 伝 統 製 法に
じゅうち ん
は業界の重鎮として技能士会の指
こだわる
表取締役を長男の康弘さんに引き
やすひろ
2016年7月、関根さんは代
導的な役割を引き受けたこともあ
り、製麺技術の解説もまことに詳
細にわたる。
継いで会長職に就いている。
めん じつ ゆ
「 え っ、 そ う め ん に 綿 実 油 は 使
代表取締役を康弘さん(写真上・左)に託し、自らは会長職に就いた。
乾麺の袋詰め作業。日によって多様な商品が出荷されている(下)
「若い人は発想が柔軟ですねえ。
ふる
1階の店舗に掲げてある小麦の穂
がデザインされたマークが旧いロ
ゴマークですが、新しいマークは
マ ル の な か に“ 川 ”の 字 が 逆 さ に
入 る。“ 逆 さ 川 ”と い っ て 普 通 の
川と違って平地から山に向かって
ほんろう
流 れ る。『 近 代 的 な 効 率 重 視 の 流
れに翻弄されることなく、手間を
惜しまず伝統的な製法にこだわる
江戸玉川屋の麺づくり』を表現し
たものだそうです」
ビルの1階にある小売
コーナーの店頭。右は
創 業 81年 を 象 徴 す る
旧ロゴマーク。上は
“ 逆さ川 ”をデザインし
た新しいロゴマーク
(撮
影・福田栄夫/取材・吉田孝一)
ht tp :/ / w ww. e do - ta m ag a wa y a . jp
玉川食品株式会社(江戸玉川屋)
TEL:03(3913)5705
FAX:03(3913)8531
を忘れさせてくれた。
る深遠な内容のお話は、時の経過
終始、笑みを絶やさず展開され
同社の代表的な乾麺類。写真の「満さく」シリーズは発売以来 40 年
で 300万食を超えるロングセラーに
4
2016.11
1
技を支える vol.270
「いいモノはいい」
、こだわりの製麺一筋
「江戸玉川屋」の製麺技能士 関根詔さん
6
特 集
2016 November
高齢者が活躍する職場
平成28年度 高年齢者雇用開発コンテスト
高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰受賞企業事例から
8
12
16
20
24
28
32
36
優秀賞
松元加工 株式会社(奈良県磯城郡)
社会福祉法人みのり村(大分県杵築市・日出町)
赤江機械工業 株式会社(宮崎県東諸県郡)
社会福祉法人あやまユートピア(三重県伊賀市)
社会福祉法人凌友会(佐賀県佐賀市)
城山交通 株式会社(長崎県長崎市)
アイエム翻訳サービス株式会社(大阪府大阪市)
江戸から東京へ 第 50 回
40
44
高齢者に聞く
生涯現役で働くとは
●エルダー
(elder)
は、英語の old の比較級で、
年長の人、目上の人、尊敬される人 などの意味
がある。昭和 54 年、本誌発刊に際し、(財) 高年
齢者雇用開発協会初代会長・花村仁八郎氏に
より命名された。
作家 童門冬二
和魂和芸の科学者 田中正平
38
No.445
第31回
認定NPO法人アジア教育友好協会
理事長
谷川 洋さん(73歳)
高齢者の現場 北から、南から 第 54 回
福島県 株式会社
原町サイン
働く高齢者のための健康・安全相談室[第 31 回]
公益社団法人日本産業衛生学会 エイジマネジメント研究会 編
48
希望者全員65歳雇用 ! 雇用ミックス時代のフレキシブル賃金・評価制度《第14回》
株式会社プライムコンサルタント 代表取締役
菊谷寛之
52
高齢者雇用施策を考える[第 7 回]高齢者事業団とシルバー人材センター
独立行政法人労働政策研究・研修機構 主席統括研究員 濱口桂一郎
54
労務資料 平成 27 年国民生活基礎調査結果の概要
58
日本史にみる長寿食 vol.278 日本料理の味を決める
“しょうゆ”
59
ニュース ファイル
60
次号予告・編集後記
61
リーダーズトーク
厚生労働省
永山久夫
奥多摩 奥 集落
奥多摩町留浦の「奥」と「峰」は東京都の西
端にある小さな集落で、1957(昭和32)年
の小河内ダム(奥多摩湖)の完成で標高の
低い集落は水没し、
「奥」や「峰」の集落は
水没を免れました。東京にもこんな山深いと
ころがあったのかと思うくらい険しい廿樂折
れの林道を登っていくと視界が開け「奥」集
落がありました。標高は1,000メートル近く
あり肌寒さを感じながらスケッチしました。
No.19
法政大学大学院政策創造研究科教授 坂本光司さん
「人を大切にする」
生きた経営事例を示し
企業の意識を変える
64
◆表紙の絵:
「スケッチぶらり旅」
水彩画家 鈴木新(すずき・あらた)
● ● ●
高齢者のためのグルメレシピ[第 19 回]
鱈、帆立貝の松前焼き
※ BOOKSは休載します。
「長峰」店主
長島 博
1945 年 兵 庫 県神戸市生まれ。日本やヨー
ロッパ各地でスケッチ旅行をしながら、多
くの作品を発表。現在は作品制作の傍ら、
水彩スケッチ教室の講師としても活躍。日
本美術家連盟会員、水彩連盟準会員
主な受賞作:「秘湯」第 34 回フランス美術展
ラ・セーヌ賞
http://www.arata.ne.jp/
年度高年齢者雇用開発
社を表彰
年度
月5日、厚生
労 働 省 と の 共 催 で、
﹁平成
者雇用支援機構は
独立行政法人高齢・障害・求職
◀高齢者雇用先進企業
フォーラム﹂を開催
﹁平成
高齢者が活躍する職場
平成 年度 高年齢者雇用開発コンテスト
高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰受賞企業事例から
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、厚生労働省との共催で﹁高年齢者
雇用開発コンテスト﹂を毎年開催している。コンテストでは、職場環境の改善や新職場
28
や意欲を向上させ活躍し、﹁年齢
同フォーラムは、高齢者が能力
開催した。
高年齢者雇用開発フォーラム﹂を
28
の創設により生涯現役で働ける職場を実現している事例や、高齢者が身につけた能力
を十分に発揮できる職場環境を創意工夫して実現した事例などを募集し、優れた取組
みを表彰している。
﹁厚生労働大臣表彰﹂を受賞した企業を紹介した前号に続き、今月号では、高齢・障害・
29
28
求職者雇用支援機構理事長表彰優秀賞を受賞した企業の取組みを紹介する。
10
特 集
厚生労働大臣表彰最優秀賞には(株)ハラキンが選出された
6
2016.11
ため、職場の改善や職務・職域の
ことができる職場環境を実現する
を十分に発揮していきいきと働く
フォーラムでは、高齢者が能力
当者など、
約300人が集まった。
会場には、企業の人事・労務担
て、開催するもの。
会 ﹂に 向 け た 取 組 み の 一 環 と し
にかかわりなく働ける生涯現役社
7社に賞状が授与された。次いで、
園、︵株︶大観荘、︵株︶陣内運送の
紹隆会高松保育園・高松第二保育
ン、エバオン︵株︶、特別賞=︵福︶
族、
︵株︶テ ク ノ ス チ ー ル ダ イ シ
ラキン、優秀賞=︵有︶おとうふ家
表 彰 と し て、 最 優 秀 賞 =︵株︶ ハ
われた表彰式では、厚生労働大臣
る主催者挨拶があり、その後に行
臣と当機構の和田慶宏理事長によ
はじめに、橋本岳厚生労働副大
でできることを説き、企業レベル
言。そのために企業・個人レベル
アを増やすことから始まる﹂と提
資源の確保も﹁アクティブなシニ
生産年齢人口の減少に対する人的
る 高 齢 者 ︶社 会 の 創 設 ﹂で あ り、
ティブエイジング︵健康で活力あ
社会を迎えた日本の課題は﹁アク
の延伸へ∼﹂をテーマに、超高齢
略∼労働寿命の延伸から健康寿命
社会を目指した日本的健康経営戦
講 演 で 神 代 理 事 長 は、
﹁生涯現役
授をコーディネーターに迎え、事
次いで、内田賢東京学芸大学教
ける取組み事例を紹介した。
表取締役社長が登壇し、自社にお
部 長、 陣 内 正 明︵株︶陣 内 運 送 代
スチールダイシン取締役営業管理
藤 和 晃 氏、 小 野 貴 洋︵株︶テ ク ノ
キン代表取締役と同社総務部の伊
入 賞 企 業 か ら、 原 謙 次︵株︶ハ ラ
ションが開催され、事例発表では
スト﹂の表彰式をはじめ、神代雅
社
する7社、特別賞=︵株︶ローズ・
︵福︶あやまユートピアをはじめと
評価による労働寿命の算出に切り
定年制度を廃止して労働適応能力
での取組みとして、暦年齢による
働ける社会のために﹂が開かれた。
るト ー クセッション﹁いきいき と
例発表した3社をパネリストとす
続いて事例発表とトークセッ
拡大・創出など企業が取り組んだ
当機構理事長表彰では、優秀賞=
掲載する予定。
成 年度高年齢者雇用開発コンテ
創意工夫の事例を広く募集した﹁平
晴・一般財団法人日本予防医学協
ビルサービスをはじめとする
ここでは3社の事例発表で示さ
会理事長による記念講演、コンテ
替えることなどを提案し、労働適
れた取組みをベースに、内田教授
に賞状が贈られた。
応能力を評価する新たな手法とし
ス ト 入 賞 企 業 に よ る 事 例 発 表・
挨拶に立つ橋本岳厚生労働副大臣
神代雅晴日本予防医学協会理事長
15
表彰式に引き続き行われた記念
がそのポイントをまとめつつ、﹁制
※「アクティブエイジングインデックス」は(一財)日本予防医学協会の登録商標。
28
トークセッションが行われた。
て日本予防医学協会が開発した
度改革を行ったことによるメリッ
続けるための工夫﹂について各社
﹁アクティブエイジングインデック
﹁労働寿命の延伸を図ることが健
に掘り下げて質問。また、
モチベー
ト﹂、﹁高齢者の持つ能力の活かし
康寿命の延伸につながる﹂と強調
ションの維持・向上についてなど
ス︵AAI︶﹂※について解説した。
してその根拠を多様なデータから
も含めて、取組みの様子や考え方
方﹂、﹁高年齢者がいきいきと働き
示し、労働寿命を伸ばす取組みは、
な ど が 3 社 か ら 詳 し く 語 ら れ た。
本 講 演 を 通 し て 神 代 理 事 長 は、
企業や国、高齢者にとっても意義
最後は内田教授がトークセッショ
うちに幕を閉じた。
ンを総括し、フォーラムは盛況の
あることを示した。
今回の神代理事長の記念講演の
詳細は、本誌2017年1月号で
7 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
◎創業 1986(昭和61)年
◎業種 製造業
1人 (2.4%)
65∼69歳
企 業 プロ フィ ー ル
定年は70歳。一定条件のもと、嘱託社員として年齢上限なく再雇用。現在の最高
◎定年・継続雇用制度
高齢従業員の豊かな経験を活かし
全員が助け合う職場環境を構築
松元加工 株式会社
本事例のポイント
︵奈良県磯城郡︶
推進した。
( 3) 8 種 類 の 勤 務 時 間 帯 の 導 入
る制度を導入した。また、
なった。
沿った柔軟な働き方が可能に
によって、高齢従業員の希望に
までは大きな変動のない賃金
歳
(昭和
テ ー ブ ル と す る 制 度 を 採 用 し、
境の改善を推進し、製造工程を
くりや人材不足の問題を解消する
制度を就業規則に規定し、優秀
( 2) パ ー ト 従 業 員 の 正 社 員 登 用
り組んだ。
できるようさまざまな改善に取
年を通じて快適な環境下で作業
人力から電動に変えたほか、1
ためにも、高齢従業員の活用は大
なパート従業員の正社員登用を
まず、快適で安全な職場環境づく
歳以降
いる。2005年に新規事業とし
年にはISО9001を取得して
01年に工場を増設し、2004
993年に株式会社化した。20
同社は、事業拡大にともない1
液晶テレビ用光学系機能フィルム
を導入した。2008年には大型
大型プレス機や大型二次元測定器
に進出、クリーンルームを拡張し、
てプラズマテレビ用フィルム加工
Ⅱ
りや健康管理体制づくりに取り組
むことを経営方針に掲げ、その方
針を周知徹底させるとともに、全
従業員に自助努力をうながした。
歳定年に改定し、
)年7月か
本事例のポイントは次のとおり。
ら
(1)2009(平成
21
企業の沿革・事業内容
きな課題であった。そこで同社は
)年 に、 電 気 絶 縁 材 料 の
加工からスタートした。電子部品
高齢従業員の生活の安定をは
( 4) 高 齢 従 業 員 に 優 し い 職 場 環
製造業界は景気変動の波の影響を
かった。
70
受けやすく、安定した経営環境づ
松元加工株式会社は1986
Ⅰ
も嘱託として再雇用を可能とす
70
70歳以上
61
70
優秀賞
2人 (4.9%)
4人 (9.8%)
高齢・障害・求職者
雇用支援機構理事長表彰
( 内 訳 ) 60∼64歳
◎従業員数 41人
年度
高年齢者雇用開発コンテスト
28
平成
松元加工 株式会社(奈良県磯城郡)
齢者は73歳
8
2016.11
に移転したことで、国内市場は縮
手電機メーカーが生産拠点を海外
テレビ用フィルムは、取引先の大
工場を現在地に移転した。しかし、
なったため、2012年に本社と
加工も開始し、既存工場が手狭と
ている。
産機能を集約・拡張し現在に至っ
に向け2014年に本社工場に生
能力拡大と構内物流などの効率化
業は成長が見込まれるため、生産
ルム加工事業に参入した。この事
で新たに太陽光発電パネル用フィ
の生活の安定化をはかった。
かな賃金カーブとし、高齢従業員
まで大きな変動や減額のない緩や
なった。賃金テーブルも
で雇用機会が提供されるように
歳定年
小し成長が望めなくなった。そこ
高齢化の状況、職場改善などの背景と進め方
さらに、パート従業員の正社員
登用制度を就業規則に明文化し
た。これは長年、会社に貢献して
きた優秀なパート従業員を正社員
と し て 処 遇 す る 仕 組 み で あ り、
歳以上であり、全
歳以上は5人、非正規も含めると
用に積極的に取り組むようにな
た。その解決のために高齢者の採
人手不足という状況が続いてい
も応募者が少ないので、慢性的な
である。しかし、現場の高齢従業員
同社ではフルタイム勤務が原則
務制度導入
・高齢従業員のニーズに基づく勤
上につながった。
パート従業員のモチベーション向
歳以上
り、若手・中堅・高齢従業員を戦
から体力の低下や家庭の事情など
人中
は1人で、同社の最高齢である
力として一体的に考え、すべての
で短時間勤務や短日数勤務を希望
体の
%を占めている。
人中7人が
歳の女性がパート従業員として清
従業員が長く安心して働ける企業
用者においても同様の要望が出て
掃の仕事に従事している。新卒の
至らず、中途採用の募集をかけて
いたため、柔軟な勤務制度の導入
にふみ切った。
具体的には8種類の多様な勤務
・ 歳定年制と正社員登用制度導入
(1)制度面の改善
再 雇 用 す る 条 件 は 個 別 に 協 議 し、
した。また、定年後、嘱託として
9年に定年を
とする弾力的勤務時間制度を導入
せて週末勤務や短時間勤務を可能
ローテーションが実現した。あわ
り、 交 代 勤 務 体 制 や 柔 軟 な 勤 務
時間帯の選択ができるようにな
同社では人材確保のための長期
労働契約書を取り交わすこととし
改善の内容
歳に延長
展望に立った雇用方針が確立して
したことで、フルタイム以外の選
70
70
歳ま
歳から
する声が上がりはじめた。中途採
同社では正規従業員の
70
風土の構築を目ざした。
31
応募者は若干あるものの採用には
60
73
60
た。これにより、最低でも
9 エルダー
60
17
70
松元加工、外観
松元加工では、高機能フィルムの加工・販売を行う
Ⅲ
41
Ⅳ
いなかったことを見直し、200
70
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
小型電動フォークリフトと垂直自動搬送機
クリーンウェアで作業を行う高齢従業員
・空調の改善
から1トンの原材料が搬入される
加工の工程では重量500キロ
ムを導入、年間を通じて快適な環
場全体を対象とした冷暖房システ
担となっていたが、倉庫を含む工
暖房の効きが不十分で作業者の負
(3)職場環境に関する改善
ことがあるが、従来はハンドリフ
境を提供できるようになった。
択肢がなかったために高齢従業員
トにより人力で移動・セットして
・機械装置へのセンサー取つけ
倉庫内は空調の効率が悪く、冷
従来の人材育成方針は、同一職
いた。効率も悪いうえ腰痛を訴え
・重量物運搬の機械化
場、同一職種における長年の勤務
る者が多かったため、2014年
が退職を余儀なくされるという状
を通じた熟練工養成であった。と
況が改善された。
ころが生産品目の転換が頻繁に起
の工場増築時に小型電動フォーク
務間の繁閑に対応した機動的な人
ションを実施した。その結果、業
を経験してもらうためにローテー
た。そこで、従業員には多様な現場
大型エレベータや垂直自動搬送機
料などを直接載せることができる
たが、小型フォークリフトで原材
ベータで原材料などを搬送してい
スがあるためハンドリフトとエレ
また、1階と2階に物流スペー
た。センサーはこのような事故を
井にぶつけてしまうことがあっ
かり」してアームを上げ過ぎ、天
際にアームを上昇させるが、「うっ
エレベータまで運び、台に載せる
リフトの場合、工場内で重量物を
をはかっている。例えばフォーク
取 り つ け、「 う っ か り 事 故 防 止 」
など、すべての機械にセンサーを
員配置が可能になり、この過程に
を導入、高齢従業員にとっても身
(2)能力開発に関する改善
こるなかで、長年従事していた仕
リフトを導入した。
大型プレス機やフォークリフト
事そのものがなくなる恐れもあっ
おいては、高齢従業員の活用が効
体の負担が軽くなるとともに、作
場で熟練の技能をもつ高齢従業員
や中年の従業員が、ある一つの職
例えば、新たに採用された若手
・配線の改善
高まった。
業効率が大幅に向上し、安全性も
整備されつつある。
する安全性を配慮した作業環境が
防止するもので、高齢従業員に対
はんかん
果を発揮している。
の指導を受け、その後配置転換さ
従業員に学ぶことで同社の技能伝
して、若手がその都度異なる高齢
ではなく、多能工の育成を目的と
従業員と若手のペア就労という形
るというものである。特定の高齢
から技術指導を受けることができ
れた職場でもまた別の高齢従業員
トの行き来が容易になった。
排除されたことで、フォークリフ
配線・配管とした。床の障害物が
いた。改善を検討し、天井からの
員が床でつまずく事故が多発して
機械に供給していたが、高齢従業
純水などの配管は通路をまたいで
これまで電気配線や圧縮空気・
に入る。午後3時の休憩時にはこ
え、空気シャワーを浴びて作業室
作業者はクリーンウェアに着替
リ ー ン ル ー ム 内 で の 作 業 の た め、
同社のフィルム加工の工程はク
・休憩時間の延長と休憩場所・
喫煙室の新設
(4)健康管理・安全衛生
承が進められている。
2016.11 10
休憩場所として新設した食堂
検査作業の様子
安心して保管できるようになった。
意 し たことで、貴 重 品 について も
女 別 にし、鍵つきのロッカ ー を 用
健康に配慮している。更衣室は男
場所での禁煙を徹底し、従業員の
に喫煙室の新設とともに、ほかの
り従業員に歓迎されている。さら
を見ながら食事ができるようにな
場所を兼ねた食堂を設置、テレビ
また、新工場稼働とともに休憩
で は 短 す ぎ る と の 要 望 が あ っ た。
時間がかかり、
分間の休憩時間
の作業服を着替えるが、着替えに
に開放している。
地域住民にも使ってもらえるよう
好評である。なお、このAEDは
く、
「ありがたい」
、
「安心できる」と
をはじめ心臓疾患をもつ者も多
の勤務時間変更を要望した従業員
される高齢従業員のなかには前述
ることができた。
歳以降に採用
救急救命処置ができる体制を整え
急車が到着するまでの間に社内で
る従業員が発生した場合にも、救
結果、もし、心臓疾患などで倒れ
全社をあげてこの取組みを進めた
た 救 急 救 命 訓 練 を 実 施 し て い る。
( 自 動 体 外 式 除 細 動 器 )を 利 用 し
急救命士の派遣を要請し、AED
出荷を担当していた。しかし体力
加工現場で就労し、その後倉庫で
に改善した。
屋で行える職務へ転換できるよう
けたカタログ検査など、明るい部
業員についてはフィルムを張りつ
が多いが、検査工程所属の高齢従
工程は目に負担がかかるため若手
照明も最低限となっている。検査
う に 検 査 室 は 壁 も 黒 く 塗 装 さ れ、
ムにほかのものが映り込まないよ
て検査している。この際、フィル
そこで休憩時間を
るまでしばらく動くことができな
朝起きられない。起きても安定す
診者には保健師による保健指導を
齢者などの生活習慣病予防検診受
診断に加え、2010年から、高
全従業員を対象とした定期健康
担当している。責任感が強いAさ
はパート従業員として清掃業務を
的に負担を感じ会社と相談、現在
分間に延長し
いので出社時間を遅らせてほし
んに対する周囲の信頼は厚い。
た。
年勤続を誇る。もとは
い。会社で倒れることがなにより
実施し、希望者にはがん検診を追
歳台後半で入社し、倉庫係として
歳・男性)は
も心配」という従業員の要望に応
加するとともに、健診結果により
働いている。係長の職にあり、熱
また、Bさん(
えるため、本人と相談のうえで始
精密検査の受診を奨励している。
分から
時に変更
業時間を8時
した。
る人も多い。
を経て取引先に出荷されるが、ク
き続けられる職場風土の確立を目
同社は、だれもがいきいきと働
の開催
リーンルームのなかではフィルム
50
心臓疾患に関して従業員の関心
64
ざしていく。
・AEDの設置と救急救命講習会
10
の一枚一枚をバックライトに当て
加工されたフィルムは検査工程
心に部下を指導する姿に励まされ
21
(5)新職場・職務の創出
女性)は
同 社 の 最 高 齢 の A さ ん(
高齢従業員の声
・健康状態に配慮した勤務形態
・定期健康診断と保健指導
歳・
「心臓疾患で不整脈があるため
73
Ⅴ
60
15
10
30
が高いため、地元の消防本部に救
11 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
定年は60歳。希望者全員を65歳まで嘱託職員として継続雇用。その後は一定条
◎定年・継続雇用制度
高齢職員の積極的活用で
地域福祉の一翼をになう
社会福祉法人 みのり村
︵大分県杵築市・日出町︶
る制度を設けた。柔軟な勤務形
態の導入によって、家庭内介護
社会福祉法人みのり村は、大分
面談を定年後の継続雇用者にも
正規職員のみを対象としていた
度を導入した。従来は定年前の
タクシー事業を立ち上げ、翌年
13(平成
に、新規事業を開発した。20
(3)新たな高齢職員の雇用のため
要望にも対応が可能になった。
本事例のポイント
県杵築市と日出町において、障害
実施したことで、体力の低下や
には高齢職員が障害者とともに
にともなう長期休暇取得などの
者の入所支援施設や高齢者の入所
健康上の問題、家族の介護など
( 2) 基 本 的 に は フ ル タ イ ム 勤 務
入し、経験豊かな高齢職員が配
た、地域の配食サービスにも参
じ まち
施設など9カ所の拠点を中心に福
の悩みや不安を早期に把握でき
たい」という思いが出発点となり、
としていた高齢職員の勤務形態
置され、地域福祉のにない手と
ひ
祉事業を展開している。創設者の
働くカフェをオープンした。ま
年の歴史を刻んできた。
「人が人
の改善に取り組み、個々の事情
き つき し
「障害をもつ子どもたちを支えた
るようになった。
)年には介護・福祉
い、ともに生きていけるようにし
を大事にする」という経営方針の
して活躍の場が広がっている。
人である。1 9 5 1( 昭 和
)年
高齢者福祉に取り組む社会福祉法
に合わせて勤務時間が選択でき
25
も と、 高 齢 者 を 積 極 的 に 採 用 し、
高齢職員が福祉現場で長く活躍で
企業の沿革・事業内容
築市・日出町で障害者福祉および
みのり村は、大分県北東部の杵
Ⅱ
きる環境づくりを目ざして多様な
取組みを進めている。
本事例のポイントは次のとおり。
( 1) 高 齢 職 員 の 雇 用 促 進 に 向 け
た制度の検討を重ねて、面談制
26
◎創業 1951(昭和26)年
◎業種 社会福祉業
企 業 プロ フィ ー ル
Ⅰ
65
優秀賞
7人( 2.7%)
65∼69歳
18人( 6.8%)
70歳以上
高齢・障害・求職者
雇用支援機構理事長表彰
( 内 訳 ) 60∼64歳
41人(15.6%)
◎職員数 263人
年度
高年齢者雇用開発コンテスト
28
平成
社会福祉法人 みのり村(大分県杵築市)
件に該当する者を70歳まで嘱託職員として継続雇用。現在の最高齢者は81歳
2016.11 12
ほうおん じ
月、報恩寺の住職であった大木
えいせい
の中核をになうために事業を拡大
員 で 開 園 し た。 1 9 7 4 年 に は、
して、4人の入所児童と6人の職
の 知 的 障 害 者 施 設「 み の り 園 」と
認められる法人を目ざし、社会福
本精神とし、地域社会より愛され
精神である慈愛・奉仕・研究を基
経営理念に「私たちはみのりの
にできるだけ長く働き続けてもら
るとはいえ、経験豊かな高齢職員
較的人材を確保しやすい状況にあ
る。県内の同業他法人に比べ、比
における人材の確保難があげられ
その背景としては介護福祉業界
あった。
知的障害者の高齢化への対応から
祉事業の担い手として地域・社会
うことは大きな課題であった。
してきた。
特 別 養 護 老 人 ホ ー ム「 菩 提 樹 」を
へ貢献します」を掲げている。現
英正・浜子夫妻により、西日本初
開設し、介護・高齢者福祉分野に
在、9つの施設の利用者総数は6
ぼ だい じゅ
も進出した。地域における福祉の
00人にも上る。
年にわたって、福祉サービス
く職員も含まれている。
の利用者のみならず、同法人で働
ており、この場合の「人」は施設
ことも高齢職員の雇用を後押しし
する」ことを経営方針に掲げている
また、同法人が「人が人を大事に
充実を社会的使命と考え、開園以
来
高齢化の状況、職場改善などの背景と進め方
同法人では職員が長く働き続け
正規職員が152人、非正規職員
的に進めてきた経緯があり、全職
以前から、高齢職員の雇用を積極
同法人では制度改善に取り組む
年から管理部門を中心に検討を進
が急務となった。そこで2013
い環境の整備や新たな雇用の創出
のためにも、高齢職員が働きやす
ることは自然の流れととらえ、そ
が111人となっている。採用難
歳以上の職員の割合
数を占めている。
の傾向が強い介護福祉分野である
員に占める
同 法 人 の 職 員 数 は 2 6 3 人 で、
が、県内での知名度が高いことか
歳以降に
めることになった。
人ほどの新卒者を採用
改善の内容
歳まで継続雇用、
歳まで継続
雇 用 す る 」こ と を 決 め た。 ま た、
者を嘱託職員として
ついては、一定の要件に該当する
て
は常に1割を超えている状況で
~
人程度の
歳、そ
ら、比較的新卒者の採用は順調で、
毎年
している。一方、毎年
歳以上の高
中途採用では積極的に高齢者を採
用している。現在、
歳を
(1)制度に関する改善
人は
齢職員
・定年制度
人のうち、
超えてから新規採用された者たち
2013年に、
「 定 年は
65
70
60
であり、全体の職員構成をみると、
65
20
60
の後は希望者全員を嘱託職員とし
60
10
17 60
Ⅳ
10
66
歳以上の中高年齢層の割合が半
13 エルダー
12
65
Ⅲ
50
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
みのり村本部、特別養護老人ホーム「菩提樹」外観
ト」という様式を定め、今後の配
員の確保などの対応に迫られるこ
しかし、前述の面談制度を導入
制度化されてはいないが、本人に
提案、現在の悩みなどを事前に記
したことで、高齢職員の悩みや不
とが多々あった。
なければその後も引き続き雇用
入 し て も ら う よ う に し た。 ま た、
安について問題が大きくなる前に
置の希望、仕事上における要望・
し、生涯現役で働ける職場が実現
プライベートの悩みについても話
把握できるようになり、その結果、
意欲・能力があり、健康上問題が
した。定年後に採用された高齢職
を聞くようにした。
ている。
の支給額を勘案したうえで決定し
給制となるが、県内の同業他法人
ある。継続雇用後の賃金は日給月
を選択せずいったん休職したうえ
場合には、管理職はすぐには退職
退職せざるを得ないと考えている
の問題や家族の介護などを理由に
面談の結果、高齢職員が健康上
暇の取得を希望する者などが多く
るいは家族の介護のため、長期休
一般職への転換を希望する者、あ
タイムへの転換やリーダー職から
のなかで、フルタイムからパート
迅速な対応が可能になった。面談
人は非正規職員で
・高齢職員を対象とした面談制度
で、 今 後 の 身 の 振 り 方 に つ い て
いることがわかった。
人で、
の導入
じっくり考えるようアドバイスし
員は
同法人では、管理職と部下との
ている。その結果、休職の後、職
そこで、2014年度から、個々
コミュニケーションをはかること
の希望にできるだけ沿って、雇用
コミュニケーションシートのよう
面談を実施しているが、現状では
「長年慣れ親しんだ仕事を続けて
た。 ま た、 仕 事 内 容 に つ い て は、
形態を柔軟に選択できるようにし
いた。しかし、高齢職員の間から、
もらうことで経験がより生かされ
歳以上の高齢職員にも
「 定 年 前 の 職 員 だ け で は な く、 継
な様式を用いていない。今後は
る」との考えに基づき、定年前と
また、
続雇用後も上司と話す機会を設け
歳以上の者に特化した様式を作成
象に年1回の面談制度を実施して
てほしい」との声が聞かれた。一
することを検討している。
て い る。 同 法 人 の 特 別 養 護 老 人
同じ仕事を継続できるようになっ
方、管理職側からも「高齢職員に
・柔軟な雇用形態の導入
人の入所者を5人か
歳
こうした状況をふまえ検討を重
本人の体力・健康面の不安や家族
ところが、継続雇用者のなかには、
ル タ イ ム 勤 務 を 原 則 と し て い た。
の勤務形態について、8時間のフ
はリーダー職に就くことがないよ
が、一部の例外を除き、高齢職員
にはリーダー職を配置している
ケア制をとっている。各ユニット
ら6人の職員でケアするユニット
ホームでは
ねた結果、2014年度から
の介護などを理由に、突発的に退
従来、同法人では、継続雇用後
までの継続雇用者も面談の対象と
る」との意見が上がった。
することを決定した。面談に際し
うにして、責任の重圧からは解放
10
65
職を申し出る者もおり、代替の職
の要望を聞く場を設ける必要があ
長く働いてもらうためには、職員
65
場に復帰した者もいる。
40
を目的に、定年前の正規職員を対
46
て は、
「コミュニケーションシー
65
カフェ「m・歩っ」外観
カフェで働く高齢職員
2016.11 14
した。ユニットでは高齢職員は若
体でバックアップする体制を整備
齢職員がいるユニットをチーム全
さらに、雇用形態を変更した高
い の で 話 し や す く、 親 し み や す
タクシー利用者からは「年齢が近
う 経 歴 を も つ 高 齢 者 を 採 用 し た。
出し、公共交通機関の運転手とい
月に介護・福祉タクシー事業に進
創出が必要となり、2013年7
点として内外の注目を浴びている。
のイベントを開催、介護予防の拠
とともに健康相談や料理教室など
職員が常駐し、高齢のボランティア
ス ポ ー ツ と し て 職 員 全 員 が 参 加、
性別を問わずにだれもが楽しめる
での入賞を目ざしている。年齢や
て、特に、県内のミニバレー大会
全員が健康で働ける職場を目ざし
健康が求められることから、職員
く人たちの体力はもとより心身の
介護福祉の現場では、そこで働
(2)福利厚生
ビスの提供を目ざしている。
け合うことで、質のよい福祉サー
学ぶことも多く、世代を超えて助
もに働くことで、若いリーダーが
どの 製 造 を 行 う「 いち 押 し 工 房 」
らに同年9月には、パン、漬物な
をドライバーとして採用した。さ
の地理に精通した女性の高齢職員
配食サービスもスタートし、地域
ンで勤務している。同時に地域の
と障害者2~3人がローテーショ
漬物などを販売し、高齢職員2人
て の パ ン や カ レ ー、 自 家 製 味 噌、
を配置した。カフェでは、焼きた
ンし、調理経験が豊富な高齢職員
フェ「m・歩っ(えむほ)
」をオープ
齢職員と障害者がともに働くカ
また、2014年2月には、高
同法人では、構内に野菜を栽培
人たちのよき手本となっている。
事ぶりや優しい対応はともに働く
す」とのこと。2人の真面目な仕
け合いながら楽しく働いていま
歳・女 性 )は 、
「障害のある人と助
やレジ業務を担当するBさん(
います」と話す。
たいという思いで日々を過ごして
支援を行っています。お役に立ち
し、障害がある人の就労に向けた
事、「 花 卉 栽 培 な ど の 経 験 を 生 か
イムで障害者の就労支援業務に従
されるよう配慮している。
手のリーダーのもとで働くことに
い」と好評を得ている。
各 職 場 で チ ー ム を 結 成 す る た め、
を設立、全館バリアフリーの環境
するためのガーデンや近隣の農家
高齢職員の声
なるが、経験豊かな高齢職員とと
一体感が生まれる格好の場となっ
のなかで高齢職員と障害者がペア
から借りた水田などの運営も行っ
き
域の高齢者を雇用し、活躍の場を
会的使命」と考える同法人は、地
「地域における福祉の充実を社
まちかど交流サロン『福ろう』」を
住民が気軽に立ち寄れる「菩提樹
2015年4月に、幅広い世代の
一方、杵築市の委託事業として
風土を構築している。
アップにつながり、支えあう職場
活躍は職員全体のモチベーション
ており、高齢職員の多岐にわたる
歳の高齢
与えることを課題の一つととらえ
67
また、カフェ「m・歩っ」で調理
か
歳・ 男 性 )は フ ル タ
ている。
で就労している。
A さ ん(
(3)新職場・職務の創出
77
設置した。サロンでは
15 エルダー
「いち押し工房」外観
いち押し工房では、高齢職員がパンや漬物を製造する
Ⅴ
ている。そのためにも新規事業の
68
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
70歳以上
6人( 9.4%)
◎創業 1960(昭和35)年
◎業種 機械器具製造業
企 業 プロ フィ ー ル
65∼69歳
定年60歳。希望者全員を嘱託社員として、65歳まで再雇用。その後は、一定の条
◎定年・継続雇用制度
断した場合は、その従業員に対
てきた技能と知識が優秀だと判
︵宮崎県 東 諸県郡︶
定年到達後の高齢従業員が若手従業員の模範となり
働く喜びと誇りをもって生涯現役で活躍する
赤江機械工業 株式会社
本事例のポイント
0( 昭 和
従業員が働きがいを感じることが
気を取り除くように工夫し、高齢
高齢従業員が周囲に遠慮する雰囲
内 の 会 議 に も 参 加 さ せ た り し て、
題 の 提 議・ 討 議 を す る こ と で、
従業員との間の垣根を越えて課
の高齢従業員も参加させ、現役
(4)「見える化会議」に役職つき
た。
ベーションを高めるように努め
して役職と手当を付与し、モチ
メーカーで、骨材としての砂と砂
できるような職場となるよう積極
こつざい
ぶん
きゅう
き
)年 に 創 業 し た 機 械
利 を 洗 浄・ 選 別 す る「 分 級 機 」、
的な取組みを進めている。
まで再雇用し、
は高齢従業員に積極的に声をか
行った。
課題の解決につなげる取組みを
生コンプラント向けの「排水処理
砕機」を開発してきた。同社の製
歳
じた機械技術が求められてきてお
と能力があれば、年齢の上限な
け、健康状態を把握するよう努
( 1) 定 年 後、 希 望 者 全 員 を
り、これまで数多くの特許を開発
く勤務延長ができるように制度
従業員がより長く活躍できるよう
給するように工夫した。
じ基準で査定を行い、給与を支
能力を重視し、現役従業員と同
( 2) 再 雇 用 し た 後 も 本 人 の 職 務
に、定年後の再雇用時に能力の評
( 3) 高 齢 従 業 員 が 長 年 つ ち か っ
価を行って、能力が高い高齢従業
員は役職者として処遇したり、社
めた。
( 5) 毎 日 実 施 す る 工 場 内 巡 視 で
しているのが同社の特筆すべき点
を改めた。
歳以降も意欲
である。熟練された知識と経験が
65
35
品には、常にその時代の要請に応
本事例のポイントは次のとおり。
装 置 」、 コ ン ク リ ー ト ガ ラ の「 破
赤江機械工業株式会社は196
Ⅰ
求 め ら れ る 職 場 で あ る 同 社 で は、
65
優秀賞
5人( 7.8%)
9人(14.1%)
高齢・障害・求職者
雇用支援機構理事長表彰
( 内 訳 ) 60∼64歳
◎従業員数 64人
年度
高年齢者雇用開発コンテスト
28
平成
赤江機械工業 株式会社(宮崎県東諸県郡)
件のもと、年齢の上限なく勤務延長。現在の最高齢者は75歳
2016.11 16
社し、現在、経営全般で多忙な社
長を支えている。
同社は、宮崎市赤江地区で創業
を務めている。また、2008年
毛利武雄氏が2代目の代表取締役
在は、創業者・拓雄氏の志を継ぐ、
従業員の働き方全般の見直しも進
書 」を 提 出 し て 登 録 さ れ る な ど、
る「 仕 事 と 家 庭 の 両 立 応 援 宣 言
こともあり、宮崎県が募集してい
企業の沿革・事業内容
者・毛利拓雄氏が赤江鉄工所とし
には、行政書士や社会保険労務士
めており、働きやすい職場の構築
また、同社は若い従業員が多い
て創業した。1970年に現在の
歳に
もう り たく お
社 名 に 商 号 変 更 し、 1 9 9 2( 平
の資格を持つ宮永雄次氏が
に邁進しているところである。
きゅうし ん お う せ い
む るい
現在、同社で働く従業員は
ローガンの一つに掲げ、高齢従業
同社でも以前は、新卒の従業員
員も働きやすい体制の整備に取り
人
その半分ほどが工場で溶接や組立
代も
組んでいる。
歳で、
や中途採用の若手従業員と高齢従
の平均年齢は
てなどを担当している。全従業員
人。
高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方
まいしん
成4)年に宮崎県の企業誘致の認
して経理総務部長として同社に入
あやまち
可を受けて、同県東諸県郡綾町に
たん
本社・工場を移転した。創業者の
毛利氏が探求心旺盛で無類のアイ
デアマンだったこともあり、同社
は新たな機械製品を次々と生み出
し、事業規模を拡大させていった。
そ の な か で 目 を つ けたのが、建設
現 場 な ど で 余 り、 産 業 廃 棄 物 と
な っ て し ま う 生 コ ン( 戻 り コ ン )
と多い。一方で、 代以上の従業員
歳9人、 ~
60
65
だ。これを処理する「トロンメル
業員との間に、考え方や価値観な
16
歳5人、
は、 ~
69
れまで取得した特許は100件あ
イクルシステムを確立させた。こ
どを次々と開発し、排水処理リサ
技術や技能を伝承させていくのか
従業員が世代を超えてどのように
在籍しており、若手従業員と高齢
高 齢 従 業 員 の な か に は、
「定年後
かったこともあったという。一方、
高齢従業員に対して挨拶をしな
送り出して地球環境と社会に貢献
をもって優れた製品を創り、世に
る、活き活きとした、元気で明る
い、従業員全員で、働き甲斐のあ
関係なく、もっと互いに理解し合
同 社 で は 現 在、「 私 達 は 年 齢 に
おり、覇気の低下を招いていた。
ずに寂しい思いを抱えている者も
し、経験や技能を伝えることができ
り、 後 輩 に 対 し て 遠 慮 が ち に 接
に」という誤った認識が根強く残
に再雇用された者はでしゃばらず
することが我が社の使命である」
い職場づくりを目指します」をス
同社は、
「優れた技術力・開発力
が大きな課題となっている。
20
分級機」や固化・乾燥させた戻り
20
どの世代間の格差があり、若手が
44
人が
64
歳以上6人と、合わせて
60
まりを数える。
コ ン を 破 砕 す る「 ワ ニ コ ン グ 」な
60
64
Ⅲ
70
宮永雄次部長
つまずき防止のため、段差解消板によるスロープを設置
Ⅱ
との会社理念に基づきながら、現
17 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
黙々と作業を続ける谷川登さん
大野千治さん。後方に見えるのが「熱中症警報装置」
(3)安全衛生面に関する改善
会社の目標として「小さな改善
気な職場づくり」をうたい、
スロー
改善の内容
(2)制度に関する改善
ガンの一つに「私達は安全第一で
の積み重ねで、確かな物作りと元
前述のような状況に、宮永部長
・「見える化会議」の開催
もこの目標を全員で共有し、目標
の仕事始めの訓示において「今年
員に伝えるとともに、2015年
の会議は、製品の改良、作業工程
で開催することにした。当初、こ
る「 見 え る 化 会 議 」を 週 1 回 定 例
2013年に、各部門代表によ
強化が必須と判断し、
る状況のなかで、安全衛生対策の
いる同社では、高齢従業員が増え
毎日の作業を行います」を掲げて
点にわた
達成に向けて、健康・安全を第一
ゆうりょ
も憂慮し、先に掲げた目標を従業
Ⅳ
員にモチベーションを維持しても
定年後に再雇用された高齢従業
・役職手当の付与
(1)評価に関する改善
を実施するうえでの土台となった。
意識が、後述するさまざまな施策
識されるようになった。こうした
員全員が一丸となることが強く意
とによって、年齢に関係なく従業
を共有するための取組みを行うこ
行った。このような従業員が目標
に ガ ン バ ロ ー」の 三 唱 を 全 員 で
勉強の場となっている。
秀な高齢従業員との会議は貴重な
なった。各部門代表にとっても優
感が生まれて、相互の遠慮もなく
決と改善が図られ両者の間に親近
員と一緒に行うことで、問題の解
まな問題の提議・討議を現役従業
うになった。高齢従業員がさまざ
の高齢従業員2人も参加させるよ
払う取組みとなり、会議に役つき
従業員と現役従業員との壁を取り
的に始めた会議であったが、高齢
の見直し、作業の効率化などを目
ずきによる転倒を未然に防ぐこと
設置した。このため不用意なつま
べて段差解消板によるスロープを
を補うために、必要な箇所にはす
・段差の解消
う視力の低下をカバーした。
なり、高齢従業員の加齢にともな
このことで手元がより見えやす く
た め に、 L E D ラ イ ト を 活用し、
広い工場内の照度をアップする
・LED ライトの活用
るハード面の改善を実施した。
いう形で反映させるなど、評価方
し、給与に役職手当を付与すると
成指導する職務を会社がより重視
従業員へ技能や知識を伝承し、育
に従事してもらうとともに、若手
を図った。
に周知し、モチベーションの維持
にも役職と氏名を載せて全従業員
トを着帽させたり、会社の組織表
対しては、役職者専用のヘルメッ
また、役職つきの高齢従業員に
装置、冷風扇、簡易シャワー室を
の熱中症対策として、熱中症警報
ることができないことから、夏場
広い工場内には空調設備を設け
設置した。とくに、熱中症警報装
れいふうせん
・熱中症の対策
ができるようになった。
法を改善した。
加齢にともなう運動感覚の低下
らうために、現役時代と同じ業務
4
2016.11 18
いる。
せずに涼むように指導を徹底して
いる工場内での巡視では、高齢従
0%受診を実現し、毎日実施して
高齢従業員の定期健康診断の10
え て 働 く こ と について は、「 実 は
がけています」と話す。
ら、さらに技術を上げるように心
マニュアルをしっかりと守りなが
ます。経験はもちろん大事ですが、
・トイレの洋式化
業員に対して積極的に声をかける
さ ら に、 従 業 員 の 健 康 面 で は、
トイレの改善。和式トイレから
などし、健康状態をこまめに把握
置に警報マークが出たら、無理を
洋 式 ト イ レ に 改 善 す る と と も に、
するようにしている。
歳を超
トイレ内での転倒を予防するため
に手すりを取りつけた。
歳で辞めるつもりだったのです
60
が、逆に役つきのポストもいただ
き、身の引き締まる思いです。仕
事を辞めるよりも、こうして働い
ていることで健康でいられるので
はないかと思います」と、仕事が
は、製缶・組立工として活躍して
で 最 高 齢 者 の 谷 川 登 さ ん(
現在、同社で働く従業員のなか
に話を聞いた。
歳)
に尽力している3人の高齢従業員
同社の工場で、若手の育成など
酌をして早く寝るのが体力維持を
るので安心して働いています。晩
熱中症対策に力を入れてくれてい
体力的にはこたえますが、会社も
る。「 夏 場 の 工 場 内 は と て も 暑 く
い と 思 っ て い ま す 」と 力 を 込 め
らも体力が続くかぎり働き続けた
しさを感じてもらいたい。マンネ
人たちには働くうえでの喜びや楽
に し て い る こ と に つ い て、「 若 い
トだ。若手を指導するうえで大事
は、製缶・組立技術のエキスパー
佐役を務める金丸義尚さん(
生きがいと健康にもつながってい
い る。 現 在 の 仕 事 内 容 に つ い て、
するための秘訣ですね」と話すそ
リ化したら技術は伸びませんか
歳)
あったころから勤めています。会
つきで、若手従業員の育成、作業
年。工場長職務補佐役という役
大 野 千 治 さ ん(
は、基本に忠実に従いながら、感
ですね。よい製品をつくるために
しっかりと向上させてもらいたい
ら、そうならないように、技術を
かねまるよしなお
大野さんと同じく工場長職務補
る様子。
「分級機などを組み立てるための
の姿は、 歳にはとても見えない。
社が拡大するなかで、さまざまな
工程、資材関連などの全般にわた
性を磨くことも必要だと伝えてい
26
歳 )は、 勤 続
技術を習得しなければならないの
り工場長や作業長を補佐してい
ます」と、後輩従業員に対する思
ち はる
は大変ですが、製品を作ること自
る。 仕 事 の コ ツ は、「 旋 盤 を 担 当
63
年ほど経ちますが、スキル
いも強い。
体 は と て も 楽 し い で す 」と 語 る。
63
して
年で、宮崎市内に工場が
たに がわ
溶 接 作 業 を 主 に 担 当 し て い ま す。
高齢従業員の声
60
健 康 面 で は、「 こ う し て 元 気 に 働
勤続約
75
的にはまだまだ伸びると思ってい
40
溶接面を手にする金丸義尚さん
赤江機械工業を支える高齢従業員のみなさん
Ⅴ
けるのはうれしいですね。これか
19 エルダー
75
12
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
◎創業 1998(平成10)年
◎業種 介護事業
70歳以上
2人( 2.4%)
65∼69歳
企 業 プロ フィ ー ル
定年60歳。希望者全員を、嘱託職員として65歳まで雇用。その後は、一定の条件
◎定年・継続雇用制度
﹁非常勤職員﹂から﹁嘱託職員﹂への移行を促進
生涯現役で働くことができる職場を実現
社会福祉法人 あやまユートピア
︵三重県伊賀市︶
から月給制で賞与が支給される
「 嘱 託 職 員 」へ の 移 行 を 促 進 し
県、奈良県、京都府と接する伊賀
三重県の北西部に位置し、滋賀
た。さらに、兼業農家が多い地域
いくのかが重要な課題となってい
て、介護の質の向上に取り組んで
いかにして優秀な人材を確保し
結びつけた。
の嘱託職員の働きがいの向上に
業績評価制度を導入して、高齢
「 人 事 考 課 シ ー ト 」を 活 用 し た
( 3) 年2回の賞 与 の 支 払 い 時 に
本事例のポイント
市に施設を置く、社会福祉法人あ
で 事 業 を 行 う こ と か ら、「 安 定 し
た。
やまユートピア(生田邦夫理事長)
た働き方で、できるだけ長く働き
ホーム・ぬくもり園」を開業した。
たい」という職員の要望に応える
イフ・バランスを意識した柔軟
( 4) すべての 職 員 が ワ ー ク・ ラ
ついては、
形態のシフト勤務
勤務制を導入して、介護職員に
な勤務ができるように、シフト
同法人は、地域の高齢化の進展
を視野に、特別養護老人ホームや
( 1) 高 年 齢 者 雇 用 安 定 法 の 改 正
に 先 駆 け て 再 雇 用 制 を 見 直 し、
(5)「洗濯作業」や「入浴作業」な
デイサービス、訪問介護などの福
祉・介護サービスに対する需要が
2005年4月から希望者全員
した。
歳までの安定した雇用を
実現するために、高齢職員を中
( 2)
心に、時間給制の「非常勤職員」
職員の作業負担を軽減した。
な設備を導入することで、高齢
制を導入した。
高まるとの見通しのもと、同地で
どの作業環境を見直して、新た
介護サービスに対する需要は高ま
りつつあるが、恒常的な人材不足
の状況にあるのはこの地域も同様
65
事業をスタートした。実際、福祉・
歳までの雇用確保措置を導入
10
本事例のポイントは次のとおり。
必要もあった。
いく た くに お
1998年4月に「特別養護老人
の設立は1997(平成9)年。翌
Ⅰ
で、 職 員 の 高 齢 化 が 進 む な か で、
65
優秀賞
8人( 9.6%)
10人(12.0%)
高齢・障害・求職者
雇用支援機構理事長表彰
( 内 訳 ) 60∼64歳
◎職員数 84人
年度
高年齢者雇用開発コンテスト
28
平成
社会福祉法人 あやまユートピア(三重県伊賀市)
のもと、短時間契約職員として70歳まで雇用。現在の最高齢者は74歳
2016.11 20
年を数える同法人の
法人の沿革・事業内容
設立から
あ やま
名 称 に あ る「 あ や ま 」は、 市 町 村
ちょう
合 併 前 の「 旧 三 重 県 阿 山 郡 阿 山
町」に由来し、現在は伊賀市の一部、
「あやま地区」とよばれている。
同法人は、設立以来、地域に根
差した福祉・介護サービスの提供
に心を砕いており、施設の充実や
職員の資質の向上に努めてきた。
現 在 の 事 業 は、
「特別養護老人
ホーム・ぬくもり園」
(定員 人)、
人 )、「 あ や ま 老
「 短 期 入 所 生 活 介 護 事 業 所・ ぬ く
もり園」
(定員
人 デ イ サ ー ビ ス セ ン タ ー」( 定 員
人)、「あやま在宅介護支援セン
ター」があり、施設の周囲に広が
が 必 要 で あ る と し て い る。「 三 つ
の心」は施設内の要所要所に掲げ
対する気持ちばかりではなく、そ
いる。
で最も身近な目標として浸透して
られており、職員が日々働くうえ
こで働く職員の間にもこの心構え
高齢化の状況、職場改善などの背景と進め方
あり、課題のひとつとされていた。
連携が十分とれていないところが
介護職、看護職、管理部門の間の
し て き た 業 務 の 中 味 に つ い て も、
た、開業以来、試行錯誤をくり返
が課題として指摘されていた。ま
職員の知識と経験の喪失の問題」
て「職員の高齢化にともなう高齢
と も な う 人 材 確 保 の 問 題 」、 そ し
同 法 人 で は、「 若 者 の 採 用 難 に
がわかりました」と説明する。
応していくことが必要であること
めには、こうした課題に丁寧に対
いつまでも元気に働いてもらうた
題』などが指摘され、高齢職員に
立』、『健康で働き続けるための問
し た 収 入 』、
『仕事と家庭との両
た。 高 齢 職 員 に 関 し て は、
『安定
という言葉を聞くようになりまし
身 か ら『 家 族 を こ こ に 預 け た い 』
は、
人、
代が
人、
人、
代が
歳で、平均
代が2人の合
人。最高齢者は
代が
代が
代が2人、
業務に精通した常岡敬子氏が、2
代が
現在、同法人の職員の年齢構成
010年に施設長に就任してか
人、
つねおかけい こ
ら、一連の課題に取り組むために、
計
代以上の職員が
%を占めており、高齢化が進ん
歳。
14 50
このため、看護師として現場の
すべての職員を対象にした年に1
年齢は
人、
回の「個人面談」を実施するよう
になった。常岡施設長は「個人面
30 18
る豊かな自然のなか、利用者、そ
して職員からも笑顔が絶えること
がないという。
同 法 人 で は、「 三 つ の 心 で 努 め
ます」を経営理念として掲げ、利
用 者 へ の 支 援 を 行 っ て い る。「 三
つの心」とは、
「心からすべてに感
談を通じて、身近な課題が明らか
50
80
謝 し て 」、「 何 時 も 心 か ら の 笑 顔
に な り、 異 な る 職 種 間 の 連 携 も
19 40
20
で 」、
「 心 を こ め て 一 生 懸 命 」の こ
43
30
Ⅲ
徐々に取れるようになり、職員自
10 12 60
74
20 17 70
84
でいる。
44
豊かな自然とともにある、「ぬくもり園」の全景
あやまユートピアの「三つの心」
Ⅱ
25
とで、これは利用者やその家族に
21 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
改善の内容
「人事考課シート」をもとに、5段
階の業績評価を行うことになっ
た。 こ の 業 績 評 価 制 度 の 導 入 に
を希望した場合は、希望者全員を
月に「定年到達者が引き続き勤務
が改正される以前の2005年4
た。しかし、高年齢者雇用安定法
再雇用することがある」としてい
必要と認めたときは、嘱託として
勤務成績等により、特に理事長が
達した職員について、体力、技能、
ごとに契約を更新しており、希望
うながした。非常勤職員は、1年
可能なかぎり嘱託職員への移行を
年4月から、非常勤職員に対して、
員が多かったことから、2010
勤職員に近い働き方をしている職
として、非常勤職員のなかにも常
している。しかし、現実的な問題
は原則として時間給とする者」と
定労働時間が
ことが可能となった。
が退職することなく、働き続ける
を導入した。この結果、高齢職員
種類)の合計
常」、「遅出」(5種類)、「夜勤」(2
4 月 か ら「 早 出 」
( 2 種 類 )、「 平
の勤務形態だったが、2012年
「日勤」、
「遅出」、
「夜勤」の4種類
・柔軟な勤務形態の導入
ているという。
よって、嘱託職員となった高齢職
歳まで
者全員が
・洗濯作業の改善
(2)職場環境の改善
とし、「非常勤職員」を「1日の所
定年退職日の翌日から満
れるわけではなかったが、嘱託職
(1)制度に関する改善
嘱託として再雇用する」と就業規
員に移行することで、働く意欲が
員の働きがいの向上にもつながっ
則を改定して、希望者全員の
時間未満で、賃金
までの再雇用制度を導入した。制
あれば、満
る洗濯作業は、同法人では業務用
歳までの雇用が確保さ
歳までの雇用が確保
通りの勤務時間帯
「嘱託職員」を「1週間の所定労働
同法人では、職員の区分として、
評価が必要との声があがり、20
託職員に対しては、きちんとした
た。しかし、実績を挙げている嘱
以前から常勤職員のみが対象だっ
しているが、業績評価に関しては、
員に対して、年に2回賞与を支給
同法人では、常勤職員と嘱託職
8年7月に、洗剤、柔軟剤、消毒
担になっていた。そこで、200
確実に行ったかどうかの確認も負
負担になっていた。また、投入を
とっては、投入作業自体が大きな
手作業で行っており、高齢職員に
柔軟剤、消毒液の投入については
介護施設で頻繁に行う必要があ
時 間 が 常 勤 職 員 と 同 じ で あ る が、
・嘱託職員への移行の促進
生活相談員)という。
雇用期間を定めて条件により採用
液を自動で投入する装置を導入す
同 法 人 で は「 定 年( 満
度 の 見 直 し に よ り、「 働 く 意 欲 の
されることになった。
洗 濯 機 を 使 用 し て い る が、 洗 剤、
介 護 職 員 に 関 し て は、「 早 出 」、
ある高齢職員が定年を理由に退職
・賞与に業績評価制度を導入
10
40
11年4月から、独自に作成した
65
65
さ れ、 賃 金 は 原 則 月 給 と す る 者 」
歳
することがなくなり、施設の運用
定労働時間が短いか、1週間の所
歳 )に
60
・再雇用制度の見直し
Ⅳ
がスムーズになった」
(藤森直喜
65
65
常岡敬子施設長(右)と藤森直喜生活相談員
洗剤、柔軟剤、消毒液が自動で投入できる最新の洗濯設備
2016.11 22
るとともに、その補充についても
外部業者に委託することで、職員
の負担を軽減した。
また、洗濯作業に関しては、こ
れまでは汚物の付着した洗濯物は
あらかじめ手洗いをしてから洗濯
機に投入する必要があったが、新
たに導入した高性能の洗濯機で
は、手洗いせずに入れても衛生的
に問題ない性能がある。常岡施設
長は「洗濯作業の負担軽減に大き
な効果があった」と説明する。
・腰痛予防対策
介護施設では、入浴介助の負担に
よって職員に腰痛が生じることが
珍しくないが、同法人では、施設の
増床の際に最新型の入浴設備を導
入した。このため職員に過度な負
担がかからずに利用者の入浴介助
評を得た。
高齢職員の声
歳以上の職員のな
常に笑顔をたやさず、若手の手本
の 高 い サ ー ビ ス を 提 供 し て い る。
心」を心に刻み、利用者に常に質
法人の理念として掲げる「三つの
施 設 長 の リ ー ダ ー シ ッ プ の も と、
「 ぬ く も り 園 」の 職 員 は、 常 岡
す」と自らの信念を説明する。増
なり、それが相手に伝わるからで
ません。健康であれば心も豊かに
用者に十分なサービスが提供でき
の仕事は、自分が健康でないと利
の シ フ ト を こ な し て い る。「 介 護
おり、早番・遅番・夜勤とすべて
かから、
レッチ体操。「『何でそんなに元気
岡 さ ん の 健 康 法 は、 毎 日 の ス ト
となっている
仕事を続けている、3人の職員か
なの』といわれますが、若い人に
年以上にわたり介護の
らお話しを聞くことができた。
まだ負けたくない気持ちがあるか
もりもと
盛本強さん( 歳)は、
「ぬくもり
らでしょうか」と笑顔を見せる。
歳 )は 勤 続
園」開設当初からの職員。現在は
きよこ
間です」と話す。男性職員が珍し
く働いてきてよかったと感じる瞬
感謝の言葉をかけられたときが長
す。 身 体 介 助 を し て い ま す の で、
てもらえるように心がけていま
る。「利用者には、1日1回は笑っ
活相談員、介護職員を兼務してい
人たちと接する仕事なので、私の
働いています。両親と同じ年代の
たのですが、いまはひと月に
ンティアとしてお手伝いをしてい
る。「一度退職して、その後、ボラ
膳、食事の介助などを担当してい
用者の水分補給、お昼ごはんの配
年。ショートステイで、掃除や利
山 下 清 子 さ ん(
かったころからこの仕事を続ける
ような年代でも役に立つようで
デイサービスの利用者の送迎、生
盛 本 さ ん は、
「年齢を意識するこ
す。食事以外の時間は椅子に座る
15
が実現し、腰痛で悩む職員から好
となく、身体が動くかぎりは仕事
暇 が ないのが、かえって健康によ
日
を続けたい」と表情を引き締める。
いようです」と 明 る い 表 情 で 話 し
のり こ
歳 )は、 勤 続
16
増 岡 典 子 さ ん(
70
てくれた。
23 エルダー
60
62
15
年。介護全般の仕事を担当して
62
入浴介助の際に負担がかからない入浴設備
右から増岡典子さん、盛本強さん、山下清子さん
Ⅴ
15
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
70歳以上
12人 (5.9%)
◎創業 1980(昭和55)年
◎業種 介護事業
企 業 プロ フィ ー ル
65∼69歳
正規職員は定年60歳、非正規職員は定年65歳。希望者全員を、非正規職員とし
◎定年・継続雇用制度
定年制と継続雇用制度を見直すとともに、高齢職員に配慮した多様な就業形態を導入
施設内の設備を改善して、職員の腰痛予防を実現
しでも長く働いてもらうための職
経験を兼ね備えた高齢職員に、少
例外ではなく、同法人でも知識と
るようにした。
対象とした座学研修を受講でき
望した場合は、新規採用職員を
い
社会福祉法人凌友会(凌俊朗理
事長)は、1980(昭和 )年9
場環境づくりが課題となってい
進めるために新たなプロジェク
か
月に法人を設立、1981年4月
た。
トの成果として、職員が働きや
う
に佐賀市内に特別養護老人ホーム
本事例のポイントは次のとおり。
( 1) 2 0 0 6 年 の 改 正 高 年 齢 者
ゆ
︵佐賀県佐賀市︶
制度を導入した。
( 3) 新 た に 採 用 さ れ た 高 齢 職 員
「桂寿苑」を開設して事業をスター
雇用安定法の施行の際に、希望
り ょ う
社会福祉法人 凌友会
本事例のポイント
いホームづくり」、「常に相手の気
者全員
すべてのベッドを電動ベッドに
が、知識や技術を学ぶことを希
持ちを考えながら安心と夢のある
を導入した。同時に、明確な規
買い換えるとともに、車椅子に
りょう ゆ う か い しのぎ と し ろ う
環境づくり」、「利用者と共に笑顔
程がなかった非正規職員の定年
乗ったまま入浴できる入浴機器
トした。同法人は「自分が入りた
時間勤務で職
ことを目標に事業の幅を広げてき
で、利用者に選ばれる施設となる
に、本人が希望する勤務時間と
高齢職員の負担を軽減するため
員 と 雇 用 契 約 を 結 ん で い た が、
( 2) 基 本 的 に 週
た。一方、介護事業を取り巻く全
勤務日数に応じた勤務ができる
を導入した。
(5)職員の腰痛予防対策として、
すい職場環境が実現した。
トを立ち上げ、そのプロジェク
( 4) 職 場 の 業 務 改 善 を 積 極 的 に
あふれるサービスの提供」を理念
歳に定めた。
けいじゅえん
として掲げている。そして、老人
年齢を
55
正にもタイムリーに対応すること
歳までの継続雇用制度
福祉にかかわるさまざまな制度改
Ⅰ
国的な人材不足の状況は佐賀県も
40
65
65
優秀賞
16人 (7.8%)
14人 (6.9%)
高齢・障害・求職者
雇用支援機構理事長表彰
( 内 訳 ) 60∼64歳
◎職員数 204人
年度
高年齢者雇用開発コンテスト
28
平成
社会福祉法人 凌友会(佐賀県佐賀市)
て65歳まで雇用。現在の最高齢者は74歳
2016.11 24
凌文子苑長(左)と坂井義尚総務部長
改善意見を募る「カエルポスト」
事業を開始するとともに、現在は、
佐賀市の委託事業として地域包括
凌 友 会 は、 皮 膚 科 の 開 業 医 で
あった凌理事長が、地元・佐賀市
には地域密着型介護老人福祉施設
を次々と展開。さらに2008年
ホームヘルプサービスなどの事業
援 事 業 を 中 心 に 実 績 を 積 み 重 ね、
活が困難な高齢者のための生活支
設入所者の身体介護と在宅での生
る。このようにして、同法人は施
法人の沿革・事業内容
に老人ホームの建設を熱望してい
を開設して、ユニットケア、ショー
昨年、創立
支援センターの運営も手がけてい
た 亡 父 の 遺 志 を 実 現 す る た め に、
トステイ、認知症対応型通所介護
後、1980年に法人を設立、翌年
4月に特別養護老人ホームを開設
して事業をスタートした。法人の
名称は、親身になって支援しても
らった関係者に対する理事長の感
謝の意が込められているという。
ます」と高齢職員の働きを高く評
役割もたいへん重要だと考えてい
高齢化の状況、職場改善などの背景と進め方
現在、同法人の職員数は204
人( 正 規 職 員 1 1 1 人、 非 正 規 職
価する。
人事労務管理を
また、同法人よで
し たか
担当する坂井義尚総務部長は「介
人 )、 職 員 の 年 齢 構 成 は、
~
人( 全 体 の 5・9 %)、 ~
人(同7・8%)、
護分野における人材不足は大きな
その後、同法人は特別養護老人
ホームに続いて、1982年に短
て掲げた。
設の実現」を法人設立の趣旨とし
る「生活の場としての老人福祉施
で生活を送ってもらうことができ
高齢者に、家庭的な雰囲気のなか
て、日々の介護を必要としている
身で身の回りのことができなく
く、利用者に対するちょっとした
有資格者の若手職員ばかりではな
な 仕 事 』の 部 分 も 重 要 で す か ら、
す。実際、介護の仕事は『家事的
同法人の凌文子苑長は「当法人
は、家庭的な介護を目ざしていま
でいる。現在の最高齢者は
均年齢も
の職員が約
歳が
歳。
・3歳と高齢化が進ん
%を占めており、平
なく、生涯現役で働き続けられる
こうした問題意識のもと、同法
人では、高齢職員が年齢に関わり
す」と話す。
が喫緊の課題としてとらえていま
でも食い止め、定着をはかること
用に努めていますが、同時に、現
会をとらえて、職員の積極的な採
問題です。当法人でもあらゆる機
しのぎ ふ み こ
45
60
74
20
人(6・9%)と、
期入所生活介護事業(ショートス
心づかいを自然にあらわすことが
在在職している職員の離職を少し
テイ)をスタート。以降、デイサー
職場環境の整備に取り組んだ。
歳が
代が
員
35
歳以上
70
64
65
60
12
16
老人福祉事業を始めるにあたり
凌理事長は、一人暮らしの高齢者
Ⅲ
93
69
できる、高齢職員が果たしている
が増えつつある現状をふまえ、自
周年を迎えた。
年近くの歳月を準備に費やした
Ⅱ
10
ビス事業、在宅介護支援センター、
25 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
14
(2)能力開発に関する改善
しくありませんので、非正規職員
歳を超えた人を採用することも珍
が上がっています。当法人では
心して働くことができる』との声
『定年年齢が明確になったので安
直しですが、非正規職員からは、
者雇用安定法の趣旨をふまえた見
一連の制度の見直しについて坂
井 総 務 部 長 は、
「基本的に高年齢
めに、定年を
職員の雇用上限年齢と合わせるた
を明確にしていなかったが、正規
員については、それまで定年年齢
る制度に改めた。また、非正規職
を、希望者全員を
歳まで雇用す
わせて、正規職員の継続雇用制度
同法人は、2006年4月の改
正高年齢者雇用安定法の施行に合
・定年制と継続雇用制度の見直し
(1)制度に関する改善
勤務時間に合わせた仕事の割り振
し た。 こ の マ ニ ュ ア ル に よ っ て、
間非正規職員マニュアル」を作成
を 統 一 す る こ と を 目 的 に、
「短時
勤務の職員が担当する業務の流れ
また、多様な就業形態を導入す
るにあたり、同法人では、短時間
いる。
ことができるように調整を図って
職員がより働きやすい条件で働く
状況も見ながら調整を図り、高齢
照 )。 各 事 業 所 で は、 職 員 の 充 足
する田中シヅカさんの働き方を参
とができる制度を導入した(後述
間 )、 勤 務 日 数 を 優 先 し て 働 く こ
る 勤 務 時 間( 始 業 時 間 と 終 業 時
討したうえで、高齢職員が希望す
洗い出し、必要な職員の配置を検
必要とする勤務時間と業務内容を
が、1日
時間のうち特に人員を
いた。そこで、同法人の各事業所
件が厳しい」という声が上がって
く、長期間にわたって働くには条
を進めるための取組みとして「カ
するため、同法人では、業務改善
況があった。こうした状況を改善
つながる提案を言い出しにくい状
り、職場のなかでは業務の改善に
「 決 ま り 」の よ う に 継 承 さ れ て お
創立 年の歴史を数える同法人
では、以前からの業務の進め方が
(3)職場環境の改善
らは好評を博しているという。
した。実際に受講した高齢職員か
修に、就業時間内に受講が可能と
職員を対象に実施している座学研
ては、同法人が新卒で採用された
たいと考えている高齢職員につい
関する知識や技術を基礎から学び
いた。そこで同法人では、介護に
識や技術が時代に合わなくなって
かった。このため、高齢職員の知
技術を習得する際のハードルが高
欲のある高齢職員が新たな知識や
する研修制度が十分ではなく、意
同法人では、定年後に再雇用さ
れたり、中途採用された職員に対
・中途採用者に対する研修
歳定年は、見直しを考えてい
りを行うことができるようにな
改善の内容
・多様な就業形態の導入
り、業務の無駄がなくなり、スムー
エルプロジェクト」を立ち上げた。
35
歳と定めた。
るところです」と話す。
65
65
65
40
・業務改善を目的とした
新プロジェクト
同法人では、週 時間勤務を雇
用契約の基本としていたが、高齢
ズな業務の流れが実現した。
の
職員からは「身体的な負担も大き
Ⅳ
65
新たに導入されたベッド
車椅子に乗ったまま入浴可能な浴槽
24
2016.11 26
田中シヅカさん
野口高秀さん
頁・
このプロジェクトは、匿名で改善
意見を募る「カエルポスト」(
写真)を施設内に設けて、集まっ
た意見をプロジェクト内でしっか
り と 検 討 す る と い う も の。 プ ロ
ジェクトのメンバーには、高齢職
員も参加しており、その意見も反
映 さ れ て い る。 坂 井 総 務 部 長 は、
「 こ の プ ロ ジ ェ ク ト の 結 果、 前 向
きな提案を取り上げてもらえるこ
とが明らかになり、職場の雰囲気
もよくなりました」とプロジェク
高齢職員の声
日ごろから率先して施設内をく
まなく歩く、凌苑長の姿勢を見習
なので身体が動くうちは、働きた
田 中 シ ヅ カ さ ん( 歳 )は、 食
事の配膳と下膳、食事の介助を担
らお話しを聞くことができた。
を提供している2人の高齢職員か
きに桂寿苑に出会いました。働き
員でしたが、再任用が終わったと
いる。野口さんは「もともと公務
の園芸作業、清掃など、桂寿苑の
野 口 高 秀 さ ん( 歳 )は、 送 迎
のためのワゴン車の運転や施設内
たか ひで
いですね」と満面の笑顔を見せる。
当している。週5日勤務だが、現
い、常に利用者の目線でサービス
役 世 代 の 職 員 が 手 薄 な 時 間 帯 の、
(4)健康管理・安全衛生・その他
復職しました。利用者の笑顔を見
から、坂井総務部長からの勧めで
田 中 さ ん だ が、「 主 人 を 見 送 っ て
病に倒れ、退職を余儀なくされた
との出会いを説明する。ご主人が
かけてくださったのです」と同会
会の職員が務めていて、私に声を
きっかけでした。その講師を凌友
講習会を受けたのが、ここで働く
は「定年退職後にヘルパー2級の
勤務を基本にしている。田中さん
「 午 後 5 時 ~ 7 時 」の 1 日 2 回 の
お も に「 午 前 7 時 ~ 9 時
明るいので、これからも自分の可
す。ここは職場の雰囲気がとても
事などで気分転換を図っていま
週に2日の休日は、ゴルフや畑仕
の 体 調 管 理 に は 気 を つ け ま し た。
理が欠かせません。今年は、夏場
に迷惑をかけないように、自己管
と が 多 い と い う 野 口 さ ん。「 周 り
す。仕事の大半を1人で進めるこ
こ の 仕 事 を し て よ か っ た 」と 話
感 動 と 恐 縮 の 心 で い っ ぱ い で す。
す 』 と 言 葉 を か け ら れ た と き は、
先 輩 か ら、
『ありがとうございま
始めて7年を数えます。人生の大
外回りの仕事を一手に引き受けて
・腰痛を予防するための取組み
た と き が、 仕 事 を 続 け て き て よ
能な範囲で精一杯がんばって仕事
か っ た の で、 利 用 者 が 車 椅 子 に
た入浴設備は職員の負担が大き
天井につけたリフトを活用してい
て の ベ ッ ド を 買 い 換 え た。 ま た、
電動ベッドとすることとし、すべ
際に高さを上下することができる
あるベッドを利用者の移動介助の
ケートの結果に基づき、施設内に
員会では、職員を対象としたアン
法人でも力を入れている。衛生委
介護職員の健康管理上の課題と
して重要になる腰痛予防対策に同
かったと感じる瞬間です。子や孫
を続けていきたいと思います」と
乗ったままで湯船につかることが
分 」と
70
世代のスタッフと和気あいあいの
トの成果を指摘する。
Ⅴ
力を込める。
74
25
雰囲気のなかで仕事ができる職場
できる入浴機器を導入した。
27 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
30
城山交通 株式会社(長崎県長崎市)
◎創業 2009(平成21)年
25人(18.8%)
◎従業員数 133人
( 内 訳 ) 60∼64歳
7人( 5.3%)
65∼69歳
企 業 プロ フィ ー ル
定年なし。最高齢者は80歳
◎定年・継続雇用制度
ろ
や
ま
高年齢者雇用アドバイザーによ
もってもらうために、当機構の
︵長崎県長崎市︶
高齢乗務員が主役となり、地域密着型のサービスを提供
少しでも長く働いてもらえるように、定年制を撤廃
し
城山交通 株式会社
本事例のポイント
会社の倒産後、新たに創業したタ
(平成
)年9月。前身のタクシー
表取締役社長)の創業は2009
城山交通株式会社(中村弘幸代
タクシー事業にも好影響をおよぼ
よ っ て 社 内 の 雰 囲 気 も 活 性 化 し、
シーを利用するなどの相乗効果に
して、訪問介護の際に同社のタク
世代の従業員を多く採用した。そ
ヘルパー2級の資格を持つ、若い
入を達成した。さらにバックモ
チック化を進め、100%の導
を目的に、タクシーのオートマ
( 3) 乗 務 員 の 運 転 時 の 負 担 軽 減
を実施した。
「 中 高 齢 者 自 己 戦 略 セ ミ ナ ー」
る、 就 業 意 識 向 上 研 修 と し て、
クシー会社である。前身の会社の
ひろ ゆき
ころから、地域密着型サービスの
進め、乗務員から好評を博した。
ニターつきのタクシーの導入を
本事例のポイントは次のとおり。
しているという。
なってからは、高齢者を中心とし
( 4) 年 2 回 実 施 す る 定 期 健 康 診
社のうち、タクシー1台当たりの
もいたので、2016年9月に
歳を超えて働いている従業員
歳 ま で 継 続 雇 用 」と し た が、
社が一部の費用を負担して、受
に対する再検査については、会
を徹底するとともに、有所見者
断( 特 定 業 務 健 康 診 断 )の 受 診
(1)新たな創業時に「定年
売上げ単価が1位を占めるように
定年制を廃止し、従業員が年齢
診をうながすことにした。
た乗務員のサービスにも磨きがか
なった。このため、タクシー業界
にかかわりなく働くことができ
さらに、タクシー事業に加えて、
(2)中高年の乗務員に、「自らの
るようにした。
70 70
賞味期限を自ら延ばす」意識を
集まっているという。
でも中村社長の経営手法に注目が
65
21
かり、長崎地域のタクシー会社
歳、
提供を心がけていたが、新会社に
Ⅰ
社 内 に 介 護 事 業 部 門 を 立 ち 上 げ、
36
優秀賞
20人(15.0%)
70歳以上
高齢・障害・求職者
雇用支援機構理事長表彰
◎業種 道路旅客運送業、介護事業
年度
高年齢者雇用開発コンテスト
28
平成
2016.11 28
城山交通の本社全景
中村弘幸代表取締役社長
法人の沿革・事業内容
む意識が芽生えてきた」
(中村社
長)という。また最近では、長崎
織全体に明るいムードが漂い始
クシーを使った住民の送迎サービ
弱者を支援するためのジャンボタ
市からの委託事業として、買い物
め、高齢の乗務員の間にも、これ
スも手がけている。
)年創業)
クシー(1960(昭和
まで以上に前向きに仕事に取り組
09年に倒産したことにともない、
同社の企画部長を務めていた中村
月に営
社長が同社の経営権を買い取る形
で同年9月に創業、同年
同社は、その長い歴史から地元
業を開始した。
~
歳が
人、
同社の従業員の年齢構成は、
代が7人、
~
て広まり、他社で働いている乗務
は、同社の取組みが口コミによっ
に取り組んだ。こうした取組みに
%
員が同社に入社するきっかけにな
歳以上が約
を占めており、平均年齢
るといった、副次的な効果も期待
人と、
まれており、その信頼感は主に高
齢化が進んでいる。乗務員にかぎ
歳と高
齢の乗務員がになっていた。そし
されているという。
れば、平均年齢は
歳を超えてい
て、新たな出発に際して、中村社
中村社長は、「『人は石垣、人は
の求人状況も厳しさを増してい
るなか、長崎県内のタクシー会社
人材不足の深刻化がささやかれ
ます。ですから、私はいまいる乗
クシー会社にも当てはまると思い
クシーを動かすことができないタ
が、これは乗務員がいなければタ
歳
( 人 材 の 蓄 積、 信 用 の 蓄 積、 技 術
る。中村社長は「ハローワークに
城』は武田信玄の言葉だそうです
の蓄積、顧客の蓄積、資本の蓄積)
80
いる。介護事業部門で若手社員を
ビス、ショートステイを手がけて
け、現在では、訪問介護、デイサー
13年に社内に介護事業部門を設
乗り出すことも必要と考え、20
一方、同社では、新たな事業に
た、社内の制度と職場環境の改善
長く働いてもらうことを目的とし
在働いている乗務員にできるだけ
を指摘する。そこで同社では、現
くありません」と人材確保の現状
りしても、乗務員の応募はまった
頼んだり、求人誌に広告を出した
う。
由で退職した乗務員はいないとい
なってからは、健康問題以外の理
です」と話す。なお、中村社長に
働いてほしいというのが私の持論
たいと考えています。生涯現役で
務員に少しでも長く働いてもらい
を掲げた。
し、経営理念として「5つの蓄積」
るという。現在の最高齢者は
40 60
長 は、 地 域 住 民 の 満 足 度 を 高 め、
歳が
20
の乗務員である。
のタクシー会社として住民に親し
60 69
60
57
65
地域一番の会社となることを目ざ
25
70
Ⅲ
64
35
12
高齢化の状況、職場改善などの背景と進め方
が、景気の低迷などの影響で20
同社は、前身の有限会社城山タ
Ⅱ
採 用 し た こ と を き っ か け に、「 組
29 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
バックモニターが運転の際の負担を軽減する
ゆったりと食事がとれる休憩室
思で延ばそうとする意識を持って
もらうというもの。今年行われた
・定年制と継続雇用制度の見直し
る。
障はありませんでした」と説明す
廃止には、会社としてまったく支
は困りますから、今回の定年制の
定年を理由にして辞めてもらって
(3)職場環境の改善
いる。
研修を実施することが予定されて
し、同社では来年以降も、同様の
からはたいへん好評だった」と話
改善の内容
前身の会社の倒産後に同社が創
(1)制度に関する改善
歳 」、 そ
研修について中村社長は「受講者
業 し た 際 に、「 定 年 は
・タクシーの車両の改善
同社では、創業以来、法定の交
シ ー が 少 な く な か っ た。 し か し、
ニュアルシフトで操作するタク
(2)能力開発に関する改善
通 安 全 教 育 に 加 え て、 年 に 4 回、
長時間にわたってハンドルを握る
定 の 条 件 の 下、 歳 ま で 雇 用 」と
員は珍しくなかった。現在でも7
外部から講師を招いた交通安全教
乗 務 員 の 負 担 の 軽 減 を 考 え れ ば、
同社が創業した当時は、まだマ
人を数えており、最高齢の乗務員
育を実施するなど、交通事故防止
・就業意識向上研修の実施
歳という現状があった。こう
オートマチック車の導入は時代の
『 黙 っ て 乗 れ ば、 自 宅 に 送 り 届 け
の タ ク シ ー な ら ば 安 心 で き る 』、
を 入 れ て い る か ら で、
『城山交通
当社が地域密着型のサービスに力
8割は地元の固定客です。これは
は「当社のタクシーのお客さまの
定年制の廃止について中村社長
した。研修の内容は、高齢の乗務
高齢者自己戦略セミナー」を実施
対象とした、就業意識向上研修「中
て、2016年には高齢乗務員を
齢者雇用アドバイザーに相談し
重要になると考え、当機構の高年
保って仕事を続けてもらうことも
になってもモチベーションを高く
これからは高齢乗務員が、いくつ
事がとれる休憩室が設けられてお
同社の本社には、ゆったりと食
・休憩室の設置
する見通しである。
ており、こちらも近いうちに完了
つきのタクシーの導入も進められ
軽減するために、バックモニター
また、同様に、乗務員の負担を
完了している。
除き、オートマチック車の導入が
歳を超えて働く乗務
は
を目的とした乗務員に対する教育
流 れ で も あっ た。そ こ で、同 社 で
実際には、
した現状をふまえ、同社は201
に力を入れてきた。
てくれる』というお客さまが多い
員自身に、自分に残された人生を
られ、現時点では、一部の例外を
のです。こうしたサービスを支え
自分の手で再設計してもらうとと
もオートマチック車の導入が進め
ているのが高齢の乗務員で、実際、
り、このスペースは乗務員同士の
にした。
年齢が高い乗務員のほうが売上げ
もに、自分の賞味期限を自らの意
さ ら に こ う し た 教 育 に 加 え て、
6年9月に定年制を廃止すること
就業規則に明記していた。しかし
65
は高い傾向にあります。ですから
70
70
の 後 の 継 続 雇 用 に つ い て は、「 一
Ⅳ
80
2016.11 30
コミュニケーションの場ともなっ
ている。また、喫煙室は別に設け
られており、非喫煙者に対する配
慮もされている。
(4)健康管理・安全衛生・その他
・健康診断の再検査への支援
深夜業に従事するタクシー乗務
員の場合、年2回の特定業務従事
者健康診断の実施が義務づけられ
ているが、同社ではとくに乗務員
に対しての健康診断の受診を徹底
している。
さらに、健診の結果、再検査が
必 要 と な っ た 乗 務 員 に 対 し て は、
必ず再検査を受けてもらうため
に、再検査の費用の一部を会社が
高齢従業員の声
きと働いており、しかも売上げは
実際に同社の高齢乗務員はいきい
り厳しい条件とも思える。しかし、
歳を超えた乗務員にとってはかな
朝2時までの勤務」と聞くと、
がお客さまに風邪を移すようなこ
う が い・ 洗 顔 と の こ と。「 乗 務 員
す。ご 自 身 の 健 康 法 は、 手 洗 い・
るので、私向きの仕事です」と話
事は毎日違った人との出会いがあ
大好きです。その意味で、この仕
いていたので、人と接することが
申 し 分 な く、 後 輩 の お 手 本 に も
持 病 の 腰 痛 の 悩 み が あ り ま す が、
と が あって は い け な い か ら で す。
1回の乗車が「午前8時から翌
な っ て い る と い う。 同 社 が 誇 る、
歳 )は 勤 続
事を続けていきたい」と表情を引
これからもうまくつき合って、仕
3人の乗務員からお話を聞くこと
ができた。
ゆきひさ
き締める。
西 口 健 次 さ ん(
こ と を 心 が け て い ま す 」と 話 す。
丁寧に目的地まで乗っていただく
サービスを第一に考え、迅速かつ
握ることになりました。お客さま
あり、縁あって、ここでハンドルを
2種運転免許を持っていたことも
ぎりますから、仕事を続けていて
ハンドルを握ると、緊張感がみな
と で す 」と 話 す。 そ し て「 や は り
お客さまとの会話を大切にするこ
は「 い つ も 心 が け て い る こ と は、
の勤務をこなしている。西口さん
年。
歳を超えたいまでも、通常
島田さんの趣味は磯釣りとのこと。
よかったと感じますね。
1時間後に再度、血圧を測ってい
ては、いったん出庫を見合わせて、
くに血圧が高かった乗務員につい
温を測るように指導している。と
ては、出庫前に乗務員に血圧と体
また、乗務員の健康管理につい
「 月 3 回 ほ ど 出 か け て、 リ フ レ ッ
えてからは、2~3日に1回は整
歳を超
る。 そ れ で も 血 圧 が 高 い 場 合 は、
シュしています。身体が続くかぎ
を見せる。
けたいです」と満面の笑顔を見せ
しています。もう少し、現役を続
濱 名 和 男 さ ん(
る。
はま な
70
70
年。「もともとサービス業で働
歳 )は、 勤 続
当日の乗車を見送るように指導し
年の経験を誇る。島田さんは「第
半にタクシー乗務員に転職し、
島田幸久さん( 歳)は、 代後
60
20
骨院に通って体調を整えるように
負担するようにしている。
28
40
り仕事を続けたいですね」と笑顔
ている。
お客さまの安全を第一に、高齢
乗務員の健康管理を徹底してい
る。
31 エルダー
74
68
62
長崎市からの委託事業で使用するジャンボタクシー
濱名和男さん(左)と西口健次さん
Ⅴ
15
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
アイエム翻訳サービス 株式会社(大阪府大阪市)
◎創業 2016(平成28)年
◎定年・継続雇用制度
企 業 プロ フィ ー ル
者は68歳
定年65歳。希望者全員を再雇用により、年齢の上限なく再雇用。現在の最高齢
高度な専門性とノウハウを継承するために新会社を設立
高齢従業員が生涯現役で働くことができる職場を実現
アイエム翻訳サービス 株式会社
︵大阪府大阪市︶
豊富な経験を持つ高齢従業員の
ための職場を創出した。
研究開発支援会社として
辺 三 菱 製 薬 グ ル ー プ の 子 会 社 で、
前 身 の 会 社( 以 下、「 前 社 」)は 田
うことになるが、同社の実質的な
設立から1年に満たない会社とい
設立は2016(平成
)年3月。
イエム翻訳サービス株式会社
ア
いま ひ え さと こ
( 新 比 惠 智 子 代 表 取 締 役 社 長 )の
た。その際、高齢従業員を中心と
とノウハウを引継ぐことになっ
新会社の設立を図り、長年の経験
こで、前社の有志が中心となって
の事業休止を余儀なくされた。そ
ともない、前社は2016年3月
辺三菱製薬グループの組織改変に
過去最高であった。ところが、田
が徐々に拡大、ここ数年の業績は
らゆるぎない信頼を獲得し、業容
(4)高齢従業員にとって身体的・
宅勤務制度」を導入した。
業員を対象に「時短制度」と「在
と小学生以下の子どもを持つ従
体系として、
バランスを意識した柔軟な勤務
( 3) 従 業 員 の ワ ー ク・ ラ イ フ・
入した。
上限年齢のない再雇用制度を導
定 年 後 の 継 続 雇 用 に つ い て も、
齢を
本事例のポイント
歳だった定年年
の歴史を持つ。その企業の流れを
した従業員が、より専門性を発揮
精神的に負担の大きい通勤時の
( 2) 前 社 で は
汲み、特に、翻訳事業における長
して長く働くことができるよう
負担を軽減するために、同社設
る。
年以上
歳以上の従業員
歳 に 引 き 上 げ た。 ま た、
年にわたる蓄積をもとに新たに設
に、社内制度などの充実を図った。
社を通勤時の利便性の高い場所
く
立された企業という位置づけにな
有志が新会社を設立して、ノウ
本事例のポイントは次のとおり。
(1)前社の親会社の了承のもと、
を提供することにより、取引先か
ハ ウ と 高 い 専 門 性 を 引 き 継 ぎ、
前社の翻訳・学術情報支援部門
は、ノウハウの蓄積と高い専門性
Ⅰ
に裏打ちされた高品質なサービス
60
65
に設けた。
立とともに、大阪本社と東京支
60
28
優秀賞
65∼69歳
3人(30%)
( 内 訳 ) 60∼64歳
4人(40%)
◎従業員数 10人
30
高齢・障害・求職者
雇用支援機構理事長表彰
◎業種 専門サービス業(医学・薬学分野の翻訳・学術情報支援)
年度
高年齢者雇用開発コンテスト
28
平成
2016.11 32
な事業は、
「翻訳・英文校正」、「論
文の執筆と投稿サポート」、「学術
報支援部門(文献情報部)であり、
R&Dサービス」の翻訳・学術情
同社の前身は、田辺三菱製薬グ
ル ー プ の 子 会 社「 株 式 会 社 田 辺
る高度な知識と実務経験を活か
2016年3月、同社は「医薬
品の研究開発や医学・薬学に関す
ウハウを継承することになった。
ンバーの雇用とともに、過去のノ
て社外に新会社を設立、前社のメ
む、前社の有志などが早期退職し
に立てるように、この事業を通じ
者の要望をふまえ、関係者のお役
いへん盛況でした。今後も、受講
ける翻訳のノウハウが満載で、た
「今年8月に第1回目のセミナー
たに開拓した業務。新比惠社長は、
も「 翻 訳 セ ミ ナ ー」は、 同 社 が 新
者向け翻訳セミナー」で、なかで
企業の沿革・事業内容
に田辺製薬の子会社の翻訳会社と
し、各種事業を通じて、医薬品業
情報資料の作成」、
「研究者・翻訳
して設立された。おもに研究開発
界と翻訳業界の双方の発展に寄与
現在、同社の従業員数は 人(男
性8人、女性2人)。このうち 代
あった。しかし、前社の再雇用期
歳が上限
をかけることを避ける必要も生じ
引関係のあるクライアントに迷惑
もあり、また前社の業務終了が取
同社の各種事業には高度な専門
性が求められるので、経験の浅い
4人が勤めている。
大阪本社には6人、東京支社には
な課題となっていた。
務の継続、ノウハウの継承が大き
年間の雇用にかぎられる)のため、
歳の者を再雇用した場合は5
た。そこで、田辺三菱製薬グルー
若手を採用することは現実的には
60
優秀な後継者の継続的な確保と業
(
プの早期退職者優遇制度を利用し
むずかしかった。このため、知識
し て い る こ と か ら、
間は、親会社の再雇用制度を踏襲
代は2人)。平均年齢は ・8歳。
が7人を占めている(
代は1人、
少しでも長く働いてもらう必要が
高齢化の状況、職場改善などの背景と進め方
を開催しましたが、製薬業界にお
部門の出身者(管理職経験者や大
て次代をになう人材育成や業界の
)年
学 教 員・ 講 師 な ど の 経 験 者 )が、
する」をモットーに掲げ、新たな
発展に貢献したい」と話す。
年 前 の 1 9 8 6( 昭 和
定 年 退 職 後 に 同 社 に 再 雇 用 さ れ、
船出を果たした。現在の同社の主
かして、翻訳や学術情報支援、英
語研修などを通じて、主に親会社
の各部門を支援していた。
2016年4月の田辺三菱製薬
グループの組織改編を契機に、前
社の全事業を休止することになっ
たが、関係部門から翻訳部門の高
60
て、親会社の了承のもと、新比惠
59
と経験を兼ね備えた高齢従業員に
65
50
61
品質なサービスの継続を求める声
10
Ⅲ
40
約
豊富な経験と高度な専門知識を生
Ⅱ
30
社 長( 当 時 は 文 献 情 報 部 長 )を 含
33 エルダー
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
新比惠智子代表取締役社長
歳以上の従業員と小学生
では、家族の介護や孫の世話をし
ている
業で社会に貢献していきたいです
業界の双方に向けた2本立ての事
どを皮切りに、医薬品業界と翻訳
ます。今後は前述したセミナーな
が、新たな顧客も開拓しつつあり
新比惠社長は「現状では前社か
ら引き継いだ業務が大部分です
とができた。
と顧客をほぼそのまま継承するこ
になった。その結果、従来の業務
地位を同社に譲渡してもらうこと
の間の各種契約における契約上の
社との間、あるいは前社と他社と
会社の設立にあたり、前社と親会
社の有志が新会社を設立した。新
てもらう職場をつくるために、前
業員に知識と経験を活かして働い
うした事態を防ぐために、高齢従
前社が事業休止となれば、高齢
従業員の職場がなくなるので、こ
・新会社の設立
(1)新職場の創出
・時短制度、在宅勤務制度の導入
たスタッフ3人を再雇用した。
主として業務委託契約を結んでい
に
歳で前社を退職し、個人事業
働けるようにした。さらに、すで
年齢制限を撤廃して、
歳を上限としていたパート社員の
度を導入した。また、同様に、
ごとの契約の更新で再雇用する制
ぎり、年齢の上限を設けず、1年
健康で業務を適切に遂行できるか
げるとともに、その後は、本人が
そこで、同社では、 歳未満の
正社員の定年年齢を 歳に引き上
もらうしかなかった。
を結んで、可能な範囲で協力して
もらわざるを得ず、業務委託契約
必要な人材であっても、退職して
め、会社と本人の双方が希望する
前社では、定年は 歳、再雇用
の上限年齢は 歳だった。そのた
・再雇用制度の見直し
(2)制度に関する改善
歳以降も
港区芝浦にオフィスを構え、従業
場所を決めた。その結果、大阪本
時の負担を軽減することを条件に
体的・精神的に負担の大きい通勤
フィスは、高齢従業員にとって身
便 性 が 低 い こ と か ら、 新 た な オ
勤に時間がかかり、周辺環境も利
た。とくに戸田市のオフィスは通
たなオフィスを設ける必要があっ
が、新会社の設立にともない、新
前社は、大阪府大阪市内と埼玉
県戸田市にオフィスを設けていた
・オフィスの新設
(3)職場環境の改善
体力的にも助かっています」と話
ま す。 通 勤 電 車 で も 座 れ る の で、
い部分は自宅での作業で補ってい
すが、その分、就業時間に足りな
して、夕方は早めに退勤していま
時間がかかるため、朝は遅く出勤
を導入した。このうち、在宅勤務
に「時短制度」と「在宅勤務制度」
改善の内容
ね」と将来に向けたプランを説明
同社が手がける専門性の高い翻
訳業務は、在宅で必要な作業を行
65
60
60
65
65
社は大阪市淀川区に、東京支社は
している。
をしている高齢従業員は「通勤に
する。
以下の子どもを持つ従業員を対象
60
員からも好評を博している。
Ⅳ
うことも可能である。そこで同社
65
アイエム翻訳サービスの大阪本社
アイエム翻訳サービスの東京支社
65
2016.11 34
す」と話す中島さん。中島さんは、
「自分が働いたことに対して報酬
でかかわった薬が製品として世に
を第一に仕事をしています。仕事
成果物を期日どおりに納めること
アントの希望にかなったレベルの
務としている。髙田さんは「クライ
作成した翻訳のチェックを主な業
髙田博さん( 歳)は、自ら翻訳
を手がけるほか、外部の翻訳者が
ができた。
代のスタッフから話を聞くこと
務委託契約を結んで仕事を続ける
の従業員3人と、現在は同社と業
賛同して生涯現役を貫く
歳以上
大手製薬会社の傘下を離れ、独
自の道を歩む同社の設立の趣旨に
だが、週1回は来社して、後輩の
込める。岸さんは在宅勤務が中心
の仕事を続けていきたい」と力を
痛に感じることがないうちは、こ
で仕事を続けています。仕事が苦
見がありますので、それが楽しみ
文を読んでいると、必ず新たな発
作成を心がけています。仕事で論
めに、可能なかぎり正確な抄録の
「クライアントの期待に応えるた
録の作成を担当している岸さんは
学・薬学の英語論文の日本語の抄
現 在 は 業 務 委 託 の 形 で、主 に 医
いる。通勤の負担軽減などのため、
から医学・薬学の翻訳を担当して
の研究所勤務を経て、
なりにストレスを感じることもあ
ことを自らに課しています。それ
ともに、品質も絶対に落とさない
ライアントが求める期日を守ると
週5日のフルタイム勤務です。ク
会 の 講 師 も 務 め て い る。「 現 在 も
野の翻訳者を養成するための講習
クを手がけ、さらに医学・薬学分
か、外部の翻訳者の翻訳のチェッ
齊藤亜紀良さん( 歳)は、髙田
さんと同様、自ら翻訳を手がけるほ
です」と笑顔をみせる。
声を出すことが健康にもよいよう
趣味のコーラスで週1回の練習で
とされるうちは、仕事を続けたい。
と能力がともない、会社から必要
働くことの喜びを感じます。体力
高齢従業員の声
出たり、医師の方々の論文が掲載
指導の役割もになっているとい
り ま す の で、 プ ロ ジ ェ ク ト が 終
が得られることに、年金とは違う
されたりしたときが、仕事を続け
う。
歳のころ
て き て よ かっ た と 感 じ る 瞬 間 で
よかったと感じる瞬間です」と話
年の髙田さん
わったときが、仕事を続けてきて
ら
す」と話 す。 前 社 から 数 えて 翻 訳
中 島 悟 さ ん( 歳 )は、 契 約 業
務のエキスパートとして新比惠社
す。東京支社の代表も務める齋藤
き
業務の担当年数
長をサポートするとともに、同社
さんだが、
「スタッフがベテランぞ
あ
は、 現 在 週 3 日 の 勤 務。「 N P O
の総務・人事も担当している。「前
ろいなので、苦労はまったくあり
ることになりました。とくにコン
しょうろく
法人理事長の仕事との折り合いを
社の総務部で契約関係を手がけて
ません」と柔和な表情を見せる。
説明する。
プライアンスには気を配っていま
63
60
歳)は、製薬会社
さとる
つけるために短日数勤務にしても
いたことから、この会社に参画す
55
らっています」と自らの働き方を
Ⅴ
70
岸哲哉さん(
35 エルダー
68
67
30
73
平成 28 年度「高年齢者雇用開発コンテスト」
特集
左から、髙田博さん、岸哲哉さん、中島悟さん、齊藤亜紀良さん
50 回]
[第
洋魂洋芸の明治に反発
いうものであった。田中正平とい
う 人 だ。 淡 路 島︵ 兵 庫 県 ︶に 生 ま
ると、ドイツに留学した。留学は
れた。東京大学物理学部を卒業す
幕末の先進的な学者たちは、よ
く〝 和 魂 洋 芸︵ 才 ︶〟と い っ た。 こ
満
カ年にわたる。その間に、純
れは、
入れよう﹂ということである。こ
﹁ 日 本 人 の 精 神 を 忘 れ ず に、 優
れた外国の科学理論や技術を取り
心し、後に伊藤博文がドイツを訪
てみせた。ドイツ皇帝は非常に感
学先のドイツ皇帝の御前で演奏し
問したとき謁見し、
﹁ 田 中 正 平 は、 い ま ど う し て い
るか﹂
こういう風潮に対し、断固とし
て〝 和 魂 洋 芸 〟を 貫 き 抜 い た 人 物
﹁洋魂洋才﹂になってしまったの
である。
延して、結果的には、
〝 ド イ ツ か ぶ れ 〟に は な ら な か っ
人 だ っ た。し か し、か れ は 決 し て
といわれたので、伊藤はかえっ
て自分の無知を恥じ、赤面したと
﹁音楽の研究においては世界的
に優れた天才だ。知らないのか﹂
と聞いた。伊藤は田中など知ら
ない。そこで首を横に振ると、
がいる。しかしやがてはこの人物
た。むしろ、
いってみれば、
〝西洋かぶれ〟が蔓
は〝 和 魂 和 芸 〟に 立 ち 返 っ て し ま
﹁ 古 き よ き 日 本 の 風 習 を 愛 し 続
いう。ドイツではそれほど有名な
っ た。 学 問 も 珍 し く﹁ 音 響 学 ﹂と
精神まで取り入れるようになった。
技術だけではなかった。やがては、
しかし、取り入れたのは先進科学
﹁ヨーロッパに追いつけ、追い越
せ﹂という工業重視主義になった。
の考え方が明治維新になって、
正調オルガンを発明し、それを留
14
2016.11 36
最 後 ま で 日 本 食 だ っ た。 し か も、
た。そしてご馳走として出すのは、
来ると、大いに喜んで必ず歓待し
らドイツ留学中に日本人が訪ねて
ける﹂というタイプだった。だか
発揮しておられる﹂
﹁ な る ほ ど な あ、 さ す が に 田 中
先生だ。漬物にまで先生らしさを
た訪問客は顔を見合わせ、
田中が発明したものだろう。訪れ
というようなことをいっていた。
だから、ホールで大勢の人々と一
本当に楽しみだ﹂
伝わって来る。この味を探すのが
込んでいる味が聴き手にきちんと
に耳を立てるようにすれば、沁み
聴く方も心を鎮めて細かいところ
し、あの漬物桶の仕掛けは実に見
﹁ドイツで食べさせて貰った、漬
物の味は忘れられませんよ。しか
がいて、
ツ時代に田中の寄宿先を訪ねた人
たしかに日本の石を使ってはいた
科学的に考えられたもので、石は
見 せ て も ら っ た。 そ の 漬 物 桶 は、
人が嫌がるのを無理に、漬物桶を
田中の予定を調べて、留守の日
にこの連中が訪れた。そして使用
と企てた。
﹁ 田 中 先 生 の 留 守 中 に、 漬 物 桶
をぜひ見せてもらおうではないか﹂
談し、
長く滞留している日本人たちが相
といったが、田中は首を横に振
ってただ笑うだけだった。そこで
んだ。田中にいわせれば、
い る こ ろ は 特 に﹁ 河 東 節 ﹂を 楽 し
だから、造詣が深かったが月島に
情緒を楽しんでいた。音楽の大家
を見ては、まだ残っている江戸の
風を利用して海のうえを走る白帆
エ ン ジ ン が 嫌 い だ っ た。 だ か ら、
する帆かけ船を楽しんだ。田中は
めて暮していた。そして海を通過
こ か ら 毎 日 江 戸 湾︵ 東 京 湾 ︶を 眺
海に突き出た場所に家を造り、そ
を 守 り、 月 島︵ 東 京 都 中 央 区 ︶の
日本に戻って来てからの田中
は、全く〝古きよき日本の習わし〟
のよさを掘り出し、それを味わっ
イツから帰ったあとは改めて日本
みしめていなかった。だから、ド
ではその日本のよさをほとんど噛
﹁ 外 国 に 行 っ て、 は じ め て 日 本
のよさを知ったよ。ただ、いまま
はしみじみと、
いう流れだった。酒に酔うと田中
行って、日本の味を十分楽しむと
は、これも日本食で有名な料亭に
堪能した後河東節を聴く。その後
海を渡る白帆の船を十分に見せて、
は必ず窓を開けて、月島の家から
緒に楽しんだ。河東節を聴く前に
いては、河東節の名人を呼んで一
化に大きく貢献した。
保存と、その整備は日本の音楽文
朝後数百曲の採集を行った邦楽の
必ずしも多くはない。田中が、帰
改めて日本の文化を見直した例は
と大笑いした。
しかし、田中のように外国に行
っ て は じ め て 日 本 の よ さ を 知 り、
幕府は潰されてしまったんだよ﹂
﹁この連中は、仕事もせずに河東
節の練習ばかりしていた。だから、
客が感激の声を投げると田中は、
妙な節回しで歌い終わった旗本に、
幕府の旗本が多かったという。巧
と喜んだという。河東節を歌う
ために招いた客には、江戸末期の
と告げると、田中は大笑いして、
﹁そうか、バレたか﹂
事だったですね﹂
漬物を出した。それがまたとびき
とうなずき合った。
緒に聴くことを好まず、本当に気
りうまい。訪問客は感心して、
河東節に日本音楽の妙
が、ゼンマイをボルトで締め、重
ているのだ﹂
心の知れた人を少数月島の家に招
さの塩梅を調節ができるように仕
﹁ 河 東 節 と い う の は、 非 常 に 繊
細な音楽で、要所要所にえもいわ
﹁ ぜ ひ、 こ の 漬 物 の 漬 け 方 を 教
えては貰えぬか﹂
組まれていた。おそらくこのゼン
れぬ味が沁み込んでいる。だから、
と語った。客のなかには、ドイ
マイを使って圧力を加える装置も
37 エルダー
高 齢 者 に 聞く
第
31
回
谷川 洋さん
て社会貢献を目ざす。苦労は多いはずだが、谷川さんは終始笑顔で大きな夢を語
り続けた。
兄と誓った思いを胸に
させてもらいました。なかでも新規事業立ち
上げ支援の仕事は働きがいのあるものでした。
恵まれた職場で日々を過ごすなかで、いつも
きの体験ながら、この地震の教訓がその後の
者を出した福井大地震に遭遇します。幼いと
私 は 1 9 4 3︵ 昭 和 ︶年 に 福 井 県 丸 岡 町
で産声を上げました。5歳のときに多くの死
常に引け目を感じていました。定年を迎えて
負はありましたが、医者の道を選んだ兄には
ろん、商社マンとして社会貢献をしている自
いう兄との誓いがちらついていました。もち
頭 の 隅 に は﹁ い つ か 世 の た め、人 の た め ﹂と
私の生き方を決めたと思っています。
を果たせる絶好の好機だと、
歳になったと
も会社に残る道はありましたが、兄との誓い
私は6人兄弟の4番目ですが、大きな影響
を受けたのが2歳違いの兄でした。地震のと
きは2人とも父に救出されて九死に一生を得
ますが、その 瞬間から﹁助けてもら った命﹂
き、新たな一歩を踏み出そうと決意しました。
谷川さんは 歳のとき、2つ年下の奥様を
亡くされている。さらに2年後には介護の末
選びました。私は高校までを丸岡で過ごした
﹁ い つ か 世 の た め、 人 の た め ﹂を 合 言 葉 に
私たちは成長し、兄は地元で医者になる道を
に社会に役立っている姿を見せたいと第二の
に義母を看取ることになる。天国にいる家族
その後、当時四大商社といわれたなかの一つ
の企業に入社、国際業務部に配属されました。
ここは海外の支店や支社を統括する部署で、
商社時代の後輩の一人に、定年前に退職し
て公益財団法人日本財団の国際協力部門に転
海外に目を向ける機会をもらいました。さら
に、入社3年目に会社の海外研修生に選ばれ、
う機会があり、貧困地域に学校をつくる仕事
職、その後海外教育支援事業担当の常務理事
一緒に学校づくりに取り組んでくれる人材を
シドニー大学で学ぶことになりました。多感
産となりました。
探していることを知りました。人材の条件は
として活躍する人がいました。定年直前に会
帰国してからは鉄鋼の輸出部門で 年ほど
過ごし、組合の役員なども経験しながら再び
を進めている彼が、プロジェクトに参画して
古巣の経営管理部門に戻りました。思えば時
﹁教育に情熱があり﹂、﹁難題に負けない強い
なころに日本から飛び出したことは大きな財
第二の人生の扉を開くチャンス到来
人生のイメージが際限なく広がった。
への感謝が私たちの原点となりました。
60
のちは、上京して大学の経済学部で学びます。
55
理事長
捨てて一から新しい出会いに向き合い、商社でつちかった現場重視の姿勢を貫い
アジアの奥地での学校づくりに捧げている。商社マン時代の膨大な名刺をすべて
18
代がよかったのでしょうか、いろんな経験を
15
認定NPO法人
アジア教育友好協会
谷川洋さん(73歳)は、商社マンとして定年まで勤めあげた後、第二の人生を
2016.11 38
高 齢 者 に 聞く
力を密かに誇っていました。もう一つの条件
英語はシドニー大学での研修や、海外支店
駐在を通じて習得しましたし、商社マンとし
た瞬間でした。
の生き方が目の前にはっきりとイメージでき
旅行会社で働いていましたが、定年後の自分
名乗りを上げていました。そのころは関連の
したが、話を聞くうちに気がつけば私自身が
意志をもち﹂
、
﹁英語が話せる﹂というもので
日本の学校と国際交流を図ることでした。私
のために現地の人たちが参加することと、③
学校建設にあたり、私は3つのことを掲げ
ました。①学校建設を最大の目標とし、②そ
ら、挑戦することに恐れはありませんでした。
助かった命だという思いが常にありましたか
喜びの方が大きかったのでしょう。もともと
きっと自分が必要とされる場所が見つかった
不 安 は あ ま り な か っ た と 記 憶 し て い ま す。
はすべて持ち出しでしたが、不思議なことに
てのスタートでした。この時点での活動資金
まり子どもたちの勉強部屋の机に電話を置い
時間は精神的には
ます。事務所へは毎朝9時過ぎに出社、勤務
でも自宅からの往復で1万4千歩は歩いてい
足腰を鍛えていましたが、いまは近くの井の
体力が必要ですが、特に体を鍛えることは
していません。かつては週末に丹沢に登って
時間営業でしょうか。働
頭公園まで歩くことぐらいでしょうか。それ
現在、私の海外出張は年5、6回で、1週
間から3週間のスパンで現地に居続けます。
夢を追いかけ続けよう
である﹁教育への情熱﹂は未知の世界でした
心が決まればそこからは急転直下、まずは任
出し、天の声を聞いたような気が しました。
した。学校建設を通じてその優れた精神に学
あり、連綿と守られ続けてきた伝統がありま
が最初に訪れた5カ国には尊敬すべき文化が
書籍や新聞などで私の体験を読んだシニア
世代が訪ねてくれることがありますが、私は
いていた方が健康だと私は思っています。
て粘り強い交渉を重ねてきた私は強靭な精神
が、両親が小学校の教師であったことを思い
意団体の立ち上げが必須ということで設立方
﹁夢を追いかけるきっかけとして、私のところ
A
A
EF 設立の2カ月後、谷川さんは4カ
月かけてタイ、ベトナム、ラオス、中国、ミャ
EFA︶を設立しました。定年退職からわず
日、私は任意団体﹁アジア教育友好協会﹂
︵A
て支え続けてくれている支援者のおかげで
たちに学校を﹂という願いをパートナーとし
ろん、﹁途上 国の山岳少数民族地 帯の子ども
歩みを重ねてこられたのも、日本財団はもち
AEFA創立から 年の歳月が流れて、年
内には243校を数える予定です。ここまで
オスのパチュドン村に小学校が誕生しました。
2004年 月、日本財団からの助成が決
まり、AEFAの学校づくり第一号としてラ
たいと思いました。
待っているはずです。生涯現役を貫き、社会
まで出会うことがなかった人たちがきっと
らその先で必ずだれかとつながります。いま
りますが、勇気を出して一歩外にふみ出した
ないかと躊躇した時期もあり、気持ちはわか
人が多いようです。私自身売名行為といわれ
もさせてもらいます。若い人は直感で学校づ
大切なのは自分の発想で道を切り開くこと
であり、そのためのアドバイスならいくらで
を大いに利用してください﹂と話しています。
向けた谷川さんはまさに先見の明があった。
AEFAの活動理念のもとに
12
か7カ月、
第二の人生の扉が開かれたのです。
ンマーの現地調査を行った。日本財団の過去
す。課題はたくさんありますが、法人を設立
の役に立ちながら、夢を見ることを決してあ
くりに参加してくれますが、シニアは慎重な
の学校建設候補地から漏れていた地域に目を
したときの情熱を忘れずに、これからも子ど
きらめない人生をどうぞご一緒に!
法や運営ノウハウを学び、2004年6月
ぶと同時に、日本のよいところも正しく伝え
24
もたちの未来を見つめていこうと思います。
任意団体の設立といっても自宅の離れ、つ
39 エルダー
15
12
高 齢 者 の現 場
このコーナーでは、都道府県ごとに、
福 島 県 で は 1 6 0 4 人︵ 関 連 死 を 除 く ︶が 津 波
の被害などで亡くなり、3人の方は、いまだ行
方がわからないままとなっています。また、東
京電力福島第1原発事故とあわせて深刻な被害
を受け、多数の住民が避難を余儀なくされ、現
在も約8万8000人の方が県内外に避難して
今回は、復旧・復興が続く南相馬市で、震災
います。
被害に負けることなく立ち上がり、高い技術力
で事業を拡大し、従業員を増加させている﹁株
歳から
65
式会社原町サイン﹂の取組みをご紹介します。
年ほど前、同社では定年年齢を
60
今回は、福島県の高齢者雇用の現場を訪ねま
は震災と向き合い復興を成し遂げるために、再
工場が多く立地していることも特徴です。現在
都圏に隣接していることから、電子機器関連の
品質の米や桃などの果物が有名です。また、首
なって復興に尽力しています。
ら 企 業 経 営 者 や 商 店 主 ら の 力 と な り、 支 え と
れる福島県東部の沿岸地域を中心に震災直後か
る浪江町に仕事の拠点を持ち、
﹁浜通り﹂と呼ば
荒明アドバイザーは南相馬市出身で、隣接す
23
役社長とは以前からの知合いであり、アドバイ
今回取材した原町サインの竹内雄一代表取締
生可能エネルギーの推進やロボット産業の振興
︶年の東日本大震災により、
などにも取り組んでいます﹂と返ってきました。
2011︵平成
す。はじめに福島県の近況や産業について当機
たずねると、
﹁盆地を中心に生産されている高
構福島支部高齢・障害者業務課の井上茂課長に
定年年齢を引き上げる
した。
アドバイザーの荒明健さんにご案内いただきま
福島支部高齢・障害者業務課の高年齢者雇用
が、同社の取組みの主なポイントです。
間勤務を希望できる制度を導入していること
であることや、年齢にかかわらずだれもが短時
歳に引き上げました。また、全員が正規従業員
10
当機構の高年齢者雇用アドバイザーの協力を得て、
高齢者雇用に理解のある経営者や人事・労務担当者、
65
株式会社 原町サイン
定年年齢を 歳に引き上げた後
だれでも使える短時間勤務制度を導入
そしていきいきと働く高齢者本人の声をご紹介します。
福島県
東日本大震災から5年半
第 54 回
2016.11 40
︶年
原町サインは、1970年に看板製作店とし
て創業。当初は小規模でしたが、現在は従業員
ザ ー と し て の か か わ り は 2 0 0 5︵ 平 成
ごろからとのこと。原町サインについて荒明ア
数
∼
歳以上は4人︵
歳が1人︶。最高齢者は
全従業員のうち、
∼
歳
歳で
64
歳
業は珍しいのですが、約
あらゆる広告看板、店舗外装、横断幕、サイン
術を強みに、大型出力にも手描きにも対応し、
めました。
で、製作・施工やオペレーターの道を歩みはじ
内容をはじめ、過去の相談記録などが
あれば、それも含めて十分に理解した
うえで訪問するようにしています。また、お話をうかがうと
きは企業の真のニーズを把握できるよう、傾聴することを心
がけ、要望に迅速にお応えできるように、『エルダー』誌や資
料などを携行し、いつでも提供できる状態を整えています」
の井上茂課長は「浜通り・中通りを中心に、年間約70社に相談・
助言を行われています。人事労務・賃金管理の分野を得意とされ、
企業のみならずアドバイザー仲間からの信頼も厚い方です。東
日本大震災ではご自身も避難の経験があり、被災した地元企業
◆福島支部では8人の高年齢者雇用アドバイザーが、県内の事業
の立場に立ったアドバイスを心がけています」と語ります。
(2015 年度の相談・助言件数は540件)。
所訪問を通じて高齢者雇用に関わる相談・助言を行っています
「65歳までの雇用確保措置が義務化され、現在は生涯現役社会
の実現に向けて課題や阻害要因の収集に力を入れています。ま
た、好事例や同業他社の情報提供を意識し、企業から必要とさ
◆相談・助言は無料で行っています。お気軽にお問い合わせください。
れる支援とはなにかを日々模索しています」
(井上課長)。
福島支部高齢・障害者業務課
歳。高齢従業員 は少数ですが、
屋、仙台に進出し、事業拡大を図っ ています。
る際には、まず、訪問する企業の事業
39
定年年齢を
歳まで
ることにより、高齢者はもとより、若手従業員
明アドバイザーは、﹁高齢者の処遇の改善を図
定年年齢の引上げを提案したことについて荒
従業員の定着率が向上
働ける環境を早々に整えました。
歳に引き上げ、だれもが
年ほど前に荒明アドバイザーの提案を受けて
平均年齢は
︵ 案 内 板 な ど ︶の 企 画・ 製 作・ 施 工 を 行 う 企 業
営業を担当しています。最年少者は3人の
が3人、
60
竹内社長は、
﹃人は石垣﹄の言葉のとおり、規模
人となり、国内最大級の出力施設や高い技
ドバイザーは、
﹁当地から大都会に進出する企
69
に成長しています。
竹内社長は、﹁店 舗の看板や工事のお 知らせ
「アドバイザー活動で企業を訪問す
65
年前から東京、名古
65
を拡大しても支えてくれるのは従業員であり、
従業員の満足なくして企業の存続はないと考え
電話:024(526)1510
など、サインは多くの方々が目にするものです。
荒明アドバイザーから
10
えて行いまし
ができると考
をになうこと
の解消の一端
り、人手不足
向上につなが
員の定着率の
ことは、従業
ました。この
ることができ
意識づけをす
社であるとの
に対しても将来に夢と安心感を持って働ける会
竹内雄一代表取締役社長
れる会社でありたい﹂と自社を語ります。
住所:福島市三河北町 7-14 福島職業能力開発促進センター内
ている方です﹂と紹介し、そうした考え方をふ
◆荒明健アドバイザーは、福島支部高齢・障害者業務課に所属す
世の中の役に立つ仕事をして、社会に必要とさ
年齢:61 歳 アドバイザー歴 :10 年
65
た ﹂と 振 り 返
41 エルダー
74
60
66
18
17
高齢者雇用の相談・助言活動を行っています
まえて、アドバイザーとしてこれまでいくつか
る高年齢者雇用アドバイザーです。その活躍について、同支部
10
のアドバイスをされてきたといいます。
荒明 健アドバイザー
ります。
竹内社長は﹁熟練した従業員の技術を長く活
ほしい﹂という竹内社長の考えから、全員を正
でした。仕事では、お客さまの身になって作業
のためであり、健康のためですが、いい仲間に
することを大切にしています。働くことは生活
代の従業員の方々から、定
規従業員として雇用しています。
今回は、2人の
恵 ま れ て 働 け て い る こ と が 嬉 し い で す ﹂と 話
かせる﹂と 考 え て、 こ の 提 案 を す ぐ に 受 け 入 れ
年年齢の引上げについてや仕事に対する思いな
人。社内
たといいます。当時の従業員数は約
し、定年が
を続けられることがありがたいので、
歳でよ
歳であることをたずねると、
﹁仕事
どをお話ししていただきました。
歳で定年退職を考え
また、﹁いまは、
歳の後輩に教えています。
かったと思います﹂と応えてくださいました。
勤続年数
製作・施工には体力が必要ですので、早寝早起
すべて教えたい。できれば
定年まで若者たちを見守り、知っていることは
ことはなにもありません。引上げのとき、荒明
や重機の名入れ、文字書き、工事看板製作およ
きを心がけ、自宅で適度に身体を鍛えています﹂
歳で入社して、
アドバイザーから助成金について教えていただ
び設置を担当しています。広告美術仕上げ︵広
と語ります。
歳まで働けるよう、
き、手続きを経て、活用することができました。
告面ペイント仕上げ︶一級技能士であり、手描
内社長が自慢する
佐 々 木 さ ん は、
従業員です。
を描くことが好き
﹁幼いころから絵
看板製作に励む
佐々木光男さん
年。製作・施工部に所属し、主に車
荒明アドバイザーにはその後も、人事評価制度
仕事場を見学すると、看板を描く道具類がき
します。
定年後の
向上しているといいます。
の安心感を高めているのか、従業員の定着率は
定年の引上げやこうした制度の導入が従業員
間勤務を望む従業員もいると聞きました。
す。高齢従業員にかぎらず、家庭の事情で短時
や賃金などは、希望に応じて個別に決めていま
えました。短時間勤務を希望した場合の働き方
すべての社員が活用できる短時間勤務制度を整
また、
荒明アドバイザーのアドバイスにより、
1年契約で雇用を継続しています。
ませんが、慣行として本人と会社の合意により
歳以降についての雇用制度はあり
き看板の優れた技術を持ち、﹁お客さまから指
歳︶は、
65
や研修のこと、各種手続きなどについてアドバ
佐々木光男さん︵
18
と振り返ります。ただ、
を聞いて対応しました。
歳定年にしたことで困った
65
れいに整えられていることと、佐々木さんの軽
37
名を受けて手描き看板も手がけています﹂と竹
竹 内 社 長 は、
﹁
続けられることがありがたい
から反対の声が上がることはなく、実施できた
60
61
40
ていた従業員もいたことから、それぞれの希望
60
イスをもらい、たいへん助かっています﹂と話
65
同社では﹁全員に、責任を持って仕事をして
ん︵
歳︶は、長年市役所に勤めていましたが、
本社管理部で総務を担当している八巻清貴さ
役に立つことができれば幸せ
い身のこなしが印象的でした。
70
外から見えにくいですし、業務のすき間を埋め
ま た、﹁ 看 板 づ く り と は 違 い、 総 務 の 仕 事 は
ことが﹁健康のためになっている﹂といいます。
を大事に考えました﹂と八巻さん。働いている
﹁再び仕事に就くにあたり、自分の健康管理
入社して丸2年になります。
ところで知り合いの紹介を通じて原町サインに
体調を崩して定年前に退職し、体調が回復した
64
65
24
2016.11 42
すが、ここで少
るような内容で
場所が少なくありません。
ました。周囲には、まだ被害の跡が残っている
揺れと津波で工場の一部が被害を受けたと聞き
どの話題が主
身だしなみな
﹁あいさつや
をいただいたと
あるいはエール
と 思 え る と き、
5年前、私は
ほどになったころ、東日本大震災が起きました。
点です。少しずつ仕事が増えて、従業員が
﹁当社は、父親が独立して開いた看板屋が原
について次のように話します。
代半ばでしたが、震災前にはそ
40
人も亡くなりました。原発事故も
えることはなかなか容易ではないのですが、き
総務の仕事を伝
れ ば 幸 せ で す。
立つことができ
の人たちの役に
け、会社や周囲
従業員に、
﹃会社に残って働きたいか﹄とたずね
かったそうです。
﹁震災後、集まることができた
震災から4カ月は業務を停止せざるを得な
つくり、地域に貢献していこうと思ったのです﹂
この会社の仕事をすることを通じて雇用の場を
くりの力になりたい、そんな思いがこみ上げ、
あるかぎりなんとか歯を食いしばって、地域づ
あり、地域が壊滅状態になっていくなか、力の
かな表情で語りました。
ています。まったく未定ですが︵笑︶﹂とやわら
績がよかったら、来年はハワイへ行こうといっ
をしています。今年は鬼怒川へ行きました。業
たい﹂と竹内社長。また、
﹁2年前から社員旅行
業員を信頼して、これからもともに歩んでいき
業員が将来を描けるよう、育成に力を入れ、従
事。それを任せられる存在です﹂と八巻さんを
はまわりません。きちんと管理をすることが大
竹内社長は﹁会社はいいものをつくるだけで
い者もいましたが、多くの従業員が残り、再び
ずつ増えて、家庭の事情などで辞めざるを得な
が見えなかったのです。しかし、その数が少し
にされました。すごい力です。また、原町商工
いて邁進し、従業員数をこの5年間で2倍近く
荒明アドバイザーは﹁逆境に屈せず、前を向
︵取材・増山美智子︶
なり、応援したい﹂と話しました。
い ま す ﹂と 竹 内 社 長 を た た え、﹁ 今 後 も 支 え に
語 り、 八 巻 さ ん は﹁ や り が い が あ り ま す ﹂と 笑
が話すそうです。
財 ﹄に な る た め の 7 つ の 条 件 ﹂な ど を 竹 内 社 長
いま、毎朝全員で朝礼を行い、例えば、
﹁﹃人
内社長。
会議所の副会頭としても地域貢献に尽くされて
がら、若手従
の力を借りな
ちんと引き継げるよう、今後の仕事をしていき
たとき、手を挙げたのは1人でした。みんな先
原町サイン外観と、同社で製作した看板
たい﹂と丁寧に話してくださいました。
あります。そ
経 験、知 恵 が
業員には実力、
ベテランの従
にしています。
うことを大切
をきちんと行
りまえのこと
ですが、あた
しでもまわりの
き、働いていて
ろそろリタイヤしようかな、などと考えていた
竹内社長は、震災時のことと、その後の仕事
よ かったと 感じ
のです。し かしあの地震が起き、 津波が来て、
役に立っている
ま す ﹂と 話 し、
知り合いが
人
康で、仕事を続
﹁これからも健
50
50
歩き出すことができて、いまがあります﹂と竹
顔で応えていました。
雇用の場をつくり地域に貢献
東日本大震災では、原町サインも地震による
43 エルダー
毎日多様な仕事を
こなす八巻さん
働く
高齢者の
ための
相談室
を落として、足を負傷する例も珍しくありま
荷を頻繁に取り扱う作業などでは、手を滑
ら せ て、 手 に 持 っ て い た 荷︵ と く に 重 量 物 ︶
1.手から物を落とさないために
先 日 、ワ ゴ ン 車 へ 製 品 の 入 っ た 段 ボ ー ル 箱 の 積 み 込 み を 手 伝 っ て い た 高 齢 労 働 者
せん。とくに高齢労働者の場合は、年齢を重
ねるとともに、筋力が落ちることもあります
から、重量物を取り扱う場合は、より注意が
必要になると考えられます。
止する対策を最優先に考えなければなりませ
るための作業用手袋をいくつかご紹介したい
防ぐことができます。今回は、ケガを防止す
ご質問のようなケースも含めて、適切な作
業用手袋を使うことで、ちょっとしたケガを
大なケガにつながることも珍しくありません。
れています。
ングを施し た手袋︵ 写真2︶など がよく使わ
化ビニルのビニボツ加工を施した手袋︵写真
段ボール箱などの滑りやすい荷を取り扱う
職場では、軍手をベースに、手の平部分に塩
ん。しかし、その一方で﹁ちょっとしたケガ﹂
ホームセンターなどでは、このように滑り
にくい加工がなされた作業用手袋が数多く市
1︶、 ま た、 手 の 平 部 分 に 天 然 ゴ ム コ ー テ ィ
に対する対策が忘れがちになっているといった
と思います。
職場でのケガをなくす対策を検討
するときは、まず﹁重大なケガ﹂を防
ことはありませんか? ちょっとしたケガが重
作業の内容によって、さまざまな作業用手袋がある
び方のポイントなどを教えてください。
が、 誤 っ て 手 を 滑 ら せ て 段 ボ ー ル 箱 を 足 の 上 に 落 と し、 足 の 甲 の 骨 に ひ び が 入 る ケ ガ を し
ケガを防ぐための作業用手袋について教えてほしい
公益社団法人日本産業衛生学会 エイジマネジメント研究会 編
健 康 ・安 全
]
31 回
第
[
ま し た。 こ う し た ケ ガ を 未 然 に 防 ぐ に は、 作 業 用 手 袋 の 使 用 が 効 果 的 と 聞 き ま し た が、 選
1
2016.11 44
健康・安全 相談室
をするリスクを減らすことができます。
齢労働者はもちろん、すべての労働者がケガ
でください。こうした配慮をすることで、高
作業に適し、かつ使い勝手のよい手袋を選ん
販されています。作業の内容をよ く見極め、
強化している製品もあります。
ビニルのビニボツ加工を施して滑りにくさを
度を高めたもの、あるいは手の平部分に塩化
として、スチール線を編み込んで、さらに強
性にも優れています。製品のバリエーション
な作業で使われています。この繊維は、耐熱
ン社のケブラー繊維︶製の手袋は、さまざま
の指先保護のための用具が市販されていま
手袋ではありませんが、回転工具使用時の
指先保護︵写真3︶、あるいは重量物取扱い時
ほかにも、手の平内側部に鎖を装着した手
袋があります。
どの加工品にも使われています。
創を防止するための腕カバー、サポーターな
︵2︶その他
2.手の切れ、こすれを防止するために
②超高分子量ポリエチレン繊維製切創防止
す。このような用具を使う場合には、あらか
化学繊維で作られた切創防止手袋は、大き
く2種類に分けられます。一つは﹁パラ系ア
材は長繊維なので、毛羽立ち、ならびに繊維
をもつ︶ポリエチレン繊維があります。この素
高強度、高弾性率の性能を持つスーパー繊維
の一つに、超高分子量︵非常に長い分子の鎖
い方を励行する必要があることはいうまでも
ます。そして、取扱説明書に従って正しい使
生しないかどうかをよく検討する必要があり
トを行い、使うことによって新たな危険が発
手袋
﹁ 手 の 切 れ、 こ す れ ﹂は 年 齢 を 問 わ ず 起 き
るケガのひとつですが、適切な作業用手袋な
どを使うことによって防ぐことが可能です。
ラミド繊維製手袋﹂
、もう一つは﹁超高分子量
くずの発生が抑えられるのが大きな特徴で
ありません。安易な導入は禁物です。
じめ、危険予知、あるいはリスクアセスメン
ポリエチレン繊維製手袋﹂です。
す。また、食品取扱 い 作 業 で、 消 毒 剤 と し て
3.手が挟まれる、打ちつけられることを
︵1︶化学繊維製切創防止手袋
①パラ系アラミド繊維製切創防止手袋
広く使われる次亜塩素酸塩などに対して劣化
しくはステンレス繊維を編
レン繊維にガラス繊維、も
製品のバリエーションと
して、超高分子量ポリエチ
ロプレンゴムで作
います。また、クロ
は、手甲ガードと呼ばれる保護具が使われて
材料と材料の間に手が挟まれる、硬い物に
手を打ちつけられるなどの危険がある職場で
防止するために
しにくい素材です。
み込んでさらに強度を高め
られたクッション
材を、手袋の手甲
田中通洋︶
コンサルタント
︵ 労 働 安 全・衛 生
手袋もあります。
部分に取り付けた
写真3 指先を保護する用具
たもの、あるいは手の平部
分にウレタンコーティング
を施し、滑りにくさを強化
している製品もあります。
なお、パラ系アラミド繊
維と超高分子量ポリエチレ
写真2
ン繊維は、手袋以外にも切
45 エルダー
1960年代に世界初のスーパー繊維とし
て登場したパラ系アラミド繊維︵米国デュポ
写真1
止の取組みの一環﹂としてそれぞれに取り組
のように個々の取組み単独ではなく、全体的
むのであれば、相乗効果が期待できます。こ
従 業 員 数 約 2 0 0 人 の 機 械 製 造 工 場 で、 労 働 安 全 対 策 の 担 当 を し て い る 者 で す。
な 枠 組 み を 作 る た め に 必 要 な の が﹁ 総 括 管
事故防止を工場全体で進めるにはどうしたらよいのか
近年、ちょっとした転倒事故が工場内で散発しています。機械油で滑った例もありましたが、
理﹂であり、その枠組みを継続的に運用する
わ ず か な 段 差 で つ ま ず い た 例 も あ り、 こ の 背 景 に は 従 業 員 の 約 4 割 が
﹁総括管理﹂の視点でPDCAサイクルを回しましょう
法があるのか、またその際の注意事項などがあれば教えてください。
い と 考 え て い ま す。 個 人 で は な く 、 工 場 全 体 と し て 事 故 防 止 を 進 め る た め に は ど う い っ た 方
ガをする本人はもちろん、職場にとっても労働力の低下につながりますので、なんとかした
いくことに限界を感じつつあります。ただ、なにも対策をしなければ今後も事故が起き、ケ
るようにしているのですが、職場によって対応に温度差があり、担当者個人で対策を進めて
各 職 場 の 掲 示 板 な ど に 掲 示 し た り、 安 全 パ ト ロ ー ル の 際 に 床 面 の 油 汚 れ な ど を 指 摘 し た り す
の高齢化の影響があるのではないかと考えています。安全担当者として、
事故の概要をまとめ、
60
システム﹂です。これらを理解し活用するこ
とで、﹁個人の取組み﹂から﹁工場全体の取組
み﹂へと進めることが可能となります。
そ こ で ま ず は﹁ 総 括 管 理 ﹂に つ い て ご 説 明
いたします。
1.総括管理
総括管理の項目はいくつかありますが、今
回は、︵1︶事業場としての基本方針の策定、
︵ 2︶事 業 場 の 状 況 把 握、︵ 3︶安 全 衛 生 委 員
に﹁ 総 括 管 理 ﹂は そ の ほ か の 4 つ の 管 理︵ 作
を加えた6つが大きな柱となっています。特
では﹁労働安全衛生マネジメントシステム﹂
﹁健康管理﹂
、
﹁労働衛生教育﹂の5つと、最近
る﹁総括管理﹂
、﹁作業環境管理﹂、﹁作業管理﹂、
います。労働衛生管理は、
﹁5管理﹂といわれ
すが、今回のご相談事例にも応用できると思
が挙げられます。ただし、それぞれがただ漫
育では﹁転倒予防のための教育を行う﹂など
ストレッチなどの体操を行う﹂、労働衛生教
る ﹂、 健 康 管 理 で は﹁ 転 倒 の 予 防 に つ な が る
管 理 で は﹁ サ イ ズ の 合 っ た 作 業 靴 を 着 用 す
を取り除く﹂などがあります。同様に、作業
作業環境 管理の例としては、﹁床 面の油汚れ
もう少し具体的に、ご相談にある転倒事故
を例に考えてみましょう。転倒事故における
体的に運用することが﹁総括管理﹂です。
の対策や施策が個人の取組みではなく、事業
などの方法があります。そうすることで、そ
る会議などで基本方針案を説明し同意を得る
の大きい事業場では、事業場の幹部が出席す
セージを出してもらうことです。また、規模
業場長︵社長や工場長など︶からトップメッ
重要です。そのために最も有効な方法は、事
業場全体の共通認識として進めていくことが
転倒事故防止対策などなんらかの対策や施
策を行う場合、個人の思いだけではなく、事
︵1︶事業場としての基本方針の策定
会の活用の3つに絞って説明します。
業環境管理・作業管理・健康管理・労働衛生
場全体の取組みへと広がり、活動を後押しし
てくれます。ただしそのためには、当然なが
然と実施されるのでは、その場かぎりの効果
一方で、﹁事 業場全体としての転 倒事故防
になってしまうかもしれません。
教育︶を取りまとめるものです。つまり、そ
く、それぞれの管理を有機的に結びつけ、一
れぞれの管理が別々に実施されるのではな
筆者は産業医なので、労働衛生管
理の視点から考えることが多いので
ための仕組みが﹁労働安全衛生マネジメント
歳以上という当工場
2
2016.11 46
健康・安全 相談室
も転倒しそうな箇所は、事業場全体図に書き
ト事例などを分析したり、パトロールなどで
ためには、これまでの事故事例やヒヤリハッ
客観的なデータを示す必要があります。その
したような、
事業場長などへの説明の際には、
デ ー タ に 欠 け て い る 場 合 で す。︵ 1︶で 説 明
一方で往々にしてありがちなのが、自分の
主観的な感覚だけでとらえており、客観的な
いでしょう。
事業場全体の問題として取り組んだほうがよ
な い な か で 事 故 が 発 生 し て い る ﹂と し た ら、
者であり、特に明らかな段差や床面の滑りが
しても多く﹂
、
﹁転倒事故の多くが高年齢労働
の高年齢労働者が従業員の約4割と事業場と
し か し、 今 回 の ご 相 談 の よ う に、﹁
であって、
事業場全体の問題ではありません。
例があったとしても、それはその職場の問題
床面へ油が漏れ、その油が原因で転倒する事
転倒事故を例に挙げると、例えば、ある工
作機械を使う職場で、機械の整備不良のため
︵2︶事業場の状況把握
そのためには﹁
︵2︶事業場の状況把握﹂が
必要となってきます。
どに認識してもらう必要があります。
施策を進めていく必要があると、事業場長な
全体の問題であり、事業場全体として対策や
ら、自分が課題ととらえている問題が事業場
明しました。次にお伝えするのは、その取組
﹁ 1. 総 括 管 理 ﹂で、 個 人 の 取 組 み か ら 事
業場全体の取組みにつなげる方策を簡単に説
2.労働安全衛生マネジメントシステム
をかけてより丁寧に進める方法もあります。
﹁ 転 倒 防 止 対 策 検 討 会 議 ﹂な ど を 行 い、 時 間
えられるので、個別の課題を検討するための
員会の場ではうまく議論が進まないことも考
り合わせるようにしてください。安全衛生委
ていることと、職場側が求めていることをす
うまくはいきません。必ず自分のやろうとし
くら︵1︶の基本方針があるからといっても、
てほしいと思っていることに溝があると、い
うと思っていることと、職場や従業員がやっ
事業場のニーズを探ることです。自分がやろ
ると思います。その際に大事なことは、その
﹁ 次 は、 具 体 的 に 何 を す べ き か ﹂の 議 論 に 移
プメッセージがすでに出ているのであれば、
る で し ょ う。︵ 1︶で 述 べ た 基 本 方 針 や ト ッ
対策や施策を検討する場としては最適といえ
まり今回の事例のような安全や衛生に関する
に関する事項の調査や審議を行う場です。つ
は、簡単にいえば、その事業場の安全と衛生
開催しなければなりません。安全衛生委員会
人以上の事業場では、労働安全衛生法に
基 づ い て、 安 全 衛 生 委 員 会︵ 衛 生 委 員 会 ︶を
︵3︶安全衛生委員会の活用
全衛生委員会の活用﹂へつなげていきます。
︵三井化学株式会社 専属産業医
横田直行︶
を進めていくことができるようになります。
で、事業場全体の課題として継続的に取組み
ン ト シ ス テ ム ﹂を 念 頭 に 取 組 み を 行 う こ と
このように高齢労働者にかかわる課題の解
決も、﹁総括管理﹂と﹁労働安全衛生マネジメ
k︶することが望ましいと思われます。
安 全 衛 生 委 員 会 で 取 り 上 げ、評 価︵ Ch e c
で す。 安 全 衛 生 の 取 組 み・ 施 策 に つ いては、
して︵Plan︶実行する︵Do︶ことが重要
問題点を改善した︵Act︶うえで、再度計画
通りうまくいったのかを評価し︵Check︶
、
る︵Do︶だけでなく、その計画が当初の予定
らです。取組みを計画して︵Plan︶
、実行す
善︶が取 組みを 継 続 させるための肝となるか
ル﹂のうち、特にCheck︵評価︶とAct︵改
さて、なぜ﹁労働安全衛生マネジメントシ
ス テム﹂が重要かというと、﹁PDCAサイク
回す﹂ための一つのやり方・方法です。
システム﹂は﹁PDCAサイクルをきちっと
簡 単 に い え ば、
﹁労働安全衛生マネジメント
ル︵ Plan - Do - Check - Act
︶﹂という言葉を聞
いたことがある方もいると思います。非常に
ジ メ ン ト シ ス テ ム ﹂で す。﹁ P D C A サ イ ク
歳以上
込んだりして﹁見える化﹂することが重要に
みを継続的に行うための﹁労働安全衛生マネ
参考文献 ﹃産業医の職務 ︱ 産業医活動のためのガイドライン
︱﹄
︵公益財団法人産業医学振興財団のホームペー
ジに掲載︶
なってきます。こうした対策を経て﹁︵3︶安
47 エルダー
60
50
雇用ミックス時代の
フレキシブル賃金・
評価制度
菊谷寛之
希望者全員65歳雇用 !
株式会社プライムコンサルタント
代表取締役 総合職・エリア限定職型コース別人事制度の事例
第 14 回
この連載では、
「希望者全員が65歳まで働ける社会」を実現するために、
正社員・限定正社員・契約社員・
パート・継続雇用者などの複合的な雇用形態・仕事のスタイルに対応するために不可欠となる、フレ
キシブルな仕事・賃金・評価などの処遇のあり方について、解説します。
店 長、バ イ ヤ ー、地 区 長、部 門 長 な ど の 役 職
人材をかなりハイペースで育成する必要が
人事制度を取り入れた専門小売店チェーンT
今回は、筆者が直接かかわったケースのな
かから、ランク型賃金表を活用してコース別
であった。
く定期昇給を積み上げる年功的な職能給体系
同社の旧賃金制度は、一般的な段階号俸表
を 用 い て、 毎 年 の 評 価︵ S A B C D ︶に 基 づ
コース別人事制度を導入した背景
社の事例を紹介しよう。
毎年昇給が行われる安心感はあったが、他
方では、ある程度の金額に達すると昇給を抑
あった。
T社は西日本の5県で約 数店舗を展開
し、ネット通販も行う売上高約 億円の日用
1
40
品の専門小売店チェーンである。従業員約2
金のルールが開示されず、経営者が裁量的に
える運用も行っていた。いずれにしても、賃
運用していたため、将来の不安を感じていた
社員もいたようだ。
広域での店舗展開を行うチェーンストアの
業態にとって、人事異動は頭の痛い経営課題
めた。
①総合職・エリア限定職の賃金の基準をオー
新賃金制度のねらいは、次の3点をあげる
ことができる。
となっていた。
他方では、転勤が続く総合職と、その必要
がないエリア限定職との賃金処遇の違いが明
の一つである。全社員共通の役割等級とラン
プ ン に し て 社 員 の モ チ ベ ー シ ョ ン を 高 め、
給体制を支えていることである。近年はネッ
ク型賃金表をベースに、エリア限定職と総合
将来設計をしやすくし、他社に負けない人
確でなく、総合職の社員にはストレスの要因
職の処遇を使い分ける同社のコース別人事制
費管理が行えるようにする。
③会社の長期計画に基づいて、客観的な人件
行えるようにする。
置・キャリアパスのなかで矛盾なく処遇が
仕事・職位を明示し、転勤を含めた人事配
②店長がゴールではなく、事業活動に必要な
材を確保・育成する。
ていないが、事業の成長を維持するためには
も含めて定着はよい。現状の人員数は不足し
同社の店舗販売員は中途採用が中心だが、
幹部候補は新卒採用を行っている。女性社員
︵1︶組織の現状と賃金制度改定のねらい
なっている。
度は、シンプルで使い勝手のよい制度設計と
ト通販も徐々に伸びており、利益に貢献し始
同社の強みは、多店舗展開と同時に、商品
部や物流部がタイムリーかつ効率的な商品供
合はない。
00名のうち正社員は約100名で、労働組
50
2016.11 48
希望者全員65歳雇用 !
雇用ミックス時代の
フレキシブル賃金・評価制度
職などがあり、評価基準を使い分ける。
販 売 職、バ イ ヤ ー、事 務、物 流、 本 部 の 専 門
リア限定職に分け、総合職の初任給を1万5
いエリア限定職とし、四大卒については、広
新卒入社者は図表3の初任給で採用する。
高卒、短大卒は原則として他県への転勤がな
①総合職・エリア限定職の区分と学卒初任給
役割責任は役職の階層と非役職者のキャリ
アステップを示す。等級と連動させ、給与規
000円高く設定した。
職群は、会社が求める社員の能力・行動特
性によって職種系統をまとめたもの。例えば
︵1︶職群と役割責任で社員区分を明確に
程の﹁役割責任説明書﹂に包括的な内容を定
・総合職⋮⋮総合職は将来の幹部候補社員と
役割等級とランク型賃金制度
同社は新賃金制度に移行するため、図表1
のような職群と役割責任に社員区分を整理し
義した。図表1のようにⅠ∼Ⅲ等級が時間外
位置づけ、他県にまたがる転勤を行う。遠
物流
Ⅱ
担当職
ストアチーフ
本店部門長
店長代行
Ⅰ
一般職
販売
非管理職
店長(2 店舗兼
任まで)
本店店長代理
経営スタッフ(店舗開発
商品部長 営業企画、組織開発、
財務管理、経営企画等)
万 円 ︶と 転 勤 者 住 宅 手 当 を 別
点加算する方法でエリア限定職よりも1ラ
119号まで全体が一本につながった賃金表
く︵一部を省略しているが、実際は1号から
俸=○円、○ランク﹂というように決めてい
昇進はⅢ等級までにかぎる。
内 で 異 動 が あ る が、 他 県 へ の 異 動 は な い。
して自分の出身県の通勤1時間程度の範囲
・エリア限定職⋮⋮エリア限定職は、原則と
︵2︶の標準適
号俸表を のランクに分け、
用ランクのようにⅠ∼Ⅴ等級の賃金適用範囲
を決める。
エリア限定職に転換し、基本給を1万500
俸を改定し、各人の等級と評価に対応するラ
合は、エリア限定職から総合職に転換し、遠
逆に新卒のエリア限定職が、はじめの研修
期間を除いて転居をともなう異動に応じた場
0円減額する。
ンクに基本給を段階的に近づけていく。
昇給時から評価レートを1点加算する。
00円相当額をプラスする。転換後は最初の
隔地手当を支給するほか、基本給に1万50
︵注︶S∼Dの評価は半期ごとに行い賞与に連動させ、2回の総
合評価で号俸改定を行う。新卒採用の最初の号俸改定は原則B
評価扱いとし、2回目はABC評価を、3回目以降S∼Dの5
段階評価を適用する。
役割に対する貢献度SABCDを毎年評価
して、
︵3︶の号俸改定基準を用いて各人の号
エリア限定職と総合職は相互に転換が可能
である。総合職が転勤に応じられないときは、
である︶。
途支給するほか、後述する評価レートを1
同社が導入したランク型賃金表は、図表2
の︵ 1︶の よ う に、 す べ て の 等 級 を カ バ ー す
ンク高い賃金ランクを適用する。
10
る号俸表を用意し、全社員の基本給を﹁○号
全員帯同者
範囲の転勤を前提として採用する総合職とエ
た。
手当の対象となる非管理職で、Ⅳ・Ⅴ等級が
隔 地 手 当︵ 独 身 者 の 単 身 赴 任 5 万 円 ∼ 家 族
事務
担当チーフ
推進職
︵2︶ランク型賃金表の活用
管理職である。
事務
物流
事務・
庶務
仕入
Ⅲ
17
採用・
人事
配送センター長
販促・
広報
バイヤー
レイアウト オフィス
マン
マネジャー
物流システム
マネジャー
EC店長
統括店長(3 店
Ⅳ 業務管理職 舗以上を統括)
本店店長
本部
商品部
物流部
EC事業部
店舗運営部
役割責任(等級)
店舗運営部長 EC事業部長
Ⅴ 経営管理職
管理職
49 エルダー
2
図表1 部門別の役職・職種と役割等級の格付一覧(抜粋)
⑴ ランク型賃金表
⑵ 標準適用ランク ⑶ 号俸改定基準 マイナス号俸は緩やかな基準を設ける場合もある。
Ⅰ∼ Ⅲ 等 級 の
総 合 職 の 適 用ラ
ンクは 1 ランク高
くなる。
号俸
②等級別の適用ランクと加点による総合職の
処遇の差別化
図表2の︵2︶標準適用ランクは、原則とし
てⅠ等級は3∼7ランク、Ⅱ等級は5∼9ラ
ンク、Ⅲ等級は7∼
1
1
1
1
1
1
2
2T
3
3
3
3
3
3
3T
4
4
4
4
4
4
4T
5
5
5
5
5
5
5T
6
6
6
6
6
6
6T
7
7
7
7
7
7
7T
8
8
8
8
8
8
8T
9
9
9
9
9
9
9T
10
10
10
10
10
10
10T
11
11
11
11
11
11
11T
17
17
17
17T
ランク
号差
1,050
1,220
1,320
1,430
1,540
1,670
1,800
1,940
2,100
2,270
基本給
159,610
160,660
161,710
162,760
163,810
164,860
172,690
173,820
175,040
176,260
177,480
178,700
179,920
181,140
182,360
183,680
185,000
186,320
187,640
188,960
190,280
191,600
193,030
194,460
195,890
197,320
198,750
200,180
201,610
203,150
204,690
206,230
207,770
209,310
210,850
212,390
214,060
215,730
217,400
219,070
220,740
222,410
224,080
225,880
227,680
229,480
231,280
233,080
234,880
236,680
238,620
240,560
242,500
244,440
246,380
248,320
250,260
252,360
254,460
256,560
258,660
260,760
262,860
264,960
267,230
269,500
271,770
274,040
276,310
278,580
280,850
395,770
399,370
402,970
406,570
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ
Ⅰ
D
D
D
D
D
D
D
C
C
C
C
C
C
C
B
B
B
B
B
B
B
A
A
A
A
A
A
A
S
S
S
S
S
S
S
Ⅱ
D
D
D
D
D
D
D
C
C
C
C
C
C
C
B
B
B
B
B
B
B
A
A
A
A
A
A
A
S
S
S
S
S
S
S
↓総 合 職 + 1
等級のA評価が上位等級のC評価に対応する
表4のように評価レートを1点プラスし、1
︵ 2 段 階 一 致 ︶。 た だ し 総 合 職 に つ い て は 図
ランク上の賃金ランクを適用する。
1
2
3
4
5
6
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
116
117
118
119
Ⅴ
Ⅳ
Ⅲ
Ⅲ
D
D
D
D
D
D
D
C
C
C
C
C
C
C
B
B
B
B
B
B
B
A
A
A
A
A
A
A
S
S
S
S
S
S
S
Ⅳ
D
D
D
D
D
D
D
S
S
S
S
評価レート→
賃金ランク↓
1
1
1
1
1
1
2
2T
3
3
3
3
3
3
3T
4
4
4
4
4
4
4T
5
5
5
5
5
5
5T
6
6
6
6
6
6
6T
7
7
7
7
7
7
7T
8
8
8
8
8
8
8T
9
9
9
9
9
9
9T
10
10
10
10
10
10
10T
11
11
11
11
11
11
11T
17
17
17
17T
Ⅴ
D
C
B
Ⅳ
A
D
S
C
B
A
S
10
11
12
}
A
S
Ⅲ
D
C
B
Ⅱ
D
C
B
A
S
D
C
B
A
S
3
4
5
6
7
8
9
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9 +10 +11 +12 +13 +14 +15 +16 +17
+1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9 +10 +11 +12 +13 +14 +15
+1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9 +10 +11 +12 +13 +14 +15
0
+1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9 +10 +11 +12 +13 +14
-1
+1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9 +10 +11 +12 +13 +14
-1
0
+1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9 +10 +11 +12 +13
-2
-1 +1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9 +10 +11 +12 +13
-2
-1
+1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9 +10 +11 +12
-3
-2
-1 +1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9 +10 +11 +12
-3
-2
-1
+1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9 +10 +11
-4
-3
-2
-1 +1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9 +10 +11
-4
-3
-2
-1
+1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9 +10
-5
-4
-3
-2
-1 +1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9 +10
-5
-4
-3
-2
-1
+1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9
-6
-5
-4
-3
-2
-1 +1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
+9
-6
-5
-4
-3
-2
-1
+1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
-7
-6
-5
-4
-3
-2
-1 +1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
+8
-7
-6
-5
-4
-3
-2
-1
+1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
-8
-7
-6
-5
-4
-3
-2
-1 +1
+2
+3
+4
+5
+6
+7
-8
-7
-6
-5
-4
-3
-2
-1
0
+1
+2
+3
+4
+5
+6
-14 -13 -12 -11 -10
-9
-8
-7
-6
-5
-4
-3
-2
-1
0
Ⅱ
Ⅰ
賃金ランク
↓総 合 職 + 1
ランクと決め、それぞ
れ5つのランクをS∼Dの5段階評価に対応
させる。
図表2のようにⅠ∼Ⅲ等級の間では、下位
11
図表2 ランク型賃金表
0
0
0
0
0
0
Ⅰ∼Ⅲ等級の総合
職は 1 点プラスした評
価レートを適用する。
13
14
15
16
17
2016.11 50
希望者全員65歳雇用 !
雇用ミックス時代の
フレキシブル賃金・評価制度
なお、Ⅳ等級以上の管理職は全員総合職扱
いとし、1日につき2時間分の時間外手当に
賃金ランクよりも高い評価レートになるよう
イナス昇給となる。こうして、各人が自分の
しかし、各人の賃金のランクよりも低い評
価レートをとったときは、その差の号数のマ
・3%の管理職手当を別
開示する。
点となる。この評価で毎年の号俸改定を続け
相当する基本給×
例えば、Ⅱ等級のB評価はエリア限定職の
場合7点となるが、総合職は1点加点して8
ると、結果、総合職のB評価はエリア限定職
にふさわしい基本給がシンプルに実現できる
この方式により、総合職とエリア限定職の
適正な賃金処遇差を保ちながら、役割と実力
るルールとなる。
よりも1ランク高い8ランクの賃金を適用す
③ランク型賃金表への移行措置
一致とした︶。
以上とし、Ⅲ等級の店長までの処遇よりも大
途支給する。管理職の適用ランクは ランク
︵3︶まとめ
同社では、新賃金制度を導入した翌年度か
らこのルールで号俸改定を行い、社員一人平
165,000
短大(2 年)卒
16 号
176,260
177,000
四大卒
23 号
185,000
185,000
四大卒
33 号
198,750
200,000
区分(学歴)
高校卒
(注)基本給と初任給との差額は1年目のみ調整手当を補てんする。
図表4 等級別の評価レート(カッコ内は総合職の場合)
評価
Ⅰ
Ⅳ
Ⅴ
S
7 点(8 点)
9 点(10 点) 11 点(12 点)
15 点
17 点
A
6 点(7 点)
8 点( 9 点) 10 点(11 点)
14 点
16 点
B
5 点(6 点)
7 点( 8 点)
9 点(10 点)
13 点
15 点
C
4 点(5 点)
6 点( 7 点)
8 点( 9 点)
12 点
14 点
D
3 点(4 点)
5 点( 6 点)
7 点( 8 点)
11 点
13 点
Ⅲ
Ⅱ
きく優遇している︵Ⅳ・Ⅴ等級の間も2段階
11
︵注︶マイナス号俸については、緩やかな基準を適用したり、実
施しない場合もある。
均約3000円強の昇給となった。
導入したことで、人事制度全体がシンプルに
T社では、一般的な能力基準の人事制度で
はなく、役割責任基準のコース別人事制度を
例えば、いま賃金が6ランクのⅡ等級エリ
ア限定社員がいたとする。
とも大きな収穫であった。
再編され、運用の負担が大幅に軽減できたこ
万
7点のときは+2号昇給するが、昇給
前 の 賃 金 が た ま た ま 6 T の 号 俸︵
ランク型賃金表の導入により、総合職とエ
リア限定職の賃金・手当のルールが明確にな
り、社員は組織での自分の役割や将来の生活
設計、キャリアの目標がずっとイメージしや
労務行政研究所、賃金管理研究所を経て1999年株式会
菊谷寛之︵きくや・ひろゆき︶
やすいしくみが整った。
2︶評価レートがC評価6点のときは+1
万2
1
︶
http://www.primec.co.jp/
を設立、代表取締役。成果人事研究会主宰。本誌編集アド
社プライムコンサルタント︵HP
結果の人材マネジメント方程式﹄
︵労働調査会︶などがある。
り方﹄︵日本法令︶
、
﹃強固な成長企業をつくる原因×集中×
バイザー。主な著書に﹃決定版!シンプル賃金制度のつく
はその差プラス1号分の昇給となる︵ただし
このルールは、各人の賃金のランクと同じ
か、それより高い評価レートをとれば、賃金
3︶評価レートがD評価5点のときは
号の減額となる。
390円︶のときは昇給ゼロとなる。
ま 6 ラ ン ク の 上 限 6 T の 号 俸︵
すくなり、長い目で組織への貢献意欲を持ち
けとなる。
2 3 9 0 円 ︶の と き は + 1 号 の 昇 給 だ
21
21
号昇給するが、昇給前の賃金がたまた
1︶横 軸 の 評 価 レ ー ト が Ⅱ 等 級 の B 評 価・
た号俸のプラス・マイナスの早見表である。
に社員を意識づける。
ようになった。これらの賃金表と号俸改定の
図 表 2 の︵ 3︶号 俸 改 定 基 準 は、 縦 軸 の 賃
金ランクと横軸の評価レートとを組み合わせ
31
賃金が∼Tの号俸のときプラス1号はない︶。
51 エルダー
初任給額
164,860
総合職
基本給
6号
エリア限定職
号数
ルールは、すべて給与規程に掲載し、社員に
図表3 学卒初任給
高齢者雇用施策を考える
独立行政法人労働政策研究・研修機構 主席統括研究員 主席統括研究員 濱口桂一郎
「生涯現役社会の実現」に向けた起点ともいえる、
「65歳までの
まな制度や政策が存在する。この連載では、そうした制度や政策
を取り上げ、その成り立ちや役割、高齢化社会における意義など
を解説していただく。
高齢者事業団と
シルバー人材センター
自の道を歩み続けてきたのがシルバー人材セ
用﹂施策の限界領域に位置しつつ今日まで独
政策という二つの流れの外側で、そもそも﹁雇
から年齢差別禁止が再浮上した外部労働市場
る ﹂と し た 上 で、﹁ あ く ま で も 高 齢 者 の 自 主
中間にまたがる就労ニードの解決が求められ
汎 に 存 在 ﹂し、﹁ い わ ゆ る 労 働 と 社 会 福 祉 の
というだけではない高齢者の就労ニードが広
会参加、健康の保持等のための仕事を求める
かつ望まないが、さればといってたんなる社
この事業の理念について、設立準備会の提
言は﹁一般の労働市場における雇用には適さず、
ンターと呼ばれる高齢者運動/政策です。そ
定年延長から継続雇用へと一貫して流れる
内部労働市場政策と、雇用率制度が消滅して
の出発点は高齢者事業団という名の、ある種
的な組織として設立され運営される﹂ことが
流れがちな老人問題対策の中にあって、新し
特徴であ ると述べ、﹁従来とかく 行政依存に
の地域市民運動でした。
シルバー人材センターの出発点
い途を切り開く﹂ものだと主張しています。
が設置されて具体的な事業構想が進められて
ら に 東 京 都 高 齢 者 事 業 団︵ 仮 称 ︶設 立 準 備 会
東京都高齢者就労対策協議会が設置され、さ
を押し切って、翌年大河内一男を会長とする
事業を対置したことに遡ります。猛烈な反対
幹が高齢市民による地域の自主的組織による
就労事業に対し、当時の小山失業対策部副主
対就労者団体が要求していた都独自の高齢者
が、 そ の 出 発 点 は 1 9 7 3︵ 昭 和
︶年、 失
がその草創期の姿を生き生きと描いています
︵碩文社、198
小山昭作﹃高齢者事業団﹄
0年︶や﹃高齢社会に生きる
周年記念誌﹄
︵ 東 京 都 高 齢 者 事 業 振 興 財 団、 1 9 9 5 年 ︶
眼目だったわけでありますが、その働く老人
高齢者というのが本来の老人福祉法の狙いの
講演集﹃高齢化社会を生きる﹄のなかで、﹁働く
ので、実質空振り規定でした。大河内一男は
老人クラブなどへの援助を求めているだけな
を地方公共団体の努力義務とするとともに、
的かつ積極的に参加することができる事業﹂
座、レクリエーションその他広く老人が自主
人の心身の健康の保持に資するための教養講
ています。もっともこれを受けた第
する機会を与えられるものとする﹂と規定し
仕事に従事する機会その他社会的活動に参加
﹁老人は、 その希望と能力とに 応じ、適当な
﹁高齢者事業団﹂の歩み
いきました。一方江戸川区とその老人クラブ
のイメージというのは、現実の、その後十年間
多くの人が知らないでしょうが、1963
年に制定された老人福祉法の第3条第2項は
に接触して第1号の設立に向けた準備が進め
条は﹁老
られていき、翌1975年2月には江戸川区
の老人福祉法の運用の中では、ほとんど実を
20
高齢者事業団が事業を開始しました。
13
雇用確保措置」の周辺には、高齢者雇用に深くかかわる、さまざ
[第 7 回]
48
2016.11 52
高 齢 者 雇 用 施 策 を 考 え る
でした。とかく失対事業が気になって消極的
経済学部大学院で大河内ゼミにいた関英夫氏
います。ちなみに当時の職業安定局長は東大
材センター﹂という名称になったといわれて
下蔵相と藤波労相の大臣折衝で﹁シルバー人
を講じることになったのです。このとき、竹
能力活用事業という名称で補助金の予算措置
策を転換し、1980年度から高年齢者労働
は関与しない方針でしたが、1979年に政
対策事業の弊害を憂慮して、高齢者事業団に
を果たしました。労働省は当初、従来の失業
関与し、法制化されていくうえで重要な役割
て大河内一男がいたことは、この事業に国が
た。この間、この運動の象徴的リーダーとし
は東京都を超えて全国に波及していきまし
都内では江戸川区を嚆矢として続々と高齢
者事業団が設立されていき、さらにこの運動
ふみ込んでいったものと見ることもできます
はこの空隙に地方自治体の労働行政が独力で
結んでこない﹂と批判していました。本事業
立しなければならず、当時の状況ではきわめ
ば、既存の労働法体系とは別個の法体系を確
旨に合致するような法制化をしようとすれ
人として規定しました。とはいえ、運動の趣
雇用について無料職業紹介事業を行う指定法
保、提供するとともに、臨時的かつ短期的な
らない臨時的かつ短期的な就業の機会を確
て位置づけたのです。具体的には、雇用によ
労働力需給調整機能の一端をになうものとし
理想を掲げたこの運動を、高齢法は高齢者の
掲げ、労働政策と福祉政策を架橋するという
ち、自主自立・協働共助というスローガンを
よって位置づけられた感があります。すなわ
考えれば、どちらかというと周辺的な業務に
ただ、上述のようなこの運動の思想的側面を
バー人材センターを法的に位置づけました。
年 改 正︵ 高 年 齢 者 雇 用 安 定 法 ︶に お い て シ ル
の法制化を迫られていた労働省は、1986
記することとされていました。当時定年延長
を画し、会員の協同的、自律的就業として明
は、雇用を基本とした一般労働関係とは一線
事 業 団 法︵ 仮 称 ︶を 提 案 し て い ま す。 そ こ で
どと並ぶ境界領域政策として考え直してみる
もいえますが、改めて障害者の福祉的就労な
管の政策としてやむを得ない道筋であったと
注力してきたように見えます。職業安定局所
しろ労働市場政策として特別扱いすることに
たはずです。しかし、法制化以後の歴史はむ
点にこそこの運動を特別扱いする理由があっ
境界領域を切り開いてきた存在であり、その
その創生期を振り返ってみると、高齢者事
業団=シルバー人材センターは労働と福祉の
ました。
者派遣事業・職業紹介事業に限定︶も行われ
短期、軽易の3要件を緩和する法改正︵労働
ているといえます。2016年改正では臨時、
シルバー人材センターはかなり特別扱いされ
を考えれば、労働市場規制の観点からすると
有料職業紹介事業はすべて許可制であること
可制になり、また無料職業紹介事業と異なり
年派遣法改正ですべての労働者派遣事業が許
ようになったことが注目されます。2015
改正で届出により有料職業紹介事業を行える
︵ 登 録 型 ︶を 行 え る よ う に な り、 2 0 1 2 年
4年改正で届出により一般労働者派遣事業
。
になる労働行政をマクロ的な総合的高齢者政
て困難でした。ややご都合主義的な手法です
時期かも知れません。 ※1
策の観点に引っ張ったのは恩師大河内一男の
が、シルバー人材センターを社会的に認知さ
れるものとしたいという情緒的な法制化要望
に応えるうえでは、それなりに有効なやり方
だったのかも知れません。
法律の動向としては2000年改正で﹁そ
の 他 の 軽 易 な 業 務 ﹂も 含 ま れ た ほ か、2 0 0
者と労働﹄
、
﹃働く女子の運命﹄ほか著書多数。
政策研究大学院大学教授などを歴任。
﹃新しい労働社会﹄
、﹃若
東 京 大学 法 学部 卒 業 後、労 働 省入省。東 京 大学 客員教 授、
はまぐち・けいいちろう
熱意だったと思われます。
シルバー人材センターをめぐる法的動向
一方東京都サイドでは1977、 、 年
と法制化の研究を行い、1983年には高齢
81
者の生きがい就労の保護を目的とする高齢者
53 エルダー
79
※1 実は同じ頃、東京都民生局では老人福祉施策の一環として老人福祉工場(仮称:老人しごとセンター)という構想もあり、調査研究をしていたようです。
平成 年国民生活基礎調査結果の概要
票は、平成
その他の別居中の者
移 し て い る 者 )、 預 け た 里 子、 収 監 中 の 者、
年国勢調査区のうち、後置番号
1および8から層化無作為抽出した1106
所得票
の1106地区に設定された単位区のうち、
込み、または、まかない付きの寮・寄宿舎に
「 世 帯 票 」で 掲 げ る 不 在 の 者、 世 帯 票 調 査
日以降に転出入した世帯および世帯員、住み
万 8 千 人 )を、 所 得 票 は、 前 記
後置番号1から層化無作為抽出した500単
日
単独世帯の 状況、5月中の家計 支出総額、
(1)世帯票
3.調査の事項
所得票………2015年7月
世帯票………2015年6月4日
2.調査の実施日
居住する単独世帯
世帯票
また、以下については調査の対象から除外
した。
世帯員(約2万3千人)を調査客体とした。
位区内のすべての世帯(約9千世帯)および
世 帯 員( 約
地区内のすべての世帯(約5万9千世帯)と
厚生労働省 大臣官房統計情報部 人口動態・保健社会統計課世帯統計室
厚生労働省は、厚生労働行政の企画・運
営に必要な基礎 資 料を得ることを目的に、
保健、医療、福祉、年金、所得などの国民生
)年を初年として3年ごとに大規模
活の基礎的事項を調査しています。1986
(昭和
)年は中間年にあたり、世
な調査を、中間の各年は簡易な調査を実施。
2015(平成
帯の基本 的 事項と所 得を調 査しています。
本誌では、この発表資料をもとに、調査結果
(編集部)
次に掲げる、世帯に不在の者
単身赴任者、出稼ぎ者、長期出張者(おお
むね3カ月 以上)、遊学中の者、社 会福祉施
1.調査の対象
設の入所者、長期入院者(住民登録を病院に
の概要を紹介します。 22
14
27
27
全国の世帯および世帯員を対象とし、世帯
16
61
2016.11 54
労務資料
受給状況、公的年金の加入状況、就業状況な
無、医療保険の加入状況、公的年金・恩給の
世帯主との続柄、性、出生年月、配偶者の有
移をみると増加傾向となっている。また、「母
世 帯 類 型 を み る と、「 高 齢 者 世 帯 」は 1 2
71万4千世帯(全世帯の ・2%)で年次推
いる。
7 千 人( 同 ・9 %)、「 単 独 世 帯 」の 者 が 6
両方又は一方が
5 2 万 6 千 人(
・ 0 %)で
ど
子世帯」は
となっている。
歳以上の者のいる世帯の状況
39
・0%)となっている。
年齢階級 別に家族形態をみる と、「 歳以
上」の者は「 ~ 歳」の者に比べ、「単独世
24万3千人(同
歳以上)の者が1346万
最も多く、次いで「夫婦のみの世帯」
(夫婦の
歳以上の者の
(2)所得票
(2)
歳以上の者のいる世帯は2372万4千
世帯(全世帯の ・1%)となっている。
・5 %)で 最 も 多 く、 次 い で「 単 独 世 帯 」
が 6 2 4 万 3 千 世 帯( 同 ・3 %)、
「親と未
い る 世 帯 は 5 4 8 万 7 千 世 帯( 全 世 帯 の
・ 4 %)、「 2 人 」
634世帯
万 3 千 世 帯( 高 齢 者 世 帯 の
の み の 世 帯 」が 5 9 9 万 8 千 世 帯( 同 ・ 2
・1 %)、
「夫婦
歳以上の者のいる世帯のうち、高齢者世
帯の世帯構造をみると、
「単独世帯」が624
・8%)となっている。
9 %、 児 童 の い る 世 帯 の
調査客体数は9036世帯、回収客体数は
6880世帯、集計客体数は6706世帯
調査結果の概要
・4%)となって
い る 世 帯 は 4 7 7 万 9 千 世 帯( 全 世 帯 の 9・
5%、児童のいる世帯の
いる。
(1)世帯構造および世帯類型の状況
性別に年齢構成をみると、男は「 ~ 歳」
が ・8 %、 女 は「 ~ 歳 」が ・ 0 % で
「 単 独 世 帯 」を み る と 男 は ・3 %、 女 は
・7%となっている。
%)となっている。
児童のいる世帯における母の仕事の有無を
みると、
「仕事あり」は ・1%となっている。
っている。
帯 の ・6 %)で 最 も 多 く、 次 い で「 三 世 代
世帯構造 をみると、「夫婦と未婚 の子のみ
の世帯」が869万1千世帯(児童のいる世
平成 年6月4日現在における全国の世帯
総数は5036万1千世帯となっている。
1.世帯数と世帯人員の状況
46
(3)
47
40
最も多くなっている。
75
歳以上の者の状況
79
69
世帯」が189万3千世帯(同 ・0%)とな
16
男の
(5)
歳以上の者の就業の状況
の母の割合が高くなる傾向にある。
くなるにしたがって「非正規の職員・従業員」
末子の年齢階級別にみると、末子の年齢が高
68
65
22
68
歳以上の者は3465万8千人となって
いる。
65
31
・
児童のいる世帯は1181万7千世帯で全
世帯の ・5%となっており、児童が「1人」
(4)児童のいる世帯の状況
っている。
帯 」お よ び「 子 夫 婦 と 同 居 」の 割 合 が 高 く な
75
万3千世帯(全世帯の1・6%)
前年1年間の所得の種類別金額・課税など
の状況、生活意識の状況など
4.集計客体数
(1)世帯票
「夫婦のみの世帯」が7
世帯構造をみると、
46万9千世帯( 歳以上の者のいる世帯の
65
婚 の 子 の み の 世 帯 」が 4 7 0 万 4 千 世 帯( 同
調査客体数は5万9425世帯、回収客体
数は4万6651世帯、集計客体数は4万6
38
65
18
74
25
26
49
10
65
65
79
(2)所得票
23
47
65
65
31
19
65
世帯構造をみると、
「夫婦と未婚の子のみの
世帯」が1482万世帯(全世帯の ・4%)
23
30
65
「子と同居」の者が13
家族形態をみると、
歳以上の者の就業の状況をみると、
55 エルダー
で最も多く、次いで「単独世帯」が 1351
万7千世帯(同 ・8%)
、
「夫婦のみの世帯」
が1187万2千世帯(同 ・6%)となって
26
73
15
15
29
27
表1 性・年齢階級別にみた15歳以上の者の就業の状況
平成27年調査
男
年齢階級
女
正 規 の 非正規の
仕事あり 職 員 ・ 職 員 ・
従 業 員 従 業 員
総 数
41
25
(単位:%)
69
・3%となっており、「正規
59
59
「仕事あり」が
30
55
~ 歳」までが6割を
17
11
55
の職員・従業員」が ・6%、
「非正規の職員・
50
29
従業員」が ・1%となっている。
29
「仕事あり」は「 ~
年齢階級別にみると、
歳 」か ら「 ~ 歳 」ま で が 9 割 以 上 の 台
~ 歳」から「
25
形 型 と な っ て お り、
「 正 規 の 職 員・ 従 業 員 」
は「
歳 」か
24
15
超えている。
~
20
・1%となっている。
23
女の 歳以上の者の就業の状況をみると、
「仕事あり」が ・1%となっており、「正規
34
の職員・従業員」が ・8%、
「非正規の職員・
従業員」が
34
「仕事あり」は「 ~
年齢階級別にみると、
歳 」を 谷 と す る M 字 型 と な っ て お り、「 正
~ 歳」までが「非正規の職員・従業員」
30
規 の 職 員・ 従 業 員 」の 割 合 は「
ら「
歳」で
29
を上回っているが、
それ以外の年齢階級では、
25
~
年7
「非正規の職員・従業員」が「正規の職員・従
歳」および「
24
26
27
業員」を上回っている。また、
「正規の職員・
20
~
31
従業員」は「
12
27
は4割を超えている(表1、図1)。
2.各種世帯の所得等の状況
「 平 成 年 調 査 」の 所 得 と は、 平 成 年 1
月1日から 月 日までの1年間の所得であ
る。なお、生活意識については、平成
月 日現在の意識である。
年の1世帯当たり平均所得金額は、
(1)年次別の所得の状況
平成
26
16
その他
仕事なし
正 規 の 非正規の
仕事あり 職 員 ・ 職 員 ・
従 業 員 従 業 員
総 数
その他
仕事なし
総 数
100.0
69.3
41.6
11.1
16.7
30.7
100.0
50.1
17.8
23.1
9.3
49.9
15 ~ 19 歳
100.0
15.6
7.1
7.3
1.2
84.4
100.0
14.5
3.6
10.2
0.7
85.5
20 ~ 24
100.0
69.9
44.8
20.8
4.3
30.1
100.0
73.0
44.1
26.5
2.3
27.0
25 ~ 29
100.0
90.0
68.7
14.7
6.5
10.0
100.0
79.4
48.7
26.4
4.3
20.6
30 ~ 34
100.0
93.6
72.1
10.3
11.2
6.4
100.0
70.5
36.5
27.7
6.3
29.5
35 ~ 39
100.0
94.1
71.9
8.2
13.9
5.9
100.0
70.9
30.5
32.5
7.9
29.1
40 ~ 44
100.0
94.7
71.6
5.8
17.3
5.3
100.0
74.8
29.1
37.1
8.5
25.2
45 ~ 49
100.0
93.5
70.6
6.6
16.4
6.5
100.0
77.2
27.3
40.6
9.3
22.8
50 ~ 54
100.0
94.4
68.8
7.2
18.4
5.6
100.0
76.1
25.0
39.3
11.8
23.9
55 ~ 59
100.0
92.0
61.8
7.7
22.5
8.0
100.0
69.1
21.8
34.6
12.7
30.9
60 ~ 64
100.0
78.0
24.6
27.7
25.7
22.0
100.0
50.4
6.9
28.7
14.9
49.6
65 歳以上
100.0
35.3
4.0
10.3
21.0
64.7
100.0
17.7
1.0
6.0
10.6
82.3
注:1)
「総数」には、「仕事の有無不詳」を含まない。
2)
「その他」には、会社・団体などの役員、自営業主、家族従業者、内職、その他、勤めか自営か不詳および勤め先での呼称不詳を含む
図1 性・年齢階級別にみた15歳以上の者の就業の状況 平成27年調査
100
男
%
90
78.0
68.7
69.9
60
44.8
35.3
27.7
30
20 15.6
20.8
7.3
14.7
非正規の職員・従業員
10.3
8.2
5.8
6.6
7.2 7.7
7.1
24.6
20
10.3
4.0
15∼ 20∼ 25∼ 30∼ 35∼ 40∼ 45∼ 50∼ 55∼ 60∼ 65歳
19歳 24 29 34 39 44 49 54 59 64 以上
10
0
74.8
77.2 76.1
69.1
正規の職員・従業員
44.1
48.7
非正規の職員・従業員
37.1
36.5
32.5
40
30
仕事あり
70.5 70.9
60
50
40
0
73.0
70
61.8
50
10
79.4
80
72.1 71.9 71.6 70.6
68.8
正規の職員・従業員
女
%
90
仕事あり
80
70
100
93.6 94.1 94.7 93.5 94.4 92.0
90.0
40.6
39.3
34.6
28.7
26.4
14.5
26.5
10.2
3.6
27.7 30.5 29.1
50.4
27.3 25.0
17.7
21.8
6.0
6.9
1.0
15∼ 20∼ 25∼ 30∼ 35∼ 40∼ 45∼ 50∼ 55∼ 60∼ 65歳
19歳 24 29 34 39 44 49 54 59 64 以上
注:「仕事の有無不詳」を含まない。
2016.11 56
労務資料
所得金額は「
別に所得の状況をみると、1世帯当たり平均
1 世 帯 当 た り 平 均 所 得 金 額 の 構 成 割 合( 単 位 : % )
全 世 帯
100.0
74.5
19.6
2.4
1.3
2.2
高 齢 者 世 帯
100.0
20.3
67.5
5.2
1.5
5.6
児童のいる世帯
100.0
92.1
3.6
1.4
2.3
0.7
歳」が最も高く807万
た、
「高齢者世帯」が297万3千円、
「児童の
「全世帯」が541万9千円となっている。ま
9千円、有業人員1人当たり平均稼働所得金
1 世 帯 当 た り 平 均 所 得 金 額( 単 位 : 万 円 )
~
いる世帯」が712万9千円となっている。
額は「3~5歳」が最も高く389万3千円
歳」
仕 送 り・
企 業 年 金・
個 人 年 金・
その他の所得
年金以外の
社 会 保 障
給
付
金
となっている。
1 世 帯 当 た り 平 均 有 業 人 員 は「 ~
で最も高く、2・ 人となっている。
(5)所得の種類別の状況
平成27年調査
表2 各種世帯の所得の種類別1世帯当たり平均所得金額
(2)所得の分布状況
・6%および
所得金額階級別世帯数の相対度数分布をみ
ると、
「200~300万円未満」が ・0%、
「100~200万円未満」が
・1%と多
4.7
25.5
「 3 0 0 ~ 4 0 0 万 円 未 満 」が
「 公 的 年 金・ 恩 給 」が ・6 % で
が ・5 %、
割合が100%の世帯」は ・0%となって
・9%となっている。
(「 大
世 帯 の 生 活 意 識 を み る と、「 苦 し い 」
「普
変苦しい」と「やや苦しい」)が ・3%、
通」が
16.6
16.2
200.6
656.5
くなっている。
あ る が、 高 齢 者 世 帯 で は「 公 的 年 金・ 恩 給 」
各種世帯の所得の種類別1世帯当たり平均
所 得 金 額 を み る と、 全 世 帯 で は「 稼 働 所 得 」
中央値(所得を低いものから高いものへと
順に並べて2等分する境界値)は427万円
・5%、
「稼働所得」が ・3%となって
なっている。
いる。
公的年金・恩給を受給している高齢者世帯
のなかで「公的年金・恩給の総所得に占める
いる(表2)。
が
で あ り、 平 均 所 得 金 額( 5 4 1 万 9 千 円 )以
下の割合は ・2%となっている。
各種世帯について、平均所得金額(541
万9千円)以下の割合をみると、「高齢者世帯」
が ・5%、
「児童のいる世帯」が ・6%と
(3)世帯主の年齢階級別の所得の状況
(6)生活意識の状況
~
歳以下」
歳」、「
世帯主の年齢階級別に1世帯当たり平均所
得金額をみると、
「 ~ 歳」が768万1千
~
歳」となっており、最も低いのは「
・5%となっている。
4.5
10.0
60.2
712.9
17
各 種 世 帯 の 生 活 意 識 を み る と、「 苦 し い 」
の割合は、「高齢者世帯」が ・0%、「児童
のいる世帯」が
15.3
297.3
児童のいる世帯
19
60
12.1
12.9
高 齢 者 世 帯
20
6.9
106.1
541.9
74
67
年 次 推 移 を み る と、「 苦 し い 」の 割 合 は お
おむね上昇傾向となっている。
35
円で最も高く、次いで「
の365万3千円となっている。
歳以下」の176万4千円
世帯人員1人当たり平均所得金額をみる
と、「 ~ 歳」
が262万4千円で最も高く、
最も低いのは「
となっている。
(4)児童のいる世帯の所得の状況
児童のいる世帯について、末子の年齢階級
57 エルダー
39
55
58
403.8
全 世 帯
15
17
19
15
63
49
財産所得
14
30
59
40
公 的 年 金・
恩 給
13
13
38
29
50
29
稼働所得
61
59
総所得
世帯の種類
91
50
日本史にみる長寿食
F O O D
278
日本料理の味を決める“しょうゆ”
食文化史研究家 ●
永山久夫
コンビニエンスストアが日本中の隅々まで展開
日本人は古代以来、世界一魚の生食を好む民族
して、いまやご飯も、みそ汁も、おかずも、台所
であり、卑弥呼が登場することで有名な『魏志倭
で作らなくても、食事がまかなえる便利な時代に
人伝』のなかにも、
「倭人は生菜を食す」とありま
なっています。
す。「生菜」というのは、現代の刺し身のことで、
したがって、包丁やまな板がなくても、何の不
しょうゆのルーツである「醤」と酢を混ぜてつくっ
便もありません。ハサミと湯を沸かすやかんがあ
たつけだれをまぶして食べていたようです。
れば、栄養のバランスはともかく、一応の食生活
「醤酢に蒜つきかて
奈良時代の『万葉集』にも、
は成り立ちます。
て鯛願う」という作品があり、
「二杯酢(醤と酢)
しかし、即席物で済ませる食生活に流される時
にニンニクをつぶして混ぜたたれに、鯛の刺し身
代になっても、台所にしょうゆの置いてない家は
をつけて食べたいなぁと願っている」という意味
ほとんどないでしょう。
です。
ご飯のうえに生玉子をかけて食べるのはご馳走
醤は蒸した大豆に米麹と塩を加えて発酵させた
ですが、しょうゆがないと成り立ちません。
加工食品で、室町時代になって、醤を絞って汁を
しょうゆは万能の調味料なのです。しょうゆを
とる技術が生まれます。つまり、しょうゆという
ちょっとかけるだけで、食物が何であれ、おいし
のは、
「醤を絞ってできた汁」なのです。しょうゆ
くなるのは、うま味成分のアミノ酸濃度が高く、
が登場するのは、織田信長の時代で、当時の武将
日本料理のような味わいに仕立て直してくれるか
たちもしょうゆで、刺し身を頬ばっていました。
らです。
江戸時代の中期には、刺し身にさらによく合う
しょうゆの味がいちばん力を発揮するのが魚料
濃口しょうゆが江戸近郊でも生産されるようにな
理です。とくに刺し身や握り鮨を食べるとき。魚
りました。市中に出回るようになると、しょうゆ
のくさみを消すと同時に、魚の身のうまさを引き
の味を引き出し、うまさがさらに増す料理が次々
出してくれるのです。
と登場していきました。
2016.11 58
行政
年﹁雇用動向調査﹂結果を公表
平成 年度﹁障害者雇用優良事業所等
厚生労働大臣表彰﹂受賞者
埼玉県
発行物
厚生労働省
厚 生労 働 省はこのほど、平 成 年 度の﹁障 害 者
雇用優良事業所等厚生労働大臣表彰﹂の受賞者を
企業・団体向け﹃埼玉版女性活躍推進
ハンドブック﹄を作成!
埼玉県はこのほど、企業や団体などにおいて女
性の採用や登用の推進に役立ててもらおうと、そ
平成
用している事業所や職業人として模範的な業績を
の推進方法や県・国の支援制度の紹介、県内企業
厚生労働省
厚生労働省は、平成 年﹁雇用動向調査﹂の結果
をまとめた。
﹁雇用動向調査﹂は、全国の主要産業
あげている障害者に対し、厚生労働大臣表彰を行
社の取組み事例などをまとめた﹃ 埼玉版女性活
うもの。今年度の受賞者は、障害者雇用優良事業
事業所、障害者の雇用の促進と職業の安定
に貢献した団体または個人が1人、優秀勤労障害
所が
る。調査時期は上半期調査と下半期調査の年2回
調査を行い、1万157事業所︵上半期︶と984
シダックスオフィスパートナー株式会社︵東京都︶
に優秀なものに対して授与する厚生労働大臣賞に、
また、当機構が主催︵厚生労働省後援︶する﹁障
害者雇用職場改善好事例﹂の応募事例のうち、特
女性の活躍によって経済を活性化することを意味
マン︵女性︶とエコノミクス︵経済︶の造語であり、
ト﹂を展開している。
﹁ウーマノミクス﹂とは、ウー
進するため、本社のサポート体制を構築し、全国
が選ばれた。同社では精神障害者の職場定着を促
松井氏が提唱した。
している。ゴールドマン・サックス証券のキャシー・
貴さん︵高校・一般の部︶
、写真の部では東京都の
県の上杉疾風さん︵中学校の部︶
、徳島県の田中航
では東京都の佐藤緋眞佳さん︵小学校の部︶
、沖縄
同じく、当機構が主催する﹁障害者雇用支援月
間 ポスター原 画﹂の厚 生労 働 大臣 賞に、絵 画の部
用管理ノウハウの蓄積と共有化を図っている。
の概 要 など 参 考 となる 情 報 を 幅 広 く 掲 載。また、
制度や相談窓口、女性活躍推進法などの関係法令
女性活躍の具体的な推進方法、県・国の各種支援
のハンド ブックで は、そ う し た 施 策 の 紹 介 か ら、
躍を後押しする気運づくりに取り組んでいる。こ
﹁埼玉県版ウーマノミクスプロジェクト﹂はこの
考え方をもとにしたもので、女性が働きやすい職
高く、離職率は
歳以下に加えて
∼
歳、
∼
た。その結果、1・3ポイントの入職超過となり、
前年︵ ・5%︶と比べ0・5ポイントの低下となっ
と比べ1・0ポイント低下、離職率は ・0%で
率でみると、入職率は ・3%で前年︵ ・3%︶
3年連続して入職超過となった。
石川由美子さんが選ばれた。
企業
15 17
29
良事業所として
事業所、優秀勤労障害者として
社の取組み事例を掲載している。本誌20
多様な業界での女性活躍推進の取組みとして県内
場づくりや就業・起業支援、社会全体で女性の活
入職率、離職率を年齢階級別にみると、男女と
もに入職率は 歳以下がほかの年齢階級に比べて
障害者を積極的に多数雇用している事業所︵障
害者雇用優良事業所︶と、模範的な職業人として
25
歳、女性ではパートタイム労働者の
同ハンドブックはA5判 ページ。埼玉県公式
サイトでダウンロードすることができる。
︵埼玉県春日部市︶の事例も紹介されている。
20
16
歳、 歳以上も高かった。
∼
人が表彰された。
92
30
50
て行っている当機構理事長表彰は、障害者雇用優
15 年 8 月 号 特 集で 取 材 し た三 州 製 菓 株 式 会 社
ブロックには定着支援員を配置して全社的に雇
調査結果によると、 年1年間の入職者数は約
775万人︵前年約798万人︶
、離職者数は約7
012年度から﹁埼玉版ウーマノミクスプロジェク
査結果を合算して年計としてまとめた。
生産年齢人口の減少などより経済活動の減速や
社会活力の低下が懸念されるなか、埼玉県では2
躍推進ハンドブック﹄を作成した。
20
5事業所︵下半期︶から有効回答を得て、2回の調
15
長期勤続している障害者︵優秀勤労障害者︶に対し
13万人︵同約713万人︶となっている。これを
27
用する事業所から1万4855事業所を抽出して
者が 人となっている。
24
で、今回の調査結果は5人以上の常用労働者を雇
みた状況を明らかにすることを目的に実施してい
者・離職者の性・年齢階級別、離職理由別などに
決定した。この表彰は、障害者を積極的に多数雇
28
における産業別などの入職者数・離職者数、入職
27
24
24
介護・看護の理由による離職率を性、就業形態、
年齢階級別にみると、男性ではパートタイム労働
者の
49
∼ 歳はほかの年齢階級に比べて高かった。
59 エルダー
27
28
29
15
60
45
10
30
34
54
L E
I
E W S
ニュース ファイル
2016.11 November
次 号
高齢期に活躍してもらうための
キャリア研修(仮)
特集
12 月号
予 告
労務資料
平成 28 年 6 月1日現在の高年齢者の雇用状況
(厚生労働省職業安定局雇用開発部)
〈高齢・障害・求職者雇用支援機構〉
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みなさまのご利用をお待ちしております。
定価(本体 458 円 + 税)/発売元:労働調査会
編集アドバイザー
今野浩一郎……学習院大学経済学部教授
藤村 博之……法政大学経営大学院
イノベーション・マネジメント研究科教授
坂下 多身……一般社団法人日本経済団体連合会
労働政策本部主幹
●八重洲ブックセンター本店 奥井 禮喜……有限会社ライフビジョン代表取締役
●ジュンク堂書店(池袋本店、仙台店、新潟店、名古屋店、福岡店)
菊谷 寛之……株式会社プライムコンサルタント代表
●丸善(丸の内本店、日本橋店)
阪本 節郎……株式会社博報堂エルダーナレッジ開発
新しい大人文化研究所統括プロデューサー
●MARUZEN&ジュンク堂書店(札幌店、梅田店)
深尾 凱子……ジャーナリスト、元読売新聞編集委員
●政府刊行物サービスセンター(霞が関)
真下 陽子……有限会社人事マネジメント代表
●雑誌のオンライン書店「富士山マガジンサービス」
(http://www.fujisan.co.jp/m-elder)
平野 茂夫……株式会社マイスター 60 取締役会長
●一般社団法人高齢者活躍支援協議会(電話03-6661-0018)
大嶋江都子……株式会社前川製作所人事採用研修グループ
年度高年齢者雇 用 開
28
編 集 後 記
● 今号は前号に続き、「平 成
発コンテスト」特集です。独立行政法人高齢・障害・
求職者雇用支援機構理事長表彰優秀賞を受賞した
7 つ の 企 業 と 団 体 の 取 組 み を 紹 介 し ま し た。 意 欲
と能力のある高齢労働者が活躍している取組みは、
みなさんが高齢者雇用を進める際の参考になるも
編集人—企画部次長 児玉順子
28
年度高年齢者雇用
5
日 に 開 催 し た「 平 成
発行人—企画部長 宮原真太郎
月
10
のと考えています。
●発 行—独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
●
●発行日—平成28年11月1日(第38巻 第11号 通巻445号)
開発フォーラム」には、多くのみなさまにお集まり
よし ひろ
月刊エルダー11月号 No.445
いただき、この場を借りて御礼申し上げます。
宏理
主催者として挨拶に立った当機構の和田慶
事長は、
「日本の労働力人口は加速度的な減少が見
込 ま れ て お り、 社 会 の 活 力 を 維 持・ 発 展 さ せ る た
め に は、 高 年 齢 者 を 含 め た す べ て の 人 が 意 欲 と 能
力を最大限に発揮することができる社会の実現が
重 要 な 課 題 と な っ て い ま す。 こ う し た 状 況 の 下、
当 機 構 が 実 施 し た 調 査 で も、 高 年 齢 者 の 就 業 意 欲
は 極 め て 高 い こ と、 そ し て『 高 年 齢 者 を 戦 力 と し
て 活 用 す べ き 』と 考 え て い る 経 営 者 や 管 理 職 が 非
常に多いことが明らかになりました。このように、
年 齢 を 問 わ ず、 働 く 人 が 意 欲 や 能 力 を 向 上 さ せ る
こ と が ま す ま す 重 要 に な り ま す の で、 高 年 齢 者 雇
用開発コンテストの表彰企業が取り組んだ事例な
ど を 通 じ て、 高 年 齢 者 の 雇 用 に 対 す る 理 解 を 深 め
ていただくよう期待します」と述べました。
前 号 と 今 号 の 特 集 を 通 じ て、 高 齢 者 雇 用 に 先 進
的 な 取 組 み を さ れ、 成 果 を 挙 げ て い る 企 業 の 事 例
を参考にしていただければ幸いです。
月号「BOOKS」で取り上げ
●「生涯現役で働くとは」に登場していただいた谷
川洋さんは、本誌
た『 奔 走 老 人 ~ あ な た の 村 に 学 校 を つ く ら せ て く
ださい』の著者です。元商社マンの谷川さんは、自
ら の 判 断 で N P O 法 人 設 立 の 道 を 選 び、 そ れ が 生
涯 現 役 の 道 に つ な が り ま し た。 ご 興 味 あ る 方 は、
ぜひ本書もお読みください。
9
検 索
読者の声
募集!
高齢で働く人の体験、企業で
高齢者の人事を担当している
〒261‐8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 TEL 043(213)6216(企画部情報公開広報課)
方 の 体 験 などを 募 集します。
ホームページURL http://www.jeed.or.jp メールアドレス [email protected]
文字量は 400 字〜 1000 字
●発売元 労働調査会
〒170‐0004 東京都豊島区北大塚2-4-5 TEL 03(3915)6401 FAX 03(3918)8618
*本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。
(禁無断転載)
程度。また、本誌についての
ご 意 見 もお 待 ちして い ます。
左記宛てに FAX、メールなど
でお寄せください。
2016.11 60
Leaders Talk
No. 19
さかもと・こうじ
さん
最初の配属先は商工労働部
大学を出て最初の就職先が静
坂本 1970︵昭和 ︶年に大学
を 卒 業 して 静 岡 県 の 職 員 と な り、
のような影響を受けましたか。
岡県庁ですね。その後の人生にど
︱
坂本光司
年ほど商工労働部にと
研究者への方向転換にはきっ
どまることになります。
になり、
が、経営者が私を頼りにするよう
公務員は頻繁に異動するものです
そ の 後 の 私 の 人 生 を 変 え ま し た。
う こ と が で き、 最 初 の 配 属 先 が、
た。感銘を受けた経営者にも出会
す。私にとっても大きな喜びでし
端 を 話 す と大 変に喜 んでく れま
ると力がついてきて、解 決 策の一
す。経営者の相談に応じて勉強す
て調べ、先輩にも聞いて勉強しま
るわけです。それをノートにとっ
経営者が自ら相談をもちかけてく
な く なった な ど、 さ ま ざ ま で す。
や人材、販路、仕事を回してくれ
することになります。悩みは資金
当し、中小企業の現実の悩みに接
た。主に中小企業の景況調査を担
配 属 さ れ たのは 商 工 労 働 部でし
45
かけがあったのですか。
︱
61 エルダー
15
法政大学大学院政策創造研究科教授
法政大学大学院政策創造研究科教授。同大
学院静岡サテライトキャンパス長。1947
(昭
和22)年、静岡県生まれ。1970年法政大
学経営学部卒業。静岡文化芸術大学文化
政策学部・同大学院教授などを経て現職。
2014 年の創立以来、人を大切にする経営
学会会長。主な著書に『日本でいちばん大
切にしたい会社(1∼5)
』
。これまで7500
社を超える企業への訪問調査を行う。
人を大切にする経営の実践例を収録した
「日本でいちばん大切にしたい会社」の最
新版。シリーズ累計 67万部を発行。
坂 本 そ う こ う し てい る う ち に、
商工中金のシンクタンクである商
業績は安定的に高いのです。
すことに軸足を置いている企業の
す る 会 社 の 研 究 を 徹 底 し て 行 い、
べて公開し、ゼミ生は人を大切に
業績の経営はありませんか。
すると2年間の修士課程で600
に300社をくだりません。そう
す。ゼミでとりあげる会社は年間
その結 果 を グループで発 表 しま
賞に応募し、
社の事 例に触れることになりま
人を大切にしない会社でも好
ない一介の公務員が、
﹁円高、国際
坂本 社会や経済の動きには変動
があるのでそういうこともありま
す。ゼミ生は研究をとおして、人
︱
化 と地 域 産 業 ﹂という 図 書で19
す。しかし、欺瞞に満ちた経営は
工総合研究所の中小企業研究奨励
87 年 度 の 本 賞 を 受 賞 し ま し た。
代半ばの学者でも
これを契機にいくつかの大学から
を大切にする経営者の生き方に触
年、
年と長期的にみれば、正しい経営
やがて滅びます。
年、
就職のお誘いを受け、研究の道に
は滅びずに残っています。正しい
30
そのようにしてゼミで学んだ
経営者は、どのような変化を遂げ
︱
関係者が大切にされていると実感
るのですか。
業績は安定的に高いのです。
組織風土力、経営者力といった人
力、技術開発力、提案力、情報力、
た経営力にはなく、人材力や販売
や規模、生産力、設備などといっ
坂本 好業績を続ける企業と低迷
する企業との大きな差異は、組織
論ですが、なぜでしょうか。
会 社である ﹂というのが先 生の持
ンサルタントなどです。大半が雇
中小企業診断士、社労士、経営コ
り の2 割 が 公 認 会 計 士 や 税 理 士、
このうちの8割が経営者です。残
そ ら く 日 本 で 最 多 だ と 思いま す。
坂 本 研 究 室 の ゼ ミ 生 は 人 で
す。社会人大学のゼミとしてはお
を期待して教えていますか。
されていますが、どのようなこと
た ﹂と い わ れ た こ と が あ り ま す。
たのですが、
﹁2年間で人が変わっ
す。わがままな性格のゼミ生がい
自分の生き方の間違いに気づきま
の教育﹂をするのです。
そうすると、
く 触 れても ら うことによって﹁ 徳
にする素晴らしい経営者になるべ
て、人としての徳が高まっていき
現在、社会人大学院で授業を
材に備わる要素の違いによるもの
用主ですからよい経営者になって
自らの生き方の誤りに気づいたの
︱
です。つまり、経営者の考え方や
ほしいと願っています。私の授業
ば、経営も変わります。学んだ成
でしょう。こうして性格が変われ
65
研究をとおして手にした知見はす
果が経営に実践されるわけです。
ます。ですからゼミでは人を大切
人材の能力発揮に負うところが大
示しながら導きます。そして私が
では人を大切にする企業の実例を
と、社員とその家族の幸福を目ざ
きいことが、企業の事例研究をと
考えです。流した涙の量に比例し
坂 本 ﹁ 人のや さしさは 流 し た 涙
の量に比 例 する﹂というのが私の
できる経営です。そうした企業の
経営とは社員や取引先、顧客など、
れ、涙を流します。
入ることになりました。
﹁ 長 期 的に 好 業 績 を 維 持 して
人を大切にする企業の
業績は高い安定性を示す
︱
20
おしてわかりました。言い換える
いる会社は、人を大切にしている
10
30
2016.11 62
ネスは、知恵が求められる人材集
すための配 置などについて、もっ
坂本 会社は人事評価の際に面談
を行いますが、社員の能力を伸ば
齢者は貴重な戦力です。現代ビジ
約型産業になっていますが、まだ
と話し合うべきだと思います。働
高齢者にもっとチャンスを
まだ、高齢者が能力を発揮できる
く側も自己啓発の努力が求められ
﹁ 企 業 は 高 齢 者 を 大 切にし な
けれ ばならない﹂というのが先 生
十分なチャンスが与えられている
︱
の持論ですね。どのような理由に
今後の研究の方向性をお聞か
せください。
︱
ます。
とはいえません。
経営学の概念の変革を
目ざす
よりますか。
坂本 高齢者は年下の人たちを教
え導いてくれる恩人です。だから
大切にするというのは、自明のこ
にそのチャンスを与えるのは当然
できます。まず、高齢者は自らの
を大切にする理由をあげることが
が必要な企業もあるでしょう。高
ならないので、賃金体系の見直し
は生産性との関係で決めなければ
個別管理が必要になります。賃金
坂本 高齢者は多様ですから、そ
の人の能力を引き出していくには
が求められますか。
くため、企業にはどのようなこと
達 していま す。も う ひ とつは﹁ 日
を著し、シリーズ累計は
本 でい ち ば ん 大 切 に し たい 会 社 ﹄
践 例 を 知っても ら う ための本﹃ 日
ひとつは人を大切にする経営の実
た め に、 3つ の 種 を 播 き ま し た。
私は人を大切にする経営の普及の
だけでは、この国は変わりません。
ベースにした経営学を教えている
は、現在は異端です。でも効率を
坂本 人を大切にし、幸福にする
ことを中心に据 える私の経 営 学
のことです。2つ目に、高齢 者が
齢者にとっては適材適所での処遇
本 でい ち ば ん 大 切 に し たい 会 社 ﹂
それでは高齢者が活躍してい
真に喜ぶ商品やサービスは、高齢
が重要になります。次代に向けた
大 賞 を 創 設 して 顕 彰 していま す。
︱
期を実体験している高齢者でない
技能継承などの仕事が向いていま
とでしょう。理論面からも高齢者
と、つくり出すことができません。
す。ホワイトカラーの処遇が問題
そ し て、
﹁人を大 切にする経 営 学
代の旺盛な時期
高齢者のニーズを知っているのは
になりますが、総務や経理にせよ、
会﹂を設けました。経 営 学の概 念
つ目には
歳、
年、
年と働いてきた
歳でも働きたいという人
に 会 社 の た め に 働 いて き ま し た。
代から
高齢者自身、ということです。3
年も従事していれば専門能力が
人生の
高齢者には知見、人脈があります。
あるはずです。方向としては、ラ
インから離れた所で専門能力を発
そのためには労働者の努力も
揮してもらうのがよいでしょう。
︱
万 部に
歳、 歳になって、それが突然、
劣化するはずがありません。会社
はその能力を活用すべきです。4
つ目に、若年労働力の減少がすさ
必要になりますね。
撮影/福田栄夫
聞き手・文/労働ジャーナリスト穂積富士夫
を変えるのが私の願いです。
67
50
50
まじい勢いで進んでいるので、高
63 エルダー
40
20
65
65
40
60
60
法政大学大学院政策創造研究科教授
坂本光司 さん
Leaders Talk
元気で長く働き続けるためには、中高年から食事に気をつけることが大切です。
みなさんもつくってみませんか?
た ら
鱈、帆立貝の松前焼き
第 19 回
ま つ ま え
や
①
1人あたりのカロリー 342 kcal
11
しょ とう
<作り方>
2切れ
(40g)
2個(200g)
4粒( 10g)
10g
10g
10g
10g
1/2 個(100g)
適宜
② 銀杏の殻をむき、人参は1cm ほどに切り、塩茹でする。
大さじ6杯
大さじ6杯
大さじ6杯
大さじ4杯
⑤ 耐熱皿に昆布を敷き、④をのせ、その上に①②③を盛り、再度具材
のうえに④をかけて、オーブントースターで焼き上げる(約10 分)
。
大きな昆布がない場合は、アルミホイルに具材をのせ、その上に
細かく切った昆布を散らして焼く方法もあります。
① 鱈の切り身を2等分にし、帆立貝は内臓を取り、一口大に切る。
それぞれ、みりん、酒、薄口しょうゆを合わせた調味料に15 分ほ
ど漬けておく
(写真)
。
昆布の味と香りとともに、
季節の食材をいただこう!
である 月は初 冬
秋の終わり
りっ とう
にあたり、立冬を迎えると、北
11
国では冬の準備が始まります。
かぶ
月からは、秋から冬に続く
食材で献立をつくると栄養価が
たい
高 まり ま す。大 根に蕪、白 菜 な
ぶり
どの青野菜。きのこ類では、しめ
たら
じ、椎茸などがありま す。ま た、
魚介類も、鱈、鰤、鯛、 貝 類 な
どに脂がのりだします。
秋の気配が残りつつ、冬の味
覚が楽しめる今月は、季節の具
材を昆布のうえに並べて焼き上
げる、﹁松前焼き﹂としました。
みりん……………
酒…………………
薄口しょうゆ……
マヨネーズ………
鱈には風邪の予防に効くビタ
ミンAが、帆 立には肝 機 能 を 高
〔調味料〕
めるタウリンが豊富に含まれて
鱈(切り身)……
帆立貝……………
銀杏………………
長芋………………
人参………………
しめじ……………
ユリ根……………
りんご……………
昆布………………
い ま す。季 節の 恵 みに 感 謝 して
〔材料(2人分)〕
味わい、冬に向けて栄養をつけ
●ペンチなどで銀杏の殻に割れ目
を入れ、厚みのある封筒に入れ
ます(1 回に10 個程度)
。
封筒の折口を2∼3回折り、
しっかりと閉じ、電子レンジで
1分間加熱すると、殻が開き、
むきやすくなります。
ましょう!
銀杏の殻のむき方
③ しめじは石突きを取り、小房に分ける。ユリ根、長芋は皮をむい
て一口大に切る。
④ すりおろしたりんごをほどよく絞り、マヨネーズと合わせる(りん
。
ごは紅玉、国光など酸味のあるものが適しています)
レシピ・料理制作/「長峰」店主 長島 博、料理撮影/福田栄夫
長島 博 ( ながしま・ひろし )
1 9 4 6 年生まれ。八彩懐石
「長 峰 」店主。江戸の名工、
現代の名工ほか受賞。2015
年 2 月より「日本食普及の
親善大使」としても活躍。
2016.11 64
(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 各都道府県支部高齢・障害者業務課
所在地等一覧
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、各都道府県支部高齢・障害者業務課等において高齢者・障害
者の雇用支援のための業務(相談・援助、給付金・助成金の支給、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受
平成28年11月1日現在
付、啓発等)
を実施しています。
名称
所在地
電話番号(代表)
北海道支部高齢・障害者業務課
〒063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 011-622-3351
青森支部高齢・障害者業務課
〒030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内
017-721-2125
岩手支部高齢・障害者業務課
〒020-0024 盛岡市菜園1-12-10 日鉄鉱盛岡ビル5階
019-654-2081
宮城支部高齢・障害者業務課
〒985-8550 多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内
022-361-6288
秋田支部高齢・障害者業務課
〒010-0951 秋田市山王3-1-7 東カンビル3階
018-883-3610
山形支部高齢・障害者業務課
〒990-2161 山形市大字漆山1954 山形職業能力開発促進センター内
023-674-9567
福島支部高齢・障害者業務課
〒960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内
024-526-1510
茨城支部高齢・障害者業務課
〒310-0803 水戸市城南1-1-6 サザン水戸ビル7階
029-300-1215
栃木支部高齢・障害者業務課
〒320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内
028-650-6226
群馬支部高齢・障害者業務課
〒379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階
027-287-1511
埼玉支部高齢・障害者業務課
〒336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター内
048-813-1112
千葉支部高齢・障害者業務課
〒261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉5階
043-204-2901
東京支部高齢・障害者業務課
〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階
東京支部高齢・障害者窓口サービス課 〃 〃 03-5638-2794
03-5638-2284
神奈川支部高齢・障害者業務課
〒241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内
045-360-6010
新潟支部高齢・障害者業務課
〒951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21ビル12階
025-226-6011
富山支部高齢・障害者業務課
〒933-0982 高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内
0766-26-1881
石川支部高齢・障害者業務課
〒920-0352 金沢市観音堂町へ1 石川職業能力開発促進センター内
076-267-6001
福井支部高齢・障害者業務課
〒910-0005 福井市大手2-7-15 明治安田生命福井ビル10階
0776-22-5560
山梨支部高齢・障害者業務課
〒400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内
055-242-3723
長野支部高齢・障害者業務課
〒381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内
026-258-6001
岐阜支部高齢・障害者業務課
〒500-8842 岐阜市金町5-25 G-front Ⅱ7階
058-265-5823
静岡支部高齢・障害者業務課
〒422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内
054-280-3622
愛知支部高齢・障害者業務課
〒450-0002 名古屋市中村区名駅4-2-28 名古屋第二埼玉ビル4階
052-533-5625
三重支部高齢・障害者業務課
〒514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階
059-213-9255
滋賀支部高齢・障害者業務課
〒520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内
077-537-1214
京都支部高齢・障害者業務課
〒617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内
075-951-7481
大阪支部高齢・障害者業務課
〒566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内
大阪支部高齢・障害者窓口サービス課 〃 〃 06-7664-0782
06-7664-0722
兵庫支部高齢・障害者業務課
〒650-0023 神戸市中央区栄町通1-2-7 大同生命神戸ビル2階
078-325-1792
奈良支部高齢・障害者業務課
〒630-8122 奈良市三条本町9-21 JR奈良伝宝ビル6階
0742-30-2245
和歌山支部高齢・障害者業務課
〒640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内
073-462-6900
鳥取支部高齢・障害者業務課
〒689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内
0857-52-8803
島根支部高齢・障害者業務課
〒690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内
0852-60-1677
岡山支部高齢・障害者業務課
〒700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター内
086-241-0166
広島支部高齢・障害者業務課
〒730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内
082-545-7150
山口支部高齢・障害者業務課
〒753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内
083-995-2050
徳島支部高齢・障害者業務課
〒770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階
088-611-2388
香川支部高齢・障害者業務課
〒761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内
087-814-3791
愛媛支部高齢・障害者業務課
〒791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内
089-905-6780
高知支部高齢・障害者業務課
〒780-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内
088-837-1160
福岡支部高齢・障害者業務課
〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階
092-718-1310
佐賀支部高齢・障害者業務課
〒849-0911 佐賀市兵庫町大字若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内
0952-37-9117
長崎支部高齢・障害者業務課
〒854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内
0957-35-4721
熊本支部高齢・障害者業務課
〒861-1102 合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内
096-249-1888
大分支部高齢・障害者業務課
〒870-0131 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内
097-522-7255
宮崎支部高齢・障害者業務課
〒880-0916 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内
0985-51-1556
鹿児島支部高齢・障害者業務課
〒890-0068 鹿児島市東郡元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内
099-813-0132
沖縄支部高齢・障害者業務課
〒900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4階
098-941-3301
65 エルダー
生涯現役を実現した企業の取組みを紹介
「エルダー活躍先進事例集 」のご案内
2016
11
平成
年
28
月1日発行︵毎月1回1日発行︶
11
かんが
今後のわが国における労働力人口の減少を鑑みると、健康で意欲と能力があるかぎり、年齢にかかわ
りなくいきいきと働き続けることができる「生涯現役社会」の実現を目ざすことが不可欠になってきます。
当機構では、このたび「定年がない」
、
「実際に70歳超の従業員が活躍している」など、年齢にかかわり
なくいきいき働ける職場として32の先進事例を収集し、事例集にとりまとめました。
事例の選定にあたっては、内田 賢 東京学芸大学 教授を委員長とする選定委員会を設置し、定年制や
継続雇用制度の実態、また地域や業種などを勘案しつつ、ほかの企業などのモデルとなるかどうか、ほ
かの企業などが取り組みやすい内容かなどの観点を重視しました。
本事例集は、写真や高齢者雇用のメリット、他社へのアドバイスとして企業のメッセージを掲載してよ
りわかりやすくするとともに、バインダー方式に整理し、より活用しやすいものにしました。
本書は当機構のホームページに掲載しており、ダウンロードできますのでご覧ください。また、印刷物
をご希望の方は、下記のお問合せ先までご連絡ください。無料でお送りいたします。
第
各企業などで、高齢従業員がいきいきと働ける職場づくりのヒント集としてご活用ください。
巻第
38
「エルダー活躍先進事例集」の概要
号通巻
11
号 ︿発行﹀独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 ︿発売元﹀労働調査会
445
◆各事例は以下の6つのポイントに加えて、従業員・経営者などのメッセージや職場改善などの写真を掲載
しています。
⑴ 定年・継続雇用制度
⑵ 従業員の年齢構成
⑶ 高齢者雇用に対する方針と考え方
⑷ 高齢従業員の就業状況(高齢者の具体的な勤務形態や賃金額など)
⑸ 高齢者の雇用施策の現状
⑹ 高齢者が働きやすい職場づくりのために行った改善や工夫
(制度面、能力開発、環境改善、健康管理・安全衛生、新職場、職務の創出 など)
◆イメージ(1事例4ページ、フルカラー)
定価︵本体458円+税︶
お問合せ先
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用推進・研究部 研究開発課
〒 261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉 3-1-3 TEL:043-297-9527 FAX:043-297-9550
ホームページ:http://www.jeed.or.jp
エルダー活躍先進事例集
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