Yano Research Institute Ltd

2016 年 11 月 1 日
プレスリリース
FX(外国為替証拠金取引)の動向調査を実施(2016 年)
- 為替相場変動事象が影響し、預り残高は減少、取引高は大きく増加【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内 FX(外国為替証拠金取引)市場の調査を実施した。
1. 調査期間:2016 年 7 月~9 月
2. 調査対象:商品先物会社、FX 専業会社、証券会社、ネット銀行等
3. 調査方法:当社専門研究員による直接面談、ならびに電話・e-mail 等によるヒアリングを併用
<外国為替証拠金取引(FX: Foreign Exchange)とは>
1998 年 4 月の外為法の改正を受けて登場した、国内初の個人投資家向け外貨売買の金融商品である。取引のしくみ
は、証拠金を担保にレバレッジをかけた取引額を想定元本として差金決済を行うものである。ここでは店頭 FX(外国為替証
拠金取引)市場を取り上げる。
【調査結果サマリー】
 2016 年 3 月期の市場規模(預り証拠金残高)は 1 兆 2,574 億円、前年同期比 4.6%減
2016 年 3 月期の市場規模(預り証拠金残高)は 1 兆 2,574 億 6,000 万円となり、前年同期比 4.6%減であっ
た。市場は堅調に推移しているが、為替相場が大きく変動する事象が続いたことで一時的に減少した。
 2016 年 3 月期の口座数は 575 万口座、前年同期比 8.3%増
財務基盤の増強、コンプライアンスの徹底など企業の健全性・信頼性の向上に注力、投資環境の健全化や
顧客利便性の向上が進み、2016 年 3 月期は前年同期比で 8.3%増の 575.5 万口座であった。
 2016 年 3 月期の年間取引高は 5,003 兆円※ (※百万通貨は 1 億円として換算)、前年同期比 18.6%増
2016 年 3 月期は、前年同期比 18.6%増の 5,003 兆 6,537 億円※(※百万通貨は 1 億円として換算)と大幅な増加
であった。この 1 年内に幾度となく発生した為替相場が大きく変動する事象によって、取引高が大きく伸長し
た。
◆ 2017 年 3 月期は市場規模 1 兆 3,230 億円、616.5 万口座、年間取引高 4,778 兆円※ を予測
FX 業界では、一層コンプライアンスの徹底と顧客サービスの充実が図られ、投資環境の健全化と適正化及
び、顧客利便性が向上してきている。同時に、新規商品ラインナップの拡充も進められ、システムトレード、スマ
ートフォン向けの取引ツールの充実も図られている。こうした企業姿勢や取引環境の向上、為替相場変動要因
となる事象の発生などの動向から、2017 年 3 月期の市場規模(預り証拠金残高)は 1 兆 3,230 億円、口座数は
616.5 万口座、年間取引高は 4,778 兆円※(※百万通貨は 1 億円として換算)を予測する。
◆ 資料体裁
資料名:「2016 年版 FX(外国為替証拠金取引)市場の動向と展望」
発刊日:2016 年 10 月 17 日
体 裁:A4 判 247 頁
定 価:120,000 円(税別)
 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
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2016 年 11 月 1 日
プレスリリース
【 調査結果の概要 】
1. 市場環境
店頭 FX 市場は、これまでの法整備や自助努力によりコンプライアンス(法令遵守)の徹底と顧客サービスの
充実が図られ、投資環境の健全化と適正化及び、顧客利便性が向上してきている。更には、海外展開や異業
種とのアライアンスによる金融商品を取り扱うワンストップサービスなど収益源の多様化をめざす動きも一部に顕
在化してきている。この 2 年間の参入企業数は 60 社弱で推移しているが、2016 年には新規株式上場企業の誕
生と新規参入(銀行)があったことから、投資家の更なるすそ野拡大が期待されている。
こうした中、2015 年 1 月のいわゆる“スイスフラン・ショック※2”に続き、同年 8 月の“チャイナ・ショック※3”、2016
年 2 月には我が国においてマイナス金利が導入、直近では 2016 年 6 月の英国の EU 離脱決定の発表など、
為替相場が激しく動く事象が幾度も起こった。そのため、取引高は昨年以上の伸びを見せ、各企業の収益は
増加した。
※2. 2015 年 1 月にスイス国立銀行が対ユーロ相場における上限を撤廃したことによるスイスフランの暴騰による急激な相場変動
※3. 2015 年 8 月に中国人民銀行が人民元の切り下げを行なったことによる相場変動
2. 市場概況
店頭 FX 市場全体では、預り証拠金残高、口座数、取引高のいずれも成長基調にあるが、昨今では、上述し
た相場変動事象が幾つか続いたことから 2016 年 3 月期の市場規模(預り証拠金残高)は、顧客資産が減少し
たことに伴い、前年同期比で 4.6%減の 1 兆 2,574 億 6,000 万円であった。
2016 年 3 月期の口座数は依然増加基調にあるものの、やや鈍化し前年同期比で 8.3%増の 575.5 万口座で
あった。鈍化傾向の背景には、新規の口座開設手続きで「マイナンバー」の提出が必要となったことで、個人情
報の提出に過敏な個人投資家の開設を敬遠する動きが出たことなどが、一因であるものと推測される。
2016 年 3 月期の店頭取引の年間取引高は、前年同期比で 18.6%増の 5,003 兆 6,537 億円※(※百万通貨は
1 億円として換算)と推計した。昨年(2015 年 3 月期)の取引高と比較すると、784.9 兆円(同)の増加となった。
3. 市場予測
2016 年 6 月に英国の EU 離脱が発表されると、リスクオフの円買いが加速して再び急激な円高が進行、預り
証拠金残高が減少した。その後は順調に大手有力企業を中心に残高伸長が見られることや、なかには新規商
品ラインナップの拡充や、システムトレード、スマートフォン向けの取引ツールの充実も図られていること等から、
2017 年 3 月期の市場規模(預り証拠金残高)は前年同期比 5.2%増の 1 兆 3,230 億円、口座数については、
前年同期比 7.1%増の 616.5 万口座を予測する。
また、年間取引高は昨年実績、及び 2016 年 4~6 月期の有力企業における取引高などから、前年同期比
4.5%減の 4,778 兆円※(※百万通貨は 1 億円として換算)を予測する。
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2016 年 11 月 1 日
プレスリリース
図 1. 預り証拠金残高(市場規模)推移
( 百万円)
1,400,000
1,317,698
1,323,000
1,257,460
1,160,949
1,200,000
1,032,181
1,000,000
911,637
750,993
800,000
683,604
600,000
400,000
200,000
0
2010年3月
2011年3月
2012年3月
2013年3月
2014年3月
2015年3月
2016年3月
2017年3月(予)
矢野経済研究所推計
注 1.(予)は予測値
図 2. 口座数推移
( 口座)
7,000,000
6,165,000
←これ
5,755,281
6,000,000
5,311,781
4,788,978
5,000,000
4,157,144
3,723,531
4,000,000
3,072,242
3,000,000
2,750,405
2,000,000
1,000,000
0
2010年3月
2011年3月
2012年3月
2013年3月
2014年3月
2015年3月
2016年3月
2017年3月(予)
矢野経済研究所推計
注 2.(予)は予測値
図 3. 年間取引高推移
( 百万通貨)
60,000,000
50,036,537
50,000,000
42,010,193
42,186,796
2014年3月
2015年3月
47,780,000
40,000,000
30,000,000
24,881,086
20,175,892
20,000,000
18,424,465
17,956,541
2011年3月
2012年3月
10,000,000
0
2010年3月
2013年3月
2016年3月
2017年3月(予)
矢野経済研究所推計
注 3.(予)は予測値
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