昭 和53年12月20日
綜
517
説
NBTテ
ス
ト
徳島大学医学部第三内科
螺
I.
NBTテ
NBTテ
oblue
良
英
郎
ス トの 目 的
ス トと は,強
tetrazolium色
香
西
勝
人
も 用 い られ て い る が,結
力 な 還 元 作 用 を も つnitr
素 試 薬 を もち い て 好 中 球 内
い る の が,Park法
論 的 に は,ヘ
パ リンを用
で は 良 い よ う で あ る8).定
法 の も う一 つ の 方 法 にGiffrd法9)が
性
あ る.こ
れ
の貧 食 殺 菌 に あず か る酵 素 活 性 を 指 標 と して好 中
は あ らか じめ 血 液 塗 抹 標 本 を 作 製 す る と,好
球 機 能 を 検 査 す る方 法 の 一 つ で あ る.先
が ガ ラ ス面 に 付 着 す る と い う物 理 的 刺 激 に よつ て
天 性 の好
中球 機 能 不 全 症 の診 断 と とも に宿 主 側 か らみ た感
NBTの
染 の有 無 を簡 易 に診 断 す る方 法 と して 注 目 され て
能 低 下 を み る に は,本
III.
い る も の で あ る.
II.
NBTテ
NBTテ
ス トの 実 際
ス トに は,定
い わ れ るspontaneousな
元 能 を み る組 織 化 学 法 と,エ
ン2),ラ
テ ッ ク ス 粒 子3),ま
ン ド トキ シ
た は菌 体成 分 な ど で
あ ら か じ め 好 中 球 を 刺 激 し た 上 で み る 方 法 とが あ
る.定
量法 とは好 中球 を分 離 し てそ の酵 素 活 性 を
定 量 す る方 法 で あ り,Baehner
開 発 し た 方 法 で あ る.後
&
疫 不 全 症 の 中 で も慢 性 肉 芽 腫(CGD)に
天 性免
お け る好
中 球 殺 菌 能 の 欠 損 を み る た め の 方 法 で あ る.
感 染 症 の 診 断 の た め に は,Park法
が あ る.こ
後,好
が1968年
以
の特 異 性 に つ い て は 問題
の方 法 は 血 液 塗抹 標 本 を作 製 す るに あ
た つ て 採 血 後NBT試
薬 を 混 和 し,Giemsa染
中 球 内 でNBTが
色
還 元 さ れ て,formazanが
陽 性 の 顆 粒 と し て認 め ら れ た い わ ゆ るNBT陽
性 細 胞 数 の%が
増加す る
こ とを も つ て 感 染 の 診 断 の 助 け と し て い る.こ
の
方 法 の 詳 細 に つ い て は 既 報 を 参 照 さ れ た い1)5)6).
こ の 際,問 題 と な る こ とは 抗 凝 固 剤 の 影 響 で,ヘ
パ リ ン 以 外 にEDTA,
ACD
の 他 非 感 染 性 有 熱 疾 患 に つ い てspontan-
eous,お
よ びstimulated
と め た の が 表1の
spontaneous
(acid citrate dextrose)
NBTテ
ス トの 成 績 を ま
如 く で あ る.
NBT法
で治 療 前 の細 菌 感 染例 で は
明 らか に 上 昇 を み て い る.
NBTテ
ス トの 感 染 症 に お け る 診 断 的 意 義
感 染 症 の うち で も細 菌 感 染 症 の診 断 に は有 用 な
こ と が,Gordon10),
Millerら11)に
よつ て 述 べ ら
れ て い る.即
らはEDTAを
用 い て調 べ て
い る が,細
%,ウ
ち,彼
菌 感 染 症 例 で は,NBT陽
性 例 は70-80
イ ル ス 感 染 症 で は そ の 陽 性 例 は20%以
と ど ま つ て い た.ま
ら12)はGifford法
て い る.即
と,細
感 染 に よつ て好 中球 が刺 激 を受 け た場 合 に正 常
下 のNBT陽
性 テ ス トの 成 績 に
我 々 が 健 常 者 を 対 照 に 明 らか な 細 菌 感 染 症,肺
た 図1に
示 す ご と く,Budney
NBT陽
性 細 胞 の上 昇 をみ
ち 感 染 症 の 中 で も急 性 で ウ イ ル ス 性
菌 性 の 鑑 別 に は 有 用 で あ る.
し か し常 に 指 摘 さ れ て い る の が,本
お け るfalse-negative,
る.換
下 に
を 用 い て 小 児 の 熱 性 疾 患 例 で,
急 性 細 菌 感 染 症 例 で%
性
細 胞 の 百 分 率 を 算 出 す る 方 法 で あ る.
で は 約10%以
法 の 方 が 有 用 と考 え る.
に よ るNBT定
結 核,そ
IV.
Nathanら4)が
者 の 定 量 法 は,先
来 提 唱 さ れ て い る が,そ
Park:法
中球 の機
つ いて
性 法 と定 量 法 が あ る .定
性 法 に は,Park法1)と
NBT還
還 元 能 が 高 ま る 方 法 で あ り,好
中球
false-positiveの
テ ス トに
問題 で あ
言 す れ ば 本 テ ス トの 特 異 性 に あ る.要
る と好 中 球 機 能 を 抑 制 す る よ う な 薬 剤(ス
ド,抗 癌 剤 等)使
false-negativeに
約す
テ ロイ
用 時 で は細 菌感 染 が あ つ て も
陥 る こ と が あ り,感
染症以外 で
感 染 症学 雑 誌
518
表1
NBT
test
of
infectious
第52巻
第12号
disease
徳 島大 学 第3内 科1978
図1
細 菌 お よ び ウ イ ル ス 感 染 症 に お け るNBT
テ ス ト(Budneyら)
V.
NBTテ
NBTが
ス トの 機 序
陽 性 に な る に は,感
染 の影 響 が全 身 に
お よ ん で い る こ と が 必 要 で あ り,好
中球 内 の殺 菌
系 が 活 性 化 さ れ て い な け れ ば な ら な い.McCall
ら8)は,NBT還
元 能 の 亢 進 は ヘ パ リ ン とNBT色
素 が 複 合 体 を 作 り,こ
れ が 好 中 球 膜 に 働 き,好
中
球 膜 そ の も の の 変 化 に よ り貧 食 能 が 亢 進 し た た め
と報 告 し て い る.Straussら13)は,ヘ
り に イ ス リ ンを 使 い,こ
れ がalternate
を 通 じ て 補 体 を 活 性 化 し,好
させ,好
パ リンの 代
pathway
中球刺激因子を放出
中 球 膜 上 の 好 中 球,補
体反 応 部位 に働 い
て好 中球 内殺 菌 系 が 活 性 化 され るた め で 必 ず し も
貧 食 作 用 と は 平 行 し な い と い つ て い る.
好 中 球 内 の 殺 菌 系 に は 酸 素 依 存 系 と非 依 存 系 が
あ り,酸
素 依 存 系 に はmyeloperoxidase
を 介 す る も の と,hydrogen
peroxide
superoxide
anion (O-・2), hydroxyl
やsinglet
oxygenの
り,MPOに
(MPO)
(H2O2),
radical (OH:)
よ うに そ れ 自体 殺 菌 性 が あ
依 存 し な い 系 と が 存 在 す る.
も,悪 性 リンパ腫,真 性 多 血 症 ではfalse-positive
最 も 強 力 か つ 重 要 な 殺 菌 系 は(図2)14)に
に な り,好 中球 機 能 の充 進 をみ る正 常 新 生 児 で も
よ う に 数 種 の 還 元 型 酵 素 に よ る も の で あ る.
陽 性 率 が 高 い.ま たす べ て の感 染 症 に一 様 に本 陽
貧 食 等 の 刺 激 に よ りhexose回
性 率 が上 昇 し な い点 に も難 点 が あ り,要 約 す れ
NADPよ
ば,急 性 の全 身性 細 菌 感 染 症 で好 中球 が 明 らか に
transhydrogenaseに
感 染 の 影 響 を うけ てい る場 合 に か ぎつ て,spontaneous NBT陽
性率 の上 昇 を み る と判 断 し た 方 が
NADH
良 く,こ
さ れ たO-・2に
る.
の陽 性 限 界 に は慎 重 な判 断 が 必 要 で あ
りNADPHが
oxidaseに
た は
ら生 成 さ れ た
よ り酸 素 は 食 胞 膜 内 に お い て
superoxid eanion〔O-,2)に
か しNBT色
路が活性化 さ れ
生 成 さ れ る か,ま
よ りNADPHか
示す
還 元 さ れ る.こ
の還 元
よ りNBT色
素 が 還 元 さ れ る.し
素 がO-・2に
よ り還 元 さ れ る の は 全
519
昭 和53年12月20日
図2
Possible
mechanisms
for
the
production,
action
and
detoxification
of
peroxides
in
polymorphonuclear leukocytes. (Stossel, 1974)
体 の60-80%と
い わ れ,残
りの20-40%は
不 明で
と してNBTテ
ス トは 注 目 され た が,本 法 に は診
あ る.Johnstonら15)は,O-・2のscavengerで
あ
断 限 界 が お のず か ら存 在 し てい る.し か し感 染 を
るsuperoxide
元
含 め て好 中球 機 能 を み る指 標 と してはNBTテ
能 が61%抑
dismutase
制 さ れ,ま
(SOD)に
て,NBT還
たCGDの
を 添 加 し た あ と のSODで
は69%のNBT還
元 能
の 抑 制 が あ つ た と も い わ れ て い る.
0}は
.さ らにhydrogen
元 さ れ,互
い に 反 応 しhydroxyl
を 生 成 し た り,脱
halide
peroxide
(H2O2)に
radical
還
こ と に よ り殺 菌 性 の ア ル デ ヒ ドを 生 成 し,殺
はSODに
菌的
よ り速 や か にH2O2
れ が細 胞 内 に漏 出 し カ タ ラ ーゼ に
よ り酸 化 さ れ 無 害 化 さ れ た り,グ
元 し,還
し,自
ル タチ オ ンを還
元 型 グ ル タ チ オ ンに す る.
こ の 際NADPを
介 し てhexose回
義 を 今後 明 らか に して い く必 要 が あ ろ う.
(OH・)
顆 粒 に よ り顆 粒 中 のMPOと
に 働 く と考 え ら れ る.
ま た 過 剰 の0豆
診 断 限 界 を わ き まえ,そ の作 用 機 作 を 考 慮 に入
れ て 原 因不 明 熱 に お け る感 染 症 の診 断 の補 助 的 意
ionsの 存 在 の も と に 細 菌 の 膜 を 酸 化 す る
に 還 元 さ れ,こ
路 を 活性化
らの 解 毒 機 構 を 持 ち な が ら殺 菌 酵 素 活 性 を
調 節 し て い る.
文
献
1) Park, B.H. et al.: Infection and nitroblue
tetrazolium reduction by neutrophils. Lancet,
532, 1968.
2) Park, B.H. et al.: NBT test stimulated. Lancet, ii: 616, 1970.
3) Anderson, J. et al.: The nitroblue tetrazolium
(NBT) dye test in determing fever sourse in
lymphoma Cancer, 34: 705, 1974.
4) Baehner, R. L. and Nathan, D.G.: Leukocyte
oxidase, defective activity in chronic granulomatous disease. Science, 155: 835, 1967.
5)
螺 良 英 郎 ら:
6)
本 医 事 新 報, 2596:
螺 良 英 郎 ら: NBTテ
7)
3: 262, 1973.
螺 良 英 郎 ら: NBTテ
好 中 球 の 殺 菌 系 は こ の よ うに 複 雑 な 過 程 の な か
で 活 性 化 さ れ,ま
た 調 節 さ れ て い る が,NBTテ
ス トは 細 菌 感 染 に の み 特 異 的 な も の で は な く,感
染 に よ り好 中 球 機 能 が 充 分 に 活 性 化 さ れ た 結 果 を
み て い る こ と に な る.
VI.
ス
トの持 つ 意 義 は 大 きい.
好 中 球 にNADH
終 りに
感 染 症 の 診 断 を 宿 主 の 立 場 か らみ る 方 法 の 一 つ
92.
感 染 症 の た め のNBTテ
ス ト.
日
7, S 49.
ス ト.感 染 ・炎 症 ・免 疫,
ス ト. 臨 床 と細 菌,
1:
S 49.
8) McCall, C. E. et al.: Ehnanced phagocytic
capacity. The biological basis for the elevated histochemical nitroblue tetrazolium reaction. J. Clin. Invest. 34: 1227, 1974.
9) Gifford, R. H. et al.: A simple rapid micromethod for detecting chronic granulomatous
520
disease of childfood. J. Lab. Clin Med.,
75: 511, 1970.
10) Gordon, A. M. et al.: Routine application of
the nitroblue tetrazolium test in the clinical
laboratory. J. Clin. Pathol., 26: 52, 1973.
11) Miller, R. M. et al.: A modified leukocyte
nitroblue tetrazolium test in acute bacterial
infection. Am. J. Clin. Pathol., 66: 905, 1976.
12) Budney, J. L. et al. : Nitroblue tetrazolium dye
reduction. Diagnostic value in children with
febrile illness. N. Y. state J. Med., 76: 877,
1976.
感 染症学雑誌
第52巻
第12号
13) Strauss, R. G. et al.: Stimulation of neutrophil
oxidative metabolism by the alternative pathway of complement activation. A mechanism
for the spontaneous NBT test. Blood, 45: 843,
1975.
14) Stossel, T. P. et al.: Phagocytosis. New Engl.
J. Med., 290: 774, 1974.
15) Johnston, R. B. et al.: The role of superoxide anion generation in phagocytic bacteriocidal activity. (studies with normal and chronic
granulomatous disease leukocytes) J. Clin. Invest., 55: 1357, 1975.

配線ダクトフレーム 及び モニターアーム の 定尺寸法・最大切断

（1974 年 法学部法学科卒）が最高裁判所判事に就任され

平成22年度後期

4月定例ミーティング - WAKWAK

全文を読む - LPSコンサルティング事務所

日本語/Japanese - 日本プラントメンテナンス協会;pdf

Document 7312157

高インピーダンス計測方法 (pdf)

電解質 - 東京女子医科大学