2016 年 10 月 31 日 プレスリリース 法人向け生命保険市場に関する調査を実施(2016 年) 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内の法人向け生命保険市場の調査を実施した。 1.調査期間:2016 年 8 月 2.調査対象:生命保険会社、法人向け生命保険を販売する代理店 3.調査方法:当社専門研究員による直接面談(ヒアリング)調査 <法人向け生命保険とは> 法人向け生命保険とは、安定した企業経営を支えるため、保障性はもちろん事業資金の平準化なども図れる生命 保険で、一般的には中小企業が加入している生命保険である。本調査では生命保険会社、法人向け生命保険を販 売する代理店を対象とし、市場規模を新規契約の年換算保険料で算出している。なお、年換算保険料は、毎月支払 う月払の他に、年払など、保険料の支払い方の違いを調整し、契約期間中に平均して保険料を支払うと仮定した場 合に、生命保険会社が保険契約から 1 年間にどのくらいの保険料収入を得ているかを示すものである。 【調査結果サマリー】 法人向け生命保険の市場規模(新規契約の年換算保険料)は 2015 年 3 月期で 6,082 億 2,900 万円 法人向け生命保険の市場規模(新規契約の年換算保険料ベース)は、2015 年 3 月期で 6,082 億 2,900 万 円と推計した。 2008 年のいわゆるリーマン・ショック以降、その影響による景気後退を背景に法人市場は減少したが、 2011 年 3 月期以降は若干の増加傾向で、2014 年 3 月期まで 5,000 億円台で推移した。2015 年 3 月期は 6,000 億円を超え、国内の生命保険・年金保険市場全体に占める法人向け生命保険の市場構成比は概ね 20%程度であった。 税制や保険業法改正の影響を受けながらも、市場規模は 5,000~6,000 億円台で安定的な成長を続けて いる。 2015 年 3 月期の法人向け生命保険市場のうち、代理店販売の構成比は 67.5%で、 同市場規模(新規契約の年換算保険料)は 4,105 億 5,500 万円と推計 2015 年 3 月期の法人向け生命保険市場規模(新規契約の年換算保険料ベース)のうち、販売形態別構成比 は、生命保険会社の営業職員などによる販売が 32.5%の 1,976 億 7,400 万円、プロ代理店、税理士、リース 会社、銀行、証券会社などの代理店による販売が 67.5%の 4,105 億 5,500 万円であった。 なかでも、プロ代理店、税理士の扱いは多いが、近年、本業以外からの収益源の多様化を進めているリー ス会社、銀行や証券会社などの金融機関の扱いも増えてきている。 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 10 月 31 日 プレスリリース 【 調査結果の概要 】 1. 法人向け生命保険の市場概況と市場規模(新規契約の年換算保険料) 生命保険会社では、主に個人向けの生命保険を扱っているが、一方で法人向けの生命保険も扱っている。 本調査では、この法人向け生命保険に関する調査を実施した。 法人向け生命保険は、経営者に万が一のことがあった場合の保障を担保する側面と、保険料の一部また は全部を経費として処理できる一方で、一部の商品に関しては解約時に一定額の払戻し金があることから、 課税の繰延べ効果を享受しながら、財務基盤の強化に資する側面を持つ。特に、後者の側面については、 将来において支出が予定されている役員や従業員の退職金対策や、次期後継者への自社株の買い取り資 金準備などの事業承継、相続対策など、事業資金の平準化を図れる利点があり、一般的に、経営が不安定 となる傾向の中小企業が加入している保険である。 そのため、景気動向によって、加入している保険の見直しや新たな加入意向の促進・減退によって保険料 金額も変動する。 法人向け生命保険市場は、その商品特性から、取り扱う生命保険会社数が限定されている。本調査時点 の参入保険会社数は、国内・外資の生命保険会社約 50 社のうち約半数にあたる 20 数社が参入していると みられる。 法人向け生命保険の市場規模(新規契約の年換算保険料ベース)は、税務取扱の変更や、2008 年秋の いわゆるリーマン・ショックの影響とその後の景気後退を受け、2009 年 3 月期と 2010 年 3 月期は減少傾向に あった。その後はある程度の増減はあったものの、国内の生命保険の市場が大きく変動する中、当該市場規 模は 5,000 億円台で安定的に推移している。国内の生命保険・年金保険市場全体に占める法人向け生命保 険の市場構成比は 2011 年以降、概ね 20%程度で推移している。 近年では、生命保険会社は強固な営業組織体制の構築や、中小企業側による将来を見据えた保障性ニ ーズの高まりから、多様化するニーズに見合う新商品の開発にも注力している。こうしたなか、新規契約実績 は堅調に推移しており、2015 年 3 月期は 6,082 億 2,900 万円と推計した。 図 1.法人向け生命保険(新規契約年換算保険料)推移 (百万円) 矢野経済研究所推計 注1. 新規契約年換算保険料ベース 注2. 年換算保険料は、毎月支払う月払の他に、年払など、保険料の支払い方の違いを調整し、契約期間中に平 均して保険料を支払うと仮定した場合に、生命保険会社が保険契約から 1 年間にどのくらいの保険料収入 を得ているかを示すものである。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 10 月 31 日 プレスリリース 2. 法人向け生命保険の販売形態別構成比 2015 年 3 月期の法人向け生命保険市場規模(新規契約の年換算保険料ベース)6,082 億 2,900 万円のう ち、販売形態別構成比は、生命保険会社の営業職員などによる販売が 32.5%の 1,976 億 7,400 万円、プロ 代理店、税理士、リース会社、銀行、証券会社などの代理店による販売が 67.5%の 4,105 億 5,500 万円と推 計した。 大手生命保険会社は営業職員による販売、一方、損害保険(損保)子会社や外資系生命保険会社では 代理店での販売形態を主とする傾向が強い。代理店には、プロ代理店、税理士、リース会社、銀行、証券会 社などがある。 なかでもプロ代理店や税理士の扱いは多いが、近年、本業以外からの収益源の多様化を進めているリー ス会社、銀行や証券会社などの金融機関の扱いも増えてきている。 図 2. 2015 年 3 月期の法人向け生命保険の販売形態別構成比 2015 年 3 月期 法人向け生命保険市場規模(合計): 608,229 百万円 矢野経済研究所推計 注3. 新規契約年換算保険料ベース Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd.
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