コンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況および相談状況[2016年

コンピュータウイルス・
不正アクセスの届出状況
および相談状況
[2016 年第 3 四半期(7 月~9 月)]
本レポートでは、2016 年 7 月 1 日から 2016 年 9 月 30 日までの間にセキュリティ
センターで受理した、コンピュータウイルスと不正アクセスに関する「届出」と「相
談」の統計について紹介しています。
独立行政法人情報処理推進機構 技術本部 セキュリティセンター
2016 年 10 月 27 日
目次
1. コンピュータウイルス届出状況 .............................................................................................. - 1 1-1. ウイルス届出件数 ............................................................................................................. - 1 1-2. 不正プログラム検出数 ...................................................................................................... - 2 1-3. ウイルス検出数................................................................................................................. - 3 1-4. 2016 年第3四半期の検出ウイルスの種類....................................................................... - 4 1-5. ウイルス届出者................................................................................................................. - 5 1-6. ウイルスおよび不正プログラムの検出経路 ..................................................................... - 6 2. コンピュータ不正アクセス届出状況 ....................................................................................... - 7 2-1. 不正アクセス届出件数 ...................................................................................................... - 7 2-2. 不正アクセス届出種別 ...................................................................................................... - 7 2-3. 不正アクセス被害原因 ...................................................................................................... - 8 2-4. 不正アクセス届出者 ......................................................................................................... - 8 3. 情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況 .......................................................................... - 10 3-1. 相談件数.......................................................................................................................... - 10 3-2. 主な手口における相談員の対応件数 .............................................................................. - 10 -
1. コンピュータウイルス届出状況
1-1. ウイルス届出件数
今四半期(2016 年 7 月~9 月)のウイルス届出件数は 544 件で、ウイルス感染被害があった届出は 0 件でし
た。
ウイルス届出件数の推移
5
800
4
600
400
3 被
害
あ
2 り
200
1
(
届
出
件
数
1,000
)
0
届出件数
(内:被害あり)
2015/
7~9
2015/
10~12
2016/
1~3
2016/
4~6
2016/
7~9
685
564
629
498
544
0
2
0
0
0
図 1-1:ウイルス届出件数の推移
-1-
0
1-2. 不正プログラム検出数
今四半期の不正プログラム検出数(*1)は、365,881 個でした。今四半期に最も多く検出された不正プログラム
は Downloader でした。検出数は前四半期の 96,036 個に比べ、284,726 と約 3.0 倍に増加しており、全体の
約 77.8%を占めています。Dropper は約 3.2 倍増の 13,825 個となっています。
不正プログラム検出数の推移
400,000
350,000
300,000
250,000
200,000
150,000
100,000
50,000
0
2015/
7~9
2015/
10~12
2016/
1~3
2016/
4~6
2016/
7~9
その他
30,181
47,349
74,659
54,596
58,802
Bancos
PWSteal
Vawtrak
Redirect
Adware
Backdoor
Packed
Ransom
Dropper
Downloader
488
324
3
1,255
2,801
1,854
269
101
486
20,650
6,903
514
234
1,434
2,302
1,554
298
401
1,098
57,932
819
337
218
553
2,216
3,985
53
5,293
682
44,717
483
411
207
745
1,208
8,598
5
794
4,377
96,036
244
249
254
377
724
748
1,132
4,800
13,825
284,726
合計
58,412
120,019
133,532
167,460
365,881
図 1-2:不正プログラム検出数の推移
(*1)
不正プログラム検出数:届出られた「ウイルス」および「不正プログラム」のうち、「不正プログラム」の総数を示したも
の。
-2-
1-3. ウイルス検出数
今四半期のウイルス検出数(*2)は 1,445 個でした。今四半期に最も多く検出されたウイルスは W32/Netsky
で、前四半期の 218 個に比べ約 1.7 倍に増加し、361 個となっています。
ウイルス検出数の推移
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
その他
2015/
7~9
2015/
10~12
2016/
1~3
2016/
4~6
2016/
7~9
605
1193
356
254
153
W32/Antinny
W32/Nimda
W32/Remadm
W32/Fujack
W32/Sality
W32/Downad
W32/Autorun
W32/Mydoom
W32/Bagle
W32/Netsky
12
8
0
16
6
81
77
2,069
305
591
14
2
0
0
49
76
82
483
143
38
1
0
0
0
155
100
120
696
63
195
3
7
36
53
50
43
186
258
161
218
35
38
47
53
59
75
191
209
224
361
合計
3,770
2,080
1,686
1,269
1,445
図 1-3:ウイルス検出数の推移
(*2)
ウイルス検出数:届出られた「ウイルス」および「不正プログラム」のうち、「ウイルス」の総数を示したもの。
-3-
1-4. 2016 年第3四半期の検出ウイルスの種類
今四半期に届出されたウイルスの種類は 31 種類、検出数は Windows/DOS ウイルス 1,436 個、スクリプト
ウイルス及びマクロウイルス 6 個、
携帯端末ウイルス 3 個、Macintosh および OSS
( Open Source Software)
/Linux・ BSD を 含 む ウ イ ル ス は あ り ま せ ん でした。
表 1-1:2016 年第 3 四半期の検出ウイルス
i) Windows/DOS ウ イ ル ス
W32/Netsky
W32/Bagle
W32/Mydoom
W32/Autorun
W32/Downad
W32/Sality
W32/Fujacks
W32/Remadm
W32/Nimda
W32/Antinny
W32/Zhelatin
W32/Mytob
W32/Ramnit
W32/Klez
W32/IRCbot
W32/Parite
W32/Yaha
W32/Lovgate
W32/Morto
W32/Sobig
W32/Swen
W32/Expiro
W32/Feebs
W32/Pesin
W32/Almanahe
W32/Nuwar
W32/Palevo
W32/Chir
W32/Fbound
W32/Frethem
W32/Virut
小 計 (31 種 類 )
検出数
361
224
209
191
75
59
53
47
38
35
33
30
20
11
5
5
5
4
4
4
4
3
3
3
2
2
2
1
1
1
1
1,436
スクリプトウイルス
VBS/LOVELETTER
Wscript/Fortnight
小 計 (2 種 類 )
検出数
1
1
2
マクロウイルス
W97M/Thus
XM/Mailcab
小 計 (3 種 類 )
検出数
2
2
4
ii) 携 帯 端 末 ウ イ ル ス
AndroidOS/Lotoor
小 計 (2 種 類 )
検出数
3
3
iii) Macintosh
なし
検出数
iv) OSS( Open Source Software )
Linux・BSD を含む
( OpenSourceSoftware)
:
なし
検出数
-4-
(参考)
・Windows/DOS ウイルス … Windows、MS-DOS 環境下で動作するウイルス。
・マクロウイルス … Microsoft Word や Microsoft Excel などのマクロ機能を悪用するウイルス。
・スクリプトウイルス … 機械語への変換作業を省略して実行できるようにした簡易プログラムで記述された
ウイルス。
・携帯端末ウイルス … 携帯電話やタブレットなどの環境下で動作するウイルス。
注)ウイルス名欄での各記号の用語説明は以下の通り。
記号
用語説明
W32
XM
WM
W97M
X97M
O97M
VBS
Wscript
AndroidOS
SymbOS
XF
Windows 32 ビット環境下で動作
Microsoft Excel95、97(Excel Macro の略)
Microsoft Word95、97(Word Macro の略)
Microsoft Word97(Word 97 Macro の略)
Microsoft Excel97(Excel 97 Macro の略)
Microsoft Office97(Office 97 Macro の略)
Visual Basic Script で記述
Windows Scripting Host 環境下で動作(VBS を除く)
Android OS 環境下で動作
Symbian OS 環境下で動作
Microsoft Excel95、97 で動作するウイルス(Excel Formula の略)
1-5. ウイルス届出者
今四半期の届出者は、過去の傾向と同じく一般法人が多く、一般法人からのウイルス届出件数は全体の約
81.6%を占めました。
ウイルス届出件数の推移(届出者別)
800
700
600
500
400
300
200
100
0
2015/
7~9
2015/
10~12
2016/
1~3
2016/
4~6
2016/
7~9
122
98
219
81
99
0
2
0
0
1
一般法人
563
464
410
417
444
合計
685
564
629
498
544
教育・研究・公的機関
個人
図 1-4:ウイルス届出件数の推移(届出者別)
-5-
1-6. ウイルスおよび不正プログラムの検出経路
今四半期のウイルスおよび不正プログラムの検出経路については、
「メール」
の割合が最も多く全体の約 96.4%
を占め、次いで「ダウンロード」が、全体の約 2.4%でした。
ウイルスおよび不正プログラム検出数の推移(検出経路別)
400,000
350,000
300,000
250,000
200,000
150,000
100,000
50,000
0
2015/
7~9
2015/
10~12
2016/
1~3
2016/
4~6
2016/
7~9
不明・その他
10,646
10,658
13,839
3,072
3,634
ネットワーク
112
105
79
31
614
外部記憶媒体
0
1
1
1
0
ダウンロードファイル
47,763
109,241
105,006
34,027
8,870
3,661
2,094
16,293
131,599
354,208
62,182
122,099
135,218
168,730
367,326
メール
合計
図 1-5:ウイルスおよび不正プログラム検出数の推移(検出経路別)
・コンピュータウイルスに関する届出制度について
コンピュータウイルスに関する届出制度は、経済産業省のコンピュータウイルス対策基準に基づき、平成 2 年
4 月にスタートした制度であり、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な
情報を IPA に届け出ることとされています。
IPA では、個別に届出者への対応を行っていますが、同時に受理した届出等を基に、コンピュータウイルス対
策を検討しています。また受理した届出は、届出者のプライバシーを侵害することがないように配慮した上で、
被害等の状況を分析し、検討結果を定期的に公表しています。
○コンピュータウイルス対策基準
平成 7 年 7 月 7 日(通商産業省告示 第 429 号)
(制定)
平成 9 年 9 月 24 日(通商産業省告示 第 535 号)
(改定)
平成 12 年 12 月 28 日(通商産業省告示 第 952 号)
(最終改定)
○経済産業大臣が別に指定する者
平成 16 年 1 月 5 日(経済産業省告示 第 2 号)
-6-
2. コンピュータ不正アクセス届出状況
2-1. 不正アクセス届出件数
今四半期の届出件数は 19 件で、そのうち被害があったのは 16 件でした。
不正アクセス届出件数の推移
30
25
20
15
10
5
0
2015/
7~9
2015/
10~12
2016/
1~3
2016/
4~6
2016/
7~9
届出件数
18
28
23
22
19
(内:被害あり)
15
24
17
14
16
図 2-1:不正アクセス届出件数の推移
2-2. 不正アクセス届出種別
届出の種別としては「なりすまし」が 10 件、
「アクセス形跡(未遂)」が 3 件、
「侵入」が 2 件、
「その他(被
害あり)
」が 2 件等でした。
「不正プログラム埋込」の届出は 0 件でした。
不正アクセス届出種別の推移
30
25
20
15
10
5
0
被
害
な
し
被
害
あ
り
2015/
7~9
2015/
10~12
2016/
1~3
2016/
4~6
2016/
7~9
その他(被害なし)
2
2
3
0
0
アクセス形跡(未遂)
1
2
3
8
3
その他(被害あり)
3
5
4
2
2
不正プログラム埋込
0
0
2
2
0
なりすまし
5
13
6
10
10
DoS
3
5
5
0
1
メール不正中継
0
0
0
0
1
侵入
4
1
0
0
2
合計
18
28
23
22
19
図 2-2:不正アクセス届出種別の推移
-7-
2-3. 不正アクセス被害原因
被害があった届出のうち、原因が判明しているものは「ID・パスワード管理不備」が 9 件、
「設定不備」が 2
件等でした。
不正アクセス被害原因の推移
30
25
20
15
10
5
0
2015/
7~9
2015/
10~12
2016/
1~3
2016/
4~6
2016/
7~9
その他(DoSなど)
5
7
6
0
1
不明
4
4
4
2
4
設定不備
2
1
3
2
2
古いバージョン使用・パッチ未導入
1
3
0
1
0
ID・パスワード管理不備
合計
3
9
4
9
9
15
24
17
14
16
図 2-3:不正アクセス被害原因の推移
2-4. 不正アクセス届出者
届出者別の届出件数は、
「一般法人ユーザ」が 5 件、
「個人ユーザ」が 9 件、
「教育・研究・公的機関」が 5 件
でした。
不正アクセス届出件数の推移(届出者別)
30
25
20
15
10
5
0
教育・研究・公的機関
個人ユーザ
2015/
7~9
2015/
10~12
2016/
1~3
2016/
4~6
2016/
7~9
1
8
4
2
5
4
15
7
12
9
一般法人ユーザ
13
5
12
8
5
合計
18
28
23
22
19
図 2-4:不正アクセス届出件数の推移(届出者別)
-8-
・コンピュータ不正アクセス被害の届出制度について
コンピュータ不正アクセス被害の届出制度は、経済産業省のコンピュータ不正アクセス対策基準に
基づき、’96 年 8 月にスタートした制度であり、同基準において、コンピュータ不正アクセスの被害
を受けた者は、被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報を IPA に届け出ることとされています。
IPA では、個別に届出者への対応を行っていますが、同時に受理した届出等を基に、コンピュータ不
正アクセス対策を検討しています。また受理した届出は、届出者のプライバシーを侵害することがな
いように配慮した上で、被害等の状況を分析し、検討結果を定期的に公表しています。
○コンピュータ不正アクセス対策基準
平成 8 年 8 月 8 日(通商産業省告示 第 362 号)
(制定)
平成 9 年 9 月 24 日(通商産業省告示 第 534 号)
(改定)
平成 12 年 12 月 28 日(通商産業省告示 第 950 号)
(最終改定)
○経済産業大臣が別に指定する者
平成 16 年 1 月 5 日(経済産業省告示 第 3 号)
-9-
3. 情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況
3-1. 相談件数
今四半期に「情報セキュリティ安心相談窓口」に寄せられた相談件数は前四半期から約 11.6%増の 4,367 件
でした。そのうち、相談員による対応件数は 2,392 件でした。
相談件数の推移
5,000
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
FAX・その他
電子メール
2015/
7~9
2015/
10~12
2016/
1~3
2016/
4~6
2016/
7~9
7
12
8
19
12
203
241
199
209
219
電話
1,525
1,639
1,848
1,979
2,161
自動応答システム
1,933
2,078
1,742
1,707
1,975
合計
3,668
3,970
3,797
3,914
4,367
図 3-1:相談件数の推移
3-2. 主な手口における相談員の対応件数
(i) 「ウイルス検出の偽警告」
ウイルスを検出した、エラーが発生したという偽の警告表示で不安を煽り、電話をかけさせてサポート契約
やソフトウェア購入に誘導する「ウイルス検出の偽警告」に関する相談が、今四半期は前四半期の 1.6 倍とな
る 592 件寄せられました。
「ウイルス検出の偽警告」相談件数の推移
700
600
500
400
300
200
100
0
相談件数
2015/
7~9
2015/
10~12
2016/
1~3
2016/
4~6
2016/
7~9
38
57
234
370
592
図 3-2:「ウイルス検出の偽警告」相談件数の推移
- 10 -
(ii) 「ワンクリック請求」
今四半期は、パソコンとスマートフォンを合わせた「ワンクリック請求」に関する相談が前四半期から約
13.0%減の 558 件寄せられました。同相談のうち、スマートフォンを対象にした相談は前四半期から約 32.6%
減の 159 件でした。2015 年 7 月以降、減少し続けています。
「ワンクリック請求」相談件数の推移
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
2015/
7~9
2015/
10~12
2016/
1~3
2016/
4~6
2016/
7~9
相談件数
825
679
606
641
558
(内:スマートフォン対象)
403
311
256
236
159
図 3-3:
「ワンクリック請求」相談件数の推移
- 11 -