財政制度等審議会 財政投融資分科会 編 成 上 の 論 点

資料3-2
財政制度等審議会 財政投融資分科会
編 成 上 の 論 点
地方公共団体
平 成 28 年 10 月 26 日
財 務 省 理 財 局
(機関名:地方公共団体)
[平成 29 年度要求の概要]
[編成上の論点]
(単位:億円)
28 年 度
計画額
(A)
28 年 度
改定額
29 年 度
要求額
(B)
増減(△)
額
(=B-A)
112,082
16,535
121,366
9,284
財政投融資①
28,076
7,397
30,300
2,224
財政融資
28,076
7,397
30,300
2,224
産業投資
-
-
-
-
政府保証
-
-
-
-
84,006
9,138
91,066
7,060
地方公共団体
金融機構
18,039
1,460
19,400
1,361
市場公募
36,900
-
39,900
3,000
銀行等引受
29,067
7,678
31,766
2,699
再計(①+②)
112,082
16,535
121,366
9,284
区
分
事業規模
自己資金等②
論点1
平成 29 年度要求においては、交付税の財源減少等により、臨時財政
対策債の発行額が増加し、財政融資資金の要求額についても7年ぶりに
増加している。臨時財政対策債については、地方の財源不足額を補填す
るものであることに鑑み、財政融資資金は抑制的な関与としている。地
方財政を巡る状況も踏まえ、臨時財政対策債に対する望ましい資金配分
の在り方について、どのように考えるべきか。
論点2
金融政策等による市場環境の変化の中で、プラスの利回りを確保でき
る地方債の需要は堅調である。地方公共団体の財源調達先として、民間
資金の一層の活用を進めるべきではないか。
(注)上記計数は通常収支分のみ。
― 1 ―
編 成 上 の 論 点
(機関名:地方公共団体)
要求の内容
論
点
平成 29 年度地方債計画(案)の総額は、一定の機械 論点1
的試算に基づき、対前年度比 8.3%増、9,284 億円増の
平成 29 年度要求においては、交付税の財源減少等により、臨時財政対策債の発
12 兆 1,366 億円を計上。財政融資資金については、平
行額が増加し、財政融資資金の要求額についても7年ぶりに増加している。臨時
成 28 年度当初計画における財政融資資金の構成比
財政対策債については、地方の財源不足額を補填するものであることに鑑み、財
(25.0%)に基づき、対前年度比 7.9%増、2,224 億円
政融資資金は抑制的な関与としている。地方財政を巡る状況も踏まえ、臨時財政
増の3兆 300 億円の要求。
対策債に対する望ましい資金配分の在り方について、どのように考えるべきか。
(注1)
「東日本大震災分」に係る地方債計画については、
東日本大震災に関連する事業を円滑に推進できるよう、
所要額について、その全額を公的資金で確保することと
し、別途策定するものとされている。
臨時財政対策債については、「平成 29 年度地方財政
収支の仮試算【概算要求時】」に基づき、対前年度比
24.5%増、9,284 億円増の4兆 7,164 億円を計上。財
政融資資金については、平成 28 年度当初計画における
財政融資資金の構成比(24.6%(注2))に基づき、対
前年度比 24.7%増、2,301 億円増の1兆 1,600 億円を
要求。
(注2)百億円単位で四捨五入しているため、0.1%程度の
差異が生じている。
【論点に対する考え方】
○ 平成 29 年度要求においては、国税収入の下振れによる交付税財源の減少等を
受け、地方債計画(案)における臨時財政対策債の発行額が増加し、財政融資
資金の要求額についても7年ぶりに増加している。臨時財政対策債の発行額が
増加すれば、相対的に財政力の高い都道府県・指定都市が、多くの臨時財政対
策債の発行を行わざるを得ない。
○
一方、臨時財政対策債については、従来から、財政投融資分科会において、
地方の財源不足額を補填するものであることを踏まえ、財政融資資金として抑
制的な関与とすべき、との指摘がなされている。
○
以上を踏まえ、臨時財政対策債に対する財政融資資金の配分の望ましい在り
方について、検討する必要。
なお、上記計数は、国の予算編成の内容、地方財政
をめぐる動向等に対応し、全体として所要の修正が行
われることとなる。
― 2 ―
(参考1)
「財政投融資を巡る課題と今後の在り方について」
(平成 26 年 6 月 17 日)
「臨時財政対策債は、各団体が責任を有している借金であることに変わりはなく、ま
た、赤字補填の性格を有することを踏まえると、財政融資資金としては引き続き抑制
的な関与にとどめ、資金調達能力の低い地方公共団体、特に指定都市を除く市町村に
対しては、柔軟に対応していく。
」
(参考2)財政融資資金による臨時財政対策債の引受け
・
財投分科会の指摘も踏まえ、累次にわたり財政融資資金による臨時財政対策債の
引受割合を引き下げ、平成 28 年度までに、財投改革前(平成 13 年度)の半分以下
の水準となっている。
しかし、平成 29 年度において、臨時財政対策債の発行額が増加する場合、財政融
資資金の引受割合を平成 28 年度並みに維持しても、財政融資資金による臨時財政
対策債の引受額は増加することとなる。
・ また、昨年度の当分科会における指摘を受け、総務省において、平成 28 年度以降、
資金調達能力の低い一般市町村の臨時財政対策債の引受けに、財政融資資金を優先
的に充てられるよう、配分における工夫を行っているところ。
なお、臨時財政対策債発行可能額は、
-財政力の高い団体ほど多くなり、
-同程度の財政力であれば、基本的に、一般市町村に比べ、都道府県・指定都市に
おける発行可能額の方が多くなる
よう設定されている。
(参考3)地方向け財政融資資金及び臨時財政対策債の引受割合の推移
別紙参照。
― 3 ―
論点2
金融政策等による市場環境の変化の中で、プラスの利回りを確保できる地方債
の需要は堅調である。地方公共団体の財源調達先として、民間資金の一層の活用
を進めるべきではないか。
【論点に対する考え方】
○ 総務省においては、地方債の資金について、段階的に公的資金の縮減・重点
化が図られており、これに伴って地方債の市場化の推進等を進めているところ。
○
日本銀行の金融政策等による市場環境の変化により、長期金利はマイナス水
準で推移。こうした中で、マイナス利回りの債券を投資対象とできない投資家
は少なくなく、
「マイナス利回りとなっている日本国債ではなく、地方債などで
運用せざるを得ない。」
(平成 28 年9月9日 国債投資家懇談会)との声も聞か
れる。その結果、プラスの利回りを現状確保できる地方債への機関投資家の需
要は、堅調。
○
地方公共団体の財源調達先(臨時財政対策債を含む地方債全体の引受先)と
して、民間資金の一層の活用を進めるべきではないか。
― 4 ―
(参考)東京都債及び大阪府債の流通利回りと対日本国債のスプレッドの推移
― 5 ―
(別紙)
地方向け財政融資資金及び臨時財政対策債の引受割合の推移
(単位:億円)
13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度
地方債計画総額
財政融資資金
シェア
機構資金
シェア
民間等資金
シェア
29年度
(要求)
164,998 165,239 184,845 174,843 155,366 139,466 125,108 124,776 141,844 158,976 137,340 140,301 136,878 129,827 122,064 112,462 121,366
51,800
31.4%
19,600
11.9%
67,298
40.8%
50,300
30.4%
19,000
11.5%
70,239
42.5%
50,700
27.4%
17,800
9.6%
37,000
21.2%
16,140
9.2%
90,145 102,703
48.8%
58.7%
35,400
22.8%
15,330
9.9%
92,836
59.8%
33,700
24.2%
14,060
10.1%
86,906
62.3%
32,800
26.2%
13,500
10.8%
78,808
63.0%
32,400
26.0%
13,330
10.7%
79,046
63.4%
39,340
27.7%
18,330
12.9%
84,174
59.3%
43,390
27.3%
21,590
13.6%
93,996
59.1%
37,310
27.2%
18,930
13.8%
81,100
59.1%
38,870
27.7%
21,740
15.5%
79,691
56.8%
36,810
26.9%
21,720
15.9%
78,348
57.2%
34,530
26.6%
20,500
15.8%
74,797
57.6%
32,690
26.8%
19,710
16.1%
69,664
57.1%
28,335
25.2%
18,160
16.1%
65,967
58.7%
30,300
25.0%
19,400
16.0%
71,666
59.0%
うち、臨時財政対策債
14,488
32,261
58,696
41,905
32,231
29,072
26,300
28,332
51,486
77,069
61,593
61,333
62,132
55,952
45,250
37,880
47,164
財政融資資金
7,244
11,517
16,224
7,128
5,268
7,926
7,890
8,500
15,446
22,351
17,860
17,170
17,086
14,270
11,318
9,299
11,600
シェア
機構資金
シェア
民間等資金
シェア
50.0%
35.7%
27.6%
17.0%
16.3%
27.3%
30.0%
30.0%
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
7,244
50.0%
17,744
55.0%
35,218
60.0%
29,333
70.0%
22,562
70.0%
20,350
70.0%
18,410
70.0%
19,832
70.0%
30.0%
5,000
9.7%
31,040
60.3%
29.0%
8,260
10.7%
46,458
60.3%
29.0%
6,600
10.7%
37,133
60.3%
28.0%
7,187
11.7%
36,976
60.3%
27.5%
7,271
7,691
25.0%
6,442
24.5%
5,568
24.6%
7,000
11.7%
13.7%
14.2%
14.7%
14.8%
37,775
33,991
27,490
23,013
28,564
60.8%
(注1)計数は当初計画ベース。地方債計画における、平成24~28年度は、「東日本大震災分」を含めた額。
(注2)平成18年度以前は、上記のほか、郵貯・簡保引受分がある。
(注3)機構資金は、平成19年度以前においては公営企業金融公庫資金、20年度においては地方公営企業等金融機構資金、21年度以降においては地方公共団体金融機構資金。
― 6 ―
25.5%
60.8%
60.8%
60.8%
60.6%