中世・近世における摂政の特徴的な職掌(PDF / 190KB)

参考資料3
中世・近世における摂政の特徴的な職掌
平安時代から江戸時代にかけての人臣摂政においても国政全般を行うことは皇太
子摂政と同じであるが、多年の慣行から摂政に特徴的な職掌とみなされるようにな
ったこととして、以下の7点などが挙げられる。
(以下の1から6まで(5のうちの「天皇の御拝を扶持」を除く)は、天皇に代
わり国政を行う活動の一環であり、他方、5のうちの「天皇の御拝を扶持」と7
は、天皇に代わる活動ではない。)
1.詔書に加えらるべき宸筆の代書
2.天皇に代わって官奏(太政官の一切の奏上内容)を覧る
3.奏上・下達される一切の文書の内覧(注)
じ き ろ
4.直廬 (摂政の政務室)における叙位・除目の実施
5.伊勢神宮への奉幣使発遣に当たり、天皇に代わって宣命を書き、仰詞を
奉幣使に伝え、天皇の御拝を扶持し、又は代拝を行う
6.天皇に代わり礼服御覧の儀(即位礼に先立ち天皇が当日着装すべき礼服
を覧る儀)を行う
7.天皇御元服に際する加冠役の奉仕
(注)
「内覧」の一般的な意味は、天皇御覧の前に見ることであるが、摂政が置
かれた時期においては、摂政の「内覧」をもって、天皇の「御覧」に代えてい
た(天皇は「御覧」にならない)。
【出典】
・宮内庁書陵部編纂『皇室制度史料 摂政 二』(吉川弘文館、昭和 57 年)
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