(月) No. 10 月 31日 2016 年( 平 成 28 年 ) 0717 財 務 省 財政審で行政の権限強化を提言 「医師配置規制を含めた偏在是正策を」 財務省は 27 日の財政制度等審議会・財政制度分科会 (分科会長=吉川洋・立正大教授)で、2020 ~ 30 年すぎ に全国の医師需給は均衡し、その後医師の過剰が見込ま れると予測した上で、医師が不足する地域・診療科の医 師数増加に向け、医師配置などに関する規制も含めた実 効的な偏在是正策を実施できるよう、国・都道府県の権 限を強化すべきだと提言した。是正策の例として、特定 地域・診療科での診療従事を医療機関管理者の要件とす ることや、保険医の配置・定数の設定を挙げている。 この日の財政制度分科会は4日に 続き、再び社会保障がテーマとなり、 再び社会保障をテーマに議論した財政審分科会。 右は吉川分科会長= 27 日、 財務省 民間医療機関に「他施設転換命令」 医療提供体制や生活保護などが論点 となった。 また財務省は地域医療構想の実現 のうち、病床機能転換などの施設・ 財務省は提出した資料で、特定地 について、都道府県は公的医療機関 設備整備に充てられたものが3%の 域・診療科の医師不足を背景に、08 には指示・命令できるが、民間医療 49 億円で「一部にとどまる」と指摘。 年度以降に医学部定員を1600 人以上 機関には要請などしかできないと説 地域医療構想が今年度中に全都道府 明。都道府県が民間医療機関に対し、 県で策定されることを踏まえ、 「病床 増員するとともに、 「勤務地・診療科 を医師が自由に選べる自主性を前提 「他施設への転換命令」などを出せる 機能の転換などに直接資するものに とした偏在是正対策」を実施してき よう、医療保険上の指定に関する権 重点化させるべき」と提言している。 たと説明。増員してきた医学部定員 限を一層強化すべきと主張している。 さらに各都道府県の基金の活用 については「医師需給の見通しを踏 まえた精査・見直しを進めていくべ き」と主張している。14 年の都道府 県別の人口 10 万人当たり医師数をグ 総合確保基金 病床機能転換に資するものに 「重点化」を ラフで提示し、最多は京都の 307.9 が、病床の機能分化・連携につながっ ているか検証・評価し、次年度以降 の交付決定に反映するようにするな ど、 「基金の趣旨・目的を十分踏まえ た執行がなされる仕組みとすべき」 人、最少は埼玉の 152.8 人と倍以上 地域医療介護総合確保基金につい の開きがあることも示している。 ては、14・15 年度交付額 1807 億円 としている。 CONTENTS 2 財務省、財政審で 第3期適正化基本方針、 「地域差半減」には不十分 3 世界初、他人の細胞申請 iPS移植、国が審査 9 厚生労働省 最近の医療費の動向[概算医療費] 2016 年3月号〈2〉 13 連載寄稿 ヤブイ経済学の勧め〈69〉 免疫の新常識 [同サイトの購読申込み] 〒 101-8421 東京都千代田区猿楽町 1-5-15 編集 03-3233-6351 広告 03-3233-6341 購読 03-3233-6336 年間購読料 1ID 40,800 円(税別) ホームページからもお申し込みいただけます URL ▲ 14 〈時事解説〉 横倉・日医会長が世界医師会の次期会長に 本冊子はWEBサイト 「MEDIFAX Digest」 のコンテンツ (E-ブック) です。 http://mfd.jiho.jp/ 毎週 月・水・金(祝日休刊)発行 ⓒじほう 2016 禁無断複写 ニュース 2016 年 10 月 31 日(月) 財務省、財政審で 第3期適正化基本方針 「地域差半減」には不十分 財務省は 27 日の財政制度等審議会・財政制度分科会 で、2018 ~ 23 年度の第3期医療費適正化計画に向け て厚生労働省が示した基本方針について、「骨太の方 針 2016」などで目指している医療費の「地域差半減」実 現のためには「十分なものとはなっていない」との見 解を示した。疾病別・診療行為別に見ても「(医療費の) 大きな地域差が存在することは明らか」として、予防 の取り組みの横展開など従来の手法だけでなく、地域 差の「見える化」を起点とした新たなアプローチが必 要だと主張している。 財務省は、厚労省が今月公表した第1回NDB(ナ ショナルデータベース)オープンデータなどに基づ き、外来診療行為別の医療費の都道府県格差を資料で 例示。例えばMRI撮影の人口 10 万人当たり医療費 は、最大の高知が1億 7515 万円、最小の鳥取が 8866 万円で2倍の差が生じていると説明している。 地域差是正に向け 「診療報酬特例」の活用を 地域差半減に向けた「見える化」については、医療 関係者が相互に診療行為の比較・検証をしたり、都道 府県が検討したりできるよう、疾病別・診療行為別な ど都道府県間の地域差に関するデータを公開すべきと の姿勢を示した。 地域差是正の手段の一つとして、他と異なる都道府 県独自の診療報酬を設定できるとしている高齢者医療 確保法 14 条の特例活用を提言。ほかの手段としては、 標準的な診療ガイドラインの策定、地域の医療関係者 による診療行為のピア・レビュー実施などを挙げている。 さらに医療費適正化計画の進捗評価の際に、地域差 是正に向けた都道府県の取り組み状況と成果について 分科会終了後に会見する吉川分科会長(右)=27日、財務省 療費適正化計画を実行していくためには、都道府県の 役割を明確にすべき。必要な権限を強化し、計画を実 効性のあるものにしていくべき」との声が出たという。 吉川氏によると、ほかに委員からは以下のような趣 旨の意見が出た。 「医療費適正化に関するスケジュー ルは、2020 年度にプライマリーバランス黒字化を目 指す財政健全化計画と整合的でなければならない」 「在宅医療の拡大で医療費全体にどの程度の影響が生 じるのか、必ずしも明確になっていないのは問題。入 院患者が医療機関を出た後、受け皿が医療なのか介護 なのか、十分議論されていない」 「生活保護の効率化 を進めることは必要だが、予算を圧縮するという観点 から、あまり乱暴な切り口にならないよう十分注意し ながら効率化を進めてほしい」 阿久澤主計官 厚労省の医師需給の議論に「期待」 会見に同席した財務省主計局の阿久澤孝主計官(厚 生労働係第一担当)は、医師の需給問題について、国 内のマクロの医師数を増やすだけだと「地域・診療科 の偏在の問題になかなか手が届かない」と指摘。厚生 労働省も一定程度の問題意識を持って議論を進めてい るとの認識を示し、議論の進展を「期待している」と 述べた。 評価し、インセンティブとして、その結果を 18 年度 以降の保険者努力支援制度の配分に反映すべきとの考 えを提示した。 財政審委員 医療費適正化 「都道府県の役割を明確にすべき」 財務省が 27 日に開いた財政制度等審議会・財政制度 分科会の終了後、吉川洋分科会長(立正大教授)が省 内で会見し、議論の概要を説明した。委員からは「医 11月に議論取りまとめへ 諮問会議・社保WG 財務省にヒアリング 経済財政諮問会議の経済・財政一体改革推進委員会 の社会保障ワーキンググループ(WG、主査=榊原定 征・経団連会長)が 27 日に非公開で開かれ、財務省主 計局から医療提供体制などに関する考え方をヒアリン グした。WGは年末の予算編成を視野に、主に秋以降 の議論について 11 月に取りまとめる方針だ。 メディファクス ダイジェスト 2 ニュース 2016 年 10 月 31 日(月) 財務省主計局は、同日の財政制度等審議会・財政制 度分科会に示した資料と同じものを使って、財政当局 としての考え方を説明した。WG委員からは「医療費 療養病床の新類型転換、 「地域医療構想に影響も」 佐々木・地域医療計画課長 の地域差が激しい。都道府県ごとのガバナンスが効い ていないのでは」 「病床機能報告制度を客観的に検証 また同日のシンポジウムでは、厚労省医政局の佐々 し、地域医療構想との整合性を図るべき」 「NDBオー 木健地域医療計画課長が地域医療構想および病床機能 プンデータは、よりきめ細かなデータを出してほしい」 報告制度を巡るこれまでの経緯を解説。26 日の社会 「生活保護については 2018 年度の基準額見直しに合わ 保障審議会・療養病床の在り方等に関する特別部会で、 せ、頻回受診問題などを含めた全体的な見直しが必要」 慢性期ニーズに対応する新サービス類型3案を示した といった趣旨の意見が出たという。 上で「介護療養病床以外に、医療療養病床や一般病床 榊原主査は出席した厚生労働省関係者に対し、不合 などが新類型案に転換できるかが議論になっている。 理な負担格差の是正や、給付・負担の適正化・効率化 地域医療構想との関係から見ると、一般病床などが新 を求め、経済・財政再生計画改革工程表の確実な実現 を要望したという。 類型案に転換すると、(慢性期および)在宅医療等の “等”に介護施設が含まれるため影響を与えることに なる。 (特別部会の検討結果は)年内に取りまとめられ る予定」と述べた。さらに「第7次医療計画が 2018 年 産業医科大と日慢協 度からスタートする。そこに地域医療構想も含まれる 療養入院患者の状態像把握で 調査開始へ が、介護療養病床を巡る転換状況も踏まえて策定する ことになるのではないか」と述べた。 佐々木課長は総合討論で「慢性期医療が担っている 役割をデータの観点からも示していただき、われわれ が施策を変更する時には、(これまでもそうであった ように)根拠を持って判断していくことが大事」とも 指摘。その上で「時代に応じて医療ニーズは変化する。 今後の医療提供体制は、療養や介護を主眼に据えなが ら財源なども考えていかないといけないだろう」と述 べた。 記念シンポで佐々木課長、松田氏、武久会長(右から) 産業医科大の松田晋哉教授の研究グループは日本慢 性期医療協会とともに、療養病床入院患者の状態像を より正確に把握するための慢性期入院医療調査を 11 月 にも開始する計画だ。慢性期医療機関と老人保健施設 が対象で厚生労働省老健事業として実施する。産業医 「介護療養問題、慌てず、十分な情勢判断が必要」 武久会長 日慢協の武久洋三会長は、療養病床を巡る問題に触 れた上で「慌てることはない。きちんと経過措置が実 施されるように協会としても対応していく。自院を取 り巻く情勢判断をしっかりしてもらいたい」と呼び掛 け、 拙速な判断で動くことのないよう注意を喚起した。 科大の松田晋哉教授が 27 日、金沢市内で開催中の日本 慢性期医療学会の記念シンポジウムで明らかにした。 調査の背景には、療養病床入院患者に対する現行の 医療区分の分類が広すぎるという問題意識があり、患 者の状態像の詳細をさらに把握し、明らかにしていく ことを目的にしている。慢性期入院医療の質に関する 評価体系の検討などにつなげることに加え、こうした データを蓄積することで慢性期医療の在り方を探るた めの参考データにしたい考えだ。 世界初、他人の細胞申請 iPS移植、国が審査 他人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った 網膜の細胞を患者に移植する世界初の臨床研究につい て、神戸市立医療センター中央市民病院などのチーム が、実施計画を厚生労働省に申請したことが 27 日、 分かった。事前に必要な審査の最終段階で、順調に進 めば年内にも承認され、来年前半の手術が可能になる 見通し。 移植は、視野がゆがみ視力が低下する「滲出型加齢 メディファクス ダイジェスト 3 ニュース 2016 年 10 月 31 日(月) 黄斑変性」を発症し、薬が効かない重症の患者が対象。 で把握できるようになる」と話し、健康増進保険への 網膜の細胞を含んだ溶液を、目に注入して移植する。 加入を後押しする環境が整うとみている。 京都大が、他人に移植しても拒絶反応が少ないとさ ただ保険料が変動する商品が広く受け入れられるか れる特殊な型のiPS細胞を提供し、理化学研究所多 は不透明だ。生保関係者は「変動を常に気にしなけれ 細胞システム形成研究センター(神戸市)が網膜の細 ばならないことに抵抗感がある人も多い」と指摘して 胞に成長させる。市民病院と大阪大で5人程度に移植 いる。 【共 同】 する計画だ。 実施計画は、市民病院と大阪大が申請し 27 日付で 厚労省が受理した。理研と京都大は関係機関として名 名古屋市が立ち入り調査 を連ねた。 4施設は6月に臨床研究の計画を発表。これまで市 塩素臭病院食、異物混入か 民病院の倫理委員会や大阪大の委員会が審査し、実施 国立病院機構東名古屋病院(名古屋市)で入院患者 を認めている。大阪大の委員会は、患者への分かりや に提供したスープから塩素臭がした問題で、病院で使 すい説明を条件とした。 われている水道水の塩素濃度に異常はなく、味見や食 理研などは 2014 年9月、患者本人から作ったiP 事を準備した際に職員が異臭や味の異変に気付かなかっ S細胞を使い、世界初の網膜移植を実施した。あらか たことが 27 日、市や病院関係者への取材で分かった。 じめ備蓄している品質の良い他人のiPS細胞を使え 愛知県警名東署は、何者かが異物を混入させた可能 ば、短い期間に低コストで移植できると期待されてい 性もあるとみて、スープの成分や監視カメラの映像を る。今後、シート状にした網膜細胞の移植や、治療効 解析するなどして調べている。 果の比較のため患者本人のiPS細胞を使った移植も 同日、食品衛生法に基づき病院を立ち入り調査した 計画している。 名古屋市は「調理場の衛生管理に問題はなかった」と 【共 同】 明らかにした。病院側への聞き取りでは、問題が発生 生保各社、割引や特典も した 25 日には調理場で 231 人分の給食が作られたが、 異臭を訴えた患者は1人だけだった。 健康増進保険の開発加速 病院によると、問題があったのは重度心身障害者の 死亡保険や医療保険の加入者の健康状態が良くなる 入院患者 26 人のうち1人が異臭を訴え、さらに患者 と、保険料の割引や買い物の利用特典を受けられる が朝食後にうがいに使ったプラスチック製のコップか 「健康増進保険」の開発に、生命保険各社が力を入れ 病棟で 25 日の朝食に配膳されたスープ。提供された らも同じようなにおいがした。 ている。健康志向の高まりを背景に、新しいタイプの 他に味の異常や異臭を訴えた患者はおらず、健康被 保険商品の開発で契約の拡大を狙う。 害は確認されていないという。 【共 同】 第一生命ホールディングス傘下のネオファースト生 命保険は、3年ごとに体重や血液などの検査結果で 「健康年齢」を算出し、保険料を決める医療保険を 12 月から販売する。健康年齢が若くなると保険料は割り 茨城・鉾田 引かれるが、上がると保険料が高くなるケースもある。 障害者施設でワクチン盗難 住友生命保険は、健康増進保険を販売する南アフリ 茨城県警鉾田署は 27 日、同県鉾田市上太田の障害 カの保険会社、ディスカバリーと業務提携した。1日 者支援施設「ユーカリの里」で、保管していたインフ の歩数や健康診断の結果を数値化して毎年評価し、保 ルエンザワクチン約 25 本(約7万 5000 円相当)が盗ま 険料の割引率を決める商品を 2018 年から販売する。 れたと明らかにした。 同署が窃盗事件として調べている。 スーパーやジムと提携し、健康食品の価格やジムの利 同署によると、14 日に施設利用者に対してワクチ 用料を割り引く特典の導入も検討している。 ンを使用した後、看護室で保管していた一部がなく 日本生命保険や損保ジャパン日本興亜ひまわり生命 なっているのに 27 日気付いた。ワクチンは1ミリリッ 保険も健康増進保険の開発を進める方針だ。 トル入りの瓶に入っていた。 SBI生命保険は、人工知能(AI)を使った健康 看護室は薬品を保管する部屋で、夜間施錠され、鍵 増 進 ア プ リ を 開 発 す る ベ ン チ ャ ー 企 業「 F i N C は当直職員が管理していたという。荒らされた形跡は (フィンク)」と提携し、商品開発を進めている。Fi なかった。 【共 同】 NCの乗松文夫副社長は「近い将来、IT技術のさら なる進化で、詳細な健康データを生活のあらゆる場面 メディファクス ダイジェスト 4 ニュース 2016 年 10 月 31 日(月) 整骨院の療養費詐取事件 同病院の今井常夫院長は 26 日夜、記者会見し「患者 大阪府池田市議らを起訴 や家族に心配をかけて申し訳ない。再発防止に努めた い」と述べた。 大阪地検は 27 日、整骨院で治療したと虚偽申請し ホームページによると、東名古屋病院は 1968 年発 療養費をだまし取ったとして、詐欺の罪で大阪府池田 市議の羽田達也容疑者(37)と、会社役員の増田誠容 疑者(37)を起訴した。 足。19 の診療科があり、特に呼吸器疾患や神経難病、 脳卒中などに対する専門医療を提供している。26 日 時点の入院者数は約 330 人。 【共 同】 起訴状などによると、2人は 2011 年 12 月~ 14 年7 月、羽田被告が運営に関わっていた大阪府摂津市の「ス マイル整骨院」 (閉院)で、羽田被告が 600 回以上施術 を受けたとする虚偽の書類を全国健康保険協会大阪支 部に提出し、療養費計約 71 万円を詐取したとしている。 羽田被告は当時、スマイル整骨院を含む6つの整骨 院を運営する会社の代表取締役を務め、昨年4月、池 田市議に初当選した。 地検は2人の認否を明らかにしていない。 【共 同】 9年間のデータ解析、京大 AEDで社会復帰率2倍に 心停止状態の人に電気ショックを与える自動体外式 除細動器(AED)による蘇生処置を、搬送前に一般 市民から受けた場合、救命され社会復帰できる割合が 2倍以上になることが 2005 ~ 13 年の全国の患者の データ解析で分かったと、京都大などのチームが米医 学誌に 27 日、発表した。 12日の東京地裁判決を不服 チームの石見拓教授(蘇生科学)は「公共の場にAE 元徳洲会事務総長が控訴 Dを設置する意義が裏付けられた。さらに活用が進む ようにしたい」と話している。 医療法人「徳洲会」グループの関連会社の資金 3000 チームは、心停止で救急搬送された患者を対象にし 万円を着服したとして業務上横領罪に問われたグルー プの元事務総長能宗克行被告(60)は 27 日までに、懲 役3年、執行猶予4年とした 12 日の東京地裁判決を 不服として東京高裁に控訴した。一審では無罪を主張 していた。 【共 同】 た 05 ~ 13 年の総務省消防庁の調査データを用い、心 室細動を起こし搬送された際、一般市民によるAED を使った蘇生を受けたかどうかで回復状況に違いがあ るか調べた。 すると、社会復帰できた割合は、AED処置を受け なかった患者では 18.2%にとどまったが、受けた場合 は 38.5%と2倍以上だった。 東名古屋病院を立ち入り さらに分析した結果、AEDを一般市民が使ったこ 入院患者の朝食から塩素臭 推定されることが判明した。 国立病院機構東名古屋病院(名古屋市、病床数 468) で、朝食にスープを配膳された重度心身障害者の病棟 に入院する患者 26 人のうち1人から「異臭がして味が とで社会復帰できた人は 05 ~ 13 年に計 835 人いたと 石見教授は「調査した9年間のAEDの販売数は少 なくとも約 50 万台あり、この台数を考えると救命さ れた人はまだ少ない」と指摘した。 【共 同】 おかしい」との訴えがあったことが 26 日分かり、名古 屋市は 27 日午後、食品衛生法に基づき、病院を立ち入 り調査した。衛生管理などに問題がなかったか調べる。 病院から通報を受けた愛知県警名東署は、何者かが 異物を混入させた可能性もあるとみて、スープの成分 や監視カメラの映像を解析するなどして原因を調べる。 訃報 猪木 令三氏 (大阪大名誉教授、歯科薬理学) 病院によると他に同様の訴えをした患者はおらず、 猪木 令三氏(いのき・れいぞう=大阪大名誉教授、 健康被害は確認されていない。25 日午前6時 50 分ご 歯科薬理学)9月 18 日、多臓器不全のため三重県伊賀 ろ、職員が異臭を訴え出た患者のスープを調べ、塩素 市の病院で死去、86 歳。伊賀市出身。自宅は奈良市南 のような臭いを確認した。患者が朝食後にうがいに 登美ケ丘 25 -11。葬儀・告別式は近親者で行った。お 使ったプラスチック製のコップからも同じような臭い 別れ会は 11 月 11 日午後7時から伊賀市西明寺 3240 - がした。朝食は同じ病棟の患者 26 人に配膳され、スー 2、伊賀市文化会館で。実行委員長は長男達(たつ)氏。 プのほか、ご飯とおかず2品だった。 【共 同】 メディファクス ダイジェスト 5 ニュース 2016 年 10 月 31 日(月) 訃報 蔵本 淳氏 (広島大名誉教授、血液内科学) 名誉教授、血液内科学)25 日、肺炎のため広島市 中区の病院で死去、84 歳。岡山県出身。自宅は広島 市東区牛田新町。葬儀・告別式は 28 日午前 11 時から 広島市中区中島町7-2、浄円寺で。喪主は長男暁(あ きら)氏。 【共 同】 http://www.jiho.co.jp/ 〒101-8421 東京都千代田区猿楽町 1-5-15 猿楽町 SS ビル TEL:03-3233-6333 FAX:0120-657-769 〒541-0044 大阪市中央区伏見町 2-1-1 三井住友銀行高麗橋ビル TEL:06-6231-7061 FAX:0120-189-015 メディファクス ダイジェスト 6 ヘッドラインニュース 2016 年 10 月 31 日(月) (10月27日15:00 ~ 10月28日15:00 掲載分より) 社会保障費の抑制「18 年度予算に積み残しないように」 古川参院議員 古川俊治参院議員(前自民党厚生労働部会長)は 27 日、さいたま市内で開かれた自身の国政報告会で、 2017 年度予算編成で焦点となる社会保障関係費の伸びの抑制に言及した。17 年度予算で伸びを 5000 億 円程度まで抑え、18 年度予算に積み残しがないように取り組む必要があるとの認識を示した。 「ブルーカード」から広がる情報共有の輪、 「Aケアカード」導入で介護とも連携へ 第3回 大阪市・浪速区 全国各地で医療連携ネットワークの構築が進んでいるが、医療需要が桁違いに高い大都市圏では、一 体的な体制構築が難しい上に運用コストの高さもあり、なかなかネットワークの整備が難しいのが現状 だ。こうした中、大阪市の浪速区では、区医師会が中心となって紙カルテでも参加可能で、かつ継続運 用可能な連携システムとして、病状急変時に迅速に病診連携できる「ブルーカード」を展開している。 諮問会議・社保WG、財務省にヒアリング 11 月に議論取りまとめへ 経済財政諮問会議の経済・財政一体改革推進委員会の社会保障ワーキンググループ(WG、主査=榊 原定征・経団連会長)が 27 日に非公開で開かれ、財務省主計局から医療提供体制などに関する考え方を ヒアリングした。 財政審委員、医療費適正化「都道府県の役割を明確にすべき」 財務省が 27日に開いた財政制度等審議会・財政制度分科会の終了後、吉川洋分科会長(立正大教授)が省 内で会見し、議論の概要を説明した。委員からは「医療費適正化計画を実行していくためには、都道府県の 役割を明確にすべき。必要な権限を強化し、計画を実効性のあるものにしていくべき」との声が出たという。 行政 塩崎厚労相 精神保健指定医「確実に審査できる手法の導入を」 11 月に議論取りまとめへ 諮問会議・社保WG、財務省にヒアリング 厚労省 1人当たり医療費、 全国平均超の都道府県平均を23 年度に「半減」へ 諮問会議・社保WG 「人生の最終段階の医療」についてヒアリング 財政審委員、 医療費適正化「都道府県の役割を明確にすべき」 財務省、財政審で 第3期適正化基本方針、 「地域差半減」には不十分 財政審で行政の権限強化を提言 財務省「医師配置規制を含めた偏在是正策を」 財務省が財政審で示した 「医療提供体制」改革の考え方 財務省が財政審で示した 「生活保護(医療扶助)」適正化の考え方 財務省、生活保護で 医療扶助、頻回受診者は自己負担を 国 会・政 党 古川参院議員 社会保障費の抑制 「18 年度予算に積み残しないように」 自民議連で要望 有床診連絡協、宿直規定の弾力的運用を 自民・財政再建特命委 小泉小委報告書、委員長・座長に一任 メディファクス ダイジェスト 7 ヘッドラインニュース 2016 年 10 月 31 日(月) 団 体・学会 地域 世界初、他人の細胞申請 東名古屋病院、コップも 日慢協シンポ 未承認薬を注射、東京地裁 産業医科大と日慢協 茨城・鉾田 日歯・堀会長 名古屋市が立ち入り調査 都医・尾﨑会長 整骨院の療養費詐取事件 iPS移植、国が審査 複数のスープから塩素臭 介護療養転換問題、有床診への影響に懸念も 療養入院患者の状態像把握で調査開始へ 日医と初の意見交換会「意思の疎通が図れた」 たばこ対策やフレイル予防の必要性を強調 都医・尾﨑会長 都立広尾病院の移転問題「全く理解できない」 【訃報】 猪木 令三氏(大阪大名誉教授、歯科薬理学) 【訃報】 蔵本 淳氏(広島大名誉教授、血液内科学) 9年間のデータ解析、京大 がん治療の歯科医師に有罪 障害者施設でワクチン盗難 塩素臭病院食、異物混入か 大阪府池田市議らを起訴 第3回 大阪市・浪速区 「ブルーカード」から広がる情報共有の輪、 「Aケアカード」導入で介護とも連携へ 元徳洲会事務総長が控訴 東名古屋病院を立ち入り 入院患者の朝食から塩素臭 AEDで社会復帰率2倍に 企業 〔案内〕SSK ICT地域連携「天かける」 「メディネットたんちょう」でセミナー 生保各社、割引や特典も 健康増進保険の開発加速 http://www.jiho.co.jp/ 〒101-8421 東京都千代田区猿楽町 1-5-15 猿楽町 SS ビル TEL:03-3233-6333 FAX:0120-657-769 〒541-0044 大阪市中央区伏見町 2-1-1 三井住友銀行高麗橋ビル TEL:06-6231-7061 FAX:0120-189-015 メディファクス ダイジェスト 8 資料・データ 厚生労働省 保険局調査課 2016 年 10 月 31 日(月) 最近の医療費の動向[ 概算医 療 費 ] 2016年3月号〈2〉 3.医療機関種類別概算医療費 (1)医療機関種類別医療費 医療費総額の伸び率(前年同期比) 医科計 (単位:%) 医科 病院 大学病院 公的病院 法人病院 個人病院 医科 診療所 2011 年度 2.1 2.4 4.3 2.1 2.3 ▲ 6.0 1.6 12 年度 1.8 2.4 4.1 2.6 2.0 ▲ 5.9 0.3 13 年度 1.4 1.7 3.5 0.7 2.2 ▲ 6.4 0.7 14 年度 1.5 1.8 2.2 1.5 2.1 ▲ 6.0 0.8 15年度 4 ~3月 2.6 2.9 4.2 3.3 2.6 ▲ 6.9 1.7 2月 8.3 7.6 10.2 8.2 6.7 ▲ 2.6 10.1 3月 4.4 4.2 4.9 4.9 3.8 ▲ 6.8 4.8 注 1. 医科病院の種類について、 「大学病院」は医育機関をいう。 「公的病院」は国(独立行政法人を含む)の開設する医療機関、 公的医療機関(開 設者が都道府県、 市町村等)および社会保険関係団体(全国社会保険協会連合会等)の開設する医療機関をいう(ただし、 医育機関を除く) 。 注 2. 医療費には入院時食事療養および入院時生活療養の費用額が含まれる。 1施設当たり医療費の伸び率(前年同期比) 医科病院 (単位:%) 大学病院 公的病院 法人病院 個人病院 医科 診療所 2011 年度 3.4 2.9 4.1 2.7 2.6 1.7 12 年度 2.9 5.1 3.3 2.1 2.5 0.2 13 年度 2.0 2.0 1.5 2.0 1.0 0.5 14 年度 2.1 1.9 1.6 2.1 1.9 0.7 15年度 4 ~3月 3.5 4.6 4.1 2.6 2.2 1.6 2月 8.0 10.9 9.3 6.6 7.6 9.9 3月 4.6 4.3 5.9 3.6 3.4 4.7 注 . 1施設当たり医療費は医療費の総額を審査支払機関に審査支払請求を行った施設数で除して得た値である。 受診延べ日数の伸び率(前年同期比) 医科計 (単位:%) 医科 病院 大学病院 公的病院 法人病院 個人病院 医科 診療所 2011 年度 ▲ 0.4 ▲ 0.6 0.7 ▲ 1.3 ▲ 0.1 ▲ 8.0 ▲ 0.2 12 年度 ▲ 1.0 ▲ 1.2 ▲ 0.6 ▲ 1.4 ▲ 0.9 ▲ 8.5 ▲ 0.9 13 年度 ▲ 1.1 ▲ 0.7 0.4 ▲ 1.8 ▲ 0.0 ▲ 8.4 ▲ 1.5 14 年度 ▲ 0.6 ▲ 0.9 ▲ 1.2 ▲ 1.3 ▲ 0.5 ▲ 8.5 ▲ 0.4 15年度 4 ~3月 0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.4 0.3 ▲ 8.2 0.3 2月 7.5 4.5 4.4 4.0 5.0 ▲ 3.5 9.6 3月 2.1 1.1 0.4 0.5 1.7 ▲ 8.3 2.8 注 . 受診延べ日数は診療実日数(調剤では処方箋枚数(受付回数) 、訪問看護療養では実日数)を集計したものである。 メディファクス ダイジェスト 9 資料・データ 2016 年 10 月 31 日(月) 1施設当たり受診延べ日数の伸び率(前年同期比) 医科 病院 (単位:%) 大学病院 公的病院 法人病院 医科 診療所 個人病院 2011 年度 0.4 ▲ 0.6 0.6 0.2 0.4 ▲ 0.1 12 年度 ▲ 0.6 0.4 ▲ 0.7 ▲ 0.8 ▲ 0.3 ▲ 1.0 13 年度 ▲ 0.5 ▲ 1.0 ▲ 1.1 ▲ 0.2 ▲ 1.2 ▲ 1.7 14 年度 ▲ 0.7 ▲ 1.4 ▲ 1.1 ▲ 0.6 ▲ 0.8 ▲ 0.4 0.4 0.3 0.4 0.4 0.8 0.2 2月 4.9 5.1 5.0 4.8 6.7 9.4 3月 1.4 ▲ 0.3 1.5 1.5 1.7 2.7 15年度 4 ~3月 注 . 1施設当たり受診延べ日数は受診延べ日数を審査支払機関に審査支払請求を行った施設数で除して得た値である。 1日当たり医療費の伸び率(前年同期比) 医科計 (単位:%) 医科 病院 大学病院 公的病院 法人病院 個人病院 医科 診療所 2011 年度 2.5 3.0 3.6 3.5 2.5 2.2 1.8 12 年度 2.8 3.6 4.7 4.0 2.9 2.9 1.3 13 年度 2.6 2.4 3.1 2.6 2.2 2.2 2.2 14 年度 2.1 2.8 3.4 2.8 2.7 2.7 1.2 15年度 4 ~3月 2.5 3.0 4.3 3.7 2.3 1.4 1.4 2月 0.7 3.0 5.5 4.1 1.6 0.9 0.5 3月 2.2 3.1 4.6 4.3 2.1 1.7 2.0 注 . 1日当たり医療費は医療費の総額を受診延べ日数(調剤では総処方箋枚数(総受付回数) 、訪問看護療養では総実日数)で除して得た値である。 (2)主たる診療科別医科診療所の医療費 医療費総額の伸び率(前年同期比) (単位:%) 医科 診療所 内科 小児科 2011 年度 1.6 1.5 12 年度 0.3 13 年度 外科 整形 外科 皮膚科 産婦 人科 眼科 1.9 ▲ 0.1 3.5 ▲ 0.1 ▲ 4.5 ▲ 3.0 0.7 1.0 ▲ 1.3 14 年度 0.8 ▲ 0.6 15年度 4 ~3月 1.7 2月 3月 耳鼻 咽喉科 2.5 ▲ 0.3 1.5 ▲ 0.6 2.5 1.8 0.1 1.0 3.8 2.2 0.8 ▲ 2.2 1.8 0.8 ▲ 0.7 2.5 ▲ 2.3 1.2 1.1 ▲ 1.5 2.9 1.8 0.4 3.9 4.6 1.5 1.6 2.6 ▲ 1.1 1.6 2.5 0.4 3.4 1.7 2.0 10.1 11.5 30.6 5.8 7.3 7.5 4.5 6.6 9.3 7.0 4.8 6.5 12.0 2.3 3.3 1.8 0.4 2.2 0.9 4.0 その他 メディファクス ダイジェスト 10 資料・データ 2016 年 10 月 31 日(月) 1施設当たり医療費の伸び率(前年同期比) (単位:%) 医科 診療所 内科 小児科 外科 整形 外科 皮膚科 産婦 人科 眼科 2011 年度 1.7 2.2 1.7 1.8 2.1 1.9 0.9 0.5 ▲ 0.9 0.8 12 年度 0.2 ▲ 0.0 ▲ 5.3 ▲ 0.2 0.9 ▲ 0.7 3.1 3.1 2.2 ▲ 0.9 13 年度 0.5 0.9 ▲ 1.7 0.3 1.2 ▲ 0.5 1.0 1.8 ▲ 2.5 ▲ 0.7 14 年度 0.7 ▲ 0.4 0.8 0.7 2.4 1.2 2.4 3.5 4.2 ▲ 0.5 15年度 4 ~3月 1.6 1.6 2.6 1.8 0.9 1.9 2.1 3.0 2.1 0.3 2月 9.9 11.2 30.6 9.2 6.2 6.5 6.0 6.2 9.7 5.2 3月 4.7 6.4 11.8 5.9 2.4 0.9 1.9 1.6 1.4 2.5 耳鼻 咽喉科 その他 注 . 1施設当たり医療費は医療費の総額を審査支払機関に審査支払請求を行った施設数で除して得た値である。 受診延べ日数の伸び率(前年同期比) 医科 診療所 内科 (単位:%) 小児科 外科 整形 外科 皮膚科 産婦 人科 眼科 耳鼻 咽喉科 その他 2011 年度 ▲ 0.2 ▲ 0.8 0.6 ▲ 2.7 1.3 2.5 ▲ 1.0 ▲ 0.2 ▲ 2.1 1.4 12 年度 ▲ 0.9 ▲ 1.4 ▲ 4.5 ▲ 4.9 ▲ 0.2 0.8 ▲ 1.3 1.6 0.5 0.3 13 年度 ▲ 1.5 ▲ 1.7 ▲ 2.7 ▲ 4.7 ▲ 0.5 0.7 ▲ 1.5 ▲ 0.6 ▲ 3.9 0.6 14 年度 ▲ 0.4 ▲ 1.4 ▲ 0.1 ▲ 3.5 0.5 0.6 ▲ 0.4 ▲ 0.7 2.1 1.2 0.3 ▲ 0.0 2.6 ▲ 3.6 ▲ 0.4 2.4 ▲ 0.3 1.1 0.2 1.5 2月 9.6 12.1 29.0 3.8 5.9 7.5 4.5 4.5 7.2 7.4 3月 2.8 5.3 8.1 ▲ 0.4 1.4 1.8 ▲ 0.3 ▲ 0.7 ▲ 1.8 3.8 15年度 4 ~3月 注 . 受診延べ日数は診療実日数を集計したものである。 1日当たり医療費の伸び率(前年同期比) (単位:%) 医科 診療所 内科 小児科 外科 整形 外科 皮膚科 産婦 人科 眼科 耳鼻 咽喉科 その他 2011 年度 1.8 2.3 1.3 2.6 2.2 0.0 0.7 1.7 1.5 1.1 12 年度 1.3 1.4 0.1 2.0 2.1 ▲ 0.7 2.4 2.2 1.6 0.5 13 年度 2.2 2.8 1.4 2.6 2.3 0.0 0.7 3.2 1.7 0.6 14 年度 1.2 0.8 1.2 2.1 2.4 1.1 0.8 4.6 2.4 0.3 15年度 4 ~3月 1.4 1.6 ▲ 0.1 2.6 1.9 0.1 0.7 2.3 1.5 0.5 2月 0.5 ▲ 0.6 1.2 1.9 1.3 ▲ 0.0 ▲ 0.0 2.1 1.9 ▲ 0.4 3月 2.0 1.2 3.5 2.8 1.9 0.1 0.7 2.9 2.8 0.2 注 . 1日当たり医療費は医療費の総額を受診延べ日数で除して得た値である。 メディファクス ダイジェスト 11 資料・データ 2016 年 10 月 31 日(月) (3)経営主体別医科病院の入院医療費 1施設当たり医療費の伸び率(前年同期比) (単位:%) 医科病院 2011 年度 3.2 大学病院 公的病院 法人病院 個人病院 2.2 3.9 2.7 2.5 医科診療所 ▲ 2.2 12 年度 3.1 5.0 3.5 2.3 2.8 ▲ 1.0 13 年度 1.6 1.0 1.1 1.8 2.2 ▲ 4.0 14 年度 2.0 1.3 1.4 2.3 2.8 ▲ 0.9 15年度 4 ~3月 2.6 2.8 2.8 2.3 1.1 ▲ 2.8 2月 6.1 8.2 6.6 5.5 6.2 0.7 3月 2.2 0.4 2.6 2.3 1.5 ▲ 1.9 注1. 医療費には入院時食事療養および入院時生活療養の費用額が含まれる。 注2. 1施設当たり医療費は医療費の総額を審査支払機関に審査支払請求を行った施設数で除して得た値である。 (4)経営主体別病院の入院外医療費 1施設当たり医療費の伸び率(前年同期比) 医科病院 (単位:%) 大学病院 公的病院 法人病院 個人病院 歯科病院 2011 年度 4.0 4.8 4.8 2.8 2.9 3.2 12 年度 2.5 5.4 2.7 1.4 1.8 3.2 13 年度 2.9 4.5 2.6 2.7 ▲ 2.2 1.8 14 年度 2.2 3.4 2.2 1.5 ▲ 0.7 2.7 15年度 4 ~3月 5.9 8.6 7.5 3.6 5.3 1.2 2月 13.4 17.1 16.3 10.0 11.8 6.6 3月 11.2 13.1 14.1 7.8 8.8 2.4 注 . 1施設当たり医療費は医療費の総額を審査支払機関に審査支払請求を行った施設数で除して得た値である。 (5)主たる診療科別診療所の入院外医療費 1施設当たり医療費の伸び率(前年同期比) 医科 診療所 (単位:% ) 内科 小児科 外科 整形外科 皮膚科 2011 年度 1.9 2.3 1.8 2.1 2.3 1.9 12 年度 0.3 0.1 ▲ 5.3 ▲ 0.3 1.1 ▲ 0.7 ▲ 0.4 13 年度 0.7 1.0 ▲ 1.7 0.5 1.6 14 年度 0.8 ▲ 0.4 0.8 0.6 2.3 1.2 15年度 4 ~3月 1.8 1.7 2.6 2.3 1.0 1.9 2月 10.3 11.5 30.6 9.8 6.5 6.5 3月 5.0 6.6 11.9 6.4 2.7 0.9 産婦人科 眼科 その他 歯科 診療所 耳鼻咽喉科 2011 年度 1.7 0.6 ▲ 1.0 1.2 2.4 12 年度 1.7 3.3 2.1 ▲ 0.5 0.9 13 年度 1.1 1.9 ▲ 2.4 ▲ 0.0 0.5 14 年度 3.0 3.7 4.3 0.0 2.7 15年度 4 ~3月 2.2 3.2 2.2 0.8 1.4 2月 7.0 6.5 9.7 5.6 5.4 3月 2.0 1.7 1.3 2.9 0.2 注 . 1施設当たり医療費は医療費の総額を審査支払機関に審査支払請求を行った施設数で除して得た値である。 メディファクス ダイジェスト 12 横倉氏が台北総会で就任した次期 W M A に は 会 長 職 が 3 つ あ る。 任期はそれぞれ1年で、1つ目は 就任を後押ししたといえる。 た実績や人脈が各国医師会からの いる。これらの活動を通じて築い 元・福岡県で開くことも決まって ” 師会とWMAによる「 “ One Health に関する国際会議」を横倉氏の地 年、WMA理事に就任し、 「医の 横倉氏自身もこれまでWMAに 貢献してきた。日医副会長だった 高めていく。その成果を、世界医 に安心へと導く世界モデルにまで 経験したことのない高齢社会を真 わが国の医療システムを、世界が 界トップレベルにまで押し上げた 横倉氏は6月の日医代議員会の 所信表明で「国民の健康寿命を世 との声も聞こえる。 もいくつか把握しているはずだ」 できる。すでに取り組むべき課題 WMAの組織全体を見渡すことが は「 横 倉 氏 は 実 務 経 験 が 豊 富 で、 えることになる。日医関係者から な ど を 洗 い 出 し、“ そ の 時 ” に 備 MAとして今後取り組むべき課題 の横倉氏は会長就任までの間、W 間で務めることになる。次期会長 のポストをスライドする形で3年 策に今から期待が高まる。 門職の立場から打ち出す国際貢献 MAのトップに立つ横倉氏が、専 感が求められる中、来年 月にW が医療・保健分野でさらなる存在 Cのパイオニア”ともいえる日本 ル・ヘルス・カバレッジ(UHC) アフリカ開発会議でユニバーサ 国際情勢に目を向ければ、5月 のG7伊勢志摩サミットや8月の る取り組みなどに言及していた。 環境整備、WMAの存在感を高め 代の要請に応じた若手医師育成や 演説では健康長寿社会の実現、時 今回の次期会長立候補に合わせた に 貢 献 し て い き た い 」 と 述 べ た。 とで、世界中の人々の幸福の実現 に選ばれた。来年 月の米シカゴ 日には世界獣医 年にWMA東京理事会を主催した 10 11 支持につながり、今回の次期会長 、 倉氏が就任演説でどのようなメッ など長年にわたって活動を支えて 日医は1951年にWMAに加 盟し、役員が内部の要職を務める 日医から武見、坪井氏に 次いで3人目 れる。 ほか、来月 委員を歴任。日医会長就任後の 倫理委員会」 「社会医学委員会」の 10 セージを発信するのかが注目さ 総会で会長に就任する公算で、横 10 きた。会長には故武見太郎氏が (大浜 隆) 10 14 の横倉義武会長がWMA次期会長 年、故坪井栄孝氏が2000年に 会長。2つ目は組織のトップを担 師会などを通じて広く発信するこ なる。 75 の 推 進 が 取 り 上 げ ら れ た。“ U H 就任しており、横倉氏が3人目と う会長、3つ目は前会長。これら 世界医師会(WMA)の台北総 会がこのほど開かれ、日本医師会 横倉・日医会長が世界医師会の次期会長に 視点 と 論点 時事解説 2016 年 10 月 31 日(月) フォーカス FORUM メディファクス ダイジェスト 13 前社会保険診療報酬支払基金特別医療顧問 中島正治 寄稿 2016 年 10 月 31 日(月) フォーカス FORUM やぶにらみ医療論 ヤブイ経済学の勧め 免疫の新 常 識 最近の麻疹の流行、免疫チェックポイ ント阻害剤(抗PD ︱1抗体)「オプジー ボ」の高額薬剤問題、巷に氾濫するさま ざまながん免疫療法など、体の免疫機能 に関係する話題が関心を集めています。 このほかにも潰瘍性大腸炎などの自己 免 疫 疾 患、 H I V や A I D S、 花 粉 症、 食物アレルギー、臓器移植反応など、多 くの疾患が免疫の異常に関係していま す。インフルエンザや風邪、感染性胃腸 炎 な ど の 感 染 性 疾 患 は 言 う ま で も な く、 体の免疫機能で治癒していく病気です。 免疫機能などと言うと分かったような 気になりますが、その中身は現在、どこ まで解明されているのでしょうか? 私が医学生だった 数年前には、体の 免疫系には外来の細菌などを取り込んで 処理するマクロファージ(大食細胞)や 白血球などの自然免疫と、病原体などに よって活性化され抗体を作ったりするリ ンパ球などの獲得免疫があり、リンパ節 を拠点に活動していることくらいしか教 わらなかったような気がします。 免疫学については、当時でもいろいろ な名前の細胞や物質が出てきて、それら の理論・学説があり、それぞれ実態をつ かみきれず予想の域を出ないという諸説 乱立の様相でした。不勉強学生の私には、 とても太刀打ちできなかったという印象 しか残っていません。さらに、当時は抗 生物質の進歩などによって「感染症の時 代は終わった」といわれ、細菌学の授業 などに出席している学生はまばらな状態 でした。 免疫が自らの組織を攻撃してしまう自 己 免 疫 疾 患 と い う 概 念 は あ り ま し た が、 40 学 説 は い ろ い ろ あ っ て も 病 気 は 治 ら ず、 何でもかんでもステロイド治療という状 況で、ますます勉強の意欲をそがれたと いうのが、不勉強の言い訳です。 その後 数年もたち、感染症の新たな リバイバルの時代となり、がん免疫療法 の有効な薬剤も出現しました。人体の免 疫の仕組みは今どう理解されているの か、少々勉強しました。その結果、諸先 生方のたゆまぬ努力のおかげで、免疫学 は大きく進歩し、様変わりしていること が分かりました。まさに浦島太郎の心境 です。 以前の免疫学は大きなブラックボック スのようなもので、免疫が関係する場面 ではなぜかうまくいくようになっている という感じでした。しかし、多種類の病 原体に免疫系がどうしてうまく対応でき るのか、自己の組織や常在細菌などには 原 則 と し て 攻 撃 し な い の は な ぜ な の か、 などは全く謎でした。実際に自己免疫疾 患も時に起こるのです。 また、抗体はもちろん免疫系の細胞も、 数カ月とそう長くない寿命で新陳代謝し ているにもかかわらず、天然痘などは一 度かかるかワクチンをすると一生心配が ないのはなぜか、などについては納得で きる説明はありませんでした。 そうした中、膨大な種類の病原体(抗 原)に免疫細胞がどのようにしてさまざ まな種類の抗体を作っているのかを解明 して、1987年にノーベル生理学・医 学賞を受賞したのが利根川進氏です。 明らかにされるメカニズム 40 それによると、人のリンパ球は、およ そ1000億種類ともいわれる多くの抗 体を、自ら遺伝子の組み合わせをさまざ まに変える(遺伝子再構成)という驚く べき方法で作成するというのです。それ ぞれ1個の細胞(リンパ球B細胞)は1 種類の抗体を作るのですが、病原体など の刺激があると、対応する細胞が増えて 必要な抗体を作成するという仕組みで す。一方、これだけ多くの種類の抗体を 作ると、自己に反応する抗体もできてし まうのですが、それらを作る細胞は排除 される仕組みがあり、害を及ぼさないよ うになっています。 どのようにして自己と非自己を認識す るかについても、かなりの部分が分子レ ベルで明らかになってきています。そこ で登場するのが、抗原提示という仕組み です。 外来の病原体や不要になった組織など は、(大)食細胞が処理をすることになっ ていることはだいぶ前から分かっていま した。ただ、これまでこの細胞は単に何 でも食べるだけが取りえと思われていた のですが、実は同類の樹状細胞とともに、 その後の免疫反応の重要な司令塔である ことが分かってきました。 食細胞は食べたものが病原体などであ ると、これを消化、分解するほかに、サ イトカインといわれる情報伝達物質を放 出して、関係する免疫細胞を体中から呼 び寄せ、局所に集めて病原体を攻撃する 態勢を作るのです。 食細胞はTLR(トル様受容体)など のセンサーを持っていて、食べたものが 病原体かどうかを判断していることが分 メディファクス ダイジェスト 14 76 一方、自己免疫疾患以外にもさまざ まな場合に自己に対する反応が起こっ ていることが分かってきました。これ を「自然炎症」と言っています。具体 的には、痛風、アルツハイマー病、動 脈硬化などで、自然炎症の関与が明ら かになってきています。痛風では、食 細胞が尿酸結晶を取り込んだ結果、サ イトカインの一種であるインターロイ キンを放出し、激しい炎症を起こしま す。自然炎症は、今後さまざまな疾病 の理解や対応に影響を与えるものと思 われます。 まった大隅良典先生のオートファジー の研究も免疫と深い関係があります。 以上、最近の免疫学の進歩に関して いくつかを述べましたが、免疫系の実 態が分子レベルなどで分かってくると ともに、新たな概念も登場しています。 かつては多田富雄先生らの抑制性T細 胞の概念が大きく取り上げられました が、現在は制御性T細胞として整理さ れ、皮膚の下にあるランゲルハンス細 胞という免疫に関係する細胞が、樹状 細胞だということも分かりました。 学問の進歩とともに免疫の仕組みの 複 雑 性 が 一 層 明 ら か に な っ た こ と で、 さらに迷宮に入り込んでしまった感も あります。一体、どうしてこのような 巧妙な仕組みが出来上がったのでしょ うか。免疫系は意志や知性を持って生 体の調和を保っているのではないかと 思われるほどで、どこかで神様が設計 図を書いていると主張する人の気持ち も分かるような気がします。 1951年生まれ。 年東京大医 学部医学科卒業。 年厚生省入省。厚生労働省医政 局医事課長、大臣官房審議官(医政 局、 保 険 局 )、 健 康 局 長 な ど を 経 て 2006年退官。 年 月より社会保険診療報酬支 払基金理事、 年9月より 年3月 まで同特別医療顧問。 診療、研究と行政の経験を踏まえ、 科学技術・医学・医療の進歩を国民 の幸福につなげたいと願っている。 趣 味 は ゴ ル フ、 テ ニ ス、 ス キ ー。 スポーツと体の運動メカニズムに関 心がある。 10 がん治療にも応用 がんと免疫の関係では、がんワクチ ンが注目されています。子宮頸がんや 肝細胞がんワクチンは原因となるウイ ルス感染を予防するのが目的なのです が、近年注目されているのはがんペプ チドワクチンです。がん細胞だけに特 徴的なペプチド(アミノ酸のつながり) を見いだし、免疫反応を起こさせてが んを攻撃しようというものです。 また、がん細胞はリンパ球などにあ る P D ︱1 受 容 体 な ど を 通 じ て、 そ の 攻撃を抑制する仕組みを持っているこ とから、この仕組みをブロックするこ とでがん治療を行おうという試みが進 んでいます。冒頭に挙げたオプジーボ などの薬剤はこの仕組みを利用したも のです。 オプジーボの開発者である本庶佑先 生は、今年のノーベル生理学・医学賞 には選ばれませんでしたが、受賞が決 11 か り ま し た。 こ の 発 見 も 2 0 1 1 年 ノーベル生理学・医学賞の受賞につな がりました。驚くことに、このTLR は病原体の細胞壁のリポ蛋白などのほ かに、ウイルスなどのDNAやRNA も認識するのです。 も対応できることになっています。 自己に対して反応して、不都合な状 態を起こす原因となるリンパ球などを 排除する仕組みは完璧とはいえず、時 に取りこぼす場合もありますが、そう した場合でも不都合を生じないよう に、免疫の作動を制御する仕組みが設 けられています。 一 つ は、 病 原 体 に よ る 活 性 化 が 起 こっていない時に、自己の抗原を提示 し て 応 答 し な い よ う に な っ て い ま す。 また、制御性T細胞が、樹状細胞の自 己抗原を覆い隠して反応を抑制すると いう仕組みもあります。 免疫細胞は、病原体への対応が終わ る と 大 部 分 は 細 胞 死( ア ポ ト ー シ ス ) して、後に過剰な影響を残さないよう になっていますが、一部の細胞(メモ リーB細胞)はその記憶を残し、再度、 病原体が攻撃してきた時に迅速に対応 できるように、記憶細胞として数十年 と長く生き残るようになっています。 免疫細胞の主な存在場所は、実はリ ンパ節ではなく腸管で、体全体の約半 分以上が腸管にあるといわれていま す。意外なようですが、日々口からさ まざまな食物を取り込み、栄養吸収の 一方で病原体も取り込んでいる場合が あることを思えば、合理的なことだと もいえます。 腸管には膨大な数の腸内細菌もあ り、無害なものと有害なものについて 高 度 で 適 切 な 対 応 が 行 わ れ て い ま す。 時 に こ の 対 応 調 整 が お か し く な る と、 腸管感染症や食物アレルギーなどに なったりします。 氏 profile 中島正治 Nakajima Masaharu 免疫反応は体全体の働き こうしたTLRなどの受容体は免疫 細胞だけにあると思われていたのです が、ほぼ体中の細胞にあることが分か り、病原体への反応にそれなりに働い ていることが分かってきました。免疫 反応は体全体の働きということでもあ ります。 食 細 胞 と し て は、 マ ク ロ フ ァ ー ジ、 好中球などが昔から知られていました が、他に樹状細胞があり、重要な働き をしています。樹状細胞は、病原体と の戦いが簡単に終わらない時に、取り 込んだ病原体を分解し、枝のように張 り出した細胞の表面に提示して、攻撃 すべき抗原であることをリンパ球に示 します。また、自己の細胞成分につい ては、抗原として認識しないように提 示します。 抗原を提示する相手はリンパ球のT 細胞などで、それには、他の免疫細胞 を助けるヘルパーT細胞、病原体や感 染した細胞などを直接攻撃するキラー T細胞、免疫反応を調整する制御性T 細胞などがあります。このT細胞の抗 原認識受容体も、抗体と同じように遺 伝子再構成によって1000億種類程 度が作られるので、どのような抗原に 12 86 06 2016 年 10 月 31 日(月) フォーカス FORUM メディファクス ダイジェスト 15
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