∼東日本大震災復興支援活動に取り組む日立∼

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岩手県釜石市でIT活用による、
まちの活性化を協創
∼東日本大震災復興支援活動に取り組む日立∼
岩手県釜石市と日立、一般社団法人新興事業創出機構(以下、JEBDA)
は2016年6月、釜石市の地域全体の活性化に向け
て協働して取り組む協定を締結しました。
日立は東日本大震災後、CSR(企業の社会的責任)活動の一環として、JEBDAを
通じて地域の水産加工業者の業務システム改善などを行ってきました。今後も三者間の連携をさらに強化し、長期的な
視点から幅広く活動を展開していきます。
「復興のためITで何ができるか」を模索
このプロジェクトを開始したきっかけは、
被災地域の企業や自
サイトを構築。2015年6月には、
水産加工会社である釜石ヒカリ
治体と、都市圏の企業をつなぐ「共創プロジェクト」などをプロ
フーズ株式会社のWebサイトを立ち上げ、
現在も同社の業務シス
デュースしているJEBDAからの紹介を受け、
日立社員が2012
テム改修に向けた業務フロー分析や仕様設計を進めています。
とうに
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年12月に釜石市唐丹町を訪問したことです。当時は震災後ま
今回締結された協定では、
釜石市が2015年度から5か年で
だ1年半しか経過していませんでしたが、
日立のITを活用した
行っている市外との交流人口を増やし地域全体の活性化をめ
復興支援ニーズが多くあることを知り、幾度も現地へ足を運ぶ
ざす「オープンシティ戦略」を後押しするべく、地域コミュニティ
なかで、
徐々に現地の方々との信頼関係を構築。互いに「復興
活性化や産業振興、
人材育成などに釜石市と日立、
JEBDAが
のためITで何ができるか」を模索し続けていました。
連携して取り組むことになっています。現在は人材育成の観点
そして2013年3月に社内説明会を開催し、
チームメンバーを募
から小・中学 生を
集したところ50人近い営業・SEが協力を申し出ました。その後、
対 象 にしたIT関
専門性や志望理由をもとに選出した約10名のメンバーが休日な
連の教育支援など
どを利用して現地を訪問しながら、
唐丹町漁業協同組合のWeb
を検討しています。
はいたっく 2016.11
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インタビュー
日立CSR担当者の思い
ICT事業統括本部 コーポレートコミュニケーション本部 CSR部 部長
増田 典生
今回の協定締結に関わった一人として、活動開始当初から
−唐丹町漁業協同組合のWebサイトを構築するときに
釜石市での復興支援活動に携わってきたICT事業統括本部
気をつけたポイントは何でしょうか。
コーポレートコミュニケーション本部 CSR部 部長 増田 典生に
話を聞きました。
増田 漁協の方々の話を伺うなかで、情報発信だけでなく
Webサイトを地域コミュニティのハブにしたい意向があることを
−釜石市でCSR 活動を展開するにあたり、地元の方々と
知りました。そこで地元公民館や漁協女性部、
お寺、小・中学
どのように信頼関係を築いていったのでしょう。
校など、地域のたくさんの方々にご協力いただき、地産品を使っ
たレシピを載せたり、分散していた唐丹町の歴史的資料を収
増田 被災地は一時、営業目的で外部の人間がドッと押し寄
集・整理して載せたりするなどの工夫を行いました。現在はファ
せますが、
いつしか潮が引くようにいなくなってしまうパターンが
クシミリで受け付けている海産物の販売を、Web上から行うた
多く、地元の方々には外部の人間への距離感が体験的にでき
めの仕掛けづくりを検討しています。
てしまっていました。そこでわれわれは「こんなことをやります」
「こんなことができます」
とはあえて言わずに毎月訪問を重ね、
地元の方々が「何を必要としているのか」
「何に困っているの
−釜石市でのCSR 活動を通じて、
よかったと感じたのはどのようなときですか。
か」に耳を傾け続けました。信用し始めてくれていると感じるこ
とができたのは、訪問し始めて半年ほど経った頃でした。片道6
増田 漁協の組合長や釜石市長から感謝のメッセージをいた
時間かけての往復は大変でしたが、
日帰りできない距離だから
だいたときです。それらを読んだときには、頑張ってきてよかった
こそ、地元の住職さんや漁協の方々とお酒を酌み交わしなが
なあと思いました。
ら、
腹を割った話ができる関係を構築することができました。
−CSR 活動における意義は何だと思いますか。
増田 われわれの活動は単なる復興支援ではな
く、共に悩んで答えを見つけ、前に進んでいく
「協
創」による新しいまちづくりだと考えています。支援
する側・される側ということではなく、地域の方々と
同じ目的に向かって一緒に歩んでいくという感覚が
あるのです。ITを活用した被災地での長期的な活
動をとおして、
日立がめざす社会イノベーション事業
による豊かな社会の実現に取り組んでいきたいと思
います。
関連サイト
釜石市役所において行われた調印式にて
(左から日立の星野東北支社長、釜石市の野田市長、JEBDAの鷹野理事長)
■唐丹町漁業協同組合
http://jf-tonicho.or.jp/
■釜石ヒカリフーズ株式会社
http://www.hikarifoods.jp/
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