私 仕事 思 私 - 全国老人保健施設協会

リスクマネジャーの資格を活かして
どんなことでも「食べるきっかけ」に。笑顔のためにまず実践!
リクエストのごっつぉを目の前に、介護
私は現在介護福祉士長として勤務し
これらの問題に対しては、どの施設
当栄養課では「食べるきっかけづく
て い ま す が、 2 年 前 に リ ス ク マ ネ
も頭を悩ませていると思いますが、私
り」をテーマに、さまざまな企画を考案
職員やリハビリ職員が歌でお祝いをし、
ジャー資格を取得したことで、それま
はリスクマネジャー資格取得の試験勉
し実施しています。その企画のいくつか
記念写真入りの誕生日カードを差し上
で以上に介護福祉士長としての責任を
強は元より、研修会での講習やグルー
をご紹介させていただきたいと思います。
げています。
自覚するようになりました。
プワーク、全国から参加した人との会
最初に導入したのが「大好き食」で
話を通じて、施設が生き残るためのヒ
す。これは一時的な食欲低下がある入
屋台をつくり、さまざまなお店をオープ
ントを授かったように思います。
所者や、ターミナル期の入所者に、定
ンさせ、皆さんに外食気分を味わって
現在、老健施設は重介護化が進み、
ターミナルケアを求められる一方で、
一定の在宅復帰率やベッド稼働率を確
保することが重要な課題です。また、
職員のモラルの低下や介護の人材不足
サンタマリア(愛知県)
き た む ら だ い す け
介護(RM)
北村大介
に対して、新人教育や職員定着に向け
リスク対策はリスクマネジャーが1人
で解決できるわけではありません。委
食スタイルをやめてご本人の大好きな食
材や料理のみを提供するものです。
員会や勉強会、日々のカンファレンス
次に導入したのは栄養講話「うんま
で情報を発信し、職員間で共有するこ
い話 !?」です。毎月の旬の食材につい
最 近では「食べ物屋さん」を開店。
リバーヒル長井(山形県)
な か じ ま
中嶋さち子
栄養 いただけるようにしました。
これらの企画によって、入所者の弾
けるような笑い声や賑やかな会話があ
ふれるひとときは、私達職員にとっても
至福の時間です。
た取り組みも必要です。その他にも、転倒・転
とで、リスクに対して一丸となって取り組むことが
て、実物をお見せしながら紙芝居形式でお話をする
落・誤嚥などの介護事故や施設内感染の予防や対
できると思っています。介護の現場はいつもリスク
ものです。講話がある日は必ずその日の夕食にその
次の企画は「認知症を伴う高齢 者の食 育」が
策、利用者同士のトラブルや家族との関わり、防
と背中合わせです。そのリスクを最小限にするた
食材を使用した料理を提供するのですが、喫食率
テーマ。担当者を中心に企画を進めているところで
災対策や施設の老朽化問題から、他サービスや他
めに、講習で教わった『当たり前のことを ビック
は好成績、常にほぼ完食です。
す。これからも「食べるきっかけづくり」の一助とな
施設との競争まで、施設は今、さまざまなリスク
リするくらい ちゃんとやる』という基本を常に念
対応に囲まれています。
頭に置きながら今日も現場に立っています。
私の 仕 事 私 の 思 い
師、介護福祉士、そして家族である私もともに周
30年勤めた特別養護老人ホームを退職し、認知
るような企画をたくさん考案し、多職種の協力を得
その他、入所者の誕生日に、その方にとってのご
ながら実施していきたいと思っています。
馳走を提供する「ごっつぉの日」も導入しました。
私の 仕 事 私 の 思 い
仕事に臨もうと思います。
「私にとって介護とは何か?」私の心の中には
1人では何もできないことも現場で学びまし
症になり始めた母が独居生活をおくる故郷に帰り、
囲の環境整備や食事内容の工夫に取り組んだ結果、
いつもその言葉があり、常に自分に問いかけ、考
当施設に支援相談員として再就職したのは7年前
10日ほどたった頃より少しずつ改善の兆しが表れ
えることが仕事の指標となっています。
です。
ました。ついに「食事がおいしい」と全量摂取でき
介護現場は多忙で、思いどおりにいかないこと
が、時々リーダーとしての責務ばかり考えている
た時は喜びも格段で、みんなと感動をともにする
は多々あります。人間ですから、ご利用者との関
自分がいることに気づきます。そのようなときこ
ことができました。
係性にストレスを感じてしまうこともあります。
そ、周囲の力を感じます。
母は脳梗塞による不全麻痺で認知症が進行し、
要介護度3の認定で私が勤務する介護老人保健施
た。現在、フロアの介護リーダーを務めています
リハビリの成果により、介助つきで
「忙しいからこそもっとがんばらなけ
「私にとって介護とは何か?」それ
脳梗塞で入院する前は、介助つきで
はありますが歩行器で移動できるまで
れば」と思っても、心に余裕がないと
は「人を想う」ことだと思います。想
歩行器が使用できる状態でした。入院
に回復しています。これは、それぞれ
焦りや不安が勝ってしまいます。それ
う気持ちが私を導いてくれる、人の
後は車いすの全介助状態となり、栄養
の専門職がリハビリの視点で介護した
を隠していても人に伝わりやすく、知
温かさに気づかせてくれる。想うこ
補助食品も吐き出し食事もほとんど摂
結果であり、家族にとってはとても嬉
らないうちに周りに影 響を与えて心配
とは私の原点そのものだと思います。
取せず、医師からは認知症による拒食
しいことです。
をかけることになります。がんばってい
人を想うことが「ありがとう」
「お疲れ
設さくら苑に入所しています。
をしました。
施設に入所当初も、やはり食事を摂
取できない日が続きました。その後、
管理栄養士、リハビリスタッフ、看護
母を勤務先に入所
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るつもりでも周りの反応が思うようでな
様」という言葉にかわり、笑顔となっ
家族でもあるという視点をもち、今後
いと、そこに苛立ちも加わり、人と接
て届いていきます。これからも想う
もご利用者、家族、職員がしっかりと
する優しい 気 持ちもなえていきます。
チームワークを組み、喜びを共有でき
空回りすることがたくさんありました。
る施設づくりに努力したいと思います。
だからこそ、ぶれない信念をもって
私自身も1人の職員であると同時に、
と言われ、親子ともに毎日つらい思い
さくら苑(宮崎県)
とよ はら ふさ
こ
豊原房子
ケアマネ ~喜びを共有できる施設でありたい~
エスペランサ(兵庫県)
なん
ぶ
ゆう すけ
南部悠甫
介護 ことの大切さを胸に、介護職として
の在り方を見つめ研鑽していきたい
と思っています。
人を想う。
老健 2016.11 ● 45
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