2016/ 原油価格週間動向 10/24 投資情報部 シニアコモディティアナリスト 津賀田 真紀子 WTI原油相場、上値追いは困難か WTI 原油先物は先週、一時 1 バレル=51.93 ドルと年初来高値を記録した。しかし、買いは続かず、足元では 50 ドル近辺でもみ合う動きとなっている。9/28 の OPEC 臨時総会で減産が合意されたことが市場に好感されてい る一方、目標どおりに減産が実施されたとしても、2017 年も世界的に供給過剰の状態が続く可能性があると みられているためだ。OPEC が実際に減産を順守できるのか、懐疑的な見方も根強い。一方、米国の原油生 産量は依然高水準を維持しているうえ、今年 4 月頃からエネルギーセクターにおけるハイイールド債の発行額 が回復しつつあることから、リグの稼働数も増加傾向にある。世界需給の改善には時間がかかりそうだ。 WTI 原 油 先 物 は 1 年3ヵ月ぶりの高値 を回復も買いが続 かず 国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物相場は先週、 一時1バレル=51.93ドルと年初来高値を記録した。中心限月としては昨年7月以来、 約1年3ヵ月ぶりの高値となる。しかし、買いは続かず、足元では50ドル近辺でもみ合う 動きとなっている。9/28に開催された石油輸出国機構(OPEC)臨時総会において、 加盟14ヵ国の原油生産量を日量3,250万~3,300万バレルに制限することで合意され たことが市場に好感されている一方、目標どおりに減産が実施されたとしても、2017 年も世界的に供給過剰の状態が続く可能性があるとOPEC月報で指摘されているた めだ。OPECが実際に減産を順守できるのか、懐疑的な見方も根強い。減産枠組み の正式決定は早くても11/30に開催予定の次回OPEC総会になるとみられている。 なお、OPEC原油生産量とWTI原油先物相場は比較的相関性の高い値動きを示す 傾向がある。今後もこの傾向が続くと仮定した場合、日量3,250万~3,300万バレルの 範囲では、WTI原油先物相場は1バレル=40ドル前後で推移することが予想される。 原油価格動向 OPEC 原油生産量とWTI原油先物価格 2016/10/10 期間 WTI 北海 ブレント (月次:2013/1~2016/9) (1バレル=ドル) ~ ~ 2016/10/17 120 前週比 110 2016/10/21 2016/10/14 始値 50.23 49.57 0.66 高値 51.93 51.60 0.33 安値 49.47 49.15 0.32 終値 50.85 50.35 0.50 始値 51.93 51.63 0.30 50 高値 53.14 53.73 ▲ 0.59 40 安値 51.12 50.92 0.20 30 終値 51.78 51.95 ▲ 0.17 20 100 90 80 70 60 48.24 29.0 29.5 30.0 30.5 31.0 31.5 32.0 32.5 (注)価格は 1 バレル=ドル 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 33.0 33.5 34.0 (百万バレル/日) 出所:OPEC 月報、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1 2016/10/24 原油価格週間動向 米国内の DUCs油 井 が 減 少 。リグ稼 働数がさらに増加 する可能性 一方、米国原油在庫の減少が続いていることも市場参加者に好感されている。例年、 10 月以降は製油所の稼働率の上昇にともなって原油在庫が再び増加する傾向が あるが、今年はイレギュラーな動きとなっているようだ。ただし、依然として前年同期 を上回っており、過去最高水準を維持していることに変わりはない。 また、米国の原油生産量も日量約 850 万バレルと依然高水準を維持している。しか も、今年 4 月頃からエネルギーセクターにおけるハイイールド債の発行額が回復しつ つあるうえ、DUCs(drilled but uncompleted wells)と呼ばれる未完成・未稼働の油井が 減少傾向にある。米エネルギー情報局(EIA)の統計によると、今年 1 月の DUCs油井 数は 5,576 本であったのに対し、9 月は 5,069 本であった。ベーカー・ヒューズ社の統 計によると、現在のリグ(石油掘削装置)稼働数は前年同期に比べ約 3 割も少ないも のの、今年 5/27 時点の 316 基を底に増加が続いており、10/21 時点では 443 基にま で回復している。シェール関連企業は長引く原油安の影響でコスト競争力を高めて おり、市況回復が続けば採算が取りやすくなると見られているためだ。現在の損益分 岐点は 1 バレル=40~70 ドルとも言われている。今後の相場次第では、米国内のリグ 稼働数がさらに増加する可能性があるだろう。 米国原油生産量 米国原油在庫 (千バレル/日) (週次:2013/1/4~2016/10/14) (百万バレル) 550 (週次:2014/1/3~2016/10/14) (基) 2,000 11,000 米国原油生産量(左目盛) リグ稼働数(右目盛) 10,000 500 1,800 1,600 2013年 9,000 2014年 1,400 450 1,200 2015年 8,000 1,000 2016年 400 7,000 800 600 350 6,000 400 5,000 300 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 14/1 11 12 (月) 15/1 15/7 16/1 16/7 200 (年/月) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 米国エネル ギーセクターハイイールド債発行額と W T I原油先物 (月次:2015/1~2016/9) (億ドル) 70 14/7 米DUC s油井数とWTI原油先物 (月次:2014/1~2016/9) (本) 6,000 (1バレル=ドル) 65 (1バレル=ドル) 20 30 65 60 60 55 5,500 40 50 5,000 55 50 50 45 45 40 40 35 60 70 4,500 80 DUCs油井数(左目盛) 4,000 発行額12ヵ月平均(左目盛) WTI原油先物(右目盛) 35 15/1 15/4 15/7 15/10 16/1 16/4 16/7 90 WTI原油先物(右逆目盛) 100 30 (年/月) 3,500 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 110 16/7 (年/月) 出所:米エネルギー情報局(EIA)のデータよりみずほ証券作成 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 22 2016/10/24 原油価格週間動向 ■ エネルギー関連統計 日付 国・地域 10 月 26 日 10 月 26 日 10 月 26 日 10 月 26 日 10 月 26 日 10 月 26 日 10 月 26 日 10 月 26 日 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 28 日 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 イベント 米国原油在庫(前週比・千バレル) オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル) 米国ガソリン在庫(前週比・千バレル) 米国中間留分在庫(前週比・千バレル) 米国製油所稼働率(前週比) 米国原油推定需要(千バレル/日) 米国ガソリン推定需要(千バレル/日) 米国留出燃料推定需要(千バレル/日) ベーカー・ヒューズ掘削リグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ稼働数 期間 10 月 21 日 10 月 21 日 10 月 21 日 10 月 21 日 10 月 21 日 10 月 21 日 10 月 21 日 10 月 21 日 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 28 日 前回 ▲5,247 ▲1,635 2,469 ▲1,240 ▲0.5% 16,121 9,442.0 4,808.1 553 108 443 ■ 今週の経済指標 日付 国・地域 10 月 24 日 10 月 24 日 10 月 24 日 10 月 24 日 10 月 24 日 10 月 25 日 10 月 25 日 10 月 25 日 10 月 26 日 10 月 26 日 10 月 27 日 10 月 27 日 10 月 27 日 10 月 27 日 10 月 27 日 10 月 27 日 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 28 日 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 10 月 31 日 欧州 欧州 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 欧州 欧州 欧州 欧州 欧州 米国 米国 米国 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 米国 中国 中国 イベント マークイット ユーロ圏製造業 PMI マークイット ユーロ圏サービス業 PMI マークイット ユーロ圏コンポジット PMI シカゴ連銀全米活動指数 マークイット米国製造業 PMI S&P コアロジック CS 米住宅価格指数(季調前) 消費者信頼感指数 リッチモンド連銀製造業指数 MBA 住宅ローン申請指数 新築住宅販売件数 耐久財受注(前月比) 製造業受注-資本財(非国防/除航空機) 製造業出荷-資本財(非国防/除航空機) 新規失業保険申請件数 失業保険継続受給者数 カンザスシティ連銀製造業活動指数 景況感 業況判断指数 鉱工業信頼感指数 サービス業信頼感指数 消費者信頼感 GDP(年率/前期比) 個人消費 ミシガン大学消費者マインド GDP(季調済/前年比) 個人所得 個人支出 実質個人支出 PCE コア(前月比) シカゴ購買部協会景気指数 ダラス連銀製造業活動指数 製造業 PMI 非製造業 PMI 期間 10 月 速報 10 月 速報 10 月 速報 9月 10 月 速報 8月 10 月 10 月 10 月 21 日 9月 9 月 速報 9 月 速報 9 月 速報 10 月 22 日 10 月 15 日 10 月 10 月 10 月 10 月 10 月 10 月 確報 7-9 月期 1 次速報 7-9 月期 1 次速報 10 月 確報 7-9 月期 1 次速報 9月 9月 9月 9月 10 月 10 月 10 月 10 月 前回 52.6 52.2 52.6 ▲0.55 51.5 183.57 104.1 ▲8 0.6% 609,000 0.1% 0.9% ▲0.1% 260,000 2,057,000 6 104.9 0.45 ▲1.7 10 -1.4% 4.3% 87.9 1.6% 0.2% 0.0% ▲0.1% 0.2% 54.2 ▲3.7 50.4 53.7 (注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 33 2016/10/24 金融商品取引法に係る重要事項 原油価格週間動向 ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化等により、投 資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負担いただ きます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手 数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含む)、国や地域 の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込むことがあり、損失を被るこ とがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与えることがあ ります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が当該証券の 高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売却してお客さ まの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市場があっても当該証券の 流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生しても本邦投資家が取り扱いできないこ とがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商品取引法に基 づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および諸費用の額 は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。詳細は当社の担当者まで お問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金に対して最大 1.08%+2,700 円(税込 み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対 して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別途手数料お よび諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負 担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を 委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券取引口座管理 料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決定した為替 レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書またはお客さま向け 資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-161024-18 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 44
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