行政説明 - 独立行政法人日本学生支援機構

行政説明
経済産業省
経済産業政策局
産業人材政策室
室長補佐
近田
高志
ご紹介頂きました経済産業省の近田でございます。私からはキャリア教育の推進に向け
た経済産業省の取組について、ご説明させていただきます。お手元に印刷していただいた
資料が配付されていますので、ポイントを絞ってご説明してまいります。
まず、産業界を取り巻く環境変化とキャリア教育の重要性について確認したいと思いま
す。
こちらは、日本の人口の推移を表したグラフです。少子化の進展により、このままで行
けば2060年には総人口が 9000 万人を割り込み、生産年齢人口も大きく減少すると推計
されています。
また、日本経済の低成長と新興国の台頭により、例えば、一人当たりの GDP のランキン
グなど、国際社会における日本経済の相対的な地位が低下しているという状況にございま
す。
くわえて、世界市場における日本製品のシェアにも低下傾向が見られます。様々な電子
機器やデバイスなどの世界市場が伸びている一方で、残念ながら日本のシェアが年々低下
しております。このように、日本経済・企業は、非常に厳しいグローバル競争にさらされ
ているわけです。
また、我が国の産業構造が変わっていく中で、就業構造にも変化が見られます。今後、
製造業・建設業の就業者数が減少する一方で、情報・サービス業、とりわけ医療・福祉分
野の就業者数が増加することが予想されています。
さらに最近は、第 4 次産業革命とも言われる大きな変化が起こりつつあります。皆様も
新聞等でご覧になっているかと存じますが、IoT や人工知能、ロボットといった新しい技術
革新の影響により、ビジネスや産業の構造が大きく変わってきています。
このような第 4 次産業革命と言われる変化に伴って、仕事の内容も変化していくことが
予想されます。このスライドは経済産業省の産業構造審議会の部会での資料です。AI やロ
ボット等の出現により、省人化が進み、従来型のミドルスキルのホワイトカラーの仕事が
減少していくことが見込まれます。一方で、例えば、高度な情報技術を活用する人材、あ
るいは、ヒューマンタッチな部分で、より高度な営業やサービスを提供する仕事が増加す
ることも予想されています。
以上ご説明してまいりましたとおり、我が国の産業は大きな変化の渦中にあります。こ
のような変化の中にあって、今後、産業界で活躍する人材には、周囲の多様なメンバーと
協働すること、変化に対応し絶えず挑戦し学び続けること、そして、自ら問題を見つけ主
体的に考え行動していくこと、これらの力が、今まで以上に求められます。
このような力を伸ばすためには、やはり、一人ひとりの社会的・職業的自立に向けて必
1
要な能力を育むことを目指すキャリア教育が一層、重要になるのではないかと考える次第
です。
経済産業省では、このような認識のもと、キャリア教育の推進に向けた取組を進めていま
す。
一つ目が、産学協働によるキャリア教育の推進です。文部科学省や厚生労働省とも連携
しながら、キャリア教育に協力している企業等の表彰や、シンポジウムの開催を行ってい
ます。
また、地域における様々な関係者と学校との連携を支援する「キャリア教育コーディネー
ター」の育成にも取り組んでまいりました。
こちらは、ご参考までですが、昨年度の「キャリア教育アワード」にて、経済産業大臣
賞を受賞された取組内容です。また、こちらは、先ほどご紹介したキャリア教育コーディ
ネーターを、全国各地で育成している団体をご紹介したスライドです。
二つ目の取組が、インターンシップの推進です。産学が連携したインターンシップを質
的・量的に拡大するために、実践事例を取り上げたガイドブックや、企業や学生が用いる
ツールや書式類の整備などを行ってきました。
昨年度におきましては、インターンシップの更なる普及のためには、地域の産学官によ
る連携体制づくりが不可欠であるという考えから、各地に設立されているインターンシッ
プ推進組織を対象にした調査を行い、事例集を取りまとめました。
三つ目が「社会人基礎力の普及」です。若者が職場や社会で多様な人々と仕事をしてい
くために必要な力を「社会人基礎力」として提唱し、大学教育を通じた普及に取り組んで
います。現在は、全国の大学が参加する「社会人基礎力育成グランプリ」を開催していま
す。
こちらのスライドが、基礎力の構成要素です。詳細は後ほどご覧いただけばと存じます
が、先ほどから述べているような、大きな社会の変化の中にあって、むしろ、これらの基
礎力をしっかり身に付けること、そして絶えず磨き続けることが重要ではないかと考えて
いる次第です。
以上が、経済産業省が取り組むキャリア教育の主な施策でございますが、最後に、もう
一つ、留学生の就職支援のための取組についてもご紹介させていただきます。経済がグロ
ーバル化する中で、日本に来ていただいた外国人留学生の方々が日本企業で活躍していた
だけるよう、関係省庁が連携しながら、就職支援に取り組んでいるところです。経済産業
省では、かつて、アジア人財資金構想事業に取り組みましたが、このノウハウを引き継ぎ、
一般社団法人留学生支援ネットワークが設立され、留学生向けに就職支援を行っています。
本日の午後のセッションの中で、事務局長の久保田様がご講演されますので、ご関心のあ
る方は、是非ご参加いただけましたらと存じます。
以上、大変駆け足でございましたが、私からのご説明を終えさせていただきます。ご清
聴ありがとうございました。
2