資料13 第2回働き方改革実現会議 治療と仕事の両立等について 平成28年10月24日 塩崎厚生労働大臣 配付資料 治療と仕事の両立について① 2.患者等のニーズ 1.患者の現状 日本の労働人口の約3人に1人が 何らかの疾病を抱えながら働いている しかし、例えば、がんの場合は・・・ (万人) 出典:厚生労働省平成25年度国民生活基礎調査 (※1) 離職 8% 34% 2,007万人 (主要疾病合計 782万人) 109 75 62 27 23 現在も勤務している 依願退職した その他 不妊治療を受けながら働く人も増えている 20 再発後, 7% その他, 11.6% 14万人 復職後, 18.6% 0 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 ◆体外受精による出生児 ※日本産科婦人科学会集計 【H18】 【H26】 出生児数 109万人 100万人 体外受精出生児数 19,587人 47,322人 (1.8%) (4.7%) 治療終 了後か ら復職ま で, 11.1% 無回答 1% その他, 1% 29% いいえ, 23% もともと辞めるつもりだっ た はい 69% 13% 辞めるように促された、も しくは辞めざるを得ない ような配置転換をされた 治療を続けながら働く ための制度や社内の 理解が不十分 8% 5% 解雇された 0% 20% 40.2% がん患者が両立のために 必要なこと 診断から最初 の治療まで, 8.5% 最初の 治療中, 11.6% 出典:平成27年度厚生労働科学研究費補助金、厚生労働省が ん対策推進総合事業 働くがん患者の職業復帰支援に関する研 究 高橋班 より (※1~3)出典:2013がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査「がんの社会学」に関する研究グループ、研究代表者 静岡がんセンター山口建 不妊治療の両立のために 必要なこと (※3) 勤務時間を短縮できる制度 68% 63% 長期の休暇や休暇制度 診断確 定時, 31.7% がん・後遺症等について周囲 の理解 55% 柔軟に配置転換できる制度 47% 43% 職場の人々の精神的な支え 31% 再雇用の制度 職場内にカウンセラーや相談 窓口設置 ハローワークにカウンセラー や相談窓口設置 診断時に渡される仕事に関 するQ&A集 その他 事業主に伝えにくい 40% 治療開始前に離職 39万人 40 休職中である 解雇された 治療開始前に約40%の人が離職 ◆不妊治療(体外受精)の治療延べ件数(人) (万人) 約半数 10% 『職場で「不妊治療をしている」と周囲に 話しづらく感じましたか?』 29% 勤務継続 149 50 0 37% 治療や静養に必要な休 みをとることが難しかった 48% 30% 337 (※2) 仕事を続ける自信がなく なった 会社や同僚、仕事関係 の人々に迷惑をかけると 思った 4% 全疾病 職場で不妊治療を周りに 話しづらく感じたか がん患者の離職理由 離職をする人が約34%存在 ◆罹患しながら働く人数(主な疾病) 350 300 250 200 150 100 ~患者の現状とニーズ~ 16% 14% 13% 『職場からどのようなサポートが 欲しいですか?(複数回答)』 休暇・休業制度 75% 就業時間制度 74% 治療費の融資・ 補助 0% 20% 40% 60% 80% 29% 再雇用制度 支援要員の雇用 制度 23% 情報提供や啓発 活動 カウンセリング 機関の設置 その他 7% 48% 21% 12 % 2% 出典:NPO法人 Fine 「仕事と治療の 両立についてのアンケート」(2015) 柔軟な働き方等の企業の取組が不十分、相談体制も不十分 1 治療と仕事の両立について② ~課題と対応~ 1.課題 2.今後の対応 ①患者ニーズに応じた働き方の選択肢の提供 ①企業文化の抜本改革 ● 治療と仕事を両立できる社内制度の整備や職場の理解の醸成が課題。 ○病気休暇制度のある企業割合(常用雇用者30人以上民営企業、※1) ○病気休業からの復帰支援プログラムのある企業割合(常用雇 用者50人以上民営企業、※2) 【参考1】 ・時間単位の年次有給休暇がある企業割合(常用雇用者30人以上民営 77.6% 22.4% 78.6% 有り 16.2% 16.2% 企業、※3) ・在宅勤務(テレワーク)を導入している企業割合(常用雇用者100人以 83.8% 34.6% どちらかといえばそう思わない 無し 83.8% 16.4% 5.9% 11.0% 2.1% 上民営企業、※4) ・年次有給休暇を病気や急な用事のために残しておく 必要があると思う労働者の割合(※5) そう思う 9.9% 11.5% 有り 無し 無回答 30.0% どちらかといえばそう思う そう思わない どちらとも言えない 無回答 出典:※1厚生労働省平成25年就労条件総合調査、※2平成25年メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査((独)労 働政策研究・研修機構)、※3厚生労働省平成27年就労条件総合調査、※4総務省平成27年通信利用動向調査、※5平成23年年次有給休暇に関 する調査((独)労働政策研究・研修機構) 【参考2】ドイツでは、法律に基づき、年次有給休暇とは別に6週間まで有給の病気休暇を取得できる。 好 事 例 ⅰ中外製薬株式会社:社員の安全優先を会社の方針として明文化、がんの通院時に1日単位で取得可能な休暇制度 ⅱオリンパス株式会社:各事業所における産業保健スタッフの充実、全社的な健康意識の向上 ⅲウシオ電機株式会社:主治医と連携した病気休業からの復帰支援 ⅳ大鵬薬品工業株式会社:やむを得ず病気退職した社員の再雇用制度など ⅴ住友電気工業株式会社:不妊治療のための休暇制度 (注)ⅰ~ⅳは、「がん患者の治療と仕事の両立への優良な取組を行う企業表彰 事例紹介集」(平成26、27年度 東京都)を参考。 ②患者にとって身近な相談先の整備 ● がんを例にみると、がん診療連携拠点病院で就労専門家の 62% 配置やハローワークとの連携による相談支援体制は38%のみ。 22% 6% 10% 就労担当者の配置 (88箇所) ハローワークとの 連携(22箇所) 両方実施(40箇所) ● 医療機関の就労支援機能は量、質ともに不足 その他(249箇所) ・「患者サポート体制充実加算」(診療報酬)算定医療機関数は伸び悩み。 計150か所 3,477(H25) → 3,478(H26) → 3,422(H27) (全399か所の38%(平成28年)) ・社会福祉士の養成カリキュラム全1,200時間中「就労支援サービスに関する知識」は15時間のみ。 ③国としての役割認識の明確化 ● 「治療と仕事の両立」を働く方々の健康管理に係る行政課題として明確に捉え、国として、企業や 医療機関等の取組を積極的に促進、支援する必要。 【企業】 ○ 全社員の健康に対する経営トップ、管理職等の意識改革 ○ 休暇、テレワーク等両立が可能な社内制度の充実 ○ 産業医、産業保健スタッフ等、社内体制の充実と理解 【厚生労働省】 ○ 「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイ ドライン」(平成28年2月策定)の普及 ○ 企業向け「疾患別サポートマニュアル」を新たに策定の方針 ○ 先導的な事例の収集と普及、中小企業への支援等 ②企業と医療機関の連携の強化 【企業】 ○ 主治医、産業医等の連携体制の構築、充実 【医療機関】 ○ 就労支援に対する医療機関の役割の明確化と体制充実(主 治医の主導的役割の強化、医療ソーシャルワーカー等による支援体 制の充実) 【厚生労働省】 ○ 企業と医療機関の連携の中核となる専門人材の育成 ○ 医療機関向け企業連携マニュアルを新たに策定し、研修 ③患者に対する相談の充実 【企業】 ○ 産業医、産業保健スタッフによる相談体制の充実、管理 職等の教育 【医療機関】 ○ 診断当初から就労の相談支援ができる環境の整備(相談 可能な医療機関等の増加) 【厚生労働省】 ○ 個人ごとの「治療と仕事両立プラン」の作成・実現を支援 する仕組みづくり(患者の精神的支えを含め、患者に寄り添い、 企業、医療機関と連携もできる専門人材の養成) 治療と仕事の両立が普通にできる社会を目指す 2 障害者の「働く」環境の整備について 障害者の「働く」現状 課題 雇用義務がある企業 (50人以上)の約3割が 障害者を全く雇用して いない 雇用障害者数は12年連続で過去最高で、 現在45.3万人(実雇用率1.88%)。 大企業は2.09%、中小企業は1.68%。 45.3万人 (%) 55 2.1 2.0 2 45 1.9 法定雇用率 1.8 1.88 1.8 35 1.68 1.7 28.4万人 1.6 実雇用率 25 1.5 1.52 1.4 15 1.3 1.27 うち、中小企業(100~299人)の障害者雇用率 5 1.2 今後の対応 雇用してい るが未達成 (22%) (万人) 18 19 20 21 22 23 24 雇用障害者数 25 26 27 (年) ①雇用ゼロ企業を「雇う」企業に変える 雇用ゼロの 企業 (31%) 雇用率 達成企業 (47%) 【企業】 ○ 障害者の就業に対する経営トップ、管理職等の意識改革 【厚生労働省】 ○ 就労理解促進に向けた見学会等の充実 人間関係や仕事が合わないといった課題への対応が必要 離 職 の 理 由 ( 個 人 的 理 由 ) ※障害者雇用義務がある企業(50人以上)で常用雇用労働者として 雇用されている者の数 職場の雰囲気・人間関係 賃金、労働条件に不満 仕事内容があわない 家庭の事情 疲れやすく体力意欲が続かなかった 症状が悪化(再発)した 作業、能率面で適応できなかった 会社の配慮が不十分 障害のため働けなくなった 通勤が困難 0% 10% 20% 30% 40% 仕事を続けていく上で、雇用環境にも更なる改善が必要 就労系福祉サービスの利用者数は、いずれも増加 就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型 (H20年度) 16,079人 6,168人 51,514人 (H26年度) 29,760人 47,733人 196,019人 就労系福祉サービスから一般就労への移行数は増加 (人) 10000 5000 10,920 3,000 ( 仕 事 を 続 け る 上 で ) 改 善 等 が 必 要 な 事 項 能力に応じた評価、昇進・昇格 調子の悪いときに休みを取りやすくする コミュニケーションを容易にする手段や支援者の配置 能力が発揮できる仕事への配置 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 (出典)「雇用者数」「雇用率」は「障害者雇用状況報告」(厚生労働省)、「サービスの利用者数」は国民健康保険 団体連合会データ、「一般就労への移行者数」は「就労移行等実態調査」(厚生労働省)、「一般就労の月額」は 「平成25年度障害者雇用実態調査」(厚生労働省)、その他の月額は「工賃(賃金)実績調査」(厚生労働省) 【企業や就労継続支援】 ○ 時間、空間の制約を乗り越えて、障害者の意欲や能力に 応じた仕事を提供するなど、障害者の働きやすい職場環 境を整備 ○ 補聴支援スピーカーなど障害者のニーズに即した先進的 就労支援機器の活用 【厚生労働省等】 ○ ICTを活用した在宅就業など、本人の能力を発揮できる 働き方に関する支援の拡充 ○ 障害の程度と本人の意欲に応じた就労支援サービスの 充実を図るため、賃金、工賃の向上にインセンティブを与 える報酬評価を検討 ○ 農福連携の推進に向け阻害要因とならないよう農地の賃 貸、所有に必要な農業委員会の円滑な許可を促進 短時間勤務など労働時間の配慮 上司や専門職員などによる定期的な相談 作業を容易にする設備・機器の充実 福利厚生の充実 移動のための配慮 通院時間の確保、服薬管理など雇用管理上の配慮 業務内容の簡略化などの配慮 業務遂行の支援や本人、周囲に助言する者等の配置 職業生活、生活全般に関する相談員の配置 0% 10% 20% 30% 40% 身体障害者 精神障害者 障害者の働く収入には改善の余地 0 ②障害者の職域拡大と職場環境の充実 (平均月額) 一般就労 身体障害:約22.3万円、知的障害:約10.8万円、 精神障害:約15.9万円 就労継続支援A型 約6.6万円 就労継続支援B型 約1.5万円 ③障害者に対する相談の充実 【企業】 ○ ジョブコーチの充実等、企業内相談体制の充実 【厚生労働省】 ○ 身近な地域で仕事や生活面の相談支援を行う専門スタッ フの増員 ○ 職場で障害者へ助言を行うジョブコーチの養成拡大 障害者が、希望やその能力に応じて活躍 できることが普通になる社会を目指す ※「離職の理由(個人的理由)」「(仕事を続ける上で)改善等が必要な事項」については、いずれも、「平成25 年度障害者雇用実態調査」(厚生労働省)による。本調査では、この2つの質問に関しては知的障害者の方へ の質問は行っていない。 3
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