(PDF/1ページ)「出所:外務省」

1.地政学的重要性
トルコ共和国概況
(1)欧州、中東、中央アジア・コーカサス地域の結節点。
(2)政治情勢等が不安定な地域において安定要因(政教分離体制、
NATO加盟国、EU加盟候補国(関税同盟あり)、G20メンバー国)。
(3)コーカサスや中東地域と欧州を結ぶエネルギー(天然ガス及び石油)回廊の
役割を積極的に果たすことを目指す。
2.内政
(1)2002年以来、穏健イスラム政党の公正発展党(AKP)が単独政権を維持。20
15年年11月1日総選挙では、AKPは得票率49.32%を獲得し、過半数を超
える317議席を確保(ただし,憲法改正を発議できる330議席には届かず)。
(2)軍事政権下に制定された現憲法に変わる新憲法の制定が課題。エルドアン大統
領は実権型大統領制の導入を目指す。
(3)クルド問題が内政上の最重要課題。AKP政権は対話による和平プロセスを進め
てきたが、2015年7月以降、北イラクのPKK施設の越境爆撃を再開。PKKも
南東部を中心に大都市でもテロ活動を活発化させており、双方の衝突が継続中。
(4)2016年7月のクーデター未遂事件を受けて、同月20日90日間の非常事態宣
言を決定。計画を遂行したとされるギュレン運動への取締を強化し、多くの軍・
警察関係者、公務員、メディア等が処分対象に。欧米諸国は懸念を表明。
3.外交
(1)従来トルコは欧米重視の外交を行ってきたが、AKP政権は近隣地域の安定化
と経済関係の強化に加え、アジア・アフリカまで視野に入れた積極外交を展開。
近年、アサド政権下のシリアとの関係が(ISIL対策、シリア難民問題も含め)悪
化。対エジプト関係を始めとして近隣諸国との間に困難な問題も多いが、ロシア
及びイスラエルとの関係正常化の動きも見られる。
(2) 2005年に始まったEU加盟交渉は停滞気味だが、近年新規チャプターの交渉
開始に合意。2016年3月、EUとギリシャへの非正規移民のトルコ送還に合意。
(3)国際社会での役割増大を追求(2015年にG20議長国)。
4.二国間関係
(1)1890年のエルトゥールル号遭難事件以来、世界有数の親日国。要人往来も
活発(2013年5月・10月・2015年11月安倍総理訪土、2014年1月エルド
アン首相訪日・2015年10月エルドアン大統領訪日等)。
(2)日本企業にとって、EU市場に向けた生産拠点(トヨタ、ホンダ等が工場操業)や
近隣諸国への進出拠点。近年進出業種も多様化。若い人口も魅力。
(3)ボスポラス海峡横断地下鉄整備計画等の経済協力を実施。大型インフラ案件に
おいては、シノップ原発の排他的交渉権の獲得、通信放送衛星案件、イズミット
大橋建設を日本企業が受注する等、経済関係は更に深化。
● イスタンブール
◎ アンカラ
(下記データは、注意書きがない限り、トルコ国家統計庁(2015年)の数値)
1.面積: 約78万平方キロ (日本の約2倍)
2.人口: 約7874万人
3.都市: 首都 アンカラ(イスタンブールが最大都市)
4.民族・言語: トルコ人(南東部を中心にクルド人、その他アルメニ
ア人、ギリシャ人、ユダヤ人等) 、トルコ語(公用語)
5.宗教: イスラム教徒(スンニ派、アレヴィー派)。その他、
ギリシャ正教徒、アルメニア正教徒、ユダヤ教徒等
6.政体: 共和制 (1923年共和国建国)
元首:エルドアン大統領、任期5年(2019年まで(再選可))
7.議会: 一院制 (550議席、任期4年、中選挙区比例代表制)
大国民議会議長:イスマイル・カフラマン議長
8.政府: ユルドゥルム首相、チャヴシュオール外相
公正発展党(AKP)による単独政権
9.GDP: 7199億ドル、1人当たり 9261ドル
10.経済成長率: 4.0%(2014年は2.9%)
11.物価上昇率: 8.8%
12.失業率: 10.3%
13.総貿易額 輸出:1439.35億ドル、 輸入:2072.03億ドル
14.対日輸出: 約3.34億ドル、対日輸入: 約31.40億ドル
(※直接投資額は3.61億ドル。トルコにとって第11位。)
15.日本からの経協実績: 累計約7007億円(2014年)
16.在留邦人数: 2208名、日系企業拠点数: 138社
(外務省海外在留邦人数統計(2015年10月))